IP LIVE PRODUCTION SYSTEM メリットとテクノロジーのご紹介 2015 年 9 月発行
目次 目次 1 映像制作業界を取り巻く環境変化と課題 2 1.1 ファイルベースシステムとライブシステムの二重投資 2 1.2 映像表現の多様化に伴う対応信号フォーマットの増加 2 1.3 限られたリソースでの多様なコンテンツ制作 3 2 IP LIVE PRODUCTION SYSTEMのメリット 4 2.1 インフラの統合による投資効率の向上 4 2.2 拡張性のあるシステムで投資リスクを軽減 4 2.3 ネットワークによるリソースの仮想化 5 3 IP LIVE PRODUCTION SYSTEM の技術的特長 6 3.1 システムのコンセプト 6 3.1.1 汎用 IPスイッチの採用 6 3.2 拡張性の高い AV 伝送インターフェース :NETWORKED MEDIA INTERFACE 7 3.2.1 エッセンス分離パケット化 7 3.2.2 低遅延ビデオコーデック :Low Latency Video Codec (LLVC) 7 3.2.3 Forward Error Correction (FEC) による損失パケットの回復 7 3.2.4 リファレンス信号同期対応 :SMPTE ST2059-2 7 3.2.5 Networked Media Interface ASIC( 専用 LSI) 8 3.3 DESTINATION TIMED SWITCH 方式によるクリーンビデオスイッチング 8 3.4 QoS 保証技術 9 3.4.1 優先度制御 9 3.4.2 アクセス制御 9 3.5 完全二重化可能なアーキテクチャー 10 3.5.1 Hitless Failover( ネットワーク経路の二重化 ) 10 3.6 セキュリティ機能 10 3.6.1 ユーザー認証機能 10 3.6.2 デバイス認証機能 11 3.7 IP LIVE PRODUCTION SYSTEM を実現する統合管理アプリケーション 11 3.7.1 一括設定 変更が可能 11 3.7.2 システムによる集中監視 12 4 IP LIVE PRODUCTION SYSTEM 普及に向けた取り組み 13 4.1 標準化の推進 14 4.2 ASIC の利用による製品開発 14 4.3 FPGA または PCIe ボードを用いた製品開発 14 5 CONCLUSION 16-1 -
映像制作業界を取り巻く環境変化と課題 1 映像制作業界を取り巻く課題と環境変化 今日 さまざまな業界で IT 化が進展しています 身近な例では 企業や自治体 学校などでも IT システムが導入され これまで手作業だった業務が自動化されるなど 効率化が図られ大きなメリットを享受しています しかし 映像制作分野の IT 化は一部にとどまっています これは コンテンツのデータサイズが大きく ネットワーク上でストレスなくやりとりすることが難しいためです 昨今の技術発展により こうした課題が克服されつつあります 始めに課題と環境変化を挙げ 今後求められる制作システムを検討します 1.1 ファイルベースシステムとライブシステムの二重投資 ポストプロダクション部門では既にノンリニア編集機をはじめとした機器が導入され 制作環境の IT 化が進展しています このようなファイルベースシステムでは AV 信号の遅延や同期を気にする必要がないため ベストエフォート型のネットワークとの親和性が高く 早期より汎用 IT 商品を利用したコストダウンが積極的に行われてきました 一方 ライブ制作設備はコアキシャルケーブルによるビデオ伝送が主流です ライブでは映像音声を安定的に乱れなく伝送することが求められているからです そのため ライブシステムの IT 化には専用の高額なシステムや機器が必要で 多額の設備投資が必要だと考えられてきました この状況が ライブシステムの IT 化を阻む大きな壁となり ファイルベースとライブシステムが別々のインフラで運用される構築二重化の状況を生んでいます 1.2 映像表現の多様化に伴う対応信号フォーマットの増加 今日 視聴者の方々のニーズに応えるために新たな映像表現が求められています ハイフレームレート 4K 8K など付加価値の高い映像コンテンツの普及が始まっています - 2 -
映像制作業界を取り巻く環境変化と課題 しかし 例えば 既存の SDI で 4K のインフラを構築した場合 配線やルーターの規模などが HD の場合の 4 倍以上必要となり コスト スペースや重量が大きな課題となります 時代の変化が早い今日 HD で制作 放送しているお客様の環境においても将来を見据えた設備投資を考えた場合 新規フォーマットに対応したシステム投資を計画することが重要です 新しく設備を導入しても その設備が稼働する間に次世代の新しい映像フォーマットへの対応が迫られる可能性が考えられるからです 1.3 限られたリソースでの多様なコンテンツ制作 一方 ビジネスモデルにも変化が起こっています 視聴者のライフスタイルが多様化し そのニーズに応えるためメディアやコンテンツも多様化しています ワンセグ オンデマンドなど様々な媒体への配信 放映後の DVD パッケージ販売など 新しい形態でのコンテンツビジネスの可能性が広がっています 拡大するビジネスチャンスに対し リソースには限りがあり システムやワークフローを大きく変えることは困難です こうした状況下で いかに早く 効率的に視聴者のニーズに合ったコンテンツをより多く制作するかが課題となっています - 3 -
IP Live Production System のメリット 2 IP Live Production System のメリット これらの課題を解決し 環境の変化に対し柔軟な対応を目指すのが ソニーがご提供する IP Live Production System です このシステムでは伝送に従来の SDI ではなく IP を用います 制作システム全体をネットワーク上で一元管理して IP 化のメリットを最大化することで システムの運用効率を高めつつ 付加価値の高い映像制作の環境をご提供します こうした IP を活用したシステム全体を IP Live Production System と呼びます そして IP Live Production System のコアテクノロジーが AV 伝送インターフェース Networked Media Interface です 次世代映像フォーマットに対して高い拡張性を持つことが特長です 2.1 インフラの統合による投資効率の向上 IP Live Production System では映像はもちろんのこと 音声 メタデータ 同期 制御などライブシステムに必要な信号を全て IP 化します ライブシステムが IP 化されれば 他の制作システムと IT インフラを共有することができます つまり ファイルベースとライブシステムの統合が可能となり 制作インフラの一本化が実現します 現在の設備投資二重化の状況が解消され 投資効率が高められます 2.2 拡張性のあるシステムで投資リスクを軽減 新規設備投資において次世代映像フォーマットに対応できる拡張性のあるシステムをご提供します 今後長きにわたりシステム運用する場合 4K 8K など新しい映像表現への対応が迫られることが想定されます 技術の進歩によりネットワーク帯域が増加し 大容量の映像データをやりとりできる環境が整いつつあります IP を活用した制作システムにより 映像フォーマットの普及に合わせた柔軟なシステム拡張が可能となります - 4 -
IP Live Production System のメリット 2.3 ネットワークによるリソースの仮想化 IP 化のメリットは 全ての機器がネットワークにつながることで機器の設置場所の制限がなくなることです 究極的には 全ての機器がサーバールームに集約され プロセッサーと UI が分離されて あたかも汎用のコンピューターハードウェア上のアプリケーションの 1 つとして 各種のライブスイッチャーやコンバータなどの放送機器の機能が提供されるシステムが考えられます いわば Live Production System の仮想化の実現です どこで制作を行っても ネットワーク上から必要なリソース 必要な機能をいつでも利用することができます また 設定やメンテナンスも一括して行えるため システムの運用効率を最大化することができます 運用の効率化はコンテンツ制作領域にとどまりません サービス提供の過程で会計 人事システムなどあらゆる IT システムが稼働しています 社内全体の IT インフラ統合により コンテンツ制作領域とビジネス領域のインフラ統合も検討可能になります 社内全体のインフラ統合により さらなる効率化を追求 このようにソニーは IP Live Production System により 制作コストを削減し 付加価値の高い映像制作の普及と新しいビジネスの創出に貢献してまいります - 5 -
IP Live Production System の技術的特長 3 IP Live Production System の技術的特長 3.1 システムのコンセプト これまで別々に構築していたファイルベースシステムとライブシステムの統合にあたってソニーが構想したのは 放送機器を IP 対応し コアとなる IP スイッチに統合してひとつの大きなシステムとして捉えるものです 全体を集中管理するソフトウェアにより様々な機能や設定をシステム全体に一括して適応し 運用効率を最大化します ファイルベース ライブ統合システムの概念 3.1.1 汎用 IP スイッチの採用ソニーは 4K 8K ハイフレームレートなど次世代の映像フォーマットに対応できる拡張性を備えたシステムを構築するため ネットワークインフラ部には汎用 IP スイッチを採用しました 将来 さらに高精細 高解像度でデータ容量の大きい映像フォーマットに対応するには IP スイッチも高性能で大容量のトラフィックが扱えるキャパシティーが求められます - 6 -
IP Live Production System の技術的特徴 IP Live Production System の技術的特長 多数のベンダーがハイスペックな汎用 IP スイッチの開発にしのぎを削っており IT 通信を活用する様々な業態 例えば世界規模のショッピングサイトや VOD サービスなどで普及が進んでいます こうした競争原理により IP スイッチの性能の向上と価格の下落が同時に進行しています ソニーは こうした市場の動向に注目し 早く 安価に より性能の良い機器を放送業界にご提供するためには 汎用 IP スイッチの採用が最適であると考えました 放送専用の IP スイッチを独自開発する選択肢もありますが 汎用 IP スイッチを採用することは開発のスピードとコスト面でお客様にメリットがあると考えています 3.2 拡張性の高い AV 伝送インターフェース :Networked Media Interface 新規開発した AV 伝送インターフェース Networked Media Interface は SD HD はもちろん 4K 8K ハイフレームレートなど次世代の映像フォーマットに非圧縮 圧縮の両方で対応できます IP でライブ伝送する際に必要な機能を備える拡張性の高い伝送インターフェースです 3.2.1 エッセンス分離パケット化 Networked Media Interface は 映像データと音声データ さらにメタデータをパケットのヘッダー情報のみで判別できるパケット構造を採用しているため 特定のエッセンスのデータを簡単に抜き出すことができます 例えば音声データのみ抜き出して音声制作システムに送るなど 各エッセンスのデータの分離や統合 振り分け 切り替えなどがシステムに負担をかけずに行うことが可能です 3.2.2 低遅延ビデオコーデック :Low Latency Video Codec (LLVC) LLVC は 低遅延と高画質を同時に実現するソニー独自の画像圧縮方式です JPEG2000 などでも用いられるウェーブレット方式をベースとしながらも ソニー独自のアルゴリズムにより一般的にウェーブレット方式の難点とされてきたコーデックのハードウェア ソフトウェアに大きな負荷がかかるという課題を解消し 4K 以上の高精細 高解像度の入力映像を効率よく圧縮します エントロピー ( 絵柄の複雑度 ) が高くない映像ではロスレス圧縮を実現 極めてエントロピーが高い絵柄においても ビジュアリーロスレス画質を維持します クリーンビデオスイッチングを考慮しても LLVC により 4K 映像伝送を 10Gbps のネットワークケーブル一本で伝送します ソニーは LLVC の相互利用性を促進するため 放送向けの主要な標準化団体である SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers : 米国映画テレビ技術者協会 ) に Registered Disclosure Document(RDD) を提出し 技術内容を公開しました 3.2.3 Forward Error Correction (FEC) による損失パケットの回復一般的に IP で AV ストリームを伝送する際 ネットワークケーブル デバイス IP スイッチで発生する静電ノイズ等でパケットが損失するリスクがあります そのため Networked Media Interface では AV ストリームをパケット化する際 FEC(Forward Error Correction) と呼ばれる技術により冗長データストリームを発生させ パケットロスが発生した際でも瞬時にロスを復旧します こうしてより信頼性の高い伝送を行います 3.2.4 リファレンス信号同期対応 :SMPTE ST2059-2 - 7 -
IP Live Production System の技術的特長 ライブ制作では 複数の映像信号を切りかえる際のタイミングが重要です コアキシャルケーブルの伝送では 同期信号を伝送することにより同期をとっています Networked Media Interface はその機能を IP ネットワーク上で実現します Networked Media Interface では SMPTE ST2059-2 に準拠し 時刻同期プロトコル IEEE1588 PTP ( Precision Time Protocol ) を利用してリファレンス信号同期を実現しています 3.2.5 Networked Media Interface ASIC( 専用 LSI) ソニーは Networked Media Interface 用の ASIC( 専用 LSI) を開発しました 様々な放送機器がこの LSI を内蔵し Networked Media Interface で直接ネットワークに繋がるシステムの普及を推進していきます Networked Media Interface ASIC ( 専用 LSI) 3.3 Destination Timed Switch 方式によるクリーンビデオスイッチング 複数の放送機器を切り替えながらライブ制作するためには 伝送ストリームをシームレスに切り替えるクリーンスイッチングが重要です その方式は採用するスイッチによって変わってきます 汎用 IP スイッチを採用しているソニーは Destination Timed Switch 方式によってクリーンスイッチングを実現しています Destination Timed Switch 方式は 映像ソースの切り替えの際に まず切り替え先の AV ストリームに対応した送信開始要求メッセージを送信し AV ストリームのパケットが届き始めてフレーム境界が到来してから 切り替え元の AV ストリームの送信停止要求メッセージを送信することにより映像信号を切り替えます 一時的に 2 つの映像信号をオーバーラップして受信することでシームレスな切り替えを行っています 他の方式と違ってパケット単位での同期管理や IP スイッチの映像信号同期など複雑な設定は必要ありません 特殊な機器や制約のあるネットワーク構成も要求されません 自由度が高く柔軟なシステム構成が可能であるという点から ソニーでは汎用スイッチによる Destination Timed Switch 方式を採用しています なお Destination Timed Switch の採用は他の方式を排除するものではなく 将来的にコスト優位性やシステム構築の柔軟性など何らかのアドバンテージが見出された場合には ユーザーのニーズに応じて 対応の拡張を行ってまいります - 8 -
IP Live Production System の技術的特長 3.4 QoS 保証技術 ファイルベースとライブを統合したシステムで求められるのが安定した伝送です 統合システムではファイルベースの信号とライブの信号は一つのネットワーク上に多重化され 伝送されます その際 必要に応じて用途の異なる信号を適切に仕分けて トラフィックの集中による遅延やパケットロスの発生を回避し 事故のない安定した伝送を行うことが求められます 例えば ひとたびライブ放送が始まると 遅延なく安定して常時ライブ信号を送ることが最優先となり 時間をかけて編集するファイルベースの信号と優先度に差をつける必要が出てきます ソニーの IP Live Production System では 一般的な通信でも広く利用されている Quality of Service (QoS) 保証技術により安定した AV 伝送 信頼性確保を実現します IP Live Production System では IP ネットワークの 優先度制御 アクセス制御 技術を利用して 放送に求められる信頼性を確保しています 3.4.1 優先度制御ライブ制作が始まると システムがライブ系の信号 ( 映像 音声 メタデータ 同期信号 制御信号など ) の信号種別を識別し 信号に応じた優先度で伝送します ファイルベースの信号はベストエフォートで扱うことで 常に安定したライブ信号の伝送を実施します 3.4.2 アクセス制御決められた単位時間内にどのような信号がどのくらいのトラフィックで流入するかあらかじめプランします それぞれのトラフィックに最適な帯域予約をした上で 予約帯域を超えるトラフィックが流入した際 優先順位に従ってトラフィックのアクセス制御を実行します これにより常にネットワーク上で適正なトラフィックを保つことができます IP Live Production System では システム全体を集中管理する IP Live System Manager が IP Switch に QoS の情報を送り 優先度の設定とアクセス制御を行っています QoS 保証技術により安定した AV 伝送 信頼性確保を実現 - 9 -
IP Live Production System の技術的特長 3.5 完全二重化可能なアーキテクチャー IP Live Production System は ストリーム ネットワーク IP Live System manager が実装されたサーバーは すべて完全に二重化可能なシステムアーキテクチャーを採用しています 二重化されたシステムはどちらも常時稼働しており (Active- Active) システム間で同期を取っているため 障害発生時にも停止時間なく運用を継続することができる高い信頼性を備えています 3.5.1 Hitless Failover Hitless Failover (SMPTE 2022-7 準拠 ): AV ストリームを二重化することで どちらかのストリームがダウンしても瞬時に正常なストリームに切り替わり 映像信号が途切れなく伝送されます 従来のパッチボードオペレーションでは 障害復旧作業中映像 音声が途切れる Hitless Failover により映像 音声が途切れることなく自動でフェイルオーバー 3.6 セキュリティ IP 化においては ネットワークの不正侵入を防御するセキュリティ機能は必須です そのため ソニーの IP Live Production System では IT 業界で実績のある技術を活用しながらセキュリティリスクに対して堅牢なシステムを実現しています 3.6.1 ユーザー認証 - 10 -
IP Live Production System の技術的特長 ネットワーク経由での機器操作は便利である一方で 不正なユーザーから操作されてしまうリスクがあります そのリスクを低減するためユーザー認証を用いています ソニーの IP Live Production System では ロール ( 管理者 オペレータ等 ) 毎の権限管理を可能にしています 3.6.2 デバイス認証機能デバイス認証により 不正なデバイスのシステムへの侵入を防ぐことができます 不正なデバイスが接続されたとしても IP Live System Manager によってデバイスへのアクセスが制限され システムに侵入することはできません 3.7 IP Live Production System を実現する統合管理アプリケーション 全ての機器がネットワークに繋がる IP Live Production System で システムを集中管理しているのが IP Live System Manager です IP 化のメリットを最大化し 制作コストを抑え より多くのビジネス機会を提供します IP Live System Manager は従来の SDI では困難であった新たな付加価値をご提供します 3.7.1 一括設定 変更 IP Live System Manager の ワークグループ 機能により 異なる制作で必要な機器の選定と設定を一括して行うことが可能です 例えば スタジオ A で 3 つの異なる番組制作を行う場合 必要な機器を選択し 設定をあらかじめワークグループ 1~3 として登録しておきます 実際制作を始める際にワークグループ機能を実行すれば 登録通りの設定がシステム上で行われ 実機に一つ一つ設定を施す手間が低減し スムーズに制作に入ることができます これは システム上で行える登録なので 機器が使用中でも事前に行うことができます 中継車での活用を考えてみます 例えばスタジアム B で野球を HD でライブ中継し 翌日スタジアム C でサッカーを 4K でライブ中継する場合 機器構成や設定はかなり異なりますが それぞれのワークグループによって特定の中継車に対して一括して設定や変更ができれば 中継車の稼働時間が増大します 一台の中継車でより多くの中継を実施することができ ビジネス機会が拡大します ワークグループに登録された機器や設定を管理する GUI 画面は 従来の AV 機器の概念を踏襲した分かりやすいデザインとしました また ワークグループそれぞれに異なる GUI をカスタマイズすることもでき グループで異なるユーザーが自分に使いやすい表示にすることも可能です 左 : ワークグループに登録されたデバイスの入出力コントロールを行うクロスポイントビュー 右 : 入出力の組み合わせをボタンとして配置する コントロールパネルビュー - 11 -
IP Live Production System の技術的特長 3.7.2 システムによる集中監視 IP Live System Manager は ネットワークと接続機器 ( デバイス ) を常時監視する機能を持っています 機器それぞれの特長を把握した上で 問題発生時には IP Live System Manager がモニタリグツールからワーニングを上げるため 迅速な対応を取ることができます ネットワーク監視画面の例 : ネットワーク上のワーニングを赤で表示 右側のツールバーで トラフィックの状況が確認できる - 12 -
IP Live Production 普及に向けた取り組み 4 IP Live Production System 普及に向けた取り組み IP を活用したトータルワークフロー構築のためには カメラ スイッチャー サーバー コンピューターグラフィックスから表示装置 基幹システムに至るまで IP Live Production System に対応した様々な製品が市場に浸透し それらの相互接続性が保証されていることが求められます そのためソニーは技術の標準化に貢献しています 加えて 業界の主要機器ベンダー各社に関連技術を様々な形態で提供することで 協力関係を築いています 機器ベンダー各社は商品の特性や開発の難易度に応じ 希望の技術を選択し開発に取り組むことができます ソニーは技術提供に加え IP Live Production System 対応製品開発に対する技術サポートや接続性試験などの支援も用意しています すでに 業界のリーディング放送機器ベンダーを中心に 30 社以上から IP Live Production System への賛同を得ています IP Live Production System 賛同メーカー 2015 年 9 月現在 - 13 -
IP Live Production 普及に向けた取り組み 4.1 標準化の推進 放送分野における IP ネットワーク技術の本格的開発を始めた 2000 年頃より ソニーは積極的な標準化活動を推進してきました 2007 年より EBU(European Broadcast Union) と SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers) のジョイントタスクフォースの形で開始された次世代同期信号とタイムコードの策定プロジェクトのオリジナルメンバーとして参画しました そして 2015 年 4 月に ST2059-2 PTP SMPTE Profile として標準化を完了しました IP Live Production System では SMPTE ST2059 に準拠してリファンレンス信号同期の標準化を達成しました SDI - IP マッピングを定義した SMPTE ST2022 については エッセンス分離パケット化と低遅延ビデオコーデック (LLVC) など IP でライブ制作を実施するために必要な要素を提案し 改善活動を行っています また 2015 年 6 月に SMPTE で発足したクリーンビデオスイッチング技術やシステム制御技術の調査 推奨を行う Study Group Media Flow Management SG では Proponent( 提案者 ) として参加しています さらに 2013 年に IP ネットワークに関する業界内の標準技術を策定する目的で設立された JT-NM * (Joint Taskforce on Professional Networked Streamed Media) にも ソニーはオリジナルメンバーとして参画 貢献を続けています *JT-NM : EBU, SMPTE, VSF によるジョイントタスクフォース 4.2 ASIC の利用による製品開発 ソニーは 自社製品に搭載するために開発した Networked Media Interface 用の ASIC( 専用 LSI) を希望する各機器ベンダーに提供します ASIC には主要機能があらかじめ組み込まれているため 機器ベンダーは比較的容易に製品開発を進めることができ また互換性の確保を図ることができます 4.3 FPGA または PCIe ボードを用いた製品開発 ASIC を用いた製品開発だけでなく 柔軟な FPGA( フィールドプログラマブルゲートアレイ 動的に回路を構成できる LSI) を用いた製品開発も可能です 主要な FPGA プラットホーム向けに ソニーは Networked Media Interface に対応した IP コア ( 回路構成情報をデータ化したもの ) の製品化を主要 IP コアベンダーに働きかけています IP コアが市場で入手可能になれば 機器ベンダーの Networked Media Interface 対応機器の設計開発における柔軟性が増し 早期の製品化が期待できます - 14 -
IP Live Production 普及に向けた取り組み コンピューターグラフィックス プレイアウトサーバー等の機器の製品開発向けには ソニーは PCIe ボード等拡張カードの製品化をボードベンダーに働きかけています これらのボードの搭載により PC プラットホームを用いた放送用周辺機器開発が容易となります こうしたアプローチを通じて ワークフローに必要な様々な放送機器を相互互換性がある状態で利用できるようになります - 15 -
Conclusion 5 Conclusion ソニーの放送業務用機器の歴史は 1958 年 2 インチテープを用いた白黒 VTR 国産第一号機の発表とともに始まりました その後 世界中の放送局で採用されたベータカムフォーマットが誕生し現在に至るまで ソニーの放送業務用機器は絶えず世界中の放送局や制作現場で標準フォーマットとして採用され続けています このようにお客様のワークフロー ニーズを知り尽くしたソニーだからこそ IP を活用した制作システムとそのオペレーションについて個々のお客様に最適なソリューションをご提案できると考えています ソニーは IP Live Production System の提供により お客様のファイルベースとライブのシステム統合とインフラの共有を図ります また 拡張性のあるシステムで新たなフォーマットに対応し 投資リスクを軽減します また 機器の仮想化を通じて設備の効率向上に貢献してまいります 今後の設備更新などの局面で 4K 8K など付加価値映像制作とその伝送設備の投資は避けて通れない課題となっています ソニーは IP Live Production System により お客様の設備投資に価値あるリターンをもたらすご提案をしたいと考えています IP 化の先には 新しい映像表現 新しいビジネスの創出があります ソニーの IP Live Production System にご期待ください - 16 -
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