技術および最新情報 中大型風車仕様調査 第二報 日本市場におけるメーカー動向の分析 企画編集 JWEA 編集委員会 まとめ 編集委員 松信 隆 1. 調査の概要 (1)調査の目的 風力発電システムは固定価格買取制度の導入 環境 法アセスの進捗などに伴い 日本国内にも導入が進ん でいるが 各風車メーカー 販売している風車について 明確な実態が把握されていなかった 本調査では 各メ ーカーから国内向けに販売している風車の仕様を調査 し 風力発電の導入を推進するための基礎資料とする ものである (2)調査の対象 風力発電関連機器メーカーもしくは販売を検討して いる会社を対象とした 調査の概要を以下に示す アンケート調査名 中大型風車仕様調査 時期 2016 年 10 月 実施者 一般社団法人日本風力エネルギー学会 有効回答数 12 社 ータードハブ ブレーキ方式 全翼フェザリンング又 は主軸ブレーキ 翼端空力 補助ブレーキ 暴風待機モード 停止後のヨーの状 態 ドライブ方式 の種類 コンバータ方式 タワ ー 鋼製中空 トラス式 他 耐雷強度 ピーク電流 耐雷強度 全電荷移送量 日本での設置基数 概略 世界での設置基数 概 略 今後の設置予定もしくは計画 記述はオプション 参照となるホームページ URL 風車写真 2. アンケート項目と対象風車型式 2.1. アンケート対象項目 (1)対象メーカーと風車 現在 風力発電で主流となる水平軸風車を調査対象 とした 水平軸風車は ローターの回転軸が地表面ある いは海面に対して水平となる アンケートは 日本国内 に風車を販売しているメーカーに配布し 回答を得られ たメーカーと風車について 分析した (2)アンケート内容 アンケート票の調査項目は 下記とした 企業名 メーカー名 風車公称名 風車型式名称 運転開始年 定格出力 最大出力 定格ローター回転速度 最大回 転速度 最小ローター回転速度 定格風速 カットイン風速 カットアウト風速 ハブ高さ 標準 風車クラス Vref 及び Iref Ve50 極値風速の 3 秒間平均 期待値 再現期間 50 年 風車設置場所 陸上 洋上 設計 型式認証取得機関 取得年 ローター直径 ローター型式 アップウインド ダウンウ インド 受風面積 ブレード枚数 ブレード材料 ブレード断面形状 翼 型 出力制御 ブレード固定方式 リジッドハブ ティ 3. 調査結果 分析に用いた調査結果は 2016 年に行った日本風 力エネルギー学会編集委員会 以下 編集委員会 と言 う のまとめ [1]に基づいている 本稿の添付表に 各企 業 メーカー からのアンケート回答のまとめを示す 記 載内容は 各メーカーからのアンケート結果をそのまま 示すことを基本としたが 未回答の項目は 公開情報を 基に日本風力エネルギー学会編集委員会にて補足し た 発電所の計画に使用するなど各メーカーの保証値 については 改めてメーカーに確認いただきたい 編集 委員会がアンケート内容を分析した結果を以下に示 す Vol.40, No.4 2.2. アンケート対象企業 アンケート対象企業はすでに日本風力エネルギー学 会に加入している風車メーカー 代理店などを対象とし た 3.1. 風車技術の傾向 風力発電は 自然エネルギーの中でも 発電単価の 低い グリッドパリティに近い発電システムと言われる 日本国内でも 補助金制度が 2010 年に終了し 2012 年 から固定価格買取制度が始まっている 2016 年 2 月に 業界団体である日本風力発電協会は 2030 年に 10 円 /kwh を目指すウィンドビジョン [2]を発表している アン ケート調査の結果からも 表 1 に示すような 発電単価を 下げ得るような風車の投入が検討されていると考えられ る 3.2 項以降にそれぞれのコンポーネント毎の分析を 示す 573 日本風力エネルギー学会誌
表 1 主要な技術のトレンド 従来技術 合理化技術 効果 80m 級ロータ発電量増加 発電単価 100m 級ローターー低減 80m 級タワー 90~100m 級タワー ハブ風速増加 発電単価低減 高速中速増ギアドライブ ドライブダイレクト ドライブ 信頼性向上 質量低減 DFG PMG 信頼性向上 軽量化 大型ナセル コンパクトナセル 耐震性向上 風車コスト 工事費低減 3.2. ローター風車のローターは 風車の性能を決定する要素として重要なコンポーネントである 風のエネルギーの約 45% から 50% を回転エネルギーに変換する 理論効率は 最大 59% とされる 現在ブレードに採用されている代表的な翼型は 表 2 に示す通りである アンケートの結果 NACA 翼型を使用しているとした風車が 3 機種 表 2 断面形状の種類 [3] [4] [5] 翼型 開発者 特徴 NREL (SERI) 米 再生可能エネルギー研究所 様々な翼長に対応できる系列有 失速制御 ピッチ 可変速制御に対応 Risø リソ国立研究所 ( 現デンマーク工科大 ) 前縁の汚れに対する鈍感さ 設計点を外れた運転での揚力係数 最大揚力係数 空力騒音なども配慮 DU オランダ デルフト工科大学 高い揚抗比を保ち 翼前縁部の汚れや製造誤差などの影響を低減 NACA 米航空諮問委員会 ( 現 NASA) 最大キャンバー位置などでシリーズ化 MHI 三菱重工業 高効率 NREL が 1 機種 DU が 1 機種 他は 未回答となった 風車の起動停止 出力制御などに関わる風車の制御方式は 固定ピッチのストール制御 ピッチ制御および独立ピッチ制御があるが 28 機種のうち 3 機種がピッチ制御を 25 機種が独立ピッチ制御を採用している 大半の風車が機械式の補助ブレーキを有すると回答している 風車の安全停止系として ブレーキ系統の冗長化と系統分離の要求に沿った安全設計に重点を置いている点が確認された アンケート調査の結果 各社の採用している制御方式を表 3 に示す 表 3 ローター制御方式 制御方式企業名 ( メーカー ) 型式ストール該当無しピッチ東芝 U88E 駒井ハルテック KWT300A 酉島製作所 TWE100 独立ピッチ製作所 HTW2.0-86 HTW2.1-80A HTW2.5U-100 HTW5.2-127 HTW5.2-136 三菱重工業 MWT95/2.4 日本製鋼所;J82-2.0 E-44 E-48 E-70 E-82 E-82 E-92 GE 3.2-103 SWT-3.2-113 SWT-3.6-130 SWT-4.0-130 SWT-7.0-154 Alstom ECO74/1670 MHI- V164-8.0 V105 V112 V117 V126 3.3. 定格出力と受風面積図 1 に調査した各企業 ( メーカー ) の各風車機器について 定格出力と受風面積の関係をメーカー名毎に示す 25,000 MHI- 20,000 受風面積 [m 2 ] 15,000 10,000 5,000 Alstom GE 東芝三菱重 JSW 駒井ハルテック 0 酉島 0 2,000 4,000 6,000 8,000 定格出力 [kw] 図 1 定格出力と受風面積 Journal of JWEA 574 2016 年
中大型風車仕様調査 第二報 : 日本市場におけるメーカー動向の分析 洋上風車に向けた単機容量の増加と 比較的低い風速領域でも発電量を増加することができるローター径の大きい 受風面積の大きな風車の市場投入を検討していると考えられる 一般的に 風車運転状態での風荷重は受風面積に比例し 暴風待機状態 ( 風車停止 ) での風荷重は ブレードの風に対する投影面積に比例すると言われる 発電量は 約 4m/s のカットイン風速から約 12m/s の定格出力到達風速までのレンジでは 受風面積に比例して増加し これに対応して 風車の設備利用率の向上と発電コスト ( 円 /kwh) の低減が見込まれる 国内の各サイトの風況に合わせた機種の選定 すなわちサイト適合性の確認が 風車の安全性確保の観点からも重要である 志向も強まっているものと考えられる 図 3 に示すように 風向に対して垂直な面 鉛直方向を横切る風の変化ウィンドシアーを考慮すると 地表面粗度が高い特に陸上では ハブ高を上げることで ローター受風面に入る風速を上げ発電量を増加させる効果に加えて 一様な風向と風速が受風面に入力されることが期待できる 較的低い風速領域でもハブ高を上げることで ローターに入力される風速を向上させることができる アンケート調査には表れていないが ハブ高を上げるためには タワーの技術革新も合わせて検討すべきである 3.4. ローター径とハブ高風車のハブ高は 従来は 地表面や海面とブレードの下端との離隔距離を確保する目的でブレード径に比例して高くなるような傾向があった ブレードの回転に伴う加振周波数との共振および耐震設計などの観点から 日本国内では ハブ高に一定の制約があると考えられている 図 2 にアンケート調査対象の各風車機器について ローター径とハブ高の関係をメーカー名毎に示す 特に欧州製の風車で ローター径に比べてハブ高の高い風車が見受けられる 前項のローター径の拡大に伴う ハブ高の増加だけではなく 同一ローター径でも ローター径に匹敵するレベルまでハブ高を上げるハイタワー 平坦地 風速分布の概念 山岳地 従来のタワー 図 3 ウィンドシアーと受風面 耐震 共振に配慮が必要 高高度タワー 140 120 ハブ高 [m] 100 80 Alstom JSW 三菱重東芝 GE 60 40 駒井ハルテック 20 酉島 20 40 60 80 100 120 140 ローター径 [m] 図 2 ローター径とハブ高 Vol.40, No.4 575 日本風力エネルギー学会誌
3.5. 定格出力とエネルギー密度図 4 に各メーカーの風車機器について 定格出力とローターのエネルギー密度 ( 定格出力を受風面積で除した値 ) の関係を示す IEC61400-1ed.3(2005) に規定される耐風速クラス ( 以下 耐風速クラス と言う ) の 1 に相当するエネルギー密度 350W/m 2 程度を超えるものから 耐風速クラス 2 あるいは 3 に相当する低風速型風車に至る広い耐風速クラスで 各メーカーが日本国内向けに販売を検討しているようである エネルギー密度は 運転状態の風荷重と相関関係があり 風力発電所の風況などの条件への適合性評価は風車の安全性を確保するために益々重要になってきている なお 暴風待機状態では ローターの回転が停止されているので 風荷重は ブレードの表面との関係が大きく エネルギー密度とは 別の指標で検討すべきである 受風面積の拡大と暴風待機状態における風荷重低減の両立を目的に NEDO などが風車部品高度実用化開発プロジェクトの一環として 中速ギヤドライブトレインと高速スレンダーブレード [6] の開発を進めている 前述の図 4 添付表などに示したアンケート結果につ いて メーカー毎にトレンド分析した結果を表 4 に示す 表 4 各企業 ( メーカー ) のトレンド 企業名トレンド耐風速クラス 1 から 3 のレンジで定格出力 2 2.1 2.5 5.2MW で展開三菱重耐風速クラス 2 定格出力 2.4MW ローター径 102m で展開 JSW 耐風速クラス未回答 エネルギー密度 368W/ m2 定格出力 2MW ローター径 82m で展開東芝耐風速クラス 2 で定格出力 2MW ローター径 88m で展開駒井ハルテ耐風速クラス 1 定格出力 0.3MW ローター径 33m ックで展開酉島耐風速クラス 1 定格出力 0.1MW ローター径 21m で展開 耐風速クラス 1 を主体に定格出力 1 から 3MW 級で展開 GE 耐風速クラス S エネルギー密度 384W/ m2 定格出力 3.2MW ローター径 103m で展開 耐風速クラス 1 定格出力から 2 3.2 から 7MW のレンジで展開 Alstom 耐風速クラス未回答 エネルギー密度 388W/ m2 定格出力 1.67MW ローター径 74m で展開 MHI- 耐風速クラス 1 相当 定格出力 8MW ローター径 164m で展開 ( アンケート回答機種 ) 耐風速クラス 1 2 で定格出力 3.6MW ローター径 105 から 126m で展開 700 650 エネルギー密度 [W/m 2 ] 600 550 500 450 400 350 300 250 Alstom JSW 駒井ハルテック東芝酉島 GE 三菱重 MHI- 200 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 定格出力 [kw] 図 4 定格出力とローターのエネルギー密度 Journal of JWEA 576 2016 年
中大型風車仕様調査 第二報 : 日本市場におけるメーカー動向の分析 代表的な GD-IG かご型 誘導 ソフトスターター かご型誘導 キャバシター 電力網 系統連系盤 電力網 可変抵抗器 GD-IG 巻線型 誘導 ソフトスターター 巻線型誘導 キャバシター コンバータ GD-DFG 二次巻線型 誘導 二次巻線型誘導 同期 GD-PMG 電力網 系統連系盤 全量コンバータ DD-PMG 同期 (ダイレクト ドライブ の場合無し) 図 5 発電システムの分類 [8] Vol.40, No.4 電力網 表 5 ドライブ方式と発電システムの分類 記号 分類 方式 HG MG ドライブ ドライブ 高速ギアドライブ 中速ギアドライブ DD ドライブ ダイレクトドライブ IG 巻線型誘導 DFG 二次巻線型誘導 PMG 永久磁石式同期 20 DD-PMG HG-DFG 18 ロータ回転数[min.-1] 3.6. ドライブ方式と発電システム 風力のパワートレイン ブレードからへ 軸系の構成 の違いにより 大きく分けて ギアドライブ 付き と ダイレクトドライブ 無しの直結 式 の 2 つのタイプに分けられる また風車用の は 誘導 と 同期 の 2 つの型式が用い られる さらに誘導はかご型と巻線型に分けられ 同期は回転子に巻線を配す通常型 巻線型 と 回転子に永久磁石を配す 永久磁石型 PMG Permanent Magnet Generator に分けられる それぞれ のの型式はドライブトレインの違いや費用 運用 上の利点を考慮して選択される 巻線型の誘導 はの定格容量の約 30 50%の電力変換器 コン バータ を用いて回転子の交流励磁を制御することで コンバータの容量に応じた範囲内で可変速運転を可能 とする 同期はの定格容量分のコンバー タが必要となるが 低速からの広い可変速範囲に対応 が可能 [7] と言われる ドライブ方式と発電システムの 構成は 風車 特にナセルの構造を決定する上で影響 の大きいコンポーネントとなる 図 5 に発電システムの分類を 表 5 にドライブ方式と 発電システムの分類を 図 6 にアンケート結果を示す 定格出力が 5MW 以上では 増速比が 1 50 以下の中 速ギアドライブ方式 MG と永久磁石式同期 PMG の組合が 2 例あった 定格出力 5MW 未満では 増速比 1 50 より大きい高速ギアドライブ方式 HG と二 次巻線型誘導 DFG あるいは永久磁石式同期 HG-IG 16 MG-IG MG-PMG 14 DD HG-PMG 12 10 8 1,000 3,000 5,000 7,000 定格出力[kW] 図 6 ドライブ方式と型式 PMG ダイレクトドライブ DD とアニュラー発 電機 はコイル式のリング状 型式が 特殊なため 図 6 ではドライブ方式 DD のみの表記とし た の組み合わせが多い アンケートの回答数が少なく 的確な傾向を示しているとは言えないが 同一容積で 磁束密度がコイル式の磁石より高く取れ ナセルを軽量 化することができる永久磁石を採用する傾向があるもの と思われる 3.7. ロータートルクと回転数 ローターの周速度 U[m/s]は 流入風速 V[m/s]の概ね 6 8 倍 すなわち周速比λ=U/V が 6 8 程度で三枚ブ レード水平軸風車は最大効率となるよう設計されている [8] 各企業 メーカー の回答 公開情報の整理などか ら 大型風車で V=8[m/s]を仮定すると 周速比λが 12 程度となる高速回転の風車も見られた 周速比 λが最 適値近傍のレンジで風車の効率が最大となるので 風 車の大型化に伴い ローター回転数を下げることは避け られず 風車の大型化で出力が増加しているため ロー ターのトルクの増加は著しい 図 8 にローターの回転数 トルクとローター径の関係を示す 低速回転高トルクの代表的な例である船舶用ディー ゼルエンジン UEC50LSH-Eco-C2 で 最大 108min.-1 577 日本風力エネルギー学会誌
14,240kW [9] 程度の仕様であり トルクは高々約 1,260kNm 2,000kW ローター径 80m の風車のトルクと 同程度のレベルである 2MW を超える出力レベルの大型風車のローター回転数とトルクが極めて特異的な値 であることが分かる 風車のドライブトレインの負荷試験をする場合は 専 用の試験設備が必要で 海外の風車専用設備を用いたり ドライブトレインを二つ接続した B to B (Back to Back) 方式で試験しているのが国内の現状である トルク [knm] 9000 8000 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 ローター回転数 ロータートルク 0 0 0 50 100 150 200 ローター径 [m] 図 7 ローター径と回転数 / トルク 3.8. ローター支持方式風力エネルギーは ローターで回転エネルギーに変換され 主軸などを介してに伝達され 電力エネルギーとして取り出される ローターを支持する方式は ナセルの寸法および容積を低減する上で重要なものである 主な支持方式は 図 8 に示すような方式に分類される アンケート調査項目には無かったものの 各企業の公開情報によれば (1) から (5) 項に示す方式に徐々に移行していると考えられる (1) 主軸受 2 組 (Four Point Suspension): 安定した支持方式であるが ナセルの大型化につながる (2) 主軸受 + (Three3 Point Suspension): 風荷重を主軸用 1 組とサポート 2 点 計 3 点で支持する 安定した支持方式で ナセルも上記形式に比べコンパクトである (3,4) 主軸受 1 組 ( ギアまたはダイレクトドライブ用 ): 風荷重をハブに直結した主軸受 1 組で支持する ナセルをコンパクトにできるが 軸受への負荷が大きく設計の難易度は高い ナセルがコンパクトとなるが 軸受への負荷が大きく設計の難易度は高い (5) ハブ内蔵軸受 2 組 ( キングピン方式 ): 風荷重をハブ内部に設置される 2 組の軸受で支持する 70 60 50 40 30 20 10 ローター回転数 [MIN. -1 ] 構造が複雑となるが 安定した支持が可能であり ナセルのコンパクト化も可能である (1) 主軸受 2 組 (2) 主軸受 + (4 Point Suspension) (3 Point Suspension) (3) 主軸受 1 組 (4) 主軸受 1 組 ( ギアドライブ ) ( ダイレクトドライブ ) (5) ハブ内蔵軸受 2 組 ( キングピン方式 ) ( ダイレクトドライブにも適用例有 ) 図 8 代表的なローター支持方式 [7] 3.9. 耐雷システム近年の落雷に起因するブレードの破損 部材の脱落 飛散や火災事故に対する取組を受け 風技解釈が改正された [10] 特にエネルギーレベルが高いとされる冬季雷は発生現象が解明されておらず 事故の根絶は困難とも言われるが 公衆安全確保の観点から リスクの低減が極めて重要である 設備対策面からメーカー各社により耐雷設計が見直されていることがアンケート調査にも表れている 受雷レセプタクルの設置や引下導線への太い避雷アルミ線の採用により 表 6 に示すような国際基準以上の耐雷強度が確保されている アンケート調査の結果 4 機種が雷のピーク電流を 250A とし 9 機種が雷の電荷を 600C としている 誘導雷対策として 盤類には それぞれの LPZ(Lightning Protection Zone 雷保護領域 ) に適した SPD(Surge Protective Device サージ防護デバイス ) を設置しているものと推定される 表 6 耐雷システム設計仕様 ピーク電流 電荷量 比エネルギー 国際標準 * 200 ka 300 C 10 MJ/Ω 特殊設計例 250 ka 600 C 40 MJ/Ω *IEC61400-24(2010) の protection level 1 3.10. 保護系統 ( 安全停止系 ) 風車の出力を制御し 必要に応じて風車の運転を停止し ローターの過回転などによるタワーの倒壊を防止できるよう保護系統 ( 安全停止系 ) が設置される 国際規 Journal of JWEA 578 2016 年
中大型風車仕様調査 第二報 : 日本市場におけるメーカー動向の分析 格 [11] では 保護系統には ローターをいかなる運転状態からも静止又はアイドリング状態にできる一つ以上のシステム ( 機械的 電気的又は空力的 ) で構成される 少なくともこれらの一つは 風車の低速軸又はローターに作動すること さらに 保護システムの非冗長部品はすべて最終限界強度 疲労破壊及び最終限界荷重に対して解析し 要求事項を満足すること とされ 少なくとも部品レベルの冗長化を規定している 制御システムの検出部又は動作部の単一故障によって 保護システムが機能不良に陥ってはならない とし 冗長化された保護制御システム ( 安全停止系 ) の部品がそれぞれ単一の故障や事故が原因で複数の保護制御システム ( 安全停止系 ) 部品が同時に機能を喪失しないように部品単位で系統分離されることを規定している 実際の風車の設計では 前述の 3.2. 項に示したように各企業 ( メーカー ) 共に保護系統の設計に重点を置いていることが分かる 3.11. 暴風待機風車の運転設計風速を超えるカットアウト風速となった風環境下では 風車のローターは 回転停止し 待機状態となる 風車の暴風待機時状態にはピッチをフェザリング後に 表 7 及び図 9 に示すようなモードでの対応がある アンケートの結果 フリーヨーを採用しているのは (HTW2.5U-100 を除く ) 三菱 JSW および東芝となった 他は ヨー制御となっている 方式フリーヨー ヨー制御 ダウド 運転状態 表 7 暴風待機モードの特徴 特徴ダウンウィンドの状態で風見鶏のように自然と風下にローターを向けるナセル制御方法 ダウンウィンド風車の長所の一つであるが アップウィンドでも暴風待機状態のみこのモードに移行する例が有る 暴風中に風車風荷重の低減ができる アップウインドまたはダウンウィンドの状態でヨー制御を継続する方式 長期の停電に対応するためには バックアップ電源が必要となる 暴風中に風車風荷重の低減ができる カットアウト 暴風待機 ン ウタウンウィンド状態のまま ィンフリーヨーに移行. ド風車フェザー アダウンウィンドへの移行フッーリプ制ー 御ヨウー 一部のアップィア ウィンド風車ダンップウドウン風ィ車ンブレードピッチファインフェザー フリーヨー ダウンウィドヨウィドブレードピッチファイン フェザー ネガティブ フェザー 3.12. 認証認証レベルとして 設計評価 (Design Evaluation) と型式認証 (Type Certificate) が 認証機関として DNV-GL TUF および日本海事協会が 準拠規格 IEC61400-1ed3. (2005) が挙げられる アンケートの結果 認工事計画届受理の必要条件とされる型式認証を取得する傾向が大きく 認証機関は DNV-GL および TUF が多く 日本海事協会を採用するケースが散見される 参考文献 [1] 日本風力エネルギー学会, 中大型風力発電システム仕様一覧表, 風力エネルギー, 通巻 119 号, 2016, pp.367-382. [2] 日本風力発電協会, ウィンドビジョン, 2016. [3] 前田太佳夫, 他. 風車の翼型と最近のブレード技術, 風力エネルギー, 通巻 111 号, 2014, pp. 264-267. [4] 例えば, Tangler, J.L., Somers, D. M., NREL Airfoil Families for HAWTs, Report of National Renewable Energy Laboratory, NREL TP-442-7109, 1995. [5] 例えば,Fuglsang, P., Bak, C., Development of the Risø Wind Turbine Airfoils, Wind Energy, Vol.7, 2004, pp.145 162. [6] 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構, 国内最大級 5MW の大型風力発電設備が完成, NEDO ホームページ ( オンライン ), 2015 年 3 月 24 日 ( 引用日 : 2017 年 1 月 4 日 ), http://www.nedo.go.jp/news/press/aa5_100368.ht ml [7] 一般社団法人日本産業機械工業会, 3.1 風力発電, 4.2.1 制御機器, 風力発電関連機器産業の実態に関する調査報告書, 2016. [8] 牛山泉, トコトンやさしい風力発電の本, 日刊工業新聞社, 2010. [9] UE Engines UEC50LSH-Eco-C2 Main data. 三菱重工舶用機械エンジンホームページ ( オンライン ), 2013.( 引用日 : 2017 年 1 月 4 日 ), http://www.mhi-mme.com/jp/products/engine/. [10] 経済産業省商務情報政策局電力安全課, 風力発電情報連絡会風力発電事業に係る法改正等について, 平成 27 年度風力発電情報連絡会資料 ( オンライン ), 2015 年 9 月 9 日.( 引用日 : 2018 年 1 月 8 日 ) http://www.safety-kyushu.meti.go.jp/denki/shiryou/ image/27fyfjshiryou/shiryou2.pdf. [11] 国際電気標準会議, IEC61400-1 Part 1: Design requirements, 2005. 図 9 暴風待機モードの概念 Vol.40, No.4 579 日本風力エネルギー学会誌
企業名 / メーカー名 添付表アンケート結果要約 ( 抜粋一部 JWEA 編集委員会調査及び推定を含む ) 風車型式名称方式 ( 注 1) 定格ローター回転数 ローター径 受風面積出力密度出力制御暴風待機耐雷 / ピーク耐雷 / 電荷 HTW2.0-86 HG-DFG 2000 kw 16.5 min -1 86 m 5,764 m2 347 W/ m2 独立ピッチ フリーヨー 250kA 600C HTW2.1-80A HG-DFG 2100 kw 17.5 min -1 80 m 4,978 m2 422 W/ m2 独立ピッチ フリーヨー 250kA 600C HTW2.5U-100 HG-DFG 2500 kw 15 min -1 100 m 7,854 m2 318 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 200kA 600C HTW5.2-127 MG-PMG 5200 kw 11.7 min -1 127 m 12,603 m2 413 W/ m2 独立ピッチ フリーヨー 250kA 600C HTW5.2-136 MG-PMG 5200 kw 11.7 min -1 136 m 14,450 m2 360 W/ m2 独立ピッチ フリーヨー 250kA 600C 三菱重 MWT95/2.4 HG-DFG 2400 kw 15 min -1 95 m 7,088 m2 339 W/ m2 独立ピッチ フリーヨー 200kA 600C JSW J82-2.0 DD-PMG 2000 kw 19 min -1 83.3 m 5,442 m2 368 W/ m2 独立ピッチ フリーヨー 200kA 600C 東芝 U88E HG-PMG 2000 kw 15.3 min -1 88 m 6,079 m2 329 W/ m2 ピッチ制御 フリーヨー 200kA 600C 駒井 KWT300A MG-IG 300 kw 40.5 min -1 33 m 855 m2 351 W/ m2 ピッチ制御 ヨー制御 200kA 600C 酉島 TWE100 MG-PMG 100 kw 60 min -1 21 m 345 m2 290 W/ m2 ピッチ制御 ヨー制御 200kA 300C E-44 DD 900 kw 34.5 min -1 44 m 1,517 m2 593 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 200kA 300C E-48 DD 800 kw 31.5 min -1 48 m 1,805 m2 443 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 200kA 300C E-70 DD 2300 kw 21 min -1 71 m 3,950 m2 582 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 200kA 300C E-82 E2 DD 2000 kw 18 min -1 82 m 5,261 m2 380 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 200kA 300C E-82 E2 DD 2300 kw 18 min -1 82 m 5,261 m2 437 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 200kA 300C E-82 E4 DD 2350 kw 18 min -1 82 m 5,261 m2 447 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 200kA 300C E-82 E4 DD 3000 kw 18 min -1 82 m 5,261 m2 570 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 200kA 300C E-92 DD 2350 kw 16 min -1 92 m 6,622 m2 355 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 200kA 300C GE 3.2-103 HG-DFG 3200 kw 14.8 min -1 103 m 8,332 m2 384 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 200kA 600C SWT-3.4-108 DD-PMG 3400 kw 12.75 min -1 108 m 9,144 m2 372 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 問合せ 問合せ SWT-3.2-113 DD-PMG 3200 kw 10.25 min -1 113 m 10,000 m2 320 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 問合せ 問合せ SWT-3.6-130 DD-PMG 3600 kw 9.5 min -1 130 m 13,300 m2 271 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 問合せ 問合せ SWT-4.0-130 HG-IG 4000 kw 9.5 min -1 130 m 13,300 m2 301 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 問合せ 問合せ SWT-7.0-154 DD-PMG 7000 kw 154 m 18,600 m2 376 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 問合せ 問合せ Alstom-Ecot ècnia ECO 74/1670 1670 kw 19 min -1 74 m 4,301 m2 388 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 問合せ 問合せ MHI- V164-8.0 MW MG-PMG 8000 kw 10.5 min -1 164 m 21,124 m2 379 W/ m2 独立ピッチ 問合せ 問合せ 問合せ V105 3.6MW HG-DFG 3600 kw 8.3 min -1 105 m 8,659 m2 416 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 200kA 300C V112 3.6MW HG-DFG 3600 kw 8.1 min -1 112 m 9,852 m2 365 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 200kA 300C V117 3.6MW HG-DFG 3600 kw 6.7 min -1 117 m 10,751 m2 335 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 200kA 300C V126 3.6MW HG-DFG 3600 kw 6.2 min -1 126 m 12,469 m2 289 W/ m2 独立ピッチ ヨー制御 200kA 300C ( 注 1) ドライブ方式 :HG: 高速ギアドライブ MG: 中速ギアドライブ DD: ダイレクトドライブ 方式 :IG: 巻線型誘導 DFG: 二次巻線型誘導 PMG: 永久磁石式同期 ( 注 2) 上記仕様は JWEA の調査および一部推定結果であり メーカーの仕様を保証するものではありません Journal of JWEA 580 2016 年