JCFI News Letter 一般社団法人日本線維筋痛症学会 http://jcfi.jp/ Vol.3-5 緊急増刊号 2014.4.10 発行 : 一般社団法人日本線維筋痛症学会本紙を許可なく転載することは固くお断りいたします 緊急実施 子宮頸がんワクチン接種後 副反応調査のお願い 一般社団法人日本線維筋痛症学会理事長西岡久寿樹 線維筋痛症患者様の発症年齢は 40~50 歳にそのピークがあり 若年層での有病率はわずか 4.8% です しかしながら この 2~3 年で若年性線維筋痛症の患者様が増加し 環境分離 家族分離などで症状が改善せず また 薬物療法でも効果がみられない激しい筋肉痛や関節炎 神経障害などの多彩な症状が出現した患者様が認められています この患者様の共通の引き金として子宮頸がん ( ヒトパピローマウィルス :HPV) ワクチンの接種があり 接種後症状が出現していることが明らかになりました これを受けて本学会では 若年性線維筋痛症患者様の症状の実態を把握するため 臨床系の理事を中心に 2 月下旬より子宮頸がんワクチン副反応の予備調査を約 1 か月間実施したところ 96 例中 13 例に子宮頸がんワクチン接種後に 激しい疼痛 中枢神経障害 免疫異常 関節炎などの線維筋痛症様症状とは異なる多彩な症状を呈している可能性強いという結果が得られました この患者様の中には脳炎などの重篤な病状も認められています この結果を受け 本学会理事会で緊急持ち回り審議を行い 学会ネットワーク医療機関 学会員所属医療機関を中心に子宮頸がんワクチン接種後副反応の全国調査を実施することとし また 本調査の実施に関わる実施要綱 患者同意書 調査書などは 5 月には臨床系医師の学会員の方々に配布し 調査を開始する予定です また 基礎系の学会員の方々には 病態 病因の解明 解析の面からのサポートをお願いします ワクチン接種後の激しい疼痛を主症状とする副反応の症状は線維筋痛症の病態解明にも大きな意味を持っているものと思われますので 疼痛ケアのエキスパートである学会員の方々におかれましては何卒ご協力のほどお願いいたします JCFI News Letter Vol3-5 緊急増刊号, 1
子宮頸がん HPV( ヒトパピローマウィルス ) ワクチン接種後副反応について 子宮頸がん (HPV: ヒトパピローマウィルス ) ワクチン接種は 予防接種法に基づき 2011 年より公費助成対象となり 11~14 歳までの女児に対して優先的に接種を推奨することが定められました また 公費助成対象外ではあるが 15~45 歳までの女性に対しても接種を推進することも申し合わされている このため全国各地の小中学校では対象年齢の女児に対して HPV ワクチン接種を勧め 284 万人 (2013 年 3 月企業調べ ) の女児が接種をしています HPV ワクチンは 厚生労働省から出ているリーフレット ( 平成 25 年 6 月版 ) にもあるように すべての子宮頸がんワクチンを予防できるわけではなく 予防接種をしても毎年定期的に健診を受ける必要があります しかしながら HPV ワクチン接種を推奨するにあたり このことを対象年齢の女児やその家族に対して周知がされておらず ほとんどの対象年齢の女児やその家族は 予防接種をすれば一生子宮頸がんにかからない と理解しているのが現状です ところが The Lancet に掲載されている論文 (AB Moscicki, S Shiboski,et.al: The LANCET 356(6):1678-1683, 2004) にもあるように HPV は感染しても 90% は体内から自然排出され 10% が HPV に移行します しかし その 10% のうちの 90% は自然治癒することがわかっており 残りの 10% も早期検診により発見し 治療を開始すれば治癒することも明らかにされています この点はすでに 1 年前に国会でも審議されています HPV ワクチン接種による副反応は様々なものがあるが そのほとんどが線維筋痛症様の全身疼痛性であり HPV ワクチン接種後副反応との関係はほとんど考えずに医師が線維筋痛症と診断し専門医を紹介しています 本学会では予備調査を理事が在職している数か所の医療機関で 2 月 20 日 ~3 月 20 日までの 1 か月間実施しました この結果 若年性線維筋痛症患者で治療に対して抵抗性を示していた患者のほとんどに子宮頸がんワクチン接種の既往があり また その症状は接種後出現していたことが明らかになりました 一方では前述したように 線維筋痛症の発症のメカニズムを解明する可能性もあり 極めて重要な学問としての意義があります 同時に 本学会の義務として ワクチン接種との因果関係を明確にする k とも重要な社会的役割だと考えています その一因となっているのがワクチン副反応部会が発表した 心因説 であり これはかつて 線維筋痛症が心因反応であるといった不毛な議論と同様です 当学会はこの点についても明確にすることが社会的義務であると考えています JCFI News Letter Vol3-5 緊急増刊号, 2
子宮頸がん HPV( ヒトパピローマウィルス ) ヒトの皮膚や粘膜に存在するウィルス 100 種類以上の型があり ハイリスク型とローリスク型に分かれ 子宮頸がんはハイリスク型から発症 16 型 18 型が子宮頸がんの約 60~70% 関係しているといわれている 女性の約 80% が一生に 1 度は感染するが ほとんどの場合一過性で症状は出現しない 感染は非常に一般的で子宮頸がんの発症はごく稀 1 年以内に 70% 2 年以内に約 90% が消失 発癌性のあるハイリスク型から 通常 10 年以上 平均 20 年程度かけて発症 定期的に検診を受け 早期発見をすれば治療 ( 治癒 ) が可能 子宮頸がんワクチン接種後も定期的な検診は必要 A-N Moscicki, S Shiboski,et.al: The LANCET 356(6):1678-1683, 2004 特性 諸外国 HPV16 型 18 型の感染を予防 感染前の接種が有効 約 100 か国以上の国で 9~16 歳の女児を対象に優先的に接種を推奨 2 種類 ( サーバリックス ガーダシル ) の薬剤が認可されている 11~14 歳の女児を対象に優先的に接種を推奨 本邦 15~45 歳までの女性に接種を推進 ワクチンはすべての発癌性 HPV 感染を予防できないことから 接種後も定期的な検診が必要とされている JCFI News Letter Vol3-5 緊急増刊号, 3
ASIA( アジュバントに誘発された自己免疫症候群 ) とワクチン接種副反応について ASIA(Autoimmune/Inflammatory syndrome induced by adjuvants) とは イスラエルの自己免疫学者である Prof. Yehuda Shoenfeld (Zabludowicz Center for Autoimmune Diseases, Sheba Medical Center, Affiliated to Tel-Aviv University) により 2011 年に提唱された症候群です Prof. Yehuda Shoenfeld は シリコノーシス 湾岸戦争症候群 (GWS) マクロファージ筋膜炎症候群 (MMF) ワクチン接種後事象の 4 つの病状が アジュバントへの暴露に関連し 線維筋痛症様の全身疼痛 うつ病などのメンタル異常などの臨床症状を示していることを明らかにし これを ASIA と称する共通の症候群としてまとめるべきであると提唱しました ASIA は 湾岸戦争の際に湾岸地域に配備されなかった兵士が重度の疲労 認知障害 筋肉痛 関節痛の症状に苦しんでいることが明らかになったことから研究を進め アジュバントによって自己免疫異常が誘発されることが解明されたことから提唱されたものです この誘因となるアジュバントで最も一般的なものは シリコンインプラントと子宮頸がんを含む多くのワクチンに広範囲に使用されているアルミニウムです 子宮頸がんワクチンを含む多くの予防接種の副反応は このアジュバントとして広範囲に使用されているアルミニウムが自己免疫に何らかの作用をし 自己免疫異常を発生させている可能性があります 本学会では 9 月 13 日 ~14 日に長野で開催される第 6 回学術集会 ( 浦野房三学会長 ) にて ASIA を提唱した Prof. Yehuda Shoenfeld を招聘し ASIA について解説していただき ワクチン接種後の CPRS や線維筋痛症 脳内炎症などの具体的な症例をもとに検討会を予定しています C Perricone, S Colafrancesco, et.al: Journal of Autoimmunity http://dx.doi.org/10.1016/j.jaut.2013.10.2004 JCFI News Letter Vol3-5 緊急増刊号, 4
ASIA( アジュバントに誘発された自己免疫症候群 ) 定義と診断基準 定義 アジュバント アルミニウムがもたらす自己免疫障害 自己免疫疾患として完全には特徴づけられないが アジュバントと反応する可能性のある物質により免疫系が慢性的に刺激され誘発される病状を含む 慢性的な刺激により 疲労 関節炎 筋肉痛 神経症状などの徴候や症状が出現する 特定のいくつかのアジュバントが ASIA を誘発する アジュバントの中で最も古くから使われているのがアルミニウムである アルミニウムは 現時点では最も安価で有効なアジュバントといえる 上記の理由からワクチン開発を始め 日常生活で使用する備品の多くに使用されている 神経症状を伴う重度の筋肉痛 認知障害 めまい 集中不能 睡眠不良などの原因としてアルミニウムが筋肉に付着し マクロファージを介して筋肉から様々な臓器に移動し 血液脳関門を通過することが実証されている 診断基準 主要基準 (Major Criteria) 臨床症状発現前の外的な刺激 ( 感染 ワクチン シリコン アジュバント ) による暴露 典型的な 臨床症状の発現 副次基準 (Minor Criteria) 筋痛 筋炎 あるいは筋力低下 関節痛あるいは関節炎 慢性疲労 爽快でない睡眠あるいは睡眠障害 神経症状 ( 特に脱髄に関連した症状 ) 認知障害 記憶喪失 発熱 口腔乾燥 刺激物質の除去による改善 関連した臓器の典型的な生検 自己抗体あるいはアジュバント関連抗体の示唆 他の臨床症状 ( 過敏性腸症候群など ) 特異的な HLA(HLA DRB1 HLA DQB1 など ) 自己免疫疾患の進展 ( 多発性硬化症, 全身性強皮症など )JCFI News Letter Vol3-5 緊急増刊号, 5