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海 上 技 術 安 全 研 究 所 報 告 第 8 巻 第 2 号 ( 平 成 20 年 度 ) 小 論 文 83 燃 料 噴 霧 シミュレーションの 現 状 と 課 題 高 木 正 英 The Present Situation and Issue on Fuel Spray Simulation by Masahide TAKAGI 1.はじめに ディーゼル ガソリンエンジンにおけるシリンダ 内 の 3 次 元 噴 霧 燃 焼 シミュレーションは, 現 在 研 究 開 発 のツールとして 使 用 に 耐 え 得 るレベルまで 来 つつある しかし,CAD(Computer Aided Design) からの 格 子 生 成 等 の 周 辺 環 境 の 急 速 な 進 歩 がある 一 方, 市 販 のシミュレーションソフトを 買 ってくれば すぐに 問 題 の 解 答 が 得 られるといった, 万 能 ツー ル のレベルにあるとは 言 い 難 い 全 ての 物 理 現 象 がシミュレーションツールとして 記 述 されている 訳 ではないことや 各 種 モデルの 精 度 が 十 分 でないこと から, 要 求 されている 問 題 を 計 算 に 導 入 するための 単 純 化 や, 条 件 の 設 定, 計 算 結 果 の 妥 当 性 の 判 断 は, 未 だに 使 用 者 の 知 識 や 能 力 に 依 存 しているのが 現 状 である そのため,レーザ 計 測 や 可 視 化 等 による 実 験 計 測 側 からのシリンダ 内 現 象 の 把 握 や, 更 なる 現 象 に 即 したシミュレーションモデルの 高 度 化 が 望 ま れている インジェクタからの 燃 料 噴 射 に 関 しては DDM ( Discrete Droplet Model )もしくは LDEF (Lagrangian Droplet Eulerian Fluid) 法 と 呼 ばれる 噴 霧 モデルが 用 いられることが 一 般 的 である しか し,DDM 自 体 には 液 滴 を 離 散 的 に 液 滴 群 (パーセル) をラグラジアン 的 に 扱 う(いわゆるニュートンの 運 動 方 程 式 F=ma を 使 う)という 意 味 合 いしかなく, 噴 霧 としての 取 り 扱 いを 考 えた 時 には 液 滴 の 分 裂, 衝 突 合 体, 蒸 発,エンジン 内 であれば 壁 面 への 衝 突 等 については 新 たにサブモデルを 導 入 しなけ ればならない しかし, 各 モデルは 想 定 された 現 象 を 基 にモデル 化 されているため, 計 算 の 対 象 が そのモデルの 想 定 した 現 象, 条 件 と 合 致 している のかを 考 えた 上 でモデルを 選 択 する 必 要 がある 本 稿 ではエンジンシリンダ 内 噴 霧 燃 焼 シミュ レーション 及 びサブモデルの 現 状 と 課 題 を 示 し た 後, 著 者 の 行 った 計 算 結 果 例 を 示 す 2.エンジン 内 の 物 理 現 象 とモデリング ディーゼルエンジンシリンダ 内 では,1) 空 気 導 入 (EGR(Exhaust Gas Recirculation; 排 ガス 再 循 環 ) 含 む 場 合 も 有 り),2) 燃 料 噴 射, 微 粒 化, 3) 蒸 発,4) 燃 料 - 空 気 混 合 気 形 成,5) 点 火,6) 燃 焼,7) 排 気 の 順 で 現 象 が 進 行 している シミュレ ーションに 関 しては 1)の 空 気 導 入,シリンダ 内 流 れや 乱 れをより 正 確 に 再 現 する 研 究 1) から, 燃 焼 排 気 までの 全 てを 総 合 して 検 討 している 例 がある これらの 現 象 をモデリングする 上 での 注 意 す べき 点 は,1) 空 気 導 入 では, 非 等 方 性 の 高 い 乱 流 場 に 適 用 できる 乱 流 モデルであること,またシリ 2) (209)

84 ンダ 内 の 圧 縮 膨 張 を 考 えると, 空 気 及 び 排 気 ガス の 密 度 が 空 間 的 には 均 一 で 時 間 的 には 不 均 一 ( 非 定 常 )な 場 が 解 けることが 必 要 になる 例 えば, 圧 縮 比 (ピストンの 下 死 点 ( 一 番 下 )と 上 死 点 ( 一 番 上 ) での 体 積 比 )が 15 の 場 合, 密 度 も 元 の 密 度 の 15 倍 になる 2) 燃 料 噴 射, 微 粒 化 では,ノズル 内 キャビテーシ ョンの 影 響 及 びノズル 出 口 での 境 界 条 件, 噴 出 直 後 の 液 柱 及 びその 後 の 液 滴 微 粒 化, 粒 径 分 布 の 確 定, 3) 蒸 発 については, 軽 油, 重 油 に 適 用 できる 多 成 分 系 の 蒸 発 モデル, 単 一 液 滴 から 液 滴 群 への 蒸 発 モデ ルの 拡 張,4) 燃 料 - 空 気 混 合 気 形 成 では, 液 滴 - 気 相 の 相 互 作 用, 液 滴 の 抗 力 モデル,5) 点 火 燃 焼 に ついては, 詳 細 化 学 反 応 機 構 の 研 究 は 行 われている が, 燃 焼 モデルの 開 発 までは 至 っていないことが 挙 げられる 7) 排 気 については,NOx( 拡 大 Zeldovich 機 構 ) 以 外 の 排 気,とりわけ PM(もしくは dry soot) モデルについては 定 量 化 の 段 階 には 至 っていない また, 壁 面 衝 突 や 液 滴 の 合 体 については 更 なる 改 良 が 必 要 であり,シリンダ 内 の 流 れ( 縦 渦 ;タンブル, 横 渦 ;スワール)が 強 い 場 での 混 合 気 形 成 やサイク ル 変 動 ( 一 サイクルごとの 空 気 流 動, 混 合 気 形 成, 燃 焼 ( 圧 力 履 歴 )のバラツキ)などは, 研 究 は 行 わ れているが 未 だ 決 定 打 と 呼 べる 解 決 策 らしきもの はない 3.1 分 裂 モデル 液 滴 あるいは 液 膜 の 分 裂 は 噴 霧 形 成 において 最 も 重 要 な 過 程 であり,そのため 分 裂 モデルの 研 究 は 数 多 く 行 われている 分 裂 モデルは 大 きく 分 け て 二 つに 分 類 でき, 一 つは 液 滴 周 囲 から 小 さな 液 滴 が 剥 ぎ 取 られていくような, 境 界 層 剥 離 や 空 力 せん 断 等 による 表 面 波 不 安 定 成 長 解 析 から 求 めら れるモデル,もう 一 つは 液 滴 全 体 が 振 動 し, 一 定 時 間 後 に 全 体 が 分 裂 する Bag 分 裂 と 呼 ばれてい るような 液 滴 の 振 動 タイプのモデルである 表 面 波 不 安 定 タイプの 分 裂 は, 基 本 的 には 液 柱, 液 膜 を 対 象 に 考 えられており,Reitz の Wave Breakup model 3), Kelvin-Helmholtz 不 安 定 と Rayleigh-Taylor 不 安 定 の 両 者 をモデル 化 した KH/RT model 4), 液 膜 の 線 形 安 定 性 解 析 から 求 め ら れ た LISA ( linearized Instability Sheet Atomization)model 5) 等 がある 液 滴 振 動 タイプでは, 液 滴 変 形 とばね- 質 点 系 の 振 動 が 相 似 であるとした TAB(Taylor Analogy Breakup)モデル 6), 液 滴 半 球 の 重 心 運 動 で 変 形 を 表 した DDB(Droplet Deformation Breakup)モ デル 7), 液 滴 を 回 転 楕 円 体 と 仮 定 した SSP (Synsethized Spheroid Particle)モデル 8),OSD (Oscillating Spheroidal Deformation)モデル 9) 等 がある 3. 噴 霧 モデル 3.2 液 滴 抗 力 モデル ディーゼルエンジンは,シリンダ 内 の 高 温 高 圧 の 雰 囲 気 中 に 高 噴 射 圧 力 で 燃 料 が 噴 射 され 燃 焼 が 起 こる 現 状 のディーゼルエンジンでは, 燃 料 が 噴 射 している 最 中 に 同 時 に 燃 焼 が 生 じているが, 燃 料 消 費 率 や 有 害 排 気 物 質 の 低 減 の 観 点 から 基 本 的 には できるだけ 燃 焼 が 起 こる 前 に 燃 料 と 空 気 は 可 能 な 限 り 混 ぜておきたい 高 温 高 圧 雰 囲 気 下 では, 火 は 勝 手 に 着 いてしまうので, 人 為 的 に 制 御 できる ものは 燃 焼 ( 火 が 着 く) 前 にどのように 燃 料 と 空 気 をシリンダ 内 に 配 置 するか,どのように 混 合 気 形 成 を 行 うかということになる そのため,ディーゼル エンジンでは 燃 料 - 空 気 の 混 合 気 形 成 に 関 する 検 討 が 長 年 に 渡 って 続 けられている このことを 日 常 生 活 で 考 えてみると, 水 撒 きをする 時 にホースから 出 る 水 を 効 率 良 く 庭 に 撒 くには,ホースの 先 を 摘 ん だり, 左 右 に 振 ったり, 霧 状 になるようなアタッチ メントを 付 けたりすることに 似 ている 以 下 に 混 合 気 形 成 過 程 を 表 す 微 粒 化 モデルとし て, 分 裂 モデル, 抗 力 モデルについて 概 説 する 噴 霧 計 算 における 液 滴 の 運 動 方 程 式 (ニュート ンの 運 動 方 程 式 )は 外 力 として 抗 力 のみを 考 慮 す ると, 以 下 の 式 で 表 される du m dt p 1 2 = CD ρ gu rel Af (1) 2 m は 液 滴 質 量,u p は 液 滴 速 度,C D は 抗 力 係 数, ρ g は 気 体 密 度,U rel は 気 液 相 対 速 度,A f は 進 行 方 向 に 垂 直 方 向 の 断 面 積 である 最 も 一 般 的 なモデ ルは 液 滴 を 剛 体 球 と 仮 定 する 方 法 で, 液 滴 のレイ Fig. 1 Droplet deformation in the TAB model (210)

海 上 技 術 安 全 研 究 所 報 告 第 8 巻 第 2 号 ( 平 成 20 年 度 ) 小 論 文 85 ノルズ 数 (Re d =ρ g U rel D p /μ g ;D p 液 滴 直 径,μ g 気 体 粘 性 係 数 )を 用 いて 2 / 3 24 Re + d 1 = Red 1000 C D Re 6 (2) d 0.424 Red > 1000 2 A f = πr (3) Fig. 2 Schematic diagram of droplet arrangement と 表 される しかし, 実 際 の 液 滴 は 飛 翔 中 に 形 状 が 変 化 する 液 滴 振 動 タイプの 分 裂 モデルを 使 ってい れば, 時 々 刻 々の 液 滴 の 変 形 量 を 計 算 しており,そ れを 基 に 液 滴 にかかる 抗 力 も 変 更 できる Liu ら 10) は Fig. 1 に 表 されるように,TAB モデルの 変 形 量 y(=2x/r)が 0 の 時 には 球 の 抗 力 係 数 を,y=1 の 時 には 薄 円 盤 の 抗 力 係 数 として,その 間 の 抗 力 係 数 は y に 対 して 線 形 近 似 したモデルを 提 案 している ( 1 2. y ) CD = CD0 + 632 (4) C D0 は 剛 体 球 の 抗 力 係 数 である また,TAB モデル の 変 形 量 に 合 わせて 忠 実 に 抗 力 を 計 算 するモデルも ある 11) 抗 力 係 数 は 液 滴 の 変 形,Re 数 に 合 わせて, 解 析 解, 実 験 結 果 及 び 剛 体 球 の C D0 を 用 いた 線 形 近 似 を 使 い 分 けている 液 滴 の 断 面 積 A f は TAB モデ ルの 変 形 量 y に 対 して, 液 滴 が 回 転 楕 円 体 となって いると 仮 定 して, 2 A r = π f 1 0. 5 (5) y としている また, 液 滴 密 集 度 による 抗 力 低 減 効 果 についても 検 討 されている 12) 4.ディーゼル 噴 霧 への 適 用 ここでは 分 裂 モデルには 後 述 する 改 良 した TAB モデルを, 液 滴 抗 力 モデルには 式 (5)の 液 滴 変 形 を 考 慮 し, 併 せて 液 滴 の 密 集 度 の 影 響 を 含 んだモデ ルを 用 いて 非 蒸 発 ディーゼル 噴 霧 に 適 用 した 事 例 を 示 す TAB モデルからの 改 良 点 は 分 裂 時 間 を 導 入 したことである 通 常 の TAB モデルでは, 変 形 量 y が 1 以 上 になったときに 分 裂 が 発 生 するとしてい る しかし,これは 実 際 の 現 象 を 表 していないこと が 知 られており, 新 たな 条 件 として 以 下 の 式 に 示 す 分 裂 時 間 t bu を 経 過 していることを 付 加 している D l p bu = CZZ (6) ρg U rel t ρ C zz は 分 裂 形 態 に 関 わる 定 数,ρ l は 液 体 密 度 である この 分 裂 時 間 に 併 せて, 分 裂 後 の 液 滴 径, 半 径 方 向 付 加 速 度 を 元 のモデルから 分 裂 時 間 を 組 込 んだ 形 w/o Eq. (1) with Eq.(1) Exp. 14) D 32 37.8μm 20.0μm (t inj =3.5ms, P in =55MPa, P a =0.87MPa) Fig. 3 Effect of drag reduction on spray shape に 変 更 している 液 滴 にかかる 抗 力 については 密 集 度 による 低 減 効 果 を 考 慮 した これには,Virepinte の 式 13) を 用 いた この 式 は, 液 滴 を 上 方 へ 打 ち 上 げた 時 の 液 滴 列 での 抗 力 低 下 を 求 めた 実 験 から 導 いている CD / CD0 = 1 ( 1 0.14) exp{ 0.053( C 1) }(7) L D C = (8) Dp C は Fig. 2 に 示 す 液 滴 中 心 間 距 離 L D と 液 滴 径 の 比 である なお, 式 (7)は, 気 相 の 計 算 格 子 (x-y-z 座 標 系, 最 小 格 子 サイズ 1mm, 総 格 子 点 数 45738) とは 別 に r-z 座 標 系 で,Δr,ΔZ=250μm とした 時 の 空 間 内 で 定 義 し, 液 滴 径 はその 空 間 内 でのザウタ 平 均 粒 径 ( 総 体 積 を 総 面 積 で 割 ったもの)を 用 い た 抗 力 低 減 効 果 を 調 べるため, 式 (7)の 組 込 み の 有 無 による 噴 霧 形 状 と 噴 霧 内 空 気 過 剰 率 を Fig. 3,4 に 示 す 噴 霧 体 積 は 実 験 14) と 同 様 に 平 行 入 射 光 の 透 過 率 0.8 以 下 を 噴 霧 と 定 義 し,その 最 も 先 端 を 到 達 距 離 としている 噴 霧 形 状 から, 抗 力 低 減 効 果 が 半 径 方 向 の 広 がりを 大 きくし, 噴 霧 到 達 距 離 を 若 干 大 きくすることがわかる これは 噴 孔 から 鉛 直 方 向 速 度 のみを 持 って 噴 出 した 液 滴 が 分 裂 モデルによって 生 じた 半 径 方 向 の 進 行 を 維 持 しやすくなることが 原 因 であると 考 えられる ま た,その 効 果 によって Fig. 4 に 示 される 空 気 過 剰 率 は, 実 験 結 果 とほぼ 一 致 した 結 果 が 得 られた (211)

86 Fig. 4 Effect of drag reduction on excess air ratio 噴霧全体のザウタ平均粒径 D 32 は 式 7 を用いる 方が小さくなる結果となるが 抗力が小さくなるこ とは気液運動量交換を行われにくくすることを表し ているため 相対速度を大きく見積もり 分裂が生 じやすくなることが原因であると考えられる 次に噴射圧力を変更した時にも このモデルが現 象を再現できるかについて調べた Fig. 5 には噴霧 到達距離 空気過剰率の時間変化 Fig. 6 には噴霧 形状 P in =55MPa の場合 噴射開始後 t inj =2.0 3.5ms P in =133MPa の場合 t inj =1.0 2.2ms を示す 噴霧 形状は 噴射圧力に依らず若干半径方向の広がりを 大きく評価しているように見える 噴射圧力が高く なると 到達距離 空気過剰率が大きくなることは 再現できている 到達距離は実験結果より若干小さ く評価されているが 噴射圧力による差は実験 計 算ともほとんど変わらない 空気過剰率は P in =133MPa の場合 実験では噴射終了後に急激に 大きくなっているが 計算では実験結果より若干早 い時間から大きくなり始めている 以上のように 噴霧形状 到達距離 空気過剰率とも実験との差異 はあるが 抗力低減効果を組み込んだ結果は 噴射 圧力を変更しても現象をほぼ再現している Fig. 5 Temporal changes of spray tip penetration and excess air ratio P in =55MPa Fig. 6 P in =133MPa Spray shape of each injection pressure 5 おわりに エンジンシリンダ内のシミュレーションについて 現状 課題及び著者の計算結果を概説したが 現象 そのものに関するモデル化の段階から未だに多くの 問題を抱えている その解決のためには 計算のみ ならず実験による現象の理解も重要になってくる なお 紙面の都合で記載できなかったその他のモデ 15)~19) ほど参考 ル等のシリンダ内 CFD の概説を 5 編 文献として掲載した 本文によってシミュレーショ ンに関して少しでも興味の持てるものになれば幸い である 212 参考文献 1)寺地他 定常エンジン吸気流れに対する各種乱 流 モ デ ル の 考 察 自 技 会 講 演 前 刷 No.96-05, 20055663 2)例えば S. Singh, et. al., Validation of engine combustion models against detailed in-cylinder optical diagnostics data for a heavy-duty compression-ignition engine, Int. J. of Eng. Research, Vol. 8, No.1 (2007) 97

海 上 技 術 安 全 研 究 所 報 告 第 8 巻 第 2 号 ( 平 成 20 年 度 ) 小 論 文 87 3)R. D. Reitz, Modeling Atomization Processes in High-Pressure Vaporizing Sprays, Atomisation and Spray Technology, Vol.3, No.4 (1987) 309 4)M. A. Patterson, et. al., Modeling the effects of Fuel Spray Characteristics on Diesel Engine Combustion and Emission, SAE Paper 980131 5)D. P. Schmidt, et. al., Pressure-Swirl Atomization in the Near Field, SAE Paper 1999-01-0496 6)P. J. O'Rourke, The TAB Method for Numerical Calculation of Spray Droplet Breakup, SAE Paper 872089 7)E. A. Ibrahim, et. al, Modeling of Spray Droplets Deformation and Breakup, AIAA Journal of propulsion and power, Vol.9, No.4 (1993) 652 8)K. Naitoh, et.al., Synthesized Spheroid Particle Method for Calculating Spray Phenomena in Direct-Injection SI Engines, SAE Paper 962017 9) 永 岡, 空 力 変 形 する 単 一 液 滴 の 非 線 形 だ 円 体 振 動 モデル, 機 論 B 66-647 (2000-7) 1885 10)A. Liu, et. al., Modeling the Effects of Drop Drag and Breakup on Fuel Sprays, SAE Paper 930072 11)M. Takagi, et. al, Modeling of a hollow-cone spray at different ambient pressures, Int. J. of Eng. Research, Vol. 5, No.1 (2004) 39 12) 高 木 他, 機 論 B 投 稿 中 13)J. F. Virepinte, et. al., Experimental and numerical investigation on the drag coefficient of non-evaporating and burning monodispersed droplet streams, Eight international conference on Liquid Atomization and Spray Systems, ICLASS2000, CDROM 1289-1296 14) 山 根 他, 非 定 常 濃 噴 霧 の 微 粒 化 特 性 と 空 気 導 入 特 性 に 関 する 研 究, 機 論 B58-550 (1992) 1955 15) 永 岡,ポート 噴 射 ガソリン 機 関 における 燃 料 挙 動 の 三 次 元 シミュレーション, 豊 田 中 央 研 究 所 R&D レビューVol.33, No.2(1998.6)23-35 http://www.tytlabs.co.jp/japanese/review/rev33 2pdf/332_023nagaoka.pdf 16) 久 保, 内 燃 機 関 におけるシミュレーション 技 術, ながれ 21(2002)161-164 http://www.nagare.or.jp/nagare/21-2/21-2-s01. pdf 17) エンジンテクノロジー, 山 海 堂 7-5 (2005-10) 18) 日 本 マリンエンジニアリング 学 会 誌 42-1 (2007) 19) 微 粒 化, 日 本 液 体 微 粒 化 学 会 誌 11-33 (2002) (213)

(214)