トランシット(セオドライト)の 水 平 角 観 測 に 関 する 誤 差 < 試 験 合 格 へのポイント> トランシット( 又 は セオドライト: 以 下 トランシット)の 水 平 角 観 測 における 誤 差 に 関 する 問 題 である 定 番 問 題 の 一 つであり 基 本 的 には 誤 差 の 名 称 と 消 去 法 (できれば 原 因 )を 覚 えておけ ば 解 答 できるものが 殆 どである 原 理 を 覚 えるのではなく トランシットの 器 械 誤 差 について(ま とめ) の 表 について 覚 えれば 良 い ( : 最 重 要 事 項 : 重 要 事 項 : 知 っておくと 良 い) トランシットの 器 械 誤 差 について(まとめ) ト ラ ン シ ッ ト の 三 軸 誤 差 名 称 原 因 消 去 法 トランシットの 視 準 軸 と 望 遠 鏡 の 視 準 線 が 一 致 視 準 軸 誤 差 していないため 水 平 角 の 測 定 に 生 じる 誤 差 誤 差 の 大 きさは 高 度 角 に 比 例 する トランシットの と が 直 交 していな 誤 差 いため 水 平 角 の 測 定 に 生 じる 誤 差 誤 差 の 大 きさは 高 度 角 に 比 例 する トランシットの と 鉛 直 線 の 方 向 が 一 致 し 誤 差 ていないため 水 平 角 の 測 定 に 生 じる 誤 差 誤 差 の 大 きさは 高 度 角 に 比 例 する 偏 心 誤 差 目 盛 盤 の 中 心 と がずれているために 水 平 角 の 測 定 に 生 じる 誤 差 外 心 誤 差 視 準 軸 ( 望 遠 鏡 )が 回 転 軸 の 中 心 からずれてい るため 水 平 角 の 測 定 に 生 じる 誤 差 目 盛 誤 差 目 盛 板 の 目 盛 間 隔 が 均 等 でない 場 合 に 水 平 角 の 測 定 に 生 じる 誤 差 望 遠 鏡 正 反 観 測 の 平 均 値 を 取 ることにより 消 去 望 遠 鏡 正 反 観 測 の 平 均 値 を 取 ることにより 消 去 なし( 補 正 値 を 算 出 すること により 低 減 することが 可 能 ) 望 遠 鏡 正 反 観 測 の 平 均 値 を 取 ることにより 消 去 望 遠 鏡 正 反 観 測 の 平 均 値 を 取 ることにより 消 去 目 盛 板 を 均 等 な 間 隔 ごとに 使 用 することにより 誤 差 を 小 さくはできるが 完 全 に 消 去 はできない トランシットを 用 いた 観 測 の 誤 差 全 般 について トランシットによる 水 平 角 観 測 時 に 生 じる 誤 差 は 大 きく 次 の3つに 分 けられる < 自 然 誤 差 > 外 界 条 件 に 原 因 のある 誤 差 気 象 条 件 三 脚 付 近 による 地 盤 の 安 定 などの 誤 差 < 過 失 過 誤 > 観 測 者 自 身 に 原 因 がある 誤 差 測 角 方 法 技 術 などの 未 熟 観 測 ミス < 器 械 誤 差 >トランシット 自 体 に 原 因 がある 誤 差 トランシットの 調 整 不 完 全 など この 誤 差 の 中 で トランシット 自 体 に 原 因 がある 誤 差 (いわゆる 器 械 誤 差 )とは 器 械 の 調 整 不 十 分 やその 構 造 上 の 不 具 合 によって 生 じる 誤 差 のことであり 誤 差 の 分 類 では 定 誤 差 ( 観 測 方 法 や 計 算 によって 消 去 される 誤 差 )になる ~ 1 ~
トランシットの3 軸 誤 差 について トランシットの3 軸 とは 次 図 に 示 す 視 準 軸 を 言 い その 構 造 的 にも 重 要 なものである トランシットの3 軸 視 準 軸 以 下 に トランシットの3 軸 誤 差 について 詳 述 する 誤 差 下 図 のように が と 直 交 していないために 水 平 角 の 測 定 に 生 じる 誤 差 望 遠 鏡 α の 傾 き(α) まず 次 図 のように の 傾 きが 無 い( 正 常 な)トランシットを 用 いて A 点 の 観 測 を 行 う 場 合 を 考 えると 望 遠 鏡 ( 視 準 線 )は を 中 心 に 回 転 するため その 軌 跡 は 図 の 実 線 の 通 の 傾 いた 視 準 線 の 軌 跡 天 頂 方 向 正 常 な 視 準 線 の 軌 跡 りとなり 高 度 角 が 変 化 しても その 水 平 角 の 観 測 値 には 何 ら 影 響 が 無 いことがわかる B A h しかし が に 対 して 傾 いているトランシッ トを 用 いて 同 様 の 観 測 を 行 うと 望 遠 鏡 の 回 転 の 軌 跡 は 図 の 破 線 の 通 りとなり A 点 を 観 測 しても 高 度 角 がhの 場 合 では A~Bの 間 で 水 平 角 の 観 測 値 が 変 化 し 水 平 角 の 誤 差 は 望 遠 鏡 が 天 頂 時 に 最 大 となることがわかる ~ 2 ~
また 誤 差 は 前 図 の 観 測 方 向 を 望 遠 鏡 ( 正 )と 考 えれば 望 遠 鏡 ( 反 )で 観 測 を 行 った 場 合 その 位 置 関 係 が 正 反 転 するため 誤 差 が 消 去 されることがわかる 以 上 の 事 柄 に 関 してまとめると 次 のようなことが 言 える <トランシットの 誤 差 > 内 容 :トランシットの が に 対 して 傾 いているために 生 じる 誤 差 影 響 : 目 標 の 高 度 角 により 水 平 角 観 測 値 に 誤 差 を 生 じる 消 去 法 : 望 遠 鏡 正 反 の 観 測 を 行 い その 観 測 値 を 平 均 する 視 準 軸 ( 線 ) 誤 差 次 図 のように 視 準 軸 が 視 準 線 と 一 致 していないために 水 平 角 の 測 定 に 生 じる 誤 差 十 字 線 望 遠 鏡 c 視 準 線 視 準 軸 対 物 レンズの 中 心 視 準 線 : 望 遠 鏡 の 対 物 レンズの 中 心 と 十 字 線 の 中 心 を 結 んでできる 線 視 準 軸 : 望 遠 鏡 の 対 物 レンズの 中 心 を 通 り と 垂 直 に 交 わる 線 次 図 のような 器 械 の 中 心 が O 望 遠 鏡 に 視 準 線 のズレcを 持 つトランシットで 水 平 方 向 から 天 頂 方 向 を 視 準 した 場 合 視 準 軸 は 図 の 実 線 (APZ)の 軌 跡 を 描 き 視 準 線 は 視 準 軸 に 対 してcの ズレを 持 つため 破 線 (A P Z )の 軌 跡 を 描 くこととなる (ここで AA <PP<ZZ ) このようなトランシットで 高 度 角 hの 高 さにある 目 標 Pを 視 準 した 場 合 水 平 角 は B の 値 を 指 すが 実 際 には 視 準 軸 誤 差 cを 持 つため 本 来 の 水 平 角 は A であり 水 平 角 には AOB の 大 きさの 誤 差 ( 視 準 軸 誤 差 ) を 生 じることになる 図 からもわかるように 視 準 軸 誤 差 はh=0であれば その 大 きさはcであるが hが 大 き くなれば その 大 きさも 増 加 し ていく 事 になる 視 準 線 の 軌 跡 B P A c Z P h A 天 頂 方 向 Z O 視 準 軸 の 軌 跡 ~ 3 ~
また 視 準 軸 誤 差 は 図 の 観 測 方 向 を 望 遠 鏡 ( 正 )と 考 えれば 望 遠 鏡 ( 反 )で 観 測 を 行 った 場 合 その 位 置 関 係 が 正 反 転 するため 誤 差 が 消 去 されることがわかる 以 上 をまとめると 次 のようなことが 言 える <トランシットの 視 準 軸 誤 差 > 内 容 :トランシットの 視 準 軸 が 視 準 線 と 一 致 していないために 水 平 角 の 値 に 生 じる 誤 差 影 響 : 目 標 の 高 度 角 により 水 平 角 観 測 値 に 誤 差 を 生 じる 消 去 法 : 望 遠 鏡 正 反 の 観 測 を 行 い その 観 測 値 を 平 均 する 誤 差 次 図 のように が 鉛 直 線 から 傾 いているために 水 平 角 の 測 定 に 生 じる 誤 差 誤 差 とは 異 なり 誤 差 では も 傾 く 事 に 注 意 をする 必 要 がある の 傾 き 視 準 軸 望 遠 鏡 鉛 直 線 次 図 のように が 鉛 直 線 から 傾 いているトランシットを 用 いて 観 測 する 場 合 を 考 える まず に 傾 きの 無 いトランシットでの 観 測 を 考 えると 同 様 に 目 標 物 (P)を 視 準 した 場 合 の 水 平 角 読 定 値 はaとなる 次 に が 傾 いたトランシットで 同 じ 目 標 物 (P)を 視 準 した 場 合 は も 天 頂 方 向 同 様 に 傾 いているため その 水 平 角 読 定 値 は の 傾 き a となる これを 傾 いた 水 平 目 盛 板 に 対 応 させたa と a の 値 が 誤 差 (v)となる P h この 誤 差 は 図 からも 分 かるように 目 標 の 高 度 角 (h)が 大 きいほど 増 加 する a a a v 鉛 直 線 ~ 4 ~
また 自 体 が 傾 いているため 正 反 の 観 測 を 行 い 水 平 角 読 定 値 を 平 均 してもこの 誤 差 は 消 去 する 事 が 出 来 ない このため 観 測 作 業 前 にあたっては 特 に 注 意 して 点 検 調 整 する 必 要 が ある 以 上 をまとめると 次 のようなことが 言 える <トランシットの 誤 差 > 内 容 :トランシットの が 鉛 直 線 と 一 致 していないために 水 平 角 読 定 値 に 生 じる 誤 差 影 響 : 目 標 の 高 度 角 に 比 例 して 水 平 角 観 測 値 の 誤 差 が 増 大 する 消 去 法 :ない (トランシットの 調 整 を 行 う) トランシットのその 他 誤 差 について 偏 心 誤 差 ( 目 盛 板 の 偏 心 誤 差 ) A 1 右 図 のように 目 盛 板 の 中 心 から 鉛 直 軸 の 中 心 (トランシットの 回 転 軸 )が ズレていると その 水 平 角 観 測 値 には α α のように 誤 差 を 生 じる この 誤 差 を 偏 心 誤 差 ( 目 盛 板 の 偏 心 誤 差 ) と 言 う 目 盛 板 望 遠 鏡 α α の 中 心 今 右 図 のように 目 盛 板 の 中 心 O と の 中 心 (トランシットの 回 転 軸 )P がズレているトランシットで 目 標 A 1 とA 2 を 正 (r) 反 (l)で 観 測 し た 場 合 を 考 えてみる ここで 実 際 に 観 測 される 角 度 は αr ( 正 )とαl( 反 )であるが トランシット が 回 転 している 角 度 ( 求 めるべき 正 しい 角 Al 2 度 )はαである α よって αr とαlからαを 求 める 事 がで きれば 偏 心 誤 差 は 正 反 の 観 測 値 を 平 均 す Al 1 る 事 で 消 去 できることが 証 明 される αl 目 盛 板 の 中 心 P α O αr Ar 1 A 2 Ar 2 まず 同 一 円 弧 に 対 する 円 周 角 は その 中 心 角 の 1/2 である 事 を 利 用 して 考 える と 次 のようになる 目 盛 板 1 1 Ar1 Al2P = αr 同 様 に Al2Ar1 P= αl 2 2 ~ 5 ~
次 に α( Ar 1 P Ar 2 )について 考 えると 三 角 形 の 外 角 より 次 のようになる α( Ar 1 P Ar 2 )= Ar 1 Al 2 P + Al 2 Ar 1 P = 1/2(αr + αl) よって 偏 心 誤 差 は 正 反 観 測 値 の 平 均 をとることで 消 去 できる 鉛 直 角 観 測 については 望 遠 鏡 正 反 の 回 転 角 度 が 180 ではないため 消 去 されない 過 去 問 題 にチャレンジ! (H18-1-D: 士 補 出 題 ) 次 の 文 は セオドライト(トランシット)を 用 いた 水 平 角 観 測 において 生 じる 誤 差 について それ ぞれ 述 べたものである 望 遠 鏡 の 正 ( 右 ) 反 ( 左 )の 観 測 値 を 平 均 することで 消 去 できる 誤 差 の 組 合 せとして 最 も 適 当 なものはどれか 次 の 中 から 選 べ a. 望 遠 鏡 の 視 準 線 が セオドライトの の 中 心 から 外 れているために 生 じる 誤 差 b. セオドライトの 水 平 目 盛 盤 の 目 盛 間 隔 が 均 一 でないために 生 じる 誤 差 c. 空 気 密 度 の 不 均 一 さによる 目 標 像 のゆらぎのために 生 じる 誤 差 d. セオドライトの 水 平 目 盛 盤 の 中 心 が の 中 心 と 一 致 していないために 生 じる 誤 差 e. セオドライトの の 方 向 が 鉛 直 線 の 方 向 に 一 致 していないために 生 じる 誤 差 f. セオドライトの と が 直 交 していないために 生 じる 誤 差 1. a,c,e 2. a,d,f 3. b,c,e 4. b,e,f 5. c,d,f ~ 6 ~
< 解 答 > 問 題 文 にある 各 誤 差 について 考 えると 次 のようになる a. 視 準 線 誤 差 : 正 反 の 平 均 によって 消 去 可 能 b. 目 盛 盤 誤 差 : 目 盛 の 全 周 を 満 遍 なく 使 う 観 測 方 法 で 低 減 することが 可 能 c. 陽 炎 などの 現 象 は 観 測 時 刻 を 吟 味 して 観 測 するしかない この 問 題 文 は 角 観 測 に 関 する 不 定 誤 差 ( 自 然 現 象 や 偶 発 的 な 事 態 により 発 生 する 誤 差 で 消 去 する 方 法 はない)であり 空 気 密 度 が 不 均 一 となるために 光 の 屈 折 が 不 均 一 となり 生 じる 誤 差 であ る いわゆる 陽 炎 (かげろう) と 考 えても 差 し 支 えないが 視 準 線 が 建 物 や 樹 木 に 接 して 通 る 場 合 にも 生 じることがある 消 去 方 法 はないが 観 測 時 間 を 陽 炎 の 少 ない 朝 や 夕 方 にする ことにより 影 響 を 小 さくすることはできる 正 反 の 観 測 作 業 では 消 去 できない d. 目 盛 盤 の 偏 心 誤 差 : 正 反 の 平 均 によって 消 去 可 能 e. 誤 差 : 観 測 方 向 ごとの 気 泡 管 のずれを 記 録 しておいた 後 補 正 値 を 算 出 することに より 低 減 することが 可 能 完 全 に 消 去 することはできない f. の 誤 差 : 正 反 の 平 均 によって 消 去 可 能 よって 正 反 の 平 均 によって 消 去 が 可 能 なものは a.d.f の 組 合 せとなる 解 答 :2 過 去 問 題 にチャレンジ! (H20-1-A: 士 補 出 題 ) 次 の 文 は セオドライト(トランシット)を 用 いた 水 平 角 観 測 において 生 じる 誤 差 について 述 べた ものである 望 遠 鏡 の 正 ( 右 ) 反 ( 左 )の 観 測 値 を 平 均 しても 消 去 できない 誤 差 はどれか 次 の 中 か ら 選 べ 1. 望 遠 鏡 の 視 準 線 がセオドライトの の 中 心 から 外 れているために 生 じる 外 心 誤 差 2. セオドライトの が と 直 交 していないために 生 じる 誤 差 3. 望 遠 鏡 の 視 準 線 がセオドライトの と 直 行 していないために 生 じる 視 準 線 誤 差 4. セオドライトの が 鉛 直 線 から 傾 いているために 生 じる 誤 差 5. セオドライトの 水 平 目 盛 盤 の 中 心 が の 中 心 と 一 致 していないために 生 じる 偏 心 誤 差 ~ 7 ~
< 解 答 > 水 平 角 観 測 における トランシット(セオドライト)の 誤 差 と 消 去 法 に 関 する 問 題 である 以 下 に 問 題 文 中 の 各 選 択 肢 について 解 説 する 1. 消 去 できる 外 心 誤 差 は 望 遠 鏡 正 反 の 観 測 値 を 平 均 することにより 消 去 できる 2. 消 去 できる 誤 差 は 望 遠 鏡 正 反 の 観 測 値 を 平 均 することにより 消 去 できる 3. 消 去 できる 視 準 軸 誤 差 は 望 遠 鏡 正 反 の 観 測 値 を 平 均 することにより 消 去 できる 4. 消 去 できない 誤 差 は トランシットの と 鉛 直 線 の 方 向 が 一 致 していないため 水 平 角 の 測 定 に 生 じる 誤 差 である 誤 差 の 消 去 法 はない ( 補 正 値 を 算 出 することにより 軽 減 することは 可 能 ) 5. 消 去 できる 偏 心 誤 差 は 望 遠 鏡 正 反 の 観 測 値 を 平 均 することにより 消 去 できる よって 消 去 できない 誤 差 は 4 の 誤 差 である なお 各 誤 差 に 関 する 説 明 は 問 題 文 の 通 りである 解 答 :4 ~ 8 ~