要 のものを 捉 える: 静 的 な 構 造 の 表 現 10:00-11:20 IS-FMG, T.I.T. All Rights Reserved, 2006 Formal MetHod Group
内 容 共 通 点 を 抜 出 す:なぞ 掛 けに 挑 戦 様 々な 構 造 構 造 とアーキテクチャー MECEと 同 値 関 係 モデルと 同 値 関 係
共 通 点 を 抜 き 出 す :なぞ 掛 けに 挑 戦 IS-FMG, T.I.T. All Rights Reserved, 2006 Formal MetHod Group
なぞ 掛 け( 三 段 なぞ) A: 何 々と 掛 けて (カケ),B: 何 々と 解 く (トキ), C: その 心 は (ココロ),という 形 式 手 順 1)Aが 持 つ 性 質, 音, 様 態 などの 特 徴 を 列 挙 する 2)それをアレンジ( 同 じ 音 で 異 なるもの, 同 じもので 異 なる 使 い 方 など) し,Cの 候 補 を 見 つける 3)それと 関 連 のあるものを 探 す(Bの 候 補 ) TIPS Bを 詳 しく 説 明 し,Cには どちらも とは 入 れない
なぞ 掛 けの 例 : 黒 繻 子 の 帯 (1862ごろ)から A: 下 戸 と 掛 けて, B: 小 田 原 町 の 大 風 と 解 く, C:その 心 は さかなあらし A: 桜 餅 と 掛 けて, B: 厩 が 空 だ と 解 く, C:その 心 は うまいね( 馬 去 ね)
Q1: 次 のなぞ 掛 けに 挑 戦 エアコン と 掛 けて, 発 汗 作 用 と 解 く,その ココロは?
様 々な 構 造 IS-FMG, T.I.T. All Rights Reserved, 2006 Formal MetHod Group
工 学 における 構 造 R L + k R M y x + x - c y - 機 械 系 電 気 系
機 械 系 と 電 気 系 の 相 似 機 械 系 Md 2 y/dt 2 + Rdy/dt +ky = x 電 気 系 LCd 2 y/dt 2 +RCdy/dt+ y = x 現 象 的 にはまったく 異 なって 見 えるが, 機 能 に 注 目 すると,その 行 動 ( 入 出 力 関 係 )は,いずれ も2 階 の 線 形 常 微 分 方 程 式 で 記 述 できるという 意 味 で, 同 型 である
ビジネスにおける 構 造 X 社 では 製 品 P 1,P 2 を 製 造 販 売 している 各 々の 製 品 を 製 造 するのに,3 種 類 の 原 料 M 1,M 2,M 3 を 必 要 としている P 1,P 2 をそれぞれ1トン 製 造 するの に 必 要 な 原 料 の 使 用 量 と 各 原 料 一 日 あたりの 使 用 可 能 量,さらに 各 製 品 1 トンあたり 利 益 が 与 えられているとき, 利 益 を 最 大 にする 製 品 の 一 日 あたり の 製 造 量 を 求 めよ 北 京 動 物 園 のライオンの 一 日 あたりの,カロリー,たんぱく 質, 脂 質,でん ぷん 質 の 栄 養 摂 取 基 準 量 の 下 限 値 と, 飼 料 F1,F2,F3の100グラムあたりの カロリーや 成 分 が 与 えられている また, 各 飼 料 の 価 格 も 与 えられていると き, 栄 養 基 準 量 を 満 足 し, 総 価 格 を 最 小 とする 飼 料 の 混 合 方 法 を 求 めよ ある 商 品 について,mカ 所 の 発 送 地 からnカ 所 の 目 的 地 に 運 びたい 発 送 地 と 目 的 地 の, 各 々の 供 給 量 と 各 需 要 量,および 発 送 地 と 目 的 地 間 のそれ ぞれの 輸 送 費 用 はわかっている このとき,どのように 輸 送 すれば, 輸 送 費 用 を 最 小 にすることができるか? これらの 問 題 は,いずれも 線 形 計 画 問 題 として 表 現 できる
線 形 計 画 問 題 の 構 造 目 的 関 数 :g(x 1,,x n )=c 1 x 1 + +c n x n 制 約 条 件 : a i1 x 1 + a in x n = b i, i=1,,m a i1 x 1 + +a in x n b i, i=m+1,,k 非 負 条 件 x i 0, i=1,,n
同 じとみなす aとbとは 同 じとみなせるが,aとcは 違 う ということ をどう 表 現 するか? 同 じとみなすとは? ある 対 象 aとそれ 自 身 は 同 じとみなせる: a~a ある 対 象 aと 別 の 対 象 bが 同 じとみなせるときには,bとaは 同 じとみなせる: a~b ならば, b~a ある 対 象 aと 別 の 対 象 bが 同 じとみなせて,またbと 第 3の 対 象 cが 同 じとみなせるときには,はじめの 対 象 aとcは 同 じと みなせる: a~b & b~c ならば,a~c
同 値 関 係 同 じとみなす という 対 象 間 の 関 係 は, 数 学 的 には 同 値 関 係 と 呼 ばれている Xを 集 合 とするとき, ~が 次 の 条 件 を 満 足 するならば, ~をX 上 の 同 値 関 係 と 呼 ぶ 任 意 のxに 対 して,x ~ x ( 反 射 律 ) 任 意 のx,yに 対 して,x ~ y ならば, y ~ x ( 対 称 律 ) 任 意 のx,y,zに 対 して,x ~ y y ~ z ならば,x ~ z ( 推 移 律 ) たとえば, X={アントラーズ,コンサドーレ,ヴェルディ,ジュビロ, ベルマーレ,レッズ} としたとき, x ~ y x,yは 同 じリーグに 所 属 する とすれば, ~はX 上 の 同 値 関 係 である
生 物 学 における 構 造 概 念 - 雌 雄 ずい 分 類 体 系 - 植 物 の 分 類 おしべの 数 と めしべの 数 に よって 導 かれ た 同 値 関 係 による 分 類 めしべに 関 する 同 値 関 係 おしべが5 本 * あさがお * りんどう * あやめ おしべが4 本 めしべの 先 が2 分 おしべに 関 する 同 値 関 係 め し べ の 先 が 分 か れ て い な い
近 さの 概 念 ある 対 象 と 別 の 対 象 が, 近 いとか 遠 いとかはどう 表 せばよいか 近 さを 実 数 値 で 表 現 することを 考 える 距 離 はどのような 性 質 を 持 つものか? 一 般 に, 二 つの 対 象 の 距 離 はゼロ 以 上 : d(a,b) 0 ある 対 象 aとそれ 自 身 の 距 離 はゼロ: d(a,a)=0 ある 対 象 aと 別 の 対 象 bの 距 離 は,bから 測 っても 同 じ: d(a,b)=d(b,a) ある 対 象 aと 別 の 対 象 bの 距 離 は, 第 3の 対 象 cを 経 由 する より 近 いはず: d(a,b) d(a,c) + d(c,b)
距 離 の 構 造 距 離 は, 実 数 値 関 数 d:x X Rで, 以 下 を 満 たすも の: 非 負 : 任 意 のx,yに 対 して,d(x,y) 0 任 意 のxに 対 して, d(x,x)=0 任 意 のx,yに 対 して, d(x,y)=d(y,x) 任 意 のx,y,zに 対 して, d(x,y) d(x,z) + d(z,y) 距 離 が 定 義 された 集 合 (X,d)を, 距 離 空 間 と 呼 ぶ 例 :Rを 実 数 集 合 とし,d(x,y)= x-y とすれば,(R,d)は 距 離 空 間 である
順 序 の 概 念 aはbより 小 さい といった 順 序 をどう 表 現 するか? 順 序 とは? ある 対 象 aとそれ 自 身 は 大 小 がつかない(どちらの 順 序 も つく): a a ある 対 象 aが 別 の 対 象 bよりも 小 さく,しかも,bがaよりも 小 さいときには, 両 者 は 同 じもの: a b & b a ならば,a = b ある 対 象 aが 別 の 対 象 bよりも 小 さく,またbが 第 3の 対 象 c よりも 小 さいときには,はじめの 対 象 aはcよりも 小 さい: a b & b c ならば,a c
順 序 関 係 aはbより 小 さい という 対 象 間 の 関 係 は, 数 学 的 には 順 序 関 係 と 呼 ばれている Xを 集 合 とするとき, が 次 の 条 件 を 満 足 するならば, をX 上 の 順 序 関 係 と 呼 ぶ 任 意 のxに 対 して,x x ( 反 射 律 ) 任 意 のx,yに 対 して,x y & y x ならば, x=y ( 反 対 称 律 ) 任 意 のx,y,zに 対 して,x ~ y & y ~ z ならば,x ~ z ( 推 移 律 ) たとえば, X={イタリア,ドイツ,フランス,ポルトガル,ブラジル, 日 本, オーストラリア} としたとき, x y xはfifaランキングでyより 下 位 にあるか 等 しい とすれば, ~はX 上 の 順 序 関 係 である
数 学 における 代 表 的 な 構 造 : 代 数 構 造 数 学 におけるもう 一 つの 代 表 的 な 構 造 の 例 と して, 整 数 上 の 加 算 ( 足 し 算 )にもとづく 代 数 構 造 ( 群 )があげられる: b a+b a 0 -a 整 数 の 集 合
構 造 人 類 学 レヴィ ストロースによる 婚 姻 体 系 の 研 究 婚 姻 体 系 を 群 として 記 述 すべての 男 は, 彼 の 母 親 の 弟 の 娘 と 結 婚 できる といった 新 たな 規 則 の 発 見
構 造 についてのまとめ さまざまな 分 野 で 構 造 概 念 が 用 いられてい る. もっとも 基 本 的 な 構 造 は, 同 値 関 係 で 規 定 さ れる. 数 学 的 には, 集 合 ( 族 )とその 上 の 演 算 や 述 語 ( 要 素 間 の 関 係 )の 組 <{A i },{f j },{R k }>として, 構 造 を 捉 えることができる. 21
構 造 とアーキテクチャ IS-FMG, T.I.T. All Rights Reserved, 2006 Formal MetHod Group
構 造 とアーキテクチャ アーキテクチャは,もともと 建 築 術, 建 築 様 式, 構 造, 構 成 といった 意 味 がある システムアーキテクチャ, 情 報 アーキテクチャ, 情 報 システムアーキテクチャ,ビジネス アー キテクチャ,エンタープライズ アーキテク チャ,... アーキテクチャ = 要 素 + 形 態 + 原 理 ( 設 計 思 想 ) 構 造
アーキテクチュア 記 述 (IEEE1471を 改 変 ) 目 標 を 達 成 する 1..* にとって 重 要 である 1..* 環 境 を 持 つ 1..* 関 係 者 の 中 に 存 在 する を 同 定 する 1..* に 向 けられる 1..* に 影 響 を 与 える システム アーキテクチュア 記 述 を 持 つ によって 記 述 される 1 規 定 する 関 係 する アーキテクチュア 原 理 を 持 つ 1..* を 同 定 する 1..* によって 組 織 化 される 1..* 統 合 する 1..* 関 心 カバーするため に 用 いられる 1..* 観 点 からなる 1..* モデル
MECEと 同 値 関 係 IS-FMG, T.I.T. All Rights Reserved, 2006 Formal MetHod Group
MECE:コンサルティングの 技 法 論 理 的 に 何 かを 伝 えるための 代 表 的 な 技 法 として,MECEと 呼 ばれるものがある MECEとは,Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの 略 で, ある 事 柄 を 重 なりなく,しかも 漏 れのない 部 分 の 集 合 体 として 捉 えること である( 照 屋 他, ロジカ ル シンキング, 東 洋 経 済 新 報 社,2001.)
MECEが 有 効 であることを 示 す 例 ( 照 屋 他, ロジカル シンキング, 東 洋 経 済 新 報 社,2001.より) あなたの 部 門 に 入 ってくる 情 報 は 全 体 として どのようなものがあるか 説 明 してください いくつかのアプローチ 羅 列 アプローチ: 日 経 新 聞, 週 刊 ダイヤモンド,ベ ンダーからのニューズレター, 仕 分 けアプローチ: 曜 日 や 時 間 帯 別 に 仕 分 けする MECEアプローチ: 定 期 か 不 定 期 か, 公 開 か 非 公 開 か, 定 期 なら 月 間 か 週 刊 か,など
代 表 的 なMECE など 3C/4C: 顧 客 (customer), 競 合 (competitor), 自 社 (company),チャネル(channel) 4P: 商 品 (product), 価 格 (price),チャネル(place), 訴 求 方 法 (promotion) PDCAサイクル:plan-do-check-action 5W1H:what,how,where,who,when,why LATCH:location,alphabet,time,category,hierarchy さまざまな 切 り 口 (MECEの 枠 組 み)を 持 つことが 重 要
Q2:MECEを 使 う 新 しいオフィスビルに, 飲 み 物 の 自 動 販 売 機 を 設 置 しようと 思 う 最 近, 自 動 販 売 機 で 買 え る 飲 み 物 の 種 類 もずいぶん 増 えている そこ で, 自 動 販 売 機 で 買 える 飲 み 物 にはどんなも のがあるか 全 体 像 をつかめるように 教 えてく れないか という 依 頼 に 答 える どのような 切 り 口 があるだろうか MECEを 意 識 して 考 えてみよう 照 屋 岡 田 著, ロジカル シンキング, 東 洋 経 済 新 報 社,2001.より
モデルと 同 値 関 係 IS-FMG, T.I.T. All Rights Reserved, 2006 Formal MetHod Group
代 表 的 な 同 値 関 係 : 射 影 p i :R n Rによる 同 値 関 係 射 影 p i :R n Rから 同 値 関 係 を 定 めることが できる x y z p i xとyは 同 値 ( x ~ y )だが,zはそうではない
モデルの 概 念 注 目 している 現 象 を 記 述 した, 実 在 の 理 想 化 され た 表 現 (by Ackoff) 模 範 例, 典 型, 代 表 例 といった 意 味 (ファッションモデル, ビジネスモデル,モデルプランなど) 実 在 のある 側 面 に 注 目 し, 捨 象 することによって 得 られたもの (ビジネスプロセスモデル,プラモデル ( 模 型 )など)
モデルと 同 値 関 係 モデルとは, 実 在 のある 側 面 に 注 目 し, 捨 象 することによって 得 られたもの である 観 点 <<ゴール>> G: 量 的 ゴール << 情 報 >> : X << 物 理 的 >> : Y 生 産 プロセス アクティビ アクティビ ティZ1 ティZ1 ビジネス イベント << 物 理 的 >> : Z 対 象 モデル Copyright 2001 IS-FMG, T.I.T. モデルを, 対 象 をある 視 点 から 見 た 結 果 と すれば,モデルを 作 ることは, 対 象 に 対 して, 同 値 関 係 を 設 定 して,その 同 値 類 を 観 察 して いることになる
まとめ なぞ 掛 けを 例 に, 共 通 点 を 抜 出 す 練 習 をした 工 学,ビジネス, 数 学, 生 物 学, 文 化 人 類 学 などに 見 られる, 様 々な 構 造 について 具 体 的 に 説 明 し, 静 的 な 構 造 を 抜 き 出 す 方 法 の 基 礎 について 学 んだ 構 造 とアーキテクチャーの 関 係,モデルとの 関 係 について 学 んだ MECEと 同 値 関 係 が 同 一 のものであることを 知 り, 静 的 構 造 を 捉 えることの 重 要 性 につい て 学 んだ