Economic Indicators   定例経済指標レポート

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経済情報:日銀短観(2011年6月)の結果について.doc

第 70 回経営 経済動向調査 公益社団法人関西経済連合会 大阪商工会議所 < 目次 > 1. 国内景気 2 2. 自社業況総合判断 3 3. 自社業況個別判断 4 4. 現在の製 商品およびサービスの販売価格について 8 参考 (BSI 値の推移 ) 11 参考 ( 国内景気判断と自社業況判断の推


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[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

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平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

平成10年7月8日

中小企業の動向

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目次 調査結果の概要 1 小企業編 中小企業編 概況 3 概況 15 調査の実施要領 4 調査の実施要領 16 業況判断 5 業況判断 17 売上 1 売上 2 採算 11 利益 21 資金繰り 借入 12 価格 金融関連 22 経営上の問題点 13 雇用 設備 23 設備投資 価格動向 14 経営

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2018年夏のボーナス見通し

円安の波及効果と企業収益に与える影響

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景気見通し調査 ( 平成 25 年 3 月期 ) 調査結果 福井商工会議所 中小企業総合支援センター 調査の概要 当調査は 福井商工会議所管内の小規模事業所の短期的な景気動向を把握するため 毎年 3 月 6 月 9 月 12 月の年 4 回実施している 調査時期 平成 25 年 3 月 13 日 (

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2017年夏のボーナス見通し

経済・物価情勢の展望(2018年1月)

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 30 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 30 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 30 年 1~3 月期 来期平成

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 28 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 28 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 29 年 1~3 月期 来期平成

ニュースリリース 食品産業動向調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 2 6 日 株式会社日本政策金融公庫 食品産業景況 DI 4 半期連続でマイナス値 経常利益の悪化続く ~ 31 年上半期見通しはマイナス幅縮小 持ち直しの動き ~ < 食品産業動向調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日

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月例経済報告

平成 21 年第 1 回 ( 平成 21 年 2 月 1 日実施 ) 鳥取県企業経営者見通し調査報告 目次ヘ ーシ 御利用にあたって 1 1 業界の景気判断 3 2 自己企業の売上高判断 5 3 自己企業の経常利益判断 7 4 生産数量の判断 9 5 在庫水準の判断 10 6 生産設備の規模判断 1

滋賀県内企業動向調査 21 年 1- 月期定例項目結果 1. 自社の業況判断 (1) 自社の業況判断 DI は 四半期連続のプラス水準を維持も は 四半期ぶりにマイナス水準に低下 1. の動向 ( 図 1-1) 今回の調査 (1 年 1- 月期 ) での自社の業況判断 DI は前回 (-9 月期 )

新規文書1

マイナス金利付き量的 質 的金融緩和と日本経済 内閣府経済社会総合研究所主任研究員 京都大学経済学研究科特任准教授 敦賀貴之 この講演に含まれる内容や意見は講演者個人のものであり 内閣府の見解を表すものではありません

経済・物価情勢の展望(2017年10月)

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経済・物価情勢の展望(2017年7月)

2016年冬のボーナス見通し

平成22年7月30日

企業経営動向調査0908

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第2部

生活衛生関係営業の景気動向等調査 平成17年7~9月期

金融政策決定会合における主な意見

貸出は積極的だが消費者向けの環境に変化

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景気動向調査平成 3 年 1~12 月期実績 平成 31 年 1~3 月期予想 概況 業況 DI は改善 来期は悪化するもプラスを維持する見込み 今期の全業種総合業況判断 DIは 前期比 2.5 ポイント上昇の 9. と改善した 製造業は前期比 1.5 ポイント上昇の 14. 非製造業は同 2.9

熊本商工会議所 製本第四四半期(HP・報道機関用)

トラック運送事業の経営実態 全日本トラック協会は全国のトラック運送事業者 2,188 社 ( 有効数 ) の平成 25 年度事業報告書に基づき集計 分析した 経営分析報告書 ( 平成 25 年度決算版 ) をまとめた 全日本トラック協会が平成 4 年度から発行しているこの報告書は 会員事業者が自社の

月例経済報告

1. 総論 総括判断 県内経済は 緩やかに回復しつつある 項目前回 (3 年 4 月判断 ) 今回 (3 年 7 月判断 ) 前回比較 総括判断緩やかに回復しつつある 緩やかに回復しつつある ( 注 )3 年 7 月判断は 前回 4 月判断以降 足下 (7 月末 ) の状況までを含めた期間で判断して

平成22年7月30日

Economic Indicators   定例経済指標レポート

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平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

物価の動向 輸入物価は 2 年に入り 為替レートの円安方向への動きがあったものの 原油や石炭 等の国際価格が下落したことなどから横ばいとなった後 2 年 1 月期をピークとし て下落している このような輸入物価の動きもあり 緩やかに上昇していた国内企業物価は 2 年 1 月期より下落した 年平均でみ

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資料1

経済見通し

経済・物価情勢の展望(2016年10月)

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ニュースリリース 農業景況調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 1 8 日 株式会社日本政策金融公庫 平成 30 年農業景況 DI 天候不順響き大幅大幅低下 < 農業景況調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日本政策金融公庫 ( 略称 : 日本公庫 ) 農林水産事業は 融資先の担い手農業者

Ⅲ.2019 年 10 月の消費増税に伴う資金需要について 2019 年 10 月の消費増税に伴う資金需要については 増加する が 2 割台半ば (26. 4%) 資金需要の中身は 消費増税後の需要減退 ( 売上減少 ) への備え 消費税の納税資金の増加 がともに半数超 (50.6%) で最多 消費

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消費税増税後の仕入・販売単価に関する東北6県企業の動向調査

第 1 四半期の売上収益は 1,677 億円となり 前年からプラス 6.5% 102 億円の増収となりました 売上収益における為替の影響は 前年 で約マイナス 9 億円でしたので ほぼ影響はありませんでした 事業セグメント利益は 175 億円となり 前年から 26 億円の減益となりました 在庫未実現

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我が国中小企業の課題と対応策

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

ファンダの鬼・柳澤 浩と小杉 篤諭の「ファンダメンタルズの学び方、活かし方セミナー!」

1. 総論 総括判断 都内経済は 回復している 項目前回 ( 1 月判断 ) 今回 (3 年 1 月判断 ) 前回比較 総括判断回復している 回復している ( 注 )3 年 1 月判断は 前回 1 月判断以降 1 月に入ってからの足下の状況までを含めた期間で判断している ( 判断の要点 ) 個人消費

熊本商工会議所 製本第四四半期(HP用)

< 業種別 > 2 製造業主要判断 の推移 製造業 29/ /3 見込 /6 予想 < 製造業 > 当期 は 8.0( 前期比 -1.7) 当期 は 9.1( 同 -8.9) 当期 は 5

2. 利益剰余金 ( 内部留保 ) 中部の 1 企業当たりの利益剰余金を見ると 製造業 非製造業ともに平成 24 年度以降増加傾向となっており 平成 27 年度は 過去 10 年間で最高額となっている 全国と比較すると 全産業及び製造業は 過去 10 年間全国を上回った状況が続いているものの 非製造

景気見通し調査 ( 平成 24 年 12 月期 ) 調査結果 福井商工会議所 中小企業総合支援センター 調査の概要 当調査は 福井商工会議所管内の小規模事業所の短期的な景気動向を把握するため 毎年 3 月 6 月 9 月 12 月の年 4 回実施している 調査時期 平成 24 年 11 月 30 日

参考資料いちよし証券投資情報部 2019 年 10 月 7 日 極端な悲観相場の修正へ 業績の下方修正リスクも織り込み 日米経済指標に注目 最終ページに お客様にご確認いただきたい重要な注意事項を記載しております 必ずご確認ください

平成 21 年 9 月 5 日 角山智 投資環境レポート (2009 年 9 月 ) 1. 主な株価指数 8 月は 中国株が大幅に値下がりしました 反面 出遅れていた英国株が好調です 市場 日本株 日本新興市場 J-REIT 米国株 英国株 中国株 ( 指数 ) (TOPIX) (JASDAQ) (

Economic Trends    マクロ経済分析レポート

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マーケット フォーカス経済 : 中国 2019/ 5/9 投資情報部シニアエコノミスト呂福明 4 月製造業 PMI は 2 ヵ月連続 50 を超えたが やや低下 4 月 30 日 中国政府が発表した4 月製造業購買担当者指数 (PMI) は前月比 0.4ポイントの 50.1となり 伸び率がやや鈍化し

SERIまんすりー2月号 今月のみどころ

当面の金融政策運営について(貸出増加支援資金供給の延長等、12時29分公表)

第30回秋田県内企業景気動向調査

第2部

○ユーロ

中国:PMI が示唆する生産・輸出の底打ち時期

サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

長と一億総活躍社会の着実な実現につなげていく 一億総活躍社会の実現に向け アベノミクス 新 三本の矢 に沿った施策を実施する 戦後最大の名目 GDP600 兆円 に向けては 地方創生 国土強靱化 女性の活躍も含め あらゆる政策を総動員することにより デフレ脱却を確実なものとしつつ 経済の好循環をより

記者配布資料大阪経済記者クラブ会員各位 平成 30 年 5 月 9 日 中堅 中小企業の経営課題に関するアンケート調査 結果について お問合先 大阪商工会議所経済産業部 ( 山田 西田 ) TEL: 調査概要 調査目的 : 中堅 中小 小規模企業の業況や経営課題 賃上げ 補助

< 業種別 > D.I. 2 製造業主要判断 D.I. の推移 製造業 30/ /9 見込 /12 予想 < 製造業 > 当期 は 24.5( 前期比 +0.8) と景況感は横ばいであった

News Release 2018 年 8 月 1 日 香川県内民間企業の 2018 年夏季ボーナス支給見込み アンケート調査結果について 百十四銀行 ( 頭取綾田裕次郎 ) では 香川県内に本社または主工場をもつ民間企業 640 社を対象として 2018 年夏季ボーナスの支給予想について アンケー

経済学でわかる金融・証券市場の話③

企業物流短期動向調査 ( 日通総研短観 ) 調査結果 ( 抜粋 ) (2008 年 9 月調査 ) 2008 年 10 月 株式会社日通総合研究所 ホームページはこちら

中小企業の雇用・賃金に関する調査結果(全国中小企業動向調査(中小企業編)2015年10-12月期特別調査)

Transcription:

217-2 217 年 4 月 3 日 団体年金事業部 3 月短観は +2 ポイントと着実な改善 ~ 目立つのは仕入コストの上昇 ~ 当社のシンクタンク 株式会社第一生命経済研究所の熊野首席エコノミストによる 3 月短観は+2 ポイントと着実な改善 ~ 目立つのは仕入コストの上昇 ~ をお届けいたします ( 別添参照 ) 本日日本銀行が発表した短観によると 大企業 製造業の業況判断 D I が前回比 + 2 ポイントの改善となりました 本年金通信は 短観の内容解説や 今後の金融環境及び金融政策の見通しについて記したレポートになっておりますので 是非ご一読下さい 以上

Economic Trends 経済関連レポート 3 月短観は +2 ポイントと着実な改善発表日 :217 年 4 月 3 日 ( 月 ) ~ 目立つのは仕入コストの上昇 ~ 第一生命経済研究所経済調査部担当熊野英生 ( :3-221-223) 短観の業況判断 DI は 大企業製造業で前回比 +2 ポイントの改善 思ったよりも改善ペースは小さ かった 変化として目立つのは仕入コストの上昇であり いくつかの業種では採算改善を足踏みさせ ると警戒しているようだ 設備投資はそれほど強くないが 設備判断 雇用判断では中小企業の不足 感が急加速している 業況改善業況改善の方向感 日銀短観 (217 年 ) 大企業製造業の業況判断業況判断 DI DI は 前回比 +2 ポイント大企業中小企業 の改善となった ( 前回 製造業 非製造業 製造業 非製造業 今回 12) はん用機械( 前 214 年 17 24 4 8 12 19 1 2 回比 +12 ポイント ) 自動 13 13-1 車 ( 同 +8 ポイント ) 電気 12 月調査 12 16 1-1 機械 ( 同 +6 ポイント ) など 2 年 12 19 1 3 23 4 加工組立の主要どころは軒 12 2 3 並み改善した 寄与度ベー 12 月調査 12 2 216 年 6 22-4 4 スではやはり電気機械のイ 6 19 - ンパクトは大きい その一 6 18-3 1 方 石油石炭製品 紙パ 12 月調査 18 1 2 食品など仕入れ価格も同時に高くなって 限界的な利 ( 出所 ) 日本銀行 全国短期経済観測調査 以下同じ 12 2 4 先行き 11 16-1 益率の改善が思ったほど進まないと感じた業種も見受けられる DI は景気の横の広がりを示す指標なの で 今回の結果は仕入コストをなかなか販売価格に転嫁しにくいと感じている企業があることが 景気 回復の裾野の広がりを制約していることが分かる 中堅 中小企業製造業については 大企業以上に良くなっている 中小企業製造業は前回比 +4 ポイ ント 中堅企業製造業は前回比 + ポイントも改善している 景気回復は横の広がりが今ひとつだとし ても 縦 ( 規模別 ) の広がりは順調である 海外経済の拡大が 大企業製造業から中堅 中小企業製造 業へと広がっている 非製造業は 大企業と中小企業がともに前回比 +2 ポイントの改善である 個人向けは 対個人サー ビス ( 前回比 +7 ポイント ) 小売 ( 同 +2 ポイント ) と良くなった これは円安でインバウンド需要が それなりに貢献し さらにその需要がモノからコトへとシフトしていることも反映しているのだろう 反面 通信では極端な割引セールスが行いにくくなったことで業況が足踏みした リースでは一時に比 べて長期金利が戻っていることや 競合激化が響いたとみられる まだ 内需はそれほど強くなってい ないことを表しているのだろう 短観から読み取れる金融政策への評価は デフレ脱却には少し時間を 要するということだろう - 1 -

慎重に見える収益計画現在の景気回復の原動力は海外からの追い風である 大企業製造業の 217 年度の輸出計画は前年比 +.6% とプラス計画である 前年の では 216 年度計画が 1.% だったのに比べると良くなっている また 想定為替レートは 相変わらず慎重だ 216 年度 7.3 円 / ドルから 217 年度 8.43 円 / ドルと小幅しか円安を見込んでいない 216 年度下期の平均レートが 112 円 / ドルなので 217 年度は円安が少し後退することを覚悟しているということであろうか (%) 大企業 製造業の輸出 国内売上計画の推移 12.3 輸出 国内売上高.9.1 2.3 1.8.6..6 -.8 3.1 - ( 円 / ドル ) 12 1 9 8 想定為替レートと実際のレート ドル円レート 4/3 午前 9 時 111.26 円 / ドル 想定為替レート 実際のレート 217 年度 :8.43 円 / ドル上半期 :8.4 円 / ドル下半期 :8.42 円 / ドル 216 年度 :7.3 円 / ドル上半期 :6.4 円 / ドル下半期 :8.1 円 / ドル 12 13 14 16 17 7 9 11 12 13 14 16 17 大企業製造業の 217 年度経常利益計画は前年比.3% とほぼ横ばいである 例年 では初めて翌年度の計画が示される 214 年度から 4 年連続でほぼ横ばいを続けている このことは たとえ海外から追い風が吹こうとも 企業の慎重さはそう簡単には変化しないことを感じさせる これは 春闘交渉にも同様に感じられる特徴である 円安頼みの企業収益回復を期待せず きちんと利鞘がとれてから収益改善を確かめるという姿勢に見える (%) 大企業 製造業の経常利益計画の推移 6 48.7 4 3 2 12.4 11..3 - -2-3 11.4 (%) 大企業 非製造業の売上 経常利益計画の推移 3 2 24.6 売上高 2 経常利益 11..4 3.7 2.3 3.7 1.4...1-2.8. - 12 13 14 16 17 12 13 14 16 17 仕入コストの上昇 今回 変化として目立っているのは 仕入コストの上昇である 大企業製造業の仕入価格 DI は前回比 +13 ポイントの上昇 中小企業でも同じく +12 ポイント上昇した 販売価格は 大企業 中小企業とも に前回比 +4 ポイントであり 仕入コストの上昇に対して 製品値上げが追いついていないことが暗示 される これが業況改善の広がりを制 約したと筆者は見ている 一方 今後は 企業の仕入コスト転 嫁がうまく出来ないとは言い切れない 面もある なぜならば 製商品サービ ス需給は中小製造業では前回比 + ポ イントの改善となり 在庫水準も順調 に減っているからだ 販売価格 DI も 大企業 中小企業ともに前回比 +4 ポ イントの上昇は着実とみることもでき ( ポイント ) 大企業 製造業の価格判断 DI の推移 8 6 4 2-2 -4-6 ( 改善 ) ( 悪化 ) 1 2 3 4 6 7 8 9 11 12 13 14 16 17 仕入価格 素材 仕入価格 加工 販売価格 素材 販売価格 加工 - 2 -

る 筆者は 現実はどうかという点よりも 多くの企業がまだ価格転嫁を怖がっていて それがまさしくマインドを弱めていると考える 物価はマインドで決まるという点で黒田総裁は正しいのだが インフレ予想を日銀がコントロールできると過大評価しているところは間違いだ 先に見た企業の事業計画では 売上高経常利益率が示されている 大企業製造業は 216 年度 6.% ( 前回比 +.3% ポイント ) 217 年度 6.44% の計画である 過去のピークが 26 年度 6.76% だから もう少しで過去最高の利益率を更新する一歩手前まで来ている ハードデータはこれほどしっかりしているのに 企業マインドはまだまだ慎重さが根強い これこそがデフレ心理の核心だろう 不足の実感は中小企業で急進大企業製造業の設備投資計画は 216 年度前年比 +6.2%( 前回比 4.% ポイント ) 217 年度は前年比 +.3% である 217 年度は 初回調査としては平均よりも少しだけ強い 大企業非製造業は 216 年度前年比 1.1% とマイナスに沈んだ 217 年度も前年比 2.% と弱めが続く 中小企業は 非製造業が 216 年度前年比 +6.3% と 2 年度実績の前年比 +.2% に続いて 2 年連続のプラスだ もっとも 217 年度はさすがに前年比 27.% と大きなマイナス計画で始まっている 総じて見ると 設備投資はここに来て強いという材料はなく 順調に積み増していると評価できる (%) 大企業 設備投資計画の推移 (%) 中小企業 設備投資計画の推移製造業 2 3 製造業 26.7 24. 非製造業 2 非製造業 9.6 11. 8.4 6. 13.9.2 6.3 2.6 4.4 6.2.3.6.6-4.. 9.4 1.6 1. -2 1.4 1.1 2. - -3 27. - -4 12 13 14 16 17 12 13 14 16 17 反対に 設備投資はハードデータよりも ソフトデータの方が強い すなわち 生産 営業用設備判断 DI は 中小企業全産業で前回 1 の 不足 超から今回 3 へと 変化幅で 2 ポイントほど不足の方向になっている 同様に 雇用人員判断 DI も 中小企業全産業で前回比 4 ポイントの 不足 超幅の拡大が起こった 2 月の完全失業率が 2.8% と 一段下がったことと連動しているようにも思える 人手不足感は従来から言われてきているが これがさらに進むと 賃上げが圧力という前向きな評価よりも 中小企業の成長制約としてマイナス効果を及ぼすのではないかと心配させる ( ポイント ) 生産 営業用設備判断 DI の推移 2 ( 設備余剰 ) 2 大企業中小企業 ( 設備不足 ) 3-96 97 98 99 1 2 3 4 6 7 8 9 11 12 13 14 16 17 ( ポイント ) 雇用判断 DI の推移 4 ( 人員余剰 ) 3 2 - -2 大企業 ( 人員不足 ) -3 中小企業 28-4 96 97 98 99 1 2 3 4 6 7 8 9 11 12 13 14 16 17 金融政策への評価黒田総裁は 今回の短観をどのように見つめているであろうか 筆者の推測では 業況 DI が+2 ポイントに止まったことよりも 人手不足や設備不足の方に熱い視線を送っているのではないか 総裁の任期は約 1 年となり 218 年 4 月までにどこまで物価 2% の将来像を企業などに信じてもらえるかが勝負 - 3 -

になっている すでに9 月のイールドカーブ コントロールで打てる弾は出し尽くした これで物価上昇の気運が高まらなければ 残りの任期は 死に体 となる ラッキーなことに トランプ大統領が当選すると同時に 株 為替は相場が駆け上がった このまま円安効果が消費者物価の上昇ペースをどこまで後押しできるのか 短観でコストプッシュ圧力が次々に川下へと転嫁されて 企業収益が国内支出増へとつながれば 2% とはいかないまでも1% 近くの消費者物価上昇率までは行く可能性がある これが黒田総裁の 最後の賭け である 筆者は マインド面に弱さがあるところは気になる それでも 人員 設備の不足感が増してきたことは評価したい 黒田総裁の 最後の賭け は 点ではないが ~6 点に着地できれば良さそうだ そう感じさせるのが今回の短観だ - 4 -