フランスのイノベーション政策 グルノーブル デー 2010 年 3 月 11 日名城大学 クリストフグリニョン対仏投資庁日本事務所代表
1. フランスのイノベーション政策 2
1.1 変化するフランス «France is on the move» 改革の継続 投資による活性化 : 景気刺激策として 1000 件にのぼるプロジェクトの立ち上げ '2008 年末 (: 総額 260 億ユーロ ' うち国家資金 110 億ユーロ ( 750 拠点イノベーションに積極的に参加する 産業クラスター参加外国企業の事業拠点数 4600 億ユーロ 環境グルネル会議 のために 2020 年までに投資する額 2020 年までに 消費エネルギーのうち 23% を再生エネルギーに (2009 年では 10%) 持続可能な都市 グラン パリ プロジェクト グリーン成長 グルネル環境会議 : エコロジー建築 再生エネルギー エコ テクノロジー 持続可能な交通機関の開発 : 建物の温暖効果をあげるリフォームや エネルギー効率の良い建築に対し 2 千億ユーロを投資 原子力を促進 :2012 年に 2 番目の ERP 原子炉 :34 カ国を統括する ITER プロジェクト 原子力エネルギーを開発 2010 年末に エコ テクノロジー分野の産業クラスターを約 10 拠点開設 交通 輸送 : パリ シャルル ド ゴール空港からの高速貨物輸送 CAREX-Cargo Rail Express プロジェクトの推進 3
1.2 フランスの研究開発 イノベーション 研究開発 イノベーション分野でトップクラス 2008 年の国際特許出願率 世界第 5 位 欧州第 2 位 ' 出典 : OMPI, 2009 年 1 月 ( 2006 年科学分野の出版数 欧州第 3 位 'OST, Indicateurs de Sciences et de Technologies, Edition 2008( 2007 年研究開発拠点受け入れ数 欧州第 2 位 ' アーンストアンドヤング調査 ( GDP の支出内訳 フランスの研究開発支出 '2006 年で 2.1% 370 億ユーロ (1980 年から 2 倍に成長 ベルギー 英国 オランダを凌ぐ 'MESR, L état de l Enseignement et de la Recherche en France, décembre 2008( 欧州で最高率の研究開発税額控除 4
高い技術を持つ人材が集積 1.3 フランスの研究開発 イノベーション 研究開発に従事するスタッフ数 世界第 6 位 (23 万人 ): 米国 中国 日本 ロシア ドイツに次ぐランク 優れた公的研究機関 フランスには 世界的に有名な公的研究機関が多く存在 全ての研究分野を網羅している :CNRS CEA パスツール研究所 INSERM INRIA など また 多くの高等教育機関 ' エコール ポリテクニーク パリ国立高等鉱業学校 INSEAD HEC( や 世界的に認知度の高い大学が これら公的研究機関とパートナーシップを結んでいる 5
1.4 イノベーションを優先課題に 研究開発プロジェクトに関する現行の公的支援 研究開発税額控除制度 年間の研究開発支出の税額を控除 その他の公的支援 経済産業雇用省 国土整備省 公的機構 'ANR OSEO) 地方自治体による支援など 産業クラスターにおける支援 6
1.5 研究開発税額控除 フランス国内に拠点をおいて研究開発活動を行う企業を支援する公的支援制度 : 1 企業 1 年度につき 年間 1 億ユーロを上限として 研究開発費の 30% が控除される ' 上限額を超える場合 5% の税率を適用 ( 初めて研究開発費控除を受ける企業 過去 5 年間控除を受けていなかった企業 : 初年度研究開発費の 50%+ 次年度 40% の控除 研究開発税額控除の支払 : 法人納税額から控除されるか 収益が申告されていない企業の場合には 還付として受け取れる 控除の対象となる研究開発費 : 建物と機器の減価償却費 研究者や技術者の賃金 特許の取得 維持費用など 7
1.6 研究開発税額控除 ' 国際比較 ( 例 ( 研究開発費用 1,000 万ユーロ ' うち人件費が 600 万ユーロ ( 法人税額 200 万ユーロの企業の場合 欧州で最も優れた税額控除率を提供 8
1.7 研究開発税額控除 ' 控除例 ( 9
1.8 研究開発プロジェクトに対する公的支援 国家の省別特別基金 'Fonds unique interministériel: FUI( : 産業クラスターにおける研究開発プロジェクトに対し 年に 2 回の公募で選出されたプロジェクトに対して行なわれる資金援助 第 8 回の公募 '2009 年 7 月 ( で フランス政府は 48 の産業クラスターが提出した 93 件の研究開発プロジェクトに対し 1 億 9 百万ユーロの資金援助を行うことを発表 OSEO Innovation: 中小企業のイノベーション活動に対して助成を行なう機関 2008 年 イノベーション企業 5000 社に対し 総計 8 億ユーロの支援を行なった 国立研究機構 'ANR:Agence Nationale de la Recherche(: 官民の研究所が共同で行なう研究プロジェクトに対して財政支援を行なう 2008 年 およそ 10 億ユーロにのぼる投資 支援の 25% が企業に対して支給された 10
1.9 産業クラスター政策 目的 : 産官学の共同研究開発を促進し 地方の競争力を高める 政府に認定された 71 の産業クラスターのうち 17 が世界規模のクラスター メリット : 認定プロジェクトへの大幅な財政支援 研究を行う施設 設備の共有と企業の社会保障負担金の軽減 外国企業も 500 社ほど参加 11
1. 10 産業クラスター政策 2005 年以降に発足した 2,000 件にのぼるプロジェクトに対し 総額 40 億ユーロを投資 12,000 人の研究者が参加 2009 年 ~2011 年でも 20 億ユーロの公的資金が当てられる うち省別特別基金 'FUI( は クラスターに参加する外国企業も利用可能 12
2. フランスにおける日系企業の進出状況 13
2.1 対仏投資国第 11 位の日本 フランスはユーロ圏内で日本の第 1 位の投資先 約 400 社 約 625 拠点 ( 対仏投資庁調べ ( 累計約 63 000 人の雇用を創出 2008 年約 1200 人の新規雇用を創出 日本企業の対仏進出は 1970 年代より 2000 年から 2008 年の間 約 250 のプロジェクト 12 200 人以上の雇用創出 14
2.2 ランキング ' 従業員数 ( 2008 年末 Company Name Nb of employees as of 31.12.2008 1 NTN CORPORATION 4999 2 RICOH CO.,LTD. 4177 3 TOYOTA MOTOR CORPORATION 3928 4 SUMITOMO RUBBER INDUSTRIES, LTD. 3561 5 JTEKT CORPORATION 3193 6 CANON INC. 2408 7 BRIDGESTONE CORP. 2393 8 SHISEIDO CO.,LTD. 1650 9 ASAHI GLASS CO.,LTD. 1581 10 SONY CORPORATION 1371 11 TOSHIBA TEC CORP. 1136 12 YAMAHA MOTOR CO.,LTD. 1131 13 FAST RETAILING CO., LTD 1119 14 KONICA MINOLTA BUSINESS TECHNOLOGIES, INC. 1106 15 TOYOTA INDUSTRIES CORPORATION 1063 16 SANDEN CORPORATION 1058 17 OTSUKA PHARMACEUTICAL CO., LTD. 1018 18 HORIBA, LTD. 987 19 FUJITSU LIMITED 711 20 TORAY INDUSTRIES, INC. 677 21 AJINOMOTO CO.,INC. 613 22 NEC Corporation 604 23 AMADA CO.,LTD. 602 24 TOSHIBA CORPORATION 521 25 THK CO., LTD. 456 26 TAKEDA PHARMACEUTICAL COMPANY, LTD. 450 27 MARUYASU INDUSTRIES CO., LTD. 443 28 TOYOTA TSUSHO CORPORATION 409 29 FUJI KIKO CO., LTD. 383 30 NIPPON SUISAN 379 15
2.3 研究開発分野における日本企業の高いプレゼンス フランスにおける主な日本企業の研究開発拠点 約 40 の研究開発拠点 約 1000 人の雇用 出典 : フランス進出企業アンケート調査在日フランス大使館対仏投資庁日本事務所 16
2.4 イゼール県の進出企業リスト Company Name Affiliated company name Establishment Employees Sector Activities NYK LINE NYK LOGISTICS (FRANCE) S.A.S. 2000 94 Transportation and storage Logistics INDEX CORPORATION SASP GRENOBLE FOOT 38 2004 84 Service Activitie Other ASAHI GLASS CO.,LTD. AGC DAVER SNC 1981 39 Glass&Ceramics Production GS Yuasa Corporation YUASA BATTERIES FRANCE S.A. 1991 16 JAPAN ELECTRONIC MATERIALS CORP. MURATA MACHINERY, LTD. JEM EUROPE SARL 2003 13 RAYTEX CORPORATION Raytex Corporation Europe Branch 2008 2 YUSEN AIR & SEA SERVICE CO., LTD. Electrical Equipment, IT Equipment Electrical Equipment, IT Equipment Commercial Activities Production MURATEC AUTOMATION EUROPE SARL 2006 2 Machinery and Equipments Commercial Activities Electrical Equipment, Commercial IT Equipment Activities YUSEN AIR & SEA SERVICE 2005 2 Transportation and storage Logistics S.A.R.L., LYON BRANCH NISHIZAWA LIMITED NISHIZAWA LIMITED, Representative Office 1979 1 Metal Products Representative Office ANEST IWATA CORPORATION HORIBA, LTD. HORIBA FRANCE SARL Grenoble Office ND ND Tokyo Electron Limited TOKYO SEIMITSU CO., LTD. (ACCRETECH) ANEST IWATA France S.A. 1992 ND Machinery and Equipments Commercial Activities Electrical Equipment, Commercial IT Equipment Activities TOKYO ELECTRON EUROPE LIMITED Grenoble Office Accretech 'Europe) GmbH French Office ND ND Electronic Components Commercial Activities ND ND Machinery and Equipments Other 17
2.5 日本の対仏投資 ' 雇用数 ( 産業分野 3 分の 2 が自動車と IT 産業 2% 5% 4% 1% 2% 自動車 ITエレクトロニクス化学 素材 6% 機械 6% 41% 医療 化粧品サービス 6% 食品 ; 農業関連 27% ソフトウェア サーヒ ス ロシ スティクス その他 Source 出典 : List : フランス進出企業 of Investors 2007 アンケート調査 (données 2009'2008 2006) 年末のデータ ( 在日フランス大使館対仏投資庁日本事務所 18
2.6 日本の対仏投資 ' 雇用数累計 ( 事業活動 製造が半数以上を占める 日系企業の特徴 3% 4% 1% 1% 1% 1% 35% 54% 事業活動別雇用数の割合生産販売 サービス欧州統括拠点仏統括拠点ロジスティクス研究開発駐在員事務所その他 出典 : フランス進出企業アンケート調査 2009'2008 年末のデータ ( 在日フランス大使館対仏投資庁日本事務所 19
2.7 日本企業の投資プロジェクト '2008 年 ( 投資タイプ別雇用創出 維持の割合 対仏投資結果全体 日本 10% 3% 新規開設 既存事業の拡大 企業買収 34% 53% 提携 新規開設の増加 全体の 50% 以前は既存事業拡大案件が多かった 20
2.8 日本企業の投資プロジェクト '2008 年 ( 産業分野の内訳 化学 プラスチック 3% 3% 3% 3% 22% 自動車 自動車部品 機械 機械設備 7% 医療機器 分野は多岐に及ぶ 2008 年は化学が飛躍的に増加 '2007 年までの主流は自動車 IT 産業 ( 10% 10% 17% 22% 医薬品 バイオテクノロジーコスメティクス 香水 ソフト ゲーム エネルギー 電子部品 21
2.9 日本企業の投資プロジェクト '2008 年 ( 事業分野の内訳 日本 3% 52% 28% 17% 生産研究開発販売 / 管理サービス 研究開発プロジェクト次第に増加 対仏投資結果全体 22
2.10 日本企業の主要投資案件 '2008 年 ( NTN 東レ 新規 拡張 33 件 東洋インキ製造 豊田紡織 雇用創出 1128 名 セルシード レオン自動機 ダイキン工業 日本フィルコン シスメックス 高級アルコール 等... カプコン 旭化成エレクトロクス 欧州への足がかりとしてフランスへの進出 一件あたりの雇用人数は減少 23
2.11 2009 年の最新トレンド 経済危機で一番打撃を受けたセクターのプロジェクト凍結 ' 自動車 IT, 化学 素材 リテール 等...( 再生可能エネルギー ' 太陽光 風力 ( デジタルコンテンツ マルチメディア等でプロジェクトの急増 M&A' パートナー探し 企業買収 ( に対する強い関心 研究開発プロジェクトの増加 ' 税額控除などを生かして ( 24
3. 対仏投資庁のサービス 25
3.1 対仏投資庁 Invest in France Agency (AFII) とは 2001 年に設立された行政機関 経済 産業 雇用省 'MINEFE( と環境 国土整備 地方自治体省の監督下におかれている 経済 産業 雇用省 (MINEFE) 国土整備地方開発局 (DATAR) 26
3.2 対仏投資庁 Invest in France Agency (AFII) とは 雇用の創出と地方経済の発展を目的に 外資系企業のフランスへの進出プロジェクトを支援 日本企業の進出市場拡大 雇用の創出 地方経済の発展 安定 日仏双方に経済効果 27
3.3 対仏投資庁 Invest in France Agency 'AFII( のネットワーク : 世界に 23 の事務所 28
3.4 産業分野別担当官が情報提供 無償で企業へ情報提供 輸送機 物流担当 新エネルギー 環境担当 化学 素材担当 企業 企業 企業 企業 企業 企業 食品 医療バイオ担当 IT 担当 サービス ソフトウェア担当 29
3.5 対仏投資庁の公的サービス 一般的な投資環境のご案内 具体的な立地のご紹介 ' 生産 販売 研究開発 欧州統括本部 物流拠点 ( 専門家の紹介 ' 法務 税務 リクルート会社 etc.( 各種財政支援条件等の確認 パートナー企業ご紹介 / 現地視察のアレンジ 30
3.6 フランス全土に及ぶネットワーク 地方ネットワークとの連携により企業に中立的な情報提供が可能 無償の公的支援 各産業分野に最適な地方は? コストの比較? JV に興味がある企業は? 31
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