事業事前評価表 国際協力機構地球環境部環境管理第一チーム 1. 案件名 国名 : パキスタン国案件名 : 和名パンジャブ州上下水道管理能力強化プロジェクト英名 Project for Improving the Capacity of WASAs in Punjab Province 2. 事業の背

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は Blue Print for Air Transportation にて民間航空長期計画を作成 アクションプラン DGCA 5-Year Strategic Plan を作成した上 航空安全に係る総合的な対策の強化を図っており 本事業はこれに寄与するもので

事業事前評価表 国際協力機構社会基盤 平和構築部運輸交通 情報通信グループ 1. 案件名国名 : バングラデシュ国案件名 : 和名橋梁維持管理プロジェクト 有償勘定技術支援 英名 Bridge Management Capacity Development Project 2. 事業の背景と必要性

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事業事前評価表

事業事前評価表

事業事前評価表 1. 案件名国名 : ラオス人民民主共和国案件名 : ルアンパバーン世界遺産の持続可能な管理保全能力向上プロジェクト Project for Capacity Enhancement for Sustainable World Heritage Management and Pres

ログラムの審査に産業界からも参画を得ることで 大学がエンジニア予備軍である学部学生に対し社会のニーズに即した教育を実践できるよう 促進する役割を果たしている かかる状況の下 エンジニアの量的拡大が質を伴う形で実現されるよう インドネシア政府は我が国に対し LAM-PS としての インドネシアエンジニ

事業事前評価表

護ディプロマ課程を 3 年制看護ディプロマ課程に変更したのに加え ディプロマ課程看護師の現任研修により学士が取得できる 2 年制ポスト ベーシック課程とは別に大学教育として看護学士課程制度 (4 年制 ) を導入することを定めた 学術的に高度な 4 年制看護学士課程の卒業生は輩出されたばかりであるが

事業事前評価表

事業事前評価表

政府説明資料

援 GHGインベントリ策定にかかる技術移転等 気候変動対策を推し進めるための包括的な支援を実施した 同プロジェクトの成果として 国家気候変動緩和行動計画 (RAN-GRK) に基づき州気候変動緩和行動計画 (RAD-GRK) の策定が進められるとともに 国家気候変動適応行動計画 (RAN-API)

事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 SATREPS) 国際協力機構農村開発部農業 農村開発第一グループ第二チーム 1. 案件名国名 : インドネシア共和国案件名 : 和名 ( 科学技術 ) 食料安全保障を目指した気候変動対応策としての農業保険における損害評価手法の構築と社会実装英名

事業事前評価表 国際協力機構産業開発 公共政策部資源 エネルギーグループ第二チーム 1. 案件名国名 : ザンビア共和国案件名 : 和名ザンビアにおける鉛汚染のメカニズムの解明と健康 経済リスク評価手法および予防 修復技術の開発英名 The Project for Visualization of

支援 及び 不均衡の是正と安全な社会造りへの支援 の中で重点分野として掲げており また JICA も国別分析ペーパーの協力プログラムにおいて 首都圏の都市基盤整備プログラム や 地方開発 拠点都市圏整備プログラム の中で開発課題として位置づけている 上水道セクターにおいては 日本は下記 3.(9)

事業事前評価表

新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

事業事前評価表

2008年6月XX日

事業事前評価表

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1. 案件名 事業事前評価表 ( 開発計画調査型技術協力 ) 作成日 :2017 年 11 月 29 日 担当部署 : 地球環境部水資源グループ 国名 : ルワンダ 案件名 : キガリ市上水道改善整備マスタープランプロジェクト Project for Water Supply Master Plan

研究は重要項目とされている 本事業は CERMEL と長崎大学の共同研究を通じて 1 対象地域におけるウイルス感染症の流行状況の解明 2 新規に同定されたウイルスの性状解析 3 公衆衛生対策上優先度の高いウイルスに対する診断法の開発を行い ガボン側研究機関のウイルス感染症研究開発の能力向上に貢献する

欠であり 運輸交通分野を中心に膨大なインフラ投資が必要になると見込まれる これらのインフラ整備にあたっては 案件ごとにマスタープランから工事まで段階を踏んで検討 建設が進められるが 対象地の地形などを確認 把握するため 検討段階に応じた精度の地図が必要となる 現在 同国では基本的な測地基準点網が整備

(Microsoft Word - \216\226\221O\225]\211\277\225\\ doc)

事業事前評価表 1. 案件名 ( 国名 ) 国際協力機構南アジア部南アジア第四課 国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 貧困削減戦略支援無償 ( 教育 ) (Poverty reduction efforts) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における初等教育セクターの現状と課題バン

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事業事前評価表

Microsoft Word - 事前評価

(2) 当該国における地震防災分野の開発政策と本事業の位置づけネパール政府は 2009 年に災害リスク国家管理戦略を制定し 対象災害の一つとして地震を上げている 地震防災分野は 2009 年に設置された National Platform for Disaster Risk Reduction にお

令 (2006 年 5 号 ) では 2025 年までの国家エネルギー政策の数値目標を設定し エネルギー供給量に対する新 再生可能エネルギーの目標値を 17%( うち地熱エネルギーは 5 %) に定めた また 2010 年の Vision 25/25 において 新 再生可能エネルギーの目標値を 25

無償資金協力 案件概要書 2017 年 8 月 29 日 1. 基本情報 (1) 国名 : カンボジア王国 (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 : シハヌークビル特別市 プノンペン (3) 案件名 : 港湾近代化のための電子情報処理システム整備計画 (The Project for Port

政府説明資料

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事業事前評価表

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Microsoft Word - MMR事業事前評価表.doc

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0528事業事前評価表(円借款+附帯技プロ)final.doc

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JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

新JICAにおける事前評価(技協・無償)について


Microsoft Word - 事前評価表最終版0623final.doc

ジャカルタ大都市圏空港整備計画調査の必要性については JICA が 2008 年 1 月に実施した 次世代航空保安システム整備に係るフィージビリティー調査 でも提言がなされており 既存空港の拡張及び効率的運用を含めたジャカルタ首都圏周辺の適切な空港整備に係る長期的な計画を策定する必要性は高い インド

架鉄道三路線 ( うち 二路線は軽量 ) の総延長は 50km にとどまっている 首都圏南方については マニラ市ツツバンからカブヤオ市ママティッドまでの区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみである 首都圏北方は 居住エリアが拡大しているものの 十分な公共交通手段が確保されていないた

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事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 (SATREPS)) 農村開発部農業 農村開発部第二グループ 1. 案件名国名 : スーダン共和国案件名 : 和名ストライガ防除による食料安全保障と貧困克服英名 The project for development of counter mea

区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみであり 十分な公共交通手段が確保されていないため 同エリアと周辺に住む住民はバスや自動車等により通勤しているが 道路の混雑により 通勤に大きな支障が出ている 加えて 南北鉄道事業南線 ( 通勤線 ) ( 以下 本事業 という ) の対象区間には

政府説明資料

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事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 (SATREPS)) 国際協力機構地球環境部防災第一チーム 1. 案件名国名 : フィリピン共和国案件名 : 和名 フィリピンにおける極端気象の監視 情報提供システムの開発 英名 The Project for Development of Ex

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国 アメリカ ロシアに次いで世界第 4 位の電力消費国となっている (2014 年 ) 国内の電力供給に関しては 1,114,408GWh の需要に対して供給量は 1,090,851GWh と 2.1% の不足 供給能力もピーク時 153,366MW の需要に対して 148,463MW と 3.2%

評価調査結果要約表 1. 案件概要 国名 : メキシコ合衆国案件名 : メキシコ国電子分野における研究 教育手法の開発分野 : 中小企業振興援助形態 : 技術プロジェクト所轄部署 : 中南米部中米 カリブチーム協力金額 ( 評価時点 ):20,375 千円協力期間 (R/D):2003 年 11 月

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と衝突して沈没し 147 人が死亡 2014 年 8 月にはパドマ川で約 250 人を乗せたフェリーが荒天のため転覆し 110 人が死亡等の大事故が発生している また 同国は 雨季には大型サイクロンが度々ベンガル湾から来襲し 沿岸部で遭難事故が多発するなど 地理的に自然災害の影響を受けやすい地域であ

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プロジェクト ( 年 ) 独 (KfW): 西ナイル地区に特化した配電網の拡充 小水力の開発 ( 年 ) 3. 事業概要 (1) 事業の目的ウガンダにおける産業活性化が期待できる地方において 長距離配電線 (33kV 配電線 ) の資機材の調達 据付を行うことによ

第1章 調査の概要

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事業事前評価表

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H28秋_24地方税財源

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官 処理場管理 Ⅱ 専攻は 第 1 回が

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評価調査結果要約表(中間評価)

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム (SATREPS) JST 中間評価 1 の実施要領 平成 29 年 6 月改定 JST 国際部 SATREPS グループ 1. 地球規模課題国際科学技術協力 (SATREPS) プロジェクトの中間評価について SATREPS は JST による研究支援お

事業事前評価表

事業事前評価表

の無償資金協力で整備されたニバンガⅢ 号 (2015 年 ) 及びマヌフォラウ号 (2002 年 ) が担っているが これら定期船 2 隻は 1 回の航海で複数の離島に寄港するため 限られた時間内での離島訪問等には対応できないため マナウイ号が補完的な役割を担っている しかしながら マナウイ号は現在

事業事前評価表 ( 開発計画調査型技術協力 ) 作成日 :2016 年 7 月 11 日担当部署 : 産業開発 公共政策部民間セクターグループ第二チーム 1. 案件名国名 : エチオピア連邦民主共和国案件名 : ( 和名 ) 産業振興プロジェクト ( 英名 )Industrial Promotion

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政策目標 6-2: 開発途上国における安定的な経済社会の発展に資するための資金協力 知的支援を含む多様な協力の推進 1. 政策目標の内容自由かつ公正な国際経済社会の実現やその安定的発展に向け 開発途上国における貧困の問題や気候変動等の地球環境問題等の課題への対応を含む国際的な協力に積極的に取り組むこ

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資料 - 5 討議議事録 (M/D)

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

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030514第1回資料2-4最終

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平成17年3月24日

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

Microsoft Word - 終了時本文0218.doc

08 年 月 日 バングラデシュ 地理情報標準策定計画 / GIS 計画 サモア ジェンダー分析 平和構築 国家地理空間情報整備支援プロジェクト詳細計画策定調査 ( 地理情報標準策定計画 / GIS 計画 ) 09 年 月中旬 ~ 現地派遣渡航留意 09/0/9 ~ 09/0/08 09 年 月下旬

新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

おらず 園芸作物の生産量の増加につれ 収穫期の値崩れや農産物の廃棄 低い保存 加工技術 資金へのアクセス等の課題に直面しており 収入が期待通りに伸びていない また 農家への技術支援を担う中央や地方の行政機関の職員および普及員数は少なく 十分に機能していない状況にあり 小規模農家の根本的な課題解決には

DDL12Prnt001

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提案評価基準

平成

を余儀なくされている発表されている このような状況下 当国 NGO カサ アリアンサは 1988 年の設立以来 メキシコ市において路上生活を営む子供の保護 心身のケア 家族との再会支援 社会的自立に向けた教育支援に取り組んできた JICA は 2000 年 12 月から 3 年間 カサ アリアンサを

Transcription:

事業事前評価表 国際協力機構地球環境部環境管理第一チーム 1. 案件名 国名 : パキスタン国案件名 : 和名パンジャブ州上下水道管理能力強化プロジェクト英名 Project for Improving the Capacity of WASAs in Punjab Province 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における水セクター / パキスタンの開発実績 ( 現状 ) と課題 パキスタン国 ( 以下 パキスタン ) パンジャブ州の主要 5 都市 ( ラホール ファイサラバード ムルタン ラワルピンディ グジュランワラ ) では 各都市の上下水道局 (WASA:Water and Sanitation Agency) が担当地域内の上下水道サービスの提供を一手に担っている その運転維持管理 財務能力は不十分で 非従量制で低く抑えられた水道料金による赤字経営 運転資金及び施設更新費用の欠如に加え 井戸から配水管への直接配水等の非効率な水道施設運転や不定期的な水質検査 不十分な設備点検から生じる欠陥 老朽した水道管 運転維持管理能力の低さ等多くの課題を抱えている このため パンジャブ州政府は各 WASA の運転維持管理能力 経営能力強化が同州における上下水道サービスの向上において 不可欠であるとの認識している このような背景の下 州都ラホールの WASA が所有する WASA Training Center を パンジャブ州住宅都市開発 公衆衛生局 (The Housing, Urban Development and Public Health Engineering Department:HUD&PHED) の管理下で 5 都市の WASA に開かれたパンジャブ WATSAN(Water and Sanitation) アカデミーとして発展拡充する計画が 2009 年 4 月に州政府および各 WASA の代表により正式に決定された パンジャブ州政府は 2009/2010 年度の州政府予算を確保し 施設の拡張および既往施設のリハビリ等に着手することとしていたが 別の場所に新設する方針とした これに伴い 国や州に対して案件概要書 (PC-1) が 2013 年に再承認され その内容に従い 同アカデミーが新設された HUD&PHED は 5 都市の WASA の技術者および経営者層を含む職員を再教育することで 上下水道事業の組織体制や運営維持管理能力の改善を進める方針であるものの 同アカデミーの運営管理体制の確立 研修コースの内容やその実施方法 教員育成方法等のソフト面については十分な方針や具体的な計画がなく喫緊の課題となっている JICA はこれまでパンジャブ州主要 5 都市に対し 無償資金協力及び技術協力を実施している 本プロジェクトの研修内容は これまでの JICA のプロジェクトで実施する研修を通じて補完することが期待できるため パンジャブ州内主要 5 都市で本プロジェクトを実施する意義は高い

(2) 当該国における水セクター / パキスタンの開発政策と本事業の位置づけ パキスタンの上下水道セクターは教育や保健と並び 貧困削減に資する重要な開発分野として位置づけられている パキスタン政府は National Drinking Water Policy では 水資源の保全 効率的な水道システムの維持管理に関して記載している 他方 National Sanitation Policy では 健康的な生活を可能とする環境の提供を目標とし 適切な下水システムの管理が重点とされている (3) 水セクター / パキスタンに対する我が国及び JICA の援助方針と実績 対パキスタン国別援助方針 (2012) において 人間の安全保障と社会基盤の改善 を重点分野に挙げており 対パキスタン JICA 国別分析ペーパーにおいても WASA の運営 維持管理能力の向上を課題としている また 対パキスタン事業展開計画においては 衛生 衛生改善 は重要な開発課題に位置づけられ JICA の協力プログラム 水と衛生の確保プログラム に位置付けられている JICA はこれまで パンジャブ州において上下水 雨水排水に係る技術協力及び無償資金協力を実施してきた 本プロジェクトはパンジャブ州にある 5 つの WASA の職員を対象とした研修プロジェクトであることから これまで JICA が実施したラホール等での組織改善を他都市へ普及させる効果が期待できる (4) 他の援助機関の対応 世界銀行は Punjab Cities Governance Improvement Project を実施中 パンジャブ州内 5 つの WASA における行政能力の向上を目的として 対象 5WASA が所有する資産管理及びその維持管理費用補てん並びに職員の能力開発に係る活動への資金援助を行っている 3. 事業概要 (1) 事業目的 ( 協力プログラムにおける位置づけを含む ) 本事業は パンジャブ州において パンジャブ WATSAN アカデミーの研修システムが構築されること 同アカデミーの講師が上下水道システム及び経営改善のために WASA および公的機関の水セクター職員に対して研修を実施すること及び同アカデミーで研修を受けた研修生が上下水道システム及び機械の維持管理 漏水管理に関する OJT を実施することにより 同アカデミーが WASA 及び公的機関の水セクター職員に対する能力開発の研修機関として機能することを図り もって WASA の上下水道サービスが改善されることに寄与するものである (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 パキスタン国パンジャブ州 (3) 本事業の受益者 ( ターゲットグループ ) 直接裨益者 ( ターゲットグループ ) は パンジャブ州 WASA の全職員の内

研修対象となっている経営者 技術者 技能工 ( 約 2,000 人 ) である 間接裨益者は 上記 5 都市の WASA の上下水道の運営維持管理能力の強化によって質のよい上下水道サービスを享受する 5 都市の WASA 給水区域住民 ( 約 1,400 万人 ) である (4) 事業スケジュール ( 協力期間 ) 3 年 (2015 年 3 月 ~2018 年 2 月 (36 か月 )) (5) 総事業費 ( 日本側 ) ( 検討中 ) (6) 相手国側実施機関 パンジャブ州住宅都市開発 公衆衛生局 (HUD&PHED) パンジャブ州アーバン ユニット WASA ラホール WASA ファイサラバード WASA ムルタン WASA ラワルピンディ WASA グジュランワラ (7) 投入 ( インプット ) 1) 日本側 専門家 : チーフアドバイザー / 研修管理 / 水セクター維持管理 漏水探知 上水道施設維持管理 汚水管 雨水排水路維持管理 上下水道事業経営管理 カリキュラム構築 評価 研修技術 ( 総計 88M/M) 資機材 : 共用機材 ( パソコン UPS) 井戸およびポンプ設備維持管理の研修に必要な機材 漏水探知の研修に必要な機器 本邦研修 2) パキスタン国側 カウンターパート職員 ( 総括 プロジェクトディレクター プロジェクトマネージャー 事務長 OJT マネージャー ) 講師 (Faculty)) 事務所スペースおよび事務設備 (8) 環境社会配慮 貧困削減 社会開発 1) 環境に対する影響 / 用地取得 住民移転 1 カテゴリ分類 C 2 カテゴリ分類の根拠 本事業は 国際協力機構環境社会配慮ガイドライン (2010 年 4 月公布 ) 上 環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため カテゴリ C に該当する

(9) 関連する援助活動 1) 我が国の援助活動 ( 無償資金協力 ) ファイサラバード市上水道施設改善計画 (1997) ラホール市下水 排水施設改善計画 (2004) ラホール市下水 排水施設緊急復旧計画 (2010-2012) ファイサラバード上水道整備計画 (2010-2012) ファイサラバード上水道拡充計画 (2010-2012) グジュランワラ下水 排水能力改善計画 (2013-2015) ラホール給水設備効率化計画 (2013-2015) ファイサラバード下水 排水能力改善計画 (2011-) ( 有償勘定専門家 ) ラホール WASA 経営改善 (Ⅰ) 及び (Ⅱ)(2010-2012) ( 技術協力 ) ファイサラバード上下水道公社組織改善アドバイザー (2013-2015) ( 円借款 ) ラホール上下水道整備事業協力準備調査 (2010) ( 基礎情報収集調査 ) 都市上下水セクター情報収集確認調査 (2009) パキスタン国主要都市上水道セクター情報収集 確認調査 (2012) 2) 他ドナー等の援助活動 世界銀行 : Punjab Large Cities Program Water Supply and Sanitation Program(2003-) Punjab Cities Governance Improvement Project ADB: Second 10 cities Program Punjab Community Water Supply and Sanitation Sector Project(2002-2007) Southern Punjab Basic Urban Services Project ( 2003-2009 ) Rawalpindi Environmental Improvement (2005-2009) :Sindh Cities Improvement Investment Program(2009-2018) DFID: Extension of Water Resources for Faisalabad City:2010-2015) 4. 協力の枠組み (1) 協力概要 1) 上位目標と指標 WASA の上下水道サービスが改善される [ 指標 ] 保守点検記録 漏水調査の活動エリア面積 漏水修理箇所数及び雨水管の浚渫回数等事業経営 運転維持管理の到達度を示すパフォーマンス指標がプロジェクト完了後目標値に達する 2) プロジェクト目標と指標 [ プロジェクト目標 ] パンジャブ WATSAN アカデミーが WASA および公的機関の水セクター職

員に対する能力開発の研修機関として機能する [ 指標 ] 指標 1 研修コースが策定された年間業務が 成果 1 で作成される年間計画どおりに実施される 指標 2 各 WASA の事業経営 運転維持管理のパフォーマンス指標が改善される 3) 成果 [ 成果 1] パンジャブ WATSAN アカデミーのカリキュラム テキスト 人員体制 年間計画等から成る研修システムが構築される [ 成果 2] パンジャブ WATSAN アカデミーの講師が上下水道システムおよび経営改善のために WASA および公的機関の水セクター職員に対して研修を実施できるようになる [ 成果 3] パンジャブ WATSAN アカデミーで研修を受けた研修生が上下水道システムおよび機械電気の維持管理 漏水管理に関する OJT を実施する プロジェクト開始後 2 ヶ月を目途に指標のベースライン調査を実施する 5. 前提条件 外部条件 (1) 前提条件 PC-1 が計画委員会 (CDWP) によって承認される パンジャブ WATSAN アカデミーの職員が雇用される 予算 施設 人事 組織体制を含めたパンジャブ WATSAN アカデミーの運営管理計画が作成される (2) 外部条件 ( リスクコントロール ) 訓練されたパンジャブ WATSAN アカデミー職員が辞職しない 6. 評価結果 本事業は パキスタン国の開発政策 開発ニーズ 日本の援助政策と十分に合致しており また計画の適切性が認められることから 実施の意義は高い 7. 過去の類似案件の教訓と本事業への活用 (1) 類似案件の評価結果及び本事業への教訓 ベトナム 中部地域都市上水道事業体能力開発プロジェクト は 研修センタ

ーにおける研修能力強化を目的として実施された しかし 終了時評価での懸念事項として 研修センターの持続性が挙げられた その教訓から パンジャブ WATSAN アカデミーでの研修をパンジャブ州水道事業体職員の昇進の条件とし アカデミーの持続性を制度上確保するよう配慮した パキスタン 環境モニタリング支援プロジェクト では 本プロジェクトと同様に複数の機関から研修生が参加する技術協力プロジェクトであった 同じ職位であっても技術レベルが大きく異なっていたため 研修を進めながら各自の技術レベルを把握し 必要に応じて個人指導を行った 研修生の理解度を常にモニターし それに対応した上記の取組みは大変効果的であり 本プロジェクトにおいても活用すべき教訓である 8. 今後の評価計画 (1) 今後の評価に用いる主な指標 4.(1) のとおり (2) 今後の評価計画 事業開始 2か月事業終了 3 年度 ベースライン調査事後評価