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学習指導要領改訂の方向性

1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

資料6 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の再整理イメージ(たたき台)

はじめに P1 Ⅰ 豊後大野市幼児教育の現状と課題 P2~3 1 幼児数の変遷... P2 2 幼児教育の現状... P2~3 3 幼児教育の課題... P3 Ⅱ 豊後大野市幼児教育の基本方針 P4~7 1 豊後大野市幼児教育の基本... P4 2 豊後大野市幼児教育のねらい... P5 (1) 育

幼児期の教育と小学校教育との円滑な接続の在り方について ( 報告 ) ( 概要 ) 子どもの発達や学びの連続性を踏まえた幼児期の教育 ( 幼稚園 保育所 認定こども園における教育 ) と児童期の教育 ( 小学校における教育 ) の円滑な接続の在り方について検討し 以下のとおり 報告をとりまとめた 1

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多様な関係機関を巻き込んだ 包括的な質向上システムの構築が必要 長野県幼児教育振興基本方針 ( 仮称 ) の策定 幼児教育の質向上推進の中心的機能を担うセンターの立ち上げを視野に入れる センターの機能 ( 想定 ) 〇幼児教育関係課 団体 大学等をつなぐ 既存の枠組みを超え 幼児教育に関わる教育 行

幼保連携型認定こども園教育・保育要領 中央説明会

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幼児教育 保育の無償化の実施について 1 子ども 子育て支援新制度の趣旨に沿った無償化の実施を! 子ども 子育て支援新制度 では 一人ひとりの子どもが健やかに成長することができる社会 子どもの最善の利益が実現される社会を目指しています まずこの目指すべき姿に沿った幼児教育 保育の無償化を図るべきです

高松っ子いきいきプラン策定の趣旨 本プランは, 就学前の子どもが幼稚園 保育所 幼保一体化施設など, どこに在籍していても, 等しく質の高い教育 保育を受けられるよう, 各施設が積み上げてきたものを生かしつつ, 今後, 重点的に取り組むための方針や具体的な取り組みを示しています さらに小学校との連携

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幼児教育とは: 幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改訂を受けて

【160420】とりまとめイメージ目次

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

幼児の実態を捉えると共に 幼児が自分たちで生活をつくり出す保育の在り方を探り 主体的 に生活する子どもを育むための教育課程及び指導計画を作成する 3 研究の計画 <1 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉える 教育課程 指導計画を見直す <2 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉え その要因につ

を生かした環境を構成することも求められます 3 安全で保健的な環境次に 施設などの環境整備を通して 保育所の保健的環境や安全の確保などに努めること としています 子どもの健康と安全を守ることは保育所の基本的かつ重大な責任です 全職員が常に心を配り 確認を怠らず 子どもが安心 安全に過ごせる保育の環境

平成 30 年度なごや小学校努力点推進計画 1 研究主題なかまとともに感性輝くなごやっ子 (1 年次 ) 2 研究主題について本校では 昨年度までの努力点研究において 道徳や特別活動の時間を中心に 子ども一人一人の成長と互いの認め合いをめざすことで 子ども自らが なごや小でよかった と感じられるよう

基本方針 これまでも幼稚園は幼稚園教育要領に 保育園は保育所保育指針に基づいた幼児教育 保育を展開してきた また 平成 20 年 3 月の大幅な改定により 3 歳児から5 歳児の教育に関する内容では整合性が図られている しかし 統一されたカリキュラムがないことで 幼稚園と保育園の内容に違いがあるかの

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基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります 基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります (1) 基礎的 基本的な学力の定着児童 生徒一人ひとりが生きる力の基盤として 基礎的 基本的な知識や技能を習得できるよう それぞ

人権教育の推進のためのイメージ図

1 国の動向 平成 17 年 1 月に中央教育審議会答申 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について が出されました この答申では 幼稚園 保育所 ( 園 ) の別なく 子どもの健やかな成長のための今後の幼児教育の在り方についての考え方がまとめられています この答申を踏まえ

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平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

目次 第 1 章策定の趣旨 1 第 2 章現状と課題 2 第 3 章基本理念と基本目標 4 第 4 章基本方針 6 第 5 章担い手とその役割 10 用語の定義 本指針において使用する用語の定義は以下のとおりとします 乳幼児期 生後から小学校に入る前まで 幼児期 概ね3 歳から小学校に入る前 幼児教

幼稚園 保育所ができること 一緒にやりましょう! 幼稚園 保育所は 子ども同士がふれあう以外に 保護者同士が交流できる場でもあります ここでは 各幼稚園 保育所が保護者と連携するとともに 保護者同士のふれあい つながりづくりに向けた取組みを記載しています 1 ( 幼稚園 保育所 ) 幼稚園 保育所と

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60 金沢星稜大学人間科学研究第 11 巻第 2 号平成 30 年 2 月 要領を主な資料として内容を分析 考察する (1) 乳児保育に関わる ねらい及び内容 の3 視点,1 歳以上 3 歳未満児及び3 歳以上児に関わる ねらい及び内容 の5 領域, 幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿, 小学

草津市 ( 幼保一体化 ) 集計表 資料 4 幼児教育と保育の一体的提供のための現況調査 ( 施設アンケート ) 速報 平成 25 年 7 月草津市 1

説明会の内容 1 事業計画について 1 2 認定こども園について 2 3 認定こども園での教育 保育について 3 4 認定こども園の概要 ( 案 ) について 1 施設の所在等 2 施設の規模 3 開園時期 4 主な配置施設 5 5 認定区分 6 保育日及び保育時間 7 利 定員 6 8 認定区分に

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平成 29 年度児童発達支援センターバンビ事業計画 1. 基本方針 児童発達支援センターバンビは相模原市南区の発達障害児の療育を遂行するため 以下の基本理 念 療育基本指針に則りサービスを提供する 1) 基本理念 1 児童一人ひとりに対する丁寧な 根拠 ある療育相模原療育園の医療スタッフとの連携によ

2 教育及び保育の 標 Q17 認定こども園法第 9 条に規定する6つの教育及び保育の目標の達成に努めるとともに これらが満 3 歳未満の園児の保育にも当てはまることを理解している Q18 第 2 教育及び保育の内容に関する全体的な計画の作成 教育及び保育の内容に関する全体的な計画は 教育及び保育を

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考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

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【報道発表資料】

彦根市立城陽幼稚園 幼稚園の特色 本園は 荒神山を間近に仰ぎ 琵琶湖岸まで広がる田畑や犬上川 宇曽川の両河川に囲まれた 自然に恵まれたところに位置し 旧市街地と新興住宅地が点在する地域にあります 平成 3 年 ( 旧 ) 平田幼稚園の一室を借りて開園し 翌年 3 月 日夏町の現在地に移りました 今年

3. ➀ 1 1 ➁ 2 ➀ ➁ /

目 次 第 1 章趣旨 1 第 2 章プログラムの位置付け 2 第 3 章基本的な考え方 2 第 4 章育てたい幼児像 3 第 5 章これまでの取り組み 3 第 6 章基本施策 5 1. 保育所 幼稚園 認定こども園等における充実した幼児教育の提供 2. 発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実

保育をシンプルにする 1 子どもと現状把握からスタートする子どもの心や体は大丈夫か? もっとこうしてあげたいという願い専門的視点と時代の要請から 2 プランが生まれる! 見通しを持つそうだ こうしよう! ( 例 ) 船であそこへ行こう! (5 つの要素 ) 船 スタッフ プラン 目的 旅の意義園舎

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

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子どもは 成長とともに徐々に友達と一緒に過ごす時間を増やしていきます そして 友達と一緒に遊んだり活動したりする中で 共に過ごす楽しさを味わうようになります その様子を見守ったり 援助したり 仲立ちしたりする保育士等の役割は重要であり 一人一人の子どもの友達への興味や関心 仲間関係などを把握する必要

公立保育所 石岡市みなみ保育所 設置者石岡市電話番号 石岡市月岡 1375 番地 2 号計 99 名 (3 歳 :31 名 4 歳 :34 名 5 歳 :34 名 ) 3 号 計 41 名 ( 0 歳 3ヵ月 ~:9 名 1 歳 :14 名 2 歳 :18 名 ) 標準時間

【参考資料1】審議のまとめ反映版

目 次 1 実施方針策定の趣旨 P. 1 2 振興計画に基づく取組みと求められる対応 P. 1 (1)Ⅰ 期期間中の取組み (2) 新制度のもと求められる対応 3 当面の実施方針 P. 2 (1) 基本となる考え方 (2) 当面の実施方針 4 新制度のもとでの市立幼稚園 P. 3 (1) 市立幼稚園

目 次 1. 策定の趣旨 2 2. 基本理念 2 3. 計画の期間及び推進状況の把握 2 4. 計画の対象 2 5. 第 1 次計画 における成果と課題 2 (1) 成果 2 (2) 課題 3 6. 計画の全体構想図 3 7. 推進事業 4 (1) 家庭における読書活動の推進 4 (2) 地域 図書

回数テーマ学習内容学びのポイント 2 過去に行われた自閉症児の教育 2 感覚統合法によるアプローチ 認知発達を重視したアプローチ 感覚統合法における指導段階について学ぶ 自閉症児に対する感覚統合法の実際を学ぶ 感覚統合法の問題点について学ぶ 言語 認知障害説について学ぶ 自閉症児における認知障害につ

子ども・子育て支援新制度における教育委員会の役割について 3

1 一日の生活の連続性及びリズムの多様性への配慮 (1) 全体的な計画の作成幼保連携型認定こども園教育保育要領第 1 章総則では 幼保連携型認定こども園の 全体的な計画 の作成について示されています 全体的な計画は 保育所保育指針における保育課程 幼稚園教育要領における教育課程に当たります また 全

保育の内容の見直しを行い 改善を図ること 指導計画を作成することは子どもの生活を見通してデザインしていくことですが それは 保育の過程 という考え方で理解することができます 保育実践は子どもの生活実態を理解することから始まります そしてその生活を見通して作成した指導計画をもとに 保育を柔軟に実践して

2017 年度は 過去 年間の経験を踏まえ 以下の 5 項目を事業計画とした 認定子ども園豊中愛光幼稚園 2017 年度事業計画 (1) 豊中愛光幼稚園の質の向上に努める 1. 教育 保育の質の向上を目指して 幼児クラスの保育のあり方を再確認する 特に 幼児クラスの預かり保育時間 (1:00~18:

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幼稚園と小学校の連携の在り方について 学びの連続性 の視点に立って考察する 3 研究内容と考察 (1) 学びの連続性 に立った幼稚園と小学校の連携とは何か中教審の答申 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について は 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえ 今後の幼児教育の方向性と

 

ポイント 1: 幼児教育と小学校教育の特徴や違いを理解する 保幼小の円滑な接続に向けて まずは 幼児教育と小学校教育の特徴や違いを理解することが重要です 幼児教育 幼児期の教育では 幼児の自発的な活動としての 遊び を通して 様々な体験や学びの芽生えを積み重ねることができるよう 保育者が環境を構成し

介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ

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保育所保育指針

利用者負担額 ( 保育料 ) の他にかかる費用の概要 正色第一保育園 施設所在地 中川区下之一色町字中ノ切 631 電話番号 ( 問合せ先 ) 費目費用 対象者 実費徴収 日用品 文房具 の教育 保育に必要な物品の購入に関する費用 日用品費 文房具費 被服費 教材費 上記に該当

目次 第 1 章策定の趣旨 1 第 2 章子どもの育ちをめぐる課題 2 第 3 章基本理念と基本目標 4 第 4 章基本方針 6 第 5 章担い手とその役割 9 用語の定義 本指針において使用する用語の定義は以下のとおりとします 乳幼児期 生後から小学校に入る前まで 幼児期 概ね3 歳から小学校に入

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第 2 第 3 第 4 食育の推進 環境及び衛生管理並びに安全管理 災害への備え 第 4 章第 1 第 2 第 3 子育ての支援子育ての支援全般に関わる事項幼保連携型認定こども園の園児の保護者に対する子育ての支援地域における子育て家庭の保護者等に対する支援 - 2 -

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幼稚園教育要領解説

Transcription:

森と自然を活用した保育 幼児教育に関する自治体勉強会 基調講演自然を活用した保育 幼児教育の現状と展望 上越教育大学 山口美和

本日の内容 保育 幼児教育の重要性 幼児期の教育の基本 自然保育 とは何か 森のようちえん について 新 幼稚園教育要領 / 保育所保育指針に照らした 自然保育 の意義 まとめ

保育 幼児教育の重要性

保育 幼児教育への注目 OECD(2006) Starting Strong Ⅱ : Early childhood Education and Care (OECD 保育白書人生の始まりこそ力強く : 乳幼児期の教育とケア (ECEC) の国際比較 ) 近年 OECD 各国は 乳幼児期の教育とケア (=ECEC) に積極的に投資するようになり チャイルドケアの問題は 選挙の争点にも押し上げられている 乳幼児期の教育の重要性が世界的に認識されつつある Ex: 幼児教育無償化 待機児童問題の争点化

非認知的スキルの重要性 Heckman, James. J Giving Kids a Fair Chance ( ジェームズ ヘックマン 幼児教育の経済学 ) 人生で成功するかどうかには 認知的スキルだけでなく 非認知的な要素もまた欠かせない 肉体的健康 精神的健康 根気強さ 注意深さ 意欲 自信 = 社会的 情動的性質 これらのスキルのほとんどは幼少期に発達する

幼児期の教育の基本

幼児期の経験の特徴 五感を通して感受される知覚を基盤とした具体的かつ総合的な経験 cf: Piaget 感覚運動期 (0 2 歳 ) 前操作期 (2 7 歳 ) 環境への能動的な働きかけ ( 好奇心 ) 人やモノとの相互作用を通じて形成されるイメージ 試行錯誤による学び

幼児期にふさわしい経験の保障 あそびを通して身体感覚を伴う多様な経験をすることが重要 あそび = 自由で自発的な行為 ( 活動 ) 命令されてする遊び そんなものはもう遊びではない ( ヨハン ホイジンガ ホモ ルーデンス )

幼児期の教育の基本 あそびを通して 主体的に環境に関わることにより 豊かな感性 好奇心や探究心を培う 生涯にわたる学習意欲や学習態度の基礎となる 友達や保育者との信頼感 安心感を基盤として 協力して生活を送り 人間関係の基礎を築く 役割意識 集団への帰属 貢献意識の基盤となる

幼児期の発達を促す環境とは? 能動性 主体性の発揮できる環境 存分に対象に関わることができる場所 時間 好奇心をそそる環境 日常生活と地続きの環境 発達に応じた環境からの刺激 多様性に富んだ 魅力的な環境 働きかけてみる 変化が現れる 応答的な環境 人間の生活に即した変化 循環 繰り返し 人工的な環境では実現が困難 自然の持つ多様性 応答性 循環性

幼児期に自然と関わる重要性 新 幼稚園教育要領第 2 章 領域 : 環境 内容の取り扱い 幼児期において自然のもつ意味は大きく 自然の大きさ 美しさ 不思議さなどに直接触れる体験を通して 幼児の心が安らぎ 豊かな感情 好奇心 思考力 表現力の基礎が培われることを踏まえ 幼児が自然との関わりを深めることができるよう工夫すること

遊びの中で環境に関わる 新 幼稚園教育要領第 2 章 領域 : 環境 内容の取り扱い 幼児が 遊びの中で周囲の環境と関わり 次第に周囲の世界に好奇心を抱き その意味や操作の仕方に関心を持ち 物事の法則性に気付き 自分なりに考えることができるようになる過程を大切にすること

自然保育 とは何か

自然保育 とは 自然環境や地域資源を活用し 屋外を中心とする子どもたちの直接的な体験活動を積極的に取り入れる保育 幼児教育 子どもが本来持っている 自ら学び成長しようとする力 を育むことを重視する 森のようちえん だけでなく 幼稚園 保育所 認定こども園等における保育内容も包括する概念

自然体験 戸外で身近な自然と日常的に触れ合う体験 五感を使って自然を感じ 味わい その美しさや不思議さに気づくこと

生活体験 人間が社会で暮らしていくために必要な 生活力 や 生きる力 を育む体験 鎌でラケットを削る少年 ( 昭和 28 年 ) 信州子どもの 20 世紀 より 手足や身体を使った技術 技能 コミュニケーション力

森のようちえん について

森のようちえん forest kindergarten 森などの自然豊かな環境の中で 子どもの直接的な体験と主体的な遊びを重視した保育 幼児教育を行う施設 デンマーク発祥 ドイツ 北欧 オーストラリア 日本など 世界各地で盛ん 日本では 約 35 年前に始まり 徐々に発展 10 年前頃から全国で急増 現在 全国に約 180 以上の団体がある ( うち約 130 園が 常設型 )

日本の 森のようちえん の類型 ドイツ 北欧型自然の中での子どもの主体的な遊びを目的とするタイプ 共同保育 自主保育型保護者が自分の子どもの保育に主体的に関わることを目的とし 複数の家庭の保護者が交代で保育当番を行うタイプ 自然学校型週末や休日に開催するタイプも 冒険教育や環境教育との親和性が高い

森のようちえん の活動形態 1 認可幼稚園 認可保育園 自然散策や遠足 お泊まり保育 畑の活動などの自然体験活動 2 自主保育や共同保育 育児サークル 子育てサロン ひろば 野外を中心とした自然体験を意識した保育活動など 3 認可外保育施設 NPO 法人などによる幼児教育や保育活動団体 自然体験を意識した幼児教育など 4 自然学校や自然体験活動団体 青少年教育施設 社会教育施設 さまざまな野外活動プログラムを活かした幼児教育 森のようちえん全国ネットワークの活動分類より

森のようちえん の保育の三つの特徴 園周辺の自然環境や地域資源の活用山 川 森など地域に根差した日常的なフィールドを利用 日常性 コミュニティに根ざした自然体験活動 子どもの自発的なあそびを重視大人 ( 保育者 ) は 極力あそびをリードしたり助言したりせず 子どもの中から生まれる創意工夫や試行錯誤を見守る 一人の主体として尊重される経験の蓄積 生活における子どもの主体的決定を尊重テーマに対する意見を出し合い 子ども同士の議論に基づき決定 実行 集団生活への主体的な参与と役割意識

日本の 森のようちえん の課題園舎の施設設備や職員配置が国の基準を満たさない等の理由で 国の認可を得ることができず NPO 法人などとして運営しているケースが多い 国からの補助金が得られないため経営が不安定 先進的な地方自治体が制度を創設して 森のようちえん 等を含む 自然保育 を支援 推進する動き

森のようちえん活動に対する自治体の支援 理解 17 12 2 活動に対して理解があり具体的な支援や協力をしてくれる 13 10 活動に対して一定の理解はあるが支援はしていない 活動に対して関心は持っているが あまり内容を理解していない 活動に対して無関心である その他 常設型 森のようちえん 機関調査 N=53 ( 発達保育実践政策学センター 2016 年度 SEED 研究 )

森のようちえん / 地域の認可園の保育者との交流 学びの機会の比較 1 ヶ月に 1 回程度 2 2-3 ヶ月に 1 回程度 8 11 半年に 1 回程度 6 11 1 年に 1 回程度 6 17 2-3 年に 1 回程度 0 3 全くない 9 31 0 5 10 15 20 25 30 35 地域の認可幼稚園 保育所との交流他の森のようちえんとの交流常設型 森のようちえん 機関調査 N=53 ( 発達保育実践政策学センター 2016 年度 SEED 研究 )

なぜ 森のようちえん の認知が進まないか 幼児期の本来的な教育のあり方を追求した最終形態 ( 自然の中での子どもの主体的なあそびを中心とした保育 ) = 森のようちえん なのに なぜ社会的認知や理解が進まないのか?? 認可 ( 国によるお墨付き ) の壁

保育の 質 の観点からの評価 保育の質を測るための指標 志向性の質 : 保育の方向性 目標 構造の質 : 施設の広さ 物理的構造基準 保育者の配置 教育の概念と実践 : 保育の具体的な内容 過程 ( プロセス ) の質 : 保育者と子どもの相互作用 環境構成 実施運営の質 : 運営体制 チーム シフト体制 子どもの成果の質 : 子どもの心身の成長の保障 日本では構造の質 ( 施設基準 ) が 認可 の大きなハードル保育内容やプロセスをもっと重視すべきでは?? 各自治体による積極的な評価が不可欠

新 幼稚園教育要領 / 保育所保育指針に照らした 自然保育 の意義

幼児期の学びを捉えるために 総合的で 多様なものが複合的に浸透し合った幼児期の学び 総合的な幼児期の育ちと学びを さまざまな側面から見るための視点 ( 窓 ) としての 5 領域 = 健康 人間関係 環境 言葉 表現 能力や到達度で評価するのではなく 主体的に環境に働きかける心情 意欲 態度を重視する

幼児期の終わりまでに育って欲しい 10 の姿 豊かな感性と表現言葉による伝えあい 健康な心と体 自立心 協同性 数量や図形 標識や文字などへの関心 感覚 道徳心 規範意識の芽生え 自然との関わり 生命尊重 思考力の芽生え 社会生活との関わり

健康な心と体 幼稚園 ( 保育所 ) 生活の中で 充実感をもって自分のやりたいことに向かって心を体を十分に働かせ 見通しをもって行動し 自ら健康で安全な生活をつくり出すようになる

自立心 身近な環境に主体的に関わり様々な活動を楽しむ中で しなければならないことを自覚し 自分の力で行うために考えたり 工夫したりしながら 諦めずにやり遂げることで達成感を味わい 自信を持って行動するようになる

協同性 友達と関わる中で 互いの思いや考えなどを共有し 共通の目的の実現に向けて 考えたり 工夫したり 協力したりし 充実感をもってやり遂げるようになる

思考力の芽生え 身近な事象に積極的に関わる中で 物の性質や仕組みなどを感じ取ったり 気付いたりし 考えたり 予想したり 工夫したりするなど 多様な関わりを楽しむようになる また 友達の様々な考えに触れる中で 自分と異なる考えがあることに気付き 自ら判断したり 考え直したりするなど 新しい考えを生み出す喜びを味わいながら 自分の考えをよりよいものにするようになる

自然との関わり 生命尊重 自然に触れて感動する体験を通して 自然の変化などを感じ取り 好奇心や探究心をもって考え言葉などで表現しながら 身近な事象への関心が高まるとともに 自然への愛情や畏敬の念をもつようになる また 身近な動植物に心を動かされる中で 生命の不思議さや尊さに気付き 身近な動植物への接し方を考え 命あるものとしていたわり 大切にする気持ちをもって関わるようになる

まとめに代えて

自然保育 における保育者の役割 子どもが自然の中で自ら環境に働きかけ 主体的に行動する機会を保障する 教えすぎない 子どもが自分で発見する喜びを奪わない 分かち合う 子どもと同じ視線でそのものを見て喜び味わう 待つ 放置 ではなく 出来事の進展を期待しながら見守る

自然保育 と主体的な体験 自然保育 の普及によってもたらされるものは 多くの子どもたちに 自然の中での直接的な体験の機会を保障すること 好奇心 挑戦心 創造性 協調性 レジリエンス etc 社会情動的スキルの育成 困難に負けずに幸せな人生を歩むための土台

幼児期の教育のあるべき姿を求めて 各自治体における 自然保育 の支援 推進 本来あるべき子どもの幸せを保障するムーブメント 自分の生きる世界に対する基本的な肯定感 国を動かすムーブメントへ