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2. プロセスとは プロセス は, インプットをアウトプットに変換する, 相互に関連する又は相互に作用する一連の活動 と定義される これらの活動には人材や材料などの資源の割り振りが必要である 図 1 は一般的なプロセスを示している プロセスアプローチの主な利点は, 他のアプローチと比較して, これらのプロセス間の相互作用及び組織の機能階層間のインターフェースの運営及び管理にある (4. で詳説 ) プロセスの有効性 = 期待される結果を出す能力 インプット規定した要求事項 ( 資源を含む ) 相互に関連する又は相互に作用する管理方法 アウトプット規定した要求事項 ( プロセスの結果 ) 監視及び測定 プロセスの効率 = 達成した結果対使用した資源 図 1 一般的なプロセス インプット及び意図したアウトプットは有形なもの ( 設備, 材料, 又は構成部品など ) かもしれず, 無形なもの ( エネルギー, 情報など ) かもしれない アウトプットは, また, 廃棄物や汚染などのように意図しないものでもあり得る それぞれのプロセスには, プロセスに対するニーズ及び期待をもち, プロセスに必要なアウトプットを定める顧客及びその他の利害関係者 ( 組織にとって内部又は外部のいずれか ) がある システムは, プロセスの実施状況についての情報を提供し, 是正処置又は改善の必要性があるかどうかを決定するために分析され得るデータを収集するために使用されなくてはならない すべてのプロセスは, 組織の目標, 適用範囲及び複雑性に整合していることが望ましく, 組織に価値を付加するように設計されなくてはならない プロセスの有効性及び効率は, 内部又は外部レビューのプロセスを通して評価され得る 3. プロセスの種類 3.1 ISO 9001:2008 におけるプロセスへの言及 ISO 9001:2008 では, 次のように述べられている 0.1( 一般 ) 組織における品質マネジメントシステムの設計及び実施は, 次の事項によって影響を受ける a) 組織環境, 組織環境の変化, 及び組織環境に関連するリスク 2

b) 多様なニーズ c) 固有の目標 d) 提供する製品 e) 用いるプロセス f) 規模及び組織構造 この規格は, 品質マネジメントシステムの構造の画一化又は文書化の画一化を意図していない 0.2( プロセスアプローチ ) 組織内において, 望まれる成果を生み出すために, プロセスを明確にし, その相互関係を把握し, 運営管理することと併せて, 一連のプロセスをシステムとして適用することを, プロセスアプローチ と呼ぶ 4.1( 品質マネジメントシステム一般要求事項 ) 組織は, この規格の要求事項に従って, 品質マネジメントシステムを確立し, 文書化し, 実施し, 維持しなければならない また, その品質マネジメントシステムの有効性を継続的に改善しなければならない 組織は, 次の事項を実施しなければならない a) 品質マネジメントシステムに必要なプロセス及びそれらの組織への適用を明確にする (1.2 参照 ) b) これらのプロセスの順序及び相互関係を明確にする c) これらのプロセスの運用及び管理のいずれもが効果的であることを確実にするために必要な判断基準及び方法を明確にする d) これらのプロセスの運用及び監視を支援するために必要な資源及び情報を利用できることを確実にする e) これらのプロセスを監視し, 適用可能な場合には測定し, 分析する f) これらのプロセスについて, 計画どおりの結果を得るため, かつ, 継続的改善を達成するために必要な処置をとる 組織は, これらのプロセスを, この規格の要求事項に従って運営管理しなければならない これらに基づいて, 各組織は, 事業目標を満たすために必要なプロセスの数及び種類を定めることが望ましい 組織において既に確立したプロセスを ISO9001:2008 で要求するプロセスの一部とすること, 又は ISO 9001 とは異なった観点で組織が定めたプロセスを ISO9001:2008 が求めるプロセスとすることが許容される 3.2 特定され得るプロセスの典型的な種類 上記 3.1 に従って, 各組織は, 事業目標を満たすために必要なプロセスの数及び種類を定めなければならない それらは, 各組織によって独特であるが, 次のような典型的なプロセスがあり得る 組織の運営管理のプロセス これには, 戦略計画, 方針の確立, 目標の設定, コミュニケーションの確保, 組織の品質目標及び望まれる成果のための資源の確保, 並びにマネジメントレビューに関するプロセスが含まれる 資源の運用管理のプロセス これには, 組織の品質目標及び望まれる成果に必要な資源を提供す 3

るために必要なすべてのプロセスが含まれる 実現化プロセス これには, 組織の望まれる成果をもたらすすべてのプロセスが含まれる 測定, 分析及び改善プロセス これには, 実施状況の分析並びに有効性及び効率の向上のための, 測定並びにデータ収集に必要となるすべてのプロセスが含まれる それには測定, 監視, 監査, パフォーマンス分析および改善プロセス ( 例えば, 是正及び予防処置 ) が含まれる 測定プロセスは, 運営管理, 資源及び実現化プロセスに不可欠であるので, しばしば文書化される 分析及び改善プロセスは, その他のプロセスと相互に作用し, 測定結果からインプットを得て, プロセスの改善のためのアウトプットを送り出す, 自律したプロセスとしてしばしば取り扱われる 4. プロセスアプローチの理解 プロセスアプローチは, 顧客及びその他の利害関係者に対する価値を生み出すために, 活動を体系化し, 管理する有効な方法である 組織は, しばしば機能単位の階層構造になっている 意図したアウトプットの責任を機能単位に分割することで, 通常, 組織は垂直に管理されている 最終顧客やその他の利害関係者がすべての関係者に常に見えているとは限らない したがって, インターフェースで発生する問題は, しばしば機能単位の短期的な目標に比べ優先度が低くなることがある 通常, 意図したアウトプットよりも機能に焦点を当てた行動となるため, 利害関係者にはほとんど改善をもたらさない プロセスアプローチは, 異なった機能単位間の障壁を乗り越え, 組織の主要な目標に焦点を当てることで, 水平的な管理を導入する それはまた, プロセス間のインターフェースの管理を向上させる ( 第 2 図参照 ) 図 2 組織における部門横断的なプロセスのつながりの例 プロセスアプローチの利用を通して, 組織のパフォーマンスを改善することができる プロセスは, プロセスのネットワーク及びその相互作用と定義され, 結果として付加価値についてのよりよい理解を創出するシステムとして管理される 注記 : このネットワークの一貫性のある運用は, しばしば運営管理への システムアプローチ と呼ば 4

れる ひとつのプロセスのアウトプットはしばしば他のプロセスのインプットとなり得, 全体的なネットワーク又はシステムにつながる ( 一般的な例としては, 図 3 及び図 4 を参照 ) 他のプロセスからのアウトプット 他のプロセスからのアウトプット A へのインプット プロセス A A からのアウトプット プロセス B B からのアウトプット プロセス D D からのアウトプット B へのインプット D へのインプット C へのインプット プロセス C C からのアウトプット 図 3 一般的なプロセスのつながりの例 図 4 プロセスつながりとその相互作用 5

5. プロセスアプローチの実施 以下の実施方法は, いかなるプロセスにも適用することができる ステップの順序は単なるひとつの方法であり, 絶対なものではない ステップの中には同時に実行することができるものもあるかもしれない 5.1 組織のプロセスの明確化 プロセスアプローチにおけるステップ 5.1.1 組織の目的を明確にする 取るべき行動 組織は, その意図するアウトプットを明確にするために, 顧客及びその他の利害関係者, 並びに要求事項, 必要性及び期待を明確にしなければならない 手引 顧客及びその他の利害関係者の要求事項, 並びにその他の必要性及び期待を収集し, 分析し, 決定する 要求事項, 必要性及び期待の継続的な理解のために, 顧客及びその他の利害関係者と頻繁にコミュニケーションを行う 品質マネジメント, 環境マネジメント, 労働安全衛生, 運営管理, ビジネスリスク, 社会的責任及び組織内において適用されるその他のマネジメントシステム規律のための要求事項を決定する 5.1.2 組織の方針及び目標を明確にする 要求事項, 必要性及び期待の分析に基づき組織の方針及び目標を設定する トップマネジメント, 組織が対象とする市場を決定し, 関連する方針を設定しなければならない この方針に基づき, トップマネジメントは望まれる成果 ( 例えば, 製品, 環境パフォーマンス, 労働安全衛生パフォーマンス ) のための目標を設定しなければならない 5.1.3 組織内のプロセスを 意図したアウトプットを生み出すために必要なプロセスを決定する 意図したアウトプットを達成するために必要なプロセスを決定する このプロセスには運営管理, 資源, 実現化並びに測定, 分析及び改善が含まれる 供給者, 顧客, その他の利害関係者 ( 内部又は外部 ) のほか, すべてのプロセスのインプット及び 6

決定する アウトプットを明確にする プロセスのつながりにおける流れ及び相互作用を決定する プロセスのネットワークの内容とその相互作用を明確にし, 作成する 次を考慮する 5.1.4 プロセスのつながりを決定する 各プロセスの顧客 各プロセスのインプット及びアウトプット どのプロセスが相互作用しているのか インターフェース及びその特色 相互作用しているプロセスのタイミングとつながり つながりの有効性及び効率 注記 : 一例として, 例えば, 顧客に引き渡された製品のような製品実現プロセスは, 他のプロセス ( 運営管理, 測定及び監視, 資源提供のプロセスなど ) と相互作用することになる プロセスのつながり及びその相互作用の開発支援するために, ブロックダイヤグラム, マトリックス, フローチャートなどの方法やツールを利用してもよい 5.1.5 プロセスの所有権者を明確にする 各プロセスに責任と権限を付与する 経営者は各プロセスとその相互作用の実施, 維持及び改善を確実にするために, 個々の役割と責任を明確にしなければならない このような個人は通常, プロセスオーナー と呼ばれる プロセスの相互作用を管理するために, 相互作用している各プロセスからの代表者を含め, すべてのプロセスを総括する プロセス管理チーム を設置することが有用かもしれない 7

文書化するプロセスとその方法を決定する プロセスは組織内に存在し, 最初は最も適切な方法によるプロセスの明確化と運営管理に限定しなければならない カタログ やプロセスの一覧表は文書化しなくてもよい 文書化の主な目的は, プロセスの一貫的でかつ安定的な運用を可能にすることにある 5.1.6 プロセスの文書化を明確にする 組織は, 次に基づいてどのプロセスを文書化するかを決定しなくてはならない 組織の規模及びその活動形態 そのプロセス及びその相互作用の複雑性 プロセスの重要性 有能な人材の利用可能性 プロセスの文書化が必要なときには, グラフ表示, 書面による指図, チェックリスト, フォローチャート, 視覚媒体, 電子的な方法等の様々な方法を利用し得る 注記 : 詳しい手引については,ISO 9000 導入 支援パッケージ ISO 9001:2008 の文書化要求事項に関する手引を参照のこと 5.2 プロセスの計画 プロセスアプローチにおけるステップ 5.2.1 プロセス内の作業を明確にする 取るべき行動 プロセスの意図したアウトプットを達成するために必要な作業を決定する 手引 望まれる成果へのインプット及びアウトプットを規定する インプットを必要とされるアウトプットに変換するのに要求される活動を決定する 8

プロセス内の活動のつながり及び相互作用を決定し, 規定する それぞれの活動がどのように実行されるかを決定する 注記 : 場合により, 顧客はアウトプットのみならずプロセスの実現化に対して要求事項を指定することもある 5.2.2 監視及び測定要求事項を明確にする 監視及び測定を何処で, どのように適用しなければならないかを決定する これは, プロセスの運営管理及び改善の両方並びに意図したプロセスアウトプットのためのものである 監視は常に適用可能であるが, 測定は実際的ではないか, 又は不可能であるかもしれない それにもかかわらず, 測定はプロセスのパフォーマンスに関するより客観的なデータを提供し, 運営管理及び改善の有用なツールである 結果を記録する必要性を決定する プロセスの有効性及び効率を決定するために, 次の要素を考慮しつつ, プロセスの運営管理及びプロセスの実施状況の監視及び測定の基準を明確にする 要求事項との適合 顧客満足 供給者のパフォーマンス 予定どおりの引渡し リードタイム 欠陥率 廃棄物 加工費用 事故の頻度 5.2.3 必要な資源を明確にする 各プロセスの効果的な運用に必要な資源を決定する 資源の例には次が含まれる 人的資源 インフラストラクチャー 作業環境 情報 天然資源 9

材料 財務資源 5.2.4 計画された目標に対してプロセスを検証する プロセスの特性が組織の目的に整合していることを確認する (5.1.1 参照 ) 5.1.1 で明確にしたすべての要求事項が満たされていることを検証する 満たされていなければ, どのようなプロセスが追加的に必要かを検討し, プロセスを改善するために 5.2.1 に戻る 10

5.3 プロセスの実施及び測定 計画どおりにプロセス及びその活動を実施する 組織は, 実施のためのプロジェクトを組むこともある それには次を含むが, これに限ったものではない コミュニケーション 認識 教育 研修 運用管理の変更 経営者の関与 適切なレビュー 管理を適用し, 計画どおりに監視及び測定を行う 5.4 プロセスの分析 プロセスの実施状況を数値化するために, データの監視及び測定から得られたプロセスに関する情報を分析し, 評価する 適宜, 統計的な方法を使用する プロセスの有効性及び効率を確認し, 是正処置の必要性を特定するために, プロセスの実施状況の情報を明確にしたプロセスの要求事項と比較する プロセスの情報の分析結果に基づいてプロセス改善の機会を明確にする 5.5 プロセスの是正処置及び改善適宜, プロセスの実施状況をトップマネジメント及び組織のその他の関連する人々に報告する 是正処置が必要な場合は, その実施方法を定めることが望ましい これには, 問題 ( 例えば, ミ ス, 欠陥, 適切なプロセス管理の欠如 ) の根本的な原因の特定及び排除を含む とった処置の有 効性をレビューすることが望ましい 計画に従って是正処置を実施し, その有効性を検証する 計画されたプロセスの成果が達成され, 要求事項が満たされたならば, 組織は, 継続的にプロセスの実施状況を改善する処置に注力することが望ましい 改善の方法は明確化され, 実施されなければならない ( 改善例には, プロセスの単純化, 効率の強化, 有効性の改善, プロセスサイクルの短期化を含む ) 改善の有効性を検証しなければならない 起こり得る問題を明確にするために, リスク分析ツールが導入されることもある 同様に明確化されたリスクのあるすべてのプロセスにおける問題の発生を防止しつつ, これらの起こり得る問題の根本原因を明確にし, 排除しなければならない PDCA(Plan-Do-Check-Act) 方法論は, 是正処置を明確にし, 実施し, 管理し, 改善するための有用なツールとなり得る PDCA サイクルについては, 数多くの言語で, 膨大な文献がある 11

Act 次回はどのように How to improve 改善するか next time? Plan What 何をしたらいいか to do? How どのようにするか to do it? Plan Do 顧客要求事項, 法令 規制要求事項及び組織の方針に沿った結果を出すために, 必要な目標及びプロセスを設定する それらのプロセスを実施する Check 計画通りにおこな Did things happen according われたか to plan? Do 計画に従って物事 Do what was planned が進んでいるか Check Act 方針, 目標及び製品要求事項に照らして, プロセス及び製品を監視及び測定し, その結果を報告する プロセスの成果を含む実施状況を継続的に改善するための処置をとる PDCA は, 各組織のプロセス及びそれらの相互作用の内部で用いられ得るダイナミックな方法論で, 計画, 実施, 検証及び改善に密接に関係している PDCA の概念を組織内のすべての階層に適用することにより, プロセスの実施状況の維持及び改善を達成することができる これは同様に, 高度な戦略的プロセス及び単純な運用上の活動にも適用される 12

ISO 9001:2015 におけるプロセスアプローチ この文書の目的 : この文書の目的は ISO 9001:2015 におけるプロセスアプローチについて説明することである プロセスアプローチは 業種 形態 規模又は複雑さに関わらず あらゆる組織及びマネジメントシステムに適用することができる プロセスアプローチとは何か? 全ての組織が目標達成のためにプロセスを用いている プロセスとは : インプットを使用して意図した結果を生み出す 相互に関連する又は相互に作用する一連の活動 注記 : インプット及びアウトプットは 有形の場合 ( 例 : 材料 部品 設備 ) と無形の場合 ( 例 : データ 情報 知識 ) とがある プロセスアプローチには 統合され完結した一つのシステムとして運用するために 組織のプロセスを確立することが含まれる マネジメントシステムは 目標を満たすために プロセスと基準を統合する プロセスは 意図したアウトプットを出すために 相互に関連する活動及び確認行為を定める 組織の状況次第で 必要に応じて 計画及び管理の詳細を定め 文書化することができる リスクに基づく考え方 PDCA 及びプロセスアプローチ これら 3 つの概念はともに ISO 9001:2015 の不可欠な部分を成す 目標及び結果に影響を及ぼし得るリスクは マネジメントシステムによって取り組まれなければならない リスクに基づく考え方は プロセスアプローチ全体を通して 次の事項を行うために用いられる プロセスのアウトプットを改善し かつ望ましくない結果を防ぐために プロセスを確立する上でどのようにリスク ( 好ましいリスク又は好ましくないリスク ) に取り組むかを決定する プロセスの計画策定の範囲及び必要な管理 ( リスクに基づく ) を定める 品質マネジメントシステムの有効性を向上させる 本質的にリスクに取り組み 目標を満たすシステムを維持し マネジメントする PDCA は プロセス及びシステムをマネジメントするために利用できるツールの一つである PDCA は次を意味する P Plan: 結果を出すためにシステム及びプロセスの目標を設定する ( 何を行うか 及び どのように行うか ) D Do: 計画されたことを実行し 管理する C Check: 方針 目標及び要求事項に照らして プロセス及び結果を監視し 測定し その結果を報告する A Act: プロセスのパフォーマンスを改善するための処置をとる PDCA は 各段階でリスクに基づく考え方を用い 継続的改善のサイクルとして機能する ISO/TC 176/SC 2/N1289 www.iso.org/tc176/sc02/public

どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化 方針及び目標 意図した結果 並びに全体的パフォーマンスのより一貫した達成 プロセスアプローチは あらゆるマネジメントシステムの実施を容易にすることができる 顧客要求事項を満たすことによる顧客満足の向上 組織内の信頼の向上 ISO 9001:2015 におけるプロセスアプローチを用いる上での実践的なステップについては 附属書 A に説明がある その他の参考になる文書 ISO 9001:2015 プロセスアプローチ - パワーポイント説明資料 ISO/TC 176/SC 2/N1289 www.iso.org/tc176/sc02/public

附属書 A ISO 9001:2015 におけるプロセスアプローチ 次の取組みの流れは ISO 9001 の要求事項に基づいて組織がどのように自らの品質マネジメントシステムのプロセスを構築し 管理することができるかの例を示している Plan-Do-Check-Act(PDCA) サイクルを適用することによって パフォーマンスをマネジメントし 改善することができる これは システム全体 個々のプロセス 及び業務活動に等しく適用される プロセスアプローチにおけるステップ 取るべき行動 手引 組織の状況を定義する 組織の適用範囲 目標及び方針を定める 組織内のプロセスを明確にする プロセスの順序を明確にする 組織は その意図する目的を定めるために 自らの責任 密接に関連する利害関係者及び関連する要求事項 ニーズ並びに期待を特定することが望ましい 要求事項 ニーズ及び期待の分析に基づいて 組織の品質マネジメントシステムに関連する適用範囲 目標及び方針を確立する 目標及び方針に合致し 意図したアウトプットを出すために必要なプロセスを明確にする プロセスがどのような順序及び相互作用で流れるかを明確にする PLAN 密接に関連する利害関係者に関連する要求事項 ニーズ及び期待を満たすために 組織の外部及び内部の責任を収集し 分析し 明確にする それらの利害関係者の要求事項 ニーズ及び期待の継続的な理解を確実にするために 頻繁にそれらの利害関係者を監視し 又はそれらの利害関係者とコミュニケーションを行う 組織は 内部及び外部の状況並びに利害関係者の要求事項を考慮に入れ マネジメントシステムの適用範囲 境界及び適用可能性を決定しなければならない 組織が取り組むべき市場を決定する 次にトップマネジメントは 望ましい結果のための目標及び方針を確立することが望ましい マネジメントは 意図したアウトプットを達成するために必要なプロセスを明確にしなければならない これらのプロセスには 運営管理 資源 運用 測定 分析及び改善が含まれる プロセスのネットワーク及びそれらの相互作用を定義し 記述する 次を考慮する 各プロセスのインプット及びアウトプット ( 内部又は外部の場合がある ) プロセスの相互作用 及びプロセスが依存する又はそれを可能にするインターフェース 順序の有効性及び効率の最適化 プロセスの相互作用の有効性に対するリスク注記 : 一例として 顧客に引き渡される製品又はサービスの提供に必要なプロセスの実現は 他のプロセス ( 資源の提供における運営管理 測定 調達など ) と相互に作用する プロセスの順序及びそれらの相互作用は モデリング ダイヤグラム マトリクス フローチャートなどのツールを使って開発することができるかもしれない ISO/TC 176/SC 2/N1289 www.iso.org/tc176/sc02/public

プロセスの所有権及び説明責任 (accountability) をもつ人々又は権限者を定める 文書化した情報の必要性を定める プロセス内のインターフェース リスク及び活動を定義する 各プロセスについて責任及び権限を割り当てる 正式に定義する必要のあるプロセス及びそれらをいかに文書化するかを決定する プロセスの意図したアウトプットを達成するために必要な活動 及び意図しないアウトプットのリスクを明確にする トップマネジメントは 所有権 説明責任 (accountability) 個人の役割 責任 作業グループ 権限者及び権限を組織し 定めるとともに 各プロセス及びその相互作用の効果的な定義 実施 維持及び改善に必要な力量を確実にすることが望ましい これらの個人又は権限者は通常, プロセス オーナー と呼ばれる プロセスの相互作用をマネジメントするには 全てのプロセスを俯瞰するシステムをもつ マネジメントシステムチームを設置することが有益かもしれない このチームには 相互に作用するプロセス及び機能の代表者を含めてもよい プロセスは組織内に存在する それらは正式なものである場合とそうでない場合がある 正式に定義しなければならないプロセスの目録又は一覧表があるわけではない 組織は リスクに基づく考え方を基に 例えば次の事項を含め 文書化が必要なプロセスを決定することが望ましい 組織の規模及び活動の種類 プロセス及びそれらの相互作用の複雑さ プロセスの重要性 パフォーマンスについての正式な説明責任 (accountability) の必要性 プロセスは グラフ表示 ユーザーストーリー 指示書 チェックリスト フローチャート 視覚媒体 グラフィック及びシステム化を含む電子的な方法など 多数の方法を用いて正式に文書化することができる しかし 選択された方法又は技術が到達点ではない これらは 目標達成のための手段であるプロセスを記述するために使用することができる 効果的で組織化されたプロセスは 一貫性のある 説明可能な運営 並びに望ましい目標及び改善可能な結果を出すことができる 注記 : 詳しい手引については ISO 9000 導入 支援パッケージ ISO 9001:2015 の文書化した情報に関する要求事項についての手引 を参照のこと プロセスに必要なアウトプット及びインプットを定義する 意図しないアウトプットが生じた場合に 製品 サービスの適合及び顧客満足に対するリスクを明確にする インプットを望ましいアウトプットに変換するために必要となる活動 手段及び固有の管理を明確にする プロセス内の活動の順序及び相互作用を明確にし 定義する 各々の活動をどのように実行するかを明確にする マネジメントシステム全体が 組織及びユーザーに対する全ての重大なリスクを考慮することを確実にする 注記 : 場合によっては 顧客がアウトプットだけでなくプロセスの実現のための要求事項を指定することもある ISO/TC 176/SC 2/N1289 www.iso.org/tc176/sc02/public

監視及び測定に関する要求事項を定める 監視及び測定をどこでどのように適用すべきかを決定する これは プロセスの管理及び改善と意図したプロセスのアウトプットの両方のためであることが望ましい 結果を記録する必要性を決定する プロセス及びシステムの有効性及び効率を保証するために必要な妥当性確認を特定する 次のような要因を考慮に入れる 監視及び測定の基準 パフォーマンスのレビュー 利害関係者の満足度 供給者のパフォーマンス 予定どおりの納品及びリードタイム 故障率及び廃棄物 プロセスのコスト インシデントの発生頻度要求事項への適合のためのその他の手段 実施する 必要な資源を定める 計画した活動及び結果を達成するために必要な処置を実施する 各プロセスの効果的な運用に必要な資源を明確にする DO 組織は 計画した結果を達成するために必要な 定義されたプロセス及び手順 ( 自動化してもよい ) 外部委託及びその他の方法の 活動 監視 測定及び管理を行うことが望ましい 資源の例には次が含まれる 人的資源 インフラストラクチャ 環境 情報 天然資源 ( 知識を含む ) 材料財源 計画した目標に照らしてプロセスを検証する プロセスが効果的であり プロセスの特性が組織の目的と一致していることを確認する CHECK 組織は 目標に照らしてアウトプットを比較し 全ての要求事項が満たされていることを検証することが望ましい データを収集するにはプロセスが必要である 例えば 測定 監視 レビュー 監査及びパフォーマンス分析が含まれる 改善 プロセスが意図したアウトプットを出し続けることを確実にするためにプロセスを変更する ACT プロセスの有効性の改善を確実にするため 検証結果に基づいて行動する ( 注記 : プロセスの効率を改善することは ISO 9001 の要求事項ではないが 組織はそれを望んでもよい ) プロセスの欠陥に起因する是正処置には 問題の根本的な原因の特定及び除去を含めることが望ましい システム思考 では あるプロセスの一つの事象が従属するプロセスに起因するか 又は影響する可能性があるとしている 原因及び影響は 同一のプロセス内にはないかもしれない 問題解決及び改善は 一般に次のような必要なステップを踏む 問題又は目標を定める 問題及び関連するプロセスについてのデータを収集し 分析する ISO/TC 176/SC 2/N1289 www.iso.org/tc176/sc02/public

望ましい解決策を選択し 実施する 解決策の有効性を評価する その解決策を日常に取り入れる 計画したプロセスのアウトプットが達成され 要求事項が満たされた場合でも 組織は プロセスのパフォーマンス 顧客満足及び評判の改善を目指すことが望ましい これは 例えば 小さな継続的改善 飛躍的な改善及び / 又は革新によって達成することができる ISO/TC 176/SC 2/N1289 www.iso.org/tc176/sc02/public