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表 3 TABLE 3 線量係数 DOSE COEFFICIENTS (msv/bq) (a) 年齢グループ Age Group 放射性核種 3ヶ月 1 歳 5 歳 10 歳 15 歳 成人 Radionuclide 3 month 1 year 5 year 10 years 15 years A

東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故直後の平成 23 年 3 月 17 日には 原子力安全委員会の示した指標値を暫定規制値として設定し 対応を行ってきました 平成 24 年 4 月 1 日からは 厚生労働省薬事 食品衛生審議会などでの議論を踏まえて設定した基準値に基づき対応を行っています 食品

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放射線とは 物質を通過する高速の粒子 高いエネルギーの電磁波高いエネルギの電磁波 アルファ (α) 線 ヘリウムと同じ原子核の流れ薄い紙 1 枚程度で遮ることができるが エネルギーは高い ベータ (β) 線 電子の流れ薄いアルミニウム板で遮ることができる ガンマ (γ) 線 / エックス (X) 線

食品と放射能 Q&A 参考 日常生活と放射線 ( 単位 :msv( ミリシーベルト )) CT スキャン (1 回 ) 胃の X 線集団検診 (1 回 ) 東京 ニューヨーク航空機旅行 ( 片道 ) 500Bq/kg の放射性セシウム 137( 野菜 穀類等の暫定規制値 ) が検出された飲食物を 1

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q/kg乳幼児用その他 IV. 各国 国際機関における規制 基準値. 日本における規制 基準値 20 年 2 月末日の日本が適用している規制値 ( 暫定規制値 ) を以下に示す これは 原子力安全委員会が 原子力発電所事故等を想定した 原子力施設等の防災対策について 中で示している 飲食物摂取制限に関する指標 に食品衛生法のもとで規制されている 46 表 IV- 日本における食品中の放射性物質の規制値 ( 暫定規制値 ) 放射性核種食品 ( 原典分類 ) B穀物類魚介類乳製品野菜類肉類卵水放射性ヨウ素 放射性セシウム ウラン プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種 飲料水 300 牛乳 乳製品 300 野菜類 2000 魚介類 2000 飲料水 200 牛乳 乳製品 200 野菜類 穀類 肉 卵 魚 その他 乳児用食品 20 飲料水 20 牛乳 乳製品 20 野菜類 00 穀類 00 肉 卵 魚 その他 00 乳児用食品 飲料水 牛乳 乳製品 野菜類 0 穀類 0 肉 卵 魚 その他 0 コラム 暫定規制値と基準値 暫定規制値と基準値は いずれも食品衛生法にかかわるが 基づく条文が異なっている 暫定規制値 provisional regulation values 基準値 standards 原子力安全委員会が 原子力発電所事故等を想定した 原子力施設の防災対策について 中で示している 飲食物摂取制限に関する指標 に基づいて 食品衛生法第 6 条第 2 号にあたるものとして 販売あるいは 販売するために採取 製造 輸入 加工 使用 調理 貯蔵 陳列を規制する値 ( 注 : 暫定基準値 は誤り) 食品衛生法第 条において定める規制のための値で 基準値 という 厚生労働大臣が 公衆衛生の見地から 薬事 食品衛生審議会の意見を聴いて 販売の用に供する食品若しくは添加物の製造 加工 使用 調理若しくは保存の方法につき基準を定め 又は販売の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めたもの 46 食安発 037 第 3 号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知各都道府県知事 保健所設置市長 特別区長宛 放射能汚染された食品の取り扱いについて 平成 23 年 3 月 7 日 60

以下 厚生労働省の資料 47 より抜粋した暫定規制値の設定に関する説明を示す 食品衛生法に基づく放射性物質に関する暫定規制値の設定は 以下のような考え方により実施されている () 食品からの被ばくに対する年間の介入線量レベル (=5mSv/ 年 )( 注 ) を設定し 2これを食品カテゴリーごとに割り当て (=5カテゴリーごとに各々 msv/ 年 ) たうえで 3 日本人の平均的な食生活を前提とした摂取量 ( 例 : 成人の飲料水であれば.65L/ 日 ) により 年間摂取し続けるに際し 当該食品が全て同様な濃度で汚染されているものとした場合 ( 注 2) に 設定した線量レベル (= 食品カテゴリーごとに msv/ 年 ) を超えないような限度値 (Bq/kg) を算定する ( 注 ) ICRP の Pub.40(984) において 事故後の飲食物摂取制限に関する介入レベルを実効線量 5mSv~50mSv/ 年の間とすべきとしていることを踏まえ 原子力安全委員会は下限レベルである 5mSv/ 年を採用したもの ( 注 2) 放射性セシウムについては 食品の他地域からの流通等を踏まえ 当該食品が全て同様な濃度で汚染されている のではなく 当該食品の半分は汚染されておらず 半分が同様な濃度で汚染されている ものとして 算定している (2) 限度値の算定は 成人 幼児 乳児のそれぞれについて 摂取量や感受性にも配慮したうえでこれを行い この3つの限度値の中で最も厳しい数値 ( 最小値 = 飲料水であれば成人の 20Bq/kg) につき 適宜端数の切捨て等を行ったうえで 全年齢を通じて適用させる暫定規制値として設定した 図 IV- 暫定規制値の設定方法 47 この暫定規制値に関する見直しが 厚生労働省により進められている 厚生労働省による新しい規制値案 ( 基準値 ) の作成 薬事 食品衛生審議会への諮問 答申 (20 年 2 月 22 日 ) 厚生労働大臣から放射線審議会 ( 文部科学省 ) への諮問 答申 (20 年 2 月 27 日付諮問 ) パブリックコメントの実施 WTO への通報 リスクコミュニケーションの実施 (202 年 月 ~) 等を経て 平成 24 年 4 月の新しい基準値が施行された 47 内閣官房放射性物質汚染対策顧問会議第 2 回 ( 月 2 日 ) 資料 2 食品中の放射性物質の新たな規制値の設定について ( 厚生労働省提出資料 ) http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/news_02.html 6

q/kg乳幼児用穀物類魚介類乳製品野菜類その他肉類卵水 表 IV-2 日本における食品中の放射性物質の新たな基準値 (202 年 4 月施行 ) 放射性核種食品 ( 原典分類 ) B飲料水 0 牛乳 50 放射性セシウム一般食品 00 乳児用食品 50 規制対象核種は セシウム 34 セシウム 37 ストロンチウム 90 プルトニウム ルテニウム 06 放射性セシウム以外の核種については 測定に時間がかかるため 移行経路ごとに各放射性核種の移行濃度を解析し 産物 年齢区分に応じた放射性セシウムの寄与率を算出し 合計して msvを超えないように放射性セシウムの基準値を設定する 新たな基準値の見直しの考え方については 厚生労働省により以下のようにまとめられている 48. 見直しの考え方 現在の暫定規制値に適合している食品は 健康への影響はないと一般的に評価され 安全は確保されているが より一層 食品の安全と安心を確保する観点から 現在の暫定規制値で許容している年間線量 5ミリシーベルトから年間 ミリシーベルトに基づく基準値に引き下げる 特別な配慮が必要と考えられる 飲料水 乳児用食品 牛乳 は区分を設け それ以外の食品を 一般食品 とし 全体で4 区分とする 2. 基準値の見直しの内容 ( 新基準値は平成 24 年 4 月施行 一部品目については経過措置を適用 ) 48 食品に関するリスクコミュニケーション ~ 食品中の放射性物質対策に関する説明会 ~( 東京都 ) 資料 2 資料 2: 食品中の放射性物質の新たな基準値について ( 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 ) (202( 平成 24) 年 月 6 日 ) http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingmaterial/show/kai20206ik 62

2. 海外等における規制 基準値 主要な国際機関 欧米における食品中の放射性核種基準値の概要 47 を表 IV-3 に示す 表 IV-3 海外における食品中の放射性物質に関する基準値の比較 47 単位 :Bq/kg コーデックス ( 注 ) EU( 注 2) 米国日本 核種 CODEX/STAN 93-995 ストロンチウム (Sr90) 放射性ヨウ素 (I3) 放射性セシウム (Cs34, Cs37) プルトニウム アメリシウム等 (Pu239, Am24) 規制値の適用 乳幼児用食品一般食品 ( ストロンチウム 放射性ヨウ素等の和として ) 乳幼児用食品一般食品 乳幼児用食品一般食品 00 00,000,000 0 乾燥や濃縮食品は 摂取する状態の食品に戻して適用 少量消費のスパイスは希釈係数 0 を用いる Regulation (Euratom) No 3954/87 乳幼児用食品乳製品一般食品飲料水 乳幼児用食品乳製品一般食品飲料水 乳幼児用食品乳製品一般食品飲料水 乳幼児用食品乳製品一般食品飲料水 75 25 750 25 50 2,000 400,000,250,000 20 80 20 摂取する状態の食品に対して適用 Compliance Policy Guide Sec. 560.750 60 70,200 2 乾燥や濃縮食品は 摂取する状態の食品に戻して適用 少量消費のスパイスは希釈係数 0 を用いる 食品衛生法の暫定規制値 ストロンチウムの寄与を含めた指標をセシウムで示す 飲料水牛乳 乳製品野菜類 ( 根菜 芋類を除く ) 魚介類飲料水牛乳 乳製品野菜類穀類肉 卵 魚 その他乳幼児用食品飲料水牛乳 乳製品野菜類穀類肉 卵 魚 その他 300 300 2,000 2,000 200 200 0 0 0 流通の各段階に対して適用 コーデックスについては 介入レベルmSv を採用し 全食品のうち 0% までが汚染エリアと仮定 EUについては 追加の被ばく線量が年間 msv を超えないよう設定され 人が生涯に食べる食品の 0% が規制値相当汚染されていると仮定 米国については 預託実効線量 5mSv を採用し 食事摂取量の 30% が汚染されていると仮定 チェルノブイリ原発事故のあった旧ソ連のベラルーシでは 事故発生時は高い暫定規制値が設定された ( 食品のみではなく 外部被ばく 内部被ばく全体の被ばく限度を事故 年目に 00 msv と設定 ) が その後 規制値は段階的に下げられ 992 年には食品中からの内部被ばくが年間 ミリシーベルトを越えないよう設定されている 放射性セシウム (Cs37) は 例えば ベラルーシではパンとパン製品 野菜は 85 Bq/kg ウクライナではパンとパン製品は 20Bq/kg 野菜は 40 Bq/kg と設定されている ) 注 コーデックス (Codex) は 962 年に国連の専門機関である国連食糧農業機関 (FAO) と世界保健機関 (WHO) が合同で定めた国際的な食品規格で その食品規格計画の実施機関が食品規格委員会 正式には英語名でコーデックス アリメンタリウス コミッション (Codex Alimentarius Commission) という 注 2 欧州委員会は 20 年 4 月 2 日に日本からの輸入食品 飼料の放射線検査の許容水準の上限を日本の規制値にならって暫定的に引き下げた 49,50 表中は引き下げ前の値 49 JETRO 日本からの輸入食品の放射線検査の許容水準上限を引き下げ (EU), http://www.jetro.go.jp/world/shinsai/2004_0.html 50 EU COMMISSION IMPLEMENTING REGULATION (EU) No 35/20 63

表 IV-4には その他の国際機関 海外を含めた基準値 ( 放射性核種 (Sr,I,Cs)) についてまとめたものを示す 表 IV-4 国際機関 主要国における食品中の放射性核種基準値 ICRP (Pub63 食品 ( 原典分類 ) 放射性核種 (Sr,I,Cs) Bq/kg 食品一般 β/γ 放出体 0-00 種類の食品 に対して α 放出体 000-0000 英語表現 ( 訳語例 ) 根拠法令 報告書など Intervention levels ( 介入レベル ) ICRP-63 放射線緊急時における公衆の防護のための介入に関する諸原則 (992) IAEA (20) OIL6 IAEA (94,96) WHO WHO [ 平常時 ] Codex [ 事故後 汚染食品の消費と貿易 ] 欧州 EC 食品 牛乳 (milk) 水 Sr90 200 I3 3000 Cs34 000 Operational intervention levels( 実用上の介入レベル ) Cs37 2000 Sr90 00 食品一般 Generic Aciton Cs34, Cs37 等 000 Levels( 一般的ア牛乳 (milk) 乳 I3 00 クションレベル ) 幼児食 飲料水 Cs34, Cs37 等 000 核事故発生後 年間は IAEA の定めた 食材に関しての一般的アクショ ンレベル が適用される 水道水 Cs34 Cs37 Guidance Level 0 Sr90 I3 ( ガイドライン値 ) 乳幼児用食品 Sr90,I3 等の 00 合計 以下 Sr,I Cs34, Cs37 等 Guidance Level 000 の合計, 以下 Cs ( ガイドライン値 ) 乳幼児用以外 Sr,I 00 の食品 Cs 000 放射性ストロン チウム ( 主に 75 Sr90) 以下 Sr 乳児用食品 乳製品 放射性ヨウ素 ( 主 50 00 に I3) 以下 I 0 日より半減期が長い放射性物 400 200 質 ( 主に Cs34, Cs37) 以下 Cs Sr 25 I Cs 300 000 200 その他の食品 Sr 750 ( マイナー食 I 2000 品を除く ) Cs 250 液体食品 Sr 25 I Cs 300 000 200 マイナー食品 Sr 7 ( その他の食品 I 20000 の 0 倍とする ) Cs 2 Maiximum Permitted Levels ( 上限値 ) IAEA GSG-2(20) Criteria for Use in Preparedness and Response for a Nuclear or Radiological Emergency General Safety Guide IAEA Safety Series No,09(994) No.5(996) WHO Guidelines for Drinking-water Quality FOURTH EDITION 20 Codex Standard 93-995 Amended 2009, 200 CODEX GENERAL STANDARD FOR CONTAMINANTS AND TOXINSIN FOOD AND FEED COUNCIL REGULATION (EURATOM) No 228/89, 944/89 ( 注 : 欧州委員会は 20 年 4 月 2 日に日本からの輸入食品 飼料の放射線検査の許容水準の上限を日本の規制値にならって暫定的に引き下げた 表中赤字は引き下げ後の値 ) 64

米国 FDA カナダ Health Canada 食品 ( 原典分類 ) 放射性核種 (Sr,I,Cs) Bq/kg 全食品 Sr90 60 全食品 I3 70 全食品 Cs34+Cs37 200 新鮮乳 その他の市販食品 飲料 公共飲料水 Sr89 300 Sr90 30 I3 00 Cs34,Cs37 300 Sr89 000 Sr90 00 I3 000 Cs34,Cs37 000 Sr89 300 Sr90 30 I3 00 Cs34,Cs37 00 英語表現 ( 訳語例 ) 根拠法令 報告書など Recommended Derived Intervention Level( 推奨誘導介入レベル ) Recommended action levels ( 推奨制限レベル ) Accidental Radioactive Contamination of Human Food and Animal Feeds(998) Canadian Guidelines for the Restriction of Radioactively Contaminated Food and Water Following a Nuclear Emergency(2000) コラム 基準値の意味国際機関や諸外国において設定されている放射線防護に関する基準については 設定された目的に応じたそれぞれの意味を有している したがって それを超えた場合の介入や対策 制限の具体的措置は 日本における食品の暫定規制値や基準値とは同じではないことに注意が必要である 下記には いくつかの代表的な基準値の名称と概略を示した Intervention levels 介入レベル (ICRP pub63) Action level 対策レベル 5 制限レベル Operational intervention Levels(IAEA OIL6) 実用上の介入レベル 52 Recommended Derived Intervention Level 推奨誘導介入レベル 介入レベルとは 放射線以上発生時に放射線防護上何らかの介入措置を必要とする放射線レベル 対策レベルとは その値以上で実施した防護対策が介入を正当化するのに十分大きな線量を低減できるような値である 例えば 食物消費の制限あるいは家屋内のラドン低減措置のようないろいろな防護対策にあてはまる 介入レベルまたは対策レベルに対応する計算により求められたレベル 線量率 放出された放射性物質の放射能濃度 時間積算空気中濃度 地上または地表濃度 環境 食料または水の試料に含まれる放射性核種の放射能濃度の形で表される 環境測定に基づき適切な防護措置を決定するため 即時かつ直接 ( それ以上の評価を行わずに ) 利用される一種の対策レベル 商業的に流通する食品で許容される濃度の上限で 食品 kg 当たりの放射能 すなわち Bq/kg で示される 誘導介入レベル (DIL) は 事故後 年間用いられる 食品が引き続き一年以上汚染されると懸念されるのならば 長期環境を評価に DIL を引き続き用いるのか 他の指針を用いるのか決定する必要がある 5 放射線審議会基本部会報告書 自然放射性物質の規制免除について 2003 年 0 月用語集 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/sonota/030280.htm# 52 防専第 5-3- 号 諸外国における緊急時活動レベル (EAL) 及び実用上の介入レベル (OIL) に係る状況について 原子力安全委員会事務局平成 9 年 4 月 24 日 65

3. チェルノブイリ事故以後の規制 基準値の変遷 本節では チェルノブイリ事故後のソビエト連邦および東欧 欧州の食品に関する規制値 基準値についてまとめた ソビエト連邦においては チェルノブイリ事故後 986 年 5 月 6 日に最も半減期の短いヨウ素 3 についての一時許容レベル (TPLs) が用いられた その後 5 月 30 日にβ 線放出物質 ( 放射性セシウムとストロンチウム ) に関する基準が示された これは 986 年に設定されたチェルノブイリ事故後 年間 (987 年 4 月 26 日から 987 年 4 月 26 日 ) の暫定平均全身線量当量の限度 00mSv のうち 50mSv ずつが外部ばくと内部被ばくに割り当てられて導出されたものである この年間の線量制限は 事故後 2 年目には 30mSv/ 年 988 年 989 年には 25mSv/ 年と引き下げられ 99 年 月 日以降は チェルノブイリ事故による一般公衆の線量が 73mSv を超えない範囲とされた 5,53 表 IV-5 チェルノブイリ事故後のソビエト連邦 (986-99) における食品および飲料水に含まれる放射性核種の一時許容レベル (Bq/kg) (Table.4.2 および本文をもとに作成 ) 5 一時許容レベル (TPL:Temporary Permissible Levels) 404-88 29-252 TPL-88 TPL-9 制定日 986/5/6 986/5/30 987/2/5 99//22 放射性核種セシウムセシウムストロンチウムヨウ素 3 β 線放出体 34 37 34 37 90 飲料水 3700 370 8.5 8.5 3.7 牛乳 (milk) 370-3700 370-3700 370 370 37 酪農製品 8-74000 3700-8 370-850 370-850 37-85 肉 肉製品 - 3700 850-3000 740 - 魚 37000 3700 850 740 - 卵 - 37000 850 740 - 野菜 果物 じゃがいも 根菜 - 3700 740 600 37 パン 小麦粉 穀物 - 370 370 370 37 [ 参考 ] 一時許容レベル設定の考え方 [ 参考 ] 通常の食事摂取で内部被ばくに寄与すると思われる線量当量 子どもの甲状腺当量を 300mGy に制限する 事故後 年間の平均全身線量当量限度を 00mSv とする 事故後 2 年目の平均全身線量当量限度を 30mSv 988 989 年は 25mSv とする 990 年の 月 日以降は チェルノブイリ事故後による一般公衆の線量が 73mSv を超えない範囲とする - 50mSv 以下 8mSv 以下 5mSv 以下 53 JAEA-Review 200-022 原子力緊急事態時に長期被ばく状況における放射線防護の実施と課題 日本原子力研究開発機構 66

なお ロシアの汚染エリアにおいて介入レベルを超えた牛乳 肉類の割合については 以下のような報告がある 54 表 IV-6 Cs37 濃度が介入レベルを超えた牛乳 (milk) 肉量の変化 ( 汚染地域における総生産量に占める割合 )(986-990) 介入レベルを超えた割合 986 987 988 989 990 ミルク 29.8%.% 7.7 % 2.8% - 肉類 5.7% 2.0% 0.5 % 0.% >0.09% [ 参考 ] ミルク介入レベル 370(990) [ 参考 ] 肉類介入レベル 850(990) 989: 穀物 ( 穀類 )0.6% ジャガイモ 0.% 野菜 0.02% 99 年にソビエト連邦の崩壊後は ロシア ベラルーシ ウクライナがそれぞれに規制値 基準値を制定した 表 IV-7 チェルノブイリ事故後に制定された食品中の放射性セシウムの対策レベル (Action Level)(Bq/kg) 5 対策レベル (Action Level) コーデックス委員会 EU ベラルーシ ロシア ウクライナ 制定年 989 986 999 200 997 牛乳 (milk) 000 370 00 00 00 幼児用食品 000 370 37 40-60 40 酪農製品 000 600 50-200 00-00 肉 肉製品 000 600 80-60 200 魚 000 600 50 30 50 卵 000 600-80 6Bq/ 個 野菜 果物 じゃがいも 根菜 000 600 40-00 40-20 40-70 パン 小麦粉 穀物 000 600 40 40-60 20 54 ALEXAKHIN R M: Countermeasures in agricultural production as an effective means of mitigating the radiological consequences of the Chernobyl accident., Sci Total Environ: 37(-3); 9-20 (993). 67

450 400 350 000Bq/kg Euratom987, Codex 989~ 緊急時一時許容レベル 370Bq/kg ロシア TPLs~996 370Bq/kg 日本 牛乳 乳製品 ウクライナ 牛乳 ベラルーシ 牛乳 ロシア牛乳 370kg/Bq EU Action Level 986~ 制限レベル 300 250 200 50 00 50 ソ連崩壊 85Bq/kg Bq/kg 74Bq/kg 200Kg/Bq 日本暫定規制値値は 998 年に検討許容限度レベル 00Bq/kg ロシア Permissible Level 996~ 00Bq/kg ベラルーシ Action Level 999~ 制限レベル 00Bq/kg ウクライナ Acceptable level 997~ 許容レベル 0 986 987 988 989 990 99 992 993 994 995 996 997 998 999 2000 200 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 200 20 202 日本 : 放射性 Cs ウクライナ :Cs37 ベラルーシ :Cs37 ロシア :Cs34 Cs37 図 IV-2 牛乳に関するセシウムの各種基準値 4000 3 3000 3700Bq/kg ソ連崩壊一時許容レベル 2960Bq/kg ロシア TPLs~996 日本 肉類 卵 魚 ウクライナ 牛肉 ベラルーシ 牛肉 ロシア牛肉 2 2000 000 0 一時許容レベル制限レベルベラルーシ TPLs Action Level 最大許可レベル 250Bq/kg EURATOM Maximum Permitted Level 987~ 000Bq/kg 制限レベル Bq/kg 日本暫定規制値 Codex Action Level 989~ 740Bq/kg 制限レベル 592Bq/kg 600Bq/kg 600Bq/kg EU Action Level 986~ 地方別コントロール許容レベル 200Bq/kg ウクライナ Acceptable level 200Bq/kg 997~ 74 から 740Bq/kg 60Bq/kg ロシア Permissible Level 996~ 許容限度レベル 60Bq/kg 986 987 988 989 990 99 992 993 994 995 996 997 998 999 2000 200 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 200 20 202 日本 : 放射性 Cs ウクライナ :Cs37 ベラルーシ :Cs37 ロシア :Cs34 Cs37 図 IV-3 牛肉に関するセシウムの各種基準値 - 68 -