平成 29 年度 厚生年金保険法第七十九条の八第二項に基づく国家公務員共済組合連合会にかかる管理積立金の管理及び運用の状況についての評価の結果 概要 平成 30 年 12 月 財務省主計局給与共済課

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資料1 平成28年度厚生年金保険法第79条の8第2項に基づく地方公務員共済組合連合会に係る管理積立金の管理及び運用の状況についての評価の結果(概要)

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平成24年度 業務概況書

る 連合会は 管理運用の方針の策定及び変更等退職等年金給付調整積立金の管理及び運用に係る専門的事項を検討する場合には 資金運用委員会の専門的知見を活用する 3 退職等年金給付調整積立金の管理及び運用におけるリスク管理連合会は 連合会を除く管理運用機関 ( 組合 市町村連合会及び連合会をいう 以下同じ

Microsoft PowerPoint - 02 運用報告書(退年) ppt [互換モード]

2018 年度第 3 四半期運用状況 ( 速報 ) 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に判断することが必要ですが 国民の皆様に対して適時適切な情報提供を行う観点から 作成 公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか 四半期ごとに運用状況の速報として公表を行うも

共済事業団をいう 以下同じ ) が共同して モデルポートフォリオを定めるとともに 連合会は モデルポートフォリオを参酌して 長期的な観点からの資産構成割合 ( 以下 基本ポートフォリオ という ) を策定し 管理積立金の管理及び運用を行う (2) 運用の目標 リスク管理等 1 運用の目標管理積立金の

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国家公務員共済組合連合会 厚生年金保険給付積立金の令和元年度第 1 四半期運用状況 第 1 四半期末の運用資産額は 6 兆 7,376 億円となりました 第 1 四半期の収益額は 実現収益額が 512 億円 総合収益額が 128 億円となりました 第 1 四半期の収益率は 実現収益率 ( 期間率 )

Microsoft Word - ●01 第1章・第2章

1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

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1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)


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平成27年度

⑧(第1回参考資料)積立金の運用状況v2

( 参考 ) と直近四半期末の資産構成割合について 乖離許容幅 資産構成割合 ( 平成 27(2015) 年 12 月末 ) 国内債券 35% ±10% 37.76% 国内株式 25% ±9% 23.35% 外国債券 15% ±4% 13.50% 外国株式 25% ±8% 22.82% 短期資産 -


第 2 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +0.09% 実現収益率 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用収益額 億円 実現収益額 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用資産残高 ( 第 2 四半期末 ) 357 億円 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に

する なお 年間資金運用計画には 次の事項を記載する (1) 資金収支見込みア収入予定額 ( ア ) 負担金 ( イ ) 掛金 ( ウ ) 利息 利金 ( エ ) その他の収入イ支出予定額 ( ア ) 退職給付金 ( イ ) 繰入金外 ( ウ ) その他の支出ウ短期運用額エ投資運用額 (2) 資金運

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平成 30 年度 厚生年金保険給付組合積立金 運用報告書

第 1 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +1.54% 収益率 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1.02% 実現収益率 ( )) 運用収益額 +3,222 億円 総合収益額 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1,862 億円 実現収益額 ( )) 運用資産残高 ( 第 1 四半期末 )

目次平成 28 年度の運用実績 ( 概要 ) 2 第 1 部平成 28 年度の運用状況 1 平成 28 年度市場環境 ( 通期 ) 3 2 資産の構成割合 4 3 平成 28 年度運用利回り 5 ( 参考 ) 平成 27 年度運用利回り 6 4 平成 28 年度運用収入の額 7 ( 参考 ) 平成

1226評価報告書

●H00 表紙(案)とれ版

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スライド 1

退職等年金給付積立金等の管理運用の方針

平成 9 第 3 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +3.98% 収益率 ( ) ( 第 3 四半期 ) (+1.11% 実現収益率 ( )) 運用収益額 +4,418 億円 総合収益額 ( ) ( 第 3 四半期 ) (+1,05 億円 実現収益額 ( )) 運用資産残高 ( 第 3 四半

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

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国家公務員共済組合連合会 ( 以下 連合会 という ) は 厚生年金保険法 ( 以下 厚年法 という ) 第 79 条の8 第 1 項の規定に基づき 平成 29 年度における管理積立金 ( 厚年法第 79 条の6 第 1 項に規定する管理積立金のうち連合会が管理するものをいう 以下同じ ) に関する

企業年金における資産運用の状況 2015年度年次報告書.pdf

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平成 28 年度第 3 四半期退職等年金給付組合積立金運用状況 警察共済組合

2 資産 地域 時間等を分散して投資することを基本とし 短期的には市場価格の変動等はあるものの 長い投資期間を活かして より安定的に より効率的に収益を獲得し 併せて 年金給付に必要な流動性を確保する 分散投資 一つの籠に卵を盛るな という西洋のことわざがありますが 年金積立金の運用に限らず 一般に

国家公務員共済組合連合会 ( 以下 連合会 という ) は 国家公務員共済 組合法 ( 以下 国共法 という ) 第 35 条の 4 の規定に基づき 平成 27 年度に おける退職等年金給付積立金に関する業務概況書を公表します 1


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第 3 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項 1. 年金積立金の管理及び運用の基本的な方針年金積立金の運用は 年金積立金が被保険者から徴収された保険料の一部であり かつ 将来の年金給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し 専ら被保険者の利益のために 長期的な観点から

西日本電気工事企業年金基金_No3_2017_9_FIX.indd

目次 Ⅰ 退職等年金給付組合積立金の管理及び運用の基本的な方針 1 基本的な方針 1 2 運用の目標 1 3 年金資産運用検討委員会の活用 1 4 資金運用計画 2 (1) 資金収支見込み (2) 資金運用方針 5 リスク管理 2 (1) 資産全体 (2) 各資産 (3) 自家運用 (4) 資産管理


運用基本方針

目次 1 運用実績の概要 ( 平成 28 年度第 3 四半期 ) 2 2 市場環境 ( 平成 28 年度第 3 四半期 ) 3 3 資産構成割合 ( 平成 28 年度第 3 四半期末 ) 5 4 運用利回り ( 平成 28 年度第 3 四半期 ) 6 ( 参考 ) 運用利回り ( 前年度 ) 7 5

国家公務員共済組合連合会 ( 以下 連合会 という ) は 国家公務員共済 組合法 ( 以下 国共法 という ) 第 35 条の 4 の規定に基づき 平成 29 年度に おける退職等年金給付積立金に関する業務概況書を公表します 1

目次 平成 29 年度 第 2 四半期運用実績 ( 概要 ) P 2 平成 29 年度 市場環境 ( 第 2 四半期 ) 1 P 3 平成 29 年度 市場環境 ( 第 2 四半期 ) 2 P 4 平成 29 年度 退職等年金給付組合積立金の資産構成割合 P 5 平成 29 年度 退職等年金給付組合

清酒製造業退職金共済事業資産運用の基本方針

2018年度年金資産運用状況(速報).pdf

Microsoft Word - ●00 表紙 (案トレ版)

有識者会議提言後の対応 好循環実現のための経済対策 好循環実現のための経済対策 ( 平成 25 年 12 月 5 日閣議決定 ) において 有識者会議の提言を踏まえ 厚生労働省等の関係省庁において 各資金の規模 性格に応じ 長期的な健全性の確保に留意しつつ 必要な施策を迅速かつ着実に実施すべく所要の


金融監督等にあたっての留意事項について*事務ガイドライン*第三分冊:金融会社関係

国家公務員共済組合連合会 ( 以下 連合会 という ) は 国家公務員共済 組合法 ( 以下 国共法 という ) 第 35 条の 4 の規定に基づき 平成 28 年度に おける退職等年金給付積立金に関する業務概況書を公表します 1

この基本運用方針は、地方公務員共済組合連合会(以下「連合会」という

< 目的 > 専ら被保険者の利益 にはそぐわない目的で運用が行われるとの懸念を払拭し 運用に対する国民の信頼を高める 運用の多様化 高度化が進む中で 適切にリスクを管理しつつ 機動的な対応を可能に GPIF ガバナンス強化のイメージ ( 案 ) < 方向性 > 1 独任制から合議制への転換基本ポート

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2. 運用の目標 リスク管理及び運用手法 (1) 運用の目標年金積立金の運用は 厚生年金保険法第 2 条の4 第 1 項及び国民年金法第 4 条の3 第 1 項に規定する財政の現況及び見通しを踏まえ 保険給付に必要な流動性を確保しつつ 長期的に積立金の実質的な運用利回り ( 積立金の運用利回りから名

国家公務員共済組合連合会 ( 以下 連合会 という ) は 厚生年金保険法 ( 以下 厚年法 という ) 第 79 条の8 第 1 項の規定に基づき 平成 28 年度における管理積立金 ( 厚年法第 79 条の6 第 1 項に規定する管理積立金のうち連合会が管理するものをいう 以下同じ ) に関する

国民年金 ( 基礎年金 ) 平成 26 年度財政状況等の概要 1. 収支状況 (1) 基礎年金勘定の収支状況 前年度との比較 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度 平成 26 年度 ( 伸 び 率 %) 億円 億円 億円 億円 億円 億円 収入総額 230,026

平成21年度第1四半期運用状況

1. 平成 29 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 : 日銀の金融緩和が継続される中 期初から 9 月上旬にかけては 北朝鮮のミサイル発射や核実験に伴う地政学的リスクの高まりなどから 10 年国債利回りは一時的にマイナスまで低下しました その後 株価指数の上昇 円

平成 29 年度第 3 四半期運用状況 年金積立金管理運用独立行政法人年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に判断することが必要ですが 国民の皆様に対して適時適切な情報提供を行う観点から 作成 公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか 四半期ごとに運用状況の公表

(1) 年間資金運用計画退職等年金給付組合積立金の運用に当たっては 年度開始前に年間資金運用計画を作成する 年間資金運用計画には 次の事項を記載する 1 収支損益及び退職等年金給付組合積立金の見込みア期首退職等年金給付組合積立金イ収入総額ウ支出総額エ当期利益金オ期末退職等年金給付組合積立金カ運用利回

(4) リスク管理の徹底運用受託者は 運用ガイドライン及び組合との間で合意した目標リスク ( トラッキング エラー等 ) を遵守し リスク管理を徹底しなければならない (5) その他その他 組合から運用上の指示がある場合には 運用受託者はこれに従うものとする 3 個別の資産区分に関する運用上の遵守事

この基本運用方針は、地方公務員共済組合連合会(以下「連合会」という

建設業退職金特別共済事業資産運用の基本方針

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被用者年金一元化法による追加費用削減について 昨年 8 月に社会保障 税一体改革関連法の一つとして被用者年金一元化法が成立 一元化法では 追加費用財源の恩給期間にかかる給付について 以下の配慮措置を設けた上で 負担に見合った水準まで一律に 27% 減額することとし 本年 8 月まで ( 公布から 1

年金積立金管理運用独立行政法人 平成21年度第3四半期運用状況

とともに 長期的に各資産のベンチマーク収益率を確保する なお 組合が管理及び運用する厚生年金保険給付組合積立金は 毎年度相当額の年金給付支払いがあるため 必要な短期資産を確保する その資産全体に占める構成割合は一定ではないため 基本ポートフォリオを踏まえた運用が困難であることから 年金給付支払いのた

1 乖離幅が許容範囲を超えた場合 乖離状況が是正されるよう資産の移受管によりリバランスを行う 2 上記 1にかかわらず 積立水準の変化 マーケットの変動 マーケットインパクト 取引コスト等 総合的に判断したうえで 乖離状況が是正されるようリバランスを行うことができる 3 上記 1 2に基づくリバラン

1. 平成 28 年度第 1 四半期運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 : 日銀の緩和的な金融政策を背景に 10 年国債利回りは マイナス 0.1% 前後での推移が続きました 6 月に入ると 世界的な景気低迷や不安定な金融市場の動きを受け 日銀の追加金融緩和観測が台頭し 1

( )

る法律 ( 平成 28 年法律第 104 号 ) による年金積立金管理運用独立行政法人法 ( 平成 16 年法律第 105 号 以下 法 という ) の改正に伴い 1 独任制から合議制への転換 2 意思決定 監督 と 執行 の分離 執行部の責任と権限の明確化を目的として 平成 29 年 10 月 1

1. 平成 28 第 3 運用環境 各市場の動き ( 10 月 ~ 12 月 ) 国内債券 :9 月に導入された日銀の 長短金利操作付き量的 質的金融緩和 を受け 期初から 10 年国債利回りはゼロ % をやや下回る水準で推移しましたが 11 月の米大統領選挙後は米国の財政拡大期待による米国金利上昇

この基本運用方針は、地方公務員共済組合連合会(以下「連合会」という

平成24年度 業務概況書

平成 25 年 1 月 25 日 年金資産運用に係る 運用の基本方針 愛媛県機械金属工業厚生年金基金 ( 以下 当基金 という ) の年金給付等積立金 ( 以下 年金資産 の運用にあたり基本方針を以下のとおり定める 当基金から年金資産の運用 管理を委託された運用受託機関は この年金資産運用の基本方針

GPIF

この基本運用方針は、地方公務員共済組合連合会(以下「連合会」という

260401【厚生局宛て】施行通知

運用受託機関及び資産管理機関への支払手数料 ( 平成 26 年度 ) MU 投資顧問 < 法人番号 > 269,058,307 セイリュウ アセット マネジメント < 法人番号 > ( タイヨウ パシフィック パートナーズ LP) 122,228,

平成28年度 業務概況書(退職等年金給付積立金)

2.債券運用-(3) 自家運用

(3) 可処分所得の計算 可処分所得とは 家計で自由に使える手取収入のことである 給与所得者 の可処分所得は 次の計算式から求められる 給与所得者の可処分所得は 年収 ( 勤務先の給料 賞与 ) から 社会保険料と所得税 住民税を差し引いた額である なお 生命保険や火災保険などの民間保険の保険料およ

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日本株市場を泳ぐ 5 頭のクジラ SMBC 日興証券株式会社投資情報部 2016 年 10 月 4 日更新版

Microsoft Word - 運用基本方針201802_履歴なし.docx

22222

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平成 29 年度 厚生年金保険法第七十九条の八第二項に基づく国家公務員共済組合連合会にかかる管理積立金の管理及び運用の状況についての評価の結果 概要 平成 30 年 12 月 財務省主計局給与共済課

1 KKR の管理積立金の運用の状況 平成 29 年度における KKR の管理積立金の運用実績は 収益率が 6.06% 収益額が 4, 000 億円である また 平成 29 年度末における KKR の管理積立金の運用資産額は 6 兆 9,324 億円である (1) 平成 29 年度の収益率及び収益額 平成 29 年度 収益率 ( 簿価 ) 3.42% 収益率 ( 時価 ) 6.06% 収益額 ( 簿価 ) 収益額 ( 時価 ) 平成 29 年度 2,043 億円 4,000 億円 ( 注 1) 収益率 ( 簿価 ) は実現収益率 収益率 ( 時価 ) は修正総合収益率 収益額 ( 簿価 ) は実現収益額 収益額 ( 時価 ) は総合収益額である ( 注 2) 収益率及び収益額は運用手数料控除後のものである (2) 平成 29 年度末の運用資産額 平成 29 年度末 簿価時価評価損益 運用資産額 61,432 億円 69,324 億円 7,892 億円 1

2 KKR の管理積立金の運用状況が年金財政に与える影響 平成 29 年度におけるKKRの管理積立金の収益率は6.06% 賃金上昇率は0.26% であることから 実質的な運用利回りは5.78% である 平成 26 年財政検証の前提における平成 29 年度の実質的な運用利回りは 0.99%( 経済再生ケース ) としており 実績が財政検証の前提を6.77% 上回っていることから 平成 29 年度におけるKKRの管理積立金の運用実績は年金財政にプラスの影響を与えるものと評価できる 公的年金の年金給付額は 長期的に見ると名目賃金上昇率に連動して増加することとなるため 運用収入のうち賃金上昇を上回る部分が 年金財政上の実質的な収益となる このため 管理積立金の運用状況が年金財政に与える影響の評価は 名目運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いた 実質的な運用利回り について 運用実績と財政再計算及び財政検証における前提とを比較して行う 平成 29 年度 実績 1 財政計算上の前提 2 差 1-2 名目運用利回り 6.06% 2.57% 3.49% 名目賃金上昇率 0.26% 3.56% 3.30% 実質的な運用利回り 5.78% 0.99% 6.77% ( 注 1) 運用利回り ( 収益率 ) は運用手数料控除後のものである ( 注 2) 実績の名目賃金上昇率 0.26% は 厚生年金保険制度全体の平成 29 年度のもの ( 厚生労働省提供 ) である ( 注 3) 財政計算上の前提は 厚生年金保険制度の平成 26 年財政検証における女性や高齢者の労働市場への参加が進み日本経済が再生するケースである ( 注 4) 実質的な運用利回り ( 財政計算上の前提を除く ) は {(1+ 名目運用利回り /100)/(1+ 名目賃金上昇率 /100)} 100-100 として算出 2

3 KKR における積立金基本指針及び管理運用の方針に定める事項の遵守状況 KKR は 管理積立金の管理及び運用にあたり 積立金基本指針及び KKR の管理運用の方 針に定める事項を遵守することとされている 平成 29 年度においては 基本ポートフォリオ の策定 運用リスク管理 資産毎のベンチマーク収益率の確保 運用手法等 いずれも積立金 基本指針及び KKR の管理運用の方針に基づいているものと認められることから KKR は積 立金基本指針及び KKR の管理運用の方針を遵守しているものと評価できる (1) 基本ポートフォリオの策定及び遵守状況 KKR は 積立金基本指針に適合し かつモデルポートフォリオに即した基本ポートフォリオを策定 平成 29 年度末の資産構成は 各資産とも基本ポートフォリオの乖離許容幅の範囲内となっている 国内債券国内株式外国債券外国株式短期資産合計 平成 29 年度末資産構成割合 45.40% 21.84% 7.03% 20.65% 5.08% 100.00% 基本ポートフォリオ中心値からの乖離 10.40% 3.16% 7.97% 4.35% - - 基本ポートフォリオ中心値 35.0% 25.0% 15.0% 25.0% - 100.00% 基本ポートフォリオ乖離許容幅 ±30.0% ±10.0% ±10.0% ±10.0% - - (2) 運用リスク管理 KKRは 運用リスク管理方針及び運用リスク管理要領を制定し また 運用リスク管理委員会を設置している リスク管理は 市場リスク 流動性リスク 信用リスク その他のリスクについて複線的な視点から行われ 特に市場リスクに関しては 基本ポートフォリオの策定前提の検証 基本ポートフォリオやベンチマークからの乖離をモニタリングしている これらの活動により 積立金基本指針及びKKRの管理運用の方針に基づいた運用リスク管理を適切に行っているものと評価できる 3

(3) 資産毎のベンチマーク収益率の確保 国内債券国内株式外国債券外国株式 時間加重収益率 1.18% 17.03% 3.92% 9.03% ベンチマーク収益率 0.90% 15.87% 4.23% 8.47% 超過収益率 0.28% 1.17% 0.31% 0.56% KKR は 国内債券 国内株式及び外国株式についてはプラスの超過収益率を確保しているが 外国債券についてはアクティブ運用及びパッシブ運用共に超過収益率がマイナスであったことから マイナスの超過収益率となった しかしながら 外国債券のアクティブ運用については 運用実績の振るわない運用受託機関等に対して中長期的な観点から総合的に評価を行った上でファンドの解約や減額等の対応を実施していること また パッシブ運用のうち自家運用については 将来の年金給付のための資金繰りを踏まえた運用のため 必ずしもベンチマークに追随する運用を行っていないことなどから 全体としては資産毎のベンチマーク収益率の確保に努めているものと評価できる (4) 運用手法 KKR は 積立金基本指針及び KKR の管理運用の方針の規定の範囲内の運用手法により運用を行っている なお 貸付金及び投資不動産 ( 厚年法第 79 条の 3 第 3 項ただし書きの運用に該当 ) への投資は行っていない (5) その他 上記以外の項目についても KKRは積立金基本指針及びKKRの管理運用の方針に基づいて管理積立金の管理及び運用を行っているものと評価できる 4

4 その他 KKRは 年金積立金の運用も含め 重要事項については同数の労使代表からなる運営審議会の議を経ることが国共済法において規定されており 組織としての意思決定に際して 労使を含めた合議による議論を行っている さらに 年金積立金の運用に関しては 学識者等の専門家からなる資産運用委員会 ( 理事長の諮問機関 ) において議論し 必要に応じて運営審議会において十分な説明を行っている このように KKRのガバナンス体制は 識見の結集を図り 慎重かつ適切な意思決定を行うことができるものとなっている この他 コンプライアンスの推進や運用リスク管理の強化に取り組むことにより 適正な業務運営を確保するように努めている 5

( 参考 1) これまでの運用実績 ( 平成 13 年度以降 ) 45,000 億円 40,000 億円 累積総合収益額 38,337 億円 平成 13 年度 ~ 平成 29 年度の平均時価利回り 2.91% による累積総合収益額 35,000 億円 平成 13 年度 ~ 平成 20 年度の平均時価利回り 1.69% による累積総合収益額 31,723 億円 34,336 億円 30,836 億円 30,000 億円 26,240 億円 25,000 億円 20,000 億円 15,000 億円 15,821 億円 13,318 億円 15,343 億円 17,351 億円 16,372 億円 11,987 億円 18,969 億円 22,812 億円 10,000 億円 5,000 億円 3,098 億円 1,342 億円 6,380 億円 8,671 億円 0 億円 13 年度 14 年度 15 年度 16 年度 17 年度 18 年度 19 年度 20 年度 21 年度 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 29 年度 KKR の各年度の時価利回り (%) 13 年度 14 年度 15 年度 16 年度 17 年度 18 年度 19 年度 20 年度 21 年度 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 29 年度 1.56 2.05 3.84 2.65 5.36 2.79 0.53 3.89 5.52 1.21 2.06 5.10 4.61 7.45 1.12 5.38 6.06 ( 注 1) 平成 27 年度第 2 四半期までは国共済年金積立金の運用利回り 平成 27 年度第 3 四半期以降は厚生年金積立金の運用利回りであり 平成 27 年度の数値については 上半期の国共済年金積立金の運用利回り ( 1.48%) と下半期の厚生年金積立金の運用利回り (0.37%) に基づいて機械的に試算したものである ( 注 2) 平均の利回りについては いずれも幾何平均である ( 注 3) 運用利回りは運用手数料控除後である ( 注 4) 平成 13 年度 ~ 平成 29 年度の平均時価利回り 2.91% による累積総合収益額は 各年度の総合収益額 2.91%/ 各年度の時価利回り として機械的に試算した額を累積したものである ( 注 5) 平成 13 年度 ~ 平成 20 年度の平均時価利回り 1.69% による累積総合収益額は 各年度の総合収益額 1.69%/ 各年度の時価利回り として機械的に試算した額を累積したものである 6

( 参考 2)KKR の資産構成割合の推移 70.00 国内債券 ( 単位 :%) 40.00 国内株式 ( 単位 :%) 60.00 50.00 40.00 30.00 20.00 61.99 61.49 58.53 62.77 60.86 59.14 52.17 51.89 50.66 47.17 6 44.27 45.40 30.00 20.00 10.00 14.26 13.94 16.64 15.28 15.14 16.39 18.35 18.42 19.99 20.44 22.10 21.84 10.00 0.00 27 年度 1Q 27 年度 2Q 27 年度 3Q 27 年度末 28 年度 1Q 28 年度 2Q 28 年度 3Q 28 年度末 29 年度 1Q 29 年度 2Q 29 年度 3Q 29 年度末 0.00 27 年度 1Q 27 年度 2Q 27 年度 3Q 27 年度末 28 年度 1Q 28 年度 2Q 28 年度 3Q 28 年度末 29 年度 1Q 29 年度 2Q 29 年度 3Q 29 年度末 30.00 外国債券 ( 単位 :%) 40.00 外国株式 ( 単位 :%) 30.00 20.00 20.00 15.68 15.78 15.50 16.15 18.37 18.70 20.03 20.38 21.37 20.65 10.00 5.45 5.98 6.44 6.62 6.87 7.03 13.64 13.66 10.00 4.81 4.91 4.82 3.16 3.40 3.85 0.00 0.00 27 年度 1Q 27 年度 2Q 27 年度 3Q 27 年度末 28 年度 1Q 28 年度 2Q 28 年度 3Q 28 年度末 29 年度 1Q 29 年度 2Q 29 年度 3Q 29 年度末 27 年度 1Q 27 年度 2Q 27 年度 3Q 27 年度末 28 年度 1Q 28 年度 2Q 28 年度 3Q 28 年度末 29 年度 1Q 29 年度 2Q 29 年度 3Q 29 年度末 凡例 : 乖離許容幅 ( 上限 下限 ) 実績構成割合 基本 PF 中心値 ( 注 1) 平成 27 年度第 2 四半期以前は国共済年金積立金 平成 27 年度第 3 四半期以降は厚生年金積立金としての資産構成割合である ( 注 2) 上記の他に短期資産 不動産 ( 平成 27 年度第 2 四半期まで ) 貸付金( 平成 27 年度第 2 四半期まで ) を保有しているので 上記の合計は100% にならない 7

( 参考 3) 推定トラッキングエラーの推移 (1) 平成 27 年度末 ~ 平成 29 年度末の推定トラッキングエラー 推定トラッキングエラー ( 資産全体 ) 平成 27 年度末 4.14% 平成 28 年度末 2.55% 平成 29 年度末 1.34% (2) 推定トラッキングエラーの推移 ( 平成 29 年度 ) 8