JSR TR / SIS スチレン系熱可塑性エラストマー 石化事業部 TPE 部 東京都港区東新橋 1-9-2 15-864 汐留住友ビル Tel:3-6218-3625 Fax:3-6218-3697 http://www.jsr.co.jp 本資料の記載内容は 現時点で入手できた資料 情報 データ等に基づいていますが 物理的性質 危険 有害性等に関して保証するものではありません また 本製品の使用にあたっては 用途に対応する法規制 および用途への適合性 安全性等を試験 確認ください
(1)JSR TR/SIS とは TR/SIS の構造モデル JSR TR/SIS はスチレン系の熱可塑性エラストマーです TR(SBS): スチレン-ブタジエンブロック共重合体 SIS: スチレン-イソプレンブロック共重合体 低温及び常温の条件下では ポリスチレンドメインが物理的架橋点となり 加硫ゴムの様な優れたゴム弾性を発揮します 一方 高温の条件下では プラスチックと同様の流動特性を有し 一般のプラスチック成型機で容易に加工ができる点が特徴です ポリスチレンブロック ポリブタジエンまたは ポリスチレンドメイン ポリイソプレンブロック (2)JSR TR/SIS の代表的用途と特徴 用 途 具体例 食品 ( 弁当 冷菓等 ) トレー プラスチック改質用途 ICキャリアトレー 各種フィルム製品 道路舗装 アスファルト改質用途 防水シート シーラント ホットメルト型粘 接着剤 粘 接着剤用途 溶剤型粘着剤貼付剤 衛生材料 テープ ラベル類 各種履物底材 履物 軟質製品用途 日用雑貨品 家電用部品, 玩具 自動車用部品 レジャー用品 特徴耐衝撃性 耐靱性 低温特性成形性 印刷 塗装性引裂強さ 接着性の向上軟化点向上 耐高温流動性低温特性向上凝集力 接着力の向上接着性 溶剤溶解性向上優れたゴム弾性 比重が小さい低温特性向上 滑り抵抗性の付与リサイクル性 2
(3)TR のプラスチック改質用途への展開 JSR TR はポリスチレン等のプラスチックに容易にブレンドすることができ 樹脂の性能を向上させることが出来ます < 改質効果 > (1) 耐衝撃性の向上 (2) 低温特性の向上 (3) 成形性 ( 深絞り性等 ) の向上 (4) 二次加工性 ( 印刷特性 接着性 ) の向上 (5) 滑り抵抗性の付与 < 使用例 > 食品トレー ICキャリアトレー等 <プラスチック改質用グレード> ポリスチレンとの相溶性が求められるため スチレン含量が高いグレードが適しております グレード ST 量 MFR *1 硬さ (%) (g/1min) (TypeA) 特徴 TR 4 3 87 ポリスチレン改質用途の標準グレード TR3 43 4.5 8 ポリスチレン相溶性 耐衝撃性改良グレード TR225 52.7 97 高スチレングレード *1 19 21.2N < 改質効果データ> 射出成形 Izot Impact(kgf cm / cm2 ) 25 15 1 5 TRフ レント 量とアイゾット衝撃強さ HIPS GPPS 5 1 15 25 TR 添加量 (%) アイゾットインパクトで改質効果を見た場合 HIPS に対しては 5% 以上添加で効果が現れます 一方 GPPS に対しては % 以上添加で効果が現れます フィルムインハ クト (kg cm / cm ) 押出成形 8 6 4 GPPS/TR 二元系シートの改質例 5 1 15 25 TR 添加量 (%) 8 7 6 5 4 3 1 HAZE(%) フィルムインハ クト TR3 フィルムインハ クト TR HAZE TR HAZE TR3 TR3 はポリスチレンとの相溶性が良く HAZE の値が良好です 3
(4)TR のアスファルト改質用途への展開 JSR TR を添加することにより アスファルトの性能を向上させることが出来ます < 改質効果 > (1) 軟化点が上昇し 耐流動性が向上 (2) 低温特性が向上し 低温ひび割れが低減 (3) 弾性 耐衝撃性が向上し わだち掘れが低減 (4) 凝集力 接着力が向上し 骨材との剥離を防止 < 使用例 > 道路用アスファルト 防水シート等 < アスファルト改質用グレード > グレード TR261 硬さ (TypeA) 69 MFR *1 (g/1min) 1< 特徴 アスファルト改質用標準グレード 高温 低温特性両方においてバランスに優れる TR263 68 2.2 排水性舗装用改質グレード 溶解性に優れ ハ ランスの取れた改質効果を示す TR2787 7 6. TR261 低分子量グレード 溶解性に優れる TR1 87 13. ルーフィング用途 低粘度で硬度高く樹脂的性質を出す *1 49.N < アスファルト改質効果 > ストレートアスファルト TR261 配合 TR263 配合 TR2787 配合 軟化点 ( ) 48 1 9 8 針入度 25 (1/1mm) 81 78 73 低温折り曲げ ( ) -25-25 -3 配合 :TR/ ストレートアスファルト=12/88 TRを添加することにより 軟化点の上昇 針入度 低温折り曲げの改善の効果があります <アスファルト改質用グレードの選定 > TRの軟化点とMFR 11 軟化点 ( ) 1 9 8 7 1 2 3 4 5 6 7 MFR( 49.N) TR261 TR263 TR2787 <TRの添加量とアスファルト改質効果 > TRの添加量と軟化点 1 1 軟化点 ( ) 8 6 4 2 4 6 8 1 12 14 TR261 添加量 (%) ヘ ースアスファルト : 針入度 6/8 ストレートアスファルト 4
(5)TR/SIS の粘 接着用途への展開 JSR TR/SIS は 粘 接着剤のベースポリマーとして優れた特性を示します < 特徴 > (1) 高温保持力 段ボールシール性に優れる (2) ホットメルト加工が可能で 省エネルギー高生産性を実現 (3) 低温特性に優れており 弾性変形性に富む (4) 溶液粘度が低い (5) 溶剤に容易に溶解する < 使用例 > クラフトテープ 衛材用品 粘着クリーナー等 < 粘 接着用グレード一覧 > グレード SIS5229 ST 量 MFR *1 ジブロック 溶液粘度 *2 (%) (g/1min) 含量 (mpa s) 15 9.5 13 特徴 スタンダードグレード 加熱時の色相変化 粘度変化が少ない SIS52 22 1.5 15 1 粘接着材用途で高凝集力タイプ ラベル テープ 発布剤等のベースポリマー SIS543P 15 4 88 段ボールシール性に優れる テープ ラベル粘着剤用途 SIS556P 16 13 55 85 主にホットメルト粘着剤 クラフトテープ 用途 段ボールシール性と熱安定性に優れる SIS525P 3. 3 6 *1 49.N *2 B 型粘度計 25wt% トルエン溶液 25 ホットメルト粘接着剤用途 低粘度で高凝集力を示す < 配合例と粘着特性 > ( 配合 ) SIS 脂肪族系石油樹脂軟化剤老化防止剤 ( 粘着特性 ) ローリングボールタック粘着力保持力 単位 SIS5229 SIS556 重量部 1 1 重量部 重量部 8 8 重量部 2 2 ボール 12 14 N/25mm 23.5 28. 分 17 8 ローリングボールタック :J&Dow 法最大停止鋼球の直径を表示 ( 直径 : ボール /32インチ ) 粘着力 :18 ピール対ステンレス板 25mm 巾剥離速度 3mm/min. 23 保持力 : 対ステンレス板接着面積 25mm 25mm 測定温度 4 荷重 1.2kg 塗布基材すべてPETフィルム上に35μm 厚で塗布 <グレード選定 > SISのスチレン含量とジブロック含有量 ジブロック含有量 (%) 6 4 1 15 25 スチレン含量 (%) SIS52 SIS543 SIS556 SIS525 SIS5229 5
(6)TR の履物 軟質製品用途への展開 JSR TR は 加硫ゴムライクな弾性と感触で広く履物 雑貨に使用されております また 通常の射出成形機や押出機 カレンダー化工機等で容易に加工できることから 様々な分野の軟質製品に使用されています < 特徴 > (1) 常温 低温で加硫ゴムのような優れた弾性を示す (2) 比重が小さく軽量化が可能 (3) 滑り抵抗性が優れる (4) スクラップ等の再生利用が可能 (5) 他の熱可塑性樹脂 軟化剤 充填剤との相溶性 着色性に優れる < 使用例 > 靴底 雑貨等 < 履物 軟質製品用グレード一覧 > ST 量硬度 MFR *1 グレード (%) (TypeA) (g/1min) TR16 32 5 19. TR186 45 72 1. *1 49.N 特徴 低硬度タイプ 履き物 カーマット 玩具等の軟質製品 高硬度タイプ 履き物 カーマット 玩具等の軟質製品 6
(7)TR/SIS の成形温度について JSR TR/SIS の射出成形および押出成形の温度条件としては 成形品の形状にもよりますが 成形温度 16 ~2 の範囲が適しております これよりも低い温度では流動性不足による成形不良が発生いたします また これよりも高い温度で成形すると熱劣化が促進されますので ご注意ください 圧空成形の温度条件としては樹脂温度 11 ~16 の範囲が適切な温度範囲となります 成形方法射出成形押出成形圧空成形 適正成形温度範囲成形温度 1 1 14 16 18 2 24 (8)TR/SIS の基本特性について < 粘弾性データ > < 流動特性データ> < 耐溶剤特性 > ( 測定温度 :18 ) 溶剤 TR SIS ベンゼン VS VS トルエン VS VS クロロベンゼン VS メチルエチルケトンアセトン n-へプタンメタノールエタノール VS SS SS IS IS VS SS SS 25 で24 時間浸漬した後 mesh 金網でろ過し不溶分を測定 VS: 易溶 ( 不溶分 1wt% 以下 ) S: 溶解 ( 不溶分 1~6wt%) SS: 難溶 ( 不溶分 9~95wt%) IS: 不溶 ( 不溶分 99wt% 以上 ) : 膨潤 7
JSR TR の代表物性 性質試験方法単位 TR TR1 TR3 TR225 TR25 TR261 TR263 TR2787 TR2827 TR186 TR16 構造リニアリニアリニアリニアフ ランチリニアリニアリニアリニアフ ランチフ ランチ スチレン / ゴム比 4/6 4/6 43/57 52/48 35/65 3/7 32/68 3/7 24/76 45/55 32/68 形状 *1 P P C P P P C K C C P P P オイル種類 - - - - - - - - - ハ ラフィン系ハ ラフィン系 オイル添加量 phr - - - - - - - - - 5 45 比重 ASTM D297 -.96.96.96.98.92.94.94.94.94.96.94 ジブロック含有量 % - - - - 4 15-15 - 1 1 MFR ( 49.N) MFR (19 21.2N) JIS K721 g/1 分 13 13 18 4 12 <1 2.2 6 11 1 19 JIS K721 g/1 分 3 3 4.5.7 2.5 <1 <1 1.9 2.5.9 3 硬さ (TypeA) JIS K6253 度 87 87 8 97 83 69 68 7 6 72 5 硬さ (TypeD) JIS K6253 度 31 31 3 45 - - - - - - - 引張強さ JIS K6251 MPa 27.5 27.5 25.5 26.5 13 32.5 28.5 32.5 16 14.7 9.8 (kgf/ cm2 ) (28) (28) (26) (27) (135) (33) (29) (33) (163) (15) (1) 伸び JIS K6251 % 8 8 69 7 1 88 8 88 14 13 1 3% 引張応力 JIS K6251 MPa 2.9 2.9 2.9 5.9 2.2 2.9 2.9 2.9 1.9 - - (kgf/ cm2 ) (3) (3) (3) (6) (22) (3) (3) (3) () - - PL 登録 代表用途樹脂改質樹脂改質樹脂改質樹脂改質粘 接着剤アスファルトアスファルトアスファルト粘 接着剤履物 履物 粘 接着剤粘 接着剤粘 接着剤粘 接着剤靴製品靴製品 *1 形状 P: ペレット C: クラム K: 粉末 本データは実測値であり 保証値ではありません アスファルト 8
JSR SIS の代表物性 性質 試験方法 単位 SIS52 SIS5229 SIS525 SIS543 SIS556 構造 リニア リニア フ ランチ リニア リニア スチレン / ゴム比 22/78 15/85 /8 15/85 16/84 形状 *1 C P C P P P 比重 ASTM D297 -.92.92.92.92.92 ジブロック含有量 % 15 3 4 55 MFR( 49.N) JIS K721 g/1 分 1.5 9.5 12 13 MFR(19 21.2N) JIS K721 g/1 分 - 2.3 3 4.5 2.8 溶液粘度 *2 mpa s 1 13 6 88 85 溶液粘度 *3 mpa s 11 118 51 75 74 硬さ (TypeA) JIS K6253 度 52 35 37 33 32 硬さ (TypeD) JIS K6253 度 - - - - - 引張強さ JIS K6251 MPa 25.5 24.5 19.5 11.8 9 (kgf/ cm2 ) (26) (25) () (1) (92) 伸び JIS K6251 % 1 13 13 14 13 3% 引張応力 JIS K6251 MPa 1.2.9 1.6.5 (kgf/ cm2 ) (12) (9) (1) (6) (5) PL 登録 代表用途粘 接着剤粘 接着剤粘 接着剤粘 接着剤粘 接着剤 *1 形状 P: ペレット C: クラム *2 溶液粘度 :B 型粘度計 25wt% トルエン溶液 25 *3 溶液粘度 :B 型粘度計 25wt% トルエン溶液 3 本データは実測値であり 保証値ではありません 9