レポートについて 1. 課題 以下に記した手順に従って ヒトのヘモグロビンα 鎖タンパク質と酵素タンパク質 trypsin について その一次構造をタンパク質データベースにアクセスして調べ さらにその二次構造と三次構造を ProteinDataBank へアクセスして確認する 以上の経過と結果を いつ どこで調べたかを含めてその過程を記述し さらに検索結果である両タンパク質の一次構造 分子の形 ( 分子の形は画面のコピーでよい ) を記したレポートを作成せよ この二つのタンパク質のはたらきや性質 ( 細胞内で利用されるのか分泌性なのか ) なども考察すること またヒトとの比較の意味で ウシのヘモグロビンα 鎖タンパク質および trypsin についても調べ アミノ酸配列を比較すること ワープロを使って A4 用紙 10 枚程度にまとめてプリントアウトし 表紙を付けて左上をホッチキスで止め 6 月 27 日の講義の時に提出すること この時以外は一切受理しない なお表紙はダウンロードできるようになっている 2. なぜこの課題か大学で学ぶ大きな目的と意義は ある学問体系の中で 何がわかっていて 何がわからないのか わからないことを解き明かすためにはどうしたらよいのか ということ理解して習得することである そのために専門科目では 講義 と実習がペアになっている しかしながらこの 生物学 は講義が中心で実習は組み込まれておらず 講義の中で学生の興味を喚起し 何らかの能動的な学習態度を身に着けさせる必要がある そのため このレポートでは データベースを自分で調べることにより 講義の中で学習したタンパク質 翻訳 ソーティング 酵素 活性中心 異なる動物間での比較 ( 進化 ) といったトピックを関連付けて 理解を深めることを狙っている 知識の網は広がっている 課題だけにとらわれずにリンクをクリックして 様々なことを学んでほしい 3. 具体的な手順まず 課題の項に書いた ヘモグロビンα 鎖 をどう調べるかについて述べる 1) 1
下のアドレスのページへアクセスすると http://www.uniprot.org/ 下の図のような画面のトップページが表示されるので 赤丸で囲まれた欄に半角文字で hemoglobin human と入力し 隣の Search ボタンをクリックする 赤丸の隣の一番左 側の窓の表示が Protein Knowledgebase(UniProtKB) になっていることを確認すること 関連するタンパク質がたくさん表示されるので 最初のページの上から4 番目の P69905 HBA_HUMA を見つける Protein names は Hemoglobin subunit alpha で Gene names は HBA1/HBA2 でヒト (Homo sapiens) 由来 アミノ酸 142 個からなることがわかる 2
P69905 文字をクリックすると このタンパク質の詳細ページへジャンプする このタンパク質についていろいろと書いてあるので Names and origin Protein attributes General annotation をまずよく読む 青文字はリンクが張ってあって 専門用語の解説や さらに関連した情報を得ることができる 続いてページを下にずらしていき Ontologies 欄の Keywords を見る どのような生物学的作用があるか 細胞のどこに存在するかなどとともに Technical term のところに 3D Structure がわかっており 一次配列がすべてわかっていると書かれている Sequence annotation の Molecular processing に 1 番目のメチオニンが読はじめ (initiator methionine) で 2-142 が実際の chain であると書かれている この数字をクリックすると 全アミノ酸配列中の位置が示される Sites には アミノ酸の番号( 位置 ) と鉄を結合するためのヘムの結合部位が示されている また Natural variation がたくさんあることが分かる Secondary strucure のところに Helix Strand Turn とあるが Helix はαへリックスのことであり Strand はβシートを構成する伸びた部分で これが寄り添ってβシート構造をつくる Turn はこれらの二次構造をつなぐ折れ曲がった部分である 次のSequence の項で このタンパク質のアミノ酸配列 ( 一次構造 ) が記述されている 60 アミノ酸ずつ 142 個のアミノ酸が一文字表記で並んでいる FASTA の文字をクリックすると 別ウィンドウでテキストになった配列が示されるので これを以下のようにコピー (CTR-C) すると N 末端の 1 番目のアミノ酸であるメチオニン (M) から 142 番目のアルギニン (R) までを下のように貼り付ける (CTR-V) ことができる MVLSPADKTNVKAAWGKVGAHAGEYGAEALERMFLSFPTTKTYFPHFDLSHGSAQVKGHG KKVADALTNAVAHVDDMPNALSALSDLHAHKLRVDPVNFKLLSHCLLVTLAAHLPAEFTP AVHASLDKFLASVSTVLTSKYR References( 引用文献 ) を飛ばして Cross-References( 引用 ) をみると このタンパク質の遺伝子の情報が書かれている 2) 3D structur databases のところに PDB へのリンクが張られている PDB は世界中の研究者によって決定されたタンパク質の立体構造データが登録されているデータベースで 登録されているデータを PDB ID や単語で検索することができる それぞれのタンパク質に対応して アミノ酸の配列 二次構造の位置 SS 結合 水素結合の位置 それぞれの原 3
子の座標などが記述されたファイルとして登録されている このファイルのデータを Viewer にかけるとタンパク質の立体構造が見えるようになっている タンパク質は結晶にして X 線回折で解析するので ヘモグロビンはヘモグロビンβとともに四量体として示されている ヘモグロビンは良く研究されているので たくさんのデータが集積している とりあえず一番上の 1A00 を選んでみよう 左側にあるデータベースのうち 真ん中の RCSB PDB を選んだ( ラジオボタンをクリックして選択 ) 後 1A00 の文字をクリックすると PDB へ飛んで Summary が表示され 右側に分子の形が表示される 分子の図の左下にある View in Jmol をクリックすると Interactive な Viewer で表示させることができる 途中 検証されていない と出るが構わず Yes を押す 分子の図の中にマウスのポインターを置いて右クリックすると日本語のメニューが現れて いろいろと操作 ( マウスによって分子を回転させたり ) することができる 直接 Interactive な Viewer で見ることもできる 英語に少し疲れたろうから 日本語の PDB ページを表示して そこに PDB 登録番号を入れて見てみよう PDB 登録番号をメモして 次のページへ行くと下の画面になる http://www.pdbj.org/index_j.html 4
上の赤丸の欄内にメモした PDB 登録番号 (1a00) を書き込み 検索ボタンを押すと概要ペ ージが表示される 左にある分子の絵の下に見える 3 次元構造ビューアの Jmol をクリックすると Interactive に分子を見ることができる 次のページに行って 同じように直接登録番号を入れても 分子を見ることができる http://molvis.sdsc.edu/fgij/ こちらのほうがいろいろと設定を変更して見ることができ 自由度が高い ( その分操作が複雑だが ) いろいろ試してみよう 3) さてこれでヒトのヘモグロビンα 鎖タンパク質ついてわかったので 最初のタンパク質データベースのヒトの次にあるウシのヘモグロビンαについても同じような操作をして調べる ウシの場合もアミノ酸の数は 142 個で同じである 両者のアミノ酸の配列を比較してみよう 講義でやったヒトと卵白リゾチームの違いのように 上下に並べてアミノ酸の異同を比較する 4) 次にtrypsin について 同じように上に述べた1) から3) を行う 動物ではここでもウシを選ぶことにする タンパク質データベースのエントリー欄に trypsin-1 human と記入して Search ボタンを押す ウシの場合は trypsin bovine である どちらも一番上の Trypsin-1 と Cationic trypsin を選ぶこと 以上 2012/05/19 作成和田勝 5