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欠であり 運輸交通分野を中心に膨大なインフラ投資が必要になると見込まれる これらのインフラ整備にあたっては 案件ごとにマスタープランから工事まで段階を踏んで検討 建設が進められるが 対象地の地形などを確認 把握するため 検討段階に応じた精度の地図が必要となる 現在 同国では基本的な測地基準点網が整備

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新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみであり 十分な公共交通手段が確保されていないため 同エリアと周辺に住む住民はバスや自動車等により通勤しているが 道路の混雑により 通勤に大きな支障が出ている 加えて 南北鉄道事業南線 ( 通勤線 ) ( 以下 本事業 という ) の対象区間には

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

架鉄道三路線 ( うち 二路線は軽量 ) の総延長は 50km にとどまっている 首都圏南方については マニラ市ツツバンからカブヤオ市ママティッドまでの区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみである 首都圏北方は 居住エリアが拡大しているものの 十分な公共交通手段が確保されていないた

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2008年6月XX日

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ログラムの審査に産業界からも参画を得ることで 大学がエンジニア予備軍である学部学生に対し社会のニーズに即した教育を実践できるよう 促進する役割を果たしている かかる状況の下 エンジニアの量的拡大が質を伴う形で実現されるよう インドネシア政府は我が国に対し LAM-PS としての インドネシアエンジニ

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ており 公共交通機関の拡充等のインフラ整備を通じて大都市圏を中心とした混雑緩和 物流改善が必要であるとしている 本事業はこれら方針及び分析に合致する なお 我が国はこれまで対フィリピン円借款による旅客輸送 システム整備として LRT1 号線増強事業 (I) (II) (L/A 調印 :1994 年

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

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国 アメリカ ロシアに次いで世界第 4 位の電力消費国となっている (2014 年 ) 国内の電力供給に関しては 1,114,408GWh の需要に対して供給量は 1,090,851GWh と 2.1% の不足 供給能力もピーク時 153,366MW の需要に対して 148,463MW と 3.2%

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ジャカルタ大都市圏空港整備計画調査の必要性については JICA が 2008 年 1 月に実施した 次世代航空保安システム整備に係るフィージビリティー調査 でも提言がなされており 既存空港の拡張及び効率的運用を含めたジャカルタ首都圏周辺の適切な空港整備に係る長期的な計画を策定する必要性は高い インド

研究は重要項目とされている 本事業は CERMEL と長崎大学の共同研究を通じて 1 対象地域におけるウイルス感染症の流行状況の解明 2 新規に同定されたウイルスの性状解析 3 公衆衛生対策上優先度の高いウイルスに対する診断法の開発を行い ガボン側研究機関のウイルス感染症研究開発の能力向上に貢献する

国立大学法人富山大学 PPP/PFI 手法導入優先的検討要項

(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

は Blue Print for Air Transportation にて民間航空長期計画を作成 アクションプラン DGCA 5-Year Strategic Plan を作成した上 航空安全に係る総合的な対策の強化を図っており 本事業はこれに寄与するもので

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手法 という ) を検討するものとする この場合において 唯一の手法を選択することが困難であるときは 複数の手法を選択できるものとする なお 本規程の対象とする PPP/PFI 手法は次に掲げるものとする イ民間事業者が公共施設等の運営等を担う手法ロ民間事業者が公共施設等の設計 建設又は製造及び運営

活動指標及び 活動指標標準仕様書 導入手順書策定数 ( 改定を含む ) 活動見込 31 活動見込 2 活動指標及び 活動指標 RPA 補助事業の完了数 活動見込 31 活動見込 5 活動指標及び AI 実証地域の完了数 活動指標 活動見込 31 活動見

事業事前評価表

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相模原市PPP/PFI手法導入優先的検討方針


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RO ( 改修 Rehabilitate- 運営等 Operate) 方式ハ民間事業者が公共施設等の設計及び建 BT( 建設 Build- 移転 Transfer) 方式設又は製造を担う手法民間建設借上方式 2 優先的検討の対象とする事業及び検討開始時期一優先的検討の対象とする事業建築物の整備等に関

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資料 - 3 流山市浄水場運転及び維持管理等業務委託 落札者決定基準 平成 30 年 10 月 流山市上下水道局

Microsoft Word - å‹¥ç´Žï¼”äº‰å›“è©Łä¾¡è¡¨ï¼‹ã‡·ã…‘ã…„ã…¼ã‡¯ã…fiㅫㇳㅳㅃã…−æ−•ã…Šã…�ã…Łã‡§ã…¼ã‡º2ï¼›.doc

プロジェクト ( 年 ) 独 (KfW): 西ナイル地区に特化した配電網の拡充 小水力の開発 ( 年 ) 3. 事業概要 (1) 事業の目的ウガンダにおける産業活性化が期待できる地方において 長距離配電線 (33kV 配電線 ) の資機材の調達 据付を行うことによ

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政策目標 6-2: 開発途上国における安定的な経済社会の発展に資するための資金協力 知的支援を含む多様な協力の推進 1. 政策目標の内容自由かつ公正な国際経済社会の実現やその安定的発展に向け 開発途上国における貧困の問題や気候変動等の地球環境問題等の課題への対応を含む国際的な協力に積極的に取り組むこ

豊橋市 PPP/PFI 手法導入優先的検討方針 効率的かつ効果的な公共施設等の整備等を進めることを目的として 多様なPPP/P FI 手法導入を優先的に検討するための指針 ( 平成 27 年 12 月 15 日民間資金等活用事業推進会議決定 ) に基づき 公共施設等の整備等に多様なPPP/PFI 手

[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

参考資料 5 用語集 SPC( 特別目的会社 ) SPC(Special Purpose Company) は特別目的会社ともいわれ プロジェクトファイナンスにおいては 特定のプロジェクトから生み出されるキャッシュフローを親会社の信用とは切り離す事がポイントであるが その独立性を法人格的に担保すべく

仮訳 日本と ASEAN 各国との二国間金融協力について 2013 年 5 月 3 日 ( 於 : インド デリー ) 日本は ASEAN+3 財務大臣 中央銀行総裁プロセスの下 チェンマイ イニシアティブやアジア債券市場育成イニシアティブ等の地域金融協力を推進してきました また 日本は中国や韓国を

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施策の体系 本目標3 地域力と行政の連携がつくる人と地球に優しいまち179

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金融円滑化に関する方針 千葉銀行は 地域金融機関として 金融サービスの提供をつうじて 地域のお客さまニーズにお応えし 地域の発展に貢献する という役割 使命を果たす 姿勢を堅持してまいりました 特に 地域への円滑な資金供給をはじめとする金融仲介機能の発揮やお客さまへの経営健全化支援等による地域密着型

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内部統制ガイドラインについて 資料

目的 予算の状況 資金の流れ 活動実績 成果実績 事業所管部局による点検 評価項目評価に関する説明 広く国民のニーズがあり 優先度が高い事業であるか 国が実施すべき事業であるか 地方自治体 民間等に委ねるべき事業となっていないか 不用率が大きい場合は その理由を把握しているか 支出先の選定は妥当か

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第 7 章事業手法の整理 1. コンセッション等事業スキームの抽出 (1) 従来型の PFI 手法本事業の実施において想定される官民連携スキームは以下の通りである スキームごとの詳細な内容については次頁以降にて解説する なお 本事業では盛岡市 岩手県の共同事業を想定しているが 事業実施時の発注機関は

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子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

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援 GHGインベントリ策定にかかる技術移転等 気候変動対策を推し進めるための包括的な支援を実施した 同プロジェクトの成果として 国家気候変動緩和行動計画 (RAN-GRK) に基づき州気候変動緩和行動計画 (RAD-GRK) の策定が進められるとともに 国家気候変動適応行動計画 (RAN-API)

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女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

Transcription:

事業事前評価表国際協力機構南アジア部南アジア第四課 1. 基本情報国名 : バングラデシュ人民共和国 ( バングラデシュ ) 案件名 : 都市開発及び都市行政強化事業 Urban Development and City Governance Project L/A 調印日 :2020 年 8 月 12 日 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における都市開発 都市行政セクター分野の現状 課題及び本事業の位置付けバングラデシュ人民共和国では 急激な都市化が進み 2016 年時点で国民の約 35% ( 約 5,700 万人 ) が都市に居住しており 都市部の人口増加率は年間 3.1% と全国平均 ( 同 1.1%) を大きく上回っている 近年 首都ダッカや第二の都市であるチッタゴン等の大都市に限らず 地方都市の中心部も大幅に人口増加が進み 交通渋滞や環境の悪化等の問題が顕在化している ( 世界銀行 2018 年 ) 当国の地方自治体は 都市自治体 と 農村自治体 に分類され 都市自治体 には 全国で 12 設置されている中核都市 (City Corporation) と 中核都市に次ぐ規模の地方都市 (Paurashava) が存在する 都市自治体が管轄する地域は 産業の集積地として国の経済発展を牽引する役割を担う一方 急速な人口増加に道路 給水 排水 廃棄物処理等のインフラ整備が追いついておらず その整備が喫緊の課題となっている しかし 都市自治体のインフラ整備においては 中央政府機関 ( 都市開発公社 水道供給公社等 ) と都市自治体の連携が十分ではなく 事業実施段階の予算承認や用地取得の遅延 完成後の運営 維持管理体制の欠如等の課題が指摘されている また 法令で定められた都市自治体が担うべき機能に対し 必要な資金と人員数 技術的なキャパシティも不足しており インフラ整備や行政サービス提供にかかる体制が十分に構築されていない状況である バングラデシュ政府の 第 7 次五か年計画 (2016/17 2020/21 年度 ) では 都市機能の強化に向けた戦略として 包括的な開発計画の策定 中央から地方への権限移譲 都市自治体の能力強化による良質なサービスの提供等を挙げている また 同計画では 統合排水インフラの整備 効果的な廃棄物管理システムの整備 財政制度や予算策定プロセスの改善等の必要性を指摘している JICA は 円借款 包括的中核都市行政強化事業 (2014 年度承諾 )( 以下 ICGP という ) 技術協力 中核都市機能強化プロジェクト (2015 2020 年度 )( 以下 C4C という ) の実施を通じ 当国の中核都市における基礎的な行財政能力向上とインフラ整備を支援してきたが さらなる都市化の進展に対応するためには 都市開発計画の策定 開発事業の予算策定 執行管理 事業管理 維持管理体制の構築等 都市自治体の能力向上を図る必要性が高い 都市開発及び都市行政強化事業 ( 以下 本事業 という ) は 特に都市化が急速

に進んでいる 2011 年以降に新設された 3 つの中核都市 ( ダッカ都市圏に位置し 継続的な発展の見込まれるナラヤンガンジ市及びガジプール市 ダッカとチッタゴンのほぼ中間の結節点にありインド国境にも近い重要な位置にあるコミラ市 ) 及びベンガル湾産業成長地帯 (BIG-B) 構想における南端部の拠点として今後の発展が見込まれ ミャンマーから流入する避難民支援の拠点としての役割も担うコックスバザール市の 4 つの都市自治体を対象に インフラ整備と都市開発にかかる自治体の行財政能力強化に向けた支援を行うものであり 当国の都市自治体強化における重要事業と位置付けられる (2) 都市開発 都市行政セクターに対する我が国及び JICA の協力方針等と本事業の位置付け対バングラデシュ JICA 国別分析ペーパー (2019 年 3 月 ) では 都市化の進展を踏まえ 成長の牽引役としても大きな役割を果たす都市の均衡ある発展を目標とした支援 が重点課題であると分析されている また 対バングラデシュ国別開発協力方針 (2018 年 2 月 ) では 中所得国化に向けた 全国民が受益可能な経済成長の加速化 を重点分野の一つに挙げ 従来からの課題であるガバナンスの改善のため あらゆる分野の支援において 政府機能の強化 行政サービス向上が図られるようにする としており 本事業はこれら分析 方針に合致する また 本事業は 対象都市の行財政能力を強化する観点から 自由で開かれたインド太平洋構想 における 1 法の支配 航行の自由 自由貿易等の普及 定着 に資するものである さらに 都市自治体のインフラ整備に係る行財政能力強化とインフラの整備を一体的に行うことにより 対象都市の経済発展及び住民の生活向上に資するものであり SDGs ゴール 11( 包摂的 安全 強靭で 持続可能な都市と人間住居の構築 ) に貢献すると考えられる 都市開発 都市行政セクターにおける JICA の支援としては 現在 ICGP C4C 円借款 北部総合開発事業 (2014 年度承諾 ) 等を実施中である (3) 他の援助機関の対応世界銀行 ( 世銀 ) アジア開発銀行(ADB) ともに都市自治体の能力強化とインフラ整備を一体的に支援する事業を実施中 3. 事業概要 (1) 事業目的本事業は 対象 4 都市において インフラ整備と都市開発にかかる行財政能力強化を一体的に行うことにより 都市機能の改善を図り もって対象都市の経済発展及び住民の生活向上に寄与するものである (2) プロジェクトサイト / 対象地域名ガジプール市 コミラ市 ナラヤンガンジ市 コックスバザール市 (3) 事業内容本事業は 以下の1) に記載のインフラ整備に関する土木工事 ( 以下 サブプロジェクト という ) 及び2) に記載のコンサルティング サービスで構成されるセ

クターローンである 1) 土木工事 機材調達 ( 道路 橋梁 ( 既存道路の改修 小規模橋梁の整備等 ) 排水施設 ( 排水溝整備等 ) 廃棄物管理( 廃棄物管理機材 衛生埋立処分場整備等 ) 給水関連施設 ( 地方都市給水管整備 拡張及び浄水施設整備等 ) その他小規模都市インフラ ( 街路灯 公園 公民館等 ))( 国内競争入札 ) 2) コンサルティング サービス ( 事業全体管理 能力強化支援 ( 行財政能力 都市開発 インフラ整備 廃棄物管理等 )( ショート リスト方式 ) サブプロジェクトは 各自治体の開発計画との整合性 事業目的 緊急性 必要性 事業効果 実現可能性等の評価指標を勘案し選定する また サブプロジェクトは 3 回のバッチに分け実施し 第 2 バッチ以降の各自治体へのサブプロジェクトの割当数は 各自治体の実施中サブプロジェクトや行財政機能改善の進捗等の各種指標の達成度を基に決定する 成果連動型 の仕組みを採用する (4) 総事業費 52,311 百万円 ( うち 円借款対象額 :28,217 百万円 ) (5) 事業実施期間 2020 年 6 月 ~2026 年 6 月を予定 ( 計 73 ヶ月 ) 全てのサブプロジェクトの供用開始 (2026 年 6 月 ) をもって事業完成とする (6) 事業実施体制 1) 借入人 : バングラデシュ人民共和国政府 (The Government of the People s Republic of Bangladesh) 2) 保証人 : なし 3) 事業実施機関 : 地方行政技術局 (Local Government Engineering Department 以下 LGED という ) ガジプール市(Gazipur City Corporation) コミラ市(Comilla City Corporation) ナラヤンガンジ市 Narayanganj City Corporation) コックスバザール市 (Cox s Bazar Paurashava) 4) 運営 維持管理機関 :LGED 対象 4 都市 (7) 他事業 他援助機関等との連携 役割分担 1) 我が国の援助活動本事業では C4C 有償勘定技術支援 地方都市行政能力強化プロジェクト (2014~2018 年度 ) を通じて策定を支援している都市自治体のガバナンス向上戦略や研修教材等を 本事業のコンサルティング サービスにおける行財政能力向上支援に活用する また 技術協力 公共投資管理強化プロジェクト (2013~2018 年度 ) 技術協力 公共投資管理強化プロジェクトフェーズ 2 ( 2019~2022 年度 ) を通じて策定を支援している複数年度での公共投資計画や事業審査手法を本事業に活用する さらに 廃棄物処理のサブプロジェクトについては ダッカ市を中心に技術協力 無償資金協力で支援してきた廃棄物管理体制構築の経験を活用する 2) 他援助機関等の援助活動世銀 ADB は 本事業と同様に 都市自治体の能力強化とインフラ整備を一体的に支援する事業を実施中である ( 世銀事業は 本事業対象都市であるガジプール

市 コミラ市 コックスバザール市を ADB 事業はコックスバザール市を対象都市の一部に含む ) 各機関が支援するインフラ整備内容の重複がないことを審査にて確認済 事業実施段階においても定期的な情報共有を行う等 適切な連携を図ることとする (8) 環境社会配慮 横断的事項 ジェンダー分類 1) 環境社会配慮 1 カテゴリ分類 :B 2 カテゴリ分類の根拠 : 本事業は 国際協力機構環境社会配慮ガイドライン (2010 年 4 月公布 ) に掲げる道路 橋梁 上水道 廃棄物処理 処分 衛生セクターのうち大規模なものに該当せず 環境への望ましくない影響は重大でないと判断され かつ 同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しないため 3 環境許認可 : バングラデシュの環境保全規則に基づき 初期環境調査 (IEE)/ 環境影響評価 (EIA) の作成 提出が求められる事業に関しては バングラデシュ政府による IEE/EIA の承認 及び環境許認可証明書 (Environmental Clearance Certificate) の都市自治体による取得が義務付けられている 4 汚染対策 : 本事業ではサブプロジェクトが決定した後に 環境評価フレームワーク (Environment Assessment and Review Framework) に基づき策定された環境管理計画に則り 緩和策が策定される予定 同フレームワークでは 工事中は大気質 水質 土壌汚染 廃棄物等について 散水 定期的な工事機材の点検 工事により排出される汚染物質や廃水の適切な処理等の対策が提案されている 5 自然環境面 : 事業対象候補地域は国立公園等の影響を受けやすい地域 または重要な自然生息地 及びその周辺に該当しない 6 社会環境面 : 一部のサブプロジェクトでは用地取得 住民移転が発生することが想定され用地取得 住民移転が生じるサブプロジェクトに関しては RPF (Resettlement Policy Framework) に基づき作成される住民移転計画に沿って 都市自治体により取得が進められる予定 7 その他 モニタリング : 本事業では 工事中の大気質 水質 土壌汚染 廃棄物等に関するモニタリングは 実施機関の責任 監督の下 施工業者が行い 供用時は 実施機関である LGED と PIU (Project Implementation Unit) が行う 用地取得に関しては LGED PIU がモニタリングを行う なお サブプロジェクトにカテゴリ A 案件は含まれない 2) 横断的事項 : 特になし 3) ジェンダー分類 :[ ジェンダー案件 ] GI(S)( ジェンダー活動統合案件 ) < 活動内容 / 分類理由 > 本事業におけるインフラ整備ではジェンダー視点に立った設計を行うとともに 実施される建設工事では 男女同水準の賃金とし 女性雇用枠を設定する予定 また 実施機関内に設置される事業実施ユニットにおいても女性を積極的に採用する

(9) その他特記事項 特になし 4. 事業効果 (1) 定量的効果 1) アウトカム ( 運用 効果指標 ) 種類指標名 ( 単位 ) 行財政能力改善 道路関連施設 排水設備 廃棄物管理 給水 衛生関連施設 公共インフラ (2) 定性的効果 対象都市の経済発展及び住民の生活環境の向上 (3) 内部収益率 当初計画期間内でのインフラ事業完了率 (%) インフラ開発計画の年度毎の 市民コンサルテーションプロ セスを経た計画的な更新の実 施 ( 回数 ) 年平均日交通量 (pcu) 所要時間の短縮 ( 分 ) 浸水地区の減少 (%) 浸水被害人口の減少 ( 人 / 年 ) ごみ収集量 ( トン ) ごみ収集率 (%) パイロット地域におけるごみ 中継計画に基づき適切に運営 管理される中継処理場 ( 数 ) 給水人口 ( 人 ) 給水量 ( トン / 日 ) < バス トラック発着場 > バス トラックの平均発着数 ( 台数 / 日 ) < 街路灯 公園 市場整備 > 裨益者数 ( 人 ) 基準値目標値 (2028 年 ) (20XX 年実績値 ) 事業完成 2 年後 サブプロジェクト 確定時に決定 事前にサブプロジェクトを特定できないため IRR は算出しない 5. 前提条件 外部条件 (1) 前提条件

対象地域の治安が悪化しない (2) 外部条件 対象地域の治安が悪化しない 6. 過去の類似案件の教訓と本事業への適用インドネシア向け円借款 地方インフラ整備事業 (Ⅲ) ( 評価年度 2007 年 ) の事後評価結果等から 小規模分散型の案件では 体系的なマネジメントシステムの構築とその適切な運用が重要であり 特にフィールドレベルから中央への階層的な責任分担関係の明確化や 縦横の関係機関の調整が重要であるとの教訓を得ている 上記の教訓を踏まえ 本事業では 対象都市の開発計画等の上位計画から個別事業の F/S 予算承認 執行 事業実施管理の各段階における中央政府及び対象都市自治体の役割と責任を明確にし 調整機能の強化のための支援を行うことを審査にて合意済である また LGED 本部内において事業実施責任を統括するプロジェクト管理本部を設置するとともに 各対象都市においてプロジェクト実施ユニットを設立し 各セクターの横断的事項に係る協議や事業全体の進捗管理及びモニタリングを行う 7. 評価結果本事業は 当国の開発課題 開発政策並びに我が国及び JICA の協力方針 分析に合致し 都市自治体のインフラ整備に係る行財政能力強化とインフラの整備を一体的に行うことにより 対象都市の経済発展及び住民の生活向上に資するものであり SDGs ゴール 11( 包摂的 安全 強靭で 持続可能な都市と人間住居の構築 ) に貢献すると考えられることから 事業の実施を支援する必要性は高い 8. 今後の評価計画 (1) 今後の評価に用いる指標 4.(1)~(3) のとおり (2) 今後の評価スケジュール事後評価事業完成 2 年後 以上