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第 24 回 GLP 研修会 平成 31 年 1 月 21 日東京平成 31 年 1 月 25 日大阪 OECD GLP における最近の活動について 独立行政法人医薬品医療機器総合機構信頼性保証部主任専門員三枝由紀恵 1

内容 OECD に関する最新情報 1 OECD 加盟国について OECD GLP 作業部会会合 2 PMDA の貢献について 3 データ相互受入 (MAD) 制度について 4 On-Site Evaluation について 5 各種文書について 6 技術的な議論 (QSAR デジタル病理画像 ) その他の事項 2

OECD に関する最新情報 1 OECD 加盟国について 3

OECD 加盟国 (36) 2018 年にリトアニアの加盟が決定され OECD 加盟国は 36 ヵ国となった EU 1. Austria 2. Belgium 3. Czech Republic 4. Denmark 5. Estonia 6. Finland 7. France 8. Germany 9. Greece 10. Hungary 11. Ireland 12. Italy 13. Latvia (2016.07) 14. Luxembourg 15. Netherlands 16. Poland 17. Portugal 18. Slovak Republic 19. Slovenia 20. Spain 21. Sweden 22. United Kingdom 23. Lithuania (2018.07) European Non EU 1. Iceland 2. Norway 3. Switzerland 4. Turkey Asia Pacific 1. Australia 2. New Zealand 3. Japan (1964) 4. Korea America 1. Canada 2. Chili 3. Mexico 4. United States Other 1. Israel 4

OECD GLP 作業部会会合 5

第 32 回 OECD GLP 作業部会会合 日時 : 2018 年 3 月 6 日 -8 日 (6 日 :optional session) 場所 : フランス パリ参加 : OECD 加盟国 (29ヵ国) OECD 非加盟 MAD 参加国 (5ヵ国) オブザーバー (7ヵ国 地域) 日本 : PMDA 3 名他プログラム 5 名の計 8 名 議長 : 染谷仁氏 (PMDA 日本) 副議長 : Christoph MOOR 氏 (FOEN スイス) 6

OECD GLP 作業部会会合 2 OECD GLP 作業部会会合への PMDA の貢献について 7

OECD GLP 作業部会会合への PMDA の貢献 2017 年の作業部会会合で PMDA が提案し 合意を得た以下の 2 つの活動について PMDA が主体となりマネジメントした 1. Outreach 活動の情報共有 2. Optional Session の企画 開催 8

1. Outreach 活動の情報共有 加盟各国がOECD 非加盟国に対して独自に行う GLPに関するサポート活動 ( 講演 査察指導 オブザーバー受入れなど ) をOECD 加盟国間で情報共有することとした 活動の重複を避けるとともに 加盟国間での調整 協力が可能になる 各国は 1 年間の活動状況を規定のフォーマットに入力するとともに GLP 作業部会で報告する 入力された活動状況は 部会メンバー専用のデータベース (password-protect site) 中に保存される 9

2. Optional Session の企画 開催 作業部会前日に開催する自由参加型のセッション 目的 : 本会合の議案では扱いにくい 自由討論や教育セッションの設定 初回は主に以下の2つのトピックで構成 1. On-Site Evaluation visit 評価員のための教育講演が行われるとともに 今後の方針について議論した 2. Technical Issues( 技術的な問題 ) 各査察当局から持ち寄られた技術的な問題に対して 自由討論した 参加者から好評を得て 次回以降も実施することが決定 10

OECD GLP 作業部会会合 3 OECD GLP データ相互受入 (MAD) 制度について 11

データ相互受入 (MAD) 制度 OECD 加盟国 OECD 非加盟 MAD 参加国 OECD 非加盟国 MAD 暫定参加国 36 ヵ国 南アフリカ (2003) シンガポール (2009) インド (2011) ブラジル (2011) アルゼンチン (2011) マレーシア (2013) タイ (2010) 設立準備中 ( ) 内 : 参加年 データの相互受入義務あり ( 例外あり ) 加盟国と同じ権利と義務 加盟国 (MAD 参加国を含む ) からのデータの受入義務がある 一方 加盟国側には ( 当該国からのデータの ) 受入義務はない 今回の作業部会において のGLP 査察当局が承認された 今後 エストニアにある試験施設で実施されたGLP 試験データは受入義務が発生する 12

データ相互受入 (MAD) 制度 OECD 加盟国のうち ラトビア ルクセンブルク リトアニア アイスランド トルコ チリは On-Site Evaluation を一度も受けていない EU 1. Austria 2. Belgium 3. Czech Republic 4. Denmark 5. Estonia 6. Finland 7. France 8. Germany 9. Greece 10. Hungary 11. Ireland 12. Italy 13. Latvia (2016.07) 14. Luxembourg 15. Netherlands 16. Poland 17. Portugal 18. Slovak Republic 19. Slovenia 20. Spain 21. Sweden 22. United Kingdom 23. Lithuania (2018.07) European Non EU 1. Iceland 2. Norway 3. Switzerland 4. Turkey Asia Pacific 1. Australia 2. New Zealand 3. Japan (1964) 4. Korea America 1. Canada 2. Chili 3. Mexico 4. United States Other 1. Israel 13

データ相互受入 (MAD) 制度 OECD 加盟国であっても On-Site Evaluation を受けていない国の GLP 試験データについては 他の OECD 加盟国 (MAD 参加国含む ) に受入義務はないこととなっている OECD 加盟国 Data OECD 非加盟 MAD 参加国 Data 受入義務がある OECD 加盟国 (2018 年 12 月現在 )* ラトビア ルクセンブルク リトアニア アイスランド トルコ チリ * ただし これらの国々では そもそも試験 資料に GLP 適用が義務化されていない可能性あり OECD 加盟国 (2018 年 12 月現在 )* ラトビア ルクセンブルク リトアニア アイスランド トルコ チリ OECD 加盟国 Data 受入義務はない OECD 非加盟 MAD 参加国 14

データ相互受入 (MAD) 制度 OECD 加盟国 (2018 年 12 月現在 ) ラトビア ルクセンブルク リトアニア アイスランド トルコ チリ 例 OECD 加盟国エストニア 初回 On-Site Evaluation 査察能力が加盟国と同等かどうかチェック OECD GLP 作業部会の承認 初回 On-Site Evaluation (2017) 査察能力が加盟国と同等かどうかチェック OECD GLP 作業部の承認 (2018) 査察能力が加盟国と同等であると判断 他の OECD 加盟国及び MAD 参加国 これらの国の GLP 試験データについて受入義務が生じる 定期 On-Site Evaluation 定期 On-Site Evaluation (2027) 15

データ相互受入 (MAD) 制度 OECD 非加盟 MAD 非参加国中国 インドネシア フィリピン ロシア等 OECD 非加盟 MAD 暫定参加国 (2018 年 12 月現在 タイのみ ) 加盟国 (MAD 参加国を含む ) からのデータの受入義務がある 一方 加盟国側には ( 当該国からのデータの ) 受入義務はない 初回 On-Site Evaluation OECD GLP 作業部会の承認 他の OECD 加盟国及び MAD 参加国 査察能力が加盟国と同等かどうかチェック OECD 非加盟 MAD 参加国 これらの国の GLP 試験データについて受入義務が生じる 南アフリカ (2003) シンガポール (2009) インド (2011) ブラジル (2011) アルゼンチン (2011) マレーシア (2013) タイ (20XX) 16

OECD GLP 作業部会会合 4 On-Site Evaluation について 17

On-Site Evaluation (OSE) OSE とは 当該国の GLP 査察制度 能力が他の MAD 参加国と同等以上であることを評価する手段であり MAD 参加国の査察官が評価員となって 当該国の GLP に関する法体系 当局の査察システム 査察官の査察能力などを確認するものである この結果は OECD GLP 作業部会に報告されるとともに 報告書の内容についても議論が行われる 18

On-Site Evaluation (OSE) 経緯 1998-2001 年に pilot project を試行した後 2002 年に本施行を決定 評価対象 OECD 加盟国 (MAD 参加国を含む ) 及び MAD 参加希望国 スケジュール 加盟全査察当局 ( 約 50プログラム ) に対し 毎年約 4-5プログラムを評価 第 1 回は2008-2017 年 第 2 回は2018 年より 約 10 年かけて実施予定 評価員はOECD 加盟国 (MAD 参加国を含む ) より基本的に2 名が参加 2017 年は2プログラムが評価され 2018 年の第 32 回 OECD GLP 作業部会会合で議論された PMDAは2018 年に第 2 回目の評価を受け 2019 年の作業部会会合で議論される予定 19

On-Site Evaluation (OSE) OECD/GLP 評価員 (2 名 ) 評価 法体系 GLP に関する省令 通知等 評価 評価 査察システム 査察の手順 調査員のトレーニング等 PM GLP 調査 査察能力 GLP 試験施設 報告書 報告 PMDA 調査員 OECD GLP 作業部会で議論 承認 20

On-Site Evaluation (OSE) On-Site Evaluation (OSE) 査察対象 定期的な OSE (Periodic evaluation) OECD 加盟国 OECD 非加盟 MAD 参加国 ( 例 : 日本 イギリス フランス 南アフリカ マレーシアなど ) 初回の OSE (Initial evaluation) 1. OECD 加盟国で新たに GLP 査察当局を設立した国 2. OECD 非加盟国で MAD に参加する意思がある国 定期的なOSE 初回のOSE 評価の頻度 10 年に1 回 不定期 ( 対象国の準備が整い次第 ) 評価員の数 基本的に2 人 基本的に3 人 備考 2018 年のPMDAのケース 前述のタイ エストニアのケース 21

OECD GLP 作業部会会合 5 各種文書について 22

被験物質 (Test Items) ー Published ー 被験物質の取扱いに関するガイダンス文書 (No.19) Advisory Document of the Working Group on Good Laboratory Practice on the Management, Characterisation and Use of Test Items OECD GLP public website に掲載済み (2018/4/19) http://www.oecd.org/officialdocuments/publicdisplaydocumentpdf/?cote= env/jm/mono(2018)6&doclanguage=en ガイダンス文書発出に伴い その記載内容については PMDA による GLP 調査時の指摘 指導の根拠となる 23

被験物質 (Test Items) 被験物質の取扱いに関するガイダンス文書 (No.19) の作成経緯 2008 年にイタリアで開催された OECD GLP 作業部会と産業界との合同イベントで 業界側より 以下について問題提起された OECD 加盟国の査察当局間で GLP 原則に関する解釈 指摘に相違が見られる 問題解決に向けて GLP 作業部会の代表者と業界団体 ( 日本の窓口 :JSQA) の代表者で構成されるディスカッショングループが結成される ディスカッショングループで議論されたトピックの成果は ガイダンス文書やFAQ(Frequently Asked Questions) となり OECD GLP public websiteに掲載されている 24

被験物質 (Test Items) 被験物質の取扱いに関するガイダンス文書 (No.19) の作成経緯 2008 2009 WG イタリアでの産業界との合同イベント WG 内に小グループが設立され 先のイベントで提起された問題点について 解決策を模索する ことを決定した 2010 WG 業界側と査察当局側とで定期的な議論をする枠組みが提案され これが合意された ディスカッショングループ誕生 2011 WG 2012 WG 具体的な実施方法が文書化され これが合意された 産業界に対し 2 つのトピックに関してコメントを求めた 産業界から募集したコメント (100 以上 ) から 最優先で議論が必要なものとして 1 信頼性保証 2 被験物質 3コンピュータシステムの3テーマが決定され それらコメントに取り組むことが合意された サブグループ誕生 25

被験物質 (Test Items) 被験物質の取扱いに関するガイダンス文書 (No.19) のこれまでの経緯 2013 2016 WG 2017 WG Test Items 2013 年に文書初案が提示され 以降 毎年文書案の議論を重ねた パブコメ前の文書最終案が合意された パブコメは 2017 年 5 月 5 日 -7 月 31 日まで実施された サブグループ ( 英国及び仏国がリーダー ) が集積されたコメントについて精査作業を行った 2018 WG パブコメのコメントを踏まえた文書最終案が作成 議論された 4 月 19 日に Advisory Document No.19 として発出された 26

ディスカッショングループの成果 ( 参考 ) 産業界に対してコメントを求めたトピックは以下の2つ (2011 年 ) 1. 各国 GLP 査察当局による指摘の相違について 2. 最新技術にGLPを適用する問題点について 議論が必要なテーマとして選択された以下の 3 つのテーマは 2018 年までに FAQ やガイダンス文書として全て発出された 1 信頼性保証 : FAQ として 2014 年 7 月 15 日に OECD GLP public website に掲載済み (http://www.oecd.org/env/ehs/testing/glpfrequently-asked-questions.htm) 2 被験物質 : Advisory Document No.19(2018 年 4 月に発出 ) 3 コンピュータシステム : Advisory Document No.17(2016 年 4 月に発出 ) (http://www.oecd.org/officialdocuments/publicdisplaydocum entpdf/?cote=env/jm/mono(2016)13&doclanguage=en) 27

ディスカッショングループの今後 ( 参考 ) 2018 年の GLP 作業部会会合では 以下の 2 つのトピックについて 新たに産業界にコメントを求めることが合意された 1. 第 33 回 OECD GLP 作業部会会合 (2019 年 3 月 5-7 日 ) で検討して欲しい GLP に関する問題及び懸念事項 2. 産業界から提示された問題点について GLP 作業部会のこれまでの成果が産業界の期待を満たしているかどうか 締め切り :2019 年 1 月 3 日 28

Data Integrity ー Ongoing ー Data Integrity に関するガイダンス文書 (2017 年にトピック化 ) 2017 年の GLP 作業部会会合 英国の医薬当局 (MHRA) により作成された Data Integrity に関するガイダンス案 (MHRA GXP Data Integrity Definitions and Guidance for Industry) をもとに MHRA は GLP 領域で共有される Data Integrity に関する OECD ガイダンス文書の作成を提案し 合意された 2018 年の GLP 作業部会会合 ( 進捗 ) ガイダンス文書初案に英国産業界からのコメントを加えた改定版が提示された 改定版の内容について OECD Advisory Document No.17(the application of GLP Principles to Computerised Systems) との整合性を確認した上で 新しい改定版を作成することが合意された 29

審査当局 (Receiving Authorities) 審査当局のためのガイダンス文書 (2017 年トピック化 ) Ongoing 背景 当該文書の作成はオランダからの提案 加盟国では 提出された資料のGLP 適合性を査察当局ではなく 審査当局が判断するケースが少なくない 特に 審査当局と査察当局が同一組織内にない場合には 適合性に関する照会等に際し 当局間でコミュニケーションが迅速かつ適切に取れないことがある PMDA は 審査当局と査察当局が同一組織内にあるため 双方のコミュニケ - ションに問題はない 審査当局 査察当局 年次報告書 (Annual Overview) について各国で実施されるGLP 査察の年次報告書 (1 年間に査察された施設リスト ) はGLP 査察当局間のみで共有される資料だったが 2016 年の会合にて 欧州委員会からの提案により 加盟各国の 審査当局 にも年次報告書を開示することが決定した 2017 年より EUの各審査当局 (EMA ECHA 及びEFSA) を含む各国審査当局は 自国の査察当局を経由せずに 直接 他国の年次報告書を閲覧することが可能となっている 30

審査当局 (Receiving Authorities) 審査当局のためのガイダンス文書 (2017 年トピック化 ) Ongoing 各国の審査当局に GLP 査察の年次報告書に対するアクセス権が付与されることとなった ( 前述スライド参照 ) が GLP に不慣れな審査当局が年次報告書の記載事項を正確に理解出来るかという懸念があった 2017 年のGLP 作業部会会合 審査当局に対するガイダンス文書の作成 ( 年次報告書の確認方法 審査を行う試験に対してGLP 適合性を判断するためのポイント等の内容を含む ) が提案され 合意された 2018 年のGLP 作業部会会合 ( 進捗 ) オランダを中心としたチームにより ガイダンス文書初案が提示された この文書案に対するコメントを踏まえた改訂版を作成することが合意された 改訂版は各国の審査当局にも提示し コメントを募る予定である 文書発行に際しては 文書の性格上 公開とするか否かは意見が分かれており 本件については来年の会合まで継続審議となった 31

その他の文書 (FAQ5) 試験場所選定に関する文書 (Frequently Asked Question vol.5) Ongoing 複数場所試験の実施において 査察当局による査察実績がない試験場所を選定するケース ( 特に米国 ) が散見されている OECD 加盟国 (MAD 参加国 ) 査察当局による査察実績がない試験場所で作成された GLP データは MAD の対象外であるが 一方で このような試験場所を選定せざるを得ないこともある 2017 年の GLP 作業部会会合 本件に関して オランダとイギリスより 問題解決に向けた提案があり FAQ として文書化されることで合意された 2018 年の GLP 作業部会会合 ( 進捗 ) オランダとイギリスより文書初案が提示されたが 当該文書をFAQとして発出するか あるいは 審査当局のためのガイダンス文書 に内容を盛り込む方が良いか 次回の会合で議論する予定である 32

OECD GLP 作業部会会合 6 技術的な議論 33

技術的な議論とは OECD GLP 作業部会には 各査察当局からの GLP に関する技術的な疑問に対して Web ベースで議論するプラットフォームがある 部会会合では 1 年間に議論されたトピックスを集約し 各トピックスに対する結論を確認している 2018 年は 技術的な疑問について F2F で再度自由に討論する場が設けられたことにより (PMDA が主催した optional session) 多くの議題 (10 議題 ) が集まった その中から一部を紹介する 34

技術的な議論 1(QSAR) Question QSAR( 定量的構造活性相関 Quantitative S tructure- A ctivity R elationship ) ツール (100% in silico) を用いた被験物質の毒性 ( 主に遺伝毒性 ) 予測に対してGLPを適用とした場合 GLP 調査対象とするべきか? 35

技術的な議論 1(QSAR) GLP 作業部会の結論コンセンサスには至らなかったが 今後 QSARによる予測を用いた毒性評価が増えることを考慮し テストガイドラインとGLP の両プログラムの協力のもと QSARを用いた毒性評価のGLP 適用の必要性と価値について 引き続き検討を行うこととなった 36

技術的な議論 2( デジタル病理画像 ) Question GLP 試験において スライド標本を電子的に取り込んだデジタル病理画像を用いて病理学的検査を行うことは可能か? 37

技術的な議論 2( デジタル病理画像 ) GLP 作業部会の結論現在までのところ デジタル病理画像をスライド標本の True Copy とみなすことは難しい 38

その他の事項 2019 年の GLP 作業部会会合 開催日 : 2019 年 3 月 5-7 日 (5 日 :optional session) 場所 : フランス パリ 議長 : Christoph Moor 氏 (FOEN スイス) 副議長 : Louise Calder 氏 (NATA オーストラリア) 39

ご静聴ありがとうございました 40