付録 3( 資料 2-1-2) LNG 推進系の設計変更に伴う ロケットの事業性への影響について 2006 年 10 月 13 日石川島播磨重工業株式会社航空宇宙事業本部本部長渡辺康之
PRSS 1. ロケットの目的 本プロジェクト (ロケット) の目的は 国際市場で競合し得る 高性能で安く 信頼性の高い商用ロケットを開発し事業化すること である 1
PRSS 2. ロケット実施体制 (1) 事業実施体制 ギャラクシーエクスプレスを設立し 6 社 (IHI IA JA KHI FHI MC) による共同作業を実施し JAXA 殿と連携協力して開発を進める 事業実施責任者 近田哲夫 キ ャラクシーエクスフ レス社長 ギャラクシーエクスプレス (GALX) 全体事業計画の立案 推進 国内外市場マーケティング 打上げサービス提供等に係る技術 営業活動の実施 三菱商事 (MC) プログラム責任者 渡辺康之 石川島播磨重工業常務執行役員 石川島播磨重工 (IHI) システムインテグレーション ロケットシステムの開発 製造に責任 ( 宇宙開発で実績ある企業並びに米国の協力を得て実施 ) 石川島播磨重工 (IHI) アイ エイチ アイエアロスペース (IA) 日本航空電子工業 (JA) 川崎重工 (KHI) 富士重工 (FHI) NC 東芝スペース (NTS) ロッキードマーチン (LM) 三菱スペースソフトウェア (MSS) 2
PRSS 2. ロケット実施体制 (2) 開発実施体制 プログラム開発総責任者 LNG プログラム 石川島播磨重工業 ( 株 ) 常務執行役員航空宇宙事業本部長渡辺康之 JAXA 宇宙基幹システム本部宇宙輸送プログラム推進室長 渡辺康之 プログラムリーダ / プロジェクトマネージャ IHI 理事宇宙開発事業推進部長川崎和憲 川崎和憲 LNG 推進系飛行実証プロジェクト システムインテグレーション 安全評価 JAXA LNG プロジェクトチームプロジェクトマネージャ 牧野隆 IHI 宇宙開発事業推進部プロジェクトグループ部長牧野隆 IHI 宇宙開発事業推進部 ( 安全評価担当 ) アビオニクス 飛行ソフトウェア ペイロードフェアリング 1/2 段段間部 IHI 宇宙開発事業推進部 IHI 宇宙開発事業推進部 KHI 航空宇宙カンパニー宇宙 民間航空機設計部 FHI 航空宇宙カンパニー技術開発センター第 2 技術部 アビオニクス ( 誘導制御系機器 ) アビオニクス ( 電力系 ) 打上運用システム 1 段 JA 航機事業部第 1 技術部 IA 宇宙技術部 IHI 宇宙開発事業推進部 LM 3
PRSS 3.LNG 推進系設計変更の影響 仕様の変更等 複合材推薬タンクの不適合によりタンクを金属タンクに変更し 合わせて推薬供給方式を ガス押し方式 から ブーストポンプ方式 に変更する 変更前 変更後 備考 打上げ能力 ( 目標 ) 低軌道 ( 軌道傾斜角 30 ): 4.4 トン 太陽同期軌道 ( 軌道高度 800km): 2.0 トン 主な仕様 推進薬 : 液化酸素 / 液化天然ガス 推進薬 : 液化酸素 / 液化天然ガス タンク :FRP クラスタタンク 推進薬供給方式 : ガス押し式 有効推進薬重量 : 約 10 トン タンク : 金属タンデムタンク 推進薬供給方式 : ブーストポンプ方式 有効推進薬重量 : 約 17 トン ガス押し式の燃焼器の技術を継承 既存 H-2A ポンプを改修 ATLAS ロケット実績範囲で大型化 4
PRSS 3.LNG 推進系設計変更の影響 信頼性 ブーストポンプ方式への変更に伴い 部品構成は若干複雑になったが 主要構成機器であるブーストポンプは H-ⅡAで使用されているターボポンプであり 高い信頼性を有する その他の構成機器も実績のあるものを使用しており LNG 推進系全体としても高い信頼性を確保出来る 性能 LNG 推進系として所定の性能を確保することで全体ロケットシステムの性能は確保される 市場競争力の確保 本変更に伴うLNG 推進系のコスト増に対しては 今後生産における習熟 ( ラーニング ) の加速やValue ngineering 等コストダウン活動を推進することにより 市場競争力を確保出来ると考えている 5
PRSS 4. 市場の状況および事業性 1. 国内外の市場において 中型衛星需要は今後拡大基調にあり ロケットは そのニーズに対応できると考えている 国内においては JAXA 殿計画の 防災 危機管理及び 地球環境監視に供される中 小型衛星が ロケットの対象である 海外では Globalstar Iridium の後継 その他 リモートセンシング用中型衛星が ロケットの対象である 2. ロケットは 中型ロケット分野を狙ったもので 競合するデルタ 2 型ロケットとも価格面において 十分競争力を有している 3. 打上の実績を積むことにより 商業打上に関しては 共同事業に参画しているロッキードマーチン社 (LM 社 ) のラインアップの一つとして 同社の子会社である ILS 社 (International Launch Services 社 ) が受注活動を行うこととなっている これにより 海外 特に米国の衛星を取り込むことも可能となる 4. 製造については 習熟 ( ラーニング ) の加速及び Value ngineering 等のコストダウンを進めることにより 必要な利益を確保出来る見通しである 6
PRSS 5. 平成 22 年度 LNG 推進系を含む全てのサブシステムの開発完了及びロケット GTV 着手の必要性について 本プロジェクトは事業開始時の初号機打上げ時期から 既に 4 年遅れており 中小型衛星顧客の信頼 信用の確保が緊急の課題である 平成 22 年度を目途に LNG 推進系を含む全てのサブシステムの開発を完了し ロケットの GTV( 地上での組立試験 ) に着手することが重要と考えている 7
PRSS 6. 結論 ロケットプロジェクトとしては LNG 推進系の設計変更があったものの 初期の目的を達成出来る見込みである ロケット事業を成功させるため 平成 22 年度を目途に LNG 推進系を含む全てのサブシステムの開発を完了し ロケットの GTV( 地上での組立試験 ) に着手し その後 速やかに打上げ実証を行うことをお願いしたい 8
PRSS 参考資料 ロケット仕様 ( 開発目標 ) 打上能力 低軌道 : 4.4 トン ( 高度 200km) 太陽同期軌道 :2 トン ( 高度 800km) 打上射場 種子島宇宙センター 主要諸元 推進系 全長 : 48 m フェアリンク 直径 : 3.3m 4m(TBD) 総重量 : 約 210 トン 1 段 : 液体酸素 / ケロシン 2 段 : 液体酸素 / 液化天然ガス (LNG) フェアリング ( 既存国内技術 ) 2 段 ( 新規開発 ) 1 段 ( 既存技術 ) 注 1) 試験機 1 号機打上能力 : 東打ち高度 200km で 4.4 トン太陽同期軌道高度 500km で 1.8 トン注 2) 試験機 2 号機については 打上能力向上のため 再着火実証を JAXA に要請しております 9