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津波警報等の留意事項津波警報等の利用にあたっては 以下の点に留意する必要があります 沿岸に近い海域で大きな地震が発生した場合 津波警報等の発表が津波の襲来に間に合わない場合があります 沿岸部で大きな揺れを感じた場合は 津波警報等の発表を待たず 直ちに避難行動を起こす必要があります 津波警報等は 最新

2. エルニーニョ / ラニーニャ現象の日本への影響前記 1. で触れたように エルニーニョ / ラニーニャ現象は周辺の海洋 大気場と密接な関わりを持つ大規模な現象です そのため エルニーニョ / ラニーニャ現象は周辺の海流や大気の流れを通じたテレコネクション ( キーワード ) を経て日本へも影響

(c) (d) (e) 図 及び付表地域別の平均気温の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 棒グラフが現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 年間 : 春 (3~5 月 ) (c): 夏 (6~8 月 ) (d): 秋 (9~1

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日本海沿岸顕著現象事例集の発行に寄せて 日本海海洋気象センターでは 日本海沿岸で発生した高潮や高波 異常潮位などの顕著な現象について 気象庁の潮位 波浪の観測地点ごとの観測データをもとに取りまとめた事例集として刊行することとしました かつて 1959 年 ( 昭和 34 年 ) の伊勢湾台風では高潮

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宮城県災害時気象資料平成 30 年台風第 24 号による暴風と大雨 ( 平成 30 年 9 月 29 日 ~10 月 1 日 ) 平成 30 年 10 月 3 日仙台管区気象台 < 概況 > 9 月 21 日 21 時にマリアナ諸島で発生した台風第 24 号は 25 日 00 時にはフィリピンの東で

種にふくまれているものは何か 2001,6,5(火) 4校時

1. 天候の特徴 2013 年の夏は 全国で暑夏となりました 特に 西日本の夏平均気温平年差は +1.2 となり 統計を開始した 1946 年以降で最も高くなりました ( 表 1) 8 月上旬後半 ~ 中旬前半の高温ピーク時には 東 西日本太平洋側を中心に気温が著しく高くなりました ( 図 1) 特

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平成 24 年台風第 4 号により三重県津市なぎさまち付近で発生した高潮 高波による浸水被害 (6 月 19 日 ) の現地調査報告 注 : この資料は速報としてまとめたものであり データについては後日修正することがあります 平成 24 年 7 月 17 日 津地方気象台 本件に関する問い合わせ先津

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平成30年台風第21号について

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( 福岡県 ) 1 58,000 ~ 63,000 5, , , , ,000 63,000 ~ 73,000 6, , , , ,000 73,000 ~ 83,000 7, ,

橡Ⅰ.企業の天候リスクマネジメントと中長期気象情

電気使用量集計 年 月 kw 平均気温冷暖平均 基準比 基準比半期集計年間集計 , , ,

津波の怖さを知っていますか? 平成 5 年 (1993 年 ) 北海道南西沖地震では地震発生から 5 分と経たないうちに大津波が押し寄せ 死者 202 人 行方不明者 28 人などの被害が生じました ( 写真は函館海洋気象台職員撮影 ) 宮崎地方気象台

f ( 0 ) y スヴェルドラップの関係式は, 回転する球面上に存在する海の上に大規模な風系が存在するときに海流が駆動されることを極めて簡明に表現する, 風成循環理論の最初の出発点である 風成循環の理論は, スヴェルドラップの関係式に様々な項を加えることで発展してきたと言ってもよい スヴェルドラッ

日本の海氷 降雪 積雪と温暖化 高野清治 気象庁地球環境 海洋部 気候情報課

気象庁 札幌管区気象台 資料 -6 Sapporo Regional Headquarters Japan Meteorological Agency 平成 29 年度防災気象情報の改善 5 日先までの 警報級の可能性 について 危険度を色分けした時系列で分かりやすく提供 大雨警報 ( 浸水害 )

( 福岡県 ) 1 58,000 ~ 63,000 5, , , , ,000 63,000 ~ 73,000 6, , , , ,000 73,000 ~ 83,000 7, ,

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九州地方とその周辺の地震活動(2016年5月~10月)

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金沢地方気象台対象地域石川県 平成 30 年台風第 21 号に関する石川県気象速報 目 次 1 気象概況 2 気象の状況 3 気象官署と地域気象観測所の極値更新状況 4 特別警報 警報 注意報 気象情報等の発表状況 5 石川県の被害状況等 6 金沢地方気象台の対応状況等 平成 30 年 9 月 7

2018 年 12 月の天候 ( 福島県 ) 月の特徴 4 日の最高気温が記録的に高い 下旬後半の会津と中通り北部の大雪 平成 31 年 1 月 8 日福島地方気象台 1 天候経過 概況この期間 会津では低気圧や寒気の影響で曇りや雪または雨の日が多かった 中通りと浜通りでは天気は数日の周期で変わった

7 渦度方程式 総観規模あるいは全球規模の大気の運動を考える このような大きな空間スケールでの大気の運動においては 鉛直方向の運動よりも水平方向の運動のほうがずっと大きい しかも 水平方向の運動の中でも 収束 発散成分は相対的に小さく 低気圧や高気圧などで見られるような渦 つまり回転成分のほうが卓越

黄砂消散係数 (/Km) 黄砂消散係数 (/Km) 黄砂消散係数 (/Km) 黄砂消散係数 (/Km) 日数 8~ 年度において長崎 松江 富山で観測された気象台黄砂日は合計で延べ 53 日である これらの日におけるの頻度分布を図 6- に示している が.4 以下は全体の約 5% であり.6 以上の

本検討の位置づけ H27 親委員会 H27E2E H27E2E これまでの検討で不足している部分 1

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参考資料

佐賀県の地震活動概況 (2018 年 12 月 ) ( 1 / 10) 平成 31 年 1 月 15 日佐賀地方気象台 12 月の地震活動概況 12 月に佐賀県内で震度 1 以上を観測した地震は1 回でした (11 月はなし ) 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 図 1 震央分布図 (2018 年 1

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火山活動解説資料平成 31 年 4 月 14 日 17 時 50 分発表 阿蘇山の火山活動解説資料 福岡管区気象台地域火山監視 警報センター < 噴火警戒レベルを1( 活火山であることに留意 ) から2( 火口周辺規制 ) に引上げ> 阿蘇山では 火山性微動の振幅が 3 月 15 日以降 小さい状態

また 台風 18 号が九州から北海道へ縦断した 17 日 18 日は 全国から 41,000 通以上の写真付きのウェザーリポートが寄せられ 各地の被害状況を詳細に把握することができました 記録的大雨となった大分県からは道路の損壊や大規模冠水のリポートが届き 断続的に強い雨が降った岩手県沿岸からは大規

Taro-●Ⅰ山口県の自然災害(P1-P5

( 福岡県 ) 等級月額日額全額全額全額全額 10.12% 11.67% % % 1 58,000 1,930 ~ 63,000 5, , , , ,000 2,270 63,000 ~ 73,000 6, ,

津波情報に活用する観測地点の追加について 別紙 津波情報への活用を開始する海底津波計の分布図 活用を開始する海底津波計沿岸の津波観測点 GPS 波浪計海底津波計 活用を開始する海底津波計の地点名称は 沖 を省略して記載しています ( 宮城牡鹿沖 及び 茨城神栖沖 を除く)

岡山県 ( 岡山市を含む ) 件数 ( 件 ) (%) 価格 ( 万円 ) 520 1,349 1,418 1,457 1,403 1,421 年 土地面積 ( m2 )

東北地方太平洋沖地震への 気象庁の対応について ( 報告 ) 気象業務の評価に関する懇談会 平成 23 年 5 月 31 日 気象庁 1

福岡 札幌 ( 千歳 ) 東京 ( 羽田 ) ,000 ~ 41,200 40,500 ~ 40,500 51,800 ~ 54,300 福岡 札幌 ( 千歳 ) 東京 ( 羽田 ) ,000 ~ 41,300 40,500 ~ 40,500 51,800 ~

第 41 巻 21 号 大分県農業気象速報令和元年 7 月下旬 大分県大分地方気象台令和元年 8 月 1 日

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達する過程を示したが, 個々の事例については発生機構や発達の過程について未解明な部分が多く, 現在の技術では副振動の発生を予測することは困難である. そのため, 副振動による災害を防ぐためには担当気象官署で潮位を監視し, 副振動の振幅が大きくなると潮位情報を発表して広く国民に注意を促すことで対応して

H19年度

石川県白山自然保護センター研究報告第27集

(/9) 07 年に発生した地震の概要. 佐賀県の地震活動 07 年に佐賀県で震度 以上を観測した地震は 9 回 (06 年は 85 回 ) でした ( 表 図 3) このうち 震度 3 以上を観測した地震はありませんでした (06 年は 9 回 ) 表 07 年に佐賀県内で震度 以上を観測した地震

1 想定地震の概要南海トラフで発生する地震は 多様な地震発生のパターンが考えられることから 次の地震の震源域の広がりを正確に予測することは 現時点の科学的知見では困難です そのため 本市では 南海トラフで発生する地震として 次の2つの地震を想定して被害予測調査を行いました (1) 過去の地震を考慮し

理科学習指導案指導者海田町立海田西中学校教諭柚中朗 1 日時平成 30 年 1 月 24 日 ( 水 ) 2 学年第 2 学年 1 組 ( 男子 14 名女子 18 名計 32 名 ) 3 単元名天気とその変化 ~ 大気の動きと日本の天気 ~ 4 単元について (1) 単元観本単元は, 学習指導要領

淀川水系流域委員会第 71 回委員会 (H20.1 審議参考資料 1-2 河川管理者提供資料

図 1 COBE-SST のオリジナル格子から JCDAS の格子に変換を行う際に用いられている海陸マスク 緑色は陸域 青色は海域 赤色は内海を表す 内海では気候値 (COBE-SST 作成時に用いられている 1951~2 年の平均値 ) が利用されている (a) (b) SST (K) SST a

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地震の概要 検知時刻 : 1 月 3 日 18 時分 10 発生時刻 : 1 月 3 日 18 時 10 分 マグニチュード: 5.1( 暫定値 ; 速報値 5.0から更新 ) 場所および深さ: 熊本県熊本地方 深さ10km( 暫定値 ) 発震機構 : 南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型 ( 速報

1. 水温分布 ( 図 1) 7 月沖合定線海洋観測結果 平成 26 年 7 月 14 日 岩手県水産技術センター TEL: FAX: 全域で表面水温は高め 県南部に北上暖水が流入 1) 本県沿岸

値シミュレーションを実施し, このイベントで観測された副振動の面的な再現性を検討した 年 2 月 24~25 日の気象津波の概要本気象津波イベント発生時は, 図 -1 に示す天気図からわかるように, 東シナ海から薩南諸島を跨ぎ本州南岸にかけて前線が閉塞し, そこに低気圧が発生して急

福岡 札幌 ( 千歳 ) 東京 ( 羽田 ) ,400 ~ 35,900 40,500 ~ 40,500 51,800 ~ 51,800 福岡 札幌 ( 千歳 ) 東京 ( 羽田 ) ,400 ~ 35,900 40,500 ~ 40,500 51,800 ~

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小笠原諸島の不利な点:

平 成 25 年 東京港 24 時間潮位表 平成 25 年 1 月 東京都港湾局

Taro-40-09[15号p77-81]PM25高濃


風力発電インデックスの算出方法について 1. 風力発電インデックスについて風力発電インデックスは 気象庁 GPV(RSM) 1 局地気象モデル 2 (ANEMOS:LAWEPS-1 次領域モデル ) マスコンモデル 3 により 1km メッシュの地上高 70m における 24 時間の毎時風速を予測し

平成 31 年 3 月分 (4 月納付分 ) からの健康保険 厚生年金保険の保険料額表 健康保険料率: 平成 31 年 3 月分 ~ 適用 介護保険料率: 平成 31 年 3 月分 ~ 適用 厚生年金保険料率: 平成 29 年 9 月分 ~ 適用 子ども 子育て拠出金率: 平成 30 年 4 月分

要旨 昨秋 日本に多大な被害を与えた台風 15 号は静岡県浜松市に上陸し 東海大学海洋学部 8 号館気象台では過去 3 年間での最高値に相当する 1 分平均風速 25 m/s を記録した また 西日本から北日本の広範囲に暴風や記録的な大雨をもたらし 東京都江戸川区で最大風速 31 m/s を記録する

6 月 (19:34) 5 月 (19:21) 石垣島 ( 川平石埼 ) 春分の日秋分の日 3 月 1 日頃 ~ 10 月 14 日頃まで 3 月 1 日 ~20 日頃 9 月 23 日 ~10 月 13 日頃は 鳩間島に夕日が沈みます : 川平石埼から見た各月の 15 日の日没方向 御神埼 川平石

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はじめに 東京の観測値 として使われる気温などは 千代田区大手町 ( 気象庁本庁の構内 ) で観測 気象庁本庁の移転計画に伴い 今年 12 月に露場 ( 観測施設 ) を北の丸公園へ移転予定 天気予報で目にする 東京 の気温などの傾 向が変わるため 利 者へ 分な解説が必要 北の丸公園露場 大手町露


福岡 札幌 ( 千歳 ) 東京 ( 羽田 ) ,300 ~ 35,900 40,500 ~ 40,500 51,800 ~ 51,800 福岡 札幌 ( 千歳 ) 東京 ( 羽田 ) ,000 ~ 35,900 40,500 ~ 40,500 51,800 ~

報道発表資料

5. 数値解析 5.2. サンゴ浮遊幼生ネットワークモデルの検討

平成10年度 ヒートアイランド現象に関する対策手法検討調査報告書

福岡 札幌 ( 千歳 ) 東京 ( 羽田 ) ,300 ~ 36,000 40,500 ~ 40,500 51,800 ~ 51,800 福岡 札幌 ( 千歳 ) 東京 ( 羽田 ) ,700 ~ 36,400 40,500 ~ 40,500 51,800 ~ 5

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Wx Files Vol 年4月4日にさいたま市で発生した突風について

MySQL とは SQL 言語でのデータ格納 検索が可能なリレーショナルデータベースソフトウェアの一つである.SQL 言語はプログラム言語の一つであるが, 容易に理解することができ, これを用いることでプログラムの作成に馴染みのない職員であっても簡単に自らデータベースにアクセスすることができる. さ

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目 次 1. 想定する巨大地震 強震断層モデルと震度分布... 2 (1) 推計の考え方... 2 (2) 震度分布の推計結果 津波断層モデルと津波高 浸水域等... 8 (1) 推計の考え方... 8 (2) 津波高等の推計結果 時間差を持って地震が

台風23 集約情報_14_.PDF

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報道発表資料平成 23 年 7 月 25 日長崎海洋気象台 九州 山口県および沖縄の夏から秋にかけての潮位 高潮と異常潮位による浸水被害に注意 夏から秋にかけては 台風に伴う高潮による浸水被害に注意が必要です また 九州 山口県および沖縄では この季節に潮位が一年のうちで最も高くなるため 大潮の期間や異常潮位が発生した場合などにも浸水被害に注意が必要です 夏から秋にかけては 台風に伴う高潮 *2 によって浸水被害が発生するおそれが高まるので注意が必要です また 九州 山口県および沖縄の 7~10 月は海水温が高くなるなどの影響で一年のうちで最も潮位 *1 が高くなります ( 図 1,1~3 月に比べて 7~10 月の月平均潮位はおよそ 20~ 40cm 高い ) したがって 年間の最高潮位は 7~10 月の大潮期間 ( 新月や満月の前後数日 *5 間 ) の満潮時にあらわれます ( 図 2) また 7~10 月の大潮期間に暖水渦等による異常潮位 *3 や副振動 *4 などが発生すると 沿岸の低地では浸水被害が発生するおそれがあります ( 図 3) 特に沖縄では 暖水渦の接近による潮位の上昇で過去にしばしば浸水被害が発生しています なお 今年の 7 月 25 日 ~10 月 31 日における大潮期間は次のとおりです 大潮期間 ( 新月または満月 ) 7 月 29 日 ~ 8 月 4 日 ( 新月 :31 日 ) 8 月 12 日 ~ 8 月 18 日 ( 満月 :14 日 ) 8 月 27 日 ~ 9 月 2 日 ( 新月 :29 日 ) 9 月 10 日 ~ 9 月 16 日 ( 満月 :12 日 ) 9 月 25 日 ~ 10 月 1 日 ( 新月 :27 日 ) 10 月 10 日 ~ 10 月 16 日 ( 満月 :12 日 ) 10 月 25 日 ~ 10 月 31 日 ( 新月 :27 日 ) 気象庁では潮位の変動や暖水渦の動きを常時監視しており 高潮や異常潮位などによって浸水被害が発生するおそれがある場合には 最寄りの気象台が高潮警報 高潮注意報や潮位に関する情報などを発表しています 長崎海洋気象台ホームページ (http://www.jma-net.go.jp/nagasaki/) および気象庁ホームページ (http://www.jma.go.jp/jma/) には高潮警報 高潮注意報や潮位に関する情報などのほか 各地の最新の実測潮位や天文潮位を掲載していますのでご利用下さい 添付資料 : 用語の解説( 潮位 *1 高潮 *2 異常潮位 *3 副振動 *4 暖水渦 *5 ) 各地の潮位( 下関 博多 大浦 長崎 大分 三角 油津 鹿児島 奄美 那覇 石垣 ) 問い合わせ先長崎海洋気象台海洋課電話 095-811-4865( 直通 )

下関 油津 長崎 鹿児島 那覇 図 1. 下関 長崎 油津 鹿児島 那覇における 2011 年の日平均天文潮位の変化 7~10 月の潮位は 1~3 月に比べておよそ 20~40cm 高くなる 図 2. 長崎における 2011 年 9 月の天文潮位の変化 大潮期間には満潮と干潮の差が大きくなり 満潮時の潮位が特に高くなる 冬 ~ 春 夏 ~ 秋 大潮の満潮位 大潮の満潮位 潮位が平常より多少高くなっても浸水する可能性は小さい 潮位が平常より少し高くなるだけで浸水する可能性がある 図 3. 冬 ~ 春の潮位と夏 ~ 秋の潮位の比較 夏から秋にかけて 大潮期間の満潮時には潮位が特に高くなる

用語の解説 潮位 ( 天文潮位 実測潮位 ) ある基準面から測った海面の高さを潮位といい 通常 1 日 2 回ずつ満ち引きを繰り返しています また 新月や満月の頃の前後数日間 ( 大潮期間 ) は満潮と干潮の潮位差が大きくなります 月や太陽の運行の周期性を詳しく解析することにより 事前に潮位を予測することができます このようにして予測された潮位を天文潮位と呼び 天文潮位と実測潮位 ( 実際に観測された潮位 ) の差を潮位偏差と呼びます 潮位はよく知られている半日 1 日 半月の周期のほか 1 年周期でも変化しています 夏から秋にかけて潮位が高くなる理由は 海水温が高くなって海水が膨張することや 他の季節と比べて日本付近の気圧が低くなり その分海水が吸い上げられるためであると考えられています 高潮高潮は 台風や低気圧に伴う気圧降下による 吸い上げ効果 と風による 吹き寄せ効果 のため 海面が異常に上昇する現象です 吸い上げ効果 : 台風や低気圧の中心付近では気圧が低いため 大気が海面を押し付ける力が周囲より弱くなり海面が上昇します これを 吸い上げ効果 といい 気圧が1hPa 下がると海面は約 1cm 上昇します 吹き寄せ効果 : 台風などに伴う強い風が沖から海岸に向かって吹くと 海水が海岸に吹き寄せられることにより海面が上昇します これを 吹き寄せ効果 といいます 風が吹いてくる方向に開いた湾では吹き寄せ効果が大きく 顕著な高潮が発生しやすくなります 夏から秋にかけては 台風が日本に接近または上陸する時期にあたり 高潮被害が発生しやすくなります 台風や低気圧 強い風 強い風 高波 吸い上げ 吹き寄せ 高潮 平均的な海面 図 4. 高潮の起こる仕組み

異常潮位異常潮位は 潮位が比較的長期間 (1 週間から 3 か月程度 ) 継続して平常より高く ( または低く ) なる現象です 原因は様々で 暖水渦の接近 黒潮の蛇行等があります 副振動副振動は 湾 海峡や港湾など陸や堤防に囲まれた海域等で観測される 周期が数分から数十分程度の海面の昇降現象です 台風 低気圧などの気象じょう乱に起因する海洋のじょう乱や津波などが長波となって沿岸域に伝わり 湾内などに入ることにより引き起こされる強制振動と考えられています 2009 年 2 月には九州地方から奄美地方にかけて大きな副振動が発生し 一部地域では漁船の転覆や家屋への浸水などの被害が発生しました 暖水渦太平洋の中緯度には 直径が数百 km 程度の渦がたくさん存在していることが知られています この渦を中規模渦といい このうち右回りの高気圧性の回転を伴う渦は 周囲より水温が高くて海面が盛り上がっており 暖水渦と呼ばれます 逆に左回りの低気圧性の回転を伴う渦は 周囲より水温が低くて海面が低くなっており 冷水渦と呼ばれます 図 5は海面の凸凹が普段とどれくらい違っているかを表した海面高度偏差図で 人工衛星のデータを解析して求めたものです 石垣島の南に見られる赤い部分が暖水渦を示しています 図 5. 沖縄県付近における 2008 年 6 月 17 日の海面高度偏差図 ( 単位 cm)

各地の潮位 九州 山口県および沖縄の 11 の観測地点 ( 図 6) について以下の要素を次ページ以降に示します 日最高天文潮位と日最高実測潮位の変化 1 日のうちで最も高い天文潮位 (2010 年 1 月 ~2011 年 12 月 ) と最も高い実測潮位 (2010 年 1 月 ~2011 年 6 月 ) をグラフで示しています 日最大潮位偏差の変化毎時潮位偏差の最大値を日最大潮位偏差として これを 2010 年 1 月 ~2011 年 6 月についてグラフで示しています 顕著な高潮や異常潮位が発生した日にはコメントを付けています と最近 5 年間のとおよびその原因を示しています 主な原因の欄には台風または低気圧が原因の場合のみ記入し それ以外は - を記入しています なお 潮位と偏差は 津波 副振動 波浪などの短周期変動を除去した平滑値を用いて算出しており 一般に瞬間値より小さな値になります 図 6. 潮位の掲載地点

下関 ( 山口県 ) 2006 年 136cm 9 月 9 日 38cm 9 月 17 日 台風第 13 号 2007 年 135cm 8 月 3 日 台風第 5 号 39cm 3 月 31 日 2008 年 126cm 8 月 3 日 28cm 4 月 9 日 2009 年 135cm 8 月 21 日 40cm 2 月 13 日 低気圧 2010 年 146cm 8 月 11 日 台風第 4 号 31cm 2 月 26 日 低気圧

博多 ( 福岡県 ) 海上保安庁の潮位データを使用 台風第 4 号による高潮 2006 年 152cm 9 月 9 日 27cm 9 月 18 日 台風第 13 号 2007 年 145cm 8 月 30 日 41cm 3 月 30 日 2008 年 144cm 8 月 3 日 34cm 4 月 10 日 2009 年 145cm 8 月 21 日 38cm 2 月 13 日 低気圧 2010 年 164cm 8 月 11 日 台風第 4 号 35cm 8 月 11 日 台風第 4 号

大浦 ( 佐賀県 ) 台風第 9 号による高潮 2006 年 311cm 9 月 9 日 58cm 9 月 17 日 台風第 13 号 2007 年 293cm 9 月 28 日 46cm 3 月 24 日 低気圧 2008 年 278cm 9 月 1 日 35cm 4 月 10 日 2009 年 301cm 8 月 21 日 42cm 2 月 13 日 低気圧 2010 年 313cm 8 月 11 日 台風第 4 号 44cm 9 月 7 日 台風第 9 号

長崎 ( 長崎県 ) 2006 年 195cm 9 月 9 日 56cm 9 月 17 日 台風第 13 号 2007 年 182cm 9 月 28 日 37cm 3 月 24 日 低気圧 2008 年 174cm 9 月 1 日 29cm 4 月 10 日 2009 年 188cm 8 月 21 日 33cm 4 月 20 日 2010 年 197cm 8 月 11 日 台風第 4 号 30cm 10 月 25 日

大分 ( 大分県 ) 海上保安庁の潮位データを使用 2006 年 139cm 10 月 8 日 84cm 9 月 17 日 台風第 13 号 2007 年 171cm 8 月 2 日 台風第 5 号 50cm 8 月 2 日 台風第 5 号 2008 年 137cm 6 月 4 日 25cm 4 月 24 日 2009 年 141cm 8 月 21 日 26cm 2 月 14 日 低気圧 2010 年 144cm 10 月 9 日 34cm 12 月 2 日 低気圧

三角 ( 熊本県 ) 2006 年 252cm 9 月 9 日 102cm 9 月 17 日 台風第 13 号 2007 年 240cm 9 月 28 日 42cm 3 月 24 日 低気圧 2008 年 230cm 9 月 1 日 31cm 4 月 10 日 2009 年 246cm 8 月 21 日 34cm 2 月 13 日 低気圧 2010 年 256cm 8 月 11 日 台風第 4 号 37cm 4 月 22 日 低気圧

油津 ( 宮崎県 ) 台風第 2 号による高潮 2006 年 138cm 10 月 7 日 52cm 8 月 17 日 台風第 10 号 2007 年 128cm 8 月 2 日 台風第 5 号 55cm 7 月 14 日 台風第 4 号 2008 年 123cm 9 月 1 日 27cm 6 月 3 日 2009 年 149cm 10 月 7 日 台風第 18 号 43cm 10 月 7 日 台風第 18 号 2010 年 130cm 10 月 9 日 25cm 11 月 1 日

鹿児島 ( 鹿児島県 ) 台風第 2 号による高潮 2006 年 185cm 9 月 9 日 54cm 9 月 17 日 台風第 13 号 2007 年 176cm 3 月 20 日 35cm 3 月 15 日 2008 年 168cm 9 月 1 日 30cm 4 月 10 日 2009 年 180cm 8 月 22 日 34cm 10 月 7 日 台風第 18 号 2010 年 186cm 9 月 10 日 26cm 12 月 2 日

奄美 ( 鹿児島県 ) 台風第 2 号による高潮 2006 年 125cm 8 月 11 日 30cm 11 月 11 日 2007 年 129cm 8 月 30 日 44cm 7 月 13 日 台風第 4 号 2008 年 127cm 9 月 17 日 28cm 10 月 2 日 2009 年 130cm 7 月 23 日 35cm 10 月 7 日 台風第 18 号 2010 年 127cm 8 月 12 日 22cm 10 月 20 日

那覇 ( 沖縄県 ) 台風第 2 号による高潮 2006 年 132cm 7 月 13 日 台風第 4 号 30cm 7 月 8 日 台風第 3 号 2007 年 134cm 8 月 30 日 62cm 7 月 13 日 台風第 4 号 2008 年 121cm 9 月 17 日 21cm 3 月 23 日 2009 年 132cm 8 月 21 日 29cm 8 月 6 日 台風第 8 号 2010 年 132cm 8 月 11 日 19cm 5 月 24 日

石垣 ( 沖縄県 ) 台風第 11 号による高潮 台風第 2 号による高潮 台風第 4 号による高潮 2006 年 143cm 7 月 13 日 台風第 4 号 53cm 9 月 16 日 台風第 13 号 2007 年 128cm 7 月 13 日 台風第 4 号 84cm 10 月 6 日 台風第 15 号 2008 年 134cm 6 月 5 日 40cm 9 月 12 日 台風第 13 号 2009 年 143cm 7 月 24 日 44cm 8 月 7 日 台風第 8 号 2010 年 129cm 8 月 10 日 42cm 9 月 18 日 台風第 11 号