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Transcription:

多摩交流センター 市民企画による共催事業 シンポジウム 多摩地域から考える エコツーリズム とは 報告書 2009 年 3 月 特定非営利活動法人フジの森

初めてのシンポジウムを終えて 地域ぐるみで自然環境や歴史文化など 地域固有の魅力を観光客に伝えることにより その価値や大切さが理解され 保全につながっていくことを目指していく エコツーリズム エコツーリズム推進法 が 2008 年 4 月 1 日より施行され 自然や文化への理解を深め そのよりよい保全とゆとりある活用により 観光と産業を持続的に発展させ 地域社会そのものが活性化されていくことが期待されています さて 特定非営利活動法人フジの森は 2008 年 12 月 23 日 ( 祝日 ) に立川市 JA 東京第一ビル4F 講堂で シンポジウム 多摩地域から考えるエコツーリズム とは を開催し 150 席用意した会場も立ち見がでるほどの盛況で 182 名が参加されました このシンポジウムは 財団法人東京市町村自治調査会多摩交流センターが 多摩のまちづくりを進めるため より広域的で 緊急性 重要性の高い多摩地域の課題について 市民企画による共催事業 として NPO 法人フジの森と共催で 開催したものです また とうきょう森林産業研究会とも共催することができ さらに 檜原村 奥多摩町 東京都の後援を得ることができました 関係者の皆様に心から感謝いたします エコツーリズム とは 地域ぐるみで自然環境や歴史文化など 地域固有の魅力を観光客に伝えることにより その価値や大切さが理解され 保全につながっていくことを目指していく仕組みであり 理念です NPO 法人フジの森は 地域 ( 檜原村 ) の活性化なくして今後のフジの森の活動はないとの考えから シンポジウムを通して自然や文化への理解を深め そのよりよい保全とゆとりある活用により みずみずしい観光と産業を持続的に発展させる運動を展開するために 多摩地域からエコツーリズム推進の可能性をさぐることを考え 広くシンポジウムへの参加を呼びかけました おかげさまで多くの方のご支援 ご協力を得ることができ また年末の多忙な時期にも関わらず多くの方が参加され シンポジウムを初めて企画 運営した特定非営利活動法人フジの森にとっては 大変に大きな成功 次のステップに向けての大きな一歩となりました シンポジウムを支えて下さったスタッフの皆様 参加された皆様にお礼を申し上げたいと思います 2009 年 3 月 特定非営利活動法人フジの森 理事長清水久巳

目 次 1. 目的 ----------------------------------------------------------- 1 2. シンポジウムの概要 --------------------------------------------- 1 3. シンポジウム 3-1 第 1 部基調講演 3-1-1 問題提起 私たちが今抱える問題 東京の奥座敷から 坂本義次 ----------------------------------------------------- 5 3-1-2 エコツーリズムによる宝さがし 真板昭夫 ----------------------------------------------------- 10 参考資料ニッポンノケシキ嵯峨御流 --------------------- 20 3-1-3 多摩地域の役割と可能性 宮林茂幸 ---------------------------------------------------- 22 3-2 第 2 部事例発表 パネルディスカッション ----------------------- 31 事例発表者のプロフィール ------------------------------------- 32 3-2-1 檜原村の宝 (1) 地域の食と数馬地域の宝 山崎哲彦 ---------------------- 34 参考資料ヤブツルアズキ酒枝尚雄 --------------------- 38 (2) 笛吹( うずしき ) 地区の里山プロジェクト 間伐材のログハウスキット開発 助けて! 井上佳洋 ------------------------- 40 3-2-2 日原の宝 高橋弘 ------------------------------------- 48 3-2-3 とうきょう森林産業研究会 (1) 観光部会の発表 大人の地域再発見学 奥多摩から東京を見る 原島俊二 ---------------------------------------------------- 55 (2) 資源活用部会の発表 資源活用部会 の取り組み田畑由紀夫 -------------------------------------------------- 58 3-2-4 パネルディスカッションコーディネーター笹岡達男 ---------------------------------- 62 資料 1) 資料シンポジウム案内チラシ --------------------------- 69 2) 資料シンポジウム参加者アンケート ----------------------- 71 ( 表紙写真特定非営利活動法人フジの森清水久巳理事長の挨拶 )

1. 目的 エコツーリズムの基本理念は エコツーリズム推進法 ( 平成 19 年法律第 105 号 ) においては 自然環境の保全 観光振興 地域振興 環境教育の場としての活用 としています エコツーリズムは 地域ぐるみで自然環境や歴史文化など 地域固有の魅力を観光客に伝えることにより その価値や大切さが理解され 保全につながっていくことを目指していく仕組みです 自然や文化への理解を深め そのよりよい保全とゆとりある活用により みずみずしい観光と産業を持続的に発展させる運動を展開するために シンポジウムを通して多摩地域からエコツーリズム推進の可能性をさぐるものです 観光客に地域の資源を伝えることによって 多摩地域の住民も自分たちの資源の価値を再認識し 地域の観光のオリジナリティが高まり 活性化させるだけでなく 地域のこのような一連の取り組みによって地域社会そのものが活性化されていくことがシンポジウムの目的です

2. シンポジウムの概要 事業名 : 多摩交流センター 市民企画による共催事業 シンポジウム 多摩地域から考えるエコツーリズム とは プログラム : 次ページ参照 実施日 : 平成 20 年 12 月 23 日 ( 火 天皇誕生日 ) 実施場所 :JA 東京第一ビル4F 講堂 時間 :13 時から17 時 4F 展示室は 12 時から開場 主催 : 特定非営利活動法人フジの森 共催 :( 財 ) 東京市町村自治調査会多摩交流センターとうきょう森林産業研究会 後援 : 檜原村 奥多摩町 東京都 協力 : 数馬観光デザインセンター ( 社 ) 全国農協観光協会 全国木繊セメント板協会 ( 有 ) 東京国際貿易 東京都森林組合 日原森林館 ( 有 ) みやび ( 株 ) 森のいいこと ( 株 ) 森のエネルギー研究所 参加費 : 無料 ( ただし資料代 1000 円 ) 参加者数 :182 名 運営体制 実行委員長清水久巳 ( 特定非営利活動法人フジの森理事長 ) 副実行委員長宇高純一 ( とうきょう森林産業研究会会長 ) 実行委員 スタッフ特定非営利活動法人フジの森 とうきょう森林産業研究会 参加者の募集方法 新聞社 多摩地域のミニコミ紙等へリリース 特定非営利活動法人フジの森会誌 風のたより にて告知 多摩地域の市町村 区の公共施設他へ広報依頼他 司会原田敏郎 ( 特定非営利活動法人フジの森理事 )

プログラム 司会原田敏郎 (NPO 法人フジの森理事 ) 挨拶 13:00 13:05 NPO 法人フジの森理事長清水久巳 第 1 部基調講演 13:05 14:50 1. 問題提起 私たちが今抱える問題 東京の奥座敷から 坂本義次 ( 檜原村長 ) 2. エコツーリズムによる宝さがし 真板昭夫 ( 京都嵯峨芸術大学観光デザイン学科教授 ) 3. 多摩地域の役割と可能性 宮林茂幸 ( 東京農業大学地域環境科学部森林総合科学科教授 ) 休憩 14:50 15:10 第 2 部事例発表 パネルディスカッション 15:10 17:00 コーディネーター笹岡達男 (NPO 法人フジの森理事 ) 1. 檜原村の宝 地域の食と数馬地域の宝 ----------- 山崎哲彦 (NPO 法人フジの森理事 ) 笛吹( うずしき ) 地区の里山プロジェクト 間伐材のログハウスキット開発 ----------- 井上佳洋 2. 奥多摩町 : 日原の宝 ------------------- 高橋弘 3. とうきょう森林産業研究会 観光部会の発表 ------------------- 原島俊二 資源活用部会の発表 --------------- 田畑由紀夫 4. パネルディスカッション 舞台生け花 嵯峨御流景色生け -------- 江口聖弥 展示 試食 実演 (4 階別室にて ) 12 時 13 時 14 時 50 分 15 時 10 分 開会前に司会から シンポジウムの報告などに利用するために 会場内の写真撮影を行うことへの了解を求 め 撮影を拒否される方は撮影者に申し出て下さるようお願いしたところ 異議はなく会場の了解が得られた