英語 ポイント 1 民間の資格 検定試験を用いて4 技能 ( 読む 聞く 書く 話す ) を評価 2 段階別評価 CEFR ( セファール ) を活用 3 大学入学共通テストでは 筆記 ( リーディング ) とリスニングを実施 ポイント 1 民間の資格 検定試験を用いて 4 技能 ( 読む 聞く 書く 話す ) を評価 (1) 英語の民間試験はいつ受けるの? 英語では 他の教科と違い 民間の資格 検定試験も活用します よって 英語に関しては以下の ような形の受験となります 高校 3 年生の 4 月 ~12 月英語の民間試験を 2 回まで受験可 合否判定へ 高校 3 年生の 1 月中旬 大学入学共通テスト受験 英語の民間試験は高校 3 年生の 4 月 ~12 月の間で 2 回まで受けることができ 受験する日程や民間試験も生徒の都合で選ぶことができます また 英語の民間試験と大学入学共通テストについては 2024 年度入試までは各大学の判断で両方を受験させるか どちらか一方のみの受験で可とするか決めることができます 限られた期間 回数の中でより高得点を狙わなければならないため 今まで以上に早い時期からの対策が必要です さらに 2024 年度以降は 英語は大学入学共通テストの英語試験を使用せず 民間試験に全面的に移行するという案が検討されています 国立大学は原則として 全ての受験生に英語の民間試験と大学入学共通テストの両方を課すとし た実施方針を公表しています 東京大学 慶應義塾大学は英語の民間試験の結果を合否判定に使用し ない方針を公表しています
(2)4 技能 ( 読む 聞く 書く 話す ) を評価するってどういうこと? 現行のセンター試験や大学入学共通テストでは 英語の試験は 筆記 ( リーディング ) およびリスニングのみ行います しかしこれだけでは グローバル化が進む現代社会で 英語を使ってコミュニケーションを取る 世界中の人々と仕事をする という様な 将来必要となるであろう英語を話す力を評価することができません したがって 民間試験では必ずスピーキング ( 話す ) テストを実施し 英語の 4 技能 ( 読む 聞く 書く 話す ) を評価することになっています 2018 年 3 月には 文部科学省から大学入学共通テストに関わる民間の資格 検定試験が発表されました ケンブリッジ英語検定 ( ケンブリッジ大学英語検定機構 ) 英検 ( 日本英語検定協会 ) GTEC ( ベネッセコーポレーション ) IELTS ( ブリティッシュ カウンシル IDP:IELTS Australia*) TEAP ( 日本英語検定協会 ) TOEFL ( 米 ETS) TOEIC ( 国際ビジネスコミュニケーション協会 ) 上記の中でも特に注目を集めたのは 英検 ( 日本英語検定協会 ) です 従来型の英検は選ばれず 新型の英検が採用されました 従来型の英検とは 一次試験で筆記試験を行い 合格者のみ二次試験で英問英答の面接を行う形式のことです 今回 採用された新型の英検は 以下の 3 つです 1 英検 2020 2days S-Interview 対象 : 高校 3 年生および浪人生級 :1 級 ~3 級 2019 年度より実施 受験者全員が筆記試験とは別日に面接形式でスピーキングテストを受ける
2 英検 2020 1day S-CBT 対象 : 高校 3 年生および浪人生級 : 準 1 級 ~3 級 2019 年度より実施 受験者全員が筆記試験と同日に録音式 ( コンピュータ端末を利用して音声を録音する形式 ) でスピーキングテストを受ける 3 英検 CBT 対象 : 受験希望者級 :2 級 ~3 級 2018 年度より実施 CBT とは Computer-Based Testing の略で 問題用紙やマークシートなどの紙を使わず コンピュータで受験する方式のテストのこと 受験者全員が録音式でスピーキングテストを受ける 日本英語検定協会は 2018 年 3 月に HP 上で 問題構成や級認定 技能別スコア等において新型の英検は従来型の英検と同じものになる と発表しています 早い時期から英検にチャレンジすることで 高校 3 年生の 4 月 ~12 月の間の 2 回までの成績を大学入試に用いる際にも 高得点を狙うことができるでしょう また 大学への民間の資格 検定試験の成績提供システムに関して 2018 年 12 月に大学入試センターから概要が発表されました 民間の資格 検定試験の受験の際に 大学入試センターからあらかじめ個人ごとに発行された共通 ID を記載することにより 試験実施主体から大学入試センターに受験生の成績が自動的に送付され 大学に成績提供される流れとなります 提供される成績は 各試験のスコア ( バンド表示も含む ) とヨーロッパ言語共通参照枠 (CEFR) の段階別表示 ( 合否がある場合はその合否も ) が基本となります 今回の発表事項における その他のポイントは以下の通りです 高校 3 年生の 4 月 ~12 月の 2 回までの成績が活用されるが この 2 回の資格 検定試験は 2 回とも同種の試験を受験することも 1 回ずつ異なる種類の試験を受験することも可能 試験後に大学への成績提供の対象とする資格 検定試験を選ぶことはできない 共通 ID を記入して受験した後に 大学への成績提供を取り消すことは原則できない 仮に 3 回以上共通 ID を記入して受験した場合には 試験実施日の早い順に 2 件までの試験が有効となり 大学に成績提供が行われる
ポイント 2 段階別評価 CEFR ( セファール ) を活用 (1) 段階別評価とは? 今までの大学入試では 素点 (100 点満点中 点といった一点刻みの点数 ) が合否判定に活用されていました しかし 英語の民間試験では素点と併せて CEFR ( セファール ) で表された段階別評価も大学側に合否判定の材料として送られることになっています CEFR とは Common European Framework of Reference の略で ヨーロッパ言語共通参照枠 と訳します 多くの人と言語が行き交うヨーロッパで 英語を使ったコミュニケーション能力がどの程度あるのかを共通のものさしで示せるように開発されました 今では国際基準となっており A1 A2 B1 B2 C1 C2 の 6 段階に分かれています なお センターが問題を作成する 英語 の試験については 英語 以外の科目と同様に 高校教育を通じて大学教育の基礎として共通に求められる力を身に付けているかどうかを把握することが目的となります 義務教育段階の学習からの連続性を受けつつ コミュニケーション英語 Ⅰ コミュニケーション英語 Ⅱ 英語表現 Ⅰ の科目の範囲からの出題となり CEFR との対応では A1~B1 相当となる予定です 一方で資格 検定試験は 試験の目的に応じて幅広い英語力を把握することが可能です 大学の判断により多様な結果が活用される可能性があることから 大学入試英語成績提供システム を通じて成績提供する範囲も A1~C2 の幅広い範囲が想定されているところです 難度 CEFR 何ができるのか学校教育の目標 高 C2 あらゆる話題を理解して 細かい意味の違いも表現できる C1 B2 B1 複雑な話題を理解して 明瞭で論理的な表現が使える 社会生活上の幅広い話題を理解して 自然な会話ができる 身近な話題を理解して 公共の店などで自分のことを説明できる 高校 A2 日常の基本表現を理解して 簡単なやり取りができる 低 A1 日常の簡単な表現を理解して基本的なやり取りできる 中学校
(2) 英語の民間試験と CEFR との対照表 英語の民間試験でどのくらいの点数が取れたら CEFR はどの段階になるのかを示した対照表を 2018 年 3 月に文部科学省が公表しました ( 文部科学省作成 ) たとえば TOEIC では 1150 点以上 1555 点以下であれば CEFR は B1 という形で認定されます 英検の場合は受験する級によって変わってきますが 英検 CSE というスコアを獲得できなければ CEFR は認定されません 例えば 英検 2 級を受験して英検 CSE が 2000 点だった場合 英検 2 級は合格 CEFR も B1 が認定されます しかし 英検 CSE が 1900 点だった場合 英検 2 級は不合格 CEFR は A2 の範囲内なので A2 が認定されるという結果になります
ポイント 3 大学入学共通テストでは 筆記 ( リーディング ) とリスニングを実施 (1) 筆記 ( リーディング ) におけるセンター試験との違いは? 大学入学共通テストの実施に向けて 試行調査 ( プレテスト ) が実施されています 英語の試行調 査は 2018 年 2 月と 11 月に実施されましたが 現行のセンター試験と大きく変わった点が 2 つありま す 1 読解問題に特化! 現行のセンター試験で扱われているような発音やアクセント 慣用句や語順整序の問題がなくなり 全て英文読解に特化した問題となりました また 英文読解も内容理解だけでなく 英文中から読み取った内容とグラフや表から読み取った内容を照らし合わせるような 複数の資料の情報を整理して解答する問題が多くなりました 2 問題文や指示文も全て英語表記に! 問題全体の語数はセンター試験では 4300 語程度でしたが 今回の試行調査の問題では指示文を含めて 5500 語ほどに増えました 試験時間は現行のセンター試験と変わらないため 今まで以上に英文を読むスピードが求められます 大学入学共通テストの問題を作成する大学入試センターは 2018 年 6 月に試行調査の結果をふまえて問題作成の方向性を発表しました 筆記 ( リーディング ) では テキストを読み事実や意見等を整理する力 テキストの構成を理解する力 テキストの内容を理解して要約する力を問うことをねらいとして作問されます 難度としては CEFR との対応では A1~B1 相当になる予定です (2) リスニング におけるセンター試験との違いは? 2018 年 2 月に行われた試行調査のリスニングでは A: 音声が 2 回流れるもの B: 音声が 2 回 流れる問題と 1 回流れる問題が混ざったもの の二種類で実施されました
1 複数の資料を比較 検討する! 音声を聞き内容を理解するだけではなく 内容を理解した上でグラフや表から必要な情報を読み取 る必要がありました 2 新形式の出題あり! 複数の空欄を埋める問題では 同じ選択肢を何回も選べる新形式の出題がありました 他にも 当 てはまる選択肢を全て選ぶ形式の出題では 正答率も低い傾向となりました 大学入試センターは 2018 年 6 月に試行調査の結果をふまえて問題作成の方向性を発表しました リスニングでは 複数の情報を比較して判断する力や 議論を聞いて要点を把握する力等を問うことをねらいとして作問されます 音声についてはアメリカ英語以外の読み上げ ( イギリス英語や英語を母語としない話者による読み上げ ) も行われます また 2 月の試行調査では 音声の流れ方が A B の二種類ありましたが 今後は B( 音声が 2 回流れるものと 1 回流れるものが混ざったもの ) に統一して作問されます 英語全体として 英語の 4 技能 ( 読む 聞く 書く 話す ) をバランスよく評価することが求められているため 試行調査では筆記 ( リーディング ) リスニングの配点を均等にして実施する予定です 現行のセンター試験では 筆記 ( リーディング ) が 200 点満点 リスニングが 50 点満点だったため 二つの配点が均等になるということは非常に大きな変更点と言えます