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Transcription:

鹿児島純心女子短期大学研究紀要第 45 号,115-126 2015 - 学生支援 教育支援サイト - 寺田将春 * **, 末永勝征 T he Manag ement and Operation of Moodle at Kag oshima Immaculate Heart Colleg e -Student Support and Educational Support Website- Masaharu T erada * and Katsuyuki Suenag a ** 鹿児島純心女子短期大学 ( 以下, 本学 ) は平成 20 年度に選定された文部科学省戦略的大学連携支援事業の総合的連携型 ( 広域型 ) 事業 鹿児島はひとつのキャンパス 地域のリーダー養成のための大学連携と総合教育の構築 に参加したことを発端とし,e-learning システム Moodle を導入した それからサーバ及びシステム運用も6 年目となり, 学内での Moodle の管理 運用も様々な問題の解決や普及への取り組みを行うことによって, 安定, 定着してきたと言える 本稿では, 本学の6 年間における Moodle の管理, 運営方法に関する報告を行い, 今後の可能性について考える Key Words: [Moodle][ICT 活用教育 ][e-learning][ 学生支援 ][ 教育支援 ][ システム管理 運用 ] (Received September 24, 2014) 1. はじめに 昨今の教育事情において, 文部科学省より ICT 活用推進が呼びかけられる中, 短期大学の専門教育においても,e-learning を始めとする ICT 活用教育の導入は課題となっていた しかし,ICT 活用教育推進の為の教員及び職員の支援体制を整えるためには多大な労力とコストが必要であり, 導入は難しい状況にあった ところが, 平成 20 年度に選定された文部科学省戦略的大学連携支援事業 ( 以下, 連携事業 ) をきっかけに, 本学においても e-learning システム Moodle を基幹とするハード ソフト 運用 活用推進に関するインフラの整備を行い,ICT 活用教育を推進する為の体制作りを始めることが可能となった また, 平成 21 年度学生支援推進プログラム ( 以下, 支援事業 ) も支えとなり, 学生支援体制でも Moodle を活用させ, 教育支援と学生支援の両面で ICT の活用 * 鹿児島純心女子短期大学情報システム課 ( 890-8525 鹿児島市唐湊 4 丁目 22 番 1 号 ) ** 鹿児島純心女子短期大学情報処理センタ ( 890-8525 鹿児島市唐湊 4 丁目 22 番 1 号 ) -115-

鹿児島純心女子短期大学研究紀要第 45 号 (2015) を推し進めることが出来るようになった しかし, 連携事業並びに支援事業が終了した後の e-learning システムの継続的な運用と支援体制の維持に関しては, 少なからず労力とコストが必要となり, 省労力化 低コスト化の実現を視野に入れつつも, 利用者を取り巻く情報通信環境の変化や ICT 活用教育の進歩にも柔軟かつ先進的に対応する必要があった 本稿では,ICT 活用推進の中でも Moodle の導入から現在までの6 年間における様々な環境の変化に伴う問題解決や普及への取り組みを報告するとともに, そこから本学での今後の課題や可能性について考える 2.Moodle の構成と経緯 ⑴ 教育支援 Moodle 連携事業の一環にて平成 21 年度 3 月に導入した教育支援 Moodle は学内サーバ 1 台で構成され, 一般的に公開されている標準的な Moodle1.9.5+ を導入した ( 表 1) この際, 利用者の利便性向上のため, 鹿児島大学にて開発された Moodle-Lite を導入し, 携帯電話による お知らせ フォーラム オンライン課題 小テスト フィードバック 出席 各機能への一部アクセスが可能となった また, 連携事業にて大学間の学習コンテンツ共有の為に鹿児島大学に導入された ASP Moodle と Moodle ネットワークにて接続を行い, 連携事業に参加する12 大学等を結ぶ ICT 活用ネットワークへの参加も行った 1) 学内での運用は平成 21 年度前期より行うこととした 管理 運用を行う人材は鹿児島大学を中心とした連携事業全体で5 名の ICT 活用管理要員を雇用し, 本学では鹿児島大学より1 名の ICT 活用管理要員が週 2 回訪問し, 利用支援へのサポートを行った 同時に本学内でも連携事業の一環で事務補佐員を1 名雇用し, 全般的なサポートは, 本学情報処理センタにて行いつつも, ICT 活用管理要員と事務補佐員が,Moodle の利用支援を含む運用業務を担当した ( 図 1) 教育支援の内容として,Moodle に関するマニュアルの作成 配布, 説明会や講習会の開催を行い, 全教員が全ての開講科目にて Moodle を利用できるように, 全ての開講科目を登録した この管理体制は連携事業が終了する平成 22 年度後期終了時まで継続した 表 1 教育支援 Moodle の構成ホスト名 colm.k-junshin.ac.jp(moodle.juntan.k-junshin.ac.jp) 機種 DELL PowerEdge 2900 Ⅲ CPU Intel Xeon CPU E5410 2.33GHz 2 メモリ 8GB HDD 146GB 2 OS Red Hat Enterprise Linux Server 5.2 Moodle Moodle 1.9.5+ -116-

図 1 連携事業時の教育支援 Moodle 運用体制 ⑵ 学生支援 Moodle 支援事業の一環にて平成 21 年 10 月に導入された学生支援 Moodle は教育支援 Moodle とほぼ同様の構成にて構築された ( 表 2) これは, 教育支援, 学生支援 2つの Moodle を管理 運用における差異を少なくすることで, 管理 運用に関するノウハウを共有し Moodle の維持に対する省労力化を行い, 且つ教職員 学生を含む利用者が2つの Moodle を同じ感覚で利用できるように考慮し, 利便性の向上を図ったものである ただし, 利用者が混乱しないようにサイトデザインについては, それぞれ区別ができるような配慮を行った 管理 運用を行う人材として, 支援事業にて1 名の事務補佐員を雇用しており, 全体的なサポートは情報処理センタで行いつつ, 実質的なコンテンツ作成業務は同事務補佐員が担当した Moodle へのコース登録は, 各学科 専攻用のコースや各種委員会 事務局からの連絡用のコースを作成し, 利用者からの要望に合わせて柔軟に対応を行った ( 図 2) この管理体制は支援事業が終了する平成 22 年度後期終了時まで継続した 表 2 学生支援 Moodleの構成ホスト名 career.k-junshin.ac.jp 機種 DELL PowerEdge R710 CPU Intel Xeon CPU E5530 2.40GHz 2 メモリ 8GB HDD 146GB 2 OS Red Hat Enterprise Linux Server 5.4 Moodle Moodle 1.9.5+ -117-

鹿児島純心女子短期大学研究紀要第 45 号 (2015) 図 2 支援事業時の学生支援 Moodle 運用体制 ⑶ Moodle 統合 (im) サーバの構築とその移行連携事業並びに支援事業が終了した後の平成 23 年度からは事業により雇用した事務職員の契約が終了した為, 大幅な管理体制の変更を求められた その中で教育支援 Moodle と学生支援 Moodle, それぞれ1 台ずつ設置したサーバは省労力化と低コスト化の観点よりMoodle を統合管理するサーバを1 台にすることとした サーバの本体は教育支援 Moodle 用サーバ DELL PowerEdge 2900 の HDD 容量を 300GB に増設し, サブスクリプションの更新が必要な Red Hat Enterprise Linux からオープンソースソフトウェアである CentOS へ OS の切り替えを同時に行った 管理体制としても連携事業並びに支援事業で雇用していた事務職員から本学情報システム課や教務課へその役割を移行し, 運用を継続した ( 図 3, 図 4) ハードウェアは平成 25 年度まで維持し,Moodle の管理体制は今日まで継続している 図 3 連携事業終了後の教育支援 Moodle 運用体制 -118-

図 4 支援事業終了後の学生支援 Moodle 運用体制 ⑷ Moodle のバージョンアップと仮想サーバへの移行 Moodle の更新に関して, 通常であれば,1.9 2.0 2.1と順を追ってソフトウェアをアップデートするべきであるが, 本学では連携事業内での12 大学等を結ぶ ICT 活用ネットワークへの参加を行っていたことにより, 連携事業全体での足並みをそろえる必要があったこと, また Moodle2.0,Moodle2.1 等の初期 2.x 系の不安定さと,Moodle-Lite 等の独自カスタマイズの Moodle2.x 系への対応の難しさから影響の大きいバージョンアップを見送っていた しかし, 導入当時最新であった Moodle 1.9 の公式サポートは一般的な中核バグの為のバグフィックスが平成 23 年 6 月に終了し, その1 年後の平成 24 年 6 月に Moodle HQ による重大なセキュリティ問題の為のバグフィックスが終了, その後,Catalyst IT によるバグフィックスは継続していたものの, それも平成 25 年 12 月に終了予定であった 同時に ICT 活用ネットワークを構築していた Moodle ネットワークも Moodle のバージョンが違う場合でも接続を行うことが可能との事例も増えてきたことから, 平成 25 年度中に Moodle1.9 から Moodle2.x 系へのバージョンアップを行うことを情報処理センタとして決定した 移行後のバージョンは検討を重ねた結果, 当時最新であった Moodle2.5 とした また, ソフトウェアの更新と同時に, 平成 21 年から稼動していた Moodle 用サーバ DELL PowerEdge 2900 も平成 25 年度中にサーバ本体の保障期間が終了し, 稼動年数も長期化していたことからハードウェア更新を検討した これについては, 情報処理センタで早い段階から検討を行っていたため, 平成 25 年度 私立大学教育研究活性化設備整備事業 にて導入することが可能となった仮想サーバへ新しくシステムを構築し移行することとした 移行に関する詳細は別稿で記述することとする 2)3) 移行後の新サーバは im2 とし, 平成 26 年度前期には Moodle のバージョンを 2.5 から 2.6 へバージョンアップした後も, 大きなトラブルは発生しておらず, 先を見据えた対策を講じて, 安定した運用が行えているといえる -119-

鹿児島純心女子短期大学研究紀要第 45 号 (2015) 表 3 仮想サーバの構成 ( 平成 25 年度導入時 ) 仮想環境用サーバ (Cisco UCS C220 M3 2) CPU Cisco UCS-CPU-E5-2650(16コア :8コア 2) 2 メモリ Cisco UCS-MR-1X041RY-A 32GB(8GB 4 枚 ) HDD Cisco UCS-HDD500G11F211 500GB 仮想化ソフトウェア VMware vsphere 5.1 ストレージ (EMC VNXe3150) HDD ネットワーク 1.9T B(600GBSAS 6) RAID5[Raid4+1 HS 1] 1GbE 4 ポート 3. 短大生を取り巻く ICT 環境の変化 本学では戦略的大学連携事業並びに大学地域コンソーシアムの一環で下記目的のために 情報通信環境 e-learning に関するアンケート を平成 22 年度から在学生全員を対象に実施している 1 学生を取り巻く情報通信環境の経年変化の比較 確認データ 2 学生に対する情報提供の ( 自宅環境 モバイル環境による ) 電子化を検討するための参考データ 3 学生の意識調査を行い e-learning 環境の充実を図るための参考データ 4 電子媒体でのアンケート回収の習慣化及び定着近年の IT 機器の進歩やインターネットの環境変化に伴い, 一部質問項目も変更していることから, 本稿では平成 22 年度からのすべての調査項目との比較を行えないことを予め説明しておく ⑴ 学生の利用端末の推移まず, 学生が個人で利用できる端末に関して, 自分専用のパソコンの保有率は過去 3 年間で 27 ~ 30% 未満と大きな変化はなく, 同様に家族と共有で利用できるパソコンの保有率も 57 ~ 60% 未満と大きな変化はなかった また, 携帯電話の保有率に関しても, 未回答を除くと毎年 99% を超える高い割合を維持しており, 学生が保有する情報機器の全体的な割合はここ3 年間では大きな変化がないように見える ( 図 5) しかし, 携帯電話の端末の種類の内訳に関して, スマートフォンのみ, またはフィーチャーフォン ( 従来の携帯電話 ) とスマートフォン両方を保有している学生は平成 24 年度では約 63 % であったが,2 年後の平成 26 年度では約 94% と3 割近くも増加し, 近年のスマートフォンの爆発的な普及が本学の学生においても確認できる ( 図 6) -120-

図 5 学生のパソコンの保有率について 図 6 学生の携帯電話の保有率について同時に授業以外でインターネットをどれくらい使っているか, 端末別に調査を行ったところ, パソコンよりもモバイル端末を利用したインターネットの利用率の方が明らかに高いことが分かった ( 図 7) こういったスマートフォンの普及やモバイル端末によるインターネットの利用状況の増加の背景には, 電気通信事業者 ( 携帯各社 ) のサービスの充実やスマートフォン端末の機種 機能の多様化, 回線速度の向上など, 様々な要因が考えられるが, 同時にそういったインフラの充実に合わせたスマートフォン向けの Web サイトの普及やアプリの充実も1つの要因だと考えられる このような状況の中で学生にとってモバイル端末を利用したインターネットの活用は -121-

鹿児島純心女子短期大学研究紀要第 45 号 (2015) 図 7 授業以外でのインターネットの利用状況について 比較的身近になってきており,Moodle 等の e-learning を普及させていく上でも, モバイル端末への対応は必須であると私たちは考える ⑵ e-learning の活用学生が望む授業形態の調査に関しては,e-learning のみの授業, または e-learning と対面授業のブレンド型の授業を望む割合は, 合わせて70% を超え, 授業の種類や内容によって差はあると予想されるものの,e-learning の利用に関して, 学生は肯定的だと言える ( 図 8) 図 8 学生が望む授業形態について -122-

そのような中で, 学生が e-learning による教材の提供を望む分野は, 過去 3 年間を通して, 資格 免許対策 進路 就職支援 に対して非常に高い関心があり, 本学ではキャリア支援課を中心に学生支援 Moodle にて 求人票 の検索 閲覧が可能な就職支援向けのコンテンツも公開しており, 学生のニーズにあったコンテンツの提供を行っていると言える ( 図 9, 図 10, 図 11) 図 9 e-learning による教材の提供を望む分野について (H24) 図 10 e-learning による教材の提供を望む分野について (H25) -123-

鹿児島純心女子短期大学研究紀要第 45 号 (2015) 図 11 e-learning による教材の提供を望む分野について (H26) 4. まとめ 本学では連携事業をきっかけに平成 21 年度より Moodle の導入を行い, 教育支援 Moodleと学生支援 Moodle を用途別に2 台の Moodle を管理 運用してきた 導入開始後も, ハードウェア ソフトウェアの更新を計画的に行い, 運用開始から6 年目に突入した平成 26 年度現在まで大きなトラブルもなく, 安定した運用を行えていると言える 学内での利用状況に関しては, 学生は1 年前期の情報系科目にて, 全学生が Moodle のガイダンスを受けており, ほぼ全学生が Moodle を利用できる状況にある しかし, 教職員においては, 講習会やワークショップを年に1,2 回程度開催はしているものの,Moodle の利用を積極的に行う教職員とそうでない教職員とで, 二分しているきらいもあり, 今後も講習会やワークショップはもちろんのこと,Moodle の具体的な活用方法の提案等を行い, 積極的に推進していく必要があると考えられる また, 今後 Moodle の利用推進を行う上で, スマートフォンの普及に合わせたツール コンテンツ作りも重要であると考えられる フィーチャーフォン, スマートフォンを含む携帯端末への対応に関しては, 本学は Moodle 導入当時より Moodle-Lite にて対応を行ってきた Moodle-Lite の開発 更新に関しては連携事業終了後も大学地域コンソーシアム鹿児島にて引き続き行ってきたが,Moodle-Lite 自体, 本来フィーチャーフォンを対象に設計されているため, 近年の大画面化, 高画質化したスマートフォン端末では情報量が少なくニーズに合わないとの指摘もされるようになった ( 図 12) Moodle2.x 系からは, 標準機能の一つとして, アクセスするデバイスに合わせて画面のデザイン ( テーマ ) を自動選択する機能が追加されており, フィーチャーフォンには対応していないものの, スマートフォンやタブレット PC 向けの専用テーマが公開されモバイル対応が可能になっている しかし, 公開されているもののほとんどは,Moodle の全ての機能をモバイル端末で利用できるように構築されているため, 機能や項目が多岐にわたり複雑化し, ユーザにとって使いやすいとは言いづらい構成になっている そ -124-

こで, 現在大学地域コンソーシアム鹿児島では Moodle-Lite とスマートフォン用テーマの機能比較を行い, ユーザが使いやすいように簡略化したスマートフォン用テーマの開発を行っており, 今後は Moodle-Lite からスマートフォン用テーマへの切り替えを目指している ( 表 4) 最後に, 本学における Moodle の利用促進を図るためには, ソフト面とハード面での工夫改善つまり PDCA サイクルの実行は必須と考えている 情報処理センタ及び情報システム課としては, システムの維持管理体制の強化と姉妹校である鹿児島純心女子大学との連携も視野に入れ,e-learning システムを活用した事例報告会などを日本国内外の学会等に積極的に参加し, 情報収集を行いながら検討したいと考えている 特に,Moodle を活用した先進的な学生支援の教育事例として学生支援体制の中で活用されるシステムをさらに発展させ, 口頭発表等を行うことで本学を活性化させていければと考えている 同時に, 本学内での情報共有化をさらに推し進め, 学生にとって身近な教育支援並びに学生支援のツールの一つとして提案など様々な視点で活動できればと考えている 図 12 Moodle-Lite 構成画面 図 13 スマートフォン用テーマ構成画面 表 4 Moodle-Liteとスマートフォン用テーマに機能比較 Moodle-Lite スマートフォン用テーマ Moodle 非標準 標準 機能 一部機能のみ利用可能 ほぼ全ての機能を利用可能 フューチャーフォン 対応 非対応 スマートフォン 1.9 用のみ対応 対応 アクセス権限 学生ロールのみの利用 各ロール ( 権限 ) での利用が可能 -125-

鹿児島純心女子短期大学研究紀要第 45 号 (2015) 5. 引用文献 1) 寺田将春 和田智仁 末永勝征 (2010), 鹿児島大学における大学連携事業でのICT 活用教育の試み, 教育システム情報学会研究報告,vol.25,31-34 2) 寺田将春 伊佐山直 末永勝征 (2013), 短大生を取り巻くIT 環境の変化とMoodleのバージョンアップ, 2013 九州 PCカンファレンス論文集,27-30 3) 寺田将春 末永勝征 (2014),moodleのバージョンアップと短大生を取り巻くIT 環境の変化, MoodleMoot2014 沖縄国際大学口頭発表 -126-