TO: Katie Magee

Similar documents
BD9328EFJ-LB_Application Information : パワーマネジメント

NJM78M00 3 端子正定電圧電源 概要 NJM78M00 シリーズは,NJM78L00 シリーズを更に高性能化した安定化電源用 ICです 出力電流が 500mA と大きいので, 余裕ある回路設計が可能になります 用途はテレビ, ステレオ, 等の民生用機器から通信機, 測定器等の工業用電子機器迄

反転型チャージポンプ IC Monolithic IC MM3631 反転型チャージポンプ IC MM3631 概要 MM3631XN は反転型のチャージポンプ IC です 入力電圧範囲の 1.8V ~ 3.3V を 2 個の外付けコンデンサを使用して負電圧を生成します パッケージは 6 ピンの S

NJM78L00 3 端子正定電圧電源 概要高利得誤差増幅器, 温度補償回路, 定電圧ダイオードなどにより構成され, さらに内部に電流制限回路, 熱暴走に対する保護回路を有する, 高性能安定化電源用素子で, ツェナーダイオード / 抵抗の組合せ回路に比べ出力インピーダンスが改良され, 無効電流が小さ

絶対最大定格 (T a =25 ) 項目記号定格単位 入力電圧 V IN 消費電力 P D (7805~7810) 35 (7812~7815) 35 (7818~7824) 40 TO-220F 16(T C 70 ) TO (T C 25 ) 1(Ta=25 ) V W 接合部温度

フィードバック ~ 様々な電子回路の性質 ~ 実験 (1) 目的実験 (1) では 非反転増幅器の増幅率や位相差が 回路を構成する抵抗値や入力信号の周波数によってどのように変わるのかを調べる 実験方法 図 1 のような自由振動回路を組み オペアンプの + 入力端子を接地したときの出力電圧 が 0 と

降圧コンバータIC のスナバ回路 : パワーマネジメント

Microsoft Word - NJM7800_DSWJ.doc

LOS Detection Comparison in Optical Receiver

Microsoft Word - TC4538BP_BF_J_2002_040917_.doc

NJM 端子負定電圧電源 概要 NJM7900 シリーズは, シリーズレギュレータ回路を 1 チップ上に集積した負出力 3 端子レギュレータ IC です 放熱板を付けることにより,1A 以上の出力電流にて使用可能です 用途はテレビ, ステレオ等の民生用機器から通信機, 測定器等の工業用電

elm73xxxxxxa_jp.indd

等価回路図 絶対最大定格 (T a = 25ºC) 項目記号定格単位 入力電圧 1 V IN 15 V 入力電圧 2 V STB GND-0.3~V IN+0.3 V 出力電圧 V GND-0.3~V IN+0.3 V 出力電流 I 120 ma 許容損失 P D 200 mw 動作温度範囲 T o

NJM78L00S 3 端子正定電圧電源 概要 NJM78L00S は Io=100mA の 3 端子正定電圧電源です 既存の NJM78L00 と比較し 出力電圧精度の向上 動作温度範囲の拡大 セラミックコンデンサ対応および 3.3V の出力電圧もラインアップしました 外形図 特長 出力電流 10

PIC の書き込み解説 PICライターを使うときに間違った使い方を見受ける 書き込み失敗の原因は知識不足にある やってはいけないことをしている 単に失敗だけならまだしも部品を壊してしまう 正しい知識を身に着けよう 書き込みに必要なピンと意味 ICSPを意識した回路設計の必要性 ICSP:In Cir

Jan/25/2019 errata_c17m11_10 S1C17 マニュアル正誤表 項目 リセット保持時間 対象マニュアル発行 No. 項目ページ S1C17M10 テクニカルマニュアル システムリセットコントローラ (SRC) 特性 19-3 S1C17M20/M

ACモーター入門編 サンプルテキスト

(3) E-I 特性の傾きが出力コンダクタンス である 添え字 は utput( 出力 ) を意味する (4) E-BE 特性の傾きが電圧帰還率 r である 添え字 r は rrs( 逆 ) を表す 定数の値は, トランジスタの種類によって異なるばかりでなく, 同一のトランジスタでも,I, E, 周

elm1117hh_jp.indd

Microsoft Word - TC4011BP_BF_BFT_J_P8_060601_.doc


TC74HC221AP/AF

Microsoft Word - TC74HCT245AP_AF_J_P8_060201_.doc

INDEX PAGE 1. Evaluation Method 1 1. 測定回路 Measurement Circuits 3 (1) 静特性 待機電力特性 通電ドリフト特性 その他特性 Steady state, Standby power, Warm up voltage drift and

NJU72501 チャージポンプ内蔵 圧電用スイッチングドライバ 概要 NJU72501はチャージポンプ回路を内蔵し 最大で3V 入力から 18Vppで圧電サウンダを駆動することができます このチャージポンプ回路には1 倍 2 倍 3 倍昇圧切り替え機能を備えており 圧電サウンダの音量を変更すること

Microsoft PowerPoint - semi_ppt07.ppt

Microsoft Word - TC74HC245_640AP_AF_P8_060201_.doc

問題 バイポーラ電源がないと 正と負の電圧や電流を瞬断なくテスト機器に供給することが困難になります 極性反転リレーやスイッチ マトリクスを持つ 1 象限または 2 象限電源では V またはその近傍に不連続が生じ これが問題になる場合があります ソリューション 2 象限電圧のペアを逆直列に接続すれば

INDEX PAGE 1. Evaluation Method 1 1. 測定回路 Measurement Circuits 3 (1) 静特性 待機電力特性 通電ドリフト特性 その他特性 Steady state, Standby power, Warm up voltage drift and

モジュール式アナログアンプ 形式 VT-MSPA1-1 VT-MSPA1-10 VT-MSPA1-11 RJ 形式 : 改訂 : シリーズ 1X H6833_d 特長 内容 電磁比例圧力弁の制御に適しています : DBET-6X DBEM...-7X (Z)D

<1>

第2 世代臨界モードPFC 制御IC「FA5590 シリーズ」

PixeBurn! for HD Instruction Guide JPN

Microsoft Word - N-TM307取扱説明書.doc

第 5 章 推奨配線及びレイアウト 内容ページ 1. 応用回路例 プリント基板設計における推奨パターン及び注意点 Fuji Electric Co., Ltd. MT6M12343 Rev.1.0 Dec

富士通セミコンダクタープレスリリース 2013/04/22

4. 電源仕様 FA5695N Reference Design Item Value Unit Input voltage 85 to 264 Vac Output voltage 390 Vdc Output power 200 W Overcurrent limiting of power M

TC74HC123AP/AF

基本的なノイズ発生メカニズムとその対策 電源 GND バウンス CMOS デジタル回路におけるスイッチング動作に伴い 駆動 MOS トランジスタのソース / ドレインに過渡的な充放電電流 及び貫通電流が生じます これが電源 GND に流れ込む際 配線の抵抗成分 及びインダクタンス成分によって電源電圧

TC74HCT245AP/AF

7-1 Digital IC のライブラリの準備について [ 目的 ] 実験では 74HC00 を使用するので SPICE モデルを入手する [ 方法 ] LTspice User site からライブラリとシンボルを Download します

電子回路I_6.ppt

TC74HC245,640AP/AF

TC74HC14AP/AF

MPPC 用電源 C 高精度温度補償機能を内蔵した MPPC 用バイアス電源 C は MPPC (Multi-Pixel Photon Counter) を駆動するために最適化された高電圧電源です 最大で90 Vを出力することができます 温度変化を伴う環境においても M

Microsoft Word - TA79L05_06_08_09_10_12_15_18_20_24F_J_P11_070219_.doc

製 品 仕 様 書

TC74HC423AP/AF

TC74HC373AP/AF

形式 :WYPD 絶縁 2 出力計装用変換器 W UNIT シリーズ パルスアイソレータ ( センサ用電源付 2 出力形 ) 主な機能と特長 パルス入力信号を絶縁して各種のパルス出力信号に変換 オープンコレクタ 電圧パルス リレー接点パルス出力を用意 センサ用電源内蔵 耐電圧 2000V AC 密着

SC-S21 デジタル指示調節計 特長 奥行き 63mm のコンパクトサイズ 新型オートチューニングにより 素早い応答性と収束を実現 スタートアップチューニングを搭載し オートチューニング実行時間を削減 付加仕様として 上位システムとの通信機能を選択可能 4 種類の設定値を登録可能 大きく見やすい表

NR263S

形式 :R7K4DML リモート I/O R7K4D シリーズ 少点数入出力ユニット (MECHATROLINK-Ⅰ/-Ⅱ 用 ) 供給電源 直流電源 R:24V DC( 許容範囲 ±10% リップル含有率 10%p-p 以下 ) 2 付加コード オプション仕様無記入 : なし /Q: あり ( オ

スイッチ ファブリック

AKI-PIC16F877A開発キット (Ver1

正転時とは反対に回転する これが逆転である 図 2(d) の様に 4 つのスイッチ全てが OFF の場合 DC モータには電流が流れず 停止する ただし 元々 DC モータが回転していた場合は 惰性でしばらく回転を続ける 図 2(e) の様に SW2 と SW4 を ON SW1 と SW3 を O

The DatasheetArchive - Datasheet Search Engine

形式 :PDU 計装用プラグイン形変換器 M UNIT シリーズ パルス分周変換器 ( レンジ可変形 ) 主な機能と特長 パルス入力信号を分周 絶縁して単位パルス出力信号に変換 センサ用電源内蔵 パルス分周比は前面のスイッチで可変 出力は均等パルス オープンコレクタ 電圧パルス リレー接点パルス出力

Microsoft Word - TC4013BP_BF_J_P9_060601_.doc

TA78L05,06,07,08,09,10,12,15,18,20,24F

Microsoft Word - 80c08d3be78df73e f4a4e8a8940ab000fdaa2e doc

Microsoft Word - AK8133_MS0930_J_05.doc

PFC回路とAC-DC変換回路の研究

S1F77330 シリーズ USB 用バススイッチ IC 2 to 1 Bus Switch 概要 S1F77330 シリーズは USB アプリケーションに適したバススイッチ IC です CMOS プロセスを採用しているため 低消費電力を特徴としています パッケージは小型の WCSP を採用している

TC74VHC123,221AF/AFT/AFK

アナログ回路 I 参考資料 版 LTspice を用いたアナログ回路 I の再現 第 2 回目の内容 電通大 先進理工 坂本克好 [ 目的と内容について ] この文章の目的は 電気通信大学 先進理工学科におけるアナログ回路 I の第二回目の実験内容について LTspice を用

NJU7291 概要 ウォッチドッグタイマ内蔵システムリセット IC NJU7291 は 電源電圧の瞬断や低下などの異常を瞬時に検出して リセット信号を発生する電源電圧監視用 IC です ウォッチドッグタイマが内蔵されており 各種マイコンシステムに フェイル セーフ機能を持たせることができます 特徴

Microsoft PowerPoint - semi_ppt07.ppt [互換モード]

TC74HC00AP/AF

RMS(Root Mean Square value 実効値 ) 実効値は AC の電圧と電流両方の値を規定する 最も一般的で便利な値です AC 波形の実効値はその波形から得られる パワーのレベルを示すものであり AC 信号の最も重要な属性となります 実効値の計算は AC の電流波形と それによって

97-3j

暫定資料 東芝フォトカプラ GaAlAs LED + フォト IC TLP250 TLP250 汎用インバータ エアコン用インバータ パワー MOS FET のゲートドライブ IGBT のゲートドライブ 単位 : mm TLP250 は GaAlAs 赤外発光ダイオードと 高利得 高速の集積回路受光

AN424 Modbus/TCP クイックスタートガイド CIE-H14

プリンタードライバーのインストールと設定方法 この使用説明書は プリンタードライバーのインストール方法 プリンターを使用するための設定方法 使用上の注意事項などを説明しています 動作環境 OS 日本語版 Mac OS 9.1~9.2.2 日本語版 Mac OS Χ 10.2~ 補足 各ア

B3.並列運転と冗長運転(PBAシリーズ)

Microsoft Word - LTSpice入門_V104.doc

RLC 共振回路 概要 RLC 回路は, ラジオや通信工学, 発信器などに広く使われる. この回路の目的は, 特定の周波数のときに大きな電流を得ることである. 使い方には, 周波数を設定し外へ発する, 外部からの周波数に合わせて同調する, がある. このように, 周波数を扱うことから, 交流を考える

-2 外からみたプロセッサ GND VCC CLK A0 A1 A2 A3 A4 A A6 A7 A8 A9 A10 A11 A12 A13 A14 A1 A16 A17 A18 A19 D0 D1 D2 D3 D4 D D6 D7 D8 D9 D10 D11 D12 D13 D14 D1 MEMR

TC4093BP/BF

スライド 1

形式 :ABF3 計装用プラグイン形変換器 M UNIT シリーズ アナログバックアップ ( パネル形 バーグラフ / デジタル表示 ) 主な機能と特長 DCS またはコンピュータ制御信号のバックアップ PV バーグラフ指示計付 デジタル表示は切換え可能 外部接点によるモード切換誤操作防止機能付 (

ReviveUSB(web)

MIP2N1AUKL

NJM2591 音声通信用ミキサ付き 100MHz 入力 450kHzFM IF 検波 IC 概要 外形 NJM259 1は 1.8 V~9.0 Vで動作する低消費電流タイプの音声通信機器用 FM IF 検波 IC で IF 周波数を 450kHz ( 標準 ) としています 発振器 ミキサ IF

Technical Article

3.5 トランジスタ基本増幅回路 ベース接地基本増幅回路 C 1 C n n 2 R E p v V 2 v R E p 1 v EE 0 VCC 結合コンデンサ ベース接地基本増幅回路 V EE =0, V CC =0として交流分の回路 (C 1, C 2 により短絡 ) トランジスタ

モータ HILS の概要 1 はじめに モータ HILS の需要 自動車の電子化及び 電気自動車やハイブリッド車の実用化に伴い モータの使用数が増大しています 従来行われていた駆動用モータ単体のシミュレーション レシプロエンジンとモータの駆動力分配制御シミュレーションの利用に加え パワーウインドやサ

スライド 1

Microsoft Word - TC4017BP_BF_J_P10_060601_.doc

Microsoft PowerPoint - 集積回路工学(5)_ pptm

フロントエンド IC 付光センサ S CR S CR 各種光量の検出に適した小型 APD Si APD とプリアンプを一体化した小型光デバイスです 外乱光の影響を低減するための DC フィードバック回路を内蔵していま す また 優れたノイズ特性 周波数特性を実現しています

スライド 1

ブロック図 真理値表 入力出力 OUTn (t = n) CLOCK LATCH ENABLE SERIAL-IN OUT 0 OUT 7 OUT 15 SERIAL OUT H L D n D n D n 7 D n 15 D n 15 L L D n No Change D n 15 ( 注 )

207/8/29 V.0.2 概要 ローノイズ電源レギュレーターとして知られる LT3042 を使用した電源基板です LT3042 には並列接続して使用できるという特長があります N 個を並列で使用した場合の出力電圧の RMS ノイズが / N に減少するという特性を利用し 4 個の LT3042

目次 ページ 1. 本マニュアルについて 3 2. 動作環境 4 3. ( 前準備 ) ライブラリの解凍と保存 5 4. モデルのインポート 6 5. インポートしたモデルのインピーダンス計算例 8 6. 補足 単シリーズ 単モデルのインポート お問い合わせ先 21 2

ブロック図 真理値表 STEP CLOCK LATCH ENABLE SERIAL IN OUT 0 OUT5 OUT 7 SERIAL OUT 1 UP H L D n D n D n 5 D n 7 D n 7 2 UP L L D n+1 No change D n 6 3 UP H L D

TC74HCT245AP/AF

Microsoft Word - XC6120_JTR doc

形式 :AEDY 直流出力付リミッタラーム AE UNIT シリーズ ディストリビュータリミッタラーム主な機能と特長 直流出力付プラグイン形の上下限警報器 入力短絡保護回路付 サムロータリスイッチ設定方式 ( 最小桁 1%) 警報時のリレー励磁 非励磁が選択可能 出力接点はトランスファ形 (c 接点

Microsoft PowerPoint pptx

Transcription:

アプリケーション ノート AN-1053 ip1201 または ip1202 を搭載した回路の電源起動法 David Jauregui, International Rectifier 目次項 1 はじめに...2 2 電源起動法...2 2.1 シーケンシャルな立ち上げ...3 2.2 比例関係を保った立ち上げ...3 2.3 同時立ち上げ...4 3 結論...6 多くの高性能な DSP( デジタル シグナル プロセッサ ) や ASIC( 特定用途向け IC) には 安定化された 2 種類の電源電圧が必要です これらの IC は電源を立ち上げるときに特別な注意を払わなければなりません IC が要求する電源起動シーケンスに反すると ラッチ アップ状態になったり 長時間の信頼性が低下したりすることがあります インターナショナル レクティファイアー ジャパン この文献の無断複製 転載を禁じます 日本語版 :2006 年 10 月 www.irf-japan.com Page 1 of 6

ip1201 または ip1202 を搭載した回路の電源起動法 David Jauregui, International Rectifier 1 はじめに 2 電源の起動方法 多くの高性能な DSP( デジタル シグナル プロセッサ ) や ASIC( 特定用途向け IC) には 安定化された 2 種類の電源電圧が必要です これらの IC は 電源起動時に電源レールの電圧の立ち上げに特別な注意を払わなければなりません IC が要求する電源起動シーケンスに反すると ラッチ アップ状態になったり 長時間の信頼性が低下したりすることがあります 電源起動シーケンスには シーケンシャル 比例関係 同時の 3 種類があります ( 図 1) このアプリケーション ノートでは ip1201/2 を例に 電源起動シーケンスの実現方法を説明します 3 種類のシーケンスすべてで 入力電源 (V IN ) は一定に保たれ 電源起動シーケンスを開始するために ENABLE ピンを使います 2.1 シーケンシャルな立ち上げ 電源のシーケンシャルな立ち上げ (Sequential Powerup) は 各電源レールに順番にエネルギを加えます 一般的には 1 つ目の電源レール (ip1201/2 の出力 1) が通常の動作点に到達したときに 2 つ目の電源レール (ip1201/2 の出力 2) がイネーブルにされます ip1201/2 では ソフトスタート用のコンデンサ ( 出力 1 用の SS1 ピンと出力 2 用の SS2 ピンに外付け ) の値を選ぶことにより 容易にシーケンシャルに立ち上げることできます ソフトスタート用コンデンサの値は次式で求めます C SS2 = 2.25 x C SS1 ここで C SS2 = 出力 2 のソフトスタート用コンデンサ C SS1 = 出力 1 のソフトスタート用コンデンサ ip1201/2 を使って電源をシーケンシャルに立ち上げたときの例が図 2 です 出力 1 は 1.5V で 0.1μF のコンデンサを使っています 出力 2 は 2.5V で 0.22μF です Sequential Power-up Ratiometric Power-up Simultaneous Power-up 図 1 立ち上げシーケンスは 3 種類 図 2 電源をシーケンシャルに立ち上げた例 www.irf-japan.com Page 2 of 6

2.1 比例関係を保った立ち上げ V IN 比例関係を保って電源を立ち上げる (Ratiometric Power-up) ときは 両方の電源レール (ip1201/2 の 2 つの出力 ) に同時にエネルギを加え 同時に設定した電圧に到達します 電源を立ち上げている期間は 電源レールの電圧の比は一定に保たれます すなわち 高い電圧のレールほどスルー レートを高くしなければなりません ip1201/2 では 次の 2 つの方法で容易に実現できます 100k FB2 Enable FB1 方法 1) SS1 ピンと SS2 ピンの両方を 1 つの共通のソフトスタート用コンデンサに接続すると 高精度の電源起動シーケンスが実現できます ( 図 3) この構成では 過電流保護機能 (OCP) をラッチ モード ( 遮断 ) に設定してください すなわち Hiccup ピンを接地してください ( 図 4) FB2S SS1 SS2 FB1S Hiccup 0.1µ ip1201/2 図 4 比例関係を保った立ち上げ :1 つのソフトスタート用コンデンサを使ったときの構成 図 3 2 つの電源レールの電圧の比例関係を保った立ち上げ :1 つのソフトスタート用コンデンサを使ったとき ( 縦軸は 500mV/div 横軸は 1ms/div) 方法 2) SS1 ピンと SS2 ピンをそれぞれ別々の同じ値のソフトスタート用コンデンサに接続しても実現できます ただし 2 つのコンデンサの容量値の偏差が比例の精度を決定します 図 5 の実験では 0.1μF 16V X7R 10% のコンデンサを使いました この構成では OCP はラッチ モードまたは間欠 (hiccup) モードに設定することができます ( 図 6) 同じ値のソフトスタート用コンデンサを使った場合 方法 1 の出力電圧のスルー レートは 方法 2 の約 2 倍です 方法 1 では 2 つのソフトスタート用電流源が 1 つのコンデンサを充電するためです 図 3 と図 5 の各グラフの時間軸 (1.0ms/div 対 2.0ms/div) を比べると このことは明らかです www.irf-japan.com Page 3 of 6

2.3 同時立ち上げ 図 5 比例関係を保った立ち上げ :2 つのソフトスタート用コンデンサを使ったとき ( 縦軸は 500mV/div 横軸は 2ms/div) 100k V IN FB2 FB2S SS1 SS2 Enable FB1 FB1S Hiccup 電源の同時立ち上げ (Simultaneous Power-up) では 両方の電源レール (ip1201/2 の 2 つの出力 ) に同時にエネルギを加え 2 つの電源レールのうち 電圧の低い方が通常の動作点に到達するまで 電源レール間の電位差が最小になるようにします すなわち 両方の電源両レールが同じスルー レートでなければならないということです 2 つの MOSFET を外付けして 同時立ち上げを実現できます ( 図 7) 電源を立ち上げたとき 両方の電源レールは 2 つの出力電圧のうちの低い方の設定電圧に安定化され スルー レートは同じになります (SS1 ピンと SS2 ピンを 1 つのコンデンサに接続 ) 通常の動作点に到達すると ( パワー グッド ) ピンが 2 つの MOSFET(Q1 と Q2) を駆動し 同時に抵抗 RA と RB に並列インピーダンスを挿入されたことになります そして 2 つ目の電源レールが高い方の電圧に到達し設定されます ( 図 8) 図 8 で 2 つの電源レールが離れる前の小さな遅延は 外付け MOSFET がオンするときのしきい電圧に到達するまでの時間によって発生します SS1 と SS2 の両方を 1 つのコンデンサに接続すると 電源レールの電位差を正確に制御できます ( 図 9) この構成では OCP をラッチ モードに設定してください 2 個のソフトスタート用コンデンサを使って SS1 と SS2 にそれぞれ接続しても 同時立ち上げが実現できます ( 図 10) 容量値の偏差が立ち上げ時の電位差の精度を決めます ( 図 11) この実験では 0.1μF 16V X7R 10% のコンデンサを使いました この構成では 過電流保護機能はラッチ モードまたは間欠 (hiccup) モードに設定することができます 0.1µ 0.1µ ip1201/2 図 6 比例関係を保った立ち上げ :2 つのソフトスタート用コンデンサを使ったときの構成 www.irf-japan.com Page 4 of 6

V IN 1Meg Enable FB2 FB1 1µ Q1 1.69k RA 1µ Q2 1.69k RB 0.1µ FB2S FB1S SS1 Hiccup SS2 ip1201/2 Extra Components Assumes > 図 7 電源の同時立ち上げ :1 つのソフトスタート用コンデンサを使ったときの回路構成例 - - < 5mV < 5mV 図 8 電源の同時立ち上げ :1 つのソフトスタート用コンデンサを使ったとき ( 縦軸は 500mV/div 横軸は 1ms/div) 図 9 電源の同時立ち上げ :1 つのソフトスタート用コンデンサを使ったときの 2 つの電源レールの電位差 ( 縦軸は 20mV/div 横軸は 20μs/div) www.irf-japan.com Page 5 of 6

3 結論 ASIC や DSP など 2 種類の電源電圧を使う IC の電源起動時には 電源レールの立ち上げシーケンスを正しく守らなければなりません ip1201/2 を使った設計では 簡単で低価格の外付け部品を使うと 3 種類すべての電源起動シーケンスを容易に実現できます 図 10 電源の同時立ち上げ :2 つのソフトスタート用コンデンサを使ったとき ( 縦軸は 500mV/div 横軸は 2ms/div) - = 20mV 図 11 電源の同時立ち上げ :2 つのソフトスタート用コンデンサを使ったときの 2 つの電源レールの電位差 ( 縦軸は 20mV/div 横軸は 20μs/div) インターナショナル レクティファイアー ジャパンこの文献の無断複製 転載を禁じます www.irf-japan.com Page 6 of 6