人工弁 帝京大学心臓血管外科真鍋晋 人工弁の歴史 機械弁 生体弁 生体弁 vs. 機械弁 無作為比較試験の結果
Haufnagel 弁 1952 年 世界で初めて人体に埋め込まれた人工弁 当時は人工心肺装置はまだなく 大動脈弁閉鎖不全症に対し 下行大動脈にこの人工弁が埋め込まれた
機械弁の歴史 1960 3/10 Harken が AVR 3/11 Braunwald が MVR 9/21 Star が AVR 1966 クロスカバー採用 1967 パイロライトカーボンを使用 1969 傾斜ディスク弁 生体弁の歴史 Ross がホモグラフトで AVR 1962 Ross がオートグラフトで AVR 1967 ブタ弁 ( グルタルアルデハイド処理 ) 1977 二葉弁 低圧固定処理法導入 1982 デルリンステント導入抗石灰化処理 Sodium dodecyl sulfate T6 ウシ心膜弁
機械弁の歴史 1960 3/10 Harken が AVR 3/11 Braunwald が MVR 9/21 Star が AVR 1966 クロスカバー採用 1967 パイロライトカーボンを使用 1969 傾斜ディスク弁 1977 二葉弁
機械弁の歴史 1960 3/10 Harken が AVR 3/11 Braunwald が MVR 9/21 Star が MVR 1966 クロスカバー採用 1967 パイロライトカーボンを使用 1969 傾斜ディスク弁 1977 二葉弁
機械弁の歴史 1960 3/10 Harken が AVR 3/11 Braunwald が MVR 9/21 Star が AVR 1966 クロスカバー採用 (Braunwald-Cutter 弁 ) 1967 パイロライトカーボンを使用 1969 傾斜ディスク弁 Star-Edward 弁 Braunwald-Cutter 弁 1977 二葉弁 弁座や Cage を薄手のポリエチレンメッシュで覆うことにより メッシュ表面が滑らかな生体組織で覆われるようになり 血栓 塞栓症が軽減した
Star-Edward 弁の改良 血栓症 36% 血栓症 3%
機械弁の歴史 1960 3/10 Harken が AVR 3/11 Braunwald が MVR 9/21 Star が AVR 1966 クロスカバー採用 1967 パイロライトカーボンの導入 (De Bakey-Surgitool 弁 ) 1969 傾斜ディスク弁 1977 二葉弁 ボール部分にパイロライトカーボンを使用
なぜボール弁か?
なぜボール弁か? 耐久性に優れた材質がなかった
どうしてもつなぎ目 ( ヒンジ ) が必要となり つなぎ目は壊れやすい このような弁をつくるには 非常に耐久性の強い素材が必要
パイロライトカーボン 生成熱硬化性樹脂を 2000 付近で加熱炭化させたもの 特性 1 金属より軽い 2 耐疲性に優れている 3 生体との親和性が高く 抗血栓性に優れている パイロライトカーボンは 4 億回の開閉運動に耐えうる
機械弁の歴史 1960 3/10 Harken が AVR 3/11 Braunwald が MVR 9/21 Star が AVR パイロライトカーボンの導入により デザインの可能性が広まった Bjork-Shiley 弁 1966 クロスカバー採用 1967 パイロライトカーボンを使用 1969 傾斜ディスク弁 1977 二葉弁 St. Jude Medical 弁
デザインの改良は 何を意味するのか?
遠隔期生存率 ボール弁 (Starr-Ewards) Orszulak T. A. et al.; Ann Thorac Surg 1997;63:620-626 傾斜ディスク弁 (Medtronic Hall) Svennevig, J. L. et al. Circulation 2007;116:1795-1800 二葉弁 (St. Jude Medical) Lund O. et al.; Ann Thorac Surg 2000;69:1459-1465
遠隔期生存率 弁の種類 生存率 5 years 10 years 15 years 20 years ボール弁 (Starr-Edwards) 76.9% 59.8% 44.8% 31.2% 846 532 278 100 傾斜弁 (Medtronic-Hall) 78.6% 61.9% 46.7% 32.3% 641 505 381 201 二葉弁 (St. Jude Medical) 79% 58% 39% 37% 694 468 95 18
血行動態の比較 弁の種類 平均圧較差 (mmhg) ボール弁 24±4 (Starr-Edwards) 傾斜弁 14±5 (Bjork-Shiley) 二葉弁 11±6 (St. Jude Medical)
血行動態の比較 ボール弁 (Starr-Ewards) 傾斜ディスク弁 (Medtronic Hall) 二葉弁 (St. Jude Medical)
生体弁の歴史 Ross がホモグラフトで AVR 1962 Ross がオートグラフトで AVR 1967 ブタ弁 ( グルタルアルデハイド処理 ) ウシ心膜弁 1981 低圧固定処理法導入 1982 デルリンステント導入抗石灰化処理 Sodium dodecyl sulfate T6 ウシ心膜弁
生体弁の歴史 Ross がホモグラフトで AVR 1962 Hancock 弁 Ross がオートグラフトで AVR 1967 ブタ弁 ( グルタルアルデハイド処理 ) ウシ心膜弁 1981 低圧固定処理法導入 1982 デルリンステント導入抗石灰化処理 Sodium dodecyl sulfate T6 ウシ心膜弁
グルタルアルデハイド処理 もともとは皮革のなめしに利用されていた 特性 1 滅菌 2 強度と柔軟性は保持される 3 抗原性を消去 4 コラーゲン分子間の架橋ができ 弁尖が安定化 動物の組織が使えるようになった
生体弁の歴史 Ross がホモグラフトで AVR 1962 Ross がオートグラフトで AVR 1967 ブタ弁 ( グルタルアルデハイド処理 ) ウシ心膜弁 1981 低圧固定処理法導入 1982 デルリンステント導入抗石灰化処理 Sodium dodecyl sulfate T6
生体弁の歴史 Ross がホモグラフトで AVR 1962 Ross がオートグラフトで AVR 1967 ブタ弁 ( グルタルアルデハイド処理 ) 弁を高圧で固定するとコラーゲンのひだが失われ 湾曲やよじれの原因となり また弁も菲薄化する 低圧固定では 弁組織の弾力が保持される ウシ心膜弁 1981 低圧固定処理法導入 1982 デルリンステント導入抗石灰化処理 Sodium dodecyl sulfate T6 ウシ心膜弁
生体弁の歴史 Ross がホモグラフトで AVR 1962 Ross がオートグラフトで AVR 1967 ブタ弁 ( グルタルアルデハイド処理 ) ステント部を弾力性のあるデルリンにし 弁尖に加わるストレスを軽減した ウシ心膜弁 1981 低圧固定処理法導入 1982 デルリンステント導入抗石灰化処理 Sodium dodecyl sulfate T6
生体弁の歴史 Ross がホモグラフトで AVR 1962 抗石灰化処理 Ross がオートグラフトで AVR 1967 ブタ弁 ( グルタルアルデハイド処理 ) 何も処理しないと 低圧固定処理法導入 1982 デルリンステント導入抗石灰化処理 Sodium dodecyl sulfate T6 カルシウムが沈着
人工弁の治療成績 1. 機械弁 St. Jude Medical
人工弁の治療成績 1. 機械弁 St. Jude Medical 大動脈弁置換術後 10 年の発症頻度 血栓塞栓症 11.7% 出血合併症 17.5% 弁感染 1.7% 再手術 1.4%
人工弁の治療成績 1. 生体弁 Carpentier-Edwards Pericardial
人工弁の治療成績 1. 生体弁 Carpentier-Edwards Pericardial 構造的弁劣化回避率は 5 年間で 99% 10 年間で 94% 15 年間では 77% であった
機械弁生体弁 耐久性 極めて良好 大動脈弁では15 年で70% 大丈夫 ( 高齢者ほど長持ちする ) 血栓性ワーファリン必須ワーファリン不要 服用していると塞栓症は生体弁と同様 出血合併症あり少ない 抗感染性同等同等