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アプリケーションノート 5G フロントホールハンドブック VIAVI ソリューシ Solutions トランスポートネットワークに対する 5G の影響やテストの主な検討事項を 理解し 信頼のいパフォーマンスと品質のサービスを保証するための ガイドです フロントホールの進化 : はじめに 5G テクノロジーはコネクテッドワールドを劇的に強化する革新的なプラットフォームと謳われています この期待に応えるため 5G はそれをサポートするネットワークに対してネットワーク上で実行されるサービスと同等の柔軟性を求めることになります ワイヤレス業界では以下の大まかな 5G ユースケースがよく理解され文書化されています 拡張モバイルブロードバンド (embb) により ピーク時のデータレートが 10Gbps 以上の優れたデータ帯域幅サービスが提供されます このデータレートにより拡張現実や仮想現実 超画質 (Ultra HD) アプリケーションといった新たなユースケースが実現します 信頼 遅延通信 (URLLC) により 99.9999% のレンジで利用できる信頼度の非常にい機能とミリ秒単位のレイテンシーが提供されます 5G ネットワークを介した車両間通信がこの分野での有名なユースケースです 多数同時接続 (mmtc) により 1 平方 km あたり何十万もの大量の端末に対応できます このアプリケーションに欠かせないのが最長 10 年のバッテリー寿命です 目次フロントホールの進化 : はじめに...1 ネットワークの進化 : 主な原動力...3 中央集権型 BBU vs 分散型 BBU... 4 ecpri... 9 5G 向けトランスポートネットワークのテスト...12 フロントホールとミッドホールのネットワークテスト...12 同期テスト...12 テスト...14 5G フロントホールの RU 接続性と遅延テスト...16 GPS テスト ( GPS 信号 / 衛星受信範囲テスト )...17 PTP テスト ( PTP タイミングエラーテスト )... 18 イーサネットテスト... 18 仮想化ネットワーク性能テスト...19 まとめ...20

ピークデータ率 ユーザーの体験するデータレート embb 拡張モバイルブロードバンド 重要度 エリアトラフィック容量 中 スペクトラム効率 ネットワークエネルギー効率 モビリティ URLLC mmtc 超大量端末接続 超信頼性 遅延通信 接続密度 レイテンシー 図 1: さまざまな利用シナリオにおける主な機能の重要性 (ITU IMT Vision) 同一ネットワークでどのようにこういったユースケースに対応するかは大きな課題です これまでの業界での話題は 多くが 5G-NR (New radio) コアの仮想化 ミリ波スペクトラムに集中しています あまり注目されていないものの新たな無線インターフェイスと同じくらい重要なのが 主な 5G のユースケースを実現する 5G ノードに接続するトランスポートネットワークの進化であり これを同時に実現する必要があります 2019 年に実施された 5G トランスポート向けのオペレーター戦略に関する Heavy Reading の調査によれば 5G アプリケーションが大規模に展開される前にこのトランスポートインフラが配置されなければならないことを業界は認識している ことが報告されています 2 5G フロントホールハンドブック

ネットワークの進化 : 主な原動力私たちは T1とE1の回線の時代から 長い道のりを歩んできました 4G が導入されるまでのワイヤレス業界のバックホールトランスポート要件は比較的単純なもので 基地局の容量要件 ( 音声ユーザー数 スループットのアプリケーション ) や特定のパフォーマンスメトリックス ( レイテンシー ジッター 可用性 ) によって定義されていました 当時は T1/E1 回線がニーズを満たしていましたが 4G 開始と共に技術の向上が求められるようになりました 大量のデータスループット (100 Mbps) の需要 複数入力 複数出力 (MIMO) テクノロジーの導入 カバレッジの向上 エネルギー効率 無線調整テクノロジーにより 無線アクセスネットワーク (RAN) インフラストラクチャに新しい厳しい要件が課せられました さらに 無線がより堅牢になり平均復旧時間 (MTMR) が向上するにつれてベンダーがリモート無線ソリューションを提供し始めました 無線部がアンテナの近くに移動され 長い同軸ケーブルやコネクタが原因の大幅な損失が回避されるようになりました この戦略により RF のフットプリント改善に繋がっただけでなく タワーやタワー付近に設置された無線機器エンクロージャーの冷却コストも削減されました 一方 リモート無線装置やリモート無線ヘッド (RRU/RRH) に対応するため 新たなデジタルインターフェイスが導入されました これによって物理的なファイバーのリンクを介してベースバンド装置 (BBU) とも呼ばれるデジタル機器が RRU に接続されました 現在 最も広く利用されている技術は CPRI(Common Public Radio Interface) プロトコルが基になっています これにより RAN インフラにフロントホールという新たなリンクが導入されました これはコアモバイルネットワークで BBU を接続するバックホールと反対のものです フロントホール ( アンテナから中央局舎 ) バックホール 中央局舎 インターネット / コアネットワーク データセンター リモート無線ヘッド (RRH) 分散ノード (DU) BBU BBU 図 2:RAN の進化 3 5G フロントホールハンドブック

中央集約型 BBU vs 分散型 BBU 中央集約型はリソース活用を最適化するリソースプールを実現します さらに このアーキテクチャでは度な LTE テクノロジー にとって重要な機能が複数提供されます 一箇所で複数の無線を調整できる機能は CoMP(Coordinated MultiPoint) の ような機能を実装するための重要な手段であり ユーザー端末で複数基地局からのトラフィックを集約することでユーザー の帯域幅増加に繋がります ただし これらのメリットには 新興 5G サービスにとって大きな欠点 つまり帯域幅の非効率 性が伴います CPRI における厳しい遅延要件は中央集約型に適しています しかし 帯域幅やノードの柔軟性の点において 課題があります CPRI は RRU と BBU との間で無線波形伝送用に特別に設計された専用のトランスポートプロトコルを提 供します CPRI フレームは 無線チャンネルの帯域幅とアンテナ素子数と共に拡大されています 統計多重化において CPRI フレームはあまり効率的ではなく 5G の需要 特に Massive MIMO やより大きな帯域幅の増加に合わせた拡張ができませ ん 5G シナリオで求められる帯域幅およびアンテナにより CPRI の帯域幅要件は 100Gbps 以上に押し上げられます ( 表 1) アンテナ 10MHz 20MHz 100MHz 1 0.49Gbps 0.98Gbps 4.9Gbps 2 0.98Gbps 1.96Gbps 9.8Gbps 4 1.96Gbps 3.92Gbps 19.6Gbps 64 31.36Gbps 62.72Gbps 313.6Gbps 表 1: 帯域幅やアンテナポート機能としての CPRI の帯域幅 5G ネットワークの展開において こういった帯域幅の割り当ては非常に額となります 3GPP IEEE ITU-T などといった標準化団体は以下の目的のために活動しています 1. BBU 機能やその関連のさまざまな分離の調査 ( 図 3 に例示 ) 2. さまざまなアプリケーションやサービスにおける最適要件の特定 ( スループット レイテンシー ジッターなど ) 3. アプリケーションやネットワーク需要のために異なる BBU 機能を分離する上での潜在的な課題やソリューションの特定 4. 柔軟なフロントホールの分離に対するガイダンス代替ソリューションの開発には BBU と RRU 間の主な機能要素の分析が必要です 3GPP では図 3 のように BBU は 8 つのメイン機能に分離できます 4G の場合 BRU は RF 機能を保ち 他の機能が BBU に移されます この機能分配により通信事業者はほとんどの機能を一箇所に集めることができ 各エンドポイントでの無線費用を基本的にくすることができます ( 8) 4 5G フロントホールハンドブック

BBU RRU ダウンリンク RRC 1 PDCP 2 3 4 5 6 7 8 RF アップリンク RRC PDCP CPRI ネットワークレイヤー データリンクレイヤー 物理レイヤー 図 3. 機能の分離 帯域幅の非効率性という重大な欠点を乗り越えても CPRI は遅延バジェットも非常に制限されています 実際にこれは BBU と RRU 間の距離が非常に制限されるということを意味します この距離はフロントホールに配備されたトランスポートテクノロジーの遅延バジェットや種類に応じて決まります ダークファイバーは最大距離を許容できる最も単純なものです 一部の処理要素を含むトランスポート機器は 光トランスポートネットワーキング (OTN) の場合と同様に 遅延バジェットを削減し ( 時には大幅に削減 ) します よくあることですが 通信事業者は各ユースケースを確認してトレードオフ分析を行い 最適なトランスポートテクノロジーを決定しなければなりません この分析の主なインプットには ファイバーの可用性や機器室 無線エンドポイントの数や場所が含まれます ベンダーやサービスプロバイダーが推進しているフロントホールの主な要件は次の通りです a. フロントホールのビットレート ( 容量使用量 ) を下げること CPRI の場合は特にフロントホールの使用をアンテナのポート容量と切り離すこと b. urllc タイプのアプリケーションにおける厳しいレイテンシー要件を管理すること c. CoMP やキャリアアグリゲーションといった協調のためのタイミングやジッター要件の最適化 d. ファイバーは導入 / 敷設に費用が掛かるかかるリソースのため オーバーヘッドコストと展開コストの削減 5 5G フロントホールハンドブック

こういった要件に対応するため 次世代 RAN は次の 3 つの部分に分離された BBU が機能を実施するよう進化しました 1. 集約ノード (Central Unit CU) 2. 分散ノード (Distributed Unit DU) 3. リモートアンテナユニット (Remote Radio Unit RRU) しかし 3GPP は CU と DU のみで構成される分離基地局アーキテクチャを検討しています この新たな BBU アーキテクチャは先に記載した課題解決を支援するだけでなく RAN の仮想化を活用することで アプリケーションの種類やサービスプロバイダーのネットワークトポロジーに応じて BBU 機能を物理的に異なる場所に配置できるようにします コアと CU CU と DU 間に作成される新しいインターフェイスは通常 それぞれ上位レイヤー分離点 (NGFI-II) 下位レイヤー分離点 (NGFI-I) と呼ばれます アプリケーションの関連では 固定無線タイプのアプリケーションには上位レイヤー分離 (HLS Higher Layer Split) が推奨されています ( 図 4) このでは無線装置内部にリアルタイム機能が設置されており リモート局 (DU) や無線装置 (RU) の機能要素とみなすこともできます この設置により HLS インターフェイスにおける帯域幅は大幅に減少します 3GPP は HLS には 2 を推奨しています このインターフェイスは F1 インターフェイスとしても知られているものです (NGF-I-II と同等 ) 帯域幅の大幅な減少もなく 遅延バジェットは数ミリ秒の範囲となり CPRI ( フロントホール ) インターフェイスよりもはるかにくなります このバジェットなら CU を DU や RU から数十キロ離れたところに配置できます このネットワークセグメントはミッドホールと呼ばれ フロントホールとバックホールの間に配置されます CU DU/RU ダウンリンク RRC 1 PDCP 2 3 4 5 6 7 8 RF アップリンク RRC PDCP F1 図 4. 上位レイヤー分離 (HLS) 6 5G フロントホールハンドブック

利用可能リソースのスケジュール作成は ( メディアアクセス制御 ) レイヤーで行われます スケジューラーは伝送時間間隔 (TTI) ごとに特定の数のアクションを実行し レイテンシーや実行ジッターが非常にいものです は無線リンク制御 ( ) に受信するパケットサイズについて指示し 各無線ベアラのサービス品質 (QoS) を保証します NGMN の調査によれば CU の レイヤーには潜在的に協調機能のパフォーマンスを制限する可能性があります Hybrid ARQ(HARQ) やその他タイミングが重要な機能は下位 の一部であるため 上図に示された 1 5 の分離ではフロントホールリンクのレイテンシー要件が緩和されています ただし 6 8 には非常に厳しいフロントホールのレイテンシー要件があります 複数無線の協調を要する度なモビリティアプリケーションの活用が期待されている大規模なモバイルブロードバンドサービスには 無線協調を行う機能要素のほとんどを中央に配置する ( 図 5) 下位レイヤーの機能分離が必要です 標準の 6 および 7 が現在この用途のために検討されています NGFI-I と同等のフロントホールインターフェイスを作成するこの機能分離はダウンリンクとアップリンクフロントホールのビットレートが減少しますが レイテンシー要件は非常に厳しくなるという点に注意してください これは DU と RU 間の距離が制限されるということです この同じユースケースにおいて CPRI は 2017 年に初の ecpri 仕様を公開しました CU/DU RU ダウンリンク RRC PDCP 1 2 3 4 5 6 7 8 RF アップリンク RRC PDCP ecpri 図 5. 下位レイヤー分離 7 5G フロントホールハンドブック

Next Generation 5G Wireless Networks: A Comprehensive Survey, IEEE Communications Survey Tutorials, (vol. 18, no. 3, pp. 1617 1655, 2016) で報告されている通り DL アンテナ 2 つと 64 の直角位相振幅変調 (QAM) を使用した 20 MHz の LTE キャリアにおける各機能分離のアップリンク (UL) とダウンリンク ( DL) のフロントホールビットレートの結果が 図 6 に示されています この図はキャリア全体の全負荷を示しています これは常に分離 8 および 7-1 で使用されますが 分離 1 7-2 ではビットレートがユーザーの負荷に応じて変わるため これはフロントホールリンクの潜在的なピーク値でしかありません 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 8 7.1 7.2 7.3 6 5 4 3 2 1 機能の分離 DL UL 図 6. 各機能分離における 3GPP UL/DL のフロントホールビットレート 8 5G フロントホールハンドブック

ecpri ecpri 技術は LTE 物理レイヤー ( ) コンポーネント内の機能分離に基づいています この ecpri 仕様では分離 I U をアップリンクに使用し II D もしくは I D をダウンリンクに配備することが推奨されています これは図 7 の通り 3GPP の観点では 7.x 分離にマッピングされています ecpri はフロントホールのトランスポートネットワークを介して ecpri Radio Equipment Control(eREC) と ecpri Radio Equipment(eRE) を繋ぎます CPRI と比較した ecpri の目標は 機能分離を通じてeREC と ere 間のデータレート需要を下げながら ere の複雑性を抑えることです さらに ecpri は IP やイーサネットなどのパケットをベースとしたフロントホールトランスポートネットワークで効率的かつ柔軟な無線データトランスポートを行えるよう設計されています 6 コーディング デコーディング I D (ecpri) レートマッチング スクランブル 変調 7-3 (DL) レートデマッチング デスクランブル 復調 レイヤーマッピング 7-2 チャネル推定 / 等化 IDFT II D (ecpri) プリコーディング 再マッピング 7-2a 再デマッピング I U (ecpri) デジタル BF 7-1 デジタル BF E (CPRI) IFFT/CP 追加 RF 8 FFT/CP 削除 RF E (CPRI) D/A A/D アナログ BF アナログ BF 図 7. の機能分離 ecpri で erec と ere 間の通信を行うには 1) ユーザープレーン 2) 同期プレーン 3) 制御兼管理 (C&M) プレーンの 3 つが 必要です ecpri 標準はユーザープレーンを定義し その他のプレーンについては他の標準に言及しています たとえば オペ レーターは同期に Precision Time Protocol(PTP) もしくは Global Positioning System(GPS) を自由に選ぶことができます 9 5G フロントホールハンドブック

また ecpri はユーザープレーンのトランスポートに使うパケットベースのテクノロジーについても述べています イーサネット ( レイヤー 2) もイーサネット /IP/UDP( レイヤー 2/3/4) も利用可能です 物理レイヤーについて ecpri はレートが 10 Gbps 100 Gbps のイーサネットに言及しています この議論のポイントは ecpri をなぞるのではなく CPRI と ecpri の差異を特定することです さらに CPRI が制限されたインターフェイスとなる場合に ecpri はフロントホールでスループットを減少することで 5G に対応しており イーサネットやイーサネット /IP/UDP フレーム伝送に対応したフレーム形式を採用しています このフレームにはレイヤー 2 またはレイヤー 2/3/4 ヘッダーにならった ecpri ヘッダーが含まれており ecpri ペイロードが続きます 同期プレーンはイーサネットレイヤーで独立して扱われ 特定のプロトコルに制限されません タイミングや同期には Global Positioning System(GPS) Precision Time Protocol(PTP) 同期イーサネット その他類似したものを使用することが可能です 伝送にイーサネットを利用することは非常に実用的なのは イーサネットが下位互換性を保つことで設備の共通化が図られてアクセスネットワークを大きくまとめ上げることができ 統計的多重化が実現可能となるため非常に理に適っており これにより集約ビットレート要件をくできるからです また 標準的な IP/ イーサネットネットワークのスイッチ / ルーティングを利用することで 機能仮想化やネットワーク全体のオーケストレーションを比較的簡単に行えるようになります 上記のは単一分離設定に依存しています 二分離にする正当な理由もあります ( 図 8) たとえば URLLC アプリケーションには非常に速なネットワークレスポンスが必要です 車ネットワーク間 (V2N) アプリケーションには車両間で数ミリ秒の範囲の応答時間が必要です 2 台の車両が 2 つの RU 経由で通信を行うと 携帯ネットワークに残される余裕はわずかです このユースケースは DU と CU を分ける二分離設計のメリットを享受できる好例です DU 内の時間が重要な機能を RU の近くに配置してレイテンシー要件を満たすようにする一方 時間があまり重要でない機能は中央から遠い場所に配置します CU DU RU ダウンリンク RRC 1 PDCP 2 3 4 5 6 7 8 RF アップリンク RRC PDCP F1 ecpri 図 8. 二分離 10 5G フロントホールハンドブック

まとめると CPRI は embb や Massive MIMO 用に拡張できず MMTC や urllc アプリケーションに必要な柔軟性も提供できないため BBU 機能の分離は 5G サービスに欠かせません フロントホールのビットレート下 (CPRI ビットレートはアンテナの数とユーザースループットに比例 ) のために BBU 機能の一部を移動することで urllc といった協調機能やリアルタイムアプリケーションのレイテンシー要件に影響を及ぼす可能性があります さまざまなアプリケーションの種類に応じて NFV( ネットワーク機能の仮想化 ) や柔軟な分離を用いることで より多くの最適なミッドホールやフロントホール (x-haul とも呼ばれる ) を導入できます この新しい x-haul アーキテクチャはスケーラブルなパケットベースのトランスポート技術を実現しますが 欠点は現時点ではオペレーターがタイミングや同期の問題に対処できないということです しかし GPS PTP 同期イーサネットといった標準ベースのタイミングや同期技術を用いることでこれらも対応可能になります 結論として 5G フロントホールおよびミッドホールネットワークは 提供されるアプリケーション ネットワークトポロジー 媒体の可用性 ( ファイバー マイクロ波など ) サービスプロバイダーのビジネスケースに基づいて変わります すべてに最適なものはありません 5G RAN FH FH FH CU DU CU/DU ミッドホール 地域 MTSO/MEC バックホール CU/DU DU MH DU BH DU C-RAN FH EPC/NGC BH アグリゲーションネットワーク DU gnb BH FH 4G RAN 5G RAN フロントホール DU-RU CPRI/eCPRI/ORAN レンジ <20km 遅延マイクロ秒 ミッドホール CU-DU F1 インターフェイス レンジ <80Km 遅延数ミリ秒 バックホール CU- パケットコア S1 インターフェイス レンジ <200kM 遅延数十ミリ秒 5G 用 N1 N2 N3 図 9. x-haul の進化 11 5G フロントホールハンドブック

5G 向けトランスポートネットワークのテストフロントホールとミッドホールのネットワークテストサービスプロバイダーが新技術を展開するとしても 前例のないネットワークを立ち上げるとしても すべての構成要素や接続部のほか ネットワーク全体に対してテストを行う必要があります 全物理レイヤーのテスト完了確認後 ( 端面検査や認証試験 ) 上位レイヤーやタイミング 同期のテストを実行して最適な ROI を確認することが重要です テストに失敗すれば ネットワーク開始の遅延 貧弱な 5G システム性能 額や想定外の CAPEX に繋がる恐れがあります 最終的にテストを疎かにすることで顧客体験にマイナスの影響が及ぼされ エンドユーザーの解約や売上の下に繋がる場合もあります ミッドホールネットワークのサービスレベル合意 (SLA) はバックホールのものと非常に似ていますが これはつまりテスト要件も類似しているということです A. 帯域幅の測定 認定情報速度 (CIR) B. 遅延やジッター C. パケットやフレームの損失 D. RFC 2544 や Y.1564 テスト より大容量かつ超レイテンシーの信頼度のいサービスが展開されるにつれて フロントホールネットワークの SLA はより厳しくなっていきます ネットワークはダークファイバーからより広範な WDM に拡張されましたが これはつまり WDM テストが必要だということです 今後の投資として NG-PON を既に配備中というサービスプロバイダーもいます 私たちは Endto-End の伝送レイテンシーにおける厳しく交渉不可の期限があるリアルタイム通信に Time Sensitive Networking(TSN) が使われることが多くなると予想しています この場合ネットワークにあるデバイスは共通の時間基準を持つ必要があるため 時計の同期が必要です これはつまり 上記に挙げたテストに加えてタイミングと同期のテストも必要だということになります 同期テストここまでに述べた通り タイミングと同期には無線 ( ワイヤレス ) ネットワークの性能にとって極めて重要な役割があります 5G ネットワークでは時分割複信 (TDD) 技術および協調無線技術に対する位相とタイミングの要求があるため こういった要件は大幅に機能追加されています 従来のモバイルネットワークでは主に信号を整列させるために周波数同期を必要としました しかし 5G には周波数同期だけでは十分とは言えません 同期要件は 3rd Generation Partnership Project(3GPP) を含む幾つかの団体から得られたものです 3GPP 技術仕様 36.104/38.104 では 基地局の無線送受信要件について説明する 2 つの主要な文書を提示しています 具体的にはセクション 6.5( 送信信号品質 ) で 同期ネットワーク設計に必須な時間整合エラー (TAE) を含む幾つかの要件を挙げています TAE は 異なるアンテナまたは送信機グループに属する任意の 2 つの信号間の最大時間差として定義されます この要件は 無線 ( ワイヤレス ) の利用事例に応じて分類されます ( 表 2) ここに挙げた利用事例には それぞれ A+ B および C のカテゴリーが割り当てられます 表の最下部にある利用事例は現時点で開発中のものであり カテゴリーは割り当てられていません 12 5G フロントホールハンドブック

3GPP 機能 MIMO または TX- ダイバーシティ送信カテゴリー A+ カテゴリー A+ バンド内連続キャリアアグリゲーション カテゴリー A BS タイプ 1: カテゴリー B BS タイプ 2: カテゴリー A バンド内非連続キャリアアグリゲーションカテゴリー B カテゴリー C バンド間キャリアアグリゲーションカテゴリー B カテゴリー C TDD カテゴリー C カテゴリー C 二重接続性カテゴリー C カテゴリー C COMP 3GPP では未指定 3GPP では未整備 補助アップリンク LTE では該当なし 3GPP では未整備 バンド内スペクトラム共有 3GPP では未整備 3GPP では未整備 測位 3GPP では未指定 3GPP では未整備 MBSFN 3GPP では未指定 3GPP では未整備 LTE RAN NR 表 2: 時間精度カテゴリー (ecpri トランスポート要件 ) カテゴリー A+ では最も厳密な同期要件が求められます ( 表 3) カテゴリー C の要件は 現行の LTE バックホールネットワークのものと一致します この要件は 相対的および絶対的時間誤差 (TE) の観点で識別されます 相対的 TE では 任意の 2 つの RU( または ere) 間の時間誤差を指定します 絶対的 TE は 基準となる一次基準時間クロック (PRTC) に対する時間誤差です ほとんどの場合 絶対的 TE の要件は相対的 TE の要件 ( カテゴリー A+ A B) のそれぞれに 1 つ追加したものです カテゴリー 時間誤差 A+( 相対的 ) 20 32ns A( 相対的 ) 60 70ns B( 相対的 ) 100 200ns C( 絶対的 ) 1100ns 表 3: 時間誤差要件 図 10 では 同期ネットワークのコンポーネントと PRTC/T-GM( プライマリリファレンス グランドマスタークロック ) の接続性 検証およびネットワーク内の時間エラー計測のために使用する MTS-5800 のテストアプリケーションを示しています 13 5G フロントホールハンドブック

PRTC T-GM O-DU フロントホール O-RU T-TSC PRTC T-GM O-DU 10/25GE T-BC T-BC T-BC 10/25GE O-RU T-TSC 5800 /TEM 図 10:MTS-5800 を使った同期テストアプリケーション テスト フロントホールトランスポートネットワークノード () は図 11 に示す通り 従来型 CPRI と 5G 対応 ecpri をサポートする収 束型フロントホールを提供可能なイーサネットアクセスリングを管理するために導入されています 4G RRU CPRI RoE RoE CPRI 4G RRU 5G RU ecpri フロントホールブリッジネットワーク 5G RU ecpri ecpri 5G CU + DU 図 11: ネットワークアーキテクチャ 14 5G フロントホールハンドブック

これによりトポロジーに関する幾つかの問題が解消されますが ネットワークが極端な遅延増加の原因にならず アクセ スネットワークの遅延と同期の要件を確実に満たすことが重要です 次の表は ecpri の主なトランスポート要件をまとめた ものです Cos 名 利用例 片方向での最大パケット遅延 片方向での パケット損失率 High( ) ユーザープレーン 100µs 10-7 中ユーザープレーン ( 速 ) C&M プレーン ( 速 ) 1ms 10-7 C&M プレーン 100ms 10-6 表 4: スプリット E およびスプリット I D II D I U 要件 現在 複数の NEM がそのラボ内でVIAVI の MTS-5800-100G を使用して のパフォーマンスを検証しています MTS-5800 (100G) では ecpri テストを実行でき スループット 遅延 パケットジッターを測定します MTS-5800 を使ってエンジニアは ecpri 仕様に沿った ecpri メッセージ種別を設定できるほか メッセージ種別ごとに帯域幅を測定でき 往復遅延 (RTD) を 5ns 未満の精度で測定できます エンジニアは テストを実行することにより の遅延と同期の要件に対する妥当性を確認でき ネットワーク設計仕様の範囲内にあることを保証できます 今後 このテストはこの分野でも使用してフロントホールネットワークのパフォーマンスを検証できるようになります VIAVI MTS では 5G フロントホールネットワークに対して次に挙げるテストを実行できます フロントホール バックホール バックホール CU/ vcu ミッドホール F1 DU/ vdu WDM ファイバー RU ecpri 図 12:5G フロントホールトランスポートテストのユースケース 15 5G フロントホールハンドブック

ecpri 信号の生成および解析 (10/25GE) ecpri メッセージタイプの適切な QoS を検証 ( 各メッセージタイプの帯域幅 / 遅延 / ジッターを測定 ) ecpri サブヘッダーの生成 / フィルター 片方向遅延測定 RTD 測定 < 5 ns 精度 C&M SNMP/UDP/TCP のテスト PTP/SyncE/GPS の同期テスト PTP スレーブ / マスターのエミュレート 時間誤差 ワンダー PDV MTIE/TDEV の測定 GPS 信号強度 トレイル イーサネット OAM( ループバック LoC トレース ) のテスト 5G フロントホールの RU 接続性と遅延テスト RU への接続性検証 フロントホール バックホール バックホール CU/ vcu ミッドホール F1 DU/ vdu WDM ファイバー RU ecpri 図 13:5G フロントホールの RU 接続性と遅延テスト 片方向での RU に対する遅延測定 PTP 接続性の検証 PTP 時間エラーの測定 同じテストを DU にも実施 GPS テスト ( GPS 信号 / 衛星受信範囲テスト ) 16 5G フロントホールハンドブック

導入時に GPS 信号の安定性と GPS アンテナ設置場所の適切さを確認することは重要です また設置場所の状況は時間と共に変わる場合があるので 定期的に確認することも重要です VIAVI MTS-5800 では統合型 GPS 受信機を利用して GPS 信号をテストし 次に挙げる結果を提供します 可視範囲にある衛星の数 信号強度 照準器から衛星までの CNO マップスペクトログラムのプロット線 ( 時間と共に軌道上を移動 ) PTP テスト ( PTP タイミングエラーテスト ) RRH RIU T-BERD/MTS-5800 図 14:VIAVI MTS-5800 を利用した GPS テスト 17 5G フロントホールハンドブック

ここまでに述べた通り 信頼度のい無線 ( ワイヤレス ) サービスは信頼できる同期に依存しています PTP が信頼性を保ちながら動作するには PTP スレーブ ( RIU) は自分に割り当てられた PTP グランドマスターに接続できる必要があるほか フロアパケットパーセンタイルなどの PTP 周波数プロファイルネットワーク制限値に適合する必要があります さらに PTP 時間 / 位相プロファイルは 時間誤差のネットワーク制限値にも適合する必要があります エンジニアは PTP スレーブとして動作する VIAVI MTS-5800 を利用して PTP グランドマスターとの接続を確認できるほか ステップバイステップ式のガイドを利用してタイミングエラーが要件の範囲内にあるかどうか確認できます RRH DU CU PTP/SyncE MTS-5800 図 15:VIAVI MTS-5800 を利用した PTP チェック イーサネットテストこれまで述べた通り 早期ミッドホール ( つまり分散ノードと集約ノード間のリンク ) にはバックホールと比較すると類似した SLA があります そのため ミッドホールのパフォーマンス検証要件はバックホールネットワークのパフォーマンス検証のものによく似ています データプレーンや制御プレーンの正しい設定と品質のトランスポートを検証することが非常に重要です RFC 2544 および Y.1564 のテスト手法を実行してイーサネットまたは IP レベルのいずれかで End-to-End 構成を検証し 認定バーストサイズ ( CBS) 認定情報速度(CIR) 遅延 パケットジッター フレーム損失などの主要性能目標が達成されていることを保証します テストは RFC 2544 および Y.1564 のテスト手法に対応するソリューションを使って実施します テストは片側終端または両側終端のテストトポロジーで実行可能です 後者ではテスト機器が 2 台必要になりますが ネットワーク特性が両方向ともに適切であることを保証できるほか 往復間で潜在的に生じる可能性がある非対称性を検出できます 片方向の遅延測定では ネットワークの機器 構成要素 ファイバー長により生じる非対称性を洗い出すことができます VIAVI MTS-5800 シリーズを利用することで サービスプロバイダーは次のテストを実施可能です スループット / 片方向遅延およびループバック遅延 / フレーム損失 / ジッター RFC2544 テスト RY.1564 テスト 18 5G フロントホールハンドブック

図 16:RFC2544 テストでの使用向け MTS-5800 仮想化ネットワーク性能テストネットワーク機能仮想化 (NFV) により ネットワークはハードウェアを中心とした専用ネットワークインフラから オープンで標準規格に基づくソフトウェアモデルへ移行しつつあります これによりネットワークの設計 実装 運用方法に革命的変化がもたらされています 5G 分野において 当社はより大規模な展開 商用オフザシェルフ (COTS) サーバーの統合 仮想機能のオーケストレーションを予想しています また この種類のネットワークには 特に上位レイヤーのテストで物理的な専用ハードウェア製品ではなくよりソフトウェアベースのテストや測定ソリューションも必要です VIAVI の NITRO vnet Fusion ソリューションを使えば サービスプロバイダーはソフトウェアベースのテストエージェントと標準ベース (RFC7594) のデータ収集手法を組み合わせ 迅速かつ効率的にワイヤレスバックホールやミッドホールをテストすることができます 19 5G フロントホールハンドブック

制御インターフェイス データレポーティング 外部データ解析外部コントローラー (SDN など ) LMAP RFC 7594 準拠アーキテクチャ データ交換 API リアルタイムデータコレクター テスト /PM 結果 KPIs Netconf/YANG ストリーミング DB I/F Netconf/YANG テストおよび PM の構成と設定 テストおよび PM コレクター テスト /PM 設定および制御 vagent vagent サーバー vcpe VIAVI テスター L2/L3 Y.1564 L3 TWAMP Light PM L3 TWAMP PM vcpe 管理対象外の TWAMP リフレクター 図 17: フュージョンテストアーキテクチャ 新たなバックホール / ミッドホールサービスが導入された際も エンジニアは仮想プローブをすぐに追加して 2 4 のテスト を実行し ネットワーク性能やスループットを測定して全体的なネットワーク品質を評価することが可能です まとめサービスプロバイダーはさまざまなレベルの品質を必要とする新しい 5G サービスを提供しようとし続けるにつれて CPRI ベースのフロントホールアプローチからより多くのパケットベースの分離アーキテクチャへと進化しなければなりません このアーキテクチャはより大きな柔軟性をもたらすためニーズに応えることができますが 別のテストアプローチが必要になります 大規模にレイテンシー タイミング 同期 ネットワーク可用性を検証するには 効率的かつシンプルなテストソリューションが必要です ネットワークテスト パフォーマンス最適化 サービス保証向けのクラウド対応測定器やシステム ソフトウェア自動化 サービスを搭載した VIAVI の完全統合型ポートフォリオがあれば オペレーターや代理店はスムーズなネットワークやサービスの展開 持続可能なネットワーク品質 優れた顧客体験に自信を持つことができます 163-1107 東京都新宿区西新宿 6-22-1 新宿スクエアタワー 7F 電話 :03-5339-6886 FAX: 03-5339-6889 Email: support.japan@viavisolutions.com 2019 VIAVI Solutions Inc. この文書に記載されている製品仕様および内容は予告なく変更されることがあります 5gfronthaul-an-xpf-nse-ja 30191029 900 1119 viavisolutions.jp