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通話品質 KDDI(au) N 満足やや満足 ソフトバンクモバイル N 満足やや満足 全体 21, 全体 18, 全体 15, NTTドコモ

22. 都道府県別の結果及び評価結果一覧 ( 大腸がん検診 集団検診 ) 13 都道府県用チェックリストの遵守状況大腸がん部会の活動状況 (: 実施済 : 今後実施予定はある : 実施しない : 評価対象外 ) (61 項目中 ) 大腸がん部会の開催 がん部会による 北海道 22 C D 青森県 2

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Ⅰ 認知症への理解を深めるための普及 啓発の推進 1 認知症の人の視点に立って認知症への社会の理解を深めるキャンペーンの実施 認知症への社会の理解を深めるための全国的なキャンペーンを展開 認知症の人が自らの言葉で語る姿等を積極的に発信 2 認知症サポーターの養成と活動の支援 認知症サポーターを量的に

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目次 1 高齢化率 ( 山形県 ) 1 2 高齢化率 ( 全国 ) 2 3 将来の高齢化率 ( 山形県 ) 3 4 将来の高齢化率 ( 全国 ) 4 5 人口ピラミッド ( 山形県 ) 5 6 平均寿命の推移 6 7 出生数 出生率の推移 7 8 高齢者のいる世帯 ( 山形県 ) 8 9 高齢者のい

年齢 年齢 1. 柏 2. 名古屋 3. G 大阪 4. 仙台 5. 横浜 FM 6. 鹿島 -19 歳 0 0.0% 0 0.0% 2 2.7% 1 1.4% 3 4.0% 3 4.6% 歳 4 5.0% 5 6.7% 7 9.6% 2 2.7% 2 2.7% % 25-2

- 1 - Ⅰ. 調査設計 1. 調査の目的 本調査は 全国 47 都道府県で スギ花粉症の現状と生活に及ぼす影響や 現状の対策と満足度 また 治療に対する理解度と情報の到達度など 現在のスギ花粉症の実態について調査しています 2. 調査の内容 - 調査対象 : ご自身がスギ花粉症である方 -サンプ

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表 1) また 従属人口指数 は 生産年齢 (15~64 歳 ) 人口 100 人で 年少者 (0~14 歳 ) と高齢者 (65 歳以上 ) を何名支えているのかを示す指数である 一般的に 従属人口指数 が低下する局面は 全人口に占める生産年齢人口の割合が高まり 人口構造が経済にプラスに作用すると

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調査実施概況 小学校 ( 都道府県 ( 指定都市除く )) 教育委員会数 ( 1) 学校数児童数 ( 2) 全体 実施数 調査対象者在籍学校数 実施数国語 A 国語 B 主体的 対話的で深い学びに関する状況 ( 3) 算数 A 算数 B 質問紙 平均正答率 13~15 問 国語

81 平均寿命 女 単位 : 年 全 国 長野県 島根県 沖縄県 熊本県 新潟県 三重県 岩手県 茨城県 和歌山県 栃木県

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別紙様式 3( 付表 1) 平成 年度介護職員処遇改善加算実績報告書積算資料 薄い黄色のセルに必要事項を入力してください 1. 加算受給額 ( 現行の加算 Ⅰと 現行の加算 Ⅱの比較額について ) 別紙様式 3の56を記載する場合のみ記載 別紙様式 3の34により報告した場合は記載不要です 単位 :

(3) 最大較差 平成 17 年国調口平成 22 年国調口 H24.9 選挙名簿 在外選挙名簿 H25.9 選挙名簿 在外選挙名簿 最大 : 千葉 4 569,835 東京 ,677 最大 : 千葉 4 497,350 北海道 1 487,678 最小 : 高知 3 258,681 鳥取

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認知症の現況と新オレンジプランの概要 わが国の認知症高齢者数は 高齢化とともに増加しており 225 年には約 7 万人 65 歳以上の高齢者の5 人に1 人に達すると見込まれています 本稿では認知症の現況や新オレンジプラン ( 認知症施策推進総合戦略 ) の概要についてご紹介します ポイント 225 年まで後期高齢者人口は大幅な増加が継続 また年齢が上がるにつれて認知症の有病率も上昇するため 225 年には 65 歳以上高齢者のうち5 人に1 人が認知症と推計されている 認知症は アルツハイマー病 などが主因 その症状には 中核症状 と周囲の人との関わりで起きる 行動 心理症状 (BPSD) がある 認知症の早期発見 早期対応は ADL( 日常生活動作 ) 低下や介護負担の軽減等につながる 国は認知症の人の意思が尊重され できる限り住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けることができるよう 215 年より新オレンジプランを策定 7つの柱で 認知症高齢者等にやさしい地域づくり を推進 1. 認知症の現況 (1)75 歳以上の人口推移 75 歳以上人口 ( 後期高齢者人口 ) は 公的介護保険が創設された 2 年以降急速に増加し 今後も 225 年まで大幅な増加が続くと推計されています 23 年頃からは 75 歳以上人口はほぼ横ばいで推移すると見込まれていますが 85 歳以上人口は 24 年頃までは増加傾向が続くと予想されています ( 図表 1) 図表 1 75 歳以上の人口推移 ( 万人 ) 3, 75 歳 ~84 歳 85 歳 ~ 2,5 2,18 2,288 2,26 2,239 2,277 2,417 2,446 2,387 2, 1,5 1,164 1,419 383 1,632 494 1,872 62 72 831 1,2 1,24 97 964 1,29 1,152 1, 91 294 5 224 678 87 1,37 1,138 1,252 1,46 1,458 1,258 1,216 1,37 1,453 1,418 1,235 2 25 21 215 22 225 23 235 24 245 25 255 26 ( 年 ) 出典 : 総務省統計局 国勢調査 国立社会保障 人口問題研究所 日本の将来人口推計 (217 年推計 ) をもとに作成 7

(2) 年齢階級別の認知症有病率全体として年齢が上がるにつれて認知症の有病率は上昇します 6 歳代後半の 2.9% から 8 歳代前半の 21.8% までは比較的ゆるやかにとどまっていますが それ以後は急速に上昇しています また男女別に見ると 男性より女性の有病率のほうが高く 特に 9 歳以上ではその差は 1 ポイント以上になっています ( 図表 2) 図表 2 年齢階級別の認知症有病率 (%) 9 8 全体男女 83.7 79.5 7 65.1 6 43.9 61. 5 41.4 5.6 4 24.2 49. 3 3.8 4.9 14.4 21.8 35. 2 2.9 4.1 13.6 1 2.8 3.9 16.8 11.7 65~69 7~74 75~79 8~84 85~89 9~95 95~ ( 歳 ) 出典 : 厚生労働科学研究費補助金認知症対策総合研究事業 都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応 総合研究報告書より老健局総務課認知症施策推進室作成 (3) 認知症高齢者の将来推計 212 年の認知症高齢者は 462 万人 (65 歳以上人口の 15%) と推計されています 将来推計については 各年齢層の認知症有病率が1212 年以降も一定と仮定した場合 2 糖尿病有病率の増加により上昇すると仮定した場合 があります 225 年には1の場合は 675 万人 ( 同 19.%) 2の場合は 73 万人 ( 同 2.6%) にまで認知症高齢者は増加すると予想されています その後も増加傾向が続く見込みです ( 図表 3) 8

図表 3 認知症高齢者の将来推計 ( 万人 ) 1,4 34.3% 35% 1,2 27.8% 1,154 3% 1, 8 6 15.% 462 517 16.% 15.7% 18.% 17.2% 631 62 525 2.6% 19.% 73 675 25.4% 23.2% 953 21.4% 21.8% 2.8% 82 797 744 83 1,16 25.3% 85 25% 2% 15% 4 1% 2 5% % 212 年 215 年 22 年 225 年 23 年 24 年 25 年 26 年 各年齢の認知症有病率が一定の場合の将来推計人数 各年齢の認知症有病率が上昇する場合の将来推計人数 各年齢の認知症有病率が一定の場合の将来推計率 各年齢の認知症有病率が上昇する場合の将来推計率 出典 : 厚生労働科学研究費補助金厚生労働科学特別研究事業 日本における認知症の高齢者人口の将来推 計に関する研究 をもとに作成 2. 認知症の症状 (1) 認知症の症状認知症の症状を引き起こす原因はさまざまですが 最も割合の高い アルツハイマー病 をはじめ 脳血管性認知症 レビー小体型認知症 前頭側頭型認知症 等があります また認知症の症状には 脳の神経細胞が壊れることによって直接起こる 中核症状 と周囲の人との関わりのなかで起きてくる 行動と心理症状 (BPSD) があります ( 図表 4) 行動と心理症状 (BPSD) は 周辺症状 とも呼ばれ 脳の障害が直接の原因ではなく 中核症状 に対する混乱や気持ちの落ち込み等が原因であり 本人を取り巻く環境や性格 人間関係が影響するため 症状の発生には個人差があります そのため 周囲の環境や人間関係を調整することで BPSD がなくなったり 軽くなったりすることもあるとされています BPSD とは Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia の英語の頭文字 9

図表 4 認知症の症状 記憶障害 見当識障害 判断力低下 言語障害( 失語 ) 失行 失認ほか 中核症状 認知機能障害 思考 推理 判断 適応 問題解決 認知症の症状 必ず発生します 新しく経験したことを記憶にとどめることが困難 ここはどこで 今がいつなのか わからなくなる 計画を立てる 組織化する 順序立てる 抽象化する 判断するということができなくなる 性格 素質 環境心理状態 発生するか個人差があります 行動 心理症状 (BPSD) 不安 落ち着かない イライラしやすい 抑うつ気持ちが落ち込んでやる気がない 徘徊無目的に歩き回る 外に出ようとする 不眠 妄想物を盗まれたと言うなど 出典 : 厚生労働省老健局高齢者支援課資料等をもとに作成 (2) 認知症の一般的な経過認知症は全く症状のない前臨床期 ( 注 ) から 軽度認知障害 (MCI) を経て長い期間にわたり ( 初期 ) から ( 中期 )( 末期 ) へと機能が低下します また介護負担という点では BPSD( 行動 心理症状 ) が最も大きく ADL( 日常生活動作 ) の低下 合併する身体疾患も負担の要因となっており 早期からの対応が ADL 低下や介護負担軽減につながります 認知症に早く気づくことにより 今後の計画を立てやすくなる 適切な治療やケアができる 薬などにより進行を遅らせることができる可能性がある といったメリットがあります ( 図表 5) ( 注 ) 前臨床期発症原因を有するものの まだ症状は現れていない段階図表 5 アルツハイマー型認知症の一般的な経過 MMSE 点数 ( 世界的使用の認知症テスト ) 3 ( 発症前期 ) 軽度不安 抑うつ もの忘れ (MCI) 知的機能障害 2 ( 初期 ) 記憶 記銘力障害 失見当識 ( 時間 ) ( 中期 ) 失名詞 着衣失行 構成失行視空間失認 錐体外路障害 高度 1 精神症状 問題行動 ( 妄想 幻覚 徘徊 ) ( 末期 ) 人格変化 無言 無動失外套症候群 1 年 2 3 年 4 5 年 6 7 年 8 1 1年 12 経過 認知症性老人の日常生活自立度 自立困難要介護介護困難 施設入所 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ M 出典 : 厚生労働省老健局高齢者支援課資料をもとに作成 1

3. 認知症施策推進総合戦略 ( 新オレンジプラン ) 厚生労働省は 認知症の人の意思が尊重され できる限り住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現をめざし 認知症施策推進総合戦略 ( 新オレンジプラン )~ 認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~ を 215 年に関係府省庁と共同で策定しました そして 認知症高齢者等にやさしい地域づくり を進めていくため 以下の7つの柱に沿って それぞれの施策を総合的に推進する方針です ( 図表 6) 図表 6 新オレンジプランの 7 つの柱 認知症高齢者等にやさしい地域づくりの推進 1 普及 啓発の推進 2 医適療時 介適護切等なの提供 3 強若化年性認知症施策の 4 介護者への支援 5 や認さ知し症いな地ど域高づ齢く者りに 6 の研普究及開の発推と進その成果 7 認知症の人やご家族の視点の重視 出典 : 厚生労働省 認知症施策推進総合戦略 ( 新オレンジプラン ) ( 概要 ) をもとに作成 (1) 認知症への理解を深めるための普及 啓発の推進認知症は身近なものであることを 普及 啓発等を通じて改めて社会全体として確認していきます 具体的には以下の取組みを行なっています 1 広告等を通じ全国的なキャンペーンを展開 2 認知症サポーター ( 注 ) の養成と地域 職域などで活躍できるような取組みの推進 3 認知症の人を含む高齢者への理解を深めるような教育を推進 ( 注 ) 認知症サポーター 認知症について正しく理解し 認知症の人や家族を温かく見守り 支援する応援者です 市町村や職場などで実施されている 認知症サポーター養成講座 を受講した人が 認知症サポーター となります 地域住民 金融機関の従業員 学生などさまざまな人が認知症の人を支援しています 参考 1 認知症サポーター目標人数と養成状況認知症サポーターの目標人数は 217 年度末で 8 万人でしたが 結果は 1,15 万人と目標を達成しています ( 図表 7) 厚生労働省は 22 年度末までの新たな目標を 1,2 万人としました 参考 2 認知症サポーターの活動状況認知症サポーターの活動状況として 見守り が最も多く 次いで オレンジカフェの開催または参加 認知症サポーター養成講座開催協力 となっています ( 図表 8) 警察庁によると 217 年の認知症にかかわる行方不明者は1 万 5,863 人と5 年で 1.65 倍となっており 見守りは重要な役割となっています 11

図表 7 新オレンジプランにおける認知症サポーター目標人数と養成状況 ( 万人 ) 1,2 1, 目標 :217 年度末 8 万人 217 年度末現在約 1, 万人 217 年度末 1, 万人達成 883 1,15 8 6 4 2 認知症サポーターキャラバン開始 3 18 47 96 29 年度 1 万人達成 171 252 目標 1 万人 33 212 年度 4 万人達成 413 499 611 目標 4 万人 75 目標 8 万人 25 26 27 28 29 21 211 212 213 214 215 216 217 目標 ( 年度末 ) 出典 : 厚生労働省老健局認知症施策推進室資料をもとに作成図表 8 認知症サポーターの活動状況 ( 複数回答 ) ( 自治体数 ) 14 121 12 1 8 81 8 73 6 4 2 45 41 39 36 28 22 9 3 見守り オ開レ催ンまジたカはフ参ェ加の 養認成知講症座サ開ポ催ー協タ力ー 傾聴 認知サ症ロのン人の 開家催族対象 介護予防教室への協力 が認い知る症店サ舗ポのー登タ録ー SOS ネへッのト登ワ録ーク等 通所施の設行 事入協居力施設等 キッのズ人にとよのる交認流知症 外出支援 その他 出典 : 厚生労働省老人保健健康増進等事業 認知症サポーター等の資質向上に関する調査研究事業 をもとに作成 (2) 認知症の容態に応じた適時 適切な医療 介護等の提供早期診断 早期対応を軸に 本人主体 を基本とした医療 介護等の有機的連携により 認知症の容態の変化に応じて 適時 適切に切れ目なく その時の容態に最もふさわしい場所で医療 介護等を提供する仕組みを実現します ( 図表 9) 12

図表 9 認知症の容態に応じた適時 適切な医療 介護等が提供される仕組み 発症予防 発症初期 急性増悪時 中期 人生の最終段階 住民主体のサロンや体操教室など 地域の実情に応じた取組み 認知症の人の生活を支える医療 介護等の提供 本人の尊厳が尊重された医療 介護等を提供 出典 : 厚生労働省 認知症施策推進総合戦略 ( 新オレンジプラン ) ( 概要 ) 資料をもとに作成 (3) 若年性認知症施策の強化 65 歳未満で発症する認知症を 若年性認知症 といい 全国で4 万人近くいると言われています 若年性認知症の人は 就労や生活費等の経済的問題が大きいこと等から 居場所づくり等のさまざまな分野にわたる支援を総合的に講じていきます 若年性認知症の人は 高齢者と比べると症状の進行が早い 体力がある 社会的役割意識が高いなどの特徴があります これまでの経験や趣味 性格といった 本人らしさ や本人の思いを理解し それを活かした個別性の高いケアを行なうことが必要と言われています (4) 認知症の人の介護者への支援認知症初期集中支援チーム等による早期診断 早期対応を行なうほか 認知症の人やその家族が 地域の人や専門家と相互に情報を共有し お互いを理解し合う認知症カフェ ( 注 ) 等の設置を推進し 認知症の人の介護者の負担軽減を図ります ( 図表 1) ( 注 ) 認知症カフェ認知症の人やその家族が地域の人や専門家と相互に情報を共有し理解し合う場図表 1 認知症カフェ 都道府県別実施状況( 設置カフェ数 ) 都道府県カフェ数都道府県カフェ数都道府県カフェ数 北海道 81 石川県 33 岡山県 44 青森県 2 福井県 25 広島県 52 岩手県 17 山梨県 12 山口県 17 宮城県 69 長野県 45 徳島県 25 秋田県 14 岐阜県 45 香川県 14 山形県 42 静岡県 3 愛媛県 2 福島県 36 愛知県 161 高知県 22 茨城県 1 三重県 39 福岡県 73 栃木県 12 滋賀県 38 佐賀県 3 群馬県 9 京都府 97 長崎県 12 埼玉県 143 大阪府 16 熊本県 55 千葉県 67 兵庫県 26 大分県 38 東京都 226 奈良県 2 宮崎県 16 神奈川県 61 和歌山県 8 鹿児島県 33 新潟県 76 鳥取県 2 沖縄県 21 富山県 29 島根県 11 計 2,253 NPO 法人 6% 社会福祉法人 9% その他 25% ~ 設置主体 ~ 市町村 11% 介護サービス施設 事業者 27% n=2,253( 複数回答あり ) 地域包括支援センター 21% 認知症疾患医療センター 1% 出典 : 厚生労働省老健局 215 年度実績調査 資料をもとに作成 13

参考 本人ミーティング の実施多様な場を活かして 多様な人が開催している 本人ミーティング が全国的に行なわれています 本人ミーティング とは 認知症の本人が集い 自分たちのこれからのよりよい暮らし 暮らしやすい地域のあり方を一緒に話し合う場です 認知症の人の視点を重視した地域づくりを具体的に進めていくための方法です 本人ミーティング 実施例 認知症カフェ( 国立市 ) 主催 : 地域の医療機関 / 在宅療養相談室 町役場多目的室( 綾川町 ) 主催 : 地域の医療機関 / 在宅療養相談室 介護施設の交流スペース( 大牟田市 ) 主催 : ケア関係者の研究会 (5) 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進生活の支援 ( ソフト面 ) 生活しやすい環境( ハード面 ) の整備 就労 社会参加支援および安全確保を行ない 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりを推進します 初期段階の認知症の人などの生きがい支援となる社会参加は その人の QOL( 生活の質 ) の向上につながり全国的な取組みが行なわれています 参考 秋田県羽後町の事例 キャラバン メイト( 注 1) と認知症サポーターが 集いの場 キャラバン ラジオ屋 ( 電気店の空店舗を利用 ) を開店し そこで初期段階の認知症の人や若年性認知症の人がスタッフとして活躍しています ( 注 1) キャラバン メイト 認知症サポーター養成講座 の講師役 藤沢市の事例 藤沢モデル として注目を集めている小規模多機能型居宅介護事業があります 認知症の人を 被介護 ではなく 社会資源 として 地域貢献などで元々持っている能力や得意なことなどが発揮できる機会を作り その人らしい QOL( 生活の質 ) を最大限に高めています (6) 認知症の予防法 診断法 治療法 リハビリテーションモデル 介護モデル等の研究開発およびその成果の普及の推進認知症の病態解明を進め 早期発見や診断法の確立 さらに根本的治療薬や効果的な症状改善法 有効な予防法を開発します 認知症の進行を止める薬剤は現在ありませんが 世界中で開発が進められています 安全な薬剤の開発には 厳密な治験により効果を検証する必要があります わが国ではこれまで治験がなかなか順調に進まない状況でしたが 前臨床期 軽度認知障害 (MCI) などの人が登録されてきており 認知症治療薬の治験やさまざまな予防研究の基盤が整備されつつあります (7) 認知症の人やその家族の視点の重視認知症の人やその家族の視点を重視し プランの柱の一つとして他の6つの柱のすべてに共通する プラン全体の理念としています 14