日本 - フィリピン国交 60 周年記念日経 BP 社 日本 - フィリピン ビジネス投資フォーラム 日系企業の進出状況とフィリピンへの投資 ビジネスチャンス 2016 年 11 月 22 日 ( 火 )13:00~18:00 於 : イイノホール ( 千代田区内幸町 2-1-1) 日本貿易振興機構 ( ジェトロ ) お客様サポート部貿易投資相談課石川雅啓
日本企業のフィリピン投資 日本からの直接投資認可額 (2006~15 年 ) 日本のフィリピン投資動向 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (100 万ペソ ) 2008 年まで 投資停滞期 2009 年 日本が最大の投資国に浮上 投資全体の約 6 割を占める 内容は住友金属鉱山のニッケルプロジェクトが大部分であり 投資した企業自体は少ない 2010 年 日本は引き続き首位を維持 ( 構成比 3 割 ) リーマンショック後 電子部品の輸出が回復し 既に進出している企業の拡張投資が増加 一方で 新規に進出する企業は微増 2011 年 日本は構成比 3 割で 3 年連続首位 中国を始め 周辺国の投資環境が悪化した結果 新規投資が拡張投資を上回る 特に製造業の進出が顕著 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 ( 出所 ) フィリピン統計庁 (PSA) 2012 年 ~ 大型案件は一服するも 周辺産業への投資 中堅 中小企業の投資は継続 2
日系企業の PEZA 認定件数 1980 年代後半は 日本電産コパル 矢崎総業 共立 旭ガラス ローム クラリオン等が進出 1990 年代半ばには 当時のラモス政権により熱心な日本企業誘致活動が行われ 日立 東芝 富士通 NEC が進出 ハードディスクドライブ (HDD) 製造事業がほぼ同時期に開始 2000 年は アジア通貨危機後の反動で多くの日系企業が進出したとみられる 2010 年代は ブラザー工業 Canon の進出 EPSON の増産体制等により関連企業の進出及び生産 供給体制等のリスク分散の観点からフィリピンの投資環境が見直された結果 登録件数が増加 ( 社数 ) 120 100 101 80 79 60 40 20 17 26 53 45 22 24 25 29 25 18 28 40 38 39 35 34 32 35 65 70 63 0 8 6 7 ( 年 ) ( 出典 :PEZA ウェブサイト ) 3
日系企業進出動向 1 進出日系企業数の推移 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 1171 社 1214 社 1260 社 1521 社 1448 社 1448 社のうち 84% にあたる1214 社がルソン地方 ビサヤ地方セブ州は14% の201 社 ミンダナオ地方は2.2% の33 社 ( 出所 ) 外務省海外在留邦人数調査統計各年版より作成 パラワン州 2 社 ベンゲット州 1 社 パンガシナン州 1 社タルラック州 サンバレス 5 社州 31 社 バターン州 3 社 マニラ首都圏 577 社カビテ州 150 社 ラグナ州 199 社バタンガス州 53 社 東ミンドロ州 1 社 アクラン州 1 社 パンパンガ州 22 社 セブ州 149 社 リサール州 5 社 ブラカン州 9 社 ケソン州 2 社 南カマリネス州 1 社 レイテ州 1 社 北スリガオ州 2 社 北アグサン州 1 社 ( 出所 ) 在マニラ日本商工会議所 東ミサミス州 3 社 コタバト州 1 社 ( 出所 ) 在フィリピン日本大使館 2011 年 南ダバオ州 11 社 4
日系企業進出動向 2 様々な形態での進出が多いが 特に多いのは 輸出志向の製造業 (1) サプライヤー進出の兆し (2)IT-BPO 企業の進出 エプソン キヤノン 村田製作所 ブラザー工業 家具 住宅などの図面のコンピューター設計 11~13 年大手メーカーの進出や拡張投資が相次ぐ 1 次 2 次サプライヤーの進出検討が増加 オフショアソフトウェア開発 WEB 広告作成 インターネット英会話学校は競争激化 (3) 自動車メーカーの生産 販売体制の強化 (4) 消費市場を狙った進出 ファミリーマート ローソン トヨタ 三菱自動車 ユニクロ 日産自動車ホンダ 政府の自動車産業育成の補助金を申請する企 日本食レストランも急増中 業も 多くはフランチャイズによる進出 5
企業名 セイコーエプソン 日系企業進出 拡張事例 2011 年 ~( 電気機器 ) 時期 ( 発表ベース ) 2011 年 3 月 1 億 1,000 万ドル 投資額概要 プロジェクターおよびインクジェットプリンターの新工場を建設 2011 年 10 月稼動 東芝 2011 年 4 月 - 現地販売会社を設立 液晶テレビ ノートパソコン 白 物家電製品のマーケティング 販売 アフターサービス 村田製作所 2011 年 9 月 約 30 億円 スマホ向けチップ積層セラミックコンデンサの新工場を 建設 2013 年 1 月生産開始 ブラザー工業 2011 年 12 月 1,200 万ドル インクジェットプリンタと複合機の部品生産のための生産子会社を独資で設立 キヤノン 2012 年 1 月 180 億円 レーザープリンターおよび付属品 部品の製造のため の生産子会社を設立 2013 年 4 月の操業開始 泉州電業 2014 年 6 月 4,300 万 ペソ セイコーエプソン 2014 年 12 月約 123 億円 ファクトリーオートメーション向けの電線 ケーブルハーネスの加工 販売を行う生産販売子会社設立 インクジェットプリンターとプロジェクターの生産拡大に対応するための新工場を建設 2017 年春稼動予定 出所 各社発表 報道資料よりジェトロまとめ 6
企業名 日系企業進出 拡張事例 時期 ( 発表ベース ) スズキ 2011 年 3 月 16 億 6000 万円 2011 年 ~( 輸送機器 ) 投資額概要 現地子会社がカーメルレイ工業団地内に二輪車向け工場を新設 シマノ 2013 年 6 月 約 35 億円 自転車部品製造 新興国向けを中心に需要が伸びて いるのに対応し工場を新設 2015 年 1 月稼動 日産自動車 2013 年 12 月 10 億円 日産自動車 フィリピン日産自動車会社 (NMPI) ユニ バーサル モーターズ社 (UMC) と共同で 合弁販売会 社フィリピン日産社 (NPI) を設立 三菱自動車 2014 年 3 月 - ラグナ州にあったフォード工場跡地を取得し 現工場 から移転 2015 年 1 月から順次生産開始 カサイ製作所 2014 年 6 月 2 億 2,200 万ペソ 自動車向けスイッチの樹脂成形部品やワイヤーハーネスなどを生産する工場を建設 2015 年生産開始 西山製作所 2015 年 8 月 1 億ペソ 自動車部品メーカー向けの引抜鋼管加工を手掛ける 現地法人を設立 三菱自動車 2016 年 6 月 43 億円 自動車産業振興政策 (CARS) の承認を受け 対象車 種生産のため新プレス工場を建設 出所 各社発表 報道資料よりジェトロまとめ 7
企業名 ファーストリテイリング ファミリーマート NTT コミュニケーションス イオンファンタジー 日系企業進出 拡張事例 2011 年 ~( サービス産業 ) 時期 ( 発表ベース ) 投資額概要 2012 年 1 月 - SM Retail 社と合弁会社を設立 2012 年 6 月からフィリピ ン市場での出店を開始 2016 年 10 月現在 33 店舗 2012 年 6 月 6.3 億円 伊藤忠商事 SIAL CVS RETAILERS, INC.(Ayala & Rustan Group ) との合弁会社設立 2016 年 10 月現在 101 店舗 2013 年 2 月 - サービス提供体制強化のため 2012 年に資本提携を 行ったDTSIグループに同社のフィリピン事業を移管 2014 年 2 月 約 2 億円 ショッピングセンター内の子供向け遊戯施設 2014 年 11 月ケソン市のショッピングモールに1 号店オープン JTB 2014 年 12 月 1 億 8,000 万ペソ アウトバウンド及びインバウンド事業を行う子会社 TB Asia Pacific Phil. Corp. を設立 東横イン 2015 年 8 月 - セブ州マンダウエ市に 東横イン セブ を2017 年 2 月 開業予定 NTTデータ 2015 年 12 月 - オラクルやマイクロソフトなどのシステム販売 構築を 手掛けるウィザーズグループを買収 出所 各社発表 報道資料よりジェトロまとめ 8
フィリピンの新車販売台数の推移 ( 台 ) 350,000 300,000 250,000 200,000 150,000 100,000 88,075 97,063 99,541 117,903124,449 132,444 185,049 168,490166,496 212,682 270,312 323,210 50,000 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 ( 年 ) 出所 フィリピン自動車工業会 (CAMPI) 自動車輸入 流通業者連合 (AVID) 9
フィリピンの生産台数の推移 ( 台 ) 120,000 100,000 80,000 60,000 62,523 80,477 64,906 75,413 79,169 88,845 98,768 40,000 20,000 0 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 ( 年 ) 出所 ASEAN 自動車連盟 (AAF) 統計資料 10
包括的自動車振興戦略 (CARS) 2015 年 5 月 29 日 アキノ大統領は包括的自動車産業振興戦略 (Comprehensive Automotive Resurgence Strategy: CARS) プログラム ( 大統領令第 182 号 ) に署名 同年 12 月 19 日 貿易産業省は CARS の施行細則 (IRR) を 2016 年 1 月 3 日から実施することを発表 CARS 国内で新規に生産される四輪自動車 3 モデルを対象に 2016 年 ~ から 6 年間総額 270 億ペソを支援 (1 モデルあたり最大 90 億ペソ ) 支援を受けるためには 16 年間で 1 車種 20 万台の生産を行うこと 2 部品製造のための新規投資又は共用検査施設を設置 3 重量ベースで 50% 以上を国産化するなど 3 つの申請枠のうち 三菱モーターズ フィリピン (MMPC) が小型車 ミラージュ で トヨタ モーター フィリピン (TMP) が小型セダン ヴィオス で申請 それぞれ 2016 年 6 月及び 7 月に承認を受けた 残り 1 枠についてアヤラ コーポレーションが関心を示す 2015 年のフィリピンでの新車販売台数は前年比 19.6% 増の 32 万 3,210 台 生産台数は 9 万 9,000 台 11
日系企業からみた投資環境ビジネス上のメリット ( 単位 ) % 言語 コミュニケーション上の障害の少なさ 人件費の安さ 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 労働市場の魅力 ~ 日系企業の評価 ~ 従業員の雇いやすさ ( 一般ワーカー 一般スタッフ 事務員等 ) 市場規模 / 成長性 ( 法人税 輸出入関税など ) 税制面でのインセンティブ安定した政治 社会情勢駐在員の生活環境が優れている従業員の質の高さ ( 一般ワーカー ) 従業員の定着率の高さインフラの充実土地 / 事務所スペースが豊富 地価 / 賃料の安さ従業員の質の高さ ( 専門職 技術職 ) 従業員の雇いやすさ ( 専門職 技術職 中間管理職等 ) 従業員の質の高さ ( 中間管理職 ) 投資奨励制度の充実各種手続き等が迅速取引先 ( 納入先 ) 企業の集積裾野産業の集積 ( 現地調達が容易 ) 英語人材が豊富英語でのコミュニケーションが可能なため 技術移転が早い法律 公文書などは英語で公表 英語でビジネスが可能 人件費が安い人件費上昇が緩い最低賃金からの雇用が可能労働争議がほぼ皆無 ( 日系企業の場合 ) 労働者供給が十分一般ワーカーが雇いやすい 国民性 気質対日感情の良さ明るく楽観的ホスピタリティのある気質 ( 出所 ) ジェトロ 2015 年度アジア オセアニア進出日系企業実態調査 12
アジア各国との賃金 ( ワーカークラス ) 比較 基本給月額は安定して推移 日系製造企業におけるワーカークラス平均値 ) 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 2011 2012 2013 2014 2015 単位 : 米ドル フィリヒ ンイント ネシアタイヘ トナム中国イント ( 出所 ) ジェトロ 2015 年度アジア オセアニア進出日系企業実態調査 13
( 単位 ) % 日系企業からみた投資環境ビジネス上のリスク インフラの未整備 行政手続きの煩雑さ ( 許認可など ) 税制 税務手続きの煩雑さ 現地政府の不透明な政策運営 法制度の未整備 不透明な運用 不安定な政治 社会情勢 出資比率制限など外資規制 労働争議 訴訟 不安定な為替 人件費の高騰 ビザ 就労許可取得の困難さ 煩雑さ 関連産業集積の未成熟 未発展 労働力の不足 人材採用難 土地 / 事務所スペースの不足 地価 / 賃料の 取引リスク ( 代金回収リスク等 ) 知的財産権保護の欠如 消費者運動 排斥運動 ( 不買運動 市民の抗議等 ) その他 特に問題はない 0 10 20 30 40 50 60 70 80 インフラの未整備 行政手続きの煩雑さ 税制 税務手続の煩雑さ に集約 インフラの未整備政府の政策実行能力の低さも要因の一つ 具体的な課題としては 空港 港湾 道路など様々な分野で指摘される 中でもアジアで最も高い水準の電力料金が問題視されている 行政手続き 税務手続きの煩雑さ政策の急な変更や 新規制によりコストを負うことがある また 担当官により判断が変わることがあり要注意 例 1 右ハンドルの中古車が全面的に輸入禁止になるなどの変更例 2 マニラ港でのコンテナトラック渋滞緩和のため 利用を時間により有料化するなどの新規制を課すなどの変更 14 ( 出所 ) ジェトロ 2015 年度アジア オセアニア進出日系企業実態調査
ASEAN 主要国 中国 日本の人口ピラミッド (2015 年 ) フィリピンタイマレーシアインドネシア ベトナムシンガポール中国日本 出所 米国商務省国勢調査局 (U.S. Census Bureau, Department of Commerce) 2015 年 7 月 15
拡大する消費市場 夜間勤務の増加で 24h コンビニが人気 ラーメン とんかつなど日本食ブーム 開発が進むフォートボニファシオ オフィス街に多いカフェやコンビニ 休日にはモールに多くの人が集まる フィリピンはファストフードも人気 16
日系企業のフィリピン人の評価 1. 抜群の英語力 ( 世界中で有名 ) 2. 忍耐強く きつい仕事も粘り強くこなす 3. チームワークに優れ 周囲に素早く情報を共有する 4. 抜群のデザインセンス 5. 人の顔や名前をすぐ覚える 6. 高いもてなしの精神 7. 日本人に対して好印象 8. 家族を大事にする 9お年寄りを大事にする 10. 歌がうまい 11. 踊りがうまい 12. とにかく明るい 17
アキノ政権からドゥテルテ新政権へ アキノ政権 ~ 内政安定化策と経済成長から高い支持率を維持 ~ ドゥテルテ新政権 ~5 月に 8 つの基本政策を発表し 6 月に 2 項目追加 ~ 政策の重点ポイント 内政 ミンダナオ和平問題重要法案の可決汚職撲滅 汚職疑惑の追及 任期 : 2010 年 ~ 2016 年 ( 再選なし ) 外交 南シナ海の領有権問題 ; 国際司法裁判所へ 経済 対内投資の促進と雇用の拡大 : 投資額は歴代政権と比べ多い 歳出削減政策 政府債務内容が急速に改善徴税強化 PPP によるインフラ整備事業産業別ロードマップ ( 産業振興策 ) の策定 : 自動車産業振興 社会 貧困問題の解決基礎教育の年限延長台風被災地域の復興 政策の重点ポイント (1) 現行のマクロ経済政策の維持 (2) インフラ関連支出の加速 : 官民連携 (PPP) のボトルネックを解消し対 GDP 比 5% を目指す (3) 外資誘致と競争力強化のための憲法と法 律の見直し (4) 小規模農家支援による農業開発 (5) 土地管理制度の見直し (6) 基礎教育の強化 (7) 税制の見直し ( 効果的な徴税 ) (8) 貧困世帯に対する条件付き現金支給プログラム (CCT) の拡充 (9) 科学技術 芸術の振興 (10) リプロダクティブ ヘルス法の執行強化 6 月 30 日に 新政権発足 TPP 加入のためには 憲法改正が必要となる 18
新政権後の新たなビジネスチャンス / ビジネスの秘訣 人口増加と豊富な若年人口 安価な労働力を活用した労働集約型産業 消費意欲旺盛で市場としても魅力 規制緩和で日本側においての人材活用 明るいフィリピン人気質 ポジティブシンキング 未来志向 高いロイヤルティ 労働争議の少なさ 高い英語のコミュニケーション能力 フィリピンから ASEAN 域内や欧米向け市場を狙うなど フィリピンから世界へ 教育産業での活用 ドゥテルテ大統領の高いリーダーシップ力 インフラ事業 地方開発 活発化か 現地の治安について 日本と同水準とは言えないも 投資リスクではない 外国にいるという緊張感を持って生活すれば問題ない 19
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