EY総研インサイトVol.6

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東証上場会社における独立社外取締役の選任状況及び委員会の設置状況 2017 年 7 月 26 日株式会社東京証券取引所

預金を確保しつつ 資金調達手段も確保する 収益性を示す指標として 営業利益率を採用し 営業利益率の目安となる数値を公表する 株主の皆様への還元については 持続的な成長による配当可能利益の増加により株主還元を増大することを基本とする 具体的な株主還元方針は 持続的な成長と企業価値向上を実現するための投

ための手段を 指名 報酬委員会の設置に限定する必要はない 仮に 現状では 独立社外取締役の適切な関与 助言 が得られてないという指摘があるのならば まず 委員会を設置していない会社において 独立社外取締役の適切な関与 助言 が十分得られていないのか 事実を検証すべきである (2) また 東証一部上場

[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

第 分科会 / 分科会 B 改正会社法等への対応状況と今後の課題 ディスカッションポイント ( 例 ) 参考資料 関西支部監査役スタッフ研究会報告書 改正会社法及びコーポレートガバナンス コードへの対応状況と監査役 監査役スタッフの役割と今後の課題. 監査役会の運営 改正会社法等により監査役会の開催

企業アンケート ( 東証一部 二部の 941 社が回答 ) の結果等のポイント 指名委員会を設置済み 又は設置を検討中 検討予定の企業 : 55% 報酬委員会 : 5 3 ページ参照 社長 CEOの選定 解職の決定に関して監督を行なうことについて 社外取締役が役割を果たしている と回答 した企業 委

コーポレート・ガバナンス基本方針

2019 年 6 月 26 日 各 位 会社名 代表者名 問合せ先 株式会社スターフライヤー代表取締役社長執行役員松石禎己 ( コード番号 :9206 東証第二部 ) 取締役常務執行役員柴田隆 (TEL ) コーポレートガバナンス方針 の改定について 当社は 2019 年 6

コーポレートガバナンス・ガイドライン

1 制定の目的 方針 当社におけるコーポレートガバナンスを向上させるための枠組みである パーク 24 コーポレートガバナンスガイドライン を制定し コーポレートガバナンスの強化 充実に努めることで 当社の中長期的な価値向上と持続的成長を実現する コーポレートガバナンスに対する基本的な考え方公正で透明

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

基本原則

コーポレートガバナンス コードについて 本コードにおいて コーポレートガバナンス とは 会社が 株主をはじめ顧客 従業員 地域社会等の立場を踏まえた上で 透明 公正かつ迅速 果断な意思決定を行うための仕組みを意味する 本コードは 実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめたも

コーポレートガバナンス ガイドライン 2015 年 10 月 27 日制定 2018 年 12 月 13 日改定 大王製紙株式会社 1

第 Ⅰ 章総則 ( 目的 ) 第 1 条本ガイドラインは 群栄化学工業株式会社 ( 以下 当社 という ) が 次に定める 社是 理念 実現のため ステークホルダーと協働して企業価値を向上させ 持続的に発展できるよう より良い経営を実現することを目的とする 2. 当社は GCIグループ基本理念 を制

8. 内部監査部門を設置し 当社グループのコンプライアンスの状況 業務の適正性に関する内部監査を実施する 内部監査部門はその結果を 適宜 監査等委員会及び代表取締役社長に報告するものとする 9. 当社グループの財務報告の適正性の確保に向けた内部統制体制を整備 構築する 10. 取締役及び執行役員は

スライド 1

会計ニュース・フラッシュ

マエザワ CG 基本方針 ( 平成 27 年 12 月 11 日施行 ) 前澤工業株式会社

開示府令改正案(役員報酬の開示拡充へ)

また 代表取締役社長直属の内部監査部門を設置し 法令遵守 内部統制の有効性と効率性 財務内容の適正開示 リスクマネジメントの検証等について 各部門 工場 グループ会社などの監査を定期的に実施し チェック 指導するとともに 監査役との情報共有等の連携を図っております 1-4( 中長期的な経営戦略等 )

コーポレートガバナンスに係る方針 基準等 2018 年 12 月 東急建設株式会社

特に 独立社外取締役の割合を高めることを指向していること 独立社外取締役も指名 報酬委員会において重要な役割を果たすべきとしたこと 取締役会の多様性においてジェンダーや国際性について具体的に言及したことを支持する 対話ガイドラインは 投資家と企業の双方の期待を形成するために有益である 6 7 コード

Institutional Shareholder Services Sumitomo Fudosan Kanda Building 16F 7 Kanda Mitoshirocho Chiyoda-ku, Tokyo T: 各位 2017 年 10

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規則フォーマット

ましい そして 以上のような後継者計画への取組を通じて選ばれた最終候補者が次の社長 CEO として指名されるのであり 後継者計画と後継者の指名とは一体のものとして捉える必要がある 2. 後継者計画の時間軸 後継者計画 ( 特に通常時の後継者計画 ) は 社長 CEO の就任からその交代までを基本的な

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【PDF】コーポレートガバナンス・ガイドライン

定いたします なお 配当の回数は原則として中間配当と期末配当の年 2 回といたします 3 自己株式 当社は 経営環境の変化に機動的に対応し 株主価値の向上に資する財務政策等の経営の諸施策を実行することを可能とするため 市場環境や資本効率等を勘案しながら適宜自己株式を取得いたします (3) 政策保有株

(資料4)運用機関とのコミュニケーションの取り方や情報開示の方法等(案).pdf

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2 政策保有株式に係る議決権行使の基準政策保有株式の議決権行使に当たっては 投資先企業の中長期的な企業価値向上が株主利益への向上にも繋がるものであることを前提とし 株主への還元方針 コーポレートガバナンスや企業の社会的責任への取組み等総合的観点から議決権を行使する (4) 買収防衛策は 経営陣 取締

第 1 章 第 1 条 シャルレコーポレートガバナンス基本方針総則 ( 基本方針 ) 原則 3-1-(ⅰ),3-1-(ⅱ) 当社は 基本理念 及び わたしたちの誓い に基づき お客様 従業員 株主等のステークホルダーの立場を踏まえて 持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し コーポレートガバナ

CGS 研究会 ( 第 2 期 ) の中間整理実効的なコーポレートガバナンスの実現に向けた今後の検討課題 2018 年 5 月 18 日 CGS 研究会 1. はじめに 日本再興戦略 2013 JAPAN is BACK において コーポレートガバナンスを見直し 日本企業を国際競争に勝てる体質に変革

6 当社は 反社会的勢力に対しては一切の関係をもたず 不当要求を受けた場合等の 事案発生時には 総務部を対応統括部署として警察および顧問弁護士等と連携し毅然とした態度で対応する (2) 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制 1 当社は 取締役の職務の執行に関する情報 ( 株主総会議

直しも行う これらの事務については 稟議規程 文書管理規程 契約書取扱規程は管理本部長が所管 情報管理規程 情報セキュリティ管理規程はコンプライアンス推進部長が所管し 運用状況の検証 見直しの経過等 適宜取締役会に報告する なお 業務を効率的に推進するために 業務システムの合理化や IT 化をさらに

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~この方法で政策形成能力のレベルアップが図れます~

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Transform Olympus 真のグローバル・メディカル・テクノロジーカンパニーへの飛躍に向けて

平成 30 年 12 月 20 日 株式会社ディア ライフ コーポレートガバナンス コードに関する当社の取り組み 当社は 迅速 透明かつ健全な経営体制のもと 株主 顧客 取引先 従業員 社会等当社が関わるすべてのステークホルダーの利益を尊重し 良好な関係性を維持することが 当社グループの持続的成長と

コーポレートガバナンス基本方針

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H25見える化 Ⅰ

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「コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み」一部改定に関するお知らせ

内部統制ガイドラインについて 資料

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後の対応に反映させるべく取り組んでおります 補充原則 1-12 上場会社は 総会決議事項の一部を取締役会に委任するよう株主総会に提案するに当たっては 自らの取締役会においてコーポレートガバナンスに関する役割 責務を十分に果たし得るような体制が整っているか否かを考慮すべきである 他方で 上場会社におい

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知創の杜 2016 vol.10

「コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み」一部改定に関するお知らせ

第 2 分科会 / 分科会 B 監査役会の運営 期中監査活動について ディスカッションポイント ( 例 ) 1. グループ討議の要領 グループ討議では 以下 (1)~(7) の事項から各グループそれぞれにおいて取り上げる事項を決め 各社の実例について情報交換を行ってください (1) 会議の運営等に関

求められる経営陣の意識改革(下)〜コーポレートガバナンス・コードの事例分析〜

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< 目的 > 専ら被保険者の利益 にはそぐわない目的で運用が行われるとの懸念を払拭し 運用に対する国民の信頼を高める 運用の多様化 高度化が進む中で 適切にリスクを管理しつつ 機動的な対応を可能に GPIF ガバナンス強化のイメージ ( 案 ) < 方向性 > 1 独任制から合議制への転換基本ポート

独立役員、適時開示に関する東証規則改正案


大和コーポレートガバナンス ガイドライン正式

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議決権行使に係る事務取扱手続

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

コーポレートガバナンスに関する基本方針 第 1 章総則 ( 目的 ) 第 1 条本基本方針は 当社が その企業理念である THE INTAGE GROUP WAY のもと 遵法精神にのっとり健全な事業活動を進めることを通じて 当社の企業価値の向上を実現していくために 当社のコーポレートガバナンスに関

第 3 条 ( 株主総会 ) 1. 当社は 株主総会開催日の適切な設定を含め 株主が適切に権利行使できる環境を整備する 2. 当社は 株主が適切に議決権を行使することができるよう 株主総会の招集通知を遅くとも株主総会開催日の 3 週間前までに発送するとともに 発送に先立って当社ホームページに招集通知

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目次 1. はじめに 問題意識 検討の方向性 CGS レポートの意義 対象 取締役会の在り方 取締役会の役割 機能 各社の経営 取締役会の在り方の整理 モニタリング



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2.MUFG フィデューシャリー デューティー基本方針 MUFG フィデューシャリー デューティー基本方針の策定 公表 MUFG は お客さま本位の取組みの徹底を図るため グループ共通の指針となる MUFG フィデューシャリー デューティー基本方針 を策定 公表します 本方針の下 グループ各社がお客

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説明項目 1. 審査で注目すべき要求事項の変化点 2. 変化点に対応した審査はどうあるべきか 文書化した情報 外部 内部の課題の特定 リスク 機会 関連する利害関係者の特定 プロセスの計画 実施 3. ISO 14001:2015への移行 EMS 適用範囲 リーダーシップ パフォーマンス その他 (

品質マニュアル(サンプル)|株式会社ハピネックス

[2] 研修の対象と予算比率 社員研修を実施している対象は 新入社員研修 が 95.9% で圧倒的に多く 次いで 若手社員研修 81.1% 管理職研修 62.1% と続く 新入社員を含む若手社員を対象とした研修を実施する企業は多いが 次世代経営層を入れても 経営者研修を実施している企業は少ない 年間

5. 政治経済学部 ( 政治行政学科 経済経営学科 ) (1) 学部学科の特色政治経済学部は 政治 経済の各分野を広く俯瞰し 各分野における豊かな専門的知識 理論に裏打ちされた実学的 実践的視点を育成する ことを教育の目標としており 政治 経済の各分野を広く見渡す視点 そして 実践につながる知識理論

資料4-4 新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について 審議のまとめ(参考資料)

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平成18年度標準調査票

4. icd 取組みの効果及び今後予定する効果内容 4.1. 効果のあった項目効果内容 お客様への価値提供に向けた人財在庫見える化 事業 ( 業種 ) 別戦略の高度化 経営の PDCA と連動した人財育成 経営戦略に必要な役割を定義し 人財在庫を見える化することで 経営の意思である お客様への価値提

原則 1-1. 株主の権利の確保 上場会社は 株主総会における議決権をはじめとする株主の権利が実質的に確保されるよう 適切な対応を行うべきである 当社は 全ての株主が その権利行使が実質的に確保されるよう配慮するとともに 議決権行使や対話を促進する環境整備に努めております 補充原則 1-11 取締役

業活動を行う上で関わる顧客をはじめとするすべてのステークホルダーとの良好なネットワークおよび関係を構築 維持することが大切であると考えます そのために 以下のコーポレートガバナンス コードにおける基本的な考え方に則って コーポレート ガバナンスの充実に取り組みます (1) 株主の権利を尊重し 平等性

_コーポレートガバナンス基本方針

5) 輸送の安全に関する教育及び研修に関する具体的な計画を策定し これを適確に実施する こと ( 輸送の安全に関する目標 ) 第 5 条前条に掲げる方針に基づき 目標を策定する ( 輸送の安全に関する計画 ) 第 6 条前条に掲げる目標を達成し 輸送の安全に関する重点施策に応じて 輸送の安全を確 保

第三者による品質証明制度について 参考資料 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

かつ的確に提供するなど議決権行使の環境整備に努め 株主の平等性確保に向けた取組みを進める また 株主による違法行為の差止め 代表訴訟提起等 議決権行使以外の株主の権利にも配慮し それらの権利が適切に行使されるよう配慮する (2) 株主以外のステークホルダーとの適切な協働安全と快適を提供する自動車部品

また 取締役の解任提案にあたっては 次の事項を踏まえた上で取締役会の決議により決定します 1 重大な法令 定款違反行為を行った場合 2 重大な心身の故障等により 長期間にわたり職務の継続が困難と判断された場合 3 職務への著しい不適任により 著しく企業価値を毀損させた場合なお CEO を解任する場合

第 3 章 保険募集管理態勢の整備と内部監査 法令等遵守態勢の確認検査用チェックリスト とは別に 保険募集管理態勢の確認検査用チェックリスト により検証する構成がとられています これは 保険募集に関する法令等遵守の重要性が高く また 着目すべきポイントが多岐に渡っていることを反映したものとも考えられ

別紙 東亞合成グループコーポレートガバナンス基本方針制定 2016 年 2 月 4 日改正 2017 年 3 月 30 日改正 2018 年 12 月 19 日 第 1 章総則 第 1 条 ( コーポレートガバナンスの基本的な考え方 ) 1 当社グループは 素材と機能の可能性を追求し 化学の力で新し

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Stewardship2017

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有価証券上場規程の一部改正新旧対照表 新旧第 4 章の2 企業行動規範等第 4 章の2 企業行動規範 ( 企業行動規範等 ) ( 企業行動規範 ) 第 12 条の2 上場会社は 別添 企業行動規範第 12 条の2 上場会社は 別添 企業行動規範に関する規則 及び コーポレートガバナンス に関する規則

平成18年度標準調査票

安全管理規程

Transcription:

レポート はじめに :CG コードとサクセッションプラン 近時 社外取締役や役員選任の諮問委員会が関与し た経営者交代の事例が相次いだこともあり サクセッ ションプラン ( 後継者計画 ) に対する注目度が高まって いる これにつきコーポレートガバナンス コード ( 以下 CGコード ) には以下の記載がある 補充原則 4-13 取締役会は 会社の目指すところ ( 経営理念等 ) や具体的な経営戦略を踏まえ 最高経営責任者等の後継者の計画 ( プランニング ) について適切に監督を行うべきである 上記原則によると CG コードがサクセッションプラン に求めるポイントは二つある 一つは 経営理念や経 EY 総合研究所主席研究員藤島裕三 営戦略を踏まえること もう一つは 取締役会が適切に監督すること である EY 総合研究所はポスト CG コード対応の主要テーマとして < 表 1>を提言 1 しているが この中で前者は 6 役員のトレーニング で扱うべき問題 後者は 4 報酬 指名に関する諮問委員会 で検討すべき問題として それぞれ整理することが可能である 以下 CGコードが求めるサクセッションプランの在り方について若干の考察を試みる サクセッションプランの構造 サクセッションプランを構成する要素としては 候補者 ( 後継者予備軍 ) の育成 と 候補者の絞り込み 後継者の指名 による 大きく二つのステップが考えられる これら二つのステップに対して CGコードが求める機能 役割を確認すると 以下のようなイメージを得ることができる < 図 1> ここで注意が必要なのは CGコードが上記の各原則において取締役会に求めているのは 最高経営責任者等の後継者を 選任 することではなく あくまでも 監督 としている点である もちろん各社特有の考え方や置かれた状況などによっては 一連のプロセスを独立社外取締役が主導することも十分に想定し得るが 少なくとも一般的なケースとしては 現任の最高経営責任者はじめ経営陣の責務と捉えるべきと思料される 36 EY Institute

86.1% 東証調査による CG コード補充原則 4-13( 後継者計画の監督 ) の実施 比率 (2015 年 12 月末 ) ただし開示が要求されていない事項のため コンプライのレベル感には相当な格差があると見られる 表 1 ポストCGコード対応のテーマ 実効性を高める 1 資本政策 2 役員報酬 3 取締役会の機能の見直し 攻めのガバナンス ( 社外取締役の活躍促進を含む ) ( 企業価値向上 ) 4 報酬 指名に関する諮問委員会 5 取締役会の実効性向上のための 分析 評価 6 役員のトレーニング 7 8 株主の理解を得る 政策保有株式に関する検証株主 ( 特に機関投資家 ) との対話 守りのガバナンス ( 不祥事防止 ) 9 10 11 外部監査人の評価基準監査役監査 内部監査体制の検証 再構築グループガバナンス リスクマネジメントの構築 出典 : EY 総合研究所作成 図 1 サクセッションプランの構造と CG コードの要求 候補者 ( 後継者予備軍 ) の育成 ( 主要なポイント ) 経営理念などの高度な共有 上場会社役員としての資質 経営者としての経験 ( スキル ) 監督 候補者の絞り込み 後継者の指名 ( 主要なポイント ) 説得力のある実績の裏付け 資質と戦略方向性との相性 経営者としての熱意 ( パトス ) 監督 C G 原則 4-14 役員トレーニング 対応が適切か否かの取締役会による確認 補充原則 4-101 報酬 指名の諮問委員会 独立社外取締役の適切な関与 助言 補充原則 4-13 最高経営責任者等の後継者計画 ( プランニング ) 会社の経営理念や経営戦略を踏まえた 取締役会による適切な監督 出典 : EY 総合研究所作成 EY Vol.6 June 2016 37

候補者 ( 後継者予備軍 ) の育成 経営理念などの高度な共有 原則 4-14. 取締役 監査役のトレーニング 新任者をはじめとする取締役 監査役は 上場会社の重要な統治機関の一翼を担う者として期待される役割 責務を適切に果たすため その役割 責務に係る理解を深めるとともに 必要な知識の習得や適切な更新等の研鑽に努めるべきである このため 上場会社は 個々の取締役 監査役に適合したトレーニングの機会の提供 斡旋やその費用の支援を行うべきであり 取締役会は こうした対応が適切にとられているか否かを確認すべきである CGコードは上記原則において サクセッションプランを意識した特段の記載はしていない しかしわが国企業の慣行において 取締役 は大部分が業務執行者であること 執行役員や管理職などから連続した人事体しょうへい系であること また社外から経営トップを招聘するのがまれであること などを勘案すると 役員トレーニングにサクセッションプランを意識した内容を盛り込むことは 現実に即した有用な取り組みだと言えよう 以下 役員トレーニングがサクセッションプランとして適切な内容を備えているかについて 取締役会が確認する際 重要と考えられるポイントを列挙する 全ての役職員に対して経営理念は共有されなければならないが こと最高経営責任者等の後継者となれば単に理解 実践するのみならず 経営理念に従って戦略的な方向付けを行うこと 時には理念自体を論じることが求められる より深いレベルで経営理念が理解され 各自の業務執行に根差したものなることが求められよう 上場会社役員としての資質業務執行取締役や執行役員など現場の責任者レベルでは 担当部門の部分最適に陥りがちなケースも少なくない グループ全体最適の視点を培うためには コーポレートファイナンスに代表される 経営分析 管理に関する知見に通じていることが望ましい 経営者としての経験 ( スキル ) いかに多くのレクチャーを受け ワークショップをこなしても 責任の伴った経営者としての生きた経験に勝るものはない 小さい組織でも経営意思決定が要求される地位 あるいは経営トップの意思決定をサポートする役職など 相応の段階で一通りの経験を積めるよう 人材育成を狙った戦略的なローテーションも検討すべきである 38 EY Institute

候補者の絞り込み 後継者の指名 説得力のある実績の裏付け 補充原則 4-101 上場会社が監査役会設置会社または監査等委員会設置会社であって 独立社外取締役が取締役会の過半数に達していない場合には 経営陣幹部 取締役の指名 報酬などに係る取締役会の機能の独立性 客観性と説明責任を強化するため 例えば 取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする任意の諮問委員会を設置することなどにより 指名 報酬などの特に重要な事項に関する検討に当たり独立社外取締役の適切な関与 助言を得るべきである CGコードは上記原則において 指名に関する任意の諮問委員会を必ず設置せよと言っている訳ではない あくまでも委員会は 例えば の仕組みであって 要求しているのは 独立社外取締役の適切な関与 助言 を得ることである 候補者を絞り込み後継者を指名する際に求められるのは 社内の事情 ( 人事情報など ) に必ずしも通じていない独立社外取締役が納得できるような 必要かつ十分な人選の理由および判断材料について 現任の最高経営責任者はじめ経営陣が提供することに尽きる 以下 候補者を絞り込み 後継者を指名するプロセスにおいて 独立社外取締役が適切に関与 助言する際 重要と考えられる判断材料のポイントを列挙する 当然のことながら最高経営責任者を選ぶ以上 当人が社内外から認められる人材でなければならない そのためには当該候補者がどのような職務上の課題を与えられ それをどのように達成したのか 他の候補者と比較して何が優れていたのか などにつき客観的な論拠 ( エビデンス ) を伴って説明することが不可欠である 資質と戦略方向性との相性自身の担当分野では高パフォーマンスを発揮できても さまざまな事業および業務を抱合した企業グループを統率するためには 全社戦略の方向性に優れて合致した資質を備えていなければならない 経営理念や外部環境を踏まえ 事業戦略が攻め重視か守り重視か 組織戦略が多角化か再編か など成長ステージに合致した人選であるべきだろう 経営者としての熱意 ( パトス ) いかに実績および資質で申し分ない人材であっても 最終的に経営トップを任せられるかどうかの判断は 全社を統率するリーダーシップ能力にかかっていよう リーダーシップの源泉は人それぞれ異なる面もあるが 大きな決定要因に経営者としての熱意 ( パトス ) があることに疑いはない そのような熱意が伝わるような機会も必要ではないか EY 総研インサイト Vol.6 June 2016 39

おわりに : サクセッションプランと取締役会の機能 持続的に企業価値を高めていくため サクセッションプランは非常に重要な意味を持っている 欧米の先進的な企業においては 早期から後継者予備軍の育成プログラムを開始 候補者を選抜するプロセスを確立している事例が見られる しかし わが国企業に同様の手法を持ち込もうとしても 人事政策や慣習の違いから機能しない可能性がある そもそも事が 人材 に関わるだけに 細心の注意を払う必要があることは 論をまたない 候補者ラインアップを取締役会で共有することなどでプロセスの透明性を高めることも有効だろうが まずは役員トレーニングの一環として候補者 ( 後継者予備軍 ) の育成を進め 指名の任意委員会などによって候補者の絞り込み 後継者の指名に客観性を持たせることで サクセッションプラン全体の妥当性は相応に担保できるだろう さらに究極的には 業務執行に対して取締役会が適切な監督を行っていること すなわちPDCAサイクルが確立していれば 企業の戦略的な方向付けを実現するためという視点から 後継者に求められる資質は導出されるだろう また各業務執行責任者に対する正当な業績評価も可能となることから 後継者候補はおのずと見えてくるものではないのか その意味では< 表 1>で示した 3 取締役会の機能の見直し 2 こそが 真に望ましいサクセッションプラン像を構築するための 最も重要な前提と言えるのかもしれない そして各社に特有の 取締役会の機能 を考察する端緒として 5 取締役会の実効性向上のための分析 評価 3 を活用することが望ましいだろう 以上 1 シリーズ : 企業価値向上のためのコーポレートガバナンス ~ ポスト CG コード時代に求められる企業の対応 ( 総論 )~ 参照 http://eyi.eyjapan.jp/knowledge/future-businessmanagement/2016-03-10-01.html 2 シリーズ : 企業価値向上のためのコーポレートガバナンス取締役会が担うべき監督機能とは?~ 欧米企業のベスト プラクティスを踏まえて 参照 http://eyi.eyjapan.jp/knowledge/ future-business-management/2016-03-10-02.html 3 シリーズ : 企業価値向上のためのコーポレートガバナンス取締役会評価の 前提と実践 に関する実務面の検討 参照 http://eyi.eyjapan.jp/knowledge/future-businessmanagement/2016-04-06.html 40 EY Institute