第 3 章ごみ処理方式の検討 第 1 節可燃ごみ処理方式の検討 1. 横須賀市新ごみ処理施設整備検討委員会の提言広域化基本計画に基づく新たな可燃ごみ処理施設の整備にあたり 適切な施設の整備に資するため設置した委員会において可燃ごみ処理施設の方向性としては 運営方式を民間活用とする場合には処理方式の絞

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ツールへのデータ入力前にすべきこと 一般廃棄物処理に係るフロー図を作成 < 収集 : 直営 > < 直接搬入 > 粗大ごみ **t <A 破砕施設 : 直営 > <D 最終処分場 > 粗大ごみ **t 粗大ごみ **t 粗大ごみ **t 燃やすごみ **t アルミ缶 **t スチール缶 **t びん

ごみ焼却施設の用地設定

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目 次 1 計画策定の意義 1 2 基本的方向 2 3 計画期間 2 4 対象品目 各年度における容器包装廃棄物の排出量の見込み 4 6 容器包装廃棄物の排出の抑制の促進するための方策に 関する事項 5 7 分別収集をするものとした容器包装廃棄物の種類及び当該容器 包装廃棄物の収集に係る

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1 経過及び趣旨平成 20 年 3 月に策定された 湘南東ブロックごみ処理広域化実施計画 の基本方針として リサイクル推進型 +バイオガス利用 ( 残渣焼却 ) 最終処分場負荷軽減型 のごみ処理システムの構築があり バイオガス化施設導入の調査 検討を進めてきました バイオガス化施設導入の検証にあたっ

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目 次 1. 処理対象物 分別 処理フロー 1 ( 1 ) 処理対象物 分別 1 ( 2 ) ごみ処理施設の処理対象物と処理フロー 2 ( 3 ) ごみ焼却施設 2 ( 4 ) リサイクルセンター 3 2. 施設規模 ( 計画処理量 ) 4 ( 1 ) ごみ焼却施設 4 ( 2 ) リサイクルセンタ

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ここでいう収集区分は 次のものをいう ( 以下 同様 ) 混合ごみ : 可燃または不燃を問わずに収集されるもの可燃ごみ : 焼却施設にて中間処理することを主に目的として収集されるもの不燃ごみ : 焼却施設以外の中間処理施設にて処理する または最終処分することを目的として収集されるもの資源ごみ : 再

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-20% 減量をめざして - (2) 年齢構成 年齢は 40~49 歳が最も多いですが 世代間の割合に大きな差はありま せん 図 2-5 年齢構成 60~69 歳 11.1% 50~59 歳 11.7% 70 歳以上 ~ 14.5% 40~49 歳 17.6% 0~9 歳 9.0% 10~19 歳

目 次 Ⅰ 平成 28 年度事業計画 ( 総括 ) 1 基本方針 1 2 重点項目 1 Ⅱ 事業計画 1 調査啓発事業 2 2 不燃用プリペイド袋リサイクル事業 4 3 資源化事業 剪定枝等処理事業 びん 缶 ペットボトル選別事業 施設管理受託事業 7 (1) ご

目 次 はじめに 第 1 章ごみ処理の現状と課題 ごみ処理の現状

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第 3 章ごみ処理方式の検討 第 1 節可燃ごみ処理方式の検討 1. 横須賀市新ごみ処理施設整備検討委員会の提言広域化基本計画に基づく新たな可燃ごみ処理施設の整備にあたり 適切な施設の整備に資するため設置した委員会において可燃ごみ処理施設の方向性としては 運営方式を民間活用とする場合には処理方式の絞り込みを行わないこととし 直営方式とする場合には 運転管理の高度さや自前によるスラグの有効利用の困難性から溶融方式を採用しないことが適切であると結論付けた その上で直営方式採用時の焼却方式については ストーカ式 流動床式とも採用可能と提言している 2. 焼却施設の処理方式近年 可燃ごみの処理方式は 焼却方式 溶融方式が一般に採用されている ここでは 前項より本市において採用可能としている処理方式を運営方式別に整理し 図 3-1-1 に示す - 24 -

直営方式 焼却方式 ストーカ式 流動床式 市が焼却灰の処分委託を する 焼却方式 ストーカ式 流動床式 事業者が焼却灰処分先を 確保する ストーカ式 + 灰溶融炉 民間活用 溶融方式 流動床式シャフト式流動床式 + 灰溶融炉 事業者がスラグ化し 処分先を確保する キルン式 ガス化改質式 図 3-1-1 運営方式別の可燃ごみの処理方式 - 25 -

3. 可燃ごみ処理方式の概要 (1) 焼却方式焼却方式は 運営方式を直営方式とする場合 民間活用とする場合 いずれにおいても採用の可能性があり その概要を以下に示す 1 ストーカ式焼却炉ストーカ ( 火格子 ) 上に投入したごみを乾燥 燃焼 後燃焼工程に順次移送し 燃焼させる方式である 実績が極めて多く 技術的信頼性が確立している 図 3-1-2 ストーカ式焼却炉の例 2 流動床式焼却炉熱せられた流動砂層に一定量のごみを投入して 乾燥 燃焼 後燃焼をほぼ瞬間的に行う方式である 過去にかなりの数が採用された方式であるが 近年の採用例は少ない ただし 汚泥焼却においては多く採用されている - 26 -

図 3-1-3 流動床式焼却炉の例 (2) 溶融方式溶融方式は 運営方式を民間活用とする場合においてのみ採用の可能性があり その概要を以下に示す 1 焼却方式 + 灰溶融炉焼却炉 ( ストーカ式または流動床式 ) に灰溶融炉を付帯したシステムである 灰溶融炉は電気式と燃料式に大別される 図 3-1-4 灰溶融炉の例 左 : 電気 ( フ ラス マ ) 式溶融炉 右 : 燃料式 ( 回転式表面 ) 溶融炉 - 27 -

2 シャフト式ガス化溶融炉 ( 直接溶融炉 ) ごみをシャフト炉により 乾燥 燃焼 溶融までのワンプロセスでガス化溶融を行 う方式である 実績が多く 近年においても採用例が比較的多い 図 3-1-5 シャフト式ガス化溶融炉の例 3 流動床式ガス化溶融炉 ごみを流動床式の熱分解炉においてガス化させ 溶融炉 ( 二次燃焼室含む ) で溶融 させる方式である 近年においては採用例が比較的多い 図 3-1-6 流動床式ガス化溶融炉の例 - 28 -

4 キルン式ガス化溶融炉ごみをロータリーキルン内でガス化させ 溶融炉 ( 二次燃焼室含む ) で溶融させる方式である 当該技術を保有するメーカーの撤退もあり 近年急速に採用例が減少している 図 3-1-7 キルン式ガス化溶融炉の例 5 ガス化改質式ガス化溶融炉ごみを圧縮し 水分を少なくして加熱 ガス化し 酸素と熱分解炭素の反応により高温で溶融処理する方式である ガス冷却水を大量に要し 排ガス処理系統で回収する混合塩や金属水酸化物の資源化も容易でないことから採用例が少ない 図 3-1-8 ガス化改質式ガス化溶融炉 ( シャフト炉式 ) の例 - 29 -

4. ストーカ式焼却炉と流動床式焼却炉の概要と特徴 運営方式を直営方式とする場合 民間活用とする場合 いずれにおいても採用の可能 性があるストーカ式焼却炉と流動床式焼却炉の概要と特徴を表 3-1-1 に示す 表 3-1-1 ストーカ式焼却炉と流動床式焼却炉の概要と特徴 区分ストーカ式焼却炉流動床式焼却炉 安定稼働イニシャルコストランニング 両方式とも歴史も古く 技術的に確立された方式であり 大きな差違はない 旧来から競合する処理方式として共存してきたが 実績として明確なコスト差が生じる要因はない 両者とも炉本体を除く大部分が同一なため 全体として大差は生じない コスト 運転管理 焼却残さ 建設実績 本市の場合 南処理工場も本方式であるため 運転管理技術が蓄積されており問題はない 主灰が主体である ( 南処理工場では 主灰と飛灰 ( 薬注処理無し ) を混合し 溶融スラグ化と焼成の 2 ルートで全量資源化を行っている ) ストーカ式焼却炉としては約 900 ヵ所の実績がある 本方式の運転管理経験はない 施設引渡し前の運転訓練で習熟をはかることになる 飛灰が主体である 流動床式焼却炉としては約 200 ヵ所の実績がある 施設規模 1 炉当たりの最大規模は 600t/ 日 1 炉当たりの最大規模は 315t/ 日 - 30 -

5. 可燃ごみ処理方式の選定全国の採用実績及び本市での運用実績等を勘案し 長期連続運転の実績があるごみ焼却方式の選定を 運営方式の方針決定後に行う なお 運営方式については 別途 新ごみ処理施設建設に伴う整備 運営方式検討業務委託 により検討中である - 31 -

第 2 節不燃ごみ等処理方式の検討 1. 不燃ごみ等処理技術の概要不燃ごみ ( 粗大ごみを含む ) を対象とした主要な処理技術は 破砕設備 選別設備に分類される 各設備の概要を以下に示す (1) 破砕設備破砕機は 切断機 高速回転破砕機 低速回転破砕機 に大別される (2) 選別設備破砕された後のごみは 選別機によって有価物 ( 鉄 アルミ等 ) 残さに選別される 選別の対象となる品目は多様であり 素材の性質も多岐に渡ることから 選別機は 通常 複数の機器を組み合わせて設置される 一般的に設置される選別設備としては 次に示すような設備がある 1 磁選機磁選機とは 永久磁石または電磁石の磁力によって磁性物を吸着選別するものである 2 アルミ選別機 アルミ選別機とは 処理対象物中の非鉄金属 ( 主としてアルミニウム ) を分離する ものである 3 可燃物 不燃物選別設備可燃物 不燃物選別設備とは 可燃物と不燃物の破砕特性による粒度の差 すなわち可燃物は比較的粗く 不燃物は細く破砕されるのを利用して 成分別の分離を行い 併せて異物の除去を行うものである 2. 不燃ごみ等の処理における破砕不適物に対する対応本計画では 不燃ごみと粗大ごみを破砕選別する計画のため 破砕不適物に対する処理方法の検討が必要である 不燃ごみ中の破砕不適物としては ビデオテープ ホースリール用水道ホース 梱包用 PP バンド テーブルタップ等の延長コード類 ( 回転機器に悪影響を与えるもの ) ならびに運動靴等のゴム類等 ( 破砕選別が困難なもの ) があり 不燃ごみは直接不燃ピットに投入する計画のため 破砕不適物については ヤードでの展開検査及びダンピングボックスでの展開検査等で対応する必要がある 粗大ごみ中の破砕不適物としては FRP 製品 スプリングマットレス じゅうたん 大型金属製健康器具等 ( 破砕機に悪影響を与えるもの ) があり 粗大ごみはヤードで受入れる計画のため 破砕不適物についても ヤードでの展開検査にて対応する必要がある なお 詳細な検討については 実施計画にて行うこととする - 32 -

3. 不燃ごみ等処理方式の検討本計画においては 破砕機は一次破砕に低速回転破砕機 二次破砕機に高速回転破砕機 選別機は回転式の採用を基本とし 今後 破砕不適物等における課題を検討し 各機器の選定を行う 4. 不燃ごみ等選別施設処理フロー本計画においては 不燃ごみと粗大ごみを別フローとする案は別々に処理することになり 設備の重複配置によるコストの増大を招くことから採用しないこととする よって 不燃ごみと粗大ごみは多くの共通設備による処理が可能であることから 同一施設で受入れる計画とし 前項までの検討を踏まえ不燃ごみ等選別施設処理フロー案を図 3-2-1 から図 3-2-3 に示す なお 基本処理フローの検討については 実施計画にて行うこととする - 33 -

- 34 - 不燃ごみ 不燃ごみピット クレーン 投入ホッパ 一次破砕機 ( 低速回転破砕機 ) 二次破砕機 ( 高速回転破砕機 ) 磁選機 粒度選別機 ( トロンメル ) 1 焼却施設ごみピットへ アルミ選別機 鉄分バンカ 不燃物バンカ アルミバンカ 粗大ごみ 前処理ヤード 不燃性 粗大ごみピット クレーン 1 可燃性 焼却施設可燃粗大ヤードへ コンベヤ搬送 図 3-2-1 不燃ごみ等選別施設処理フロー ( 案 1) 注 )1. 焼却施設に可燃性粗大ごみ処理施設を併設して可燃性粗大ごみを処理し 不燃ごみ等選別施設で不燃ごみと不燃性粗大ごみを処理す る 不燃ごみ不燃ごみピットクレーン 投入ホッパ 一次破砕機 ( 低速回転破砕機 ) 二次破砕機 ( 高速回転破砕機 ) 磁選機 粒度選別機 ( トロンメル ) 1 アルミ選別機 焼却施設ごみピットへ 鉄分バンカ不燃物バンカアルミバンカ 粗大ごみ 前処理ヤード 不燃性 粗大ごみピット クレーン 1 可燃性 切断機 コンベヤ搬送 図 3-2-2 不燃ごみ等選別施設処理フロー ( 案 2)

- 35 - 注 )2. 焼却施設に可燃性粗大ごみ処理施設を併設せず 不燃ごみ等選別施設で不燃ごみと粗大ごみ ( 可燃性 不燃性別系統 ) を処理する 不燃ごみ 不燃ごみピット クレーン 投入ホッパ 一次破砕機 ( 低速回転破砕機 ) 二次破砕機 ( 高速回転破砕機 ) 磁選機 粒度選別機 ( トロンメル ) 1 焼却施設ごみピットへ アルミ選別機 鉄分バンカ不燃物バンカアルミバンカ 粗大ごみ 前処理ヤード 粗大ごみピット クレーン 1 図 3-2-3 不燃ごみ等選別施設処理フロー ( 案 3) コンベヤ搬送 注 )3. 焼却施設に可燃性粗大ごみ処理施設を併設せず 不燃ごみ等選別施設で不燃ごみと粗大ごみ ( 可燃性 不燃性同一系統 ) を処理する