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Transcription:

注意 : この日本語版文書は参考資料としてご利用ください 最新情報は必ずオリジナルの英語版をご参照願います マイクロチップ社の静電容量式近接検出設計ガイド 著者 : はじめに Xiang Gao Microchip Technology Inc. 近接検出を使うと 物理的接触なしに電子装置を操作できます この技術は製品の見た目と使いやすさを向上させ 消費電力を低減します 近接検出機能の実装には 磁気 赤外線 可視光 ドップラ効果 誘導 静電容量等 数々の方法が使われてきました これらの方法には それぞれ利点と制約があります 静電容量式センシングは ユーザの接触または接近によるセンサの静電容量の変化を検出する方法です マイクロチップ社のソリューションの場合 センサには任意の導体材料を使えます それを PIC MCU RightTouch mtouch ターンキーデバイスのピンに接続します また 必要に応じて直列抵抗を挿入します 一般的に センサ近くに導電性の物体または高誘電率の物体が存在すると センサの静電容量に影響を与えます 静電容量を使わない方式と比べ マイクロチップ社の静電容量式近接検出ソリューションは 先進のソフトウェアおよびハードウェアフィルタを実装して 信頼性の高い近接場検出を提供します その他 他のソリューションを上回る利点があります 低コスト 高度なカスタマイズ機能 低消費電力 他のアプリケーションとの統合が容易である事です マイクロチップ社はファームウェアベースのソリューションとして 2 つの測定方式を提供します 静電容量式分圧回路 (CVD) と充電時間計測ユニット (CTMU) です CVD に関するアプリケーションノート (AN1478 mtouch センシングソリューションのアクイジション手法 (CVD) ) と CTMU に関するアプリケーションノート (AN1250 マイクロチップ社製 CTMU の静電容量式タッチアプリケーションへの適用 ) は 弊社のウェブサイト www.microchip.com/mtouch で提供しています 本書では 静電容量式近接検出機能を実装するためのマイクロチップ社の静電容量式センシングソリューションの使い方を説明します さらに ハードウェアレイアウトに関するガイドラインを提供し 感度に影響を及ぼす要因を分析します 本書の内容は マイクロチップ社の mtouch ターンキーデバイス (MTCH101 MTCH112) RightTouch ターンキーデバイス (CAP11XX) 8/10/12 ビット ADC を内蔵した汎用マイクロコントローラに適用できます マイクロチップ社汎用マイクロコントローラ用の mtouch フレームワークとライブラリは マイクロチップアプリケーションライブラリ (MLA www.microchip.com/mla) で提供しています このフレームワークとライブラリは 幅広いノイズ除去オプションを実装しています これは 近接検出に不可欠です 静電容量式センシングの基本 通常 静電容量式センサはプリント基板上の金属で形成します 図 1 に 静電容量式センシングシステムの概要を示します 図 1: 静電容量式センシングの理論 基本的に 静電容量式近接センサのスキャン方法は 静電容量式タッチセンサと同じです デバイスはセンサの静電容量に大きな変化がないか常時監視します 近接センサの信号変化はタッチ信号に比べてごくわずかです それは距離が離れているためと 電界の媒体がプラスチックやガラスではなく空気であるためです 信頼性の高い近接検出を保証するには 優れた信号 / ノイズ比 (SNR) を維持する必要があります 従って 近接検出回路は慎重に設計する必要があります 2013 Microchip Technology Inc. DS01492A_JP - p.1

センサの物理的レイアウト設計 重要な設計要素として センサのサイズ グランドプレーンおよびその他の低インピーダンストレースに対するセンサの位置 mtouch/righttouch デバイスの設定等があります いくつかの簡単なガイドラインに従う事で ユーザの接近や金属および高誘電率物体の動きを検出する回路を設計できます 高信号強度かつ低ノイズで検出レンジを最大化するには 以下の 5 つの重要な物理的設計要素があります センサとグランドプレーン ( プリント基板の全層と近くの金属物体 ) をできるだけ離す センササイズを出来るだけ大きくする 低インピーダンスのトレースとグランドプレーンからセンサを遮蔽するアクティブガードを使う システム内でセンサができるだけ動かないようにして ( 両面テープ 接着剤 クリップ等 ) 誤ったトリガを防ぐ バッテリ駆動のシステムの場合 システムグランドとセンシング対象の間のカップリングをできるだけ強める 図 2: グランドプレーンの有無による電界分布の違い No Ground Near Sensor Sensor Pad PCB Ground Plane/Trace On Both Side グランドプレーン センサのすぐ隣にグランドプレーンまたは金属表面があると 近接検出のレンジを短くしてしまいます グランドプレーンは近接検出に2つの影響を及ぼします 第 1 に 近づく物体の経路上にグランドプレーンが配置されている場合 近接センサがその物体を検出するのを妨げます これによって センシングシステムの検出レンジが縮小します 自由空間にあるセンサは 電界をほとんど減衰なく全方向に自由に放射できます グランドプレーンが加わると センサから放射された電気力線はグランドプレーンで終端しようとします グランドとセンサ間の距離が小さくなると 放射電界強度は低下します 従って グランドプレーンがセンサに近いほど 検出レンジは縮小します 第 2 に グランドプレーンが近接センサの直下またはすぐ隣にある場合 ベース静電容量が増加します これは 検出レンジを 70 ~ 90% 低下させます さらに 物体が近づいた時の信号変化率も低下するため 感度が低下します 図 2 に グランドプレーンがセンシング電界に与える影響を示します センサの形状と構造 Sensor Pad PCB Ground Plane システム設計にはそれぞれ固有の美的な目標と物理的制約があります マイクロチップ社は 大きなアプリケーション ( フォトフレーム キーボード等 ) にはループ型のセンサ形状 ( 中央が空いた大きなトレース ) を より小さなボタンボードアプリケーションにはソリッドなパッド ( ループでないパッド形状 ) を推奨します ループ状のセンサを使うと マイクロチップ社のデバイスから見た総静電容量を低減し より大きな検出領域を形成できます グランドとの分離に限界があり 必要な検出レンジを得るためにセンサ面積を大きく取る必要がある小さな基板では パッド形状が最適です ループセンサはどのようなアスペクト比でもかまいません ( 例 : 20 cm x 20 cm 5 cm x 40 cm) 必要な検出レンジ 耐ノイズ性能 形状的制約を考慮して決定します 1 x 1 cm のような小さなループが検出できるレンジはわずかです 30 AWG のワイヤによる 30 cm x 30 cm のループは 大きなレンジを検出できます これより大きなループまたは太いワイヤは デバイスの校正レンジを超える可能性があります 温度変化やセンサ上に異物がある場合の校正等 各種条件下でのレンジ超過を避けるため 総ベース静電容量を 45 pf 以下に保つ事を推奨します パッドを選択した場合 形状に制約はありません 1 cm x 25 cm (25 cm 2 ) のよう DS01492A_JP - p.2 2013 Microchip Technology Inc.

な細長いパッドは LCD モニタの下部または側部に適しています スペースがあれば 5 cm x 5 cm (25 cm 2 ) の大きなパッドを使えば 大きなレンジで近接検出が可能です r = 2.83 cm ( ~ 25 cm 2 ) の円形のパッドでも同様の近接検出レンジを形成できます それでは静電容量が大きすぎるという場合 中央部をくりぬき ループ形状に変える事ができます 物理的形状に制約はありません センサは円形 楕円形 正方形 長方形等にする事ができます 基板周辺部を蛇行させる事も可能です センサの総効率は形状ではなく 近接検出領域に進入するユーザまたは物体に対する導体の面積で決まります 近接検出レンジは センサのサイズに直接比例します センサが大きいほど 近接検出レンジは拡大します ループセンサはワイヤ ( 絶縁の有無を問わず ) フレキシブル回路 PCB 上のパターンで形成できます ワイヤの場合 単線でも撚り線でも性能は同じですが 製造工程において単線の方が組み立ては容易です 太いワイヤほど表面積が増え 検出レンジが拡大します 使えるワイヤの太さは物理的設計の限界で決まります 30 AWG で設計を始め 目標検出レンジに達し 見映え 校正の限界に達するまでゲージを大きくしていきます PCB ループセンサの場合 トレース幅が大きいほど検出レンジが拡大します 最小トレース幅 7 mil (0.18 mm) でもセンサとして機能しますが より幅を広げた方が より大きな検出レンジが得られます PCB パッドを使う場合も同じガイドラインに従う必要があります 面積できるだけ大きくし 近傍のグランドをできるだけ小さくします 図 3 に センササイズと検出距離の関係を示します VDD 電圧を大きくしても距離は伸びます VDD が大きいほど センサはより大きなセンシング用電界を発生するからです 表 1 に 同じ回路で手を様々な距離に置いた場合の センササイズに対する信号変化を示します 図 4 に 信号変化の割合 (%) も示します Note: 信号の割合 (%) は 最大検出距離には直接関係しません 検出距離を決めるのは信号 / ノイズ比 (SNR) です 信頼性の高いシステムを作るには 最大検出距離で 3.5 以上の SNR が必要です 図 3: センササイズに対する検出距離 2013 Microchip Technology Inc. DS01492A_JP - p.3

表 1: 5 種類のセンサについての距離に対する信号変化 センサから手までの距離 ベースライン 4" 3" 2" 1" 0.5" 1 のソリッドパッド 12317 12365 12410 12480 12650 12930 1.5 のソリッドパッド 12345 12420 12490 12576 12860 13170 2 のソリッドパッド 13038 13163 13220 13400 13820 14100 2.5 のソリッドパッド 13235 13400 13470 13682 14300 14900 3 のソリッドパッド 13500 13660 13750 14050 15000 16000 ベースラインからの差分 1 のソリッドパッド 0 48 93 163 333 613 1.5 のソリッドパッド 0 75 145 231 515 825 2 のソリッドパッド 0 125 182 362 782 1062 2.5 のソリッドパッド 0 165 235 447 1065 1665 3 のソリッドパッド 0 160 250 550 1500 2500 ベースラインからの信号変化の割合 (%) 1 のソリッドパッド 0.00% 0.39% 0.76% 1.32% 2.70% 4.98% 1.5 のソリッドパッド 0.00% 0.61% 1.17% 1.87% 4.17% 6.68% 2 のソリッドパッド 0.00% 0.96% 1.40% 2.78% 6.00% 8.15% 2.5 のソリッドパッド 0.00% 1.25% 1.78% 3.38% 8.05% 12.58% 3 のソリッドパッド 0.00% 1.19% 1.85% 4.07% 11.11% 18.52% 図 4: 検出距離に対する信号変化 20.00% 18.00% 16.00% 14.00% 12.00% 10.00% 8.00% 6.00% 4.00% 1" solid pad 1.5" solid pad 2" solid pad 2.5" solid pad 3" solid pad 2.00% 0.00% 4" 3" 2" 1" 0.5" DS01492A_JP - p.4 2013 Microchip Technology Inc.

アクティブガード 回路設計上の制約から大きなグランド 通信ライン LED 制御ライン等の近くにセンサを配置せざるを得ない場合があります いずれの場合もベース静電容量の増加またはセンサへの外乱を生じるため SNR は著しく低下します アクティブガードは センサとその周りの電位を下げる事でベース静電容量をできるだけ小さくする方法です さらに 周囲の低インピーダンス外乱からセンサ / トレースを遮蔽する効果もあります アクティブガードを使って電界を整形すれば 接地されたシールドによって感度を低下させる事なく 指向性のある検出を実現する事もできます 図 5 のように PCB 裏面のセンサ下にハッチングパターンのガードプレーンを配置すると 検出方向を PCB 表面に限定できます 電界整形のもう 1 つの方法は相互駆動を使います この方法はセンサと異なる位相でトレース / 電極を駆動します 相互駆動は電界を押し出すのではなく その方向に引き込みます ただし この方法はベース静電容量を増加させます 電源に関する注意 近接検出センサは 応用回路の電源が交流でもバッテリ ( 直流 ) でも簡単に組み込めます しかし 給電方法は近接検出距離に大きく影響します 交流電源を使う場合とバッテリ駆動を使う場合の違いは接地方法です 通常 人体はアースと強くカップリングしています 交流電源を使う場合 ( 図 7) 人体はタッチ / 近接システムと同じグランドを共有します 指がセンサに近づくと ピン静電容量を 2 つの点で増加させます 1 つ目は センサと周囲のグランドプレーン間のカップリング C FINGER を強めます 2 つ目は 人体はアースに対して静電容量 C BODY を持ちます これらの静電容量は同じグランドを共有しているため C BODY C FINGER C BASE は並列です 追加される総静電容量は単純に C BODY と C FINGER の合計です ( 図 8) 通常 近接センサとグランドプレーンは離して配置するため C FINGER は C BODY に比べて非常に小さいものです 図 7: 2 つのシステム給電方法 図 5: ガードシールド付きのセンサ設計 User and Device Do Not Share Ground - Battery C BODY C FINGER C BASE Sensor Input V SS C GND C GND User User and Device Share Common Ground - Mains Sensor Input 図 6 に レイアウト例を示します アクティブガードのレイアウトおよび駆動方法の詳細は アプリケーションノート AN1478 mtouch センシングソリューションのアクイジション手法 : 静電容量式分圧器 で説明しています C BODY User C FINGER C BASE V SS 図 6: アクティブガード付きセンサのレイアウト例 2013 Microchip Technology Inc. DS01492A_JP - p.5

バッテリ駆動システムの場合 人体とセンシングシステムの両方がアースに対してカップリング静電容量を持ちます 通常 人体の方がシステムとアースグランド間により大きなカップリング ( CGND) を追加します 簡略化した物理モデル ( 図 8) では CGND と CGND を合わせて静電容量 CGND が形成されます これは 人体とシステムグランド間のカップリングと見なせます この場合 C FINGER は依然として C BASE と並列ですが C BODY は C GND と直列です 従って 人体とシステムグランド間のカップリングはセンサに追加される総静電容量を決める大きな要因です この事から 近接センサで良好な感度を得るには システムと人体が適切にカップリングしている必要があります 図 9 に 同じシステムで人体とのカップリングが異なる場合の感度を示します システムが壁面または交流電源近くに取り付けられている場合 システムのグランドと交流電源グランドを接続するのが 人体とシステムを強くカップリングさせ感度をできるだけ高める最も簡単な方法です 図 8: 静電容量式センシングシステムの物理モデル 図 9: pf) vity(count/p Sensitiv まとめ 静電容量式センシングシステムの物理モデル (Shared Ground) (Battery Powered, Full Isolation) マイクロチップ社は 低コスト 低消費電力 高 S/N 比 高い柔軟性を備えた静電容量式の近接検出ソリューションを提供しています このソリューションは大部分の応用回路で良好に動作し 他のソリューションより少ない部品点数で構成できます マイクロチップ社の mtouch および RightTouch センシング手法の詳細と製品情報は 弊社ウェブサイト www.microchip.com/mtouch をご覧ください DS01492A_JP - p.6 2013 Microchip Technology Inc.

マイクロチップ社製デバイスのコード保護機能に関して以下の点にご注意ください マイクロチップ社製品は 該当するマイクロチップ社データシートに記載の仕様を満たしています マイクロチップ社では 通常の条件ならびに仕様に従って使用した場合 マイクロチップ社製品のセキュリティレベルは 現在市場に流通している同種製品の中でも最も高度であると考えています しかし コード保護機能を解除するための不正かつ違法な方法が存在する事もまた事実です 弊社の理解では こうした手法はマイクロチップ社データシートにある動作仕様書以外の方法でマイクロチップ社製品を使用する事になります このような行為は知的所有権の侵害に該当する可能性が非常に高いと言えます マイクロチップ社は コードの保全性に懸念を抱いているお客様と連携し 対応策に取り組んでいきます マイクロチップ社を含む全ての半導体メーカーで 自社のコードのセキュリティを完全に保証できる企業はありません コード保護機能とは マイクロチップ社が製品を 解読不能 として保証するものではありません コード保護機能は常に進歩しています マイクロチップ社では 常に製品のコード保護機能の改善に取り組んでいます マイクロチップ社のコード保護機能の侵害は デジタルミレニアム著作権法に違反します そのような行為によってソフトウェアまたはその他の著作物に不正なアクセスを受けた場合 デジタルミレニアム著作権法の定めるところにより損害賠償訴訟を起こす権利があります 本書に記載されているデバイスアプリケーション等に関する情報は ユーザの便宜のためにのみ提供されているものであり 更新によって無効とされる事があります お客様のアプリケーションが仕様を満たす事を保証する責任は お客様にあります マイクロチップ社は 明示的 暗黙的 書面 口頭 法定のいずれであるかを問わず 本書に記載されている情報に関して 状態 品質 性能 商品性 特定目的への適合性をはじめとする いかなる類の表明も保証も行いません マイクロチップ社は 本書の情報およびその使用に起因する一切の責任を否認します 生命維持装置あるいは生命安全用途にマイクロチップ社の製品を使用する事は全て購入者のリスクとし また購入者はこれによって発生したあらゆる損害 クレーム 訴訟 費用に関して マイクロチップ社は擁護され 免責され 損害を受けない事に同意するものとします 暗黙的あるいは明示的を問わず マイクロチップ社が知的財産権を保有しているライセンスは一切譲渡されません 商標マイクロチップ社の名称とロゴ Microchip ロゴ dspic FlashFlex KEELOQ KEELOQ ロゴ MPLAB PIC PICmicro PICSTART PIC 32 ロゴ rfpic SST SST ロゴ SuperFlash および UNI/O は 米国およびその他の国におけるマイクロチップ テクノロジー社の登録商標です FilterLab Hampshire HI-TECH C Linear Active Thermistor MTP SEEVAL Embedded Control Solutions Company は 米国におけるマイクロチップ テクノロジー社の登録商標です Silicon Storage Technology は 他の国におけるマイクロチップ テクノロジー社の登録商標です Analog-for-the-Digital Age Application Maestro BodyCom chipkit chipkit ロゴ CodeGuard dspicdem dspicdem.net dspicworks dsspeak ECAN ECONOMONITOR FanSense HI-TIDE In-Circuit Serial Programming ICSP Mindi MiWi MPASM MPF MPLAB Certified ロゴ MPLIB MPLINK mtouch Omniscient Code Generation PICC PICC-18 PICDEM PICDEM.net PICkit PICtail REAL ICE rflab Select Mode SQI Serial Quad I/O Total Endurance TSHARC UniWinDriver WiperLock ZENA および Z-Scale は 米国およびその他の国におけるマイクロチップ テクノロジー社の商標です SQTP は 米国におけるマイクロチップ テクノロジー社のサービスマークです GestIC および ULPP は マイクロチップ テクノロジー社の子会社である Microchip Technology Germany II GmbH & Co. & KG 社の他の国における登録商標です その他 本書に記載されている商標は各社に帰属します 2013, Microchip Technology Incorporated, All Rights Reserved. ISBN: 978-1-62077-193-8 マイクロチップ社では Chandler および Tempe ( アリゾナ州 ) Gresham ( オレゴン州 ) の本部 設計部およびウェハー製造工場そしてカリフォルニア州とインドのデザインセンターが ISO/TS-16949: 2009 認証を取得しています マイクロチップ社の品質システムプロセスおよび手順は PIC MCU および dspic DSC KEELOQ コードホッピングデバイス シリアル EEPROM マイクロペリフェラル 不揮発性メモリ アナログ製品に採用されています さらに 開発システムの設計と製造に関するマイクロチップ社の品質システムは ISO 9001:2000 認証を取得しています 2013 Microchip Technology Inc. DS01492A_JP - p.7

各国の営業所とサービス 北米本社 2355 West Chandler Blvd. Chandler, AZ 85224-6199 Tel: 480-792-7200 Fax: 480-792-7277 技術サポート : http://www.microchip.com/ support URL: www.microchip.com アトランタ Duluth, GA Tel: 678-957-9614 Fax: 678-957-1455 ボストン Westborough, MA Tel: 774-760-0087 Fax: 774-760-0088 シカゴ Itasca, IL Tel: 630-285-0071 Fax: 630-285-0075 クリーブランド Independence, OH Tel: 216-447-0464 Fax: 216-447-0643 ダラス Addison, TX Tel: 972-818-7423 Fax: 972-818-2924 デトロイト Farmington Hills, MI Tel: 248-538-2250 Fax: 248-538-2260 インディアナポリス Noblesville, IN Tel: 317-773-8323 Fax: 317-773-5453 ロサンゼルス Mission Viejo, CA Tel: 949-462-9523 Fax: 949-462-9608 サンタクララ Santa Clara, CA Tel: 408-961-6444 Fax: 408-961-6445 トロント Mississauga, Ontario, Canada Tel: 905-673-0699 Fax: 905-673-6509 アジア / 太平洋アジア太平洋支社 Suites 3707-14, 37th Floor Tower 6, The Gateway Harbour City, Kowloon Hong Kong Tel: 852-2401-1200 Fax: 852-2401-3431 オーストラリア - シドニー Tel: 61-2-9868-6733 Fax: 61-2-9868-6755 中国 - 北京 Tel: 86-10-8569-7000 Fax: 86-10-8528-2104 中国 - 成都 Tel: 86-28-8665-5511 Fax: 86-28-8665-7889 中国 - 重慶 Tel: 86-23-8980-9588 Fax: 86-23-8980-9500 中国 - 杭州 Tel: 86-571-2819-3187 Fax: 86-571-2819-3189 中国 - 香港 SAR Tel: 852-2943-5100 Fax: 852-2401-3431 中国 - 南京 Tel: 86-25-8473-2460 Fax: 86-25-8473-2470 中国 - 青島 Tel: 86-532-8502-7355 Fax: 86-532-8502-7205 中国 - 上海 Tel: 86-21-5407-5533 Fax: 86-21-5407-5066 中国 - 瀋陽 Tel: 86-24-2334-2829 Fax: 86-24-2334-2393 中国 - 深圳 Tel: 86-755-8864-2200 Fax: 86-755-8203-1760 中国 - 武漢 Tel: 86-27-5980-5300 Fax: 86-27-5980-5118 中国 - 西安 Tel: 86-29-8833-7252 Fax: 86-29-8833-7256 中国 - 厦門 Tel: 86-592-2388138 Fax: 86-592-2388130 中国 - 珠海 Tel: 86-756-3210040 Fax: 86-756-3210049 アジア / 太平洋インド - バンガロール Tel: 91-80-3090-4444 Fax: 91-80-3090-4123 インド - ニューデリー Tel: 91-11-4160-8631 Fax: 91-11-4160-8632 インド - プネ Tel: 91-20-3019-1500 日本 - 大阪 Tel: 81-6-6152-7160 Fax: 81-6-6152-9310 日本 - 東京 Tel: 81-3-6880-3770 Fax: 81-3-6880-3771 韓国 - 大邱 Tel: 82-53-744-4301 Fax: 82-53-744-4302 韓国 - ソウル Tel: 82-2-554-7200 Fax: 82-2-558-5932 または 82-2-558-5934 マレーシア - クアラルンプール Tel: 60-3-6201-9857 Fax: 60-3-6201-9859 マレーシア - ペナン Tel: 60-4-227-8870 Fax: 60-4-227-4068 フィリピン - マニラ Tel: 63-2-634-9065 Fax: 63-2-634-9069 シンガポール Tel: 65-6334-8870 Fax: 65-6334-8850 台湾 - 新竹 Tel: 886-3-5778-366 Fax: 886-3-5770-955 台湾 - 高雄 Tel: 886-7-213-7828 Fax: 886-7-330-9305 台湾 - 台北 Tel: 886-2-2508-8600 Fax: 886-2-2508-0102 タイ - バンコク Tel: 66-2-694-1351 Fax: 66-2-694-1350 ヨーロッパオーストリア - ヴェルス Tel: 43-7242-2244-39 Fax: 43-7242-2244-393 デンマーク - コペンハーゲン Tel: 45-4450-2828 Fax: 45-4485-2829 フランス - パリ Tel: 33-1-69-53-63-20 Fax: 33-1-69-30-90-79 ドイツ - ミュンヘン Tel: 49-89-627-144-0 Fax: 49-89-627-144-44 イタリア - ミラノ Tel: 39-0331-742611 Fax: 39-0331-466781 オランダ - ドリューネン Tel: 31-416-690399 Fax: 31-416-690340 スペイン - マドリッド Tel: 34-91-708-08-90 Fax: 34-91-708-08-91 イギリス - ウォーキンガム Tel: 44-118-921-5869 Fax: 44-118-921-5820 08/20/13 DS01492A_JP - p.8 2013 Microchip Technology Inc.