平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

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最高裁○○第000100号

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

最高裁○○第000100号

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどして不特定多数に送信したものであるから, 同行為により原告の著作権 ( 複製権及び公衆送信権 ) 及び肖像権が侵害されたことは明らかであると主張して, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 ( 以下 プ ロ

1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

1 前提となる事実等 ( 証拠の摘示のない事実は, 争いのない事実又は弁論の全趣旨から容易に認められる事実である ) (1) 当事者原告は, X1 の名称を使用してウエブサイトの制作請負を行っている者であり, 被告は, 不動産業を主な業務としている特例有限会社である (2) 原告によるプログラムの制

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

並びにそのコンサルタント業務等を営む株式会社である ⑵ 株式会社 CAは, 別紙著作物目録記載 1ないし3の映像作品 ( 以下 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の製作に発意と責任を有する映画製作者 ( 著作権法 2 条 1 項 号 ) であるところ, 本件各著作物の著

第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告に対し, 氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して, インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権 ( 著作権法 23 条 1 項 ) が侵害されたと主張して, 特定電気

最高裁○○第000100号

平成 30 年 6 月 15 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 5939 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 5 月 9 日 判 決 5 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告は, 別紙対象目録の 原告 欄記載の各原告に対し,

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

とは, 原告に対する名誉毀損に該当するものであると主張して, 不法行為に基づき400 万円の損害賠償及びこれに対する不法行為日以降の日である平成 24 年 9 月 29 日から支払済みまで民法所定の年 5 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いがないか,

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

告ツイッタージャパンの間では全て原告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求 ( 主位的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 1) 記載の各情報を開示せよ ( 予備的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 2) 記載の各情報を開示せよ 第 2 事案の

平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

第 2 事案の概要本件は, レコード製作会社である原告らが, 自らの製作に係るレコードについて送信可能化権を有するところ, 氏名不詳者において, 当該レコードに収録された楽曲を無断で複製してコンピュータ内の記録媒体に記録 蔵置し, イン ターネット接続プロバイダ事業を行っている被告の提供するインター

平成 30 年 3 月 29 日判決言渡同日原本受領裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 3 月 9 日 判 決 5 原告株式会社フィールドアロー 同訴訟代理人弁護士 青 山 友 和 被 告 ソ メ ヤ 株 式 会 社 同訴訟代理

判決【】

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

被告は,A 大学 C 学部英語専攻の学生である (2) 本件投稿等被告は, 大学 2 年生として受講していた平成 26 年 4 月 14 日の 言語学の基礎 の初回講義 ( 以下 本件講義 という ) において, 原告が 阪神タイガースがリーグ優勝した場合は, 恩赦を発令する また日本シリーズを制覇

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2 被控訴人らは, 控訴人に対し, 連帯して,1000 万円及びこれに対する平成 27 年 9 月 12 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要 ( 以下, 略称及び略称の意味は, 特に断らない限り, 原判決に従う ) 1 本件は, 本件意匠の意匠権者である控訴人が

日から支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団であ る原告が, 被告株式会社シーエム ( 以下 被告シーエム という ) が企画, 編集

平成22年5月12日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

原告は, 被告に対し, 万円及びこれに対する平成 29 年 3 月 1 日から支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は,1 原告が, 自らの作成に係る別紙 1( 甲 12の1 以下 本件本体部 分 という ) 及び別紙 2( 甲 12 の 2 以下 本件ライブラリ部分 と

最高裁○○第000100号

同目録記載の番号により 本件著作物 1, 本件著作物 2 といい, 本件著作物 1 及び本件著作物 2を併せて 本件各著作物 という ) の著作権を有する株式会社 CAを吸収合併し, 同社の権利義務を承継したところ, 被告が本件各著作物のデータを動画共有サイトのサーバー上にアップロードした行為が公衆

た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

権 ) を侵害するとともに, 原告をプロデューサーとして表示しない点及び劇場用映画として制作された本件映画をインターネットで公表する点において, 本件映画につき原告が有する著作者人格権 ( 氏名表示権及び公表権 ) を侵害する行為であり, 被告が今後本件映画を上映, 複製, 公衆送信若しくは送信可能

令和元年 6 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 31 年 ( ワ ) 第 2629 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 31 年 4 月 16 日 判 決 5 原告日本コロムビア株式会社 原告株式会社バンダイナムコアーツ 10 原告キングレコード株式会社 原告ら訴訟代理人

最高裁○○第000100号

主位的に自筆証書 ( 後述の本件文書 ) による遺言に基づいて遺贈を受けたこと, 予備的に死因贈与を受けたことを主張して, 不当利得 ( 主位的 ) 又は死因贈与契約 ( 予備的 ) に基づく3000 万円 ( 内金請求 ) 及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成 27 年 12 月 5 日か

ア原告は, 平成 26 年 12 月 26 日に設立された, 電気機械器具の研究及び開発等を目的とする株式会社である イ合併前会社ワイラン インクは, 平成 4 年 (1992 年 ) に設立された, カナダ法人である 同社は, 平成 29 年 (2017 年 )6 月 1 日付けで, 他のカナダ法

めた事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実又は文中掲記した証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実 ) (1) 当事者ア原告は, 映画プロデューサーである ( 甲 1,2) イ被告は, 新聞社であり, ウェブサイト 朝日新聞デジタルAJW を運営するものである (2) 原告の著

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して, 損害賠償金 330 万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成 28 年 月 21 日 ( 原告が被告に本件請求の通知を送付した日の翌日 ) から支払済みまで民法所定の年 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実及び弁論の全趣旨により容

主 文 1 本件控訴をいずれも棄却する 2 控訴費用は, 控訴人らの負担とする 事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人 P3 及び被控訴人会社は, 大阪府内, 兵庫県内, 京都府内, 滋賀県内及び和歌山県内において, 千鳥屋という名称を使用して菓子類を販売してはならない

する 理 由 第 1 事案の概要 1 本件は, 平成 21 年 ( 受 ) 第 602 号被上告人 同第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X1 という ) 及び平成 21 年 ( 受 ) 第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X 2 といい,1 審原告 X 1と1 審原告 X 2を併せ

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第 1 控訴の趣旨 控訴人は, 原判決取消しとともに, 被控訴人らの請求をいずれも棄却する判決を 求めた 第 2 事案の概要 被控訴人らは日本舞踊の普及等の事業活動をしている 控訴人はその事業活動に 一般社団法人花柳流花柳会 の名称 ( 控訴人名称 ) を使用している 被控訴人ら は, 花柳流 及び

平成 27 年 12 月 9 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 27 年 11 月 6 日 判 決 東京都荒川区 < 以下略 > 原 告 株式会社オールビユーテイ社 同訴訟代理人弁護士 山 本 隆 司 同 植 田

き本件営業秘密の使用又は開示の差止め及び物件の廃棄を求めるとともに ( 以下, これらの請求を併せて 差止請求等 という ),(2) 被告が本件営業秘密を持ち出した行為は原告と被告の間の秘密保持契約にも違反し, これにより原告は損害を被ったと主張して, 同法 4 条又は債務不履行に基づき 1136

求めるなどしている事案である 2 原審の確定した事実関係の概要等は, 次のとおりである (1) 上告人は, 不動産賃貸業等を目的とする株式会社であり, 被上告会社は, 総合コンサルティング業等を目的とする会社である 被上告人 Y 3 は, 平成 19 年当時, パソコンの解体業務の受託等を目的とする

4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

裁判年月日 平成 20 年 11 月 27 日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決 事件番号 平 20( ワ )9871 号 事件名 管理費等請求事件 裁判結果 認容 文献番号 2008WLJPCA 東京都足立区 以下省略 原告上記代表者理事長上記訴訟代理人弁護士同同東京都世田谷区

平成22年5月12日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

撮影を,3 株式会社 MONDESIGN Japan( 以下 モンデザイン という ) に対して全体的なデザインをそれぞれ依頼し, 上記 1につき平成 23 年 4 月頃,2につき同年 5 月頃,3につき同年 6 月頃, 各成果物を受領し, その際, 各成果物に係る著作権の譲渡を受けた ( 甲 9,

(イ係)

インターネット上の誹謗中傷対応の基礎(Web公開用)

1 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については, 当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする旨を定め, 同条 2 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産又は当該固定資産

2 控訴費用は, 控訴人らの負担とする 事実及び理由第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人株式会社バイオセレンタック, 同 Y1 及び同 Y2は, 控訴人コスメディ製薬株式会社に対し, 各自 2200 万円及びこれに対する平成 27 年 12 月 1 日から支払済みまで年 5 分の割

平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

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7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

により容易に認められる事実 ) (1) 当事者等ア原告は,Aの子である イ Aは, 大正 年 月 日生まれの男性であり, 厚生年金保険の被保険者であったが, 平成 年 月 日, 死亡した ( 甲 1) (2) 老齢通算年金の受給 Aは, 昭和 年 月に60 歳に達し, 国民年金の納付済期間である18

(2) 訴訟費用は 被告らの負担とする 2 被告国 (1) 本案前の答弁ア原告の被告国に対する訴えを却下する イ上記訴えに係る訴訟費用は 原告の負担とする (2) 被告国は 本案について 原告の被告国に対する請求を棄却する旨の裁判を求めるものと解する 3 被告 Y1 市 (1) 本案前の答弁ア原告の

なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

ない 4 訴訟費用は, 第 1,2 審とも被控訴人の負担とする 第 2 事案の概要 1 事案の要旨本件は, 原判決別紙 商標権目録 記載の商標権を有する控訴人が, 被控訴人に対し, 被控訴人が原判決別紙 被告標章目録 記載の標章をインターネットホームページのサイトで使用する行為が, 控訴人の商標権を

期分本税 831 万 1900 円の合計 以下 本件租税債権 という ) (3) 東京国税局国税徴収官 B( 以下 B 徴収官 という ) は 同局特別国税徴収官 C( 以下 C 特官 という ) の決定に基づき 平成 20 年 3 月 6 日 原告がA 証券に対して有していた本件証拠金の返還請求権

第 1 請求 1 被告は, 別紙 1 被告製品目録記載の製品 ( 以下 被告製品 という ) を製造し, 販売し, 貸し渡し, 又は販売若しくは貸渡しのために展示してはならない 2 被告は, 被告製品及び半製品 ( 別紙 2 被告意匠目録記載の構成態様を具備しているが製品として完成するに至らないもの

定している (2) 通達等の定めア 生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について ( 昭和 29 年社発第 382 号厚生省社会局長通知 以下 昭和 29 年通知 という 乙 1) は, 一項本文において, 生活保護法第 1 条により, 外国人は法の適用対象とならないのであるが, 当分の間,

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

3 被告は, 原告に対し, 金 3453 万 2652 円及びこれに対する平成 23 年 12 月 14 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件訴訟は, 原告が, 被告の製造販売に係るデジタルカタログについて, 原告の特許権を侵害している旨主張して, 被告に対し

被 告 株式会社日本ジャーナル出版 東京都江戸川区 < 以下略 > 被 告 I 東京都港区 < 以下略 > 被 告 J 同所被 告 K 上記 4 名訴訟代理人弁護士山 上 俊 夫 主 文 1 被告株式会社日本ジャーナル出版, 同 J 及び同 Kは, 連帯して, 原告らそれぞれに対し80 万円及びこれ

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税務訴訟資料第 267 号 -70( 順号 13019) 大阪高等裁判所平成 年 ( ) 第 号更正をすべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件国側当事者 国 ( 富田林税務署長 ) 平成 29 年 5 月 11 日棄却 上告受理申立て ( 第一審 大阪地方裁判所 平成 年 ( ) 第 号 平成

同訴訟代理人弁護士同同同同同同同同同同同 三好徹石田央子津田直和井川真由美鶴﨑有一石井修平山崎哲内田尚成前田香織本田雄巳黒木義隆籔之内千賀子 主文 1 控訴人の本件控訴を棄却する 2(1) 被控訴人の附帯控訴に基づき 原判決主文 1 2 項を次のとおり変更する (2) 控訴人は 被控訴人に対し 78

次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

( 事案の全体像は複数当事者による複数事件で ついての慰謝料 30 万円 あり非常に複雑であるため 仮差押えに関する部 3 本件損害賠償請求訴訟の弁護士報酬 分を抜粋した なお 仮差押えの被保全債権の額 70 万円 は 1 億円程度と思われるが 担保の額は不明であ を認容した る ) なお 仮差押え

平成  年(あ)第  号

事案である 3 仲裁合意本件では 申立人の申立書において仲裁合意の内容の記載があり 被申立人は答弁書においてこれを争わなかったので 本件についての書面による仲裁合意が存在する なお 被申立人は審問期日においても本仲裁に応じる旨の答弁をした 4 当事者の主張 (1) 申立人の主張申立人は 請求を基礎づ

☆ソフトウェア特許判例紹介☆ -第31号-

0A8D6C A49256C A0

本件は, 商標登録取消審判請求に対する審決の取消訴訟である 争点は,1 被告又は通常実施権者による標章使用の有無及び2 使用された標章と登録商標との同一性の有無である 1 本件商標商標登録第 号商標 ( 以下, 本件商標 という ) は, 下記の構成からなり, 第 25 類 運動靴,

職選挙法等の改正により一部改められたものの,1 人別枠方式は維持されたまま, 衆議院が解散され, 選挙区割りの未了を理由に, 従前の選挙区割りに基づいて本件選挙を施行するものとされたことにより, 投票価値の平等が害されたまま投票を行わざるを得ないという重大な損害を被ることとなったのであり, 憲法違反

し, 譲渡し, 貸し渡し, 輸入し, 又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない 2 被告は, 被告製品を廃棄せよ 3 被告は, 原告に対し,1 億円及びこれに対する平成 27 年 8 月 25 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は, 発明の名称を 分散組

 

政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

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である旨の証券取引等監視委員会の指導を受け, 過年度の会計処理の訂正をした 本件は, 本件事業年度の法人税について, 控訴人が, 上記のとおり, その前提とした会計処理を訂正したことにより, 同年度の法人税の確定申告 ( 以下 本件確定申告 という ) に係る確定申告書の提出により納付すべき税額が過

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平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 18469 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代理人弁護士秋山幹男 秋山淳 主 文 原告の請求をいずれも棄却する 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求 1 被告は, 原告に対し,352 万円及びこれに対する平成 24 年 7 月 11 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 2 被告は, 別紙謝罪広告目録記載の内容の謝罪広告を, 被告発行の朝日新聞青森版に別紙掲載条件記載のとおりの条件で1 回掲載せよ 第 2 事案の概要本件は, 原告が, 新聞社である被告に対し, 被告が発行する新聞の記事に原告の執筆したブログの一部を引用したことが原告の複製権 ( 著作権法 21 条 ) - 1 -

及び同一性保持権 ( 同法 20 条 ) の侵害に当たるとともに, 原告を取材せずに記事を掲載した行為が不法行為に当たると主張して,1 民法 709 条に基づく損害賠償金 352 万円及びこれに対する最終の不法行為の日である平成 24 年 7 月 11 日から支払済みまで民法所定の年 5 分の割合による遅延損害金の支払,2 著作権法 115 条及び人格権に基づく名誉回復措置として謝罪広告の掲載を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 原告は, 琉球大学名誉教授であり, 有用微生物群 (EM) の研究者である 被告は, 朝日新聞の発刊等を目的とする株式会社である 原告は, 新 夢に生きる と題するインターネット上のブログに記事を連載している 同ブログの平成 19 年 10 月 1 日付けの記事中には, 別紙対照表 原告のブログ記事 欄の記載 ( 以下 本件原告記載 という ) がある 被告は, 朝日新聞青森版において, 平成 24 年 7 月 3 日付けで EM 菌効果 疑問 検証せぬまま授業 と題する記事 ( 以下 本件記事 1 という ) を, 同月 11 日付けで 科学的効果疑問のEM 菌 3 町が町民に奨励 と題する記事 ( 以下 本件記事 2 という ) をそれぞれ掲載した 本件記事 1 及び2は原告を取材せずに作成されたものであるところ, これらの記事中には別紙対照表 本件記事 1 及び 本件記事 2 欄の各記載( 以下, それぞれを 本件被告記載 1, 本件被告記載 2 という ) がある 被告は, 記者が自らの行動を判断する際の指針として 朝日新聞記者行動基準 を定めており, これ ( 本件記事 1 及び2 掲載当時のもの ) によれば 記事で批判の対象とする可能性がある当事者に対しては, 極力, 直接会って取材する ものとされている ( 乙 1) 2 争点及び争点に関する当事者の主張 - 2 -

本件被告記載 1 及び2が原告の複製権又は同一性保持権を侵害するか ( 原告の主張 ) 本件原告記載は,EMを使用して発生した現象に関する科学的プロセスが必ずしも明確でない場合に限定し, そのような現象が発生するに至る科学的プロセスに関する説明の一つとして 縦波の重力波 が想定し得るとの考え方を, できる限りコンパクトに伝えるために工夫を凝らしたものであり, 原告の個性が表現されているから, 著作物に当たる そして, 本件被告記載 1 及び2は, 本件原告記載の B 先生が確認した, 縦波の との文言を削除して原告の意に反する改変を加えた上で, 出典を明示せずに無断で引用したものであり, 報道の目的上正当なものともいえないから, 原告の複製権 ( 著作権法 21 条 ) 及び同一性保持権 ( 同法 20 条 ) を侵害する ( 被告の主張 ) 本件記事 1 及び2は, 本件原告記載を含むブログの記事等を参考にして, EMに関する原告の見解を紹介し, 報道したものであるところ, 本件原告記載は,EMの本質的な効果を短文で端的に記載したものであり, かつ, 原告が想定する事実を記載したものにすぎないから, 著作物性は認められない したがって, 本件被告記載 1 及び2は原告の複製権及び同一性保持権を侵害しない また, 仮に複製に当たるとしても, 本件被告記載 1 及び2は, 時事の事件報道において, 当該事件を構成するものを, 報道の目的上正当な範囲において複製し, 当該事件報道に伴って利用したものであるので, 著作権法 41 条により許された利用に当たる 原告を取材せずに本件記事 1 及び2を掲載した行為が不法行為に当たるか ( 原告の主張 ) 記事にかぎ括弧が用いられるのは, 取材相手に直接取材して得たコメント - 3 -

を掲載する場合や書物, 講演等からの引用の場合であり, 引用の場合には引用元や出典が明示されるのが通常であって, これらが明示されていなければ, 取材相手に直接取材して得たコメントであると認識されるのが通常である そして, 本件記事 1 及び2における原告のコメント部分 ( 本件被告記載 1 及び2) はかぎ括弧が用いられているが, 引用元や出典が明示されていないから, 一般読者は本件記事 1 及び2を被告が原告を取材して得たコメントを掲載した記事として読むことになる しかし, 実際には, 被告は原告を取材せずに本件記事 1 及び2を掲載した また, 本件記事 1 及び2において批判の対象となっている原告を取材しなかったことは, 被告が作成し, 公表している 朝日新聞記者行動基準 に定められた取材方法に違反する 本件記事 1 及び2における原告のコメント部分は記事掲載時より5 年も前のブログの内容を引用したものであり, 原告は引用されることを全く予期していなかったし, 仮に原告が取材を受けて水質浄化という場面に限定して説明を求められていれば, 重力波 や 波動 を用いた説明でなく, 別の表現で一般読者に分かりやすい説明を加えることができたから, 被告が原告を取材せずに本件記事 1 及び2を掲載したことによって, 自らの意思に反してコメントをねつ造されない人格的利益が侵害された 以上によれば, 被告が原告を取材せずに本件記事 1 及び2を掲載した行為は不法行為に当たる ( 被告の主張 ) 本件記事 1 及び2における原告のコメント部分はかぎ括弧に続けて と主張する 又は と説明する と記載されているが, 一般読者の普通の読み方を基準として判断した場合には, 上記原告のコメント部分が原告に対して直接取材して得られたものであると認識されることはない また, 被告の 朝日新聞記者行動基準 は記者が自らの行動を判断する際の指針を定めたものであるから, 同基準に違反した行為があったとしてもその行 - 4 -

為は不法行為とならない さらに, 原告は, 平成 27 年の時点においてもE Mの本質的効果は重力波によるものであると述べており, 水質浄化や農地改良の効果が重力波によるものでないとはしていない 以上によれば, 被告が原告を取材せずに本件記事 1 及び2を掲載した行為は不法行為に当たらない 著作権法 115 条及び人格権に基づく名誉回復措置請求の当否 ( 原告の主張 ) は原告の著作者人格権及び人格権を侵害したから, 原告は, 被告に対し, 著作権法 115 条及び人格権に基づく名誉回復措置として謝罪広告の掲載を求めることができる ( 被告の主張 ) 争う 損害額 ( 原告の主張 ) 原告は, 被告の行為により, 以下の合計 352 万円の損害を被った ア複製権侵害に基づく無形損害 10 万円イ同一性保持権侵害に基づく慰謝料 10 万円ウ原告を取材せずに本件記事 1 及び2を掲載したという不法行為に基づく慰謝料及び無形損害 300 万円エ弁護士費用相当額の損害 32 万円 ( 被告の主張 ) 争う 第 3 当裁判所の判断 1 ( 本件被告記載 1 及び2が原告の複製権又は同一性保持権を侵害するか ) について原告は被告による本件被告記載 1 及び2が本件原告記載に係る原告の複製権 - 5 -

等を侵害すると主張するので, 以下検討する 著作権法において保護の対象となるのは思想又は感情を創作的に表現したものであり ( 同法 2 条 1 項 1 号参照 ), 思想や感情そのものではない 本件において本件原告記載と本件被告記載 1 及び2が表現上共通するのは 重力波と想定される 波動による ( もの ) との部分のみであるが, この部分はEMの効果に関する原告の学術的見解を簡潔に示したものであり, 原告の思想そのものということができるから, 著作権法において保護の対象となる著作物に当たらないと解するのが相当である したがって, 被告による複製権侵害を認めることはできず, また, これを前提とする同一性保持権侵害の主張も採用することができない 2 ( 原告を取材せずに本件記事 1 及び2を掲載した行為が不法行為に当たるか ) について原告は, 被告が原告を取材していないにもかかわらずあたかも原告を取材して得たコメントを掲載したと読まれる記事 ( 本件記事 1 及び2) を掲載した行為が不法行為に当たる旨主張する そこで判断するに, 本件被告記載 1 及び2は, 重力波と想定される波動による ( もの ) との原告の見解をかぎ括弧内に記載した上, これに続けて, と主張する 又は と説明する と記載したものであるが, かぎ括弧は発言内容を示し, 又は他の文献等の記載を引用する場合の表記方法として用いられることからすれば, これに接した一般の新聞読者の普通の注意力に照らすと, 本件記事 1 及び2は被告が原告を取材して得られたコメントを掲載した記事として読まれる可能性があるというべきである また, 本件記事 1 及び2はEMの科学的効果が疑問と指摘されていることを報道するものであり ( 甲 1,2),EMの効果を説く原告を批判の対象としているとみることができるから, 被告の上記行為は被告が作成し, 公表している 朝日新聞記者行動基準 ( 乙 1) が規定する取材方法 ( 出来事の現場を踏み, 当事者に - 6 -

直接会って取材することを基本とする 特に, 記事で批判の対象とする可能性がある当事者に対しては, 極力, 直接会って取材する ) に抵触しかねない行為であったと考えられる しかし, 上記基準は記者が自らの行動を判断する際の指針として被告社内で定められたものであり ( 乙 1), これに反したとしても直ちに第三者との関係で不法行為としての違法性を帯びるものでない これに加え, 本件記事 1 及び2における原告のコメント部分 ( 本件被告記載 1 及び2) は, 公にされていた本件原告記事を参考にして執筆されたものであって, その内容はE Mの本質的効果に関する原告の見解に反するものではないと認められる ( 甲 6,7, 乙 2,3,4の1 2) そうすると, 本件記事 1 及び2によって原告の見解が誤って報道されたとは認められず, したがって, これにより原告が実質的な損害を被ったとみることもできない 以上を総合すると, 被告が原告を取材せずに, また, 本件原告記事を参考にするに当たり出典を明記せずに本件記事 1 及び2を掲載した行為は不適切であったということができるとしても, 不法行為と評価すべき違法性があったとはいえないと判断するのが相当である したがって, 被告の上記行為が不法行為に当たる旨をいう原告の上記主張は採用することができない 3 結論以上によれば, その余の点を判断するまでもなく, 原告の請求はいずれも理由がないから, これらを棄却することとして, 主文のとおり判決する 東京地方裁判所民事第 46 部 裁判長裁判官長谷川浩二 - 7 -

裁判官藤原典子 裁判官中嶋邦人 - 8 -

別紙 謝罪広告目録 1 表題お詫びして取り消します 2 本文朝日新聞青森版は, 平成 24 年 7 月 3 日付で EM 菌効果 疑問 検証せぬまま授業 と題する記事を, 同月 11 日付で 科学的効果疑問のEM 菌 3 町が町民に奨励 と題する記事を掲載しました これらの記事中には,A 氏が記者の取材に対して,EMに関する主張ないし説明をしたかのような体裁で, 同氏のコメントが掲載されております しかし, 同記事は, 同氏のネット連載等を参考にして作成されたものであり, 記事作成時には,A 氏に対する取材は行っていませんでした 本来であれば, 記事作成にあたり,A 氏に直接, 取材すべきでした したがいまして, 当社は, 上記記事中のA 氏のコメント部分を取り消します また,A 氏, 関係者と読者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします - 9 -

別紙 掲載条件 朝日新聞青森版 1 広告全体の大きさ紙面第 1 面に縦 4 段抜き, 横 10センチメートル 2 活字の大きさ a 表題 b 本文 5 倍明朝体活字 2 倍明朝体活字 - 10 -

別紙 対照表 原告のブログ 記事 本件記事 1 私は EM の本質的な効果は,B 先生が確認した重力波と想定され る縦波の波動によるものと考えています EM 菌の効果について, 開発者の A 琉球大名誉教授は 重力波 と想定される波動によるもの と主張する 本件記事 2 開発者の A 琉球大名誉教授は, 効果は 重力波と想定される波 動による と説明する - 11 -