レタッチ - 4 フィルム作品のデジタル保存
フィルム作品 デジタル保存のメリット : 1. 保存フィルム作品の経年変化をストップ デジタル化した情報は経年変化しない ( アナログ デジタル変換による情報劣化は免れないが ) 2. 変色 カビ等による劣化を補正 ( デジタル補正で原版のオリジナル性は損なわれるが ) 3. いつでも手軽に見れる 使える状態に パソコン画面で閲覧 ネット公開 写真集作成などが容易に 4. 保存スペース コストの節約 記憶媒体の高密度化 保存スペースはほぼゼロ 価格低下 自分でやればコストはほぼゼロ 2
フィルムのデジタル化 実は プロラボのフィルム 銀塩プリントも デジタル作業 デジタルプリントシステム フィルム画面を高精度スキャナーで読み取り デジタル入力サービス デジタル補正 ( こんな風に焼いて ) 付着したゴミ消去 レーザー光照射で印画紙に露光 現像 ( 又は 顔料インクジェットプリンターでプリント ) 3
フィルム作品のデジタル化作業 プロラボに出す? デジタル化の目的 : 将来 作品 に A3サイズ以上でプリント 家宝 に 自分でやる? デジタル化の目的 : パソコン画面で閲覧 ホームページで使う 簡易写真集を作る A3サイズ以下でプリント プロラボのスキャニングサービスに出し 作品 レベルのデータで保存 コスト : 1 コマ 数千円 ( 低価格の通販 : 仕上がり品質に要注意 ) 必要機材を準備 自分でスキャン 但し 機材の性能が それなり 仕上がり品質も それなり ( 作品 レベルは期待せず ) コスト : 初期投資以外 ほとんどゼロ 4
参考 -1: プロラボのスキャン料金例 参考 -2: 通販のスキャン料金例 作業の質は? ( 手作業? 1 コマ毎のゴミ取り? 補正?) 50 コマ分の料金でスキャナー購入可能? 5
自分でスキャン に必要な機材 フィルムスキャナー ハイ アマのニーズに応える市販機材は限られる ( 高品位フィルムスキャナー (10 万円 ~) は製造終了 ) ドキュメントスキャナー兼用機 Epson ES-10000G GT-X970 など CanoScan 9000F など フィルムスキャン専用機 レタッチ環境 Plustek OpticFIlm 7400 など デスクトップ型パソコン カラーマネジメント機能付モニター レタッチソフト 6
デジタル化の作業手順 : 1. スキャナーでフィルムをスキャン : 光学情報 デジタル写真情報 ( データ ) に変換 2. パソコン レタッチソフトで画像を補正 : デジタル写真の修整技術を応用 ゴミ除去 WB 色調 コントラスト補正など 3. パソコンに保存 : フォルダーの階層管理 ファイル名に配慮 検索を容易に 4. パソコン障害に備え 外部記憶媒体にバックアップ保存 : 外付け HDD CD DVD 外部サーバーなど 7
フィルム読み込み デュープ ( 複製 ) 応用可能? 35mm スライドデュープ器 デジタル一眼でも使える? マクロレンズ デジカメ撮像素子 デュープフィルム 中判フィルム用デュープシステム : 自作? デジカメ ライトボックス たぶん スキャナーを使った方が効率的 高品位? 8
入手可能なスキャナー ( 市販機 ) フィルムスキャナー専用機 35mm 専用機 1 万円 ~5 万円 フラットベッド型スキャナー ( 文書スキャナー兼用 ) Plustek OpticFIlm 7400 3 万円 Epson ES-10000G (A-3) 16 万円 アマチュア用高品位フィルムスキャナーは市場から姿を消した Nikon Super Coolscan 5000 ( 製造終了 ) Epson GT-X970 6 万円 CanoScan 9000F 2 万 3 千円 9
スキャナーの動作 縦方向にセンサーを移動 ピクセル形成 縦方向解像度 = 走査の密度で決まる 棒状集合センサー 横方向に電子的に走査 ピクセル形成横方向解像度 = センサー単体の横巾で決まる 10
フラットベッドスキャナーの構造 コンタクトセンサー型 ミラー走査型 ( 例 Epson ES-10000G) 透視用光源 フィルム レンズ 電子的走査 センサー センサー 棒状集合センサーの電子走査 ( 横方向 ) と機械的移動による走査 ( 縦方向 ) を複合 構造が簡単 ( 低価格 ) 光学的精度に制約? 移動 光学系 ミラー ( 実際の構造はもっと複雑 ) 鏡の回転で光学的に走査 高度な光学系とセンサーを使用 高価 (A3 用 16 万円 ~) 光学的精度は良好? 11
コンタクトセンサー使用のフラットベッド型スキャナー 例 : CanoScan 9000F 35mm スライド 透過光源 センサー スキャン面 ブロニースリーブ フィルムホルダー 12
画質比較 645 Coolscan5000 (35mm にカットしてスキャン ) 645 CanoScan9000F デジタル撮影 Nikon D200 13
画質拡大比較 645 Coolscan5000 デジタル撮影 Nikon D200 CoolScan5000: 画質はデジタル撮影にやや劣る CanoScan9000F: スキャナーの光学的解像度の限界が顕著に見られる 645 CanoScan9000F 14
スキャン作業 1. 事前準備 フィルム表裏のゴミをブロアー クリーナー液で出来るだけ除去 35mm マウントの場合 隠れた部分を出すか 出さないか スキャナーのガラス面を拭清 2. スキャナー設定 : エコで行こう! 高解像度に設定 スキャンに時間かかり メモリーを使う 光学的分解能に制約 高解像度でスキャンしても画質改善せず 試行して 使用目的に合った解像度 満足できるレベルを探す 保存形式 TIFF: 非圧縮 処理時間長く メモリーを大量に使う 本当に必要? JPG: 非可逆圧縮 保存を重複すると加速的に画質が劣化 元データを残し コピー をデジタル加工するクセをつける 15
3. 保存先フォルダーの準備 どんな まとまり で保存? 分かりやすいフォルダー名で開設 まとまり 毎に 識別しやすいファイル名を ( 撮影地名 + 連番. jpg 等 ) 保存フォルダーの階層設計例 1. 撮影年月をキーに : レベル -1 フォルダー名 : 2011 年 レベル -2 フォルダー名 : 1 月 レベル -3 フォルダー名 : 美ヶ原撮影会 ファイル名 1101utsukushi001.jpg 2. 撮影場所をキーに : レベル -1 フォルダー名 : 日本 レベル -2 フォルダー名 : 美ヶ原 レベル -3 フォルダー名 : 2011 年 1 月撮影会 ファイル名 : 1101utsukushi001.jpg 3. パソコン内保存 : 撮影年月をキーに ( 記憶がまだ新しい ) 外部保存 : 撮影場所をキーに ( 将来の検索を容易に ) 16
スキャン後のデジタル補正 1. フィルム画面のキズ 付着したゴミ カビの消去 = 消去したい部分を他の情報で置き換える作業 1 背景が空など単純な場合 : スポット修復ブラシ パッチツール ブラシで選択した中にある異質な情報を 周辺の情報で自動的に置き換え 2 背景に複雑な情報がある場合 : コピー スタンプツール 除去したい部分に 他の部分をコピーして貼り付け ( スタンプ ) 2. 劣化した色調 ( 褪色 変色 ) の補正 1 ホワイトバランス回復 ( 無彩色ポイントの RGB 値均等化で調整 ) 2 色調 コントラスト シャープネス等の補正で見栄えを回復 3. レタッチ ( 不都合箇所の修整 ) 1 トリミング 異物除去 部分補正 ( 焼き込み 覆い焼きなど ) 17
フィルム画面のキズ 付着したゴミ カビの消去 1. 画面をピクセル等倍 (Ctrl+Alt+0) それ以上 (Ctrl++) に拡大 2. スポット修復ブラシ ( 背景が単純な場合 ) 1 ゴミより少し大きめ 柔らかいブラシ (0%) を使う 2 ゴミの上でクリック ( 点 ) 又はドラッグ ( 線 ) 3. コピースタンプツール ( 背景に情報がある場合 ) 1 補修個所より少し大きめ 硬いブラシ (100%) を選ぶ 2 補修個所の背景に似たパターン ( ソース ) をコピー (Alt + クリック ) 補修個所の上でスタンプ ( クリック ) 注意 : パタパタと連続使用 不自然なパターンが生じやすい ソースの場所を小マメに変え スタンプを非直線的に 微妙な箇所 画面を更に拡大 ブラシを小さくして根気よく作業 4. 色ムラ 異色 斑点などが生じたら 1 操作やりなおし (Ctrl + Z) 又は ヒストリー で戻ってやり直し 2 まだムラが生じたら ブラシのサイズ 硬さを変え 再挑戦 18 100 %
ゴミ カビの除去例 スポット修復ブラシ スポット修復ブラシをドラッグ コピースタンプツール スポット補修ブラシ実習 19
褪色した写真の修復 : 1. ホワイトバランスの回復 1.1 画面からグレイポイント ( 無彩色の部分 ) を探し出し カラーサンプルツール ( スポイト ) で RGB 値を測定 1 窓枠 ( 白 ) 2ヤブの陰 ( 黒 ) 3 白樺 ( グレイ ) 1 3 1 2 2 3 撮影 : 1967 年 10 月尾瀬フジクローム R 値に比べて G 値 B 値が低い ( 赤カブリ ) 20
1.2 各グレイポイントの R G B 値が近似になるように 夫々のトーンカーブを調整調整前調整後 2.RGB 一括トーンカーブで全体の明度 コントラストを整える 3. ゴミを除去 仕上げ ホワイトバランス回復デモ 21