海洋生物環境研究所研究報告 第21号Web用

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1 海水 (1) 平成 30 年 2 月の放射性セシウム 海水の放射性セシウム濃度 (Cs )(BqL) 平成 30 年 平成 29 年 4 月 ~ 平成 30 年 1 月 平成 25 ~28 年度 ~0.073 ~ ~0.

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降下物中の 放射性物質 セシウムとヨウ素の降下量 福島県の経時変化 単位 MBq/km2/月 福島県双葉郡 I-131 Cs Cs-137 3 8,000,000 環境モニタリング 6,000,000 4,000,000 2,000,000 0 震災の影響等により 測定時期が2011年7

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本稿では 福島第一原発事故の約 3 か月後か Bq L と低い放射能濃度であった 以上 ら観測を開始した金沢大学環日本海域環境研究 の観測結果より 河川水の Cs 全放射能濃度 センター低レベル放射能実験施設の測定結果を は流域の放射性 Cs 沈着量に依存して変動する 中心に 現在までの

はそれぞれ 4~7 歳と推定された 当該ユメカサゴの検体は 4 個体を混合したものだったことから 今回の測定値は 4 個体の平均濃度を示しており 4 個体のそれぞれの濃度を知ることは出来ない このため 測定に供さなかった魚の頭部 ( 骨等の可食部以外の部位を含む ) を細断し これを検体として個体別

福島水試研報第16号 平成25年3月

タイトル

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福島第1原子力発電所事故に伴う 131 Iと 137 Csの大気放出量に関する試算(II)

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2 号機及び 3 号機 PCV - 分析内容 原子炉格納容器 (PCV) 内部調査 (2 号機平成 25 年 8 月 3 号機平成 27 年 10 月 ) にて採取された (LI-2RB5-1~2 LI-3RB5-1~2) を試料として 以下の核種を分析した 3 H, Co, 90 Sr, 94 N

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表 3 TABLE 3 線量係数 DOSE COEFFICIENTS (msv/bq) (a) 年齢グループ Age Group 放射性核種 3ヶ月 1 歳 5 歳 10 歳 15 歳 成人 Radionuclide 3 month 1 year 5 year 10 years 15 years A

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スライド 1

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2 トリチウムの基本情報 トリチウムは水素の放射性同位体 ( 宇宙線等により生成するため 河川 海など自然界にも存在 ) トリチウムは β 線を放出するが トリチウムの β 線はエネルギーが小さいため 紙 1 枚で遮へいが可能 また そのため 外部被ばくはほとんどない 福島県河川水及び水

0 棄却限界値検出限界値 ない 分布 ある 分布 バックグラウンド 検出されない 検出されるかもしれない 検出される 図 2 検出限界値のイメージ AT1320A/C で出力される検出限界値 通常 検出限界値の算出には試料を測定したときの計数値を使用しますが AT1320A/C で出力される検出限界

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福島第一発電所構内で採取した建屋内瓦礫の放射能分析

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7-1 2007年新潟県中越沖地震(M6.8)の予測について

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Transcription:

海生研研報, 第 21 号,23-32,2015 Rep. Mar. Ecol. Res. Inst., No. 21, 23-32, 2015 資料 磯野良介 *1 稲富直彦 *1 高田兵衛 *1 長谷川一幸 *1 池上隆仁 *1 渡邉幸彦 *2 山田裕 *3 渡部輝久 *3 鈴木千吉 *3 御園生淳 *3 森薗繁光 *3 *1 日下部正志 Cs and 90 Sr Concentration Changes in Seawater and Bottom Sediments Collected from 2011 to 2014 around Japan after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident Ryosuke S. Isono *1, Naohiko Inatomi *1, Hyoe Takata *1, Kazuyuki Hasegawa *1, Takahito Ikenoue *1, Yukihiko Watanabe *2, Hiroshi Yamada *3, Teruhisa Watabe *3, Chiyoshi Suzuki *3, Jun Misonoo *3, Shigemitsu Morizono *3 and Masashi Kusakabe *1 要約 : 海洋生物環境研究所では 1984 年以降, 全国の原子力発電所沖合海域及び福島第一原子力発電所の周辺海域において, 海水と海底土中の人工放射性核種の濃度を継続的に調査している 福島第一原発事故後 4 年目の 2014 年度における原子力発電所沖合海域及び, 福島第一原子力発電所周辺海域における海水中の Cs 濃度は, 多くの海域で事故前と同程度の値であったが, 福島県を中心とした隣接県では事故前の水準を超える値が認められ, 福島第一原子力発電所から 10km 圏内の表層水は,30km 圏外の濃度より一桁程度高い水準が継続していた 一方, 90 Sr 濃度は, 全ての海域 (10km 圏内では計測せず ) で, ほぼ事故前の水準に低下した 2014 年度における原子力発電所沖合海域の海底土中の Cs 濃度は, 福島県を中心とした太平洋沿岸の海域 ( 宮城, 福島第一, 福島第二, 茨城, 静岡 ) と新潟海域ではなお, 事故前 5 年間の値を超えるレベルが維持されていた キーワード : 海水, 海底土, Cs, 90 Sr, 福島第一原子力発電所事故 Abstract: Marine Ecology Research Institute has been conducting the monitoring survey of marine radioactivity in the coastal sea nearby all nuclear power stations around Japan since 1983 and in the waters off Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant (FNPP) in response to the FNPP accident since 2011. Concentration of radionuclides driven from the FNPP showed decline over time after the accident in each monitoring area. Four years after the accident, the concentrations of Cs in seawater and bottom sediments off Fukushima were still maintained at the level one order of magnitude higher than those observed before the accident. The concentration of 90 Sr in seawater decreased to the pre-accident levels in all monitoring stations. Key words: seawater, bottom sediment, Cs, 90 Sr,Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident (2015 年 8 月 5 日受付,2015 年 9 月 30 日受理 ) *1 公益財団法人海洋生物環境研究所中央研究所 ( 299-5105 千葉県夷隅郡御宿町岩和田 300 番地 ) *2 公益財団法人海洋生物環境研究所実証試験場 ( 945-0017 新潟県柏崎市荒浜四丁目 7-17) *3 公益財団法人海洋生物環境研究所事務局 ( 162-0801 東京都新宿区山吹町 347 番地藤和江戸川橋ビル 7 階 ) E-mail: inatomi@kaiseiken.or.jp 23

磯野ら : 福島第一原発事故後 4 年間の Cs と 90 Sr 濃度の推移 まえがき ( 公財 ) 海洋生物環境研究所は, 全国の原子力発電所に隣接する海域 ( 以下, 原子力発電所等周辺海域と示す ) において, 人工放射性核種の濃度調査を1983 年度から行っている これに加え東京電力福島第一原子力発電所 ( 以後, 福島第一原発と略す ) 事故が発生した2011 年 3 月以降は, 福島第一原発周辺の沖合 ( 以後, 福島モニタリング海域と示す ) において, 同原発から飛散 漏洩した人工放射性核種の拡散状況を明らかにする調査を実施している これらの調査のうち1983~2013 年度の結果については, 既に詳細な報告がなされている ( 高田 鈴木, 2003; 及川ら, 2013, 2014; 磯野ら, 2015) 本報告では主に2014 年度 (2014 年 2 月 ~2015 年 2 月 ) の調査結果をもとに, 福島第一原発事故に由来する核種について事故後 4 年間の濃度推移を紹介する なお, 本報告は, 原子力規制庁の委託により当研究所が実施した 平成 26 年度海洋環境における放射能調査及び総合評価事業 の成果の一部をとりまとめたものである 方法調査海域と測点調査海域, 測点配置, 試料採取の方法, 放射性核種分析法等は, 各調査の開始当初より同様に継続されており, 以下では,2014 年度の調査の概要を示す 全国の17 原子力発電所沖に合計 15 海域 ( 原子力発電所等周辺海域 ) を設定し ( 第 1 図 ), 各海域にそれぞれ4 測点が設けられている これらは, 1983 年以降の調査開始時に設定された定点であり 2014 年度も引きつづき同一測点で調査を行った また, 福島第一原発事故後, 新たな観測点が福島モニタリング海域に設定されており,2014 年度は同原発から30km 圏外に位置する沖合海域 32 点と外洋海域 10 点,10km 圏内の沿岸海域 7 点において調査を行った ( 第 2 図 ) 第 2 図 Cには, 原子力発電所等周辺海域調査として, 事故前から設けられている宮城, 福島第一, 福島第二及び茨城海域の定点を併せて示した 第 1 図 全国 17 ヶ所の原子力発電所沖に設定した 15 の調査海域 ( 原子力発電所等周辺海域 ) から10~40m 上 ) の2 層について行った 福島モニタリング海域のうち沖合海域では5 月,8 月,11 月及び2015 年 1~2 月の4 回, 外洋海域では5 月,11 月の2 回, 沿岸海域では毎月 1 回,1 試料当り60~ 80 Lの海水をバンドン型採水器で採取した 沖合及び外洋海域では同一測点において2~7 層, 沿岸海域では表層 ( 海面から0.5m 下 ) のみから採水を行った いずれの海水試料も濾過はせず, 海水 1L 当り2mLの6M 塩酸または濃硝酸を採水直後に添加した 海底土試料の採取原子力発電所等周辺海域では全測点において, 海水試料採取後にエクマンバージ採泥器またはボックスコアラー ( 一辺 45cm 四方ステンレス製のボックスにより最大 40cm 程度の深さの柱状試料が採取される ) で海底土を採取した 福島モニタリング海域では沖合海域の32 測点において, 海水試料採取後にマルチプルコアラー ( 内径 8 cmのアクリルパイプ 8 連により柱状試料を採取し水密を保つ機構により攪乱の少ない試料が採取される ) で海底土を採泥した 各採泥器で採取した海底土の表面から深さ3cmまでの層を約 2.5kg 分取し, 放射能測定用試料とした 海底土試料は分析に供するまで, 冷蔵または冷凍保存した 海水試料の採取原子力発電所等周辺海域では 2014 年 5~6 月に1 回,1 試料当り100~200Lの海水をバンドン型採水器で採取した 採水は同一測点において, 表層 ( 海面から1m 下 ) と下層 ( 海底 試料の放射能分析海水試料の Csは放射性セシウム分析法 ( 文部科学省,1976) に従って化学分離により調製した測定試料をガンマ線スペクトロメトリー ( 文部科学省,1992) で, 同試料の 90 Srは 24

磯野ら : 福島第一原発事故後 4 年間の Cs と 90 Sr 濃度の推移 A 放射性ストロンチウム分析法 ( 文部科学省, 2003) に従ってイオン交換樹脂を用いて分離したストロンチウム分画からミルキング手法で分離した 90 Yを低バックグラウンドベータ線計測により定量した 海底土は乾燥処理した後プラスチック製容器へ一定量分取し, ガンマ線スペクトロメトリーにより Csを定量した 各試料の定量下限値は海水では Csが約 0.3 mbq/l, 90 Srが約 0.4 mbq/ L, 海底土では Csが約 0.7 Bq/kg-dryである これら分析法の詳細は及川 (2012), 及川ら (2013) を参照されたい 結果と考察 第 2 図 B 福島第一原子力発電所周辺の沖合 ( 福島モニタリング海域 ) に設定した測点 (2014 年度 ) A: 福島第一原子力発電所から 30km 圏外の測点 ( 沖合海域と外洋海域 ),B: 福島第一原子力発電所から 10km 圏内の測点 ( 沿岸海域 ),C: 原子力発電所等周辺海域の宮城, 福島第一, 福島第二及び茨城海域における測点 1~4 の位置 赤丸, 青丸で示される測点は第 2 図 A と同じ C 海水中の Cs 及び 90 Sr 1983~2014 年度に原子力発電所等周辺海域で観測した表層水の Cs 及び 90 Sr 濃度を第 3 図に示した 過去の大気圏核爆発実験に由来する Cs 及び 90 Srは, 各海域の表層水でそれぞれの調査開始年度から継続して確認された 海域によりチェルノブイリ原子力発電所事故に起因する Cs 濃度の一時的な上昇が1986 年度に認められるが, それ以外は2010 年度までいずれの海域でも Cs 及び 90 Sr 濃度は一定の放射能比を保ちながら, 同様な漸減傾向を示した その減少率 ( 見かけの半減期 ) は及川ら (2013) によると, 各核種の物理的半減期 ( Cs: 30.0 年, 90 Sr: 28.7 年 ) より短い12~20 年程度である 福島第一原発事故前の2010 年度の各海域における表層水の濃度は Csが1.1~1.9 mbq/l, 90 Srが0.92~1.4 mbq/lの範囲にあった 2011 年度は福島第一原発事故の影響を受けて, 海水中の Cs 濃度は福島県及びその近隣県のみならず他の一部の県の沖合においても上昇した その後 2014 年度までの海水中の Cs 濃度推移は, 青森, 宮城, 福島第一, 福島第二及び茨城海域において減少傾向, 石川, 福井第一 第二, 島根, 愛媛, 佐賀, 鹿児島, の各海域では, 事故前のレベルから微増傾向, その他の海域については, 事故前のレベルと同程度の値が継続している状況が認められた 事故後 4 年間の経年変化について Cs 濃度を第 4 図, 90 Sr 濃度を第 5 図に示した なお, 図には事故による付加がないと考えられる事故前 5 年間 (2006~2010 年度 ) に15 海域で観測された濃度の範囲を破線で示した 原子力発電所等周辺海域の表層水で観測された 2011 年度の Cs 濃度は, 宮城海域が27 mbq/l, 25

磯野ら : 福島第一原発事故後 4 年間の Cs と 90 Sr 濃度の推移 (mbq/l) Cs 134+ Cs 90 Sr 第 3 図 1983~2014 年度に原子力発電所等周辺海域の表層水で観測された Cs 及び 90 Sr 濃度 2011 年度にベータ線計測した試料には Cs の他, 134 Cs が含まれる可能性があるため 134+ Cs と標記した 各値の縦棒は計数誤差 (1σ) を示す 26

磯野ら : 福島第一原発事故後 4 年間の Cs と 90 Sr 濃度の推移 福島第一海域が300 mbq/l, 福島第二海域が510 mbq/l, 茨城海域が130 mbq/l, 静岡海域が5.2 mbq/lであり, 事故前 5 年間の最大値 (2.4 mbq/l) を超えていた ( 第 4 図 ) 2012 年度の Cs 濃度は, 宮城, 福島第一, 福島第二及び茨城海域では2011 年度と比べそれぞれ1 桁ほど低下し, 静岡海域では最大値が2.0 mbq/lであり事故前 5 年間の水準に低下した 以降, これらの海域では Cs 濃度が年々降下する傾向にあり,2014 年度の Cs 濃度の最大値は, 宮城海域が3.3 mbq/l, 福島第一海域が5.3 mbq/l, 福島第二海域が5.1 mbq/l, 茨城海域が2.9 mbq/lであり事故前 5 年間の水準と同程度か約 2 倍であった 原子力発電所等周辺海域の表層水で観測された 2011 年度の 90 Sr 濃度は, 福島第一海域が8.8~24 mbq/l, 福島第二海域が11~16 mbq/l, 茨城海域が0.90~2.5 mbq/lであり, 事故前 5 年間の最大値 (2.0 mbq/l) を超える測点があった ( 第 5 図 ) 2014 年度の 90 Sr 濃度の最大値は, 福島第一海域が 1.2 mbq/l, 福島第二海域が1.3 mbq/l, 茨城海域が1.1 mbq/lであり, ほぼ事故前 5 年間の水準に低下した 福島モニタリング海域で観測された海水中の Cs 濃度は, 事故後大きく上昇し, 特に表層水はその傾向が顕著であった ( 第 6 図 ) 福島第一原発から30km 圏外において, 表層水の Cs 濃度は, 2011 年 4 月に最高値の186 Bq/Lが観測され, 同年 10 月にかけて急速に低下した後は減少傾向が緩やかになり,2013 年度に0.01 Bq/L 前後,2014 年度に0.01 Bq/L 以下になった 福島第一原発から 10km 圏内での表層水の Cs 濃度は,2015 年 1 月に 0.005( 測点 T-D5)~0.14 Bq/L( 測点 M-101) の範囲にあり, 福島第一原発近傍の測点では30km 圏外の濃度より一桁高い水準にあった ( 第 2 図の測点参照 ) 2014 年度においても福島第一原発事故によると考えられる Cs 濃度の上昇が海水にみられる海域は, 福島県を中心とし, 宮城県から千葉県北部に至る沖合海域の沿岸部や, 沿岸海域であり, 事故前 5 年間の水準の数倍以上の値が検出されている 福島第一原発を中心とした沿岸部で濃度が高い結果について, 前報では, 主に福島第一原発からの Csの漏洩が継続していること ( 青山, 2014), また, 陸域に降下した Csの一部が河川を通じて海域に供給されること (Nagao et al., 2013; Ueda et al., 2013; Takata et al., 2015) が関 係するものと推察している 海底土中の Cs 1983~2014 年度に原子力発電所等周辺海域で観測した海底土中の Cs 濃度を第 7 図に示した 海底土中の Csは, 海水と異なり同一海域でも測点による濃度差が大きく, 各調査年度内でばらつきがみられるものの, 調査開始時から事故前までの期間を通覧すると, それぞれの海域で減少傾向がみられた なお,1986 年に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故に起因する Cs 濃度の上昇は, いずれの海域の海底土でも確認されなかった 福島第一原発事故前の2010 年度の各海域における海底土中の Cs 濃度は,0.72~ 7.1 Bq/kg-dryの範囲にあった 2011 年度は福島第一原発事故の影響を受けて, 福島県を中心とした太平洋沿岸 ( 宮城, 福島第一, 福島第二, 茨城, 静岡 ) と新潟海域で海底土中の Cs 濃度に上昇が認められた 事故後 4 年間の Cs 濃度の経年変化を第 8 図に示した 原子力発電所等周辺海域の海底土中で観測された2011 年度の Cs 濃度は, 宮城海域が16~75 Bq/kg-dry, 福島第一海域が51~220 Bq/kg-dry, 福島第二海域が16~65 Bq/kg-dry, 茨城海域が3.8~27 Bq/kgdry, 新潟海域が3.1~19 Bq/kg-dryであり, これらの海域の多くの測点で事故前 5 年間の最大値 (7.7 Bq/kg-dry) を超えていた これらの海域における海底土中の Cs 濃度は,2012 年度に低下がほとんど認められなかったが,2013 年度は福島第一海域で前年度の約半分に低下するものの, 他海域の一部測点では濃度増加が認められた 2014 年度は福島第一海域の一部測点 ( 測点 3,310Bq/kgdry) で前年度を上回ったほか, 全海域を通してほぼ横ばいであった 福島モニタリング海域の海底土中で観測された Cs 濃度分布は, 全体的に測点毎の値のバラつきが大きいが, 沖合に比べ沿岸部で高くなる傾向が継続しながら時間の経過に従い濃度が下がりつつある傾向が認められた 沿岸部 ( 深度 200m 以浅 ) の濃度は必ずしも福島第一原発との距離との関係は明確では無く, 宮城及び茨城県沖合においても相対的に高い値が認められた ( 第 9 図 ) 以上の様に, 福島第一原発事故の影響により海底土の Cs 濃度が上昇した海域では, 経年的な濃度の降下傾向は認められるものの, その傾向は海水に比べ緩やかであった この理由について, 海底土中では物理的拡散効果が海水に比べ小さい事 27

磯野ら : 福島第一原発事故後 4 年間の Cs と 90 Sr 濃度の推移 第 4 図 原子力発電所等周辺海域の表層水で観測された Cs 濃度の福島第一原子力発電所事故後 4 年間の変化 各値の縦棒は計数誤差 (1σ) を示す 第 5 図 原子力発電所等周辺海域の表層水で観測された 90 Sr 濃度の福島第一原子力発電所事故後 4 年間の変化 各値の縦棒は計数誤差 (1σ) を示す 1000 100 10 1 0.1 0.01 0.001 0.0001 2011/03/01 3/1 2012/03/01 3/1 2013/03/01 3/1 2014/03/01 3/1 2015/03/01 3/1 第 6 図 福島第一原子力発電所周辺の沖合 ( 福島モニタリング海域 ) の海水中で観測された Cs 濃度の経日変化 10km 圏内での調査は 2013 年 11 月から開始した 各値の縦棒は計数誤差 (1σ) を示す Oikawa et al. (2013) 及び及川 高田 (2014) の結果に原子力規制庁の公表値を加えグラフを修正した 28

磯野ら : 福島第一原発事故後 4 年間の Cs と 90 Sr 濃度の推移 29 第 7 図 1983~2014 年度に原子力発電所等周辺海域の海底土表層 3cm で観測された Cs 濃度 図中にプロットが無い場合は, 該当する調査年度の全測点で値が検出下限値以下であったことを示す 各値の縦棒は計数誤差 (1σ) を示す Cs (Bq/kg-dry)

磯野ら : 福島第一原発事故後 4 年間の Cs と 90 Sr 濃度の推移 に加え, 事故後, 大気経由で広域的に付加された後, 河川等による陸からの流出, 福島第一原発からの直接漏洩 3.5 10 15 Bq(Tsumune et al., 2013) の一部が, 沈降し堆積する効果, 等の影響が指摘されている なお, 日下部 (2014) では沖合海域の海底土表層 3cmに留まる Csの総量が,2011 年 9 月時点で5.3 10 13 Bq,2013 年 11 月時点で2.2 10 13 Bqと見積もっており, その減少傾向から, 沖合海域の海底土中の Csの実効半減期約 2 年と算出している また, 新潟海域の海底土への福島第一原発事故影響に関連して, 新潟県の報告によると,2014 年 10 月時点においても, 阿賀野川及び大河津分水の河口域で採取した底土中から, 福島第一原発事故の影響の指標となる 134 Csと併せ, Cs が比較的高い濃度で検出されており ( 新潟県, 2015), 事故後 4 年経過した状況においても, 新潟県沿岸から新潟海域の調査点へ福島第一原発由来の Csが付加されている可能性を示唆している まとめ 福島第一原発事故から4 年経過した2014 年度において, 海水中の Cs 濃度は確実に低下し, 多くの海域で事故前 5 年間と同程度の水準であったが, 福島県を中心とした隣接県では事故前の水準を超 える値が認められた 90 Sr 濃度は, 全ての海域で, ほぼ事故前 5 年間の水準に低下した 福島第一原発で生じる汚染水の処理は, 事故当時に比べ格段に進展しているものの, 海洋への流出は現在も発生していることから, 海洋での人工放射性核種の濃度調査が今後も重要である 福島第一原発周辺の沖合における海底土中の Cs 濃度は, 測点毎に大きく上下するものの, 時間の経過に従い低下する傾向が認められた 同海域全体では Csの物理的半減期を超える速度で低下する傾向が試算されている ( 日下部,2014) が, その要因解明は今後の課題である 謝辞本報告で用いたデータは, 文部科学省及び原子力規制庁から受託した 海洋環境における放射能調査及び総合評価事業 の成果の一部である 2014 年度の本事業実施に際し, 全国漁業協同組合連合会, 各県漁業協同組合連合会及び地元漁業協同組合の皆様に, ご理解とご協力を賜った 試料採取では, 海洋エンジニアリング株式会社及び三洋テクノマリン株式会社, 海洋試料分析では, 公益財団法人日本分析センター, 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 株式会社環境総合テクノス及び一般財団法人九州環境管理協会の皆様のご協力を頂いた 記して心より感謝いたします 第 8 図 原子力発電所等周辺海域の海底土表層 3cm で観測された Cs 濃度の福島第一原子力発電所事故後 4 年間の変化 各値の縦棒は計数誤差 (1σ) を示す 引用文献青山道夫 (2014). 東京電力福島第一原子力発電所事故に由来する汚染水問題を考える. 科学, 84, 0856-0864. 磯野良介 高田兵衛 山田裕 稲富直彦 渡部輝久 鈴木千吉 御園生淳 森薗繁光 日下部正志 (2015). 福島第一原子力発電所事故後 3 年間における日本周辺の海水及び海底土中の Cs 及び 90 Sr 濃度の推移. 海生研研報, No. 20, 57-65. 日下部正志 (2014). 福島県および近隣県沖海域における海水 海底土中の放射性核種濃度の時系列変化. 海洋と生物, No. 212, 277-282. 文部科学省 (1976). 放射能測定法シリーズ3, 放射性セシウム分析法, 昭和 51 年改訂. 文部科学省, 東京, 1-56. 文部科学省 (1992). 放射能測定法シリーズ7, ゲ 30

磯野ら : 福島第一原発事故後 4 年間の Cs と 90 Sr 濃度の推移 第 9 図 福島第一原子力発電所周辺の沖合 ( 福島モニタリング海域 ) の海底土表層 3cm で観測された Cs 濃度の経年変化 等深線は 200m ピッチで示す 31

磯野ら : 福島第一原発事故後 4 年間の Cs と 90 Sr 濃度の推移 ルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリー, 平成 4 年改訂. 文部科学省, 東京, 1-362. 文部科学省 (2003). 放射能測定法シリーズ2, 放射性ストロンチウム分析法, 平成 15 年改訂. 文部科学省, 東京, 1-161. Nagao, S., Kanamori, M., Ochiai, S., Tomihara, S., Fukushi, K. and Yamamoto, M. (2013). Export of 134 Cs and Cs in the Fukushima river systems at heavy rains by Typhoon Roke in September 2011. Biogeosciences, 10, 6215 6223. 新潟県 (2015). 福島第一原子力発電所事故に伴う新潟県内の放射線等の監視結果 (2014 年版 ). (http://www.pref.niigata.lg.jp/html_ Article/801/423/hukusima_2014.pdf). (2015 年 7 月 17 日アクセス ) 及川真司 (2012). 海洋環境試料の放射能分析. 海洋と生物, No. 200,206-216. Oikawa, S., Takata, H., Watabe, T., Misonoo, J. and M. Kusakabe (2013). Distribution of the Fukushima-derived radionuclides in seawater in the Pacifi c off the coast of Miyagi, Fukushima, and Ibaraki Prefecture, Japan, Biogeosciences, 10, 5031-5047. 及川真司 渡部輝久 高田兵衛 鈴木千吉 中原元和 御園生淳 (2013). 日本周辺の海水, 海底土, 海産生物に含まれる 90 Sr 及び Cs 濃度の長期的推移 チェルノブイリ事故前から福島第一原子力発電所事故後まで. 分析化学 (Bunseki Kagaku), 62, 455-474. 及川真司 高田兵衛 磯山直彦 稲富直彦 渡部輝久 鈴木千吉 御園生淳 森薗繁光 日下部正志 (2014). 日本周辺海域環境での 90 Sr 及び Cs 濃度の長期的推移 - 昭和 58 年度 ~ 平成 24 年度までの調査結果 -. 海生研研報, No.19, 1-15. 及川真司 高田兵衛 (2014). 福島県沖合を中心とした太平洋側海域での海水中の 90 Sr 及び Cs の濃度変遷. ぶんせき, 10, 539-542. 高田和男 鈴木譲 (2003). わが国の原子力発電所周辺海域における海産生物, 海底土および海水中 Cs 濃度の長期傾向. 保健物理, 38, 128-139. Takata, H., Hasegawa, K., Oikawa, S., Kudo, N., Ikenoue, T., Isono, R.S. and Kusakabe, M. (2015). Remobilizaiton of radiocesium on riverine particles in seawater: The contribution of desorption to the export flux to the marine environment. Mar. Chem., 176, 51-63. Tsumune, D., Tsubono, T. Aoyama, M., Uematsu, M., Misumi, K., Maeda, Y., Yoshida, Y. and Hayami, H. (2013). One-year, regional-scale simulation of Cs radioactivity in the ocean following the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant accident. Biogeosciences, 10, 5601-5617. Ueda, S., Hasegawa, H., Kakiuchi, H., Akata, N., Ohtsuka, Y. and Hisamatsu, S. (2013). Fluvial discharges of radiocaesium from watersheds contaminated by the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant Accident, Japan. J. Environ. Radioact. 118, 96 104. 32