Ajax を 用 いた NDC 検 索 システムの 試 作 上 田 洋 村 上 晴 美 概 要 Ajax 技 術 を 用 いた NDC 検 索 システムを 試 作 した. 数 字 入 力, キーワード 入 力, ブラウジングの 3 種 類 の 統 合 検 索 インタフェースを 持 ち, 大 阪 市 立 大 学 OPAC の 分 類 検 索 ができる. 本 システムは 大 阪 市 立 大 学 学 術 情 報 総 合 センター 基 盤 支 援 シ ステムとして 公 開 している. キーワード:Ajax, NDC 検 索, NDC Suggest, インタフェース A System for NDC Search using Ajax Hiroshi Ueda Harumi Murakami 1. はじめに 図 書 館 の 蔵 書 検 索 において 分 類 を 用 いた 検 索 は 2 種 類 に 大 別 される. 1 つは 数 字 を 入 力 してヒットした 分 類 記 号 を 用 いて 蔵 書 検 索 す るもので, もう 1 つは 分 類 記 号 のブラウジン グを 行 い 適 当 な 分 類 記 号 で 蔵 書 検 索 を 行 うも のである. その 他 に, 我 々が 開 発 したキーワ ードを 入 力 して 分 類 項 目 名 を 検 索 してその 分 類 記 号 から 蔵 書 検 索 を 行 うもの[1]がある. 上 記 は 別 々のシステムとして 存 在 するが, ユーザにとっては 統 合 されたインタフェース があると 便 利 であろうと 考 える. 統 合 された インタフェースを 使 いやすいものとするため には, 数 字 入 力, キーワード 入 力, ブラウジ ング 等 の 異 なる 操 作 を 行 った 際 にそれぞれど のような 結 果 が 返 ってくるか 簡 単 かつ 高 速 に 大 阪 市 立 大 学 大 学 院 創 造 都 市 研 究 科 Graduate School for Creative Cites, Osaka City University 大 阪 市 立 大 学 学 術 情 報 総 合 センター Media Center, Osaka City University ユーザに 提 示 する 必 要 がある. 我 々は, 分 類 検 索 の 統 合 的 なインタフェー スのプロトタイプとして, Ajax 技 術 を 利 用 し た NDC 検 索 システムを 開 発 した. 本 システ ムを NDC Suggest と 呼 ぶ 1. Ajax 技 術 を 用 い ることにより, 簡 単 かつ 高 速 な 分 類 検 索 の 統 合 インタフェースを 実 現 できると 考 えた. 以 下 では, 2 節 でAjax について, 3 節 で 開 発 したシステムについて 述 べる. 2. Ajax とは Ajax(Asynchronous JavaScript + XML) と は, Web ブ ラ ウ ザ に 実 装 さ れ て い る JavaScript の HTTP 通 信 機 能 を 使 って, Web ページのリロードを 伴 わずにサーバと XML 形 式 のデータのやり 取 りを 行 って 処 理 を 進 め ていく 対 話 型 Web アプリケーションの 実 装 形 態 [2]のことである. 従 来 の CGI や PHP などを 使 用 した Web 1 Google Suggest にちなんでいる.
サーバ 側 のみの 処 理 によるシステムでは, 要 求 データとともにページ 全 てを 書 き 換 えた 上 でクライアントにデータを 転 送 する( 図 1 参 照 ). この 方 式 では, クライアントが 要 求 を 出 す 毎 に, ページビュー2が 発 生 する. ページ ビューの 増 加 は, ページ 全 体 の 書 き 換 え 頻 度 の 増 加 を 招 き, 前 ページとまったく 同 じ 記 述, 例 えば, <html>タグや<body>タグのように どのページでも 共 通 に 使 用 される 部 分 などに ついての 書 き 換 えが 必 要 になり, クライアン ト 側, サーバ 側 に 両 方 にとって 効 率 的 ではな い. Ajax の 技 術 を 用 いた 処 理 の 場 合, ページ 書 き 換 え の 処 理 を ク ラ イ ア ン ト 側 の JavaScript 3 が 行 う( 図 2 参 照 ). JavaScript を 使 用 することにより, ページ 全 体 の 書 き 換 え 無 しに, 必 要 部 分 だけページの 書 き 換 えが 可 能 となり, ページビューの 発 生 が 少 なくな る. サーバ 側 の 処 理 については, クライアン トの 要 求 毎 に 全 てのページの 書 き 換 えが 必 要 なくなり, 書 き 換 えができる 最 低 限 のデータ のみの 転 送 で 済 む. これにより, サーバ 側 の 処 理 の 軽 減 にもなり, 従 来 の 処 理 よりも 多 く の 要 求 に 対 応 できるようになる. クライアント サーバ データ 要 求 JavaScript データ 抽 出 加 工 データベース HTML 書 換 HTML 表 示 図 2 JavaScript を 用 いた 手 法 近 年, Ajax の 技 術 を 用 いた 公 開 システムが 増 加 している. 代 表 的 なシステムとして, Google マップ[5]や Gmail[6]などがある. Google マップは, Google 社 の Web ブラウザ 上 で 作 動 する 地 図 閲 覧 システムであり, 従 来 のシステムよりも 快 適 に 地 図 閲 覧 が 可 能 とな っている. Gmail は, Google 社 のメールサー ビスであり, 主 に Web メーラーを 用 いてメ ー ル 閲 覧, 送 信 を 行 うシ ス テ ム で あ る. Gmail の Web メーラーについても 従 来 の Web メーラーよりも 素 早 いメール 閲 覧, 送 信 等 が 可 能 となっている. このように Ajax の 技 術 を 用 いた 様 々なシ ステムが 公 開 おり, これからもこの 技 術 を 用 いたシステムが 増 加 することが 見 込 まれる. クライアント サーバ データ 要 求 データ 抽 出 加 工 データベース HTML 表 示 HTML 作 成 図 1 従 来 の 手 法 2 WWW におけるアクセス 数 の 単 位 の 一 つ. Web サイトの 訪 問 者 のブラウザに HTML 文 書 (Web ページ)が 1 ページ 表 示 されるのが 1 ページビューである[3]. 3 Sun Microsystems 社 とNetscape Communications 社 が 開 発 した, Web ブラウザなどでの 利 用 に 適 したスクリプト 言 語 ( 簡 易 プログラミング 言 語 )[4]. 図 3 Google マップ
(a) (c) (b) 図 4 Gmail 3. NDC Suggest 図 5 初 期 画 面 3.1. 数 字 を 用 いた 検 索 本 システム(NDC Suggest)では, NDC 分 類 検 索 に Ajax の 技 術 を 使 用 した. 初 期 画 面 ( 図 5 参 照 )は, 入 力 フォーム( 図 5(a))と 表 示 領 域 ( 図 5(b)), 蔵 書 検 索 ボタン( 図 5(c)) から 構 成 される. 入 力 フォームには 数 字 あるいはキーワード の 入 力 が 可 能 であり, 表 示 領 域 には 入 力 に 対 応 する 分 類 記 号 と 分 類 項 目 が 表 示 される. 表 示 領 域 における 分 類 記 号 については, 整 数 部 分 ( 第 一 次 から 第 三 次 区 分 )については 3 桁 表 示 としている. 初 期 画 面 の 表 示 領 域 に は, 第 一 次 区 分 の 分 類 項 目 を 3 桁 で 表 示 する 4. 蔵 書 検 索 ボタンを 押 すことにより, 入 力 フ ォームに 表 示 中 の 分 類 記 号 を 元 に, 我 々の 開 発 したシステム[1]を 用 いた 大 阪 市 立 大 学 OPAC の 蔵 書 検 索 が 行 うことが 可 能 である. 本 システムでの 検 索 方 法 は 3 種 類 であり, (1) 入 力 フォームから 数 字 を 入 力 する 方 法, (2) 入 力 フォームからキーワードを 入 力 する 方 法, (3)ブラウジング, である. る. 以 下 では, 3 種 類 の 検 索 方 法 について 述 べ 入 力 フォームに, 数 字 を 入 力 すると NDC9 分 類 記 号 検 索 ができる. 検 索 は 入 力 された 数 字 と NDC9 分 類 記 号 の 前 方 一 致 検 索 で 行 う. 整 数 部 分 ( 第 一 次 区 分 から 第 三 次 区 分 )の 検 索 に 関 しては, 数 字 を 1 つ 入 力 すると 第 二 次 区 分, 数 字 を 2 つ 入 力 すると 第 三 次 区 分 を それぞれ 3 桁 ( 第 三 次 区 分 の 形 式 )で 表 示 す る. 検 索 結 果 が 存 在 しなかった 場 合, 表 示 領 域 に no hit! と 表 示 される. 図 6 入 力 数 字 0 での 検 索 結 果 4 本 来 の NDC の 考 え 方 とは 異 なるが, 技 術 的 な 観 点 からこ のように 実 装 した. 実 用 化 にあたっては 今 後 の 検 討 が 必 要 である.
図 7 入 力 数 字 007 での 検 索 結 果 例 えば, 入 力 フォームに 0 と 入 力 すると, 表 示 領 域 に 第 一 次 区 分 が 0( 総 記 ) であり, なおかつ, 第 二 次 区 分 が 存 在 する 項 目 00( 総 記 ) 01( 図 書 館. 図 書 館 学 ) 02( 図 書. 書 誌 学 ) 03( 百 科 事 典 ) 04( 一 般 論 文 集. 一 般 講 演 集 ) 05( 逐 次 刊 行 物 ) 06( 団 体 : 学 会, 協 会, 会 議 ) 07(ジャーナリズム. 新 聞 ) 08( 叢 書. 全 集. 選 集 ) 09( 貴 重 書. 郷 土 資 料.その 他 の 特 別 コレクション) を 表 示 する 5. 第 三 次 区 分 より 下 については, 表 示 数 が 多 くなり 見 難 くなるため, 表 示 を 行 わない. また, 入 力 数 字 により 確 定 した 区 分 については, 分 類 記 号 上 の 背 景 を 黄 色 く 塗 り つぶしている( 図 6 参 照 ). 検 索 対 象 が 第 三 次 区 分 以 下 に 及 んだ 場 合, 検 索 を 行 った 区 分 以 下 全 てを 表 示 する( 図 7 参 照 ). なお, 入 力 フォームに, 数 字 以 外 を 入 力 し た 場 合, 3.2 節 の 処 理 を 行 う. 検 索 結 果 が 存 在 しなかった 場 合, 表 示 領 域 に no hit! と 表 示 される. 表 示 領 域 には, 入 力 キーワード 部 分 の 背 景 に 黄 色 で 塗 りつぶし を 行 う. 例 に, 入 力 キーワード 情 報 を 用 いて 説 明 する. 入 力 フォームに 情 報 を 入 力 する と, 007 情 報 科 学, 007.1 情 報 理 論, 007.3 情 報 と 社 会 : 情 報 政 策 などが 表 示 領 域 に 表 示 される( 図 8 参 照 ). 表 示 された 分 類 項 目 を 選 択 することにより, 該 当 の 分 類 記 号 が 入 力 フォームに 入 力 される. その 後 の 検 索 については, 3.1, 3.3 節 の 検 索 を 引 き 続 き 行 うことが 可 能 である. 図 8 入 力 キーワード 情 報 での 検 索 結 果 3.3. ブラウジング 3.2. キーワードを 用 いた 検 索 入 力 フォームに 数 字 以 外 のキーワードを 入 力 することにより NDC9 の 分 類 項 目 の 中 間 一 致 検 索 ができる. 表 示 領 域 に 表 示 されている 分 類 類 項 目 を 選 択 することにより, ブラウジングが 可 能 であ る. 選 択 された 後 の 表 示 については, 3.1 節 と 同 じである. 例 としては 図 9 を 参 照 されたい. 5 本 システムでは, 第 一 次 区 分, 第 二 次 区 分 については, 第 三 次 区 分 で 表 示 する. 例 えば, 0( 総 記 ) は 000 総 記, 01( 図 書 館. 図 書 館 学 ) は 010 図 書 館. 図 書 館 学 の ように 表 示 を 行 う.
図 9 NDC 547 情 報 工 学. 電 気 通 信 のブラウジング 例 4. おわりに Ajax 技 術 を 用 いた NDC 検 索 システム, NDC Suggest を 試 作 した. 本 システムは, 数 字 入 力, キーワード 入 力, ブラウジングの 3 種 類 の 統 合 検 索 インタフェースを 持 つ. 本 シ ステムは, 著 者 らが 調 べた 限 り, Ajax を 用 い た 統 合 的 なインタフェースを 持 つ NDC 検 索 システムとしてははじめてである. システム は 大 阪 市 立 大 学 学 術 情 報 総 合 センター 基 盤 支 援 システム[7]として 公 開 している. 今 後 は, 類 似 システムとの 比 較 やユーザ 実 験 による 評 価 を 行 いたいと 考 えている. [4] JavaScript とは 意 味 解 説 : IT 用 語 辞 典 e-words http://e-words.jp/w/javascript.html [5] Google マップ http://maps.google.co.jp/ [6] Gmail http:// mail.google.com [7] 大 阪 市 立 大 学 学 術 情 報 総 合 センター 基 盤 支 援 システム http://www.media.osaka-cu.ac.jp/~haru mi/research/kiban.shtml 参 考 文 献 [1] 上 田 洋, 村 上 晴 美, 携 帯 OPAC の 高 度 化 - 主 題 検 索, 配 置 画 像 表 示, 内 容 表 示 機 能 の 試 作 -, 2005 年 度 日 本 図 書 館 情 報 学 会 春 季 研 究 集 会 発 表 要 綱, pp.67-70, 専 修 大 学, 2005.5.28. [2] Ajax とは Asynchronous JavaScript + XML 意 味 解 説 : IT 用 語 辞 典 e-words http://e-words.jp/w/ajax.html [3] ページビューとは page view 意 味 解 説 : IT 用 語 辞 典 e-words http://e-words.jp/w/e3839ae383bce3 82B8E38393E383A5E383BC.html