大情審答申第 号

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答 申 第 1 審議会の結論名古屋市長 ( 以下 実施機関 という ) が 本件異議申立ての対象となる保有個人情報を一部開示とした決定は 妥当である 第 2 異議申立てに至る経過 1 平成 23 年 12 月 21 日 異議申立人は 名古屋市個人情報保護条例 ( 平成 17 年名古屋市条例第 26

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論 点 整 理 表

録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

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社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

第一審査会の結論 豊中市教育委員会が行った 内部公益通報に係る調査の実施について ( 報告 ) を不 開示とした決定は妥当ではなく 別紙に記載した部分を除き開示すべきである 第二審査請求の経過 1 開示請求審査請求人は 平成 25 年 7 月 17 日 豊中市情報公開条例 ( 以下 条例 という )

ている しかしながら 本件処分は条例の理念と条文の解釈運用を誤った違法なものであり 取り消されなければならない ⑶ 条例第 7 条第 1 項本文は 個人情報の外部提供の原則禁止を規定している また 同条同項ただし書の趣旨は 単に外部提供の原則禁止規定を解除したにとどまる すなわち 当該法令等が存在す

情報公開答申第733号本文(諮問第923号)

個人情報保護規程

横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申

個人情報保護方針

privacypolicy

( 別紙 ) 答申 : 行文第 24 号 諮問 : 行文第 24-1 号 答申第 1 審査会の結論実施機関が行った本件不開示決定処分については適正であったと認める 第 2 諮問事案の概要 1 行政文書の開示請求異議申立人は 平成 24 年 5 月 7 日 奈良市長 ( 以下 実施機関 という ) に

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

く, 未支給年金受給権者の個人情報の開示を求めているとして, 法 12 条 自己を本人とする開示を請求することができる に当たらないため, 開示することはできないことを伝え, 取り下げの意思を確認した しかしながら, 異議申立人は, 不開示である旨の正式な回答がほしいとして, 開示請求を続けたもので

(2) 電子計算機処理の制限に係る規定ア電子計算機処理に係る個人情報の提供の制限の改正 ( 条例第 10 条第 2 項関係 ) 電子計算機処理に係る個人情報を国等に提供しようとする際の千葉市情報公開 個人情報保護審議会 ( 以下 審議会 といいます ) への諮問を不要とし 審議会には事後に報告するも

個人情報の保護に関する規程(案)

財団法人杉並区スポーツ振興財団個人情報保護規程

個人情報保護規程 株式会社守破離 代表取締役佐藤治郎 目次 第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章個人情報の利用目的の特定等 ( 第 4 条 - 第 6 条 ) 第 3 章個人情報の取得の制限等 ( 第 7 条 - 第 8 条 ) 第 4 章個人データの安全管理 ( 第 9

別紙 答申 1 審査会の結論 委託事業者の企画提案書 及び 選考会議の資料 について行われた部分公開の決定は 妥当である 2 異議申立ての趣旨 (1) 異議申立人 ( 以下 申立人 という ) は 神戸市情報公開条例 ( 以下 条例 という ) に基づき 以下の公開請求 ( 以下 本件請求 という

個人情報の取扱いに関する規則 平成 12 年 9 月 29 日 奈良県規則第 2 2 号 改正 平成 13 年 3 月 30 日 規則第 68 号 改正 平成 17 年 3 月 29 日 規則第 30 号 改正 平成 18 年 3 月 31 日 規則第 38 号 改正 平成 27 年 9 月 25

第 4 条 ( 取得に関する規律 ) 本会が個人情報を取得するときには その利用目的を具体的に特定して明示し 適法かつ適正な方法で行うものとする ただし 人の生命 身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合には 利用目的を具体的に特定して明示することなく 個人情報を取得できるものとする 2 本会

制定 : 平成 24 年 5 月 30 日平成 23 年度第 4 回理事会決議施行 : 平成 24 年 6 月 1 日 個人情報管理規程 ( 定款第 65 条第 2 項 ) 制定平成 24 年 5 月 30 日 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 定款第 66 条第 2 項の規定に基づき 公益社団法

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個人情報の取り扱いに関する規程

個人情報によって識別される特定の個人をいう ( 基本理念 ) 第 3 条個人情報は 個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ その適正な取扱いを図るものとする 第 2 章個人情報 ( 利用目的の特定 ) 第 4 条個人情報を取り扱うに当たっては 定款の定める業務を遂行

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社会福祉法人春栄会個人情報保護規程 ( 目的 ) 第 1 条社会福祉法人春栄会 ( 以下 本会 という ) は 基本理念のもと 個人情報の適正な取り扱いに関して 個人情報の保護に関する法律 及びその他の関連法令等を遵守し 個人情報保護に努める ( 利用目的の特定 ) 第 2 条本会が個人情報を取り扱

個人情報保護規定

第1 審査会の結論

答申

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

学校法人金沢工業大学個人情報の保護に関する規則

個人情報保護規程例 本文

平成25年2月 日

異議申立てしていますが, 協会 ( 原文ママ ) として黙認しています 本件に関しても, 諮問庁は国のトップなのだから, もっともっと労働問題に積極的に取り組み, 労基法厳守で, 場合により, 行政処分すべきである 警察なら, スピード違反すれば即行政処分されますが, 労基法では, 基本強い行政処分

財団法人杉並区スポーツ振興財団個人情報保護規程

第 4 条センターは 個人情報保護方針 ( プライバシーポリシー ) を定め これを実施する 2 センターは 個人情報保護方針を 文書等で従業者に周知徹底させるとともに センターのホームページ上に公表する ( 規程の改定 ) 第 5 条センターは 個人情報保護法の運用 監督官庁のガイドライン等の変更


財団法人日本体育協会個人情報保護規程

ついて その取消しを求めるというものである (2) 異議申立ての理由異議申立人が 異議申立書及び意見書で主張している異議申立ての主な理由は 次のように要約される ア異議申立書における主張異議申立人の配偶者が一方的に有り得ない夫婦間暴力の被害申告 ( 以下 虚偽 DV 被害申告 という ) を 警察署

19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

個人情報の保護に関する

保有個人情報開示請求書 年月日 出入国在留管理庁長官又は 長殿 ( ふりがな ) 氏名 住所又は居所 ( ) 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律 ( 平成 15 年法律第 58 号 ) 第 13 条第 1 項の規定に基づき, 下記のとおり保有個人情報の開示を請求します 記 1 開示を請求す

エーシーニールセン・コーポレーション株式会社 個人情報保護方針

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劇場演出空間技術協会 個人情報保護規程

する実施機関 ( 以下 実施機関 という ) に提出しなければならない ( 収集の制限 ) 第 6 条財団は 個人情報を収集するときは あらかじめ個人情報を取り扱う目的 ( 以下 取扱目的 という ) を明確にし 当該取扱目的の達成のために必要な範囲内で適法かつ公正な手段により収集しなければならない

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イ不動産鑑定評価書のうち次の部分 ( ア ) 鑑定評価額並びに鑑定評価額を導くための単価 補正係数 補正事項 想定係数及び想定事項 ( イ ) 取引事例に関する情報 ( 市町村名を除く ) (3) 開示しない理由ア (2) のア当該文書の作成又は取得をしていないためイ (2) のイの ( ア ) 条

1 審査会の結論平成 30 年 1 月 12 日付けで審査請求人が行政文書公開請求した 深沢地域整備事業に関し J R 東日本の要望 条件 要請 意向等の文書 ( 復命書含む ) 及び前記の記載がある文書 に対して実施機関鎌倉市長が平成 30 年 3 月 12 日付けで行った行政文書一部公開決定処分

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答申第203号(公表用)

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とする (1) 土地改良区の名称が 土地改良法 ( 昭和 24 年法律第 195 条 以下 法 という ) 第 16 条第 1 項又は法第 79 条第 1 項の規定に基づく定款 ( 以下 定款 という ) に記載した名称と一致すること (2) 土地改良区の主たる事務所の所在地が 定款に記載した事務所

ウ 特定個人 a に訂正してほしいとは, 私は書いてない これも日本年金機構の単純ミスなのか? それとも他に理由があるのか? 事実に基づいて, 説明を求める 私の公共職業安定所における氏名は, カタカナの 特定個人 b のスペースなしで管理されている 私の資格画面も氏名欄はカタカナである 国民年金保

特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 11 町田市障害福祉事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 町田市は障害福祉事務における特定個人情報ファイルの取扱いにあたり 特定個人情報ファイルの取扱いが個人のプライバシー等の権利利益に影響を及ぼしかねない

第 1 開示決定等の審査基準 1 全部又は一部を開示する旨の決定 ( 条例第 23 条第 1 項 ) は 次のいずれかに該当する場合に行う (1) 開示請求に係る保有個人情報に非開示情報が記録されていない場合 (2) 開示請求に係る保有個人情報の一部に非開示情報が記録されている場合であって 当該非開

拍, 血圧等 ) を, ユーザー本人または当社の提携先からと提携先などとの間でなされたユーザーの個人情報を含む取引記録や, 決済に関する情報を当社の提携先 ( 情報提供元, 広告主, 広告配信先などを含みます 以下, 提携先 といいます ) などから収集することがあります 4. 当社は, ユーザーが

諮問庁 : 株式会社日本政策金融公庫諮問日 : 平成 28 年 2 月 8 日 ( 平成 28 年 ( 独個 ) 諮問第 3 号 ) 答申日 : 平成 28 年 4 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 独個 ) 答申第 1 号 ) 事件名 : 本人に関する融資審査の検討資料の不訂正決定に関する件

(4) 保有個人情報実施機関の職員 ( 本市が設立した地方独立行政法人の役員を含む 以下同じ ) が職務上作成し, 又は取得した個人情報であって, 当該実施機関の職員が組織的に利用するものとして, 当該実施機関の公文書に記録されているものをいう (5) 特定個人情報行政手続における特定の個人を識別す

個人情報保護規程準則

よこはまウォーキングポイント事業実施要綱 制定平成 26 年 8 月 20 日健保事第 1631 号 ( 局長決裁 ) 最近改正平成 30 年 9 月 28 日健保事第 2150 号 ( 局長決裁 ) ( 目的 ) 第 1 条この要綱は 歩数計及びスマートフォン歩数計アプリ ( 以下 スマホアプリ

0 月 22 日現在, 通帳紛失の総合口座記号番号 特定番号 A-B~C 担保定額貯金 4 件 ( 特定金額 A): 平成 15 年 1 月 ~ 平成 16 年 3 月 : 特定郵便局 A 預入が証明されている 調査結果の回答書 の原本の写しの請求と, 特定年月日 Aの 改姓届 ( 開示請求者本人

第 4 条公共の場所に向けて防犯カメラを設置しようとするもので次に掲げるものは, 規則で定めるところにより, 防犯カメラの設置及び運用に関する基準 ( 以下 設置運用基準 という ) を定めなければならない (1) 市 (2) 地方自治法 ( 昭和 22 年法律第 67 号 ) 第 260 条の2

横情審答申第 1534 号 平成 3 0 年 11 月 15 日 横浜市長林文子様 横浜市情報公開 個人情報保護審査会 会長 藤原靜雄 横浜市個人情報の保護に関する条例第 53 条第 1 項の規定に基づく諮問 について ( 答申 ) 平成 29 年 5 月 1 日総職健第 86 号による次の諮問につ

情報公開に係る事務処理規則 ( 平 18 規則第 16 号平成 18 年 8 月 1 日 ) 改正平 19 規則第 52 号平成 19 年 9 月 21 日平 26 規則第 2 号平成 26 年 5 月 13 日平 26 規則第 22 号平成 27 年 3 月 31 日 第 1 章総則 ( 目的 )

報主体の権利利益及びプライバシーの侵害の防止に関し 必要な措置を講じるよう勤める 2 本センターの職員等は 業務上知り得た個人情報を漏えいし または不当な目的に使用してはならない 第 2 章 管理体制及び責任 ( 管理体制 ) 第 6 条本センターは 個人情報の適切な管理を効果的に実施するため 役割

の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から

式 ) により行うものとする 4 条例第 15 条の 3 第 1 項の規定による通知は 個人情報開示請求事案移送通知書 ( 別記第 10 式 ) により行うものとする ( 法人及び開示請求者以外のものに対する意見書提出の機会の付与等 ) 第 4 条の2 条例第 15 条の4に規定する実施機関が定める

事業者が行うべき措置については 匿名加工情報の作成に携わる者 ( 以下 作成従事者 という ) を限定するなどの社内規定の策定 作成従事者等の監督体制の整備 個人情報から削除した事項及び加工方法に関する情報へのアクセス制御 不正アクセス対策等を行うことが考えられるが 規定ぶりについて今後具体的に検討

東京弁護士会個人情報保護規則

社会福祉法人渋谷区社会福祉事業団 個人情報保護規程 第 1 章 総則 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 社会福祉法人渋谷区社会福祉事業団 ( 以下 事業団 という ) が保有する個人情報等の取扱いについての基本的事項を定め 個人の権利利益の保護及び人格の尊重を図るとともに 事業の適正な運営に資する

役職員等 とは, この法人に所属するすべての理事, 監事及び組織内にあって直接又は間接にこの法人の指揮監督を受けてこの法人の業務に従事している者をいい, 雇用関係にある従業者のみならず, この法人との間に雇用関係のない者 ( 派遣社員等 ) も含む. (10) 個人情報管理責任者 個人情報管理責任者

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査請求人 ) が 平成 5 年分所得税確定申告書 ( 以下 本件請求保有個人情報 1 という ) の開示を求めるものである 処分庁は, 本件開示請求に対し, 本件請求保有個人情報 1は文書保存期間 (7 年 ) が満了し, 既に廃棄しているとして, 平成 27 年 12 月 2 2 日付け特定記号第

ありどのような証言がなされたのか ( 請求人にとって虚偽と思われる証言が無いか等 ), また産業医が本人の意見を聞かずにどう判断し診療録に記載したのかを知る権利が請求人にはあると考える 3 請求人については, 特定理由等から特定機関等が千葉大学に対して診療録の開示を求める可能性もあり得るが, 千葉大

北上市空家等対策規則 ( 趣旨 ) 第 1 条この規則は 北上市空家等対策条例 ( 平成 28 年北上市条例第 17 号 以下 条例 という ) の実施に関し必要な事項を定めるものとする ( 守秘義務 ) 第 2 条条例第 7 条に定める空家等対策審議会の委員は 職務上知り得た秘密を他に漏らしてはな

学校法人久留米大学個人情報の保護に関する規程

個人情報管理規程

財団法人吊古屋都市整備公社理事長代理順位規程

当該実施機関が保有しているものをいう ただし 公文書 ( 越谷市情報公開条例 ( 平成 11 年条例第 10 号 ) 第 2 条第 2 項に規定する公文書をいう 第 7 号において同じ ) に記録されているものに限る (4) 事業者法人その他の団体 ( 実施機関並びに国及び他の地方公共団体を除く )

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

プライバシーポリシー

メ 札幌市オンブズマン条例 平成 12 年 12 月 12 日条例第 53 号 改正 札幌市オンブズマン条例 平成 15 年 10 月 7 日条例第 33 号 平成 20 年 11 月 7 日条例第 36 号 目次第 1 章総則 ( 第 1 条 第 4 条 ) 第 2 章責務 ( 第 5 条 第 7

第 3 諮問庁の説明の要旨 1 本件事案の概要本件は, 審査請求人が平成 29 年 8 月 29 日付けで法人文書の開示請求を行ったことに対し, 同年 9 月 29 日付け千大総第 307 号により, 法人文書の一部を不開示とする開示決定等処分 ( 処分 1) を行ったところ, 審査請求が提起された

個人データの安全管理に係る基本方針

個人情報の保護に関する規程

個人情報保護法への対応規定の様式例

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1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

消費者庁にも苦情相談を行い, 今にも消費者庁が動くであろうこと等を話し, 異議申立人に謝罪及びデータ削除を求めているとのことであった 当初監察部は, 異議申立人に謝罪に応じるよう促したが, 異議申立人が使用しているデータは, 登記事項証明書記載のデータと同一であり 法 を犯していないので謝罪には応じ

基づき, 平成 27 年 9 月 29 日付けで, 特定労働基準監督署( 以下 特定署 という ) へ特定日までに提出された特定事業場の就業規則, 就業規則届及び意見書 36 協定書, 同月 30 日付けで, 特定署に提出された特定事業場の36 協定書 3 年分 に係る開示請求を行った (2) 三重

第 3 条市長は 前条に規定する申請に基づいて医療費の給付を受けることができる者であることを確認したときは 申請者に重度心身障がい者医療費受給者証 ( 第 2 号様式 以下 受給者証 という ) を交付するものとする 2 前項の受給者証の資格取得日は 市長が交付決定をした日の属する月の翌月の初日 (

個人情報開示等請求書 (ebookjapan 用 ) 株式会社イーブックイニシアティブジャパン 私は 貴社サービス ebookjapan における自己の個人情報登録の有無および登録内容について 以下のと おり申請いたします なお私は 本申請に関連して貴社が取得した個人情報について 貴社が本申請への対

Microsoft Word - 素案の概要

問にさらされることはむしろあるべき姿であり, それによって一層公益の増進に資するともいえる 特に, 本件のような面接試験の場合には, 試験結果の開示が, 面接試験以外の事由で受験者を選抜したのではないことを示すといった効果もあり, 面接試験が適正に行われることを確保するに大きく資すると言える したが

Microsoft PowerPoint - 参考資料2

Transcription:

大個審答申第 47 号 平成 23 年 12 月 13 日 大阪市長平松邦夫様 大阪市個人情報保護審議会 会長松本和彦 大阪市個人情報保護条例第 43 条に基づく不服申立てについて ( 答申 ) 平成 23 年 5 月 12 日付け大阿住第 9 号及び同月 13 日付け大西成窓住第 40 号により諮問の ありました 2 件について 一括して次のとおり答申いたします 第 1 審議会の結論大阪市長 ( 以下 実施機関 という ) が平成 22 年 10 月 21 日付け大阿住第 49 号により行った部分開示決定及び同日付け大西成住第 226 号により行った部分開示決定 ( 以下両決定を一括して 本件決定 という ) は妥当である 第 2 異議申立てに至る経過 1 開示請求異議申立人は 平成 22 年 10 月 7 日 大阪市個人情報保護条例 ( 平成 7 年大阪市条例第 11 号 以下 条例 という ) 第 17 条第 1 項に基づき 実施機関に対し 私の 1 除籍謄本 2 戸籍全部事項証明 戸籍附票平成 22 年 9 月 28 日発行分の申請書第三者請求の根拠とした書面 という旨の開示請求 ( 以下 本件請求 という ) を行った 2 本件決定実施機関は 本件請求に係る保有個人情報が記録されている公文書として 別表 1 及び別表 2の ( え ) 欄に記載の公文書 ( 以下 本件文書 という ) を特定した上で 当該情報の一部を開示しない理由を別表 1 及び別表 2の ( か ) 欄に記載のとおり付して 条例第 23 条第 1 項に基づき 本件決定を行った 3 異議申立て異議申立人は 平成 22 年 12 月 14 日乃至 15 日 本件決定を不服として 実施機関に対して 行政不服審査法 ( 昭和 37 年法律第 160 号 ) 第 6 条第 1 号に基づき異議申立てを行った 第 3 実施機関の主張 実施機関の主張は おおむね次のとおりである 1

1 本件請求に係る保有個人情報について本件請求に係る保有個人情報は 戸籍全部事項証明書 ( 戸籍謄本 ) 等交付請求書 及び 住民票の写し 印鑑登録証明書 戸籍の附票の写し等請求書 に記載された 窓口にこられた方の住所 氏名 生年月日 電話番号 ( 又は連絡先 ) 必要な証明書の本籍 筆頭者の氏名 請求の理由 ( 又は使用目的 ) 必要な証明書の種類及び通数である 2 戸籍全部事項証明書等の第三者請求について戸籍法 ( 昭和 22 年法律第 224 号 ) 第 10 条の2により 自己の権利を行使し 又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合には 請求事由を明らかにし 疎明資料を提示すれば第三者からの請求が可能となる 具体的には 相続手続きを行うため相続人を特定する場合や 債権者が貸金債権を行使するに当たり 死亡した債務者の相続人を特定する場合等が考えられる 3 本件決定理由について本件文書の請求は 請求理由が相続となっており 本人確認資料が提示されているため 実施機関としては証明書等を交付するに至った 本件文書のうち 別表 1 及び別表 2の ( お ) 欄に記載の各個人情報 ( 以下 本件各情報 という ) が 条例第 19 条第 2 号に該当する ( 個人に関する情報であって 当該情報そのものにより 又は 他の情報と照合することにより 開示請求者以外の特定の個人が識別され かつ同号ただし書ア イ ウのいずれにも該当しない ) ため 本件決定を行った 第 4 異議申立人の主張 異議申立人の主張は おおむね次のとおりである 1 本件決定を取り消し 開示を求める 2 相続というが 異議申立人が法定相続分を請求したところなしのつぶてになり 窓 口に来た者に相続の意思があるとは思えず 請求の理由が成立しない 3 異議申立人の母と窓口に来た者は関係がない しかしながら 発行された書面は 異議申立人の母と異議申立人の身分証明書足り得ることから 権利を侵害し得る したがって 異議申立人の母と異議申立人には 誰が書面を持っているかを知る権利がある 4 法的に請求できる弁護士の介入が望ましいケースであったが 介入がなかった 窓 口に来た者は こちらの情報を持っており 長年会ったことのない相手が異議申立人 に関する情報を持っているのは気持ちが悪い 5 実施機関は 窓口に来た者は正当な請求権のある第三者であり 窓口に来た者の個 人情報を開示することはできないと主張するが 異議申立人は一応身内であり 第三 2

者ではないので開示すべきである 第 5 審議会の判断 1 基本的な考え方条例の基本的な理念は 第 1 条が定めるように 市民に実施機関が保有する個人情報の開示 訂正及び利用停止を求める具体的な権利を保障し 個人情報の適正な取扱いに関し必要な事項を定めることによって 市民の基本的人権を擁護し 市政の適正かつ円滑な運営を図ることにある したがって 条例の解釈及び運用は 第 3 条が明記するように 個人情報の開示 訂正及び利用停止を請求する市民の権利を十分に尊重する見地から行わなければならない しかしながら 条例は すべての保有個人情報の開示を義務付けているわけではなく 第 19 条本文において 開示請求に係る保有個人情報に同条各号のいずれかに該当する情報が含まれている場合は 実施機関の開示義務を免除している もちろん 第 19 条各号が定める非開示情報のいずれかに該当するか否かの具体的判断に当たっては 当該各号の定めの趣旨を十分に考慮するとともに 当該保有個人情報の取扱いの経過や収集目的などをも勘案しつつ 条例の上記理念に照らして市民の権利を十分に尊重する見地から 厳正になされなければならないことはいうまでもない 2 本件請求に係る保有個人情報について (1) 本件請求に係る保有個人情報は 異議申立人に係る 私の 1 除籍謄本 2 戸籍全部事項証明 戸籍附票平成 22 年 9 月 28 日発行分の申請書第三者請求の根拠とした書面 であり 実施機関は これらが記載されている公文書として 本件文書を特定している 本件文書は 異議申立人以外の第三者が 平成 22 年 9 月 28 日付けで異議申立人に関する除籍謄本 戸籍謄本及び戸籍附票を入手するために実施機関に提出した 戸籍全部事項証明書 ( 戸籍謄本 ) 等交付請求書 及び 住民票の写し 印鑑登録証明書 戸籍の附票の写し等請求書 である 本件文書には 窓口にこられた方 ( 以下 本件交付請求者 という ) の住所 氏名 生年月日 電話番号 本人確認資料の種別 必要な証明書の筆頭者の氏名 本籍地 請求の理由 ( 又は使用目的 ) 必要な証明書の種類及び通数などの情報が記載されている 実施機関が非開示とした本件各情報は 本件交付請求者の住所 氏名 生年月日 電話番号及び本人確認資料欄である (2) 上記第 3で実施機関が主張するとおり 戸籍法第 10 条の2により 自己の権利又は義務の発生原因及び内容並びにそれらの行使又は履行のために 戸籍の記載事項の確認を必要とする理由を明らかにするなど一定の要件を満たせば 限定的にではあるが 第三者 ( 戸籍に記載されている本人又はその配偶者 直系尊属若しくは直系卑属以外の者 ) であっても 戸籍謄本等を請求することができるとされている 住民票についても同様に 一定の要件を満たせば 第三者 ( 本人又は同一世帯の者 3

以外の者 ) であっても 請求することができる 本件はこの第三者請求のケースに 該当する 3 争点実施機関は 本件各情報が条例第 19 条第 2 号に該当するとして本件決定を行ったのに対し 異議申立人は 本件決定を取り消し 本件各情報を開示すべきであるとして争っている したがって 本件異議申立てにおける争点は 本件各情報の条例第 19 条第 2 号該当性である 4 条例第 19 条第 2 号該当性について (1) 条例第 19 条第 2 号について条例第 19 条第 2 号本文は 開示請求者以外の個人に関する情報 であって 当該情報に含まれる氏名 生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの ( 他の情報と照合することにより 開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む ) 又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが 開示することにより なお開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの は原則的に開示しないことができると規定しているが 同号ただし書では これらの情報であっても ア法令等の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ 又は知ることが予定されている情報 イ人の生命 身体 健康 生活又は財産を保護するため 開示することが必要であると認められる情報 ウ当該個人が 公務員等である場合において 当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは 当該情報のうち 当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分 については 開示しなければならない旨規定している (2) 条例第 19 条第 2 号該当性についてまず本号本文該当性を検討するため 当審議会において 本件各情報を見分したところ 本件各情報は 第三者請求を行った本件交付請求者の氏名 住所 電話番号及び本人確認資料の情報であり 本件異議申立人である開示請求者以外の特定の個人を識別することができる個人に関する情報であることから 本号本文に該当することは明らかである 次に 本号ただし書該当性について検討する 上記 2(2) のとおり 一定の要件を満たせば 第三者請求により戸籍謄本等に記載されている被交付請求者の個人情報が 交付請求者に提供されることは現行法上想定されていることであり 本件交付請求者が正当な権利を行使した結果として 実施機関は本件文書を保有している 一方で 条例の規定によれば 本件交付請求者の個人情報は 法令等の定めがあるときや本件交付請求者本人の同意があるときなどの特別な事情がない限り提供することができない取扱いとされており 本件においては これを開示できる特別な 4

事情もない したがって 本件各情報は 当該情報を開示する法令等の根拠や慣行上知ることができ 又は知ることが予定されている情報とは言えず また非開示とすることにより得られる利益に対し 開示することにより得られる公益が優越するとまでは認められないことなどから 本号ただし書ア イ ウのいずれにも該当しないことは明らかである 以上から 本件各情報は 条例第 19 条第 2 号に該当すると認められる 5 結論 以上により 第 1 記載のとおり判断する ( 参考 ) 答申に至る経過平成 23 年度諮問受理第 1 2 号年月日 経 過 平成 23 年 5 月 12 日平成 23 年 5 月 13 日 諮問 平成 23 年 5 月 19 日 実施機関からの意見 説明の聴取 平成 23 年 7 月 21 日 不服申立人意見陳述 平成 23 年 8 月 18 日 審議 ( 答申案骨子 ) 平成 23 年 10 月 20 日 審議 ( 答申案 ) 5

( 別表 1) 平成 23 年度諮問受理第 1 号 ( あ ) 諮問書 平成 23 年 5 月 12 日付け大阿住第 9 号 ( い ) 決定 平成 22 年 10 月 21 日付け大阿住第 49 号による部分開示決定 ( う ) 請求日 平成 22 年 10 月 7 日 ( え ) 開示請求に係る保有個人情報 請求者に係る平成 22 年 9 月 28 日発行の 戸籍全部事項証明書 及び 戸籍附票 の申請書 ( お ) 開示しないことと 個人の住所 氏名 生年月日 電話番号及び本人確認資料欄 した部分 ( か ) 上記の部分を開示しない理由 条例第 19 条第 2 号に該当 ( 説明 ) 上記の情報は開示請求者以外の個人に関する情報であって 当該情報そのものにより又は他の情報と照合することにより 開示請求者以外の特定の個人が識別され かつ同号ただし書ア イ ウのいずれにも該当しないため ( き ) 異議申立て年月日平成 22 年 12 月 15 日 ( く ) 担当 阿倍野区役所住民情報担当 ( 別表 2) 平成 23 年度諮問受理第 2 号 ( あ ) 諮問書 平成 23 年 5 月 13 日付け大西成窓第 40 号 ( い ) 決定 平成 22 年 10 月 21 日付け大西成住第 226 号による部分開示決定 ( う ) 請求日 平成 22 年 10 月 7 日 ( え ) 開示請求に係る保 請求者の除籍謄本に係る申請書 ( 第三者請求の根拠とした書面 ) 有個人情報 ( お ) 開示しないことと 個人の住所 氏名 生年月日及び電話番号 した部分 ( か ) 上記の部分を開示しない理由 条例第 19 条第 2 号に該当 ( 説明 ) 上記各情報は 個人に関する情報であって 当該情報そのものにより または 他の情報と照合することにより開示請求者以外の特定の個人が識別され かつ同号ただし書ア イ ウのいずれにも該当しないため ( き ) 異議申立て年月日平成 22 年 12 月 14 日 ( く ) 担当 西成区役所住民情報担当 6