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資料4-3 デジタル教科書関係資料

各教科 道徳科 外国語活動 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする 各教科 道徳科 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする

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1. 実現を目指すサービスのイメージ 高齢者や障害者 ベビーカー利用者など 誰もがストレス無く自由に活動できるユニバーサル社会の構築のため あらゆる人々が自由にかつ自立的に移動できる環境の整備が必要 ICT を活用した歩行者移動支援サービスでは 個人の身体状況やニーズに応じて移動を支援する様々な情報

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資料3「デジタル教科書」の現状と課題

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第5回 国際的動向を踏まえたオープンサイエンスの推進に関する検討会 資料1-1

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17 石川県 事業計画書

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独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 National Institute of Special Needs Education 資料 3-4 特別支援教育における ICT 活用についての情報提供ー現状及び NISE の活動を踏まえてー 平成 30 年 1 月 11 日 ( 木 ) 於 : 第 3

必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

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が実現することにより 利用希望者は認証連携でひもづけられた無料 Wi-Fi スポットについて複数回の利用登録手続が不要となり 利用者の負担軽減と利便性の向上が図られる 出典 : ICT 懇談会幹事会 ( 第 4 回 )( 平成 27(2015) 年 4 月 24 日 ) 2. 現状 日本政府観光局

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資料5 親の会が主体となって構築した発達障害児のための教材・教具データベース

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下の図は 平成 25 年 8 月 28 日の社会保障審議会介護保険部会資料であるが 平成 27 年度以降 在宅医療連携拠点事業は 介護保険法の中での恒久的な制度として位置づけられる計画である 在宅医療 介護の連携推進についてのイメージでは 介護の中心的機関である地域包括支援センターと医療サイドから医

平成27年度公立小・中学校における教育課程の編成実施状況調査結果について

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【資料3-2-6】論点に関する参考資料

第 1 章総則第 1 教育課程編成の一般方針 1( 前略 ) 学校の教育活動を進めるに当たっては 各学校において 児童に生きる力をはぐくむことを目指し 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で 基礎的 基本的な知識及び技能を確実に習得させ これらを活用して課題を解決するために必要な思考力 判

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このため 引き続き 現図書館システムによるサービス提供を実施していきます 2.DAISY 資料 (1) 概要 DAISY 資料 は Digital Accessible Information System ( 誰でも使える情報システム ) の略称で デジタル録音された 音声による図書資料です こう

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

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「公立小・中・高等学校における土曜日の教育活動実施予定状況調査」調査結果

教育調査 ( 教職員用 ) 1 教育計画の作成にあたって 教職員でよく話し合っていますか 度数 相対度数 (%) 累積度数累積相対度数 (%) はい どちらかといえばはい どちらかといえばいいえ いいえ 0

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はじめに 我が国においては 障害者の権利に関する条約 を踏まえ 誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い 人々の多様な在り方を相互に認め合える 共生社会 を目指し 障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶ仕組みである インクルーシブ教育システム の理念のもと 特別支援教育を推進していく必要があります

< 委託業務説明書 > 1 平成 20 年度事業実施において明らかとなった課題当初企画 予定していたとおり市民に使用しやすく 親しみが持て かつ利用価値が高い食育推進に資するポータルサイトの構築に努めてきた 食育情報の発信については 簡単に行うことができるようブログを活用した情報発信の仕組みの構築を

平成 24 年度職場体験 インターンシップ実施状況等調査 ( 平成 25 年 3 月現在 ) 国立教育政策研究所生徒指導 進路指導研究センター Ⅰ 公立中学校における職場体験の実施状況等調査 ( 集計結果 ) ( ) は 23 年度の数値 1 職場体験の実施状況について ( 平成 24 年度調査時点

1. はじめに特定非営利活動法人日本医療ネットワーク協会 ( 以下 JMNA と記す ) では 国立研究開発法人日本医療研究開発機構より 平成 27 年度臨床研究等 ICT 基盤構築研究事業 全国共同利用型国際標準化健康 医療情報の収集及び利活用に関する研究 を受託しました 本研究を遂行するにあたり

2 取組の進ちょく状況 取組一覧 1 蔵書の分析と補強 P3 2 新たな収集方法の検討 P4 3 地域情報の収集方法の検討 P5 4 電子書籍などの新しい情報媒体の検討 P6 5 資料管理の課題解決 P7 取組の評価について 凡例 評価内容 A 優れた取組があり を大きく上回る成果をあげている B

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(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

社会系(地理歴史)カリキュラム デザイン論発表

英語教育改善プラン

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1 日本再興戦略 2016 改革 2020 隊列走行の実現 隊列走行活用事業モデルの明確化ニーズの明確化 ( 実施場所 事業性等 ) 技術開発 実証 制度 事業環境検討プロジェクト工程表技高齢者等の移動手段の確保 ( ラストワンマイル自動走行 ) 事業モデルの明確化 ( 実施主体 場所 事業性等 )

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茨城県における 通級による指導 と 特別支援学級 の現状と課題 IbarakiChristianUniversityLibrary ~ 文部科学省 特別支援教育に関する調査の結果 特別支援教育資料 に基づいて茨城キリスト教大学紀要第 52 ~号社会科学 p.145~ 茨城県における 通

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2018 年度事業計画書 Ⅰ 基本方針 1. 健康関連分野を取り巻く環境と直近の動向 健康医療分野が政府の日本再興戦略の重点分野に位置づけられ 健康 医療戦略が策定されるなど 予防や健康管理 生活支援サービスの充実 医療 介護技術の進化などにより 成長分野としてマーケットは大きく拡大することが期待さ

ICTを軸にした小中連携

学生確保の見通し及び申請者としての取組状況

Transcription:

Ⅰ. 研究の背景 2011 年 4 月, 文部科学省は今後の教育における ICT 活用の指針を示した 教育の情報化ビジョン を公表した その中ではデジタル教科書 教材等を活用した実証実験を通じて特別支援教育を更に発展させることに期待を寄せている このような状況を踏まえ, 中野ら (2013) は携帯端末として最も普及している ipad に PDF ファイル化した教科書デジタルデータを取り込み, その有効性を探るために特別支援学校 ( 視覚障害 ) の高等部における実証実験を始めている また, 国立特別支援教育総合研究所視覚障害教育研究班が平成 24 ~ 25 年度に実施した専門研究においては,iPad に代表される携帯端末の活用を積極的に行っている先進校の取組を実践事例として取りまとめている (2014) これらの取組は拡大教科書から, 今後その導入が期待されるデジタル教科書の活用へと繋がる過渡期の実践と捉えられると同時に, *1 Alternative Text という視点からも非常に意義深い取組と考えられる しかしながら, 教科書デジタルデータの活用に関して, 現状においてはその管理や実際の活用方法, 著作権に関する利用者のモラル等, 解決しなければならない課題があることも指摘されている ( 中野ら,2014) *1 Alternative Text: 代替テキストという原意から, デジタル教科書 教材等のコンテンツからテキスト等データを抜き出し, 当該児童生徒が利用できるフォーマットに加工する仕組み, 考え方 Ⅱ. 研究の目的と意義 1. 研究の目的本研究では, 上述した背景を踏まえ視覚障害教育における教科書デジタルデータの活用について, 先進的な取組を行っている諸外国の状況を調査し, その現状と課題を明らかにするとともに, 我が国における在り方を提案することを目的として実施する また, 弱視児童生徒が教科書デジタルデータを活用する際に必要な閲覧用ビューアに関し, ハードウェアの仕様や具備すべき機能や配慮点を明らかにする さらに, 今後導入されることが予想される点字使用の児童生徒用デジタル教科書について, その在り方を提案する 2. 研究期間内に明らかにすること研究期間内に明らかにする事項は以下の3 点である (1) 教科書デジタルデータの活用に関し, 関連する 障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律 ( 以降, 教科書バリアフリー法 とする ) の成立の経緯と運用上の課題を整理するとともに, 我が国における教科書デジタルデータの活用にかか 1

る課題を整理する (2) 教科書デジタルデータの活用に関して先進的な取組を行っている諸外国の状況について, 文献,Web 情報, 実地調査により, 現状を把握して整理する (3) 上記の調査結果を踏まえ, 以下の提案を行う 1 我が国における教科書デジタルデータの活用及び管理等に関する望ましい在り方 2 弱視児童生徒が使いやすい教科書デジタルデータ閲覧用ビューアの仕様と具備すべき機能 3 今後, その導入が期待されるデジタル教科書に関して, 点字使用の児童生徒用デジタル教科書が具備すべき機能 3. 本研究の教育現場におけるニーズと意義及び教育現場に還元できること文部科学省が示した新たな情報通信技術戦略工程表によると 2020 年には児童生徒用のデジタル教科書が導入される予定となっている そして, 前述したようにその過渡期として携帯端末等のビューアを介して教科書デジタルデータを活用することが想定される このことを踏まえると, 本研究によって教科書デジタルデータの取り扱いや活用に関する課題を整理し, その在り方を提案することは, 特別支援学校 ( 視覚障害 ) 等において適切かつ効果的に教科書デジタルデータを活用することに資すると考える 4. 国内外の研究動向を踏まえた本研究の独創性と特色視覚障害教育研究班では平成 20 年度 21 年度に 視覚障害のある児童生徒の教科指導の質の向上に関する研究 に取り組んだ (2012) 当該研究では, アメリカ合衆国における教科書デジタルデータ管理機関である NIMAC( 全国教材アクセスセンター ) を訪問し, 利用者の求めに応じて教科書発行者から提供される教科書デジタルデータの管理と運用について, その現状を把握した また, 同様にケンタッキー州における教科書デジタルデータ管理機関である KAMD( ケンタッキー州アクセシブル教材データベース ) における教科書デジタルデータの管理及び学校現場に対する提供サービス等に関して, その概要を整理している 本研究では, この KAMD におけるサービスの提供先である視覚障害のある児童生徒が在籍している小中学校を訪問して,KAMD から提供されている教科書デジタルデータが学校現場においてどのように活用され, どのように管理されているのか等, また, 拡大教科書に加えて, 教科書デジタルデータがどのようなハードウェアにより閲覧されているか, そのような機能が備えられているかについて実地に調査を行うことにより, その現状と課題を明らかにして, 我が国における在り方に資する提案を行う また, *2 BookShare が実施している教科書に掲載されている点字化できない写真や図表等に, 点字使用の児童生徒に対する情報保障として説明文を付加する活動について, その状況を実地調査により明らかにする BookShare におけるこのような取組は, 今後の点字使用の児童生徒用デジタル教科書のコンテンツの在り方等に重要な示唆を与えると共に, 弱視や発達障害のある児童生徒にとっても非常に有益な活動と考えられることから, 訪問調査の意義は極めて大きいと考える *2 BookShare:2002 年に米国のシリコンバレーに設立されたプリントディスアビリティ ( 印 2

刷物障害 ) に対応したオンラインによる非営利団体のデジタル図書館 2015 年現在, 教科書を含め, 約 32 万 1,000 タイトルのデジタルデータが収蔵されている 5. 国の政策における本研究の意義教科書デジタルデータの活用に関しては, 先進的な取組を行っている諸外国の状況を整理することにより, 我が国における課題の解決策を提案することができ, 学校現場における教科書デジタルデータの円滑な活用に資することができる また, 弱視児童生徒がビューアを用いて教科書デジタルデータを活用する際に, ビューアに搭載するハードウェアや弱視児童生徒の見え方に応じた機能の規格を提案することにより, 特別支援学校 ( 視覚障害 ) 等における円滑な活用に資することができる さらに, 今後その導入が期待されるデジタル教科書に関し, 点字使用の児童生徒用デジタル教科書の開発に際し, 具体的な指針を示すことができる Ⅲ. 研究の方法 1. 研究方法の概要本研究では教科書デジタルデータの活用とその関連事項に関して,1 我が国における現状と課題について整理する,2 教科書デジタルデータの活用に関して先進的な取組を行っている韓国, アメリカ合衆国, フランス, について, 文献,Web 情報, 実地調査により, その現状を把握する, 3 弱視児童生徒が教科書デジタルデータを活用するための閲覧用ビューアについて, その機能や規格を検討する,4 点字使用の児童生徒用デジタル教科書の在り方について検討する, の4 点について研究を遂行する このうち2については, 実地調査により情報収集する国 ( 韓国, アメリカ合衆国 ) と Web 文献等により情報収集する国 ( フランス ) ごとにグループを編成して対応する また,3 と4については平成 27 年度に ICT の活用に積極的に取り組んでいる特別支援学校 ( 視覚障害 ) の教員を所外研究協力者として公募するとともに, 関係する分野の専門家にも協力を仰ぎながら研究を推進する 研究の遂行に当たっては, 所内研究分担者と所外研究協力者, 研究協力機関から成るメーリングリストを構築して, 逐次, 関係する情報の共有化と情報交換を行うとともに, 研究協議会を開催して検討を行うこととする 2. 研究組織 (1) 平成 26 年度 1 所内組織研究代表者研究分担者 田中良広澤田真弓 3

研究分担者金子健研究分担者土井幸輝研究分担者棟方哲弥研究分担者大内進 2 所外研究協力者高野勉 ( 東京書籍株式会社 ) (2) 平成 27 年度 1 所内組織研究代表者田中良広研究分担者澤田真弓研究分担者金子健研究分担者土井幸輝研究分担者棟方哲弥研究分担者金森克浩 2 所外研究協力者檜森誠一 ( 北海道札幌視覚支援学校 ) 松島賢知 ( 東京都立葛飾盲学校 ) 宮崎善郎 ( 筑波大学附属視覚特別支援学校 ) 山本一寿 ( 大阪府立視覚支援学校 ) 小杉企史 ( 徳島県立徳島視覚支援学校 ) 赤嶺荘士 ( 沖縄県立沖縄盲学校 ) 石橋穂隆 ( 株式会社 ACCESS) 白石幸雄 ( ケージーエス株式会社 ) 藤森洋充 ( シナノケンシ株式会社 ) 岡山将也 ( 株式会社日立コンサルティング ) 3 研究協力機関東京書籍株式会社 ( 高野勉, 長谷部直人 ) 4

Ⅳ. 研究活動の経過 1. 平成 26 年度 4 月 : 我が国における教科書デジタルデータの活用に関する現状と課題の整理 5 月 : 韓国における実地調査の準備 ( 韓国国立特殊教育院との連携 ) 6 月 : 韓国における実地調査 7 月 : 韓国における実地調査結果の整理 ( テープ起こし等 ) 8 月 : 9 月 : 日本特殊教育学会における発表 10 月 : アメリカ合衆国における実地調査の準備 11 月 : 中間報告書作成のための資料整理 12 月 :KGS( 点字機器メーカー ) を招いての学習会 1 月 : 東京書籍 ACCESS( 閲覧用ビューア開発者 ) を招いての学習会 2 月 : 中間報告書の執筆と提出, アメリカ合衆国における実地調査 ( 予定 ) 3 月 :CSUN における情報収集 (ICT AT 班の研究の一環として参加予定 ) 2. 平成 27 年度 4 月 : アメリカ合衆国における実地調査 5 月 : アメリカ合衆国における実地調査結果の整理 ( テープ起こし等 ), 所内報告会 6 月 : 第 1 回研究協議会 7 月 : 所内研究分担者と所外研究協力者から成るメーリングリストの立ち上げ所外研究協力者である特別支援学校 ( 視覚障害 ) 教員 6 名によるデジタル教科書閲覧用ビューアの評価 (~11 月中旬 ) 8 月 : 9 月 : 日本特殊教育学会における発表 10 月 : 点字使用の児童生徒用デジタル教科書の在り方にかかる視点の検討 11 月 : 第 2 回研究協議会 12 月 : 関係資料の和訳, 研究協議会のテープ起こし等 1 月 : 最終報告書の執筆 2 月 : 最終報告書の提出, 所内評価と修正等 3 月 : 最終報告書の校正と校了 5