大阪都市経済調査会 流通業の使命使命と卸売業卸売業の未来 2006 3.14 流通科学研究所佐藤俊彦
マクロ的 長期的視点から 国家戦略 国力の源 資源力軍事力経済力文化力 ( 伝統 文化 / 品格 品性 モラル ) 1
経済発展経緯 東京 Olympic 25.0% 名目 GDP 伸び率の推移 高度成長期低成長期 0 成長期 大阪万博 20.0% 15.0% 10.0% 5.0% 0.0% -5.0% 1956 1960 1964 1968 1972 1976 1980 1984 1988 1992 1996 2000 2004 ( 出所内閣府経済社会総合研究所 ) 2
生活水準の向上と停滞 ドル 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 エンゲル係数 1 人当名目 GDP( ドル ) 1956 1960 1964 1968 1972 1976 1980 1984 1988 1992 1996 2000 2004 50% 40% 30% 20% 10% 0% ( 出所内閣府経済社会総合研究所 家計調査報告 ) 3
環境の変化 国内総人口の推移 生産人口の推移 万人 万人 13,000 7,000 12,000 6,500 11,000 10,000 9,000 6,000 5,500 5,000 4,500 ピーク 1967 1970 1973 1976 1979 1982 1985 1988 1991 1994 1997 2000 2003 2006 2009 1967 1970 1973 1976 1979 1982 1985 1988 1991 1994 1997 2000 2003 ( 出所総務省統計局 ) 2004 年がピーク人口減少社会が前提に ( 出所総務省統計局 ) 1998 年がピーク既にピークアウト 4
指標の変更 GDP = C + I + G + (EX-IM) ( 消費 ) ( 投資 ) ( 公共投資 ) ( 輸出 ) ( 輸入 ) 人口減小さな政府貿易摩擦 GNP=GDP + 海外からの純所得 指標案 GGP= 貿易絶対額 + サービス絶対額 + 現地生産額 5
経常収支 経常収支の推移 億円 200,000 150,000 100,000 50,000 0-50,000-100,000 貿易収支 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 所得収支 サービス収支 ( 出所財務省国際収支総括表 ) 6
国家戦略 : 経済力による国力アップ 海外所得の増加 海外における Made by Japan, Managed by Japan 2 次産業 : 自動車の成功 半導体 エレクトロニクスの失速 デジタル家電の大競争 携帯電話の大失敗 (1985 プラザ合意以降 ) 3 次産業 :( 金融 流通 ) の無戦力ク ローハ ル化 7
フォーチュン 500 社データ (2004) より 500 社に占めるシェア 売上利益 ( 企業数 ) 石油精製 11.3% 16.0% 6.4% 流通 10.4% 5.7% 9.6% 銀行 10.3% 20.4% 11.3% 自動車 10.3% 4.8% 6.4% ( ホームページ fortune/global500 より作成 ) 8
2003 年度世界の小売業売上高ベスト 25 300,000 250,000 200,000 150,000 百万ドル 上位 10 社 米国企業 4 社西欧企業 6 社 100,000 50,000 0 ウォルマートカルフール アホールド メトロ ホーム デポ テスコ クローガー レーべ ターゲット カジノ コストコ デル シアーズ ITM エデカ アルディ オーシャン セーフウェイ アルバートソンズ ルクレール センズベリー J.C ペニー ウォルグリーン イオン イトーヨーカ堂 は日本に進出企業 ( 出所チェーンストアエイジ 2004 年 10 1 号 ) 9
( 百万 ) $300,000 $250,000 $200,000 $150,000 $100,000 $50,000 $0 ウォルマート ダイエー ( アニュアルレポート 有価証券報告書より作成 ) 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 売上推移 10
流通市場の拡大 1992 鄧小平 南巡講話 アジア : 中国 韓国 台湾タイ マレーシア インドネシア 日本 アメリカ大陸 : カナダ メキシコ ブラジル アルゼンチン 米国 英 仏 独 1989 ベルリンの壁崩壊 1991 ソ連崩壊 ヨーロッパ : ロシア 東欧スペイン ポルトガル イタリアギリシャ 11
上位企業の新興国への進出加速 ( 出所田村 2004) 12
店 2,000 1,500 生き残り ウォルマートフォーマット別店舗数推移 フォーマットの確立 Wal-Mart (Discount Store) 急速拡大 ( 指数関数化 ) 多極化 海外出店 1,000 500 SAM s Club Super Center Neighborhood 0 1969 1971 1973 1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 ( アニュアルレポートより作成 ) 13
21 世紀の流通ビジネスモデル研究より 出店戦略 ( チェーンストア概念 ) の違い ( アジア市場の観察から ) 先進グローバル企業 ( カルフール ウォルマート等 ) クッキーカッター 型 2 桁出店 一定規模におけるマスメリットの検証 日本企業 ( イオン イーヨーカ堂等 ) ロジスティックス Carrefour will be back 繁盛店を 1 店舗ずつ拡大していく遅延ストア 14
( 参考 ) グローバル企業の中国への進出年と現在の店舗数 進出年 現在 1995 年 カルフール 70 店舗 1996 年ウォルマート 43 店舗 2004 年 イオン 11 店舗 イトーヨーカ堂 5 店舗 ローソン 215 店舗 セブンイレブン 25 店舗 (KFC 1,200 店舗 ) ( 出所各社ホームページ ) 15
流通業の使命 世界で戦える流通システム ( 小売 + 卸 ) を作り上げること国益 国内市場も重要だが 対外競争力を削ぐようなことはすべきではない 住宅地図 分県地図だけではなく世界地図でも判断を 16
規制の保護立法化 ( 参考 ) GMS( 総合 Super) 大手 5 社の売上推移 GMS( 総合 Super) 大手 5 社の売上推移 大規模小売店舗法緩和 3 兆円 ダイエー 2 兆円 イトーヨーカ堂 イオン 1 兆円 マイカル ( 倒産 ) 0 西友 ( ウォルマート ) 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1987 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 ( 出所有価証券報告書 ) 17
国内小売販売額の推移 兆円 160 140 120 100 80 60 40 20 小売販売額 スペース効率の推移 需要 > 供給 m2当り販売額 小売販売額 千円 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 1960 1962 1964 1966 1968 1970 1972 1974 1976 1979 1982 1985 1988 1991 1994 1997 1999 2002 2004 0 ( 出所商業統計 ) 18
小売業態の変遷 ( 主役の交代 ) 高度成長期低成長期 0 成長期 百貨店 売上日本一は三越百貨店 GMS ( 総合 Super) 1972 年ダイエーが売上日本一 大店法 チェーンストアの時代 2000 年セブンイレブンが売上日本一 CVS 2005 年ヤマダ電機売上 1 兆円 専門業態 Drug Store Home Center 家電 Casual 衣料 総合型の時代 19
小売業 5 年移動年間伸び率上位 11 社 この 6 年間での伸び率ベスト 3 は ヤマダ電機 ファーストリテイリング ドン キホーテの3 1300% ファーストリテイリング社である 営業利益1100% ヤマダ電機 ヨドバシカメラ ファーストリテイリング 900% 700% 500% 300% ヤマダ電機 ドンキ コーナン商事ギガスケーズデンキ日本トイザらスカワチ薬品ドン キホーテサンドラッグツルハニトリ 100% 100% 200% 300% 400% 500% 600% 700% ( 出所有価証券報告書 ) 売上高 20
ファーストリテイリング ヤマダ電機 700,000 600,000 500,000 400,000 300,000 200,000 100,000 0 R 2 = 0.9567 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 0 y = 3789.1e 0.2571x R 2 = 0.9833 1 9 8 3 1 9 8 5 1 9 8 7 1 9 8 9 1 9 9 1 1 9 9 3 1 9 9 5 1 9 9 7 1 9 9 9 2 0 0 1 2 0 0 3 300,000 250,000 200,000 150,000 100,000 50,000 0 ドンキホーテ y = 2E-14e 0.4225x R 2 = 0.9847 1 9 9 2 1 9 9 4 1 9 9 6 1 9 9 8 2 0 0 0 2 0 0 2 2 0 0 4 1 9 8 8 1 9 9 0 1 9 9 2 1 9 9 4 1 9 9 6 1 9 9 8 2 0 0 0 2 0 0 2 海外でも通用するか? 21
卸売業の役割役割と未来
チェーンストア理論 ( 日本型 GMS) の誤解 マス マーチャンダイジング チャネル主導権を確保 PB( 仕様書発注 ) 比率のアップ自社発注 ( 横型 VS 縦型 ) 自前主義 ( プロセスセンターのプロフィット化 ) 米国は一つの国ではない チェーンストア理論は米国の社会構造を前提にしたものである 22
日米 ( 欧 ) マス マーチャンダイジングの違い 顧客は低所得者層 価値の追求は価格 均一 ( 米国の社会階層 ) 顧客は中間層 価値の追求は品質 多様性 ( 日本の社会階層 ) スウィートスポット スウィートスポット 品質のズレ 23
ウォルマートの誤解 なぜ自前の DC なのか フォワート ハ イインク,1day ルール 世界第 2 位のコンピュータ業界初の衛星通信利用の理由と実態 CRP リテールリンクの意味 24
カテゴリーマネジメントの誤解 欧米 ドライ 日雑 60% ( 流通構造 ) 生鮮 冷凍 40% 日本ドライ 日雑 25% 生鮮 日配 デリカ 75% メーカー問屋小売メーカー問屋小売 大 ( カテコ リー キャフ テン ) 中 キャッシュ & キャリー 大 中 小 大 中 小口 多頻度配送 割り切り 強化 大 中 小 CVS 25
品質型ロジスティックス 日米流通システムの違い 規模の経済 ( 効率 ) 対スピードの経済 ( 効果 ) マーチャンダイジングの核心 固定型変化型価格型米国モデル 補充 日本モデル POS 情報 ( 死筋 売れ残りの発見 ) 大口 小口 機動力 オペレーション マニュアル 体得 トレンド情報 大量の新製品 IT(POS 情報 ) リテールリンク i2 テクノロジースマートシステム テルゾンモジュラープラン EDLP CRP カテゴリーマネジメント 26
卸機能の本質と役割 流通革命論 (1963 林周二氏 ) の誤解 M 太く R 予見される大量生産 大量消費時代に対応できる物流機能の整備が必要 流通は暗黒大陸 の誤解 複雑という意味ではなく 解明が遅れている という意味 27
事例菱食 (RDC-FDC 体制 ) データセンター 受注業務はデータセンターに集中 RDC リーシ ョナル テ ィストリヒ ューション センター バラピッキング専用 クロスドッキング FDC FDC フロント テ ィストリヒ ューション センター FDC ケースピッキング専用メーカークロスドッキングクロスドッキング 小売店小売店 SDC ー個別企業向けセンター 小売店 28
事例 アスクル アスクルの物流センター ( バラ専用 ) 最大の特徴はアイランド方式 ( ロジスティクス大賞受賞 ) を採っていることである 小物ゾーン 中頻度ゾーン デジタルゾーン 大物ゾーン 本線 梱包ゾーン 出荷ゾーン スタート 支線 シンクロマートによって 商品別売上予測を公開 29
事例 ダン 糸商まで POS データが開示され 世界一進んだ QR システムと言われている 糸商 共栄会 7 社糸量に変換 (g 単位 ) 染色メーカー その他 ダン式 QR システム 物流センター ( 協同組合 ) 出荷 在庫情報需要予測CRP 本部 店舗 (FC) POSデータ発注データ (1 足単位 ) 情報物流 出荷情報 佐川急便 30
卸機能の課題 物流 金流 商流 情報 ( 取引情報 ) M W R C 商流卸は今でも必要か 日本の W/R 比率 = 卸売上小売売上 406 兆円 133 兆円 (2004 年商業統計より ) アメリカ=0.93 イギリス=1.11 フランス=1.2 31
日本型流通システムの構築に向けて主導権争いから協創関係へ組み合わせによる最適化 ( 効率 効果 ) M W R M W M R M W W R M R 32
未来流通経路メーカー卸高回転率商品 大 小ロット商品 小売 大 中 マーケティング情報 新サービス 卸 マーケティング情報 新サービス 中 将来の糧 小 マーケティング情報 新興 マーケティング情報 ( ネット 業務スーパー ) 新サービス新サービス 小 33
卸機能のまとめと未来 卸の優位性は流通の中間に位置し 川上 川下の両方につながっていること 川上と川下の利害は対立する その利害を調整するのが 卸 の機能である 物流のプロとして 高度ロジスティックス ( 小口 スピード 個別アレンジ ) の整備は前提条件 情報流の中核は取引情報からマーケティング情報へ 川上 川下のニーズを捉えれば 新たな付加サービス創造の可能性卸機能の高度化 34
本田宗一郎氏の言葉 日本の流通業 世界的視野 良品に国境なし 得手に帆を上げて 流通システムに国境なし 三位一体 メーカー 卸 小売の協創 35
世界に通用する 日本型流通システムの構築に 向けて 卸売業の役割は大きい ただし 企業淘汰は避けられない 36