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かぐや (SELENE) の目的と役割 1. 目的 科学観測月表面の元素分布 鉱物分布 地形 表層構造 重力場 磁場を詳細に観測し 月の誕生と成り立ちの解明を目指すとともに 月周辺の高エネルギー粒子 プラズマなど 月の環境を観測します 将来の月面活動のための調査取得された観測データは 将来の月面上活動や月の利用のための調査検討に活用されます 宇宙開発を身近に知っていただくための活動搭載しているハイビジョンカメラを用いて かぐや (SELENE) から地球が月の地平線から現れる 地球の出 を撮影し 皆様にお届けします 2. データ利用かぐや (SELENE) で観測されるデータは 科学者による検証作業を終了した後 ホームページを通じて公開し 観測データを利用する機会を提供します 2

かぐや (SELENE) の衛星諸元 子衛星 子衛星 ハイゲインアンテナ 太陽電池パドル 主衛星 質 量 約 3 ton( 打ち上げ時 ) ( 子衛星約 50kg 2 機を含む ) 構体外形寸法 姿勢制御方式 約 2.1 2.1 4.8m 3 軸固定 発生電力約 3.5 kw( 最大 ) ミッション期間 観測軌道 約 1 年 高度 100km/ 軌道傾斜角 90 度 月レーダサウンダアンテナ部 4 本主衛星月磁場観測装置 ( マスト部 ) 質量約 50 kg ( それぞれ ) 構体外形寸法 姿勢制御方式 約 1.0m 1.0m 0.65m ( 八角柱状 ) スピン安定 発生電力約 70 W ( 最大 ) 観測軌道 : ( 分離時 ) 子衛星 リレー衛星 高度 100km 2400km の楕円軌道 / 軌道傾斜角 90 度 VRAD ブイラド 衛星 高度 100km 800km の楕円軌道 / 軌道傾斜角 90 度 3

かぐや (SELENE) の観測ミッション 機器名称観測項目観測内容 1 蛍光 X 線分光計 元素分布 太陽からのX 線を受けて月面から放射される二次 X 線を観測し 月表面のAl,Si,Mg,Fe 等の元素 分布を調べる 2 ガンマ線分光計月面から放射される γ 線を観測し 月表面の放射性元素 (U Th K 等 ) 分布を調べる 3 マルチバンドイメージャ鉱物分布月面からの可視近赤外光を複数の波長で観測し 地質を調べる 4 スペクトルプロファイラ 月面からの可視近赤外光における連続スペクトルを観測し 地質中に含まれる鉱物の組成等を調 べる 5 地形カメラ 地形 高分解能 (10m) カメラ2 台のステレオ撮像により 標高を含む地形データを取得する 6 月レーダサウンダ 表層構造 月面に電波を発射し その反射により月の表層構造 ( 地下数 km 程度 ) を調べる 7 レーザ高度計月面にレーザ光を発射し その反射時間により 地形の起伏 高度を精密に測定する 8 磁力計月面環境月面および月周辺の磁気分布を観測する 9 粒子線計測器 月周辺における 宇宙線や太陽から放射される高エネルギー放射線 及び月面から放射されるα 線を観測する 10 プラズマ観測器月周辺の太陽風の電子とイオン及び月面からの反射電子と二次イオンを測定する 11 電波科学衛星のリム通過時に衛星からの電波の位相変化を測定し 希薄な月電離層を検出する 12 プラズマイメージャ地球プラズマ環境月軌道から地球の磁気圏及びプラズマ圏のダイナミクスを画像として観測する 13 リレー衛星中継器 月の重力分布 主衛星が月裏側を飛行中に地球局との4ウェイドップラ計測を行う 主衛星の軌道擾乱から月裏 側の重力場データを取得する 14 衛星電波源 2 機の子衛星に搭載する電波源に対し地球局から相対 VLBI 観測を行い 両衛星の軌道を精密に 計測する これにより月重力場を精密に観測する 15 高精細映像取得システム映像取得月面上の 地球の出 等のハイビジョン撮影を行う 4

かぐや (SELENE) の主な機器配置 プラズマ観測器 プラズマイメージャ プラズマ観測器 VRAD 衛星 リレー衛星 地形カメラマルチハ ント イメーシ ャ スペクトルプロファイラ ハイゲインアンテナ 粒子線計測器 蛍光 X 線分光計 月面方向 太陽電池パドル レーザ高度計 スタートラッカ ガンマ線分光計 高精細映像取得システム オムニアンテナ 500N スラスタ 放熱面 1N スラスタ ミッション機器 バス機器 5

かぐや (SELENE( SELENE) ) 地上系システム 全体構成概念図 周回衛星 リレー衛星 SELENE の運用は, 相模原キャンパスに設置された SELENE ミッション運用解析センター (SOAC; SELENE Operation and Analysis Center) を中心に行われる X バンドミッションデータ受信 S バンド衛星管制 ( バックアップ ) VRAD 衛星 S バンド衛星管制 JAXA 地上局 追跡管制システム (TACC)( 筑波 ) USC( 内之浦 ) UDSC( 臼田 ) 相模原共通系 NASA 深宇宙局 SELENE ミッション運用解析センター (SOAC)( 相模原 ) SOAC 外研究者 観測計画 ミッション運用系システム 追跡管制システム データモニタ データ解析 ミッション計画 ミッションデータ レベル 0/1 処理システム ミッションデータ 観測計画 SOAC 内研究者 (JAXA) バス運用管制 計画 バス運用データ処理等 一般へのデータ公開 ミッションデータ ( 処理済 ) レベル 2DB 公開系システム データモニタ データ解析 ミッション計画 運用者

かぐや (SELENE) のミッションプロファイル 7

打ち上げ後の運用計画など 1. 打ち上げ後の運用計画 約 3 週間後 : 月軌道へ投入 約 40 日間後 : 定常観測軌道へ投入 バス機器 観測機器の初期チェックアウト開始 約 3ヵ月後 : 初期チェックアウト終了 定常観測の開始 2. かぐやの情報提供かぐや (SELENE) プロジェクトHP( 下記 URLを参照 ) などJAXA のHPを通じて 適宜 情報を提供 http://www.selene.jaxa.jp 3. かぐやのサイエンスに関する問合せ先 e-mail: kaguya_epo@jaxa.jp 8

かぐや (SELENE) のサイエンスについて 9

かぐや (SELENE) のめざす科学について 1. 月の科学 ( 主目的 ) 月の起源と進化の解明 2. 月での科学月面環境の解明 3. 月からの科学太陽地球系プラズマ環境の解明 月の起源に関する主なモデル 10

かぐや (SELENE) による月の起源と進化の解明 (1)1960 年代から70 年代の無人 有人探査 ( アポロ計画が代表例 ) 月周回観測 サンプルリターンなどが行われたが 月へ人を送ることを主目的としたことから 科学的成果は限定的 月は約 45 億年前に形成された 表と裏の構造が大きく異なっていることなどを明らかにしたが 月の起源と進化 については謎として残された (2)1990 年代以降の無人月周回衛星 (1994 年のクレメンタイン ( 米 ) 1998-9 年のルナ プロスペクタ ( 米 ) 2004-6 年のスマート 1(ESA)) 大まかな鉱物分布等の全域観測 極域に水氷がある可能性を示すデータを得たが 搭載観測機器の性能 観測軌道の制約のため 科学的成果は限定的 (3) かぐや (SELENE) による月周回探査月の起源と進化の解明のためには 月全域にわたり 元素 鉱物分布 表層構造 重力分布 磁場分布について 高精度なデータが必須であり かぐや (SELENE) はこれら全てのデータの取得を目的として開発された 11

かぐや (SELENE) 月科学観測器からのデータの統合による月の起源と進化の研究 月の原料物質 元素分布 月の内部構造 鉱物分布 地形 表層構造 重力場 磁場 月の 2 分性 マグマオーシャンの分化 進化 月の磁場の起源 月の起源 月の地殻 マントルの進化 月のテクトニクス 12

元素分布 蛍光 X 線分光計 (XRS) (PI: 加藤學 ISAS/JAXA) 太陽 X 線によって励起された表層からの蛍光 X 線を分析 Al, Si, Mg, Fe 等の主要元素を計測先進的な検出センサー CCD を使用エネルギーレンジ 0.7-10keV 高い空間分解能 20km x 20km X 線分光計検出器 ガンマ線分光計 (GRS) (PI: 長谷部信行早稲田大 ) 月面から放射される γ 線を観測し 月表面の元素 (U Th K H など ) の分布を調べる 高純度ゲルマニウム結晶 (250cm 3 ) を用いた高いエネルギー分解能 ( 高い元素識別能力 ) エネルギーレンジ 100 kev-16mev 空間分解能 160km ガンマ線分光計検出器 13

鉱物分布 マルチバンドイメージャ (MI) (PI: 大竹真紀子 ISAS/JAXA) 月面からの可視 近赤外光 (0.4 µm 1.6 µm) を 9 つの波長バンドで観測し 鉱物分布を調べる 空間分解能 20m-60m スペクトルプロファイラ (SP) (PI: 松永恒雄国立環境研究所 ) 月面からの可視 近赤外光 (0.5 µm 2.6µm) における連続スペクトルを観測し 月表面の鉱物組成を精度良く調べる 空間分解能 500m 14

地形 表層構造 月レーダサウンダー (LRS) (PI: 小野高幸東北大 ) 月面に電波 (5 MHz) を発射し その反射により月の表層構造 ( 地下数 km 程度まで ) を調べる 地形カメラ (TC) (PI: 春山純一 ISAS/JAXA) 高分解能 (10m) カメラ 2 台のステレオ撮像により 標高を含む地形データを取得する レーザ高度計 (LALT) (PI: 荒木博志国立天文台 ) 月面にレーザ光を発射し その反射時間により 地形の起伏 高度を精密に測定する 高度分解能 5m, 空間分解能 1600m 粒子線計測器 (CPS) ラドンからの α 線検出 15

重力場 リレー衛星中継器 (RSAT) (PI: 並木則行九州大 ) S/X バンドアンテナ 月裏側を飛行中の主衛星の電波を中継し これを地球局でドップラ計測することによって主衛星の軌道の擾乱を観測する これにより月裏側の重力場データを取得する 太陽電池 衛星電波源 (VRAD) (PI: 花田英夫国立天文台 ) リレー衛星および VRAD 衛星に搭載する S X 帯電波源を対象に 地球局による相対 VLBI 観測を行い 各衛星の軌道を精密に計測する これにより月重力場を精密に観測する (VLBI: 超長基線電波干渉計 電波の経路差から電波源の位置を正確に求める ) リレー衛星 16

月環境の観測 粒子線計測器 (CPS) (PI: 高島健 ISAS/JAXA) 月周辺における 宇宙線や宇宙放射線粒子 および月面のラドンから放射される α 線を観測する 月磁場観測装置 (LMAG) (PI: 綱川秀夫東京工業大 ) 月面および月周辺の磁気分布を観測する プラズマ観測装置 (PACE) (PI: 齋藤義文 ISAS/JAXA) 月周辺における 太陽風等に起因する電子およびイオンの分布を測定する イオン質量分析器 電波科学 (RS) (PI: 今村剛 ISAS/JAXA) VRAD 衛星からの電波が月表面を通過する時の電波の位相変化を観測して月電離層の検出を行う 17

月からの観測 プラズマイメージャ (UPI) (PI: 吉川一朗東京大 ) 月軌道から地球プラズマ圏全体を画像として観測しオーロラやイオンの流出を観測する 月レーダサウンダー (LRS) 惑星電波の観測 18

国民の理解増進 高精細映像取得システム (HDTV) (PI: 山崎順一 NHK) カメラは地球の出などを撮影する 地球の出 (Earth Rise) イメージ図 19