平成 24 年台風第 4 号により三重県津市なぎさまち付近で発生した高潮 高波による浸水被害 (6 月 19 日 ) の現地調査報告 注 : この資料は速報としてまとめたものであり データについては後日修正することがあります 平成 24 年 7 月 17 日 津地方気象台 本件に関する問い合わせ先津

Similar documents
宮城県災害時気象資料平成 30 年台風第 24 号による暴風と大雨 ( 平成 30 年 9 月 29 日 ~10 月 1 日 ) 平成 30 年 10 月 3 日仙台管区気象台 < 概況 > 9 月 21 日 21 時にマリアナ諸島で発生した台風第 24 号は 25 日 00 時にはフィリピンの東で

(00)顕著速報(表紙).xls

金沢地方気象台対象地域石川県 平成 30 年台風第 21 号に関する石川県気象速報 目 次 1 気象概況 2 気象の状況 3 気象官署と地域気象観測所の極値更新状況 4 特別警報 警報 注意報 気象情報等の発表状況 5 石川県の被害状況等 6 金沢地方気象台の対応状況等 平成 30 年 9 月 7

台風23 集約情報_14_.PDF

台風経路図 9 月 5 日 09 時温帯低気圧に変わる 9 月 4 日 14 時頃兵庫県神戸市付近に上陸 9 月 4 日 12 時頃徳島県南部に上陸 8 月 28 日 09 時南鳥島近海で台風第 21 号発生 -2-

<4D F736F F D F193B994AD955C8E9197BF816A89C482A982E78F4882C982A982AF82C482CC92AA88CA2E646F63>

三重県における主な気象災害 (1945 年以降 ) 主な被害 2017 年 12 月 15 日現在 発生年月日 1950 ( 昭 25) 9.3 要因 台風第 28 号 ( ジェーン台風 ) 主な被害地域 全域 概況台風第 28 号が紀伊水道に入り 若狭湾に抜けた 風による被害が大きかった 最大風速

1. 地上天気図 ( 左 ) と気象衛星画像 ( 右 : 赤外 ) 平成 30 年 9 月 30 日 15 時 平成 30 年 9 月 30 日 21 時 平成 30 年 10 月 1 日 03 時 - 2 -

気象庁技術報告第134号表紙#.indd

津地方気象台対象地域 : 三重県 平成 29 年 1 月 14 日から 16 日にかけての大雪に関する三重県気象速報 目次 1 気象の状況 (1) 概況 (2) 地上天気図及び気象衛星赤外画像 (3) レーダーエコー (4) 観測記録 2 特別警報 警報 注意報 府県気象情報の発表状況 3 被害状況

1 概要 (1) 資料作成の目的 3 月 1 日から 2 日にかけて 急速に発達した低気圧の影響により 静岡県では 暴風となった所があった この影響で 強風に伴う人的被害や住家の一部損壊などの被害が発生した このときの気象資料をとりまとめる目的で本資料を作成した 本資料は 3 月 2 日 22 時現

Wx Files Vol 年2月14日~15日の南岸低気圧による大雪

津地方気象台 対象地域 : 三重県 平成 26 年 台風第 11 号に関する三重県気象速報 目 次 1 概要 2 気象の状況 3 観測記録 4 特別警報 警報 注意報 府県気象情報の発表状況 5 土砂災害警戒情報の発表状況 6 指定河川洪水予報の発表状況 7 被害状況 8 防災関係機関への説明会等

Wx Files Vol 年4月4日にさいたま市で発生した突風について

津波警報等の留意事項津波警報等の利用にあたっては 以下の点に留意する必要があります 沿岸に近い海域で大きな地震が発生した場合 津波警報等の発表が津波の襲来に間に合わない場合があります 沿岸部で大きな揺れを感じた場合は 津波警報等の発表を待たず 直ちに避難行動を起こす必要があります 津波警報等は 最新

熊谷地方気象台対象地域埼玉県 平成 26 年 2 月 8 日から 9 日にかけての大雪に関する 埼玉県気象速報 1 資料作成の目的 2 気象の状況 3 警報等の発表状況 4 災害の状況 平成 26 年 2 月 10 日 熊谷地方気象台 この資料は速報として取り急ぎまとめたもので 後日内容の一部訂正や

<4D F736F F D2095F193B994AD955C8E9197BF5F8DC58F4994C55F967B92A18F4390B388D38CA994BD89662E646F63>

1 気象状況 (1) 概況 2 月 28 日から 3 月 1 日にかけて 低気圧が急速に発達しながら日本海を北東に進んだ このため 福井県内では 2 月 28 日夜から 3 月 1 日夜遅くかけて強風となり 最大風速は 福井で西南西 14.9m/s(1 日 08 時 12 分 ) 敦賀で北西 16.

気象庁 札幌管区気象台 資料 -6 Sapporo Regional Headquarters Japan Meteorological Agency 平成 29 年度防災気象情報の改善 5 日先までの 警報級の可能性 について 危険度を色分けした時系列で分かりやすく提供 大雨警報 ( 浸水害 )

1 概要 1) 資料作成の目的台風第 6 号から変わった低気圧の影響で 静岡県では広い範囲で大雨となり 浸水害が発生したほか 道路の通行止めや鉄道等の運行への支障が生じた 本資料は このときの静岡県の気象状況及び静岡地方気象台が発表した気象情報を 5 月 13 日 15 時現在でとりまとめたものであ

前橋地方気象台対象地域群馬県 台風第 17 号に関する群馬県気象速報 目 次 1 資料作成の目的 2 気象状況 3 観測資料 ( 台風経路図 地上天気図 気象衛星画像 総降水量分布図等 ) 4 気象台が執った措置 ( 注意報 警報 気象情報等の発表状況 ) 5 県内の被害状況 ( 群馬県総務部危機管

<4D F736F F D20816B8DC58F4988C4816C8AE28EE88CA78DD08A518E9E8B438FDB8E9197BF5F388C8E333093FA91E E631308D862E646F6378>

平成 27 年度 新潟県たにはま海水浴場流況調査 報告書 平成 27 年 6 月調査 第九管区海上保安本部

2 気象 地震 10 概 況 平 均 気 温 降 水 量 横浜地方気象台主要気象状況 横浜地方気象台月別降水量 日照時間変化図 平均気温 降水量分布図 横浜地方気象台月別累年順位更新表 横浜地方気象台冬日 夏日 真夏

WxFilesVol 年3月10日関東地方の砂嵐に関して

平成30年台風第21号について

平成 28 年度 支笏湖特有の気象特性に対する 維持管理の検討 札幌開発建設部千歳道路事務所 新保貴広 札幌開発建設部千歳道路事務所 吉田昭幸 札幌開発建設部千歳道路事務所 樋口侯太郎 一般国道 453 号を管理する千歳道路事務所では 支笏湖の越波発生により 度々通行規制を実施している 淡水湖におけ

また 台風 18 号が九州から北海道へ縦断した 17 日 18 日は 全国から 41,000 通以上の写真付きのウェザーリポートが寄せられ 各地の被害状況を詳細に把握することができました 記録的大雨となった大分県からは道路の損壊や大規模冠水のリポートが届き 断続的に強い雨が降った岩手県沿岸からは大規

2018 年 12 月の天候 ( 福島県 ) 月の特徴 4 日の最高気温が記録的に高い 下旬後半の会津と中通り北部の大雪 平成 31 年 1 月 8 日福島地方気象台 1 天候経過 概況この期間 会津では低気圧や寒気の影響で曇りや雪または雨の日が多かった 中通りと浜通りでは天気は数日の周期で変わった

三重県の気象概況 ( 平成 30 年 9 月 ) 表紙 目次気象概況 1P 旬別気象表 2P 気象経過図 5P 気象分布図 8P 資料の説明 9P 情報の閲覧 検索のご案内 10P 津地方気象台 2018 年本資料は津地方気象台ホームページ利用規約 (

<4D F736F F F696E74202D DE97C7817A8B438FDB91AC95F D C4816A2B2E >

津地方気象台 対象地域 : 三重県 平成 30 年台風第 24 号に関する三重県気象速報 目 次 1 概要 2 気象の状況 3 観測記録 4 特別警報 警報 注意報 府県気象情報等の発表状況 5 土砂災害警戒情報の発表状況 6 指定河川洪水予報の発表状況 7 被害状況 8 防災関係機関への説明会等

また 積雪をより定量的に把握するため 14 日 6 時から 17 日 0 時にかけて 積雪の深さは と質 問し 定規で測っていただきました 全国 6,911 人の回答から アメダスの観測機器のある都市だけで なく 他にも局地的に積雪しているところがあることがわかりました 図 2 太平洋側の広い範囲で

平成 2 7 年度第 1 回気象予報士試験 ( 実技 1 ) 2 XX 年 5 月 15 日から 17 日にかけての日本付近における気象の解析と予想に関する以下の問いに答えよ 予想図の初期時刻は図 12 を除き, いずれも 5 月 15 日 9 時 (00UTC) である 問 1 図 1 は地上天気

台風解析の技術 平成 21 年 10 月 29 日気象庁予報部

<4D F736F F D208E9197BF ED8DD08E9E82CC8B438FDB8A438FDB F4390B3816A>

第 41 巻 21 号 大分県農業気象速報令和元年 7 月下旬 大分県大分地方気象台令和元年 8 月 1 日

1 概要 (1) 資料作成の目的台風第 6 号は 5 月 12 日 09 時には奄美大島の西南西を北東に進み 12 日 18 時に四国沖で温帯低気圧に変わった その後 低気圧が東海道沖から三陸沖に進んだ影響により 東海地方から関東地方では 12 日夕方から 13 日未明にかけて大雨や強風となった所が

昭和 28(1953) 年 8 月 11 日 昭和 32(1957) 年 7 月 25 日 昭和 33(1958) 年 9 月 26 日 南山城の大雨 諫早豪雨 狩野川台風 8 月 13 日に サハリンからオホーツク海に進んだ低気圧から伸びる寒冷前線が 北海道の南東岸から東北地方北部を通って朝鮮半島

水戸地方気象台対象地域茨城県 平成 25 年台風第 26 号に関する茨城県気象速報 目 次 1 概要 2 気象の状況 3 警報 注意報 気象情報等の発表状況 4 被害の状況 5 水戸地方気象台が執った措置 6 参考資料 平成 25 年 10 月 17 日 注 ) この資料は 速報として取り急ぎまとめ

<4D F736F F D A838CA78B438FDB91AC95F15F8A6D92E894C55F323193FA94F78F4390B32E646F63>

国土技術政策総合研究所 研究資料

10/23 14:16 大阪府阪南市 さららさん 10/23 6:47 京都府舞鶴市 fitfit さん 南海本線男里川橋梁の落ち込 んだ線路を横から見たら 約 1 メートル程落ち込んでま す 台風の大雨で裏山が崩れました 10/23 9:05 奈良県生駒郡三郷町 エーミール=himiko さん 1

Microsoft PowerPoint _H30_ALISお知らせ【Java】++

<4D F736F F D BF382CC82B582A882E D58E9E8D E DC58F4994C5816A>


1 概要 (1) 資料作成の目的 1 月 22 日から 23 日にかけて 低気圧が本州の南海上を急速に発達しながら東北東に進んだため 東京都では東京地方を中心に広い範囲で大雪となった この大雪により 東京地方では 鉄道の運休 遅延 航空機や船舶の欠航 高速道路の通行止めなどの交通障害や 積雪による転


長野県農業気象速報(旬報) 平成27年9月上旬

1 概要 9 月 29 日から 10 日 1 日にかけて 台風第 24 号の影響により 東京都では記録的な暴風となった所があった また 台風の北上に伴い活発となった前線や台風本体の雨雲の影響により大雨となった このため 強風による人的被害や建物等の被害があったほか 鉄道の運休や航空機の欠航 広域の停

平成 30 年 2 月の気象概況 2 月は 中旬まで冬型の気圧配置が多く 強い寒気の影響を受け雪や雨の日があった 下旬は短い周期で天気が変化した 県内アメタ スの月降水量は 18.5~88.5 ミリ ( 平年比 29~106%) で 大分 佐賀関 臼杵 竹田 県南部で平年並の他は少ないかかなり少なか

2 気象 地震 10 概 況 平 均 気 温 降 水 量 横浜地方気象台主要気象状況 横浜地方気象台月別降水量 日照時間変化図 平均気温 降水量分布図 平成 21 年 (2009 年 ) の月別累年順位更新表 ( 横浜 ) 23

日本海沿岸顕著現象事例集の発行に寄せて 日本海海洋気象センターでは 日本海沿岸で発生した高潮や高波 異常潮位などの顕著な現象について 気象庁の潮位 波浪の観測地点ごとの観測データをもとに取りまとめた事例集として刊行することとしました かつて 1959 年 ( 昭和 34 年 ) の伊勢湾台風では高潮

目 次 1. 想定する巨大地震 強震断層モデルと震度分布... 2 (1) 推計の考え方... 2 (2) 震度分布の推計結果 津波断層モデルと津波高 浸水域等... 8 (1) 推計の考え方... 8 (2) 津波高等の推計結果 時間差を持って地震が

平成28年4月 地震・火山月報(防災編)

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F F696E74202D2091E63289F18C9F93A289EF90E096BE8E9197BF288AF2958C926E95FB8B438FDB91E4292D312E >

風力発電インデックスの算出方法について 1. 風力発電インデックスについて風力発電インデックスは 気象庁 GPV(RSM) 1 局地気象モデル 2 (ANEMOS:LAWEPS-1 次領域モデル ) マスコンモデル 3 により 1km メッシュの地上高 70m における 24 時間の毎時風速を予測し

Microsoft PowerPoint - Ikeda_ ppt [互換モード]

Microsoft Word - 修正資料の解説_ _.doc

<4D F736F F D F F965C959790E191CE899E8B4C8ED294AD955C F8AD9816A89FC92F994C55F288A4A94AD8C9A90DD B438FDB91E492C78B4C816A>

平成 30 年度 網代浜海水浴場流況調査 報告書 平成 30 年 7 月調査 第九管区海上保安本部

家族みんなの防災ハンドブック 保存版

Microsoft PowerPoint - 資料4-1.ppt [互換モード]

予報時間を39時間に延長したMSMの初期時刻別統計検証

7 学校桟橋における強風の特徴 二村彰 * 蛭間拓也 ** 向井利夫 *** 栗本裕和 *** Characteristics of Strong Wind at School Pier Akira FUTAMURA*, Takuya HIRUMA**, Toshio MUKAI*** and Hi

漂流・漂着ゴミに係る国内削減方策モデル調査地域検討会

要旨 昨秋 日本に多大な被害を与えた台風 15 号は静岡県浜松市に上陸し 東海大学海洋学部 8 号館気象台では過去 3 年間での最高値に相当する 1 分平均風速 25 m/s を記録した また 西日本から北日本の広範囲に暴風や記録的な大雨をもたらし 東京都江戸川区で最大風速 31 m/s を記録する

新潟地方気象台対象地域新潟県 平成 28 年 (2016 年 )12 月 22 日から 23 日にかけて 急速に発達した低気圧に関する新潟県気象速報 目次 1 概要 (1) 資料作成の目的 (2) 気象概況 2 気象の状況 (1) 地上天気図および気象衛星赤外画像 (2) レーダーエコー合成図 (3

風速 ^2 ((m/s)^2) 気圧 (hpa) 観測項目の経時変化 図 2 に各観測項目の時系列を示した. なお, 風速の縦軸は風速の 2 乗 ( 風速 ^2) であり, 項目名末尾のアルファベットは各地点 ( 三宅島 : M, 大島 :

九州地方とその周辺の地震活動(2016年5月~10月)

資料 2 3 平成 29 年 1 月 18 日火力部会資料 西条発電所 1 号機リプレース計画 環境影響評価方法書 補足説明資料 平成 29 年 1 月 四国電力株式会社 - 1 -

1. 天候の特徴 2013 年の夏は 全国で暑夏となりました 特に 西日本の夏平均気温平年差は +1.2 となり 統計を開始した 1946 年以降で最も高くなりました ( 表 1) 8 月上旬後半 ~ 中旬前半の高温ピーク時には 東 西日本太平洋側を中心に気温が著しく高くなりました ( 図 1) 特

表 2-2 北海道地方における年平均風速データベース作成に関する仕様 計算領域計算期間水平解像度時間解像度 20 年間 365 日 水平解像度 500m 1991 年 ~2010 年 24 時間 =175,200 メッシュ以下の詳北海道電力供給管内の詳細メッシュの時間分のデータを細メッシュの風況風況

2018年台風21号

接している場所を前線という 前線面では暖かい空気が上昇し雲が発生しやすい 温帯低気圧は 暖気と寒気がぶつかり合う中緯度で発生する低気圧で しばしば前線を伴う 一般に 温帯低気圧は偏西風に乗って西から東へ移動する 温帯低気圧の典型的なライフサイクルは図のようになっている 温帯低気圧は停滞前線上で発生す

Microsoft PowerPoint 気象速報大阪府版.pptx

1. 地上天気図 ( 左 ) とアメダス観測データ ( 右 : 風向風速 1 時間降水量 ) 22 日 09 時 22 日 12 時 22 日 15 時 22 日 18 時 アメダス観測データ凡例緑文字 : 雨量 (mm) 旗 :10m/s 長線:2m/s 短線:1m/s 例 ) : 西の風 13m

第 41 巻 13 号 大分県農業気象速報令和元年 5 月上旬 大分県大分地方気象台令和元年 5 月 1 3 日


untitled

平成16年6月25日の大雨(気象速報)

4

津波の怖さを知っていますか? 平成 5 年 (1993 年 ) 北海道南西沖地震では地震発生から 5 分と経たないうちに大津波が押し寄せ 死者 202 人 行方不明者 28 人などの被害が生じました ( 写真は函館海洋気象台職員撮影 ) 宮崎地方気象台

2016年台風発生環境場と台風ハザードマップ

<4D F736F F D D491968A4A8C9A5F8B438FDB91E45F94AD955C5F82A982AA82DD2E646F63>

佐賀県の地震活動概況 (2018 年 12 月 ) ( 1 / 10) 平成 31 年 1 月 15 日佐賀地方気象台 12 月の地震活動概況 12 月に佐賀県内で震度 1 以上を観測した地震は1 回でした (11 月はなし ) 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 図 1 震央分布図 (2018 年 1

< 外力条件 > 海面上昇量 0.10 m 0.30m 0.50m 0.90mについて検討 詳細検討モデル地区の選定 各詳細検討モデル地区において検討対象となる施設等の整理 各施設毎の影響評価方法 ( 影響評価の判断基準 ) 影響評価 各詳細検討モデル地区の影響評価結果及びその特徴の分析 各詳細検討

資料6 (気象庁提出資料)

種にふくまれているものは何か 2001,6,5(火) 4校時

Microsoft PowerPoint _大分県水防協議会.pptx

専門.indd

Microsoft Word - 615_07k【07月】01_概況

1 想定地震の概要南海トラフで発生する地震は 多様な地震発生のパターンが考えられることから 次の地震の震源域の広がりを正確に予測することは 現時点の科学的知見では困難です そのため 本市では 南海トラフで発生する地震として 次の2つの地震を想定して被害予測調査を行いました (1) 過去の地震を考慮し

Microsoft PowerPoint - 参考資料 各種情報掲載HPの情報共有

™ZŁñ†F−â™J.ec8

連結.ren

東北地方太平洋沖地震への 気象庁の対応について ( 報告 ) 気象業務の評価に関する懇談会 平成 23 年 5 月 31 日 気象庁 1

東日本大震災 鳴らされていた警鐘

<4D F736F F D208BD98B7D92B28DB88EC08E7B95F18D908F915F96788CA42E646F63>

Transcription:

平成 24 年台風第 4 号により三重県津市なぎさまち付近で発生した高潮 高波による浸水被害 (6 月 19 日 ) の現地調査報告 注 : この資料は速報としてまとめたものであり データについては後日修正することがあります 平成 24 年 7 月 17 日 津地方気象台 本件に関する問い合わせ先津地方気象台防災業務課電話 059-228-6818

気象の概要 (1) 気象概況 月 日 時にカロリン諸島の海上で発生した台風第 号は フィリピンの東の海上を非常に 強い勢力を保ったまま北上し 日には沖縄の南海上に達した その後 日 時には沖縄の 近海で強い勢力となり 日の昼過ぎには四国の南海上に達した この台風はさらに速度を速 めて紀伊半島に接近し 強い勢力を維持しながら 日 時過ぎに和歌山県南部に上陸した こ の台風は 日 時から 時頃三重県を通過し 時過ぎに愛知県東部に再上陸したあと関東 甲信地方を縦断して 日 時に温帯低気圧となった この台風の接近 通過に伴い 県内では 日未明から雨が降り始め 特に夕方から夜のはじ め頃にかけては非常に激しい雨が降った 宮川では 1 時間最大降水量 ミリを観測し 月 としての極値を更新した 日 時から 時までの総降水量は 北中部で ~ ミリ 南部で ~ ミリとなった 特に 宮川で ミリ 尾鷲で ミリを観測し 宮川では 月とし ての極値を更新した 風は 沿岸部を中心に風速 以上の非常に強い風が吹き 最大風速は津で 尾鷲 で 最大瞬間風速は津で 尾鷲で を観測した 海上では台風の接近に伴って 日朝から波やうねりが高くなり 台風が最も接近した 日か ら 日は メートルを超える大しけとなった 台風 号 平成 年台風第号 台風経路図 拡大版 19 日 17 時過ぎ 和歌山県南部に上陸 19 日 9 時 965hPa 月 日 時 気象衛星赤外画像 19 日 12 時 965hPa 19 日 18 時 19 日 15 時 965hPa 19 日 21 時 970hPa 20 日 3 時 985hPa 20 日 0 時 985hPa 20 日 6 時 985hPa 19 日 20 時過ぎ 愛知県東部に再上陸 20 日 9 時 996hPa 温帯低気圧に変わる 1 月 日 時 地上天気図 月 日 時 レーダー実況図

(2) 風の状況 ( 月 日 時 ~ 時 ) 気象庁 より 月 日 時 月 日 時 月 日 時 月 日 時 月 日 時 月 日 時 2

(3) 鳥羽の潮位 ( 速報 ) 及び津地方気象台の気圧と風向 風速 月 日における毎時の鳥羽の潮位及び津地方気象台の気圧と風向 風速 日時 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 潮位 ( 標高 ):cm 1 22 45 65 74 68 46 13-24 -58-82 -87 現地 1007.5 1006.9 1006.6 1006.2 1005.8 1004.9 1004.1 1003.8 1003.2 1002.5 1001.8 1000.5 気圧 (hpa) 19 海面 1009.6 1009.0 1008.7 1008.3 1007.9 1007.0 1006.2 1005.9 1005.3 1004.6 1003.9 1002.6 風速 1.3 1.3 0.7 2.5 2.3 3.5 4.0 7.3 7.9 10.4 9.5 10.1 風向 風速 (m/s) 風向西西北西北北西東東東南東南東東南東東南東東南東東南東東南東 日時 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 潮位 ( 標高 ):cm -72-39 5 53 96 127 143 132 94 45 4 現地 999.2 997.0 995.4 990.9 985.7 981.2 975.7 975.4 982.0 987.5 991.3 気圧 (hpa) 19 海面 1001.3 999.1 997.5 993.0 987.8 983.3 977.8 977.5 984.1 989.6 993.4 風速 12.9 13.9 13.6 16.9 20.3 19.8 18.1 5.2 4.9 4.5 5.0 風向 風速 (m/s) 風向東南東東南東東南東東東東東北東西西南西西南西 津地方気象台の 月 日 時 分 ~ 時 分までの 分ごとの気圧と風向 風速 気圧 (hpa) 風向 風速 (m/s) 時 15:00 15:10 15:20 15:30 15:40 15:50 16:00 16:10 16:20 16:30 16:40 16:50 17:00 17:10 17:20 17:30 17:40 17:50 18:00 現地 995.4 994.6 994.1 993.3 992.7 991.8 990.9 990.3 988.8 988.0 987.1 986.5 985.7 985.2 984.5 983.6 982.8 981.9 981.2 海面 997.5 996.7 996.2 995.4 994.8 993.9 993.0 992.4 990.9 990.1 989.2 988.6 987.8 987.3 986.6 985.7 984.9 984.0 983.3 平均 13.6 15.0 14.1 14.8 16.1 16.5 16.9 17.5 17.7 18.0 19.2 20.0 20.3 19.0 19.9 19.6 20.0 20.6 19.8 風向 東南東 東南東 東南東 東南東 東南東 東 東 東 東 東 東 東 東 東 東 東 東 東 東 最大瞬間 19.1 19.7 18.7 21.4 21.5 21.2 22.9 23.6 24.5 25.5 26.7 27.4 28.7 28.7 26.8 29.5 27.0 27.2 27.7 風向 東南東 東南東 東南東 東南東 東 東 東 東 東 東 東 東 東 東 東 東 東 東 東 気圧 (hpa) 風向 風速 (m/s) 単位 :( 標高 cm) 鳥羽の潮位 時 18:10 18:20 18:30 18:40 18:50 19:00 19:10 19:20 19:30 19:40 19:50 20:00 20:10 20:20 20:30 20:40 20:50 21:00 現地 980.5 979.3 978.4 977.4 976.5 975.7 974.6 974.4 973.9 973.9 974.5 975.4 976.8 978.3 978.6 979.3 981.1 982.0 海面 982.6 981.4 980.5 979.5 978.6 977.8 976.7 976.5 976.0 976.0 976.6 977.5 978.9 980.4 980.7 981.4 983.2 984.1 平均 20.1 20.7 21.0 19.3 19.1 18.1 17.0 14.8 11.8 10.1 8.2 5.2 3.4 4.4 6.2 6.2 5.1 4.9 風向 東 東 東 東 東 東 東 東 東北東 東北東 東北東 北東 北北西 西北西 西北西 北西 西北西 西 最大瞬間 27.7 27.6 29.4 26.4 26.9 24.6 23.2 21.6 17.2 15.0 12.2 8.7 6.0 7.5 10.7 11.1 9.8 8.9 風向 東 東 東 東 東 東 東 東 東 東北東 東北東 北東 北西 西北西 北西 北西 西北西 西北西 200 150 100 50 0-50 -100 台風第 4 号による潮位 ( 速報 ) と気圧 鳥羽の潮位津の現地気圧津の海面気圧単位 :(hpa) 最大風速 : 東の風 ( 時 分 ) 最大瞬間風速 : 東の風 ( 時 分 ) 143 977.8 977.5 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 975.7 975.4 最低海面気圧 ( 時 分 ) 1020.0 1010.0 1000.0 990.0 980.0 970.0 960.0 950.0 3

被害の概要 三重県津市なぎさまちの中部空港連絡用の高速船ターミナル駐車場で 高潮 高波による影 響のため 台以上の車が数メートル流されて車同士がぶつかる被害が発生した 調査の概要 1. 調査期日及び調査地点 調査期日 : 平成 年 月 日及び 日 調査地点 : 三重県津市なぎさまち 高速船ターミナル第一駐車場近傍 及び津ヨットハーバー 2. 調査実施機関 津地方気象台 3. 調査内容 浸水痕跡の高さの測定及び周辺で聞き取り調査を行った 4

現地調査場所 現地調査は被害のあった津なぎさまち及び 隣接する津ヨットハーバーで実施した 津なぎさまち 津ヨットハーバー 津なぎさまち 津ヨットハーバー N 津なぎさまち全景 ( 国土交通省 HP より ) 5

写真撮影位置方向図 ( 浸水痕跡 ) は写真を撮影した方向を示す 番号は各写真の番号に対応している N 10 9 12 6 7 8 5 3 4 2 1 11 出典 : 電子国土 URL http://cyberjapan.jp/ 6

浸水痕跡状況写真 は浸水痕跡を示す 1 2 3 4 5 6 7

7 8 9 10 11 12 8

写真撮影位置方向図 ( 被害状況 ) は写真を撮影した方向を示す 番号は各写真の番号に対応している の被害は 駐車車 両の移動状況 に の被害は 煉瓦舗装と花壇の被害状況 に示す N 4 1 3 6 9

被害状況写真 1 2 3 4 5 6 10

駐車車両の移動状況 は駐車車両の移動後の位置を示す ( 点線は移動前の位置 枠線の同じ色が同じ車両 ) は砂の痕跡の位置を示す N 浸水痕跡状況写真 10 砂の痕跡 浸水痕跡状況写真 9 18m 浸水痕跡状況写真 7 8.5m 移動した先で駐車車両に衝突し停止したと見られる 浸水痕跡状況写真 6 出典 : 電子国土 URL http://cyberjapan.jp/ 11

煉瓦舗装と花壇の被害状況 番号は表の番号に対応している 煉瓦舗装の北部分 煉瓦舗装の南部分 12

表 花壇とベンチの移動状況 番号 舗装面南端からの距離 (m) 種類 移動状況 2.8 角花壇 移動なし 8.7 長花壇 南西へ約 120cm 移動 13.2 角花壇 移動なし 17.7 角花壇 移動なし 22.1 角花壇 西へ約 60cm 移動 27.9 長花壇 南西へ約 200cm 移動 31.1 角花壇 西南西へ約 55cm 移動 35.6 角花壇 西へ約 50cm 移動 41.0 角花壇 西南西へ約 60cm 移動 44.6 長花壇 西へ約 140cm 移動 48.9 角花壇 西南西へ約 55cm 移動 53.3 角花壇 西へ約 50cm 移動 57.8 角花壇 西へ約 55cm 移動 60.0 長花壇 西へ約 120cm 移動 61.4 長花壇 西へ約 60cm 移動 66.3 角花壇 西南西へ約 60cm 移動 70.6 角花壇 西へ約 60cm 移動 75.7 角花壇 移動なし 84.4 角花壇 左へ約 20 回転 26.6 ベンチ 西側に転倒 花壇やベンチまでの距離は それぞれの南端までを測定した 角花壇 (80cm80cm 高さ 50cm) 長花壇 (100cm50cm 高さ 50cm) ベンチ (180cm50cm 高さ 77cm) 煉瓦舗装面の剥離 (A~H) について 最大は G で約 100 m2である 13

津市なぎさまちに入った高波の経路 聞き取り調査により道路側の高波による海水が駐車場に侵入した 14

浸水高 ( 標高 ) 津なぎさまち 敷地内で最も標高が低い ( 排水溝 ) N 地面の (A) からの高さ :+0.1m 地面の標高 :3.4m 83.5m 地面の (A) からの高さ :-0.5m 地面の標高 :2.8m 89.0m 地面の (A) からの高さ :+0.1m 地面の標高 :3.4m 乗用車 1( 赤 ) ( 浸水痕跡状況写真 6) 地面の (A) からの高さ :-0.6m 地面の標高 :2.7m 浸水高 ( 地面から ):0.3m 浸水高 ( 標高 ):3.0m 19.3m 31.3m (A) 基準点とした地点 (X) からの高さ :1.4m ( 標高 :3.3m) 乗用車 2( 白 ) ( 浸水痕跡状況写真 4) 地面の (A) からの高さ :-0.5m 地面の標高 :2.8m 浸水高 ( 地面から ):0.4m 浸水高 ( 標高 ):3.2m (X) 岸壁海水面からの高さ :3.0m ( 標高 :1.9m) 測定時刻 :6 月 22 日 13 時 43 分 ( 海面の標高 :-1.1m) 出典 : 電子国土 URL http://cyberjapan.jp/ 15

津ヨットハーバー N 伊勢湾海洋スポーツセンター 基準点からの高さ :1.2m 浸水高 ( 標高 ):1.9m 32.1m 出典 : 電子国土 URL http://cyberjapan.jp/ 基準点 ( 海面の標高 :0.7m) 34 4231.8N 136 3126.4E 測定時刻 :6 月 25 日 09 時 50 分 16

聞き取り調査 (A) 津市なぎさまち内旅客ターミナル指定管理会社の職員 時頃には高波が駐車場に入ってきており また雨も降っており 駐車場一帯が浸水していた 浸水は深い所で ~ cmあった その時は車は移動してなかった その後避難したので いつ車が動いたかわからない 時 分頃は浸水してなかったと聞いている 時 分頃に戻ってきた時は 水は引いていた (B) 津市なぎさまち旅客ターミナルの職員 浸水などに気がついたのは 時 分くらいで 堤防の北側から駐車場へ高波が入ってきた 船着き場は 東側に堤防があるので 高波による被害はなかった ただし 満潮時にはかなり潮位が上がって桟橋では浸かっていたところもあった 時 分くらいまで事務所にいたが 時過ぎから雨 風が強まり 時ぐらいまで続いた 今までも潮がかぶることはあったが 今回ほどのことは経験がない (C) 駐車場の警備員 A 当日は 時まで勤務であった 時 分頃から波 雨 風が強くなり この状態は 時頃まで続いた 駐車場の浸水は 時頃に気付いた 駐車場全体が浸水しており 海側に駐車してあった車は 車高の半分程度浸水していた 海側から高波が駐車場に入ってきており また 道路に打ち寄せた高波が道路を流れて駐車場に入ってきていた 浸水は 時頃から引き始め 時頃には完全に引いた 波しぶきがひどかったので 車がいつ移動したのかわからない 津波のように海水全体が駐車場に入ってきたのではなく 高波の海水が浸入してきたと思う (D) 駐車場の警備員 B 時に出勤した 車は通路のところまで移動していた レンガは台風が来るたびにはがれることがあるが 今回の被害がいちばんひどい (E) 伊勢湾海洋スポーツセンター職員 ( 津ヨットハーバー ) スポーツセンターまでは浸水しなかったが ヨットハーバーの海岸に近い部分 ( 係留してあるヨットの 列目 ) は浸水した 岸壁端のクレーンがある付近は cm位浸水していた 波は防波堤があるため 直接ヨットハーバーへはこなかった 時頃に岸壁と海面が同じ高さになった 浸水は 時頃に最大となり 時 分頃から引き始め 時頃に引いた 年ほど前の台風接近時に 今回と同じくらい浸水したことがある (F) 堤防近くの住民 A 凄い風で木くず等が飛んで来ていた 育てている植木が潮風で全滅した (G) 堤防近くの住民 B 自分の船が心配で見に行こうとしたが 堤防に上がる時に 東風がまともに吹いていたので 身の危険を感じて引き返した 17

調査のまとめ 台風第 号が三重県に接近した 月 日夕方 三重県津市なぎさまちの中部空港連絡用の高速船ターミナル第一駐車場で 高潮 高波による影響のため 台以上の車が数メートル流されて車同士がぶつかる被害が発生したとの部外からの通報があり 状況把握のため現地調査を実施した この調査により 高速船ターミナル第一駐車場の海岸側休憩所で 広範囲の煉瓦舗装剥離と 休憩用ベンチの転倒 大型角形コンクリート製プランターの移動などが今回の高潮 高波で発生したことを確認した また 第一駐車場の一番海側に近い並列駐車場に止めてあった車両のほとんどが陸側に数メートル移動していた 高潮 高波の影響により移動した距離は最大でであったが他の車両に当たって止まっていたため 正確な値は不明である しかし 少数の重量のある車両はほとんど移動していないことや 浸水痕跡から駐車場地面高で~を大幅に越える浸水の可能性はなかったと推定される なお 対面駐車区域の海寄りから一列目は多少移動した車両があったが 二列目から西の道路側の場所では浸水はあったものの移動した車両は認められなかった また 聞き取り調査によれば 駐車場東の海側からの高波とともに 駐車場の北側浜に打ち上がった波が駐車場西側道路を下り 駐車場入り口から浸水した模様で 道路上には砂の堆積痕もあったが浸水量については不明である 被害のあった高速船ターミナル第一駐車場の南側に接するターミナル施設及び管理棟については 外観上目立った浸水痕跡はなかったが ターミナル施設内の一部に浸水があった しかし 海側の波よけ堤防により第一駐車場と比較すると浸水の影響が少なかったことは明瞭である これら調査の結果 被害のあった高速船ターミナル第一駐車場で痕跡から推定される浸水高は~( 標高 ) であった また 聞き取り調査などから 月 日 時 ~ 時頃に浸水のピークがあったことを確認した 当時 現地では台風の最接近前後で 強い東風 ( 津で 時 ~ 時にかけて 分間平均風速が約 ) が継続して吹いており 被害地域沖合では 当時の海上の風向 風速から風浪を簡易的に計算すると 波の高さが約 程度に達していたと推定される これらのことから 台風の接近前の 時 ~ 時頃は 大潮の満潮時刻に近く天文潮位が高くなってきたところに 台風による潮位の上昇が加わってm 弱程度まで潮位が高くなった 津ヨットハーバーの調査から さらに風による高波の影響が加わったため 浸水高はm 程度上昇し 駐車場に海水が打ち上げたものと推定される 謝辞 今回の調査及び報告作成にあたり 資料を提供していただいた機関をはじめ ご協力いただいた皆様に この場をかりて深く御礼申し上げます 18