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( 参考 ) と直近四半期末の資産構成割合について 乖離許容幅 資産構成割合 ( 平成 27(2015) 年 12 月末 ) 国内債券 35% ±10% 37.76% 国内株式 25% ±9% 23.35% 外国債券 15% ±4% 13.50% 外国株式 25% ±8% 22.82% 短期資産 -

貸借対照表 ( 平成 20 年 3 月 31 日 ) ( 厚生年金勘定 ) ( 単位 : 円 ) 科 目 金 額 資産の部 Ⅰ 流動資産 現金及び預金 11,313,520,485 有価証券 13,390,000,000 販売用不動産 93,938,423,482 未収金 389,813,000 未

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独立行政法人鉄道建設 運輸施設整備支援機構の特例業務勘定における利益剰余金につき 国庫納付が可能な資金の額を把握し 将来においても 余裕資金が生じていないか適時に検討することとするとともに これらの資金が国庫に納付されることとなるように適切な制度を整備するよう国土交通大臣に対して意見を表示したものについての報告書 ( 要旨 ) 平成 2 2 年 9 月 会計検査院

検査の背景及び実施状況 独立行政法人鉄道建設 運輸施設整備支援機構 ( 以下 機構 という ) の特例業務勘定には 多額の利益剰余金が計上されている 本院は この問題について 従来関心を持って検査に取り組んでおり 平成 19 年度決算検査報告に特定検査対象に関する検査状況として 国鉄清算業務に係る財務について を掲記し その後も引き続き検査を実施してきた 特例業務の概要 (1) 特例業務の経緯 ア 日本国有鉄道の分割民営化と長期債務等の処理の枠組み 日本国有鉄道 ( 以下 国鉄 という ) は 昭和 62 年 4 月に日本国有鉄道改革法 ( 昭和 61 年法律第 87 号 ) に基づき 旅客会社 6 社 貨物会社 1 社 ( 以下 これらを合わせて JR 各社 という ) 等に分割されて その際にJR 各社等に承継されない資産の処分及び債務等の処理に関する業務等は 日本国有鉄道清算事業団 ( 以下 清算事業団 という ) において行われることとなった これにより 清算事業団が 国鉄の長期借入金及び鉄道債券に係る債務等 ( 以下 長期債務 という ) の償還と国鉄の職員であった者等に係る共済年金追加費用等の将来費用 ( 以下 年金の給付に要する費用 という ) 計 25 兆 5251 億余円の支払を行うこととなった そして 日本国有鉄道清算事業団の債務の償還等に関する基本方針について ( 昭和 63 年 1 月 26 日閣議決定 ) によって 長期債務の償還等に当たっては 清算事業団に帰属した土地及びJR 各社の株式を処分するなどしてこれらに充てることとされて なお残る債務等については 最終的に国において処理するものとされた イ 長期債務等の増加とその本格的処理のための新たな枠組みの下での特例業務の開 始 清算事業団は上記の方針の下に資産の処分及び長期債務の償還等に当たったが 多額の金利負担が生ずるなどして 長期債務及び年金の給付に要する費用の残高は増加して 10 年 10 月の清算事業団解散時には28 兆 2963 億余円となった このような事態に対処するため 長期債務の処理の実現を図るべく 日本国有鉄 - 1 -

道清算事業団の債務等の処理に関する法律 ( 平成 10 年法律第 136 号 以下 処理法 という ) が制定されて これにより解散する清算事業団の資産は日本鉄道建設公団 ( 以下 公団 という ) が承継することとするとともに 公団が年金の給付に要する費用の支払等の業務を特例業務として行うこととなった そして 上記の清算事業団解散時の長期債務のうち24 兆 1628 億余円については 処理法の施行に伴い 国の一般会計が承継するなどされた ( 一般会計が承継した長期債務の21 年度末時点の残高は19 兆 5232 億余円 ) そして 長期債務のうち上記の 24 兆 1628 億余円を除いた246 億余円 及び年金の給付に要する費用のうちJR 各社等が負担する分を除く3 兆 9317 億余円については公団が負担することとなった ウ 独立行政法人鉄道建設 運輸施設整備支援機構の発足と同機構による特例業務の 実施その後 公団は 特殊法人改革に伴い15 年 10 月に解散して 機構となり 機構が特例業務を行っている 特例業務の主な内容は 年金の給付に要する費用等の支払を行うこと 及びその支払の資金に充てるために土地やJR 各社の株式等の資産処分を行うこと ( 以下 資産処分業務 という ) である 15 年 10 月の機構発足時においては 年金の給付に要する費用の支払に備えるため 共済年金追加費用等計 3 兆 9258 億余円等が引当金等として計上されており このほかに管理費等が毎年必要になるとされていた 一方 それらの支払のための財源としては 土地及びJR 各社の株式の売却収入 助成勘定長期貸付金の元利償還収入等のほか 国の一般会計からの国庫補助金を充てることとなっていた この国庫補助金は 10 年度から18 年度までの間に累計で5525 億円が交付され 当該各年度における費用の支払に充てられている (2) 特例業務勘定の概要機構は 特例業務に係る経理については 他の経理と区分して特例業務勘定を設けて整理している そして 共済年金追加費用 恩給負担金 業務災害補償費 土地等及び株式の処分に係る費用等の費用については 土地売却収入 JR 各社の株式売却収入 国庫補助金収入 助成勘定長期貸付金に係る元利償還等の収入をその支払財源とすることとしている 上記の費用のうち 共済年金追加費用については その将来の給付負担に備えるた - 2 -

めに共済年金追加費用引当金 ( 以下 年金引当金 という ) を計上していて これが特例業務勘定の負債のほとんどを占めている 同様に 恩給負担金 業務災害補償費等については 将来の給付負担に備えるためにそれぞれ恩給負担金引当金 業務災害補償費引当金等の引当金を計上している (3) 機構の積立金の処理特例業務勘定に関しては 独立行政法人通則法 ( 平成 11 年法律第 103 号 ) 第 44 条及び処理法第 27 条の規定により損益計算後の残余の全額を積立金として整理することとされており 国庫納付の規定はない (4) 平成 19 年度決算検査報告に掲記した概要本院は 特例業務勘定について 平成 19 年度決算検査報告に 特定検査対象に関する検査状況として 国鉄清算業務に係る財務について を掲記している この中で本院は 国庫の厳しい財政状況 これまで国の一般会計が多額の債務等を負担しているなどの状況及び現在多額の積立金を計上している状況にかんがみれば 年金の支払等を確実に行っていく上での不確定要素の状況を見極めつつ 長期収支見込みを作成して積立金の適正水準について検討して 仮にその結果残余が見込まれる場合には 当該残余の国庫納付が可能となるようにすることが肝要であり そのため 国土交通省及び機構において 特段の取組が必要とされるとしている 本院の検査結果 本院は 引き続き 有効性等の観点から 機構の特例業務勘定に国庫に納付することが可能な余裕資金はないかなどに着眼して 国土交通省及び機構において 同勘定の財務状況等について会計実地検査を実施した 検査したところ 特例業務勘定の財務状況については下記 (1) のとおりとなっており また 今後の傾向の予想を踏まえて特例業務に係る将来の収入及び支出についてその見込み及び物価変動等による影響の程度等を本院において検討した結果については下記 (2) のとおりとなった (1) 特例業務勘定の財務状況 ア 収入及び支出 15 年度 ( 機構が発足した 15 年 10 月 1 日から 16 年 3 月 31 日まで 以下同じ ) から 21 年 度までの 6 年 6 か月間の特例業務勘定の収入及び支出それぞれの合計額は 2 兆 9318 億余 - 3 -

円及び1 兆 7726 億余円で 収入が支出を1 兆 1591 億余円上回っている 17 年度から19 年度までは 土地等と株式の売却収入が大きかったため大幅な収入超過となったが 20 21 両年度は 資産売却が少なかったことなどのため それぞれ256 億余円及び65 億余円の支出超過となっている 今後は 助成勘定長期貸付金の元利償還金を主な収入として支出を賄っていくことになるが 22 23 両年度は 共済年金追加費用の額が助成勘定長期貸付金の元利償還金の額を上回ること 土地処分のための基盤整備工事に係る用地対策費の大規模な支出が予定されていることなどのため 支出超過になると見込まれる しかし その後は 基本的には助成勘定長期貸付金の元利償還金の額が共済年金追加費用の額を上回るようになること 土地処分の進行に伴い基盤整備工事が減少することなどのため 収入超過の傾向に転ずると見込まれる イ 損益 15 年度から21 年度までの6 年 6か月間における特例業務勘定の収益及び費用それぞれの合計額は3 兆 4186 億余円及び1 兆 6437 億余円で 各年度とも収益が費用を上回り 当期純利益を計上している 今後は 助成勘定長期貸付金に係る利息収入を主とする財務収益を主たる収益として共済関係業務費その他の費用を賄っていくことになるが 20 年度には 処分用資産売却収入の減少に加えて 年金引当金に係る基礎率の見直し等により多額の費用が発生したにもかかわらず 財務収益が費用を上回って当期純利益が生じており 21 年度には 基礎率の見直し等が行われなかったことから 20 年度を上回る当期純利益が生じている このように 共済関係業務費の更に著しい増加や多額の臨時損失の発生等がなければ 今後も 当期純利益が生ずる傾向が続くことが見込まれる ウ 資産 負債等 15 年度末から21 年度末までの資産 負債等の推移は 資産は15 年度末の3 兆 6793 億余円から21 年度末の3 兆 3810 億余円へ2983 億余円減少したが 負債も共済年金追加費用の支払が進んだことなどにより3 兆 8942 億余円から1 兆 9275 億余円へと1 兆 9654 億余円減少している そして 15 年度末には2419 億余円の繰越欠損金を計上していたが 16 年度から21 年度までの当期純利益の合計額が1 兆 6953 億余円となったことから 繰越欠損金を解消して利益剰余金が大幅に増加しており 利益剰余金の額は21 年度末現在 1 兆 4534 億余円となっている - 4 -

(2) 特例業務に係る将来の収入及び支出 ( 本院による試算 ) 本院は 将来の支出及びその財源となる収入について その見込み及び物価変動等による影響等の検討を行った 物価変動による影響については 共済年金追加費用等の支払に関して現役世代がおらず保険料収入が見込めない中で確実かつ円滑に業務を実施していく必要があることなどから 物価上昇のリスクも十分に考慮して 基準とする物価上昇率を 機構が年金引当金の算出に使用している過去の平均値である年 2.4% とした ( なお 22 年度については0.0% とした また 物価変動による影響の程度を検証するため 物価上昇率を上下それぞれ1ポイントずつ増減させた平均年 3.4% 及び1.4% の場合についても試算した ) ア 将来の支出 ( ア ) 年金費用等 a 共済年金追加費用 21 年度末における年金引当金の額は1 兆 8555 億余円である 特例業務勘定に計上されている年金引当金の額は 物価の上昇等を見込み 年金数理上適当と思われる基礎率等に基づき算出されているものであるが 年金受給者の余命が過去の実績に比べて伸びた場合等には 上記の引当ての範囲を超える支出が発生する可能性がある 21 年度末における年金引当金の算出に用いられているデータを基に 平均余命の一定の伸びを見込んで試算すると 現在計上されている年金引当金の算出においては 物価上昇による基準スライド率 ( マクロ経済スライド等による調整を行う前の毎年度の年金の改定に係るスライド率 ) を2.4% と想定するなどして 共済年金追加費用の名目支払見込総額は約 2 兆 0087 億円とされているのに対して 試算による共済年金追加費用の名目支払見込総額は約 2 兆 1763 億円となり 計算上 約 1675 億円増大することになる ( 基準スライド率 3.4% の場合は約 2 兆 3175 億円 1.4% の場合は約 2 兆 0508 億円となり それぞれ 現在の想定に対して約 3087 億円及び約 420 億円増大 ) b 恩給負担金 恩給負担金引当金の算出に用いられているデータを基に 平均余命の一定の 伸びを見込んだ上で 共済年金追加費用のスライド率に準じて試算すると 現 - 5 -

在計上されている引当金の算出において恩給負担金の名目支払見込総額は約 10 1 億円とされているのに対して 基準スライド率 2.4% を用いるなどして試算した場合は約 111 億円となり 約 9 億円増大することになる ( 基準スライド率 3. 4% の場合は約 117 億円 1.4% の場合は約 107 億円となり それぞれ 現在の想定に対して約 15 億円及び約 5 億円増大 ) c 業務災害補償費 同様に 業務災害補償費について試算すると 現在計上されている引当金の算出において業務災害補償費の名目支払見込総額は約 347 億円とされているのに対して 基準スライド率 2.4% を用いるなどして試算した場合は約 381 億円となり 約 34 億円増大することになる ( 基準スライド率 3.4% の場合は約 400 億円 1.4% の場合は約 368 億円となり それぞれ 現在の想定に対して約 53 億円及び約 21 億円増大 ) ( イ ) 用地対策費等資産処分業務には 株式の処分と土地等の処分がある このうち株式の処分については 今後 北海道 四国 九州各旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社 ( 以下 これらを JR4 社 という ) の株式を処分していくこととなるが JR4 社の経営状況は厳しく 当面 処分のめどは立っていない 資産処分業務の業務量は 今後 土地処分の終了等に伴い減少すると見込まれ 用地対策費は 土地の処分がほぼ終了するとされている25 年度より後の年度には原則として発生しなくなることが見込まれる また 株式対策費については 株式の売却のない年度についてはほとんど支出を要していない これらのことから 一定の仮定を置いて 物価上昇率を平均年 2.4% として試算すると 22 年度以降の用地対策費等の名目支出見込総額は約 716 億円 (3.4% の場合で約 726 億円 1.4% の場合で約 708 億円 ) となる ( ウ ) 一般管理費等特例業務に係る一般管理費等は 特例業務に従事する職員の減少 業務の効率化等により減少傾向にあることなどから 一定の仮定を置いて 物価上昇率を平均年 2.4% として試算すると 22 年度以降の一般管理費等の名目支出見込総額は約 438 億円 (3.4% の場合で約 531 億円 1.4% の場合で約 368 億円 ) となる ( エ ) 偶発債務 - 6 -

機構は JR 各社等が承継しなかった国鉄の一切の権利義務を承継していることから 上記の支出のほかにも 国鉄時代に起因して JR 不採用問題に係る解決金 石綿健康被害補償費 土壌汚染処理費等の様々な支出が発生する可能性があるとしている これらのうち JR 不採用問題に係る解決金等については 21 年度決算において引当金が計上されているものの 依然 偶発債務とされているものは多く残っており これらについて一定の条件を仮定した上で 物価上昇率を平均年 2.4% として試算すると 22 年度から74 年度までの名目支出見込総額は 上記の解決金を含めて約 2316 億円 (3.4% の場合で約 2651 億円 1.4% の場合で約 2075 億円 ) となる ( オ ) 将来の支出の総額上記により 将来の支出の総額は 物価上昇率を平均年 2.4% として試算すると 約 2 兆 5728 億円 (3.4% の場合で約 2 兆 7601 億円 1.4% の場合で約 2 兆 4137 億円 ) となる イ 将来の収入 ( ア ) 処分用土地等の売却収入処分用土地等の売却収入の見込みについて 機構が現在想定している売却価格等を基に試算すると 25 年度までの総額で約 943 億円となる ( イ ) 処分用株式の売却収入 JR4 社に係る処分用株式については 当面処分のめどは立っておらず 確実な収入として見込むことは困難な状況である ( ウ ) 助成勘定長期貸付金等の償還による収入助成勘定長期貸付金の元利償還による収入は 22 年度から63 年度までの総額で 3 兆 2328 億余円の予定である また JR4 社に対する無利子貸付金は計 1000 億円で 25 年度から36 年度まで償還が続く予定である ( エ ) 投資有価証券の運用収入投資有価証券の運用収入については 支出等の試算に基づき各年度における運用資産額を想定し 少なくとも実質長期金利がマイナスとならない程度の利回りとなるなどと仮定した上で 物価上昇率を平均年 2.4% として試算すると 総額約 3 兆 9248 億円 (3.4% の場合で約 6 兆 6341 億円 1.4% の場合で約 1 兆 9638 億円 ) とな - 7 -

る ( オ ) 将来の収入の総額上記により 将来の収入の総額は 物価上昇率を平均年 2.4% として試算すると 約 7 兆 3520 億円 (3.4% の場合で約 10 兆 0612 億円 1.4% の場合で約 5 兆 3910 億円 ) となる ウ 長期収支見込み 上記の将来の支出及び収入の試算に基づき 物価上昇率を平均年 2.4% として長期 収支見込み及び各年度における収支差を試算すると 図 1 のとおりである 図 1 長期収支見込み ( 本院の試算 ) すなわち 22 年度から年金の支払が完了し特例業務が終了すると見込まれている 74 年度までの収支をみると 支出の総額が約 2 兆 5728 億円となるのに対し 収入の額は 助成勘定長期貸付金の元利償還金収入だけで約 3 兆 2328 億円となることから 期間全体としては 21 年度末の利益剰余金 1 兆 4534 億余円を充当しなくても 特例業務の確実かつ円滑な実施に十分な財源が確保されることになると認められる 一方 単年度ごとの収支をみると 23 年度までは支出超過が見込まれ その後は 29 年度を除き収入超過が見込まれることから 資金繰りに問題を生じさせないよう現在保有している資産を取り崩して補てんすることで対応することとした場合 どの程度の積立金が必要であるかを検討すると 2500 億円程度を留保しておけば十分であると考えられ 21 年度末の利益剰余金 1 兆 4534 億余円はこの額よりも約 1 兆 2000-8 -

億円大きくなっていて これに相当する額の余裕資金が生じていると認められる そして この約 1 兆 2000 億円に相当する資産に係る運用収入を見込まないこととして 長期収支見込みを改めて試算すると 図 2のとおりとなる 図 2 運用資産の額から約 1 兆 2000 億円を除いた場合の長期収支見込み ( 本院の試算 ) このように 21 年度末の利益剰余金の額のうち 当面の資金繰りなどのために必要となる可能性がある2500 億円程度を留保し 残りの約 1 兆 2000 億円に相当する資産は国庫に納付することとしても 年金の給付に要する費用等の支払に必要な資金が不足することはなく 将来の特例業務の確実かつ円滑な実施に支障を生ずることはないと認められる ( なお 物価上昇率を平均年 3.4% 又は1.4% として試算しても同様であった ) また 24 年度以降については基本的に収入超過になることが見込まれ 将来 余裕資金も再度累積していくことが予想される さらに この試算は 支出についてリスクを相当程度見込んでおり また 収入についても保守的に見込んでいることから リスク等をそれほど見込まない場合には余裕資金の額はこの試算より大きいものとなる (3) 改善を必要とする事態共済年金追加費用の増大や偶発債務の発生等のリスクを相当程度見込むなどして必要な積立金の水準を試算したとしても 現在の利益剰余金の規模は過大となっていて余裕資金が生じていると認められる状況であるにもかかわらず 当該資金について国 - 9 -

庫に納付することができないこととなっている事態は 資金の有効活用の面から適切とは認められず 改善の要があると認められる (4) 発生原因このような事態が生じているのは 国土交通省及び機構において 特例業務勘定における余裕資金の有効活用について検討が十分でなかったことなどによると認められる 本院が表示する意見 上記のように 本院の試算によれば 現在 リスクを相当程度見込むなどしてもなお多額の余裕資金が生じており また 将来においても生ずることが予想される そして 国の財政状況が一層厳しくなっていること これまでに国鉄債務処理のために国の一般会計は24 兆 0166 億余円もの巨額の債務を承継して現在もその償還を続けていること さらに 一般会計による債務の承継後も 機構は 一般会計から計 5525 億円と多額の国庫補助金の交付を受けていることにかんがみれば 特例業務が終了すると見込まれる74 年度を待つことなく 特例業務勘定における余裕資金を国庫に納付することを可能にして 資金の有効活用を図ることが必要であると認められる ついては 国土交通省において 機構と共に 国庫納付が可能な資金の額を速やかに把握し 将来においても 特例業務の終了を待つことなく 余裕資金が生じていないか適時に検討することとするとともに これらの資金が国庫に納付されることとなるように適切な制度を整備するよう意見を表示する - 10 -