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二 言 語 併 用 貨 幣 の 伝 播 :ギリシア 系 バクトリア 王 国 からクシャン 朝 まで ギリシア 系 のバクトリア 王 国 は アレクサンドロス 大 王 ( 在 位 前 336- 前 323)の 没 後 その 東 征 軍 の 一 部 であるバクトリアの 総 督 ディオドトスⅠ 世 ( 在 位 前 256- 前 248)が 興 し た 王 国 である そのバクトリア 王 国 のギリシア 人 諸 王 のうち デメトリオス 1 世 ( 在 位 前 200- 前 185)の 時 世 になるとヒンドゥークシュ 山 脈 を 越 えてインドの 西 北 に 進 出 した これ 以 降 の 諸 王 の 貨 幣 とヒンドゥークシュ 山 脈 以 北 にとどまっていたころの 諸 王 の 貨 幣 とは 異 なる 面 がある 銘 文 についていえば に 異 なる 文 字 と 言 語 が 書 かれた 貨 幣 いわゆる 二 言 語 併 用 貨 幣 が 現 れる そのデメトリオス 1 世 には 三 人 の 息 子 がいたらしい デメトリ オス 2 世 ( 在 位 前 180- 前 165) アガトクレス( 在 位 前 180- 前 165) パンタレオン( 在 位 前 185- 前 175)であり それぞれの 王 名 をもつ 二 言 語 併 用 貨 幣 が 発 行 されている デメトリ オスとするものはギリシア 文 字 とカローシュティー 文 字 によるものであり 1 アガトクレス パンタレオンとするものにはギリシア 文 字 とブラーフミィー 文 字 によるものがある 2 もっ とも 周 辺 地 域 と 後 代 に 与 えた 影 響 という 点 では 前 者 のギリシア 文 字 とカローシュティ ー 文 字 銘 文 による 二 言 語 併 用 貨 幣 の 方 がはるかに 大 きい なお バクトリア 諸 王 の 系 譜 と 在 位 年 は 前 田 1992:146 による その 後 インド 西 北 の 地 においては ギリシア 系 バクトリア 王 国 に 代 わり 幾 つかの 民 族 の 興 亡 があったが 二 言 語 併 用 貨 幣 は 発 行 され 続 けた ここではそのあたりの 資 料 を 確 認 する インド グリーク 朝 絶 頂 期 の 二 言 語 併 用 貨 幣 インド グリーク 朝 というと デメトリオス 1 世 の 息 子 デメトリオス 2 世 以 降 ヒンドゥ ークシュ 山 脈 以 南 を 統 治 したギリシア 人 の 王 国 を 指 すようである 以 下 に 紹 介 する 貨 幣 は アガトクレスの 娘 アガトクレイアと 結 ばれたことにより 王 系 に 列 したとされる 武 将 メナン ドロスの 発 行 したものである メナンドロス( 在 位 前 155- 前 130)は エウクラティデス( 在 位 前 171- 前 155)の 死 後 インド グリーク 朝 の 絶 頂 期 を 作 り 上 げた 人 物 であり また 仏 教 を 最 初 に 受 け 入 れたギリシア 系 の 王 としても 知 られている ミリンダ 王 の 問 い という 書 は 仏 教 の 経 典 に 準 ずるものとして 扱 われるわけであるが ここではギリシアのミリンダ 王 とインドのナーガセーナ 尊 者 の 対 話 が 展 開 されている 対 話 の 主 人 公 であるミリンダ 王 とはメナンドロス 王 のことである には 王 の 胸 像 の 周 囲 にギリシア 文 字 ギリシア 語 が 二 行 書 かれている 一 行 は 9 時 の 位 置 より 時 計 回 りに 貨 幣 の 内 側 よりみてΒΑΣΙΛΕΩΣ(basileōs 王 の) ΣΩΤΗΡ ΟΣ(sōtēros 救 済 者 の)とある 他 の 一 行 は 8 時 の 位 置 より 反 時 計 回 りに 貨 幣 の 外 側 よりみ てΜΕΝΑΝΔΡΟY(menandrou メナンドロスの)とある 全 体 で 救 済 者 たる 王 メナンド 1 前 田 1992 参 照 これらのコインはいずれもデメトリオスⅡ 世 のものと 考 えられる そしてこの 二 言 語 併 用 には 特 別 の 意 味 があったと 思 われる それはカロシュティー 語 文 化 圏 とデメトリオスⅡ 世 との 深 いか かわりを 示 すものにほかならない デメトリオスがインダス 河 流 域 の 経 営 に 力 をふるったからなのかもし れない (161 頁 ) 2 貨 幣 の 見 本 は パンタレオンについてはグプタ 2001 の 217 頁 No.36 及 び Mitchiner1975 の p.84 参 照 アガトクレスについてはシ ョナサン ウイリアムス 1998 の 46 頁 及 び Mitchiner1975 の p.80 参 照

ロスの と 読 める には 神 の 立 像 の 周 囲 にカローシュティー 文 字 インド 俗 語 (ガンダーラ 語 )が 二 行 書 かれている 一 行 は 3 時 の 位 置 より 反 時 計 回 りに 貨 幣 の 内 側 よりみて maharajasa( 大 王 の) tratarasa( 救 済 者 の)とある 他 の 一 行 は 4 時 半 の 位 置 より 時 計 回 りに 貨 幣 の 外 側 よりみて menamdrasa(メナンドロスの)とある 3 単 語 に 単 数 属 格 語 尾 asa があり 3 全 体 で 救 済 者 たる 王 メナンドロスの と 読 める 4 インド スキタイ 朝 の 二 言 語 併 用 貨 幣 その 後 紀 元 前 85 年 頃 には 北 方 よりイラン 系 の 遊 牧 国 家 が 侵 入 し インド グリーク 朝 は 滅 びていくこととなる インド 西 北 に 新 たに 興 ったイラン 系 のマウエス アゼス アジ リセスなどの 諸 王 の 王 国 をインド スキタイ 朝 と 称 する インド スキタイ 朝 の 諸 王 はイ ンド グリーク 朝 のギリシア 文 化 を 取 り 入 れたようである 5 次 に 紹 介 する 貨 幣 はアゼス 王 の 発 行 にかかる 銀 貨 である には この 民 族 を 彷 彿 とさせる 人 物 の 立 像 の 周 囲 にギリシア 文 字 ギリシア 語 が 二 行 書 かれている 一 行 は 7 時 の 位 置 より 時 計 回 りに 貨 幣 の 内 側 よりみてΒΑΣΙΛΕΩΣ (basileōs 王 の) ΒΑΣΙΛΕΩΣ(basileōn 諸 王 の) ΜΕΓΛΟY(megalou 偉 大 な)と ある 他 の 一 行 は 7 時 の 位 置 より 反 時 計 回 りに 貨 幣 の 外 側 よりみてΑΖΟY(azou アゼスの) とある 全 体 で 諸 王 の 王 にして 偉 大 なるアゼスの と 読 める には 女 神 の 立 像 の 周 囲 にカローシュティー 文 字 インド 俗 語 (ガンダーラ 語 )が 二 行 書 かれている 一 行 は 5 時 の 位 置 より 反 時 計 回 りに 貨 幣 の 内 側 よりみて maharajasa( 大 王 の) rajarajasa( 諸 王 の) mahatasa( 偉 大 なる)とある 他 の 一 行 は 5 時 半 の 位 置 より 時 計 3 Burrow1937 の 22 頁 に 単 数 属 格 語 尾 として-asa を 挙 げる この 書 は 中 国 トルキスタンのカローシュティ ー 文 書 を 扱 ったものであり 本 貨 幣 とは 時 代 も 地 域 も 異 なるが これによって 貨 幣 の asa をも 属 格 語 尾 と して 大 過 はないであろう 4 中 村 2004 参 照 5 田 辺 1992 の 57 頁 によると ガンダーラ 地 方 を 支 配 したこれらイラン 系 の 遊 牧 国 家 インド スキタイ 朝 のマウエス アゼス アジリセスなどの 諸 王 はインド グリーク 朝 のギリシア 文 化 を 積 極 的 に 取 り 入 れ コインもインド グリーク 朝 のコインに 準 じた 銀 貨 ( 銅 が 混 入 したビロンも 含 めて)と 銅 貨 を 発 行 した と ある なお 紀 元 前 85 年 頃 という 年 代 については 前 田 1992 の 230 頁 参 照

回 りに 貨 幣 の 外 側 よりみて ayasa(アゼスの)とある 全 体 で 諸 王 の 王 にして 偉 大 なるアゼ スの と 読 める 6 諸 王 の 王 という 現 がギリシア 文 字 ギリシア 語 とカローシュティー 文 字 インド 俗 語 (ガンダーラ 語 )の 両 者 に 見 えるが これはイラン 文 化 の 影 響 を 受 けた 貨 幣 にみられる 現 形 式 である クシャン 朝 の 二 言 語 併 用 貨 幣 その 後 ヒンドゥークシュ 山 脈 以 北 に 興 った 遊 牧 民 クシャン 族 は 山 脈 以 南 に 進 出 し イン ド 西 北 の 地 を 中 心 として 栄 えた いわゆるクシャン 朝 である ここに 紹 介 する 貨 幣 はクシ ャン 朝 の 最 盛 期 を 築 いた 有 名 なカニシカ 王 ( 在 位 後 143- 後 171)の 曽 祖 父 クジュラ カド フィセス( 在 位 後 60- 後 100)の 発 行 になるものである なお クシャン 朝 諸 王 の 在 位 年 は 小 谷 2003 による には 王 の 頭 像 の 周 囲 にギリシア 文 字 ギリシア 語 が 二 行 書 かれている 一 行 は 6 時 の 位 置 より 時 計 回 りに 貨 幣 の 内 側 よりみて[Β]ΑΣΙΛΕΩΣ(basileōs 王 の) ΣΤΗΡ ΟΣΣ[V](stērossu 不 明 )とある 他 の 一 行 は 5 時 の 位 置 より 反 時 計 回 りに 貨 幣 の 外 側 よ りみて[ΕΡΜΑΙΟV](ヘルマイオスの)とある []は Mitchiner2004:597 で 補 った 部 分 ΣΤΗΡΟΣΣ[V]の 意 味 するところは 不 明 であるが おそらくはΣΩΤΗΡΟΣ (sōtēros 救 済 者 の)と 関 係 のある 語 なのであろう 田 辺 1992:173 はこの 銘 文 を 救 済 主 ヘルマイオス 王 の と 読 む なお ギリシア 文 字 ギリシア 語 銘 文 にみられるヘルマイオ スはインド スキタイ 朝 の 王 名 である これはインド グリーク 朝 最 後 の 王 とされるヘル マイオスの 貨 幣 を 模 倣 したものらしい には ヘラクレスの 立 像 の 周 囲 にカローシュティー 文 字 インド 俗 語 (ガンダーラ 語 ) が 一 行 書 かれている 8 時 の 位 置 より 反 時 計 回 りに 貨 幣 の 外 側 よりみて kushana(クシャン 6 中 村 2004 参 照

族 ) yavugasa( 翕 侯 ( 族 長 )の) dhra[mathidasa]( 法 に 住 みたる( 法 を 堅 持 したる)) 7 [kujulaka]sasa(クジュラ カドフィセスの)とある []は Mitchiner2004:597 で 補 った 部 分 意 味 するところは クシャン 族 の 長 法 に 住 みたる( 法 を 堅 持 したる)クジュラ カ ドフィセスの ともなろうか その 後 クシャン 朝 もカニシカ 王 の 時 代 になると 二 言 語 併 用 貨 幣 は 行 われず ギリシ ア 文 字 ギリシア 語 の 銘 文 のみを 持 つ 貨 幣 や さらにはギリシア 文 字 でイラン 語 の 系 統 で あるバクトリア 語 を 記 した 銘 文 のみを 持 つ 貨 幣 が 発 行 されるようになる 参 考 文 献 ( 発 行 年 順 ) Burrow,T.1937.The Language of the Kharosthī Documents from Chinese Turkestan. Cambridge: Cambridge University Press. 渡 邊 弘 1973. 西 域 の 古 代 貨 幣, 学 習 研 究 社 Michael Mitchiner1975.Indo-Greek and Indo-Scythian coinage Volume I.The early Indo-Greek and their antecedents. London:Hawkins Publications. 田 辺 勝 美 編 1992. [ 平 山 コレクション]シルクロードのコイン, 講 談 社 前 田 耕 作 1992. バクトリア 王 国 の 興 亡 (レク ルス 文 庫 ), 第 三 文 明 社 水 野 弘 元 1994. パーリ 語 辞 典 二 訂 版 春 秋 社 シ ョナサン ウイリアムス 編 / 湯 浅 赳 男 訳 1998. 図 説 お 金 の 歴 史 全 書, 東 洋 書 林 第 1 刷 1998 年, 第 2 刷 2002 年 P.L.グプタ 著 / 山 崎 元 一 他 訳 2001. インド 貨 幣 史 古 代 から 現 代 まで 刀 水 書 房 小 谷 仲 男 2003. クシャン 族 とガンダーラ 仏 教, NHK スヘ シャル 文 明 の 道 2ヘレニズムと 仏 教 日 本 放 送 出 版 協 会,200-225 頁 7 渡 邊 1973:59 は ( 仏 ) 法 に 帰 依 したる Mitchiner1988:597 は Steadfast in the law 田 辺 1992:174 は 正 法 の 人 とする おそらく thida はパーリ 語 の thita( 形 容 詞 ) 住 立 せる 停 住 の に 相 当 する 語 であろう パーリ 語 は 水 野 1994:114 参 照

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