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News on Microprocessor Development Tools チップメーカーとの戦略的パートナーシップ オンチップデバッグインタフェースを備えたマイクロコントローラが初めて市場に登場した当時のデバッグソリューションは その頃普及していたインサーキットエミュレータに比べると比較的単純なものでした トリガとトレースのオプションを持たない純然たるデバッガは複雑な組み込みシステムの効率的開発には向いていないことが まもなく判明しました デバッグとトレースのオンチップインタフェースの用途は徐々に拡大されてきているので 今日の開発ツールによる非常に複雑なテストと分析が可能となっています 国際組織への参加 多くのお客様は より高いレベルのオンチップデバッグ トレースロジックの標準化とより少ないピンカウントが 性能の劣化なしに実現されることを望んでいます デバッグとトレースの革新的技術の開発において積極的な役割を果たすため ローターバッハは 以下のような各種の国際組織に参加しています : ローターバッハは Nexus 5001 Forum の設立時以来のメンバーであり NEXUS 仕様に準拠するツールを世界で初めて発表しました MIPI Alliance のテスト & デバッグワーキンググループにおいて ローターバッハは インタフェースならびに携帯電話のテストとデバッグのツールの定義に携わっています IEEE P1149.7 ワーキンググループ設立時以来 ローターバッハは JTAG 標準の定義に積極的に関与しています チップメーカーとの協力 従来 デバッグとトレースのオンチップロジックの機能性は 半導体メーカーによって定義されていました 今日では 製品を市場に投入する前にマイクロコントローラと開発ツールとの最適な相互運用を保証できるようにと 開発の初期段階でローターバッハと緊密な共同作業を望まれるチップベンダーが増加の一途をたどっています この傾向は プロセッサの新製品における要件として多くのエンドカスタマや OEM がローターバッハのサポートを挙げていることによって 強固なものとなっています この結果 多数の大手チップメーカーが戦略的パートナーとしてのローターバッハに期待しており 自身の最新プロセッサファミリ用開発ツールがオンタイムで利用できるように ローターバッハと契約を交わしています 2006 年 ローターバッハはエンジニアリング部門のスタッフを大幅に増員 広範なプロセッサアーキテクチャを対象とした高性能開発ツールのリーダーとしての地位をさらに確固たるものとしました 本号では 2007 年に発表予定の製品 および最近実現された最新かつ最強の機能の数々を紹介します コンテンツ 新たに導入された IDE リンク 2 組み込み Linux のデバッグ 3 新たなサポートプロセッサ 7 Cortex-M Series 用の新ツール 8 ARM-ETM 関連ニュース 10 エネルギー消費の最適化 11

新たに導入された IDE リンク Eclipse 2006 年 9 月以来 ローターバッハは Eclipse C/C++ Development Tooling (CDT) との連携をサポートしていますが CDT への完全統合化が 2007 年 10 月に予定されています CDT リンク TRACE32は Eclipse version 3.1.2のCDTリンクをサポート 以下の機能を提供しています : TRACE32デバッガをEclipseから直接起動できます 複雑なマルチコア / マルチプロセッサ構成もサポートされています デバッガのブレークポイントをEclipseソースコードエディタで設定できます ユーザーは ソースコードが入っているあらゆるTRACE32ウィンドウからEclipseソースコードエディタ内の対応行にジャンプできます 完全統合 CDTデバッガへの完全統合に備えるため ローターバッハはDebugger Service Framework (DSF) に関する協力を行っています DSFの目標は CDTデバッガとハードウェアデバッグバックエンドとの高性能標準インタフェースを開発することです ローターバッハは早期採用者としてDSFによる完全統合を 2007 年 10 月までに提供する予定です ただし CDTデバッガへの完全統合がローターバッハGUI に取って代わるわけではありません 詳細につきましては下記 URLをご参照ください : http:///inteclipse.html Windows CE Platform Builder 2006 年 12 月の発表の通り TRACE32 開発ツールを ハードウェアデバッグバックエンドとして Windows CE Platform Builderで利用することができます Extended Debugging Interface (exdi2) によってTRACE32 開発ツールをWindows CE Platform Builderのデバッグインタフェースに接続するドライバが 統合用に開発されました Rhapsody ローターバッハは I-Logix 社のModel Driven DevelopmentプラットフォームRhapsodyを対象とした統合を2007 年に予定しています 統合の第一段として 次の機能を予定しています : TRACE32 開発ツールをハードウェアデバッグバックエンドとしてRhapsodyで使用できるようにします ユーザーは ソースコードが入っているあらゆるTRACE32ウィンドウからRhapsody 要素への分岐を行えるようになります 2007 年の夏までには TRACE32が集録したリアルタイムトレースデータからメッセージシーケンス図を生成することも可能となります

組み込み Linux 用実行 停止モード統合型デバッグ 組み込み Linux アプリケーションの開発では 2 種類のデバッガを使用することがこれまでの一般的な方法でした ターゲットハードウェアの起動には JTAG デバッガが通常使用されます 組み込み Linux の基本コンポーネントがターゲット上で起動されると同時に デバッグプロセスは GDB によって続行されます ローターバッハは この 2 つのデバッグコンセプトを結合した統合型 Linux デバッガを Embedded Systems Conference 2007 で紹介する予定です このデバッガにより 2 つの方法の利点を単一のユーザーインタフェースで利用できることになり 組み込み Linux アプリケーションの開発時間を大幅に短縮できます ARM アーキテクチャを例として使用した統合型 Linux デバッガのコンセプトを 以下に示します 停止モードデバッグ JTAG デバッガは いわゆる 停止モードデバッグ で機能します プロセッサは 当然システム全体も ブレークポイントで停止します プロセッサやターゲットハードウェアの状態に関する情報は JTAG インタフェースによって読み取ることができます ( 図 1 参照 ) 実行 & 停止モードデバッグの統合 デバッグエージェントとして GDB を用いる組み込み Linux ARM DCCによる実行モードデバッグをサポート ARM Ethernetによる実行モードデバッグは 2007 年第 2 四半期にサポート PowerPC Ethernetによる実行モードデバッグは 2007 年第 2 四半期にサポート デバッグエージェントとして TRK を用いる Symbian OS ARM 利用可能な DCC による実行モードデバッグ デバッグが可能です ソフトウェアが反応しなくなった場合 プロセッサが誤停止したコード内の箇所をプロセスを停止して調べることができます プロセッサが停止しても カーネルや他のプロセスが問題を引き起こすことがありません ただし 停止モードデバッグ には 大きな短所が 1 つあります : 図 1: 停止モードデバッグ では JTAG インタフェースを介してプロセスとシステム全体が停止されます 停止モードデバッグ の長所: 停止モードデバッグ における要件は JTAGインタフェースが機能することだけです このため リセットベクタからのデバッグが可能です LinuxとMMUの両方をサポートするデバッガにより カーネルおよびプロセス境界を越えての それは プロセッサが停止すると同時にすべて通信インタフェースも停止する という点です この結果 Ethernet Bluetooth または CAN によって Linux アプリケーションと通信する外部デバイスは アプリケーションが応答していないことから接続を切断してしまいます したがって ブレークポイントでの停止がシステム全体の状態の変更を引き起こす恐れがあります この場合 デバッグを続行しようとしても意味がない可能性があります

図 2: 実行モードデバッグ では選択されたプロセスは停止しますがシステム全体は実行し続けます 実行モードデバッグ GDB はいわゆる 実行モードデバッグ を行います つまり ブレークポイントでは 選択されたプロセスだけが停止し カーネルや他のプロセスはそのまま実行を持続します ただし GDBは完全なソフトウェアデバッガです このため 以下の要件が揃わなければデバッグを行うことができません : ターゲットマシン上で一つのLinuxプロセスとして実行されるGDBサーバー ホストマシン上で実行されるデバッガソフトウェア - ここでは TRACE32 ( 図 2を参照 ) TRACE32は RS232やEthernetインタフェースを介しGDBサーバーと通信 その時点で停止しているプロセスに関する情報について問合せます 実行モードデバッグ は 以下の条件が整っているときに完全に機能します : ターゲットハードウェアの起動が完了している GDBサーバーがいつでもアクティブな状態に移行できる つまり 通信インタフェースが正しく実行されており かつプロセッサがコードポイントで誤動作してハングアップしていない 言うまでもなく どちらのデバッグ手法も長所と短所を併せ持っています そこで ローターバッハではこの2つの手法の利点をすべて維持しつつ 弱点を完全に排するように両者を融合したデバッガを開発しました 実行 停止モード統合型デバッグ TRACE32デバッガは 組み込みLinux 向けに 実行 停止モード統合型デバッグ 機能を搭載し 以下のように動作します : 1. TRACE32デバッガはJTAGインタフェースを経由して 停止モードデバッグ 状態で立ち上がります 最初のステップでは ターゲットハードウェアと 実行モードデバッグ (GDB) の設定を行います 図 3: テストを実行するには 要件に応じて実行モードデバッグまたは停止モードデバッグを選択します

2. ターゲットハードウェアの起動ステップには 停止モードデバッグ (JTAG) が使用されます 3. ハードウェアの起動が完了すると TRACE32 は 実行モードデバッグ (GDB) に切り替わり アプリケーションのデバッグを行えるようになります 全システムが動作している状態で 個々のプロセスをテストすることが可能です 4. 実行モードデバッグ 中に GDB サーバーとの接続が絶たれた場合は いつでも 停止モードデバッグ に切り替えて 問題の原因を突き止めることができます 実行 停止モード統合型デバッグ の実装と並行して 以下の機能が 実行モードデバッグ に追加されています : ARMアーキテクチャに対応するため 通信インタフェースとして EthernetとRS232のほかに デバッグ通信チャネル (DCC) を追加できるようになりました この対策により 実行 停止モード統合型デバッグ はJTAGインタフェースのみで機能します ( ヘッドレス 通信ポート不要 ) 必要があれば 2つ以上のプロセスを同時にデバッグすることが可能です 通信インタフェースとしての DCC ARMアーキテクチャ用 JTAGインタフェースには いわゆるDebug Communications Channel (DCC) が組み込まれています 原則として ホスト上のデバッガソフトウェア (TRACE32) ターゲットシステム上のアプリケーション ここではGDBサーバーを介してとの間で アプリケーションがプロセッサ上で実行中に DCCによる情報交換が可能です 用して現在停止状態にあるプロセスに関する情報を GDB サーバーに問い合わせれば 実行モードデバッグ において外部通信インタフェースは不要となります ( 図 4 参照 ) 複数プロセスの同時デバッグ 複数のプロセスを同時にデバッグする必要性が生じることがあります これを実現するため ローターバッハでは現在 実行モードデバッグ 用のT32Serverを提供しています ターミナルウィンドウからLinuxプロセスとして T32Serverを起動すると TRACE32コマンドによって次の操作を行えます : プロセスの起動 (TASK.RUN) 実行中プロセスへの接続 (TASK.SELect) プロセスの終了 (TASK.KILL) 図 5: T32Serverを使用すれば プロセスごとに別々のGDBサーバーを割り当てることができるので 複数のプロセスを同時にデバッグできます プロセスが起動 / 接続されると T32ServerがプロセスごとにGDBサーバーを割り当てます ( 図 5 参照 ) 次ページの図 6は TASK.Listウィンドウの例を使ったTRACE32 実行モードデバッグ を示しています 図 4: 外部通信インタフェースの代わりに JTAG インタフェースの DCC 機能を GDB サーバーとの通信チャネルとして使用できます TRACE32 が JTAG インタフェースの DCC 機能を使 まとめ 実行 停止モード統合型デバッグ は 1 つの開発ツールと 1 つのユニバーサルユーザーインタフェースを使用することによって ハードウェアとソフトウェアの複雑なエラーの迅速な発見を可能にします しかも アプリケーションや Linux に

手を加える必要なく 組み込み Linux アプリケーションの効率的開発のための最適な基盤となります 実行 停止モード統合型デバッグ は 2006 年 11 月より ARM アーキテクチャ向けサポートが開始されており すべての ARM プロセッサ用 TRACE32 JTAG デバッガで無償でご利用できます PowerPC アーキテクチャのサポートは 2007 年 5 月です. 図 6: hello と helloloop のプロセスが停止されています helloloop プロセスは デバッグ対象として現在選択されているプロセスです. その他の Linux ニュース 通信チャネルとして DCC を使用する端末ウィンドウ 2006 年 7 月より すべての ARM アーキテクチャを対象として Debug Communications Channel による端末ウィンドウの操作が可能となっています GDB フロントエンドとしての TRACE32 2006 年 10 月より TRACE32 ユーザーインタフェースを GDB デバッグのフロントエンドとしても使用できるようになっています 標準 GDB サーバーをデバッグエージェントとして使用し 個々のプロセスをデバッグすることができます T32Server の利用で 複数のプロセスを同時にデバッグできます 実行 停止統合型デバッグ と異なり TRACE32 GDB フロントエンドではデバッガハードウェアが不要です 純然たるユーザーインタフェースであるこのフロントエンドはプロセッサに依存せず 現時点で ARM PowerPC MIPS のアーキテクチャをサポートしています 利用できる通信インタフェースは RS232 と Ethernet です RTOS サポート状況 CMX RTX for PowerPC PrKERNEL for ARM DSP / BIOS for TMS320C64xx QNX 6.3.2 ecos for MIPS Quadros for C16x and StarCore FreeRTOS for ARM SMX 3.7 MQX 2.5 for ColdFire T-Kernel for MIPS サポート予定 NetBSD for PowerPC サポート予定 ThreadX V5, also for Nios II NORTi for Nios II and PowerPC VxWorks 6.x OS9 for PowerPC Windows CE 6.0 サポート予定 OSE Delta 5.2 Load Modules µclinux for MicroBlaze PikeOS for PowerPC µc/os-ii for MIPS

新たなサポートプロセッサ New Architectures Analog Devices BlackFin ARC ARC 600 Core Freescale MPC8641D Infineon XC800 Familie Marvell ARM CPU Feroceon Mentor M8051EW Graphics Tensilica Texas Instruments Diamond Standard Processors Xtensa Processors Q2 / 2007 TMS320C2000 Q2 / 2007 Xilinx MicroBlaze RISC / CISC ローターバッハは デバッグとリアルタイムトレースの高品質ツールメーカーの第一人者として 世界的に認められています 伝統的に ローターバッハの開発ツールは 複雑な 32 ビット RISC アーキテクチャを使用した組み込み設計のデバッグにおもに使用されています 2006 年に当社が最も成功を収めた製品は Freescale の MPC55xx ファミリー用と ARM9 用のデバッグ トレースツールでした. ローターバッハはそのデバッガにより コスト削減が大きな命題とされる設計でおもに使用される数多くのプロセッサアーキテクチャもサポートしています 具体的には ARM 社 Cortex-M シリーズのほか 2007 年サポートの Infineon 社 XC800 ファミリー Mentor Graphics 社 M8051EW などです DSPs 2003 年以降 ローターバッハはデジタルシグナル プロセッサ (DSP) 用デバッガの種類の増大に力を入れてきました マルチコアプロセッサにおける DSP 利用の増加にローターバッハが対応できたのは このためです Texas InstrumentsのDSP 用デバッガのほか CevaのDSP 用やStar-Core DSP 用の開発ツールはすべて 2006 年に力強い成長を見せました ソフトコア 2005 年 ローターバッハは 初めてのソフトコア用デバッグ リアルタイムトレースツールを発表 下記機能を有する Altera NIOS II 用プロフェッショナルツールが開発されました シングル及びマルチプロセッサ用 JTAGデバッガ機能 プログラム データフローを記録するためのオンチップ / オフチップリアルタイムトレース機能 2006 年 8 月には Xilinx MicroBlaze 用高性能デバッガが発表されました このコアを対象としたオフチップリアルタイムトレースは 2007 年に予定されています コンフィギャラブルコア ARC600 コアファミリー用デバッガで ローターバッハはいわゆるコンフィギャラブルコアを初めてサポートしました コンフィギャラブルコアのプロバイダは エンドアプリケーションに合わせて最適にカスタマイズされた SoC (system on chip) の開発の可能性を顧客に提供しています たとえばユーザーは コアレジスタ数 演算ライブラリ キャッシュの構造とサイズ 内部プロセッサバスをはじめ コアの多くの要素を構成することができます 構成可能コアの場合 デバッガにとっては次の2つの新たな課題があります : 1. デバッグ性能を保証するには 利用可能なリソースすべてが コアに保存されている構成記述の中で正確に特定できなければならない 2. エンドアプリケーション用に開発されたユーザー命令を逆アセンブラに対して指定しなければならない Tensilicaの構成可能 Xtensaプロセッサは 2007 年のサポートです

新たなサポートプロセッサ ( 続き ) New Derivatives AMCC PPC405 IBM PPC74x / 75x - PPC405EZ - PPC750CL PPC44x - PPC440 EPx / GRx Infineon Tricore - TC111x / TC116x Broadcom MIPS64 - BCM1250 / BCM1480 Marvell XScale - PXA3xx Ceva Freescale TeakLite / OAK - XpertTeakLite-II Ceva-X - Ceva-X1622 / X1641 MCS08 - MC9S08AW / DZ S12X - S12XE - S12FR MPC5500 - MPC551x MIPS NEC Renesas StarCore LLC MIPS32 - MIPS34 V850 - V850ES / Dx3 - V850ES / Fx3 / Sx3 H8S - H8SX StarCore - SC2000 - SC3000 PowerQUICC II - MPC831x Texas Instruments TMS320C55X - C55x+ ARM11 / StarCore TMS320C64X - MXC91231 - C64x+ - MXC91321 TMS320C67X - MXC91331 - C67x+ Cortex-M シリーズ用の新しいデバッグケーブル 2007 年春より ローターバッハは Cortex-M ファミリーデバッグケーブルの新バージョンを提供する予定です 最も重大なイノベーションは 標準 JTAG のみならず 2 ピンデバッグインタフェースである cjtag SW-DP も このデバッグケーブルがサポートするという点です cjtag cjtag (IEEE P1149.7) は MIPI Alliance Inc. によって定義されたオンチップデバッグインタフェースです 5 ピン標準 JTAG インタフェースの代替品として 2 ピンインタフェースは クロックライン 1 本と双方向データライン 1 本とで構成されると定義されています (9 ページの図 7 参照 ) 図 7: ターゲットハードウェアがマルチチップである場合の cjtag イ ンタフェース

シリアルワイヤデバッグポート (SW-DP) デバッグ トレース機能にCore- Sightテクノロジが採用されている SoC (system on chip) の場合 外部デバッガは従来のように個々のコアのTAPコントローラと直接通信するのではなく いわゆるDebug Access Port(DAP) を介して通信します DAPの役目は デバッグコマンドを個々のコアに送ることです オンチップデバッグがコアにどのように実装されているかに従い 通信は下記のように行われます : メモリマッピングされたデバッグレジスタを持つコアは バスアクセスの助けを借りて制御されます たとえばCortex-Mは このメカニズムで機能します 従来型のTAPコントローラによってデバッグを行うコアは 依然としてJTAGシーケンスを使用して制御されます デバッガとDAPとのインタフェースは ARM 規定の2ピン幅のシリアルワイヤデバッグポートと標準 JTAGのどちらかを使用します ( 図 8 参照 ) 図 8: デバッガと DAP の 2 ピンインタフェースとしてのシリアルワイヤデバッグポート 2 ピンデバッグインタフェースの高速ダウンロードを実現するため オンチップデバッグインタフェースは最大 100 MHz の周波数で動作します 高周波数でのデバッグケーブルによる反射を排除するため デバッグ信号の着信はターゲットハードウェアコネクタに移動してあります CombiProbe Cortex-M 用デバッガ / トレース トは 下記のとおりです : 128メガバイトトレースメモリ搭載プローブハードウェア ターゲットハードウェア用 34ピン高速プラグ 34ピン高速プラグをターゲットハードウェアのデバッグ / トレースインタフェースに接続するためのアダプタケーブル 図 9: Cortex-M シリーズ用低価格開発ツール モジュー ルおよび CombiProbe 2007 年 8 月 ローターバッハは ARM 社 Cortex-M 用 の低価格開発ツールを発売します この新しい開発ツールは ユニバーサルデバッガハードウェア と CombiProbe とで構成されます CombiProbe の最も重要なコンポーネン デバッグインタフェース標準 JTAGのほか CombiProbeは2ピンデバッグインタフェースcJTAG ( 図 7 参照 ) とシリアルワイヤデバッグポート ( 図 8 参照 ) もサポートしています トレースインタフェース CombiProbeシステムを使用すれば 以下のトレースログの記録と分析を行えます : 連続モードの4ビットETM CoreSight Single Wire Viewer (SWV) 最大トレース周波数は 200 MHzです

ARM-ETM プリプロセッサ AutoFocus II 2007 年始め ローターバッハは ARM-ETM 用プリプロセッサの新バージョンを発売を開始しました II との組合せで 500MHz を超える周波数でのテストに AutoFocus II が合格しました AutoFocusテクノロジはさらに洗練され 技術的に可能な境界でトレースポート速度のトレース信号を最適サンプリングできるようになっています : 64クロック 24データ遅延 78 ps 分解能 40トレースチャネルすべてにおける低信号間ス キュー クロック データチャネルの終端のデカップリングプリプロセッサ自動構成と自己テストの総合的既存メカニズムに ターゲットハードウェア上の ETMチャネル品質をチェックする三次元アイファインダーが加わりました このアイファインダーは タイミング誤差範囲 -1.8 ~ +4.9 ns 電圧範囲 0 ~ 3.3 Vで全 ETMチャネルのデータアイを表示します 第三次元は チャネル番号です ユーザーは 個々のチャネルを分析することも 全チャネルを重ね合わせて見ることもできます このチェックの結果 個々のETMチャネルのデータアイが平均より小さいことが判明した場合 ハードウェアレイアウトをチェックしてこれらの信号に異常な特性が見られるかどうかを調べる必要があります 信号品質悪化の原因としては 長い配線 スタブライン ドライブ能力不足が考えられます シリアル ETM 非常に大きなトレースポート帯域幅を数本の伝送回線のみで実現するため ローターバッハは ETM データのシリアル伝送のコンセプトと取り組んでいます 第一世代では 最大 6.25 Gbit/s のデータ速度を目標にしています 現バージョンの II を変更することなくそのままシリアルプリプロセッサと一緒に使用できるので あらゆるローターバッハツールに採用されているモジュラーコンセプトの柔軟性がここでも証明されています 多くのメーカーはすでにASICでGbit-PHYトランシーバを提供しているので 論理的にはトレースポートでも利用できるはずです これにより トレースポート帯域幅の増加とピン数の減少とのどちらかまたは両方が可能となります ASICメーカーと協議の上 ARM-SoCにおける ETMデータのシリアル化は Xilinx Aurora Protocolに基づいて計画されます 開発ツール側のシリアルプリプロセッサは マルチギガビットトランシーバによってデータを受信し 逆シリアル化とクロック回復を処理します この方法で回復されたパラレルETMデータは IIのトレースRAMに通常どおり保存されます 10

II 用ロジックアナライザプローブ の 48 ビットタイマーによって生成されるので プログラム データフローとその他のチャネルとの時間関係が明瞭に表示されます その他のチャネルの対時間動作の分析は テーブルやチャートを使って直観的にすばやく行えます チャネルデータは簡単にファイルとしてエクスポートできるので 必要に応じて外部ソフトウェアによる処理を行えます 2006 年 7 月以降 プログラム データフローの記録だけではなく 最大 17のデジタルデータチャネルまたは4 電圧 /3 電流チャネルの記録にも使用できるようになっています IIのLogic Analyzer Probeコネクタでは 以下のプローブを接続できます ( 写真参照 ): 最大 17のデジタルデータチャネルを記録する標準プローブ 4 電圧チャネルまたは3 電流チャネルを記録するアナログプローブ IIのリアルタイムトレースシステムは 以下を搭載しています : プログラム データフローを記録する最大 2ギガバイトのトレースメモリ その他のデジタル / アナログ信号を記録する 512 kトレースエントリメモリこの2つのトレースメモリのタイムスタンプは同一 エネルギー消費の最適化 バッテリー駆動式装置では エネルギー消費の削減がますます重要になっています 待機時間や使用時間といった要素は 携帯電話を販売するにあたっての仕様の重要な部分です このため エネルギー消費を削減する総合的手段が バッテリー駆動式装置のハードウェア設計における不可欠な部分となっています ただし こうした手段が効果を発揮するのは 装置を制御するソフトウェアがハードウェアのあらゆる節電機能を一貫して活用する場合だけです 標準プローブデータ 17 デジタルデータチャネル 電圧範囲 0-5 V 最大 200 MHz のトランジェントレコード アナログプローブデータ 4 電圧チャネル 0-5 V 3 電流チャネル ( ターゲットハードウェア上の分流器が必要 ) 12 ビット分解能 625 khz サンプリングレート 以下について問う必要があります : プログラムがマイクロコントローラを常に正しい節電モードに切り替えるか? プログラム変更が電力消費にどのように影響するか? 予期しない電力ピークがあるか? これらの問いに答えるには プログラム データフローの他 電圧と電流の測定と記録を行い その結果をユーザーフレンドリーな形式で表示できるシステムが必要です (12ページに続く ) 11

エネルギー消費の最適化 ( 続き ) システムは 以下で構成されます : デバッガとリアルタイムトレース アナログプローブとロジックアナライザロジックアナライザとしては IIと Powerのどちらのロジックアナライザで も使用できます この測定方式の場合 電流 / 電圧の使用状況とプログラムフローの両方に同期タイムスタンプを使用できるので 制御ソフトウェアと現在の電流 / 電力消費との関係を簡単に表示し 分析することができます 図 10: 制御ソフトウェアが実行する関数のエネルギー消費の統計分析 将来の展望 ローターバッハが広範なプロセッサアーキテクチャのための高性能開発ツールの提供において第一人者であり続けられるようにするため 当社では開発グループの規模を大幅に拡大しました 現在建築中の新社屋は 2008 年に完成する予定であり 完成の暁には 今後数年間の当社の成長を収容できるはずです http://www.arcone-tec.de 図. 11: ドイツ ミュンヘンに建築予定の本社 I.P. 12