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[1 ご注意事項 ] 1 ご注意事項 www.shindengen.co.jp (J531-1) 3

[1 ご注意事項 ] 1-1 半導体製品採用に当たってのご注意 当社は品質 信頼性の向上に努めていますが 一般に半導体製品は誤作動したり 故障することがあります 当社半導体製品をご使用いただく場合は 半導体製品の誤作動や故障により 生命 身体 財産が侵害されることのないように 購入者側の責任において 機器の安全設計を行うことをお願いします なお 設計に際しては 最新の製品仕様をご確認の上 製品の保証範囲内でご使用いただくとともに 考慮されるべき注意事項や条件については 本記載内容にご注意いただくようお願いします 安全上のご注意 本項には お使いになる方や他の人への危害と財産の損害を未然に防ぎ デバイスを安全に正しくお使いいただくために 重要な内容を記載しています 次の内容 ( 表示 図記号 ) をよく理解してから本文をお読みになり 記載事項をお守りください (1) 危険度表示の説明 取扱いを間違った場合 使用者が死亡または重傷 (#1) を負うことがあり かつその切迫の度合いが高い危害の程度を示します 取扱いを間違った場合 使用者が死亡または重傷 (#1) を負うことが想定される危害の程度を示します 取扱いを間違った場合 使用者が傷害 (#2) を負うことが想定されるか または物的損害 (#3) の発生が想定される危害 損害の程度を示します #1: 重傷とは 失明 けが やけど ( 高温 低温 ) 感電 骨折 中毒などで 後遺症の残るもの および治療に入院 長期の通院を要すものを指します #2: 傷害とは 治療に入院や長期の通院を必要としない けが やけど 感電などを指します #3: 物的損害とは 装置 機器などに関わる拡大損害を指します (2) 図記号による指示の定義 禁止 ( してはいけないこと ) を示します 具体的な禁止内容は 図記号の中や近くに絵や文章で指示します 指示する行為の強制 ( しなければならないこと ) を示します 具体的な強制内容は 図記号の中や近くに絵や文章で指示します 注意 ( 気をつける必要があること ) を示します 具体的な注意内容は 図記号の中や近くに絵や文章で指示します 4 (J531-1) www.shindengen.co.jp

[1 ご注意事項 ] (3) 半導体製品全般でのご注意 電源投入中 および遮断後で電荷が放電するまでは 身体を触れないで下さい 感電による死亡 重傷を負うことがあります デバイスの評価 検査 試験時には 電極やプローブなどの接続前に電荷の放電を行って下さい 電荷を放電せず接続操作を行うと 感電による死亡 重傷を負うことがあります デバイスの評価 検査 試験時には 電極やプローブなどの接続後に電源を投入して下さい 電源投入中の接続操作は感電による死亡 重傷を負うことがあります 終了時には電荷の放電を行って下さい 電荷の放電を実施していないと 次回電源投入前の操作において 感電による死亡 重傷を負うことがあります 絶対最大定格 ( 電流 電圧 安全動作領域 温度など ) を超えて使用しないで下さい デバイスが破壊し 短絡電流などにより 破裂 燃焼を起こし 火災の原因となることや傷害を負うことがあります 短絡電流を検出できる装置を用い 短絡発生時は供給電源全線を遮断して下さい 電源を遮断しないと 短絡による大電流が流れ続け 破裂 燃焼を起こし 火災の原因となることや傷害を負うことがあります 筐体は破裂 燃焼による飛散防止などを考慮した設計をして下さい 飛散物による傷害を負うことがあります www.shindengen.co.jp (J531-1) 5

[1 ご注意事項 ] 評価 検査 試験時にはデバイスにカバーなどの安全保護具を使用して下さい デバイスは 破壊時のオーバーストレスあるいは電極と接地電位間のアーク放電により 破裂 燃焼を起こし 火災の原因になることや傷害を負うことがあります 製品の電極 端子以外の金属部は接地して使用する設計にして下さい デバイスの電極と金属ケース部が絶縁されている製品でも 静電容量によりケース部の電位が上がることがあります 絶縁の劣化 破壊によってケース部が高電圧になり 接触すると感電による死亡 重傷を負うことがあります ショットキーバリアダイオードは 順方向 逆方向損失を考慮した放熱設計 安全設計をして下さい 一般の整流素子に比べ 逆電流が大きくなり 使用環境 ( 高温度 高電圧など ) が厳しい場合には 逆方向損失の増加によりデバイスが破壊し 短絡電流などにより破裂 燃焼を起こし 火災の原因となることや傷害を負うことがあります デバイスの主回路の動作時を除き 制御回路への通電時は 主回路を確実に非動作にする設計をして下さい デバイスが誤動作すると 重大な事故の発生や傷害を負うことがあります 絶対最大定格は瞬時たりとも超えてはいけません 複数の絶対最大定格のいずれに対しても 超えないよう設計して下さい 絶対最大定格を超えると破壊 損傷および劣化の原因となり 破裂 燃焼による傷害を負うことがあります デバイスの逆差し 差し間違い または電源のプラスとマイナスの逆接続はしないで下さい 電流や消費電力が絶対最大定格を超え 破壊 損傷および劣化の原因になるだけでなく 破裂 燃焼により傷害を負うことがあります なお 逆差しおよび差し違いのままで通電したデバイスは 以降使用しないで下さい デバイスに通電中または通電終了直後は 放熱板に触れないで下さい 放熱板が高温になっていますので 火傷を負うことがあります 6 (J531-1) www.shindengen.co.jp

[1 ご注意事項 ] デバイスのリード先端に触れないで下さい 先端が尖っているタイプがあり 刺し傷を負うことがあります 測定設備やはんだゴテなどは漏電がないことを確認の上 アースをして下さい 漏電した場合 デバイスが電気的に破壊したり 感電したりすることがあります リードカッティング時は 保護メガネを使用して下さい カッティングくずの飛散により目に傷害を負うことがあります 評価 検査 試験時には デバイスの取扱いは 冷却後または保護手袋を使用して行って下さい デバイスは動作することにより高温になり 供給電源を切っても 余熱により火傷を負うことがあります www.shindengen.co.jp (J531-1) 7

[1 ご注意事項 ] (4) 当社製品のご使用にあたって 当社製品を使用するにあたっては 以下の内容にご留意下さい 1. ご採用に際しては 別途仕様書をご請求の上 ご確認をお願いいたします 2. 本資料に記載されている当社製品の品質水準は 一般的な信頼度が要求される標準用途を意図しています その製品の故障や誤動作が直接生命や人体に影響を及ぼすような極めて高い品質 信頼度を要求される特別 特定用途の機器 装置にご使用の場合には必ず事前に当社へご連絡の上 確認を得て下さい 当社の製品の品質水準は以下のように分類しております 標準用途 コンピュータ OA 等の事務機器 通信用端末機器 計測器 AV 機器 アミューズメント機器 家電 工作機器 パーソナル機器 産業用機器等 特別用途 輸送機器 ( 車載 船舶等 ) 基幹用通信機器 交通信号機器 防災 / 防犯機器 各種安全機器 医療機器等 特定用途 原子力制御システム 航空機器 航空宇宙機器 海底中継機器 生命維持のための装置 システム等 3. 当社は品質と信頼性の向上に絶えず努めていますが 必要に応じ 安全性を考慮した冗長設計 延焼防止設計 誤動作防止設計等の手段により結果として人身事故 火災事故 社会的な損害等が防止できるようご検討下さい 4. 本資料に記載されている内容は 製品改良などのためお断りなしに変更することがありますのでご了承下さい 製品のご購入に際しましては事前に当社または特約店へ最新の情報をご確認下さい 5. 本資料の使用によって起因する損害または特許権その他権利の侵害に関しては 当社は一切その責任を負いません 6. 本資料によって第三者または当社の特許権その他権利の実施に対する保証または実施権の許諾を行うものではありません 7. 本資料に記載されている製品が 外国為替及び外国貿易管理法に基づき規制されている場合 輸出には同法に基づく日本国政府の輸出許可が必要です 8. 本資料の一部または全部を当社に無断で転載または複製することを堅くお断りいたします 8 (J531-1) www.shindengen.co.jp

2 電気的特性について www.shindengen.co.jp (J531-1) 9

2-1 ダイオード概要 一般整流ダイオード一般整流ダイオードは 高耐圧の PN 接合型整流素子です チップ構造については 当社独自の化学的物理的に安定したパッシベーションガラスを使用しており 耐湿性 耐熱性に優れた構造です 一般整流ダイオード断面概要図 ブリッジダイオードブリッジダイオードは商用電源の整流用に適しています 高 I FSM 低ノイズ 低 V F 製品を取り揃えております また 2 次側整流用途等として ショットキーバリアダイオード ファストリカバリダイオード等の高速ダイオードを搭載したブリッジダイオードも取り揃えております ショットキーバリアダイオード (SBD) 金属と半導体の接合で生じる障壁を利用したダイオードです PN 接合と比較して順方向の立ち上がり電圧が低く スイッチング速度が極めて速いため 高速低 V F ダイオードとして最適の整流素子です ファストリカバリダイオード (FRD) 逆回復特性を改善した高耐圧の PN 接合型高速整流素子です ファストリカバリダイオードでは高速化のためのライフタイム短縮手段として重金属拡散を行っています 10 (J531-1) www.shindengen.co.jp

2-2 特性用語一覧 (1) 製品分類 一般一般整流ダイオード一般整流 ブリッジブリッジダイオード一般整流 SBD ショットキーバリアダイオード高速整流 低 V F FRD ファストリカバリダイオード高速整流 高耐圧 (2) 絶対最大定格 ( 瞬時であっても超えてはならない値 ) 保存温度 T stg 素子に電圧印加しない状態で許容される 保存周囲温度 の範囲 接合部温度 Tj 素子動作中に超えてはならない接合部温度上限値 せん頭逆電圧 V RM 素子に印加可能な逆電圧の最大許容電圧ピーク値 出力電流 I O 指定温度条件 抵抗負荷で 50Hz 正弦波整流し 得られ る最大出力電流平均値 せん頭サージ電流 I FSM 指定温度条件にて 50Hz 正弦波 1 サイクルを流すことの できる非繰り返し最大許容順電流のピーク値 電流二乗時間積 I 2 t 1ms tp<10ms のパルス幅で流すことが可能な非繰り 返し最大許容順電流ピーク値を算出するための値 繰り返しせん頭サージ逆電圧 V RRSM 指定条件にて V RM 値を超えて繰り返し印加可能な逆電圧 の最大許容電圧ピーク値 繰り返しせん頭サージ逆電力 P RRSM 指定条件にて繰り返しで許容し得る逆方向電力ピーク 値 絶縁耐圧 V dis 指定条件にて AC 電圧実効値を印加した時の端子 ケー ス間の絶縁耐圧値 静電破壊耐性 V ESD 指定条件にて非繰り返しで許容し得る静電気ストレス に対する最大許容電圧値 締め付けトルク TOR 製品を放熱フィンに実装する時のネジ止め締め付けト ルク許容最大値 非繰り返しせん頭サージ逆電圧 V RSM 指定条件にて V RM 値を超えて非繰り返し逆電圧の最大許容電圧ピーク値 せん頭サージ順電流 I FSM 1 指定のパルス幅 tp=1ms 正弦波 1 サイクルを流すことの できる非繰り返し最大許容順電流のピーク値 www.shindengen.co.jp (J531-1) 11

(3) 電気的 熱的特性 順電圧 V F 指定温度でダイオードに規定の順電流を流した時に生 じる電圧降下の値 逆電流 I R 指定温度でダイオードに規定の逆電圧を印加した時に 流れる電流値 接合容量 C j 指定条件でのダイオードの容量値 逆回復時間 t rr 指定温度 条件でダイオードの順方向に電流を流し 逆方向スイッチする時ダイオードの阻止特性が回復す るまでの時間 熱抵抗 θ** 熱の伝導の度合いを表す数値で 測定部の温度から接合部温度 T j を算出するための値 ja= 接合部 - 周囲間 jc= 接合部 -ケース間 jl= 接合部 - 端子間 12 (J531-1) www.shindengen.co.jp

2-3 電気的特性 整流用ダイオードの理想的な特性は 順方向の電圧降下が無く (V F =0V) 逆方向に電圧を印加しても電流を完全に阻止する (I R =0A) ものです しかしダイオードの電流電圧特性は 現実には図 1 のように順方向に電流を流すと電圧降下 V F が生じ 逆方向に電圧を印加すると逆電流 I R が流れます この V F I R ( 後述の trr) によって電力損失が発生し 温度が上昇する原因となっています 図 1 ダイオードの電流電圧特性 定格表 ( 例 ショットキーバリアダイオード (I O =20A)) 項目 記号 条件 規格 単位 保存温度 Storage Temperature T stg -55~150 接合部温度 Operating Junction T j 150 Temperature せん頭逆電圧 Maximum Reverse Voltage V RM 60 V 繰り返しせん頭サージ逆電圧パルス幅 0.5ms, duty1/40 Repetitive Peak Surge V RRSM Pulse width 0.5ms, duty1/40 Reverse Voltage 65 V 出力電流 Average Rectified Forward Current せん頭サージ順電流 Peak Surge Forward Current 繰り返しせん頭サージ逆電力 Repetitive Peak Surge Reverse Power 絶縁耐圧 Dielectric Strength 締め付けトルク Mounting Torque 順電圧 Forward Voltage 逆電流 Reverse Current 接合容量 Junction Capacitance 熱抵抗 Thermal Resistance I O I FSM P RRSM V dis TOR V F I R C j θ jc 50Hz 正弦波, 抵抗負荷, フィン付き 1 素子当たりの出力電流平均値 I O /2,T C =118 50Hz Sine wave, Resistance Load, With heatsink, Per diode I O /2,T C =118 50Hz 正弦波, 非繰り返し 1 サイクルせん頭値, T j =25 50Hz sine wave, Non-repetitive 1cycle peak value,t j =25 パルス幅 10μs,1 素子当り,T j =25 Pulse width 10μs, Per diode,t j =25 一括端子 ケース間,AC1 分間印加 Terminals to case, AC 1 minute ( 推奨値 :0.3N m) (Recommended torque:0.3n m) I F =10A パルス測定,1 素子当りの規格値 Pulse measurement, Per diode V R =V RM パルス測定,1 素子当りの規格値 Pulse measurement, Per diode f=1mhz, V R =10V, 1 素子当りの規格値 Per diode 接合部 ケース間 Junction to case 20 A 230 A 660 W 2 kv 0.5 N m Max. 0.63 Max. 8 Typ. 370 Max. 1.8 V ma pf /W www.shindengen.co.jp (J531-1) 13

(1) 順方向特性 I F 順方向特性の例を図 2 に示します 縦軸を順方向電流 I F 横軸を順方向電圧 V F とした片対数グラフで表しています ダイオードの順方向特性には以下のような特徴があります 電流が微小でも電圧降下がある シリコンによって作られているダイオードでは温度係数が負となる ( 温度が高いほど V F が小さくなる ) シリコンカーバイド ショットキーバリアダイオード (SiC SBD) では温度係数が正となる ( 温度が高いほど V F が大きくなる ) ご使用になる際には 順方向特性図から 印加する電流での電圧降下概算値をご確認頂き 設計上の参考としてご使用下さい ( 例 25 で 10A 流れた場合 Max. 0.64V) 図 2 順方向特性 また ご使用の際は以下の点にもご留意下さい V F を測定する場合は ケルビン接続 (4 端子法 ) にて測定ください ダイオードには特性バラツキがあります 特性図にない 微小な電流領域の V F 温度に関しては 担当営業までお問合せください V F -I F カーブは 1 チップ当たりの順電流の平均値 I O とピーク値 I P の 2 点を結んだ画像で近似されることがあります カタログ規格表の最大許容出力電流 I O と I P (= 3 I O ) の 2 点での近似であっても微少電流や大電流以外の領域では 誤差はほとんどありません 近似直線を式で表すと 図 3 の I F =0 の点の V F を V O 直線の傾きの逆数 dv F /di F を r O とすると V F =V O +r O I F で表されます V O r O のパラメータが必要な場合は 担当営業までお問い合わせ下さい 図 3 14 (J531-1) www.shindengen.co.jp

(2) 順電力損失 P F 順電力損失曲線の例を図 4 に示します 図 4 順電力損失 図 5 Duty 印加される電流波形が図 5 のような矩形波の場合は Duty D は 0.2 となり Io は 10A と計算されます この場合の電力損失は 図 4 の 0.2 のライン上の 10A から順電力損失を読み取り 7.5W となります D はダイオードの順方向に印加されている時の間隔を表しています (3) 逆方向特性 I R SBD は PN 接合している一般ダイオードに比べ I R が大きく損失が無視できません (SBD 以外のダイオードについては I R が小さく 損失もほとんど無視できます ) 逆方向特性の例を図 6 に示します 縦軸を逆方向電流 I R 横軸を逆方向電圧 V R とした片対数グラフで表しています 逆方向特性は温度係数が正 ( 温度が高いほど I R が大きくなる ) という特徴があります グラフでは代表的な温度についての特性値を表しています ( 記載されていない温度での特性や参考図としての一般ダイオード FRD の I R 特性については 担当営業までお問い合わせください ) 図 6 逆方向特性 周囲温度による影響 SBD の場合 周囲温度により逆電力損失が増加し 放熱量によっては熱暴走により素子が破壊する場合があります ( 詳細は 29 ページ 2-9 熱暴走について を参照ください ) 素子の使用条件および放熱条件には十分考慮のうえご使用下さい www.shindengen.co.jp (J531-1) 15

(4) 逆電力損失 P R 逆電力損失とは I R が原因で発生する損失のことで 逆方向特性と同様に SBD のみ記載しています 参考に逆電力損失の例を図 7 に示します 縦軸を逆電力損失 P R 横軸を逆電圧 V R のグラフで表しています 条件は図左上の波形で示されます D はダイオードの逆方向に印加されていない時の間隔 (Duty) を表しています 図 7 逆電力損失 (5) スイッチング特性 1 逆回復時間 trr pn 接合は 少数キャリアの遅れと蓄積が生じるため動作周波数に限界があります 逆回復時間 (trr) は動作周波数の限界を示す指標として用います 逆回復時間の測定回路モデルと測定方法は 図 8 の通りです ( ア ) 測定回路に E 1 E 2 R 1 R 2 を設定し 測定条件の順方向電流 (I F ) および逆方向電流 (I R ) を測定します ( イ ) 電源 E 1 より SW 1 を ON し順方向電流 (I F ) を流します ( ウ ) スイッチ SW 2 を ON し 電源 E 2 から逆方向へ電圧を印加することにより 少数キャリアが減少して ある時間後に素子が逆電圧に耐える状態を回復します このときの波形を図 9 に示します ( エ ) 電流のゼロ点から逆回復電流ピーク値 (I R1 ) を経て I R2 まで減少する期間を逆回復時間 (trr) と呼びます 2 接合容量 Cj 一般ダイオード FRD は少数キャリア動作なので trr が存在します 一方 SBD は多数キャリア動作なので理論上 trr は存在しませんが 接合部の容量により trr と同じような動作が確認されます 接合容量 Cj は SBD の trr に代わる動作周波数の指標となります 図 8 測定回路 図 9 リカバリー波形 16 (J531-1) www.shindengen.co.jp

(6) スイッチング損失 P S 前述したようにダイオード順バイアス時の少数キャリア蓄積効果により ターンオフ時 逆電圧を阻止できずに瞬間的に逆電流が流れてしまう期間が発生します 図 10 のダイオード逆回復時間 trr に生じる電力損失がスイッチング損失です スイッチング損失 P S は一般的に P S = 1 6 V R I Rp trr ƒ で計算されます 動作周波数が高い場合には スイッチング損失が大きくなり ダイオードトータル損失に対するスイッチング損失の割合が無視できなくなります よって実機波形を確認の上 スイッチング損失 P S を求めてください 図 10 www.shindengen.co.jp (J531-1) 17

2-4 ディレーティングカーブ ディレーティングカーブは 各種温度 ( ケース リード 周囲 ) と出力電流 I O から絶対最大定格である Tj を限度として規定されます 一般ダイオードは電源一次側整流用として使用するため正弦波入力を SBD,FRD は二次側で使用するため Duty を規定した特性図を作成しています 一般ダイオードを例に 実使用に関する判断方法を示します 図 11 まず ダイオードに流れる電流 I P 実測値から平均電流 I O を求めます 例として I P =1A t P =10ms T=20ms とします I O = 2t P πt I 2 10 P = 1= 0.32A 3.14 20 図 12 I O -P F 特性図 図 13 T a -I O ディレーティングカーブ 上記より求めた I O 値より I O -P F 特性図 ( 図 12) を用いて 順方向損失 P F を求めます 特性図より I O =0.32A 時の順方向損失 P F は約 0.55W と読み取れます ここで求めた順方向損失に熱抵抗を掛け実測温度を足した値が T j となります 製品仕様の絶対最大定格にある T j 以下であれば使用可能です また 求めた I O 値 (0.32A) とディレーティングカーブ ( 図 13) より 周囲温度は約 65 以下と導出できますので それ以下であれば使用可能となります 18 (J531-1) www.shindengen.co.jp

2-5 接合部温度の推定 (1) 熱抵抗 ダイオードの動作時に発生する電力損失は 全て熱に変換され 接合部温度を上昇させます 設計された放熱系 ( 放熱フィンなど ) で カタログ規格表に指定される T j max 以下に接合部温度が抑えられているかを確認し T j max を超える場合は 放熱フィンや周囲温度条件の見直しを行わなければなりません モールド樹脂などで密閉されたダイオードチップの接合部温度を直接測定することはできませんので 外部温度より接合部の温度を推定する必要があります この推定に使われるのが熱抵抗 θ で ダイオードの消費電力 ( 電力損失 ) に対する熱伝導の抵抗度合いを表します この接合部から周囲 ( 外気 ) への熱の伝導経路は 図 14 のような電気的等価回路で表されます カタログ定格表や特性図に出てくる温度および熱抵抗は 添字によりどの位置なのかを表します ( ダイオードチップ ) 接合部 放熱系 ( 放熱フィンなど ) ケース ( パッケージ外面 ) 周囲温度 図 14 熱抵抗等価回路 それぞれの添字は 下記のような位置を表します θ jc : 接合部 ケース間の熱抵抗 θ S : 絶縁板の熱抵抗 θ c : ケースと放熱フィンの接触熱抵抗 θ cf : ケース 放熱フィン間の接触熱抵抗 θ fa : 放熱フィン 周囲間の熱抵抗 C jc : 接合部 ケース間の熱容量 C S : 絶縁板の熱容量 C c : ケースの接触熱容量 C fa : 放熱フィン 周囲間の熱容量 C ca : ケース 周囲間の熱容量 θca: ケース 周囲間の熱抵抗 T j はダイオードの接合部の温度のことであり θ jc は接合部とケースの間の熱抵抗のことです 実際にダイオードに印加される電圧 電流より順方向損失 逆方向損失を求めます 両損失を足した値が ダイオードトータル損失となります トータル損失に熱抵抗 θ j を掛けた値が ダイオードの接合部と対象箇所 ( 位置 ) 間の温度差となります www.shindengen.co.jp (J531-1) 19

(2) 電力損失の求め方 一般ダイオードや FRD は 逆電流 I R による損失が十分に小さい為 順電力損失のみを計算します SBD は 逆電流 I R が大きい為 順電力損失と逆電力損失の総和で計算します 1 ブリッジダイオードに正弦波の電流が印加された場合の電力損失の求め方 ブリッジに図 15 のような電流が印加された場合 以下のように電力損失を求めます 図 15 において ピーク電流 I P 平均電流 I O とした場合 I P =1.57A( 測定値 ) I O =I P π=0.5a この時の順電力損失 P F を順電力損失曲線 ( 図 16) から読み取ると P F は約 0.8W となります 図 15 電流波形例 図 16 順電力損失曲線 2 単体の FRD に三角波の電流が印加された場合の電力損失の求め方 図 17 三角波電流印加波形例 図 18 順電流損失図 FRD に図 17 のような三角波電流の波形が印加されたとします ピーク 10A の三角波で Duty(=1/5)=0.2 とすると t P 間の平均 Duty で I O =10 2 0.2=1.0A となります この場合の P F を図 18 の順電力損失曲線から読み取ると Duty=0.2 I O =1.0A で約 1W となります 20 (J531-1) www.shindengen.co.jp

3 センタータップ (2 素子入り ) の SBD に台形波の電流が印加された場合の電力損失 図 19 印加電圧電流波形 図 19 のような波形がセンタータップ品の SBD に印加されたとします Duty(=2/4)=0.5 となります 順電力損失 P F を求めると 片側の D i(1) の I O(1) =(30+10) 2 0.5=10A 同様にD i(2) の I O(2) =10A この条件の元に 図 20 の順電力損失曲線から P F を読み取ります P F(1) =6W P F(2) =6W 逆電力損失 P R は図 21 から D i(1) D i(2) ともに 30V 印加されているため P R(1) =5W P R(2) =5W 順逆双方向の合計の電力損失 P は P=(P F(1) +P F(2) )+(P R(1) +P R(2) )=22W となります 図 20 順電力損失 図 21 逆電力損失 www.shindengen.co.jp (J531-1) 21

(3) 接合部温度 T j の推定方法 1 フィンなしプリント基板実装における T j の推定方法 (1) 定常動作時の接合部温度 T j は 接合部 リード間の熱抵抗 θ jl を用いて 次式により求めます T j =P θ jl +T la +T a max[ ] ここでは (2) 電力損失の求め方 1 の例を元に計算を行います a. 出力電流 I O 時の電力損失 P をカタログの電力損失曲線より求めます ( ここでは P=0.8W とします ) b. 接合部 リード間熱抵抗 θ jl はカタログ記載の電気的特性値を使用します ( ここでは θ jl =10 /W とします ) c. リード 周囲間温度上昇 T la は実測により求めます T la =T l -T a T l : リード温度 ( 測定点は図 22 を参照 ) T a : 周囲温度 ( 発熱の影響を直接受けない位置 ) T a =25 T l =80 d. 周囲温度の最大値 T a max は設計最大値によります ( ここでは T a max=50 とします ) 図 22 リード温度測定方法例 以上の条件で計算すると T j = P θ jl +T la +T a max[ ] = 0.8 10+(80-25)+50 = 113 Tj 推定値は 113 となります 2 フィンなしプリント基板実装における Tj の推定方法 (2) 定常動作時の接合部温度 Tj は 接合部 周囲間の熱抵抗 θ ja を用いて 次式によっても求められます T j =P θ ja +T a max[ ] ここでは (2) 電力損失の求め方 2 の例を元に計算を行います a. 出力電流 I O 時の電力損失 P をカタログの電力損失曲線より求めます (P=0.85W) b. 接合部周囲間の熱抵抗 θ ja はカタログ記載の電気的特性値を使用します (θ ja =110 /W) c. 周囲温度の最大値 T a max は設計最大値によります ( ここでは T a max=45 とします ) 以上の条件で計算すると T j = P θ ja +T a max = 0.85 110+45 = 138.5 Tj 推定値は 138.5 となります 図 23 順電力損失 22 (J531-1) www.shindengen.co.jp

3 放熱板実装におけるTjの推定方法放熱板使用時の T j は接合部 ケース間熱抵抗 θjc を用いて 次式により求めます T j =P θ jc +T ca +T a max ここでは (2) 電力損失の求め方 3 の例を元に計算を行います a. 電力損失 P をカタログの電力損失曲線より求めます (P=14.5W) b. 接合部 リード間熱抵抗 θ jc はカタログ記載の電気的特性値を使用します ( ここでは θ jc =2 /W とします ) c. ケース温度 周囲温度上昇 T ca を実測により求めます 例えば T c =80 T a =25 の場合 T ca =80-25=55 d. 周囲温度の T a max は設計最大値によります ( ここでは T a max=45 とします ) 以上の条件で計算すると T j = P θ jc +T ca +T a max = 14.5 2.0+55+45 = 129 Tj 推定値は 129 となります www.shindengen.co.jp (J531-1) 23

2-6 サージ順電流特性 一般的によく使用されるコンデンサインプット型電源回路では 電源の投入時に大きな電流が流れます これは整流部の後段の平滑用コンデンサがチャージされていないため 入力側のスイッチを ON にすると ダイオードを通して大きな充電電流が流れるためです この突入電流がダイオードのサージ電流耐量以下であることを確認し 耐量以上の電流が流れる時は 対策を行う必要があります (1) せん頭サージ順電流 I FSM I FSM は 50Hz 正弦波 1 サイクルでの非繰り返し最大許容順電流値であり 温度が指定条件に戻る前の再投入などの繰り返し動作には適用できません また サージ電流が 2 サイクル以上印加される場合は耐量が減少しますので カタログのせん頭順電流耐量特性図を使用します 繰り返しの場合は 繰り返し回数に応じて その 1 回目の電流ピーク値が入っていることが条件となります (2) 電流二乗時間積 I 2 t カタログの定格表に記した I FSM は 50Hz 正弦波入力時の規格です しかし 実際の回路では 印加電圧 電源のインピーダンスなどにより 突入電流のピーク値 パルス幅 tp は個々に変わり 10ms より短いパルス幅であることがほとんどです 1ms tp<10ms でのパルス幅での非繰り返し許容順電流値を計算する場合には I 2 t を使用し I 2 t t P 0 I 2 dt の時には許容できると判断します 例図 24 のような正弦波が Tj=25 で印加された場合は I 2 t は矩形波による値を使用しているため印加される電流波形は Ip=180A の正弦波 Ip=180A 1 正弦波から矩形波への換算 180[A] 2 = 127.3[A] 2 I 2 t の計算 I 2 t = 127.3[A] 127.3[A] 0.002[sec] = 32.4 [A 2 s] I 2 t が 32.4[A 2 s] 以上のダイオードを選定すれば Tj=25 での使用について問題はありません 2ms 図 24 正弦波 24 (J531-1) www.shindengen.co.jp

(3) 高温時の突入電流について 定格表では Tj=25 時の保証のみとなっていますが 高温時に突入電流が印加された場合は 図 25 のせん頭サージ順電流減少率グラフから I 2 t 規格値をディレーティングして使用可否判断ができます 例図 24 のような正弦波が Tj=100 で印加された場合は (2) にて Tj=25 で算出された値を用いて 1 ディレーティングを読み取る 図 25 から Tj=100 時を読み取ると 70[%] となるため 仕様書定格を 60[A 2 s] とした場合は 図 25 せん頭サージ順電流減少率 I 2 t(tj=100 ) = 60[A 2 s] 70[%] = 42[A 2 s] 図 24 の電流波形は I 2 t<42[a 2 s] 以下であるため 使用について問題はありません www.shindengen.co.jp (J531-1) 25

2-7 逆方向のサージ保証について ダイオードは 逆電流が急増して素子破壊の原因となるので V RM を超える逆電圧の印加は許容しておりません しかし V RM を超えていても 下記項目を満足していれば使用可能です 繰り返しせん頭サージ逆電圧 V RRSM 繰り返しせん頭サージ逆電力 P RRSM これらは主に V RM を超えるスパイク状の電圧に対して適用します 図 26 V RRSM P RRSM 定義 (1) 非繰り返しせん頭サージ逆電圧 V RSM 非繰り返しせん頭サージ逆電圧 V RSM は降伏電圧を超えない (I R の急増しない ) 領域で パルス幅 Duty の条件付きで使用可能な最大電圧を規定しています (2) 繰り返しせん頭サージ逆電圧 V RRSM 繰り返しせん頭サージ逆電圧 V RRSM は降伏電圧を超えない (I R の急増しない ) 領域で パルス幅 Duty の条件付きで使用可能な最大電圧を規定しています (3) 繰り返しせん頭サージ逆電力 P RRSM V RRSM を超える電圧の場合には 繰り返しせん頭サージ逆電力 P RRSM が適用できるかどうかの検討を行います P RRSM は逆方向にかかる最大電圧 V RP とその時の漏れ電流 I RP の積により表されます 接合部温度 T j とパルス幅 t p をディレーティングし 規格を満足していれば使用可能となります P RRSM 保証例定格表 1(P.13) を例にとって 図 27 のような使い方が保証内であるかどうかの検証を以下に示します P RRSM 定格は 660W ( 条件 :T j =100,t p =10μs) ( イ ) 動作波形例での P RRSM は P RRSM =V RP I RP =80 5=400W(T C =100,tp=0.1μs) ( ロ ) 温度 パルス幅の条件を同一にした時 図 27 動作波形例 26 (J531-1) www.shindengen.co.jp

1 図 27 の動作波形が T j max 以下になっているかどうかを検証します a. 順電力損失 P F =6W (D=0.5) 図 28 において I O =10A b. 逆電力損失 P R =5.5W (D=0.5) 図 29 において V R =30V c. 逆サージ電力損失 P RS P RS =V RP I RP tp f=80 5 0.1 10-6 100 10 3 =4W d. 電力損失計 P a P a =P F +P R +P RS =6+5.5+4=15.5W e. 接合部温度 T j T j =P a θ jc +T C =15.5 1.8+100=127.9 T j <T j max 以下であるため 次に P RRSM が保証内かどうかを検証します 図 28 順電力損失 図 29 逆電力損失 2 図 30 を使い T j から P RRSM 定格値をディレーティングします P RRSM '=660 0.25=165W ( イ ) 3 図 31 を使い tp から P RRSM 定格値をディレーティングします P RRSM ''=P RRSM ' <P RRSM (tp)/p RRSM '(10μs)>=165 4.4=726W ( イ )'' 上記条件での保証値は 726W となります ( イ )''=726W >( ロ )=400W ですので使用可能と判断できます 図 30 繰り返しせん頭サージ逆電力減少率 図 31 繰り返しせん頭サージ逆電流耐量 www.shindengen.co.jp (J531-1) 27

2-8 ダイオードの並列 直列使用 (1) ダイオード並列使用 ダイオードを図 32 のように並列接続して使用する場合 同じ製品であっても順電圧 V F にはバラツキがあり それぞれのダイオードに流れる電流に不均衡が生じることを考慮しなければなりません 図 33 に示すように V F が max 特性のものと min 特性のものが組み合わされて使用されたとき V F min 特性のものが max 特性のものより多くの電流を負担することになります また 2 つのダイオードの温度環境が異なる場合にも電流分担の不均衡が生じます よって 並列接続で使用する場合には これらの問題を考慮してマージンを設定したり 温度の違いが生じないような実装をする必要があります 図 32 図 33 (2) ダイオード直列接続 ダイオードを直列接続にて使用する場合 接合容量や逆電流のバラツキにより 各ダイオードに印加される逆電圧 V R は異なることがあります 直流的にはバランス抵抗を各ダイオードに並列接続する事で均等分圧できますが 高周波動作でのダイオードターンオフ時には trr のバラツキによって 瞬間的に分圧のバランスがくずれることが予想されます よって 高周波動作時のダイオード直列接続使用は 推奨しておりません 図 34 28 (J531-1) www.shindengen.co.jp

2-9 熱暴走について ダイオードの温度上昇は 順電力損失 逆電力損失など素子の自己発熱によるものと 周囲から伝搬してくる二次的なものがあります 一方 ダイオードには 温度上昇によって素子の逆電流が増加するという特性があります 素子の発熱量よりも放熱量が小さい場合には さらなる温度上昇を招くため 温度上昇 逆電流の増加 逆電力損失の増加 温度上昇 を繰り返し 素子の温度が上昇し続けた結果 素子が破壊されてしまいます このような現象を 熱暴走といいます 図 35 にダイオードの接合温度と損失の関係を示します ダイオードは接合温度が上昇すると V F は低下する性質があるため 順電力損失 (P F ) は下がります 逆に I R は増加する性質があるため 逆電力損失 (P R ) は上がります P F と P R の和がダイオード全体の損失 (P total ) となります ある温度を超えると P R は急激に増加するため P total としては P F による低下分よりも P R の増加の影響が大きくなります P total の傾きが急になり ある傾きを超えると熱暴走が起こります どこまでの傾きが許容できるかは放熱量 ( 熱抵抗 ) によって変わります I R が大きい SBD は PN ダイオードに比べ 熱暴走の危険が高くなりますので 素子の使用条件および放熱条件には十分考慮のうえご使用下さい 図 35 ダイオードの接合温度と損失の関係 放熱能力 放熱能力 損失による発熱 放熱能力 > 損失による発熱 放熱の能力に余裕があり 素子の損失による発熱が十分放熱されている 損失による発熱 放熱能力 < 損失による発熱 放熱の能力よりも 素子の損失による発熱が大きく放熱しきれない素子の温度が上がる 素子の損失が増える 素子破壊に至る www.shindengen.co.jp (J531-1) 29