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は Blue Print for Air Transportation にて民間航空長期計画を作成 アクションプラン DGCA 5-Year Strategic Plan を作成した上 航空安全に係る総合的な対策の強化を図っており 本事業はこれに寄与するもので

欠であり 運輸交通分野を中心に膨大なインフラ投資が必要になると見込まれる これらのインフラ整備にあたっては 案件ごとにマスタープランから工事まで段階を踏んで検討 建設が進められるが 対象地の地形などを確認 把握するため 検討段階に応じた精度の地図が必要となる 現在 同国では基本的な測地基準点網が整備

ログラムの審査に産業界からも参画を得ることで 大学がエンジニア予備軍である学部学生に対し社会のニーズに即した教育を実践できるよう 促進する役割を果たしている かかる状況の下 エンジニアの量的拡大が質を伴う形で実現されるよう インドネシア政府は我が国に対し LAM-PS としての インドネシアエンジニ

事業事前評価表 国際協力機構社会基盤 平和構築部運輸交通 情報通信グループ 1. 案件名国名 : バングラデシュ国案件名 : 和名橋梁維持管理プロジェクト 有償勘定技術支援 英名 Bridge Management Capacity Development Project 2. 事業の背景と必要性

事業事前評価表

事業事前評価表

研究は重要項目とされている 本事業は CERMEL と長崎大学の共同研究を通じて 1 対象地域におけるウイルス感染症の流行状況の解明 2 新規に同定されたウイルスの性状解析 3 公衆衛生対策上優先度の高いウイルスに対する診断法の開発を行い ガボン側研究機関のウイルス感染症研究開発の能力向上に貢献する

事業事前評価表

(Microsoft Word - \216\226\221O\225]\211\277\225\\ doc)

事業事前評価表 1. 案件名国名 : ラオス人民民主共和国案件名 : ルアンパバーン世界遺産の持続可能な管理保全能力向上プロジェクト Project for Capacity Enhancement for Sustainable World Heritage Management and Pres

事業事前評価表

護ディプロマ課程を 3 年制看護ディプロマ課程に変更したのに加え ディプロマ課程看護師の現任研修により学士が取得できる 2 年制ポスト ベーシック課程とは別に大学教育として看護学士課程制度 (4 年制 ) を導入することを定めた 学術的に高度な 4 年制看護学士課程の卒業生は輩出されたばかりであるが

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事業事前評価表 国際協力機構地球環境部環境管理第一チーム 1. 案件名 国名 : パキスタン国案件名 : 和名パンジャブ州上下水道管理能力強化プロジェクト英名 Project for Improving the Capacity of WASAs in Punjab Province 2. 事業の背

事業事前評価表

事業事前評価表

援 GHGインベントリ策定にかかる技術移転等 気候変動対策を推し進めるための包括的な支援を実施した 同プロジェクトの成果として 国家気候変動緩和行動計画 (RAN-GRK) に基づき州気候変動緩和行動計画 (RAD-GRK) の策定が進められるとともに 国家気候変動適応行動計画 (RAN-API)

(2) 当該国における地震防災分野の開発政策と本事業の位置づけネパール政府は 2009 年に災害リスク国家管理戦略を制定し 対象災害の一つとして地震を上げている 地震防災分野は 2009 年に設置された National Platform for Disaster Risk Reduction にお

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事業事前評価表

事業事前評価表

(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

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と衝突して沈没し 147 人が死亡 2014 年 8 月にはパドマ川で約 250 人を乗せたフェリーが荒天のため転覆し 110 人が死亡等の大事故が発生している また 同国は 雨季には大型サイクロンが度々ベンガル湾から来襲し 沿岸部で遭難事故が多発するなど 地理的に自然災害の影響を受けやすい地域であ

新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

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ジャカルタ大都市圏空港整備計画調査の必要性については JICA が 2008 年 1 月に実施した 次世代航空保安システム整備に係るフィージビリティー調査 でも提言がなされており 既存空港の拡張及び効率的運用を含めたジャカルタ首都圏周辺の適切な空港整備に係る長期的な計画を策定する必要性は高い インド

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事業事前評価表

事業事前評価表 1. 案件名 ( 国名 ) 国際協力機構南アジア部南アジア第四課 国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 貧困削減戦略支援無償 ( 教育 ) (Poverty reduction efforts) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における初等教育セクターの現状と課題バン

令 (2006 年 5 号 ) では 2025 年までの国家エネルギー政策の数値目標を設定し エネルギー供給量に対する新 再生可能エネルギーの目標値を 17%( うち地熱エネルギーは 5 %) に定めた また 2010 年の Vision 25/25 において 新 再生可能エネルギーの目標値を 25

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0528事業事前評価表(円借款+附帯技プロ)final.doc

おらず 園芸作物の生産量の増加につれ 収穫期の値崩れや農産物の廃棄 低い保存 加工技術 資金へのアクセス等の課題に直面しており 収入が期待通りに伸びていない また 農家への技術支援を担う中央や地方の行政機関の職員および普及員数は少なく 十分に機能していない状況にあり 小規模農家の根本的な課題解決には

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事業事前評価表

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム (SATREPS) 研究課題別中間評価報告書 1. 研究課題名 テーラーメード育種と栽培技術開発のための稲作研究プロジェクト (2013 年 5 月 ~ 2018 年 5 月 ) 2. 研究代表者 2.1. 日本側研究代表者 : 山内章 ( 名古屋大学大学

無償資金協力 案件概要書 2017 年 8 月 29 日 1. 基本情報 (1) 国名 : カンボジア王国 (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 : シハヌークビル特別市 プノンペン (3) 案件名 : 港湾近代化のための電子情報処理システム整備計画 (The Project for Port

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事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 (SATREPS)) 国際協力機構地球環境部防災第一チーム 1. 案件名国名 : フィリピン共和国案件名 : 和名 フィリピンにおける極端気象の監視 情報提供システムの開発 英名 The Project for Development of Ex

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責任ある農業投資 - 原則の策定に向けた背景と概要 年 7 月 外務省

2008年6月XX日

Microsoft Word - 事前評価

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DDL12Prnt001

架鉄道三路線 ( うち 二路線は軽量 ) の総延長は 50km にとどまっている 首都圏南方については マニラ市ツツバンからカブヤオ市ママティッドまでの区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみである 首都圏北方は 居住エリアが拡大しているものの 十分な公共交通手段が確保されていないた

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区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみであり 十分な公共交通手段が確保されていないため 同エリアと周辺に住む住民はバスや自動車等により通勤しているが 道路の混雑により 通勤に大きな支障が出ている 加えて 南北鉄道事業南線 ( 通勤線 ) ( 以下 本事業 という ) の対象区間には

(2) 当該国における保健医療セクターおよび科学技術セクターの開発政策と本事業の位置づけ インドネシア保健省は 国家長期保健開発計画 およびその具体的な施策となる 保健セクター戦略計画 において感染症対策を重点項目の一つに位置づけている また インドネシア研究

事業事前評価表

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評価調査結果要約表 1. 案件概要 国名 : メキシコ合衆国案件名 : メキシコ国電子分野における研究 教育手法の開発分野 : 中小企業振興援助形態 : 技術プロジェクト所轄部署 : 中南米部中米 カリブチーム協力金額 ( 評価時点 ):20,375 千円協力期間 (R/D):2003 年 11 月

新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

08 年 月 日 バングラデシュ 地理情報標準策定計画 / GIS 計画 サモア ジェンダー分析 平和構築 国家地理空間情報整備支援プロジェクト詳細計画策定調査 ( 地理情報標準策定計画 / GIS 計画 ) 09 年 月中旬 ~ 現地派遣渡航留意 09/0/9 ~ 09/0/08 09 年 月下旬

プロジェクト ( 年 ) 独 (KfW): 西ナイル地区に特化した配電網の拡充 小水力の開発 ( 年 ) 3. 事業概要 (1) 事業の目的ウガンダにおける産業活性化が期待できる地方において 長距離配電線 (33kV 配電線 ) の資機材の調達 据付を行うことによ

を余儀なくされている発表されている このような状況下 当国 NGO カサ アリアンサは 1988 年の設立以来 メキシコ市において路上生活を営む子供の保護 心身のケア 家族との再会支援 社会的自立に向けた教育支援に取り組んできた JICA は 2000 年 12 月から 3 年間 カサ アリアンサを

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事業事前評価表

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国 アメリカ ロシアに次いで世界第 4 位の電力消費国となっている (2014 年 ) 国内の電力供給に関しては 1,114,408GWh の需要に対して供給量は 1,090,851GWh と 2.1% の不足 供給能力もピーク時 153,366MW の需要に対して 148,463MW と 3.2%

支援 及び 不均衡の是正と安全な社会造りへの支援 の中で重点分野として掲げており また JICA も国別分析ペーパーの協力プログラムにおいて 首都圏の都市基盤整備プログラム や 地方開発 拠点都市圏整備プログラム の中で開発課題として位置づけている 上水道セクターにおいては 日本は下記 3.(9)

の理解と参加を促進し, 開発協力を支える社会的基盤をより一層広げ, 強化するために, NGO/ 市民社会 (CSO) との連携が推進されるべきことが謳われたところである 以上の経緯と背景の下に NGO と ODA の連携に関する中期計画 ~ 協働のための 5 年間の方向性 ~ が策定されることとなっ

Microsoft Word - 事前評価表最終版0623final.doc

事業事前評価表

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Microsoft Word - MMR事業事前評価表.doc

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年次報告書090903_入稿

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事業事前評価表 ( 開発計画調査型技術協力 ) 作成日 :2016 年 7 月 11 日担当部署 : 産業開発 公共政策部民間セクターグループ第二チーム 1. 案件名国名 : エチオピア連邦民主共和国案件名 : ( 和名 ) 産業振興プロジェクト ( 英名 )Industrial Promotion

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

ローカルコスト負担 65,633 千円その他 相手国側 : カウンターパート配置 44 名土地 施設提供プロジェクト予算 ( 人件費含む ) 3,220,000 千ドン ( ) その他 2. 評価調査団の概要 調査者 ( 担当分野 : 氏名職位 ) 1. 総括 : 星野和久国際協力機

Microsoft Word - 【外務省】インフラ長寿命化(行動計画)

評価調査結果要約表 1. 案件の概要 国名 : ザンビア共和国 分野 : 生産安定 生産性向上 / 農村開発 案件名 : 農村振興能力向上プロジェクト 援助形態 : 技術協力プロジェクト 所轄部署 : ザンビア事務所協力金額 ( 評価時点 ):7.18 億円協力期間 R/D:2009 年 11 月

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の無償資金協力で整備されたニバンガⅢ 号 (2015 年 ) 及びマヌフォラウ号 (2002 年 ) が担っているが これら定期船 2 隻は 1 回の航海で複数の離島に寄港するため 限られた時間内での離島訪問等には対応できないため マナウイ号が補完的な役割を担っている しかしながら マナウイ号は現在

[グループⅠ]公募仕様書案

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スライド 1

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CONNEX Basic Principles

事業事前評価表セネガル事務所 1. 案件名国名 : セネガル案件名 : 天水稲作持続的生産支援プロジェクト Project on Supporting Sustainable Production of Rain Fed Rice Projet d appui à la production dur

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07 SDGsとCSV演習

公共工事等における新技術活用システムについて 別添 公共工事等に関する優れた技術は 公共工事等の品質の確保に貢献し 良質な社会資本の整備を通じて 豊かな国民生活の実現及びその安全の確保 環境の保全 良好な環境の創出 自立的で個性豊かな地域社会の形成等に寄与するものであり 優れた技術を持続的に創出して

新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

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事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 (SATREPS)) 農村開発部農業 農村開発部第二グループ 1. 案件名国名 : スーダン共和国案件名 : 和名ストライガ防除による食料安全保障と貧困克服英名 The project for development of counter measures against Striga to conquer poverty and improve food security 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における農業セクターの開発実績 ( 現状 ) と課題スーダン共和国 ( 以下 スーダン という ) は アフリカ大陸北東部の乾燥 半乾燥地域に位置し 国土面積は約 188 万平方キロ 人口約 4,023 万人を擁し 一人当たり GNI は約 1,840 ドル (2015 年 世銀 ) を数える 農業セクターは GDP の 35~40% に貢献し (2016 年 世銀 ) 石油以外の輸出額の約 80% を占めると共に人口の約 65% の生計を支える重要セクターである 2011 年 7 月の南スーダン分離独立後は石油収入が激減したことから 農業開発は最重要課題の一つとなっている 同国の耕作面積の約 90% は天水条件下で 主要作物はソルガム ミレット サトウキビ コムギ 綿花 陸稲等である ソルガムは主食で 茎葉も家畜 ( ヒツジ ウシ等 ) のエサや住居材料に使われる重要作物である しかし 単収 (0.44~0.78 t/ha) は国際水準 (1.28 t/ha) を大きく下回るうえ年々低下している 単収低下の主な原因はストライガと呼ばれるハマウツボ科の根寄生雑草 1 の繁茂によるものであり この雑草の防除は天水条件でソルガムを生産する貧困層の生計向上と国の食料安全保障の観点から喫緊の課題である ストライガ被害は アフリカ アラビア半島 オーストラリア他で報告があり ソルガム メイズ イネ ササゲ等の被害が知られ 被害の多い系統 (S. hermonthica) だけでサブサハラ アフリカで 1,000 万ヘクタールの農地が影響を受けているとされる (2006 年 国連食糧農業機構 (FAO)) 2 また同地域で年間 70 億ドルの被害があるとの報告もある (2013 年 オーストラリア クイーンズランド州政府 ) (2) 当該国における農業セクターの開発政策と本事業の位置づけスーダン政府は農業計画 (2017 年 ~2020 年 ) で主食であるソルガム栽培の振興を謳っている 暫定貧困削減ペーパー (I-PRSP)( 2012 年 ) でも農業を成長の牽引役に 1 根寄生雑草は 宿主作物の根から養分を収奪して成長する アフリカでの最初の被害は 1936 年と報告されている (2013 年 オーストラリア クイーンズランド州政府 ) 2 FAO のウェブサイト参照 http://teca.fao.org/read/4555 1

位置付ける他 FAO の支援で策定された農業投資計画 (NAIP:2016 年 ~2020 年 ) が 生産性向上や普及 研究の強化を優先課題に挙げており 本事業はこれらに整合する (3) 農業セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績農業開発は対スーダン共和国国別援助方針 (2012 年 12 月 ) の重点 3 分野の一つである 同国が農業開発に高い潜在性を有する一方 多くの貧困層が農業に従事していることに鑑み 貧困削減と食料安全保障に寄与する農業開発を支援する考え方である 農業のリスク要因である気候変動への対策の重要性も認識されており 水不足の条件下で被害が甚大となるストライガ 3 の防除は その点からも重要である ストライガ防除への協力は 科学技術協力 根寄生雑草克服によるスーダン乾燥地農業開発 (2010 年 ~2015 年 ) を通して行った実績を有しており 本事業では同事業で得た自殺発芽誘導の有効性等の知見を最大限活用する (4) 他の援助機関の対応 FAO が NAIP の作成支援をしている他 国連国際農業開発基金 (IFAD) はセンナール州の小規模天水農業等に協力 国連世界食糧計画 (WFP) は食料援助を実施している また世界銀行 (WB) はアグリビジネス振興等を支援している これまでのところストライガ防除に関する協力はなく本事業との重複はない 3. 事業概要 (1) 事業目的 ( 協力プログラムにおける位置づけを含む ) 本事業は スーダン側との協働で開発されるストライガ属を含むハマウツボ科雑草の効果的な防除技術の省庁横断的な普及体制整備を図り もって新たなストライガ対策の普及の進展に寄与するもの (2) プロジェクトサイト / 対象地域名ハルツーム州 ( 実施機関 協力機関の実験室 研修施設 試験圃場等 ) ワドメダニ ( 協力機関の実験室 試験圃場 ) 及びゲダーレフ州 ( 農民学校 (Farmer Field School: FFS) を含む普及手法の実施地域 ) 4 (3) 本事業の受益者 ( ターゲットグループ ) 直接受益者: カウンターパート機関の研究者および技術職員 ( 国立研究センター (National Center for Research:NCR) 農業研究機構(Agricultural Research Corporation:ARC) スーダン科学技術大学(Sudan University of Science and 3 水不足条件下で気孔を閉じるソルガムは 同条件で気孔を閉じないストライガによって水分と養分を直接根から収奪される 4 ゲダーレフ州はストライガの被害が深刻であり実施機関の体制も整っている 2

Technologies:SUST) を含め約 30 人 ) およびゲダーレフ州における FFS 等の普及試験事業の参加農民 (5 年間で約 500 人 ) 最終受益者: 農民学校 (FFS) 等の普及試験事業参加以外のゲダーレフ州の農民 ( 約 500 人 ) と想定される (4) 事業スケジュール ( 協力期間 ) 2017 年 4 月 ~2022 年 3 月 (60 カ月 ) (5) 総事業費 ( 日本側 ) 約 3 億 7 千万円 (6) 相手国側実施機関国立研究センター (National Center for Research(NCR) 高等教育科学研究省 (MoHESR) 所轄 ) が責任機関としてスーダン側機関を調整しつつ日本側研究者との協力を実施する スーダン側から ARC( 連邦農業林業省 (MoAF) 所轄 ) ゲダーレフ州農業灌漑省 (Gedaref State Ministry of Agriculture and Irrigation(GSMAI) MoAF 所轄 ) および SUST(MoHESR 所轄 ) が参画する (7) 国内協力研究機関 神戸大学 ( 研究代表の所属機関 ) および大阪府立大学の研究者が本事業に参画す る (8) 投入 ( インプット ) 1) 日本側専門家派遣 ( 長期専門家 ( 業務調整 ) 短期専門家( 天然物化学 有機合成化学 植物生理学 作物学等 ) 供与機材( ドラフトチェンバー サーマルサイクラー等 ) 研修員受入れ( 天然物化学 有機合成化学 植物生理学 作物学等 ) 現地活動費等 2) スーダン国側カウンターパート ( 雑草学 植物生理学 作物学等 ) の配置 事業に必要な機材 施設 圃場 活動費 ( 人件費 旅費 消耗品費等 ) 光熱水費等 (9) 環境社会配慮 貧困削減 社会開発 1) 環境に対する影響 / 用地取得 住民移転 1 カテゴリ分類 : C 2 カテゴリ分類の根拠 : 本事業は 国際協力機構環境社会配慮ガイドライ 3

ン (2010 年 4 月公布 ) 上 環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため 2) ジェンダー平等推進 平和構築 貧困削減カウンターパート研修や FFS の対象者選考等で適宜ジェンダー配慮を行う (10) 関連する援助活動 1) 我が国の援助活動 JICA は 根寄生雑草克服によるスーダン乾燥地農業開発プロジェクト (2010 年 ~2015 年 ) によりストライガ対策にかかる協力を実施し 新規化合物による同雑草の自殺発芽誘導を確認する等の成果を得た 本事業では 当該事業の成果の進展 普及を図る また 稲作振興能力強化プロジェクト を同国ゲジラ州を含む 6 州対象に実施する予定であるが イネはストライガ対策を必要とする作物の一つでもあることから適宜情報共有等の連携を行う 2) 他ドナー等の援助活動 FAO はスーダンでストライガ対策の協力を実施していないが同分野にかかる近隣国の情報を収集しているので適宜情報共有を図る 4. 協力の枠組み (1) 協力概要 1) 上位目標と指標新たなストライガ属を含むハマウツボ科対策の普及が進展する ( 指標 ) ストライガ防除のために開発された革新的技術の実用に係る プロジェクトによって提案された明確な提言及びアクションプランが ゲダーレフ州を越えて適用される 2) プロジェクト目標と指標スーダン側機関との協働により開発されるストライガ属を含むハマウツボ科の雑草に対する効果的な防除技術の普及方策が具体化する ( 指標 )1. ストライガ防除に係る対策を協議するために機能する省庁横断的な会議で開発技術が承認される 2. 研究と普及が協働するストライガ防除のための NCR ARC および SUST の中期予算計画が作成される 3) 成果 1. 革新的なストライガ防除技術が共同開発される 2. ストライガの除草促進につながる有用物質が見出される 3. 耕種的手法によるストライガ防除のための技術が改善され普及される 4

4. ストライガ防除の取り組みを省庁横断的に推進する NCR の運営による対策会 議において 開発技術の適用に向けた方策が検討される 5. 前提条件 外部条件 (1) 前提条件 関係省庁がストライガ防除対策重視の方針を変更しないこと (2) 外部条件 ( リスクコントロール ) 対象地域で紛争が起きる或いは他地域の紛争の影響で対象地域への渡航が制限される等の事態が起きないこと かかる事態が起きた場合 できる限りカウンターパートの本邦研修等で技術移転し スーダンでの作業を可能な限りカウンターパートが自立的に行う体制を構築する 6. 評価結果本事業は スーダン国の開発政策 開発ニーズ 日本の援助政策と十分に合致しており また計画の適切性が認められることから 実施の意義は高い 7. 過去の類似案件の教訓と本事業への活用 (1) 類似案件の評価結果本事業は 技術協力 根寄生雑草克服によるスーダン乾燥地農業開発プロジェクト (2010 年 ~2015 年 ) の後継である 同事業の終了時評価では スーダン科学技術大学 (SUST) の雑草研究センター (National Weed Research Center) 構想と同構想を通じ供与機材 ( 光合成測定装置 液体クロマトグラフィー等 ) を他機関に開放する方針を持続性確保につながる動きとして評価した 他方 先行事業に従事した SUST の若手研究者が SUST の業務を継続せず持続性面で課題となった (2) 本事業への教訓本事業では 国の研究開発機関である NCR が代表機関であるが SUST も引き続き協力機関であり前回の協力成果が活用される SUST の雑草研究センター構想は維持されており 同構想の実現は持続性確保に重要であることから 本事業の成果が組織に蓄積され持続的に活用されるべく 継続的に先方政府等に対する働きかけを行っていく 8. 今後の評価計画 (1) 今後の評価に用いる主な指標 4.( 1) のとおり (2) 今後の評価 5

事業終了 3 年後 事後評価 以上 6