熊本県発注工事における社会保険等未加入対策の強化について 建設産業における課題 下請企業を中心に 医療 年金 雇用保険について 法定福利費を適正に負担しない企業が存在 技能労働者の処遇が低下し 若年入職者減少の一因 適正に法定福利費を負担する企業ほど受注競争上不利 社会保険等 = 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険 関係者を挙げて 社会保険等未加入問題への対策を進めることで 技能労働者の処遇の向上 建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保 法定福利費を適正に負担する企業による公平で健全な競争環境の構築 熊本県における主な取組み を実現する必要がある 2019 年度以降に実施する新たな取組み ( 熊本県公共工事請負契約約款を一部改正 ) 建設業許可申請時の確認 指導 保険加入状況の確認 (2012.11~) 未加入業者に対する指導 (2012.11~) 未加入業者の保険担当部局への通報 (2013.7~) 経営事項審査における減点幅の拡大等 未加入業者に対する減点幅の拡大 (2012.7~) 減点措置の厳格化 ( ボトムの撤廃 )(2018.4~) 周知 啓発等 熊本県建設業社会保険加入推進地域会議の開催 (2018.11) 法定福利費の確保 県発注工事の予定価格への反映 (2012.7~) 法定福利費を明示した請負代金内訳書の提出 (2019.4 ~) 県発注工事からの社会保険等未加入業者の排除 元請業者を社会保険等に加入する業者に限定 ( 県内建設業者 2017.4~ 県外建設業者 2018.4~) 下請業者を社会保険等に加入する業者に限定 ( 一次下請 2019.4~ 二次以下の下請 2020.4~) 未加入業者を下請負人とした場合の元請に対するペナルティの実施 ( 一次下請 2020.4~ 二次以下の下請 2021.4~) ( 速やかに措置を講ずるよう要請 ) 公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針 の改正 (2014.9.30 閣議決定 ) 社会保険等未加入業者について 定期の競争参加資格審査等により元請業者から排除するほか 元請業者に対し社会保険等未加入業者との契約締結を禁止すること等の措置を講ずること等により 下請業者も含めてその排除を図るものとする と明記 ( 実施するよう勧告 ) 公共工事標準請負契約約款 の改正 (2017.7.25) 発注者から受注者 元請業者から下請業者に対して 社会保険等の加入に必要な法定福利費が支払われるよう 受注者が作成し発注者に提出する請負代金内訳書において 法定福利費を明示するものとする規定が新設 下請業者を社会保険等加入業者に限定するとともに 違反した場合に違約罰として一定額を支払わなければならないこととする規定が新設
1 社会保険等の加入に必要な法定福利費の確保に向けた取組み ( 案 ) 社会保険等への加入を一層推進していくためには 加入に必要な法定福利費が契約段階でも確保されることが重要であることから 熊本県発注の建設工事において 受注者 ( 元請 ) に対し 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険に係る法定福利費を明示した 請負代金内訳書 の提出を求める取り組みを実施します 2019 年 4 月 1 日から 法定福利費を明示した 請負代金内訳書 の提出が必要 受注者 ( 元請 ) は 契約締結後 14 日以内に社会保険等に係る法定福利費を明示した請負代金内訳書を発 注者 ( 工事監督職員 ) に提出してください ただし 入札時に提出した工事費内訳書に法定福利費が明示されている場合は その工事費内訳書を請負代金内訳書として取り扱いますので 請負代金内訳書の提出は不要です 様式例請負代金内訳書 様式は任意 商号又は名称 ( 株 ) 施行番号 代表取締役 印 工事名 国道 号道路改築工事 工事場所 市 町 地内 内訳 ( 単位 : 千円 ) 工事区分 工種 種別 細別 単位 数量 金 額 備 考 A 直接工事費 道路改良 道路土工 掘削工 B その他の経費 共通仮設費 現場管理費 一般管理費等 C 工事価格計 (A+B) D 消費税及び地方消費税相当額 E 工事費計 (C+D) ( 工事価格のうち 現場労働者に関する健康保険 厚生年金保険及び雇用保険の法定の事業主負担額 円 ) 請負代金内訳書には 工事費内訳書に記載が必要な項目 工事価格に占める法定福利費の額 を記載してください 対象となる工事は 2019 年 4 月 1 日以降に入札公告 指名通知又は見積依頼を行う全ての県発注工事です 明示しなければならない法定福利費は 建設工事の直接的な作業に従事する現場労働者に係る社会保険料 ( 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険 ) の事業主負担分が対象です
< 法定福利費の計算方法 > 1 労務費を算出し 法定福利費を求めるケース 法定福利費 = 労務費総額 法定保険料率 法定保険料率は 各保険に応じて 以下のウェブサイトで確認できます 健康保険料 協会けんぽ 厚生年金保険法 日本年金機構 雇用保険法 厚生労働省 入札や見積書作成の際 直接工事費の積算において労務費を使用している場合 当該労務費を使用 入札や見積書作成の際 直接工事費の積算において労務費を使用していない場合 過去の工事実績から平均的な労務費比率を算出し これを工事費に乗じて 労務費を算出 2 労務費の算出が困難なケース 法定福利費 = 工事費 工事費あたりの平均的な法定福利費の割合 過去の工事実績から平均的な法定福利費の割合を算出し これを工事費に乗じて 法定福利費を算出 3 下請企業から提出された見積書等を活用するケース 法定福利費 = ( 下請 A の法定福利費 )+( 下請 B の法定福利費 )+ 下請企業から提出された法定福利費を内訳明示した見積書等を活用 ( 明示された法定福利費の額を合算 ) < 法定福利費の明示にあたっての留意点 > 1 内訳明示の対象について 1 健康保険の保険料は介護保険料 厚生年金保険の保険料は子ども 子育て拠出金と一体で徴収されることから 内訳明示する法定福利費には これらの事業主負担分も含まれます 2 法定福利費の算出について 1 受注者は 下請企業に工事を発注する予定がある場合には < 法定福利費の計算方法 > 中の 労務費総額 又は 工事費 に下請企業の負担分を含めた上で算出することに留意してください 2 受注段階で下請企業が確定しておらず 下請企業が社会保険の適用対象なのか 適用除外 ( 法定福利費無し ) なのか不明である場合には 全ての下請企業が社会保険に加入しているという前提で算出した法定福利費を明示してください
2 熊本県発注工事からの社会保険等未加入業者の排除に向けた取組み ( 案 ) 公平で健全な競争環境を構築する観点から 社会保険等に加入し 法定福利費を適切に負担する建設業者を確実に契約の相手方とすることが重要であることを踏まえ 熊本県発注の建設工事において 社会保険等に未加入である建設業者を下請負人とすることを禁止する取組みを段階的に実施します 1 2019 年 4 月 1 日から 一次下請業者を社会保険等に加入している建設業者に限定 受注者 ( 元請 ) は 社会保険等未加入建設業者との一次下請契約を締結することはできません ( 熊本県公共工事請負契約約款を改正し 社会保険等未加入建設業者との下請契約締結を禁止する条項を規定します ) ただし 特別の事情があると発注者が認めた場合は 発注者が指定する期間内に社会保険等に加入することを条件に下請契約の相手方とすることができます 対象となる工事は 2019 年 4 月 1 日以降に入札公告 指名通知又は見積依頼を行う全ての県発注工事です 社会保険等 とは 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険の 3 保険です 下請負人としてはならない 社会保険等未加入建設業者 とは 建設業の許可を有する者で 事業所として社会保険等の加入義務があるにもかかわらず社会保険等に加入していない事業者です 各保険の適用を除外されている建設業者を下請負人とすることは問題ありません 特別の事情がない場合又は指定期間内に加入の確認ができなかった場合は 契約違反として 受注者に対してペナルティ ( 違約金の請求 ( ) 指名停止措置 工事成績評定の減点 ) を措置します ( ペナルティは 2020 年 4 月 1 日以降に入札公告 指名通知又は見積依頼を行う工事から適用します ) ( ) 受注者と当該未加入業者との下請契約の最終請負代金額の 10% 2 2020 年 4 月 1 日から 全ての下請業者を社会保険等に加入している建設業者に限定 受注者 ( 元請 ) は 社会保険等未加入建設業者を下請負人 ( 二次以下も含む ) とすることはできません ( 熊本県公共工事請負契約約款を改正し 社会保険等未加入建設業者を下請負人とすることを禁止する条項を規定します ) ただし 特別の事情があると発注者が認めた場合 又は発注者が指定する期間内に社会保険等に加入したことが確認できる書類を提出する場合は 下請負人とすることができます 対象となる工事は 2020 年 4 月 1 日以降に入札公告 指名通知又は見積依頼を行う全ての県発注工事です 特別の事情がない場合 かつ 指定期間内に加入の確認ができなかった場合は 契約違反として 受注者に対してペナルティ ( 違約金の請求 ( ) 指名停止措置 工事成績評定の減点 ) を措置します ( ペナルティは 2021 年 4 月 1 日以降に入札公告 指名通知又は見積依頼を行う工事から適用します ) ( ) 当該未加入業者とその注文者との下請契約の最終請負代金額の 5% その他の取扱いは 上記 1 と同じです
2-1 一次下請が社会保険等に未加入である場合のイメージ図 2 施工体制台帳の提出 2019 年 4 月 ~ 発注者 ( 熊本県 ) 受注者 ( 元請業者 ) 1 下請契約の締結 3 理由書の提及出び確認書類 一次下請 ( 社会保険等未加入 ) 4 契旨約の違通反知である 5 通報 特別の事情があると発注者が認める場合は 発注者が指定する期間内 (30 日 ) に加入することを条件に下請契約の相手方として可 3 により 特別の事情を有すると認められない場合 又は期間内に加入が確認できる書類の提出が無い場合は 4 及び 5 へ 5 通報 建設業許可部局 ( 社会保険等部局 ) 2 施工体制台帳の提出 2020 年 4 月 ~ 発注者 ( 熊本県 ) 受注者 ( 元請業者 ) 1 下請契約の締結 3 理由書の提及出び確認書類 4 ペナルティの実施 一次下請 ( 社会保険等未加入 ) 受注者に対し ア ) 違約金の請求 (1 の最終金額の 10%) イ ) 指名停止 ウ ) 工事成績評定の減点 特別の事情があると発注者が認める場合は 発注者が指定する期間内 (30 日 ) に加入することを条件に下請契約の相手方として可 3 により 特別の事情を有すると認められない場合 又は期間内に加入が確認できる書類の提出が無い場合は 4 及び 5 へ
2-2 二次以下の下請が社会保険等に未加入である場合のイメージ図 3 施工体 提出制台帳の 2020 年 4 月 ~ 発注者 ( 熊本県 ) 4 理書由類書の提又出は確認 受注者 ( 元請業者 ) 5 契旨約の違通反知である 6 通報 6 通報 3 施工体 提出制台帳の 2021 年 4 月 ~ 発注者 ( 熊本県 ) 4 理書由類書の提又出は確認 受注者 ( 元請業者 ) 5 ペナルティの実施 受注者に対し ア ) 違約金の請求 (2 の最終金額の 5%) イ ) 指名停止 ウ ) 工事成績評定の減点 1 の下締請結契約 一次下請 建設業許可部局 ( 社会保険等部局 ) 1 の下締請結契約 一次下請 2 の下締請結契約 二次下請 ( 社会保険等未加入 ) 特別の事情があると発注者が認める場合 又は発注者が指定する期間内 (30 日 ) に加入が確認できる書類を提出する場合は下請負人として可 4 により 特別の事情を有すると認められず かつ 期間内に加入が確認できる書類の提出が無い場合は 5 及び 6 へ 2 の下締請結契約 二次下請 ( 社会保険等未加入 ) 特別の事情があると発注者が認める場合 又は発注者が指定する期間内 (30 日 ) に加入が確認できる書類を提出する場合は下請負人として可 4 により 特別の事情を有すると認められず かつ 期間内に加入が確認できる書類の提出が無い場合は 5 及び 6 へ
熊本県発注工事における社会保険等未加入対策の強化について ( 熊本県公共工事請負契約約款の一部改正 ( 案 ):2019.4.1 施行分 ) 2019 年 4 月 1 日以降に入札公告 指名通知又は見積依頼を行う全ての県発注工事から適用します ( 請負代金内訳書及び工程表 ) 第 3 条受注者は この契約締結後 14 日以内に設計図書に基づいて 請負代金内訳書 ( 以下 内訳書 という ) 及び工程表を作成し 発注者に提出しなければならない 2 内訳書には 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険に係る法定福利費を明示するものとする 3 内訳書及び工程表は 発注者及び受注者を拘束するものではない ( 下請負人の通知 ) 第 7 条発注者は 受注者に対して 下請負人の商号又は名称その他必要な事項の通知を請求することができる 第 7 条の 2 受注者は 次の各号に掲げる届出をしていない建設業者 ( 建設業法 ( 昭和 24 年法律第 100 号 ) 第 2 条第 3 項に定める建設業者をいい 当該届出の義務がない者を除く 以下 社会保険等未加入建設業者 という ) を下請契約 ( 受注者が直接締結する下請契約に限る 以下この条において同じ ) の相手方としてはならない (1) 健康保険法 ( 大正 11 年法律第 70 号 ) 第 48 条の規定による届出 (2) 厚生年金保険法 ( 昭和 29 年法律第 115 号 ) 第 27 条の規定による届出 (3) 雇用保険法 ( 昭和 49 年法律第 116 号 ) 第 7 条の規定による届出 2 前項の規定にかかわらず 受注者は 当該建設業者と下請契約を締結しなければ工事の施工が困難となる場合その他の特別の事情があると発注者が認める場合は 社会保険等未加入建設業者を下請契約の相手方とすることができる この場合において 受注者は 発注者の指定する期間内に 当該社会保険等未加入建設業者が前項各号に掲げる届出をし 当該事実を確認することのできる書類を発注者に提出しなければならない
熊本県発注工事における社会保険等未加入対策の強化について ( スケジュール ) 1 法定福利費の確保に向けた取組み 平成 31 年 (2019 年 ) 4 月 1 日 平成 32 年 (2020 年 ) 4 月 1 日 平成 33 年 (2021 年 ) 4 月 1 日 各年の 4 月 1 日以降に入札公告 指名通知又は見積依頼を行う全ての県発注工事から適用 法定福利費を明示した請負代金内訳書の提出 2 社会保険等未加入業者の排除に向けた取組み 1 一次下請業者を社会保険等に加入している業者に限定 ペナルティなし 違反した場合の受注者に対するペナルティあり 2 二次以下全ての下請業者を社会保険等に加入している業者に限定 ペナルティなし