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日 本 機 械 学 会 RC196 資 源 環 境 問 題 に 調 和 した 熱 エネルギーシステムとその 基 盤 技 術 に 関 する 調 査 研 究 分 科 会 研 究 報 告 書 II (2004 年 8 月 ) 琵 琶 湖 疏 水 と 田 辺 朔 郎 京 都 大 学 吉 田 英 生 1.はじめに まず 最 近 入 手 した 興 味 深 い 数 字 から 示 させていただこう. 京 都 大 学 工 学 部 における 3 回 生 前 期 講 義 エネルギー 変 換 工 学 の 中 で, 今 期, 極 めて 簡 単 なアンケートを 行 った. 回 答 数 は 119 名 なので, 統 計 量 としてはまずまず 意 味 があると 考 えてよいだろう.その 内 容 は 以 下 のとおりである. 知 っている 知 らない 琵 琶 湖 疏 ( 疎 ) 水 について 88 名 (74%) 31 名 (26%) 田 辺 朔 郎 について 26 名 (22%) 93 名 (78%) なお, 知 っていると 回 答 する 場 合 に,その 程 度 は 問 わず, 耳 にしたあるいは 目 にしたことがあればよ しとした. 琵 琶 湖 疏 水 は, 蹴 上 にあるインクライン, 南 禅 寺 で 高 架 となっている 水 路 閣,さらには 京 都 では 珍 しく 南 から 北 に 流 れている 川 ( 水 路 )などの 形 で,その 恩 恵 はともかく, 京 都 の 住 人 には 日 常 的 に 意 識 されているといえよう. 一 方, 琵 琶 湖 疏 水 建 設 の 工 事 主 任 である 田 辺 朔 郎 については 約 4 分 の 1 の 学 生 が 知 っている. 筆 者 自 身 は 第 一 印 象 ではたった 4 分 の 1 かと 感 じたが,このことを 教 室 内 の 先 生 にお 伝 えしたところ,この 数 字 は 結 構 高 い 値 で,やはり 京 都 の 学 生 であると 感 心 すべきことで はないかと 感 想 を 述 べられた.そのように 理 解 するのが 適 切 かもしれない. もとより, 筆 者 は 琵 琶 湖 疏 水 を 研 究 しているわけでない. 琵 琶 湖 疏 水 と 田 辺 朔 郎 については, 田 村 喜 子 氏 の 京 都 インクライン 物 語 1) や, 多 数 のホームページ(なかでも 京 都 市 上 京 区 2), 京 都 市 水 道 局 3), 英 語 では 日 揮 株 式 会 社 4) )に 充 実 した 記 述 があり, 本 稿 でも 大 部 分 の 情 報 入 手 はこれらによって いる.そこで 筆 者 としては, 屋 上 屋 を 架 すことを 避 けるため, 当 時 Edison を 中 心 に 急 速 に 普 及 した 電 力 との 関 わりに 多 少 なりとも 力 点 をおきたいと 思 った.したがって, 琵 琶 湖 疏 水 と 田 辺 朔 郎 について は 上 記 文 献 からの 引 用 を 中 心 にして 筆 者 が 補 足 するにとどめ,むしろ 当 時 の 世 界 日 本 京 都 を,エ ネルギーを 中 心 とする 文 明 の 視 点 から 整 理 することを 目 的 として, 年 表 作 成 を 主 要 作 業 とした. 2. 明 治 遷 都 と 京 都 上 京 区 のホームページ 2) から 引 用 する. 大 政 奉 還 により, 京 都 は 維 新 政 府 唯 一 最 大 の 拠 点 都 市 となったが, 新 政 府 の 間 からは 遷 都 論 が 起 きた. 旧 幕 府 勢 力 の 強 い 関 東 地 方 に 新 首 都 を 置 くのが 妥 当 との 意 見 が 大 勢 を 占 め, 慶 応 4 年 (1868), 江 戸 は 東 京 と 改 められ, 年 号 も 明 治 と なって,2 度 にわたる 東 京 行 幸 が 行 われた. 京 都 では 遷 都 反 対 運 動 があったものの, 結 局, 首 都 の 座 を 東 京 に 明 け 渡 し たのである. 遷 都 によって, 公 家 や 官 吏 たちが 東 上 すると 有 力 商 人 達 も 京 都 の 街 を 離 れ, 京 都 の 人 口 は 35 万 人 から 20 万 人 余 りに 激 減 してしまった. 京 都 御 所 の 公 家 町 も 消 失 した. しかし, 京 都 市 民 は 伝 統 都 市 の 復 興, 改 革 への 意 欲 に 燃 え, 立 ち 上 がった. 初 代 京 都 府 知 事 長 谷 (ながたに: 筆 者 がルビ 挿 入 ) 信 篤 が 中 心 となって 獲 得 した 租 税 免 除 の 特 典 や 10 万 円 の 産 業 基 立 金,15 万 円 の 勧 業 基 立 金 などを 資 金 に, 街 の 復 興 に 向 けてさまざまな 施 策 が 実 施 された. 初 代 府 知 事 の 長 谷 信 篤 は 公 卿 三 位 であったが 激 動 の 時 期 の 府 知 事 としては 温 厚 に 過 ぎた.その 下 で 権 大 参 事 として 仕 えた 長 州 出 身 の 槙 村 正 直 が 京 都 策 という 大 胆 過 激 な 政 策 をどんどん 実 行 した. 槙 村 は, 一 時 は 政 治 生 命 も 危 なくなったが, 明 治 8 年 に 長 谷 の 後 任 として 第 2 代 知 事 となる.しかし 1

府 会 と 対 立 して,かつてのブレイン 山 本 覚 馬 ( 会 津 藩 出 身 )からも 見 放 された 槙 村 は 明 治 14 年 1 月 に 辞 表 を 提 出 した. 3. 第 3 代 知 事 北 垣 国 道 と 琵 琶 湖 疏 水 計 画 この 後,1 月 26 日 に 第 3 代 知 事 として 着 任 したのが 但 馬 出 身 の 北 垣 国 道 (くにみち)である. 幕 末 の 尊 皇 攘 夷 派 だった 北 垣 は, 田 村 1) によれば, 維 新 後 は 久 美 浜 県 ( 現 京 都 府 熊 野 郡 久 美 浜 町 ) 知 事 を 振 出 しに, 北 海 道 弾 正 台, 北 海 道 開 拓 使 判 官, 鳥 取 県 小 参 事, 西 南 の 役 平 定 直 後 の 熊 本 県 大 書 記 官 を 歴 任, 明 治 12 年 6 月 高 知 県 令 となり,13 年 3 月 には 土 佐 から 阿 波 を 分 離 独 立 させ て, 徳 島 県 令 を 兼 任 した.( 中 略 ) 専 横 槙 村 にうんざりしていた 京 都 府 民 にとっては, 乾 いた 田 に 慈 雨 を 得 たような 悦 びだった. 北 垣 は 就 任 3 ヶ 月 目 に 琵 琶 湖 疏 水 計 画 の 調 査 を 命 令 した. 以 下, 上 京 区 のホームページ 2) から 引 用 する. 元 来, 京 都 は 三 方 を 山 に 囲 まれた 盆 地 であるため 交 通 の 便 が 悪 く, 特 に 北 陸 地 方 からの 交 通 は 至 難 であった. 鴨 川 を はじめとする 河 川 は 水 量 が 少 なく, 用 水 や 舟 運 の 面 でも 水 利 は 不 十 分 であった.そこで,3 代 目 の 京 都 府 知 事 北 垣 国 道 は, 市 民 の 用 水 確 保, 舟 運 の 便 宜, 水 力 による 交 通 産 業 の 動 力 確 保 を 目 的 として, 琵 琶 湖 疏 水 計 画 を 立 案 した. 琵 琶 湖 疏 水 計 画 は 江 戸 時 代 から 度 々 立 案 されてはきたが, 余 りに 巨 額 の 費 用 と 困 難 を 伴 うため 実 行 されなかったものであ る.しかし, 北 垣 知 事 は 京 都 100 年 の 大 計 のため,この 事 業 に 政 治 生 命 を 賭 けたのであった. 明 治 15 年 (1882), 北 垣 はこの 大 事 業 実 現 をめざし, 中 央 政 府 各 省 庁 を 説 得. 内 務 卿 山 田 顕 義 をはじめ 大 蔵, 農 商 務 各 卿 の 賛 意 を 得 た.さらに 北 垣 は, 北 海 道 開 拓 使 時 代 に 面 識 のあった 東 京 虎 の 門 の 工 部 大 学 校 ( 東 京 大 学 工 学 部 の 前 身 )に 大 鳥 圭 介 校 長 を 訪 ね, 相 談 した. 話 を 聞 いた 大 鳥 は, 当 時, 工 部 大 学 校 学 生 であった 田 辺 朔 郎 を 呼 び 寄 せ, 北 垣 に 紹 介 した. 田 辺 は 執 筆 中 の 卒 業 論 文 を 見 せたが,それは 何 と 琵 琶 湖 疏 水 に 関 するもので, 彼 はその 内 容 について 澱 み なく 説 明 したのである. 北 垣 は 翌 明 治 16 年 ( 下 線 部 は 筆 者 が 挿 入 ), 弱 冠 23 歳 ( 筆 者 注 : 正 しくは 満 21 歳, 数 え 22 歳 ではないか)の 工 学 士 田 辺 を 京 都 府 御 用 係 として 招 聘,この 大 土 木 事 業 の 実 現 を 託 した. なお, 田 辺 朔 郎 と 会 って 意 を 強 くした 北 垣 は, 京 都 に 戻 ると, 前 任 地 の 高 知 で 測 量 技 術 を 高 く 評 価 していた 島 田 道 生 を 測 量 主 任 として 呼 び 寄 せ, 京 都 府 六 等 属 に 任 命 した. 図 1 に 第 1~3 代 京 都 府 知 事 と 田 辺 朔 郎 の 写 真 を 示 す. 長 谷 信 篤 槙 村 正 直 北 垣 国 道 田 辺 朔 郎 図 1 第 1~3 代 京 都 府 知 事 と 田 辺 朔 郎 4. 田 辺 朔 郎 が 北 垣 国 道 に 出 会 うまで 話 は 前 後 するが, 田 辺 朔 郎 の 生 い 立 ちを 簡 略 に 追 ってみる. 田 辺 朔 郎 は 文 久 元 年 (1861 年 )11 月 1 日, 西 洋 砲 術 家 の 田 辺 孫 次 郎 ふき 子 の 長 男 として 生 まれた. 田 辺 家 は 代 々 学 問 を 以 て 幕 府 に 仕 えて 来 た 家 柄 で, 祖 父 田 辺 石 菴 は 昌 平 黌 教 授 や 甲 府 徽 典 館 の 学 頭 をつとめた 儒 者 だった. 1) しかし, 朔 郎 の 生 後 9 ヶ 月, 孫 次 郎 は 異 国 渡 来 の 麻 疹 のため 42 才 で 病 没 する. 朔 郎 は 父 を 亡 くした 上 に 旧 幕 臣 の 家 系 のため 苦 境 の 中 で 育 った.しかし, 徳 川 家 が 駿 府 に 封 を 得 て 70 万 石 の 一 大 名 になったとき, 帰 参 を 許 された 旧 幕 臣 は 静 岡 に 移 住 することになったので, 孫 次 郎 の 弟 の 田 辺 太 一 が 沼 津 の 兵 学 校 で 教 鞭 2

をとるようになった 関 係 で 朔 郎 も 沼 津 に 移 った. 太 一 は 昌 平 黌 卒 業 後, 幕 府 の 外 国 方 に 出 仕 し 外 交 畑 を 歩 いていたため, 沼 津 に 移 った 後 も,その 外 交 手 腕 を 買 われて 新 政 府 の 外 務 省 への 強 い 任 官 要 請 が なされた. 当 初 は おれが 天 朝 の 禄 を 食 (は)めるかい と 拒 否 していたが, 明 治 4 年 11 月 12 日, 岩 倉 具 視 らの 欧 米 視 察 団 に 第 一 書 記 官 として 出 発 した.これに 伴 って 朔 郎 も 湯 島 に 落 ち 着 いた. 明 治 6 年 9 月 13 日,1 年 10 ヶ 月 ぶりに 岩 倉 具 視 らの 欧 米 視 察 団 が,アメリカ,イギリス,フラン ス,ドイツ,オランダ,ベルギー,イタリアなどを 回 って 帰 国 した.このとき 朔 郎 が 横 浜 港 まで 太 一 を 迎 えに 行 き, 外 国 汽 船 ゴールデンエイジ 号 に 乗 せてもらって 機 関 室 にある 蒸 気 エンジンを 見 たこと が, 朔 郎 が 工 学 に 取 り 憑 かれる 重 要 な 契 機 となった. 太 一 の 勧 めもあり, 明 治 8 年 5 月, 朔 郎 は 13 才 で 工 学 寮 附 属 小 学 校 に 入 学 した. 明 治 10 年, 工 学 寮 は 工 部 大 学 校 と 改 名 され, 朔 郎 は 入 学 した. 同 期 生 は 35 名 で,このときの 校 長 が 大 鳥 圭 介 である. 工 部 大 学 校 では 6 年 間 の 就 学 期 間 を 3 分 して 2 年 ずつ, 普 通 科, 専 門 科, 実 地 科 としていた.3 年 生 になって 朔 郎 は 専 門 科 として 土 木 科 を 選 んだ. 当 時 の 工 部 大 学 校 の 学 生 は 新 生 日 本 を 背 負 う 気 概 であり, 朔 郎 もその 一 人 として 東 京 湾 築 港 計 画 を 時 の 東 京 府 知 事 松 田 道 之 に 建 白 した.しかし, 採 用 には 至 らなかった.5 年 生 になって, 実 地 科 で は, 学 生 は 工 作 局 の 辞 令 を 受 けて 全 国 に 赴 き 実 地 研 究 を 行 う.その 実 地 研 究 が 卒 業 研 究 となる. 朔 郎 の 辞 令 には 学 術 研 究 ノタメ 東 海 道 筋 並 ニ 京 都 大 阪 出 張 申 付 候 明 治 十 四 年 三 月 十 八 日 工 作 局 と あった. 明 治 14 年 10 月, 朔 郎 は 湯 島 から 京 都 に 向 けて 出 発 した. 当 時, 鉄 道 は 東 京 ~ 横 浜 と 神 戸 ~ 膳 所 が 開 業 しているだけで, 横 浜 から 大 津 付 近 までは 徒 歩 の 旅 である. 三 条 まで 歩 き 通 した 朔 郎 は, 辿 り 着 いた 府 庁 勧 業 課 の 丹 羽 圭 介 七 等 属 から,たまたま 琵 琶 湖 疏 水 の 路 線 調 査 のことを 聞 かされた. 朔 郎 は 迷 わず 受 け 入 れ,2 ヶ 月 ほど 路 線 調 査 に 没 頭 して, 年 末 に 東 京 に 戻 った. 調 査 中 のけがで 右 手 が 不 自 由 になった 朔 郎 は, 左 手 で 卒 業 論 文 琵 琶 湖 疏 水 工 事 の 計 画 ( 英 語 )の 執 筆 に 着 手 した. 明 治 15 年 4 月 に 北 垣 知 事 が 上 京 し, 山 田 顕 義 内 務 卿, 品 川 弥 二 郎 農 商 務 省 小 輔, 井 上 馨 参 議, 松 方 正 義 大 蔵 卿, 山 県 有 朋 参 議, 榎 本 武 揚 外 務 大 輔 らと 交 渉 を 重 ねた.そして, 開 拓 使 時 代 に 面 識 のある 工 部 大 学 校 の 大 鳥 圭 介 校 長 を 訪 ねたとき, 大 鳥 から 引 き 合 わせたのが 卒 業 論 文 執 筆 中 の 田 辺 朔 郎 だった. 図 2 疏 水 縦 断 面 図 5. 不 退 転 の 北 垣 知 事 と 起 工 特 許 明 治 16 年 5 月 15 日, 工 部 大 学 校 を 卒 業 した 田 辺 朔 郎 は 京 都 府 御 用 掛 となり, 総 工 費 額 を 60 万 円 と 見 積 もった. 北 垣 の 努 力 で 11 月 7 日 には 勧 業 諮 問 会 において 全 会 一 致 で 琵 琶 湖 疏 水 起 工 に 賛 成 を 得, 3

11 月 17 日 には 上 下 京 連 合 区 会 で 琵 琶 湖 疏 水 工 事 議 案 を 出 席 議 員 52 名 中 49 名 賛 成 で 可 決 した.し かし 12 月 に 行 われた 内 務 省 や 農 商 務 省 相 手 のトップ 会 談 では, 薩 摩 と 長 州 の 派 閥 争 いという 面 もあり, すんなりとはことが 運 ばない.それだけでなく, 京 都 に 隣 接 する 滋 賀 県 や 大 阪 府 からも 種 々の 利 害 が からんだ 反 対 の 火 の 手 があがる. 最 後 に 内 務 省 土 木 局 が, 起 工 特 許 ではなく, 総 工 費 として 当 初 の 60 万 円 から 65 万 円 の 増 額 を 伴 う 工 事 計 画 の 修 正 を 求 め, 北 垣 に 選 択 を 迫 った.このような 工 費 増 額 分 を 京 都 府 民 が 持 つという 不 退 転 の 決 意 の 下 に, 琵 琶 湖 疏 水 起 工 特 許 が 下 ったのは 明 治 18 年 1 月 29 日 で あった. 図 2 と 図 3 に,それぞれ 琵 琶 湖 疏 水 の 縦 断 面 図 と 水 系 図 を 示 す. 図 3 琵 琶 湖 疏 水 水 系 図 (http://www80.sakura.ne.jp/~agua/biwacanal/route.html より) 6. 水 車 動 力 から 水 力 発 電 へ: 疏 水 工 事 の 完 成 と 日 本 最 初 の 電 気 鉄 道 上 京 区 のホームページ 2) から 引 用 する. 明 治 18 年 (1885)に 着 工 された 疏 水 建 設 は, 琵 琶 湖 湖 畔 から 山 科 経 由 で 鴨 川 に 至 る 全 長 11.1 キロメートルの 大 土 木 工 事 であった. 三 井 寺 下 より 藤 尾 村 に 通 じる 2436 メートルの 第 1 トンネルは, 当 時, 日 本 最 長 といわれ, 特 に 長 等 山, 小 関 峠 は 地 盤 が 硬 く, 湧 水 の 多 い 地 質 であったため 難 工 事 であった.しかし, 田 辺 は 小 関 峠 から 竪 坑 (シャフト)を 2 本 掘 り 4 方 向 からの 掘 削 という 新 工 法 を 用 いるなどして,これを 完 成 させている. 琵 琶 湖 疏 水 の 主 目 的 は, 水 利 による 運 輸, 交 通, 灌 漑, 飲 料 水 確 保, 並 びに 水 車 動 力 の 開 発 で, 水 車 動 力 の 開 発 は 産 業 発 展 のための 最 重 要 課 題 であった. 当 初 計 画 でも, 落 差 の 大 きい 蹴 上 から 鹿 ケ 谷 付 近 に 工 業 用 水 車 を 設 け, 付 近 一 帯 を 産 業 工 業 地 帯 とすることが 決 まっていた. ところが, 明 治 21 年 (1888), 上 下 京 連 合 区 会 において 疏 水 の 落 差 を 利 用 した 水 力 発 電 の 動 議 が 川 島 甚 兵 衛 らから 出 された. 当 時 わが 国 に 水 力 発 電 はなく, 世 界 でもスイス,アメリカで 小 規 模 なものがあるに 過 ぎなかった. 田 辺 も 水 力 発 電 を 考 慮 はしたものの, 技 術 的 な 問 題 等 で 決 断 できなかったのである. しかし,ちょうどその 頃, 米 国 アスペンの 水 力 発 電 所 開 業 の 報 が 伝 わり, 連 合 区 会 は 議 員 1 名 と 工 事 主 任 田 辺 朔 郎 を 視 察 に 派 遣 することを 決 定. 同 年, 田 辺 と 議 員 高 木 文 平 が 渡 米,ホリヨーク,アスペンなど 関 係 都 市 を 視 察 して, 翌 年 1 月, 帰 京 した. 田 辺 はただちに 水 車 動 力 を 廃 し, 水 力 発 電 所 建 設 にかかる.こうして 蹴 上 発 電 所 が 建 設 され, 以 後 の 京 都 市 発 展 の 原 動 力 となった. 4

明 治 23 年 (1890)4 月,4 年 8 カ 月 に 及 んだ 琵 琶 湖 疏 水 の 大 事 業 は, 実 に 125 万 6000 円 の 巨 費 をかけ,17 名 という 尊 い 犠 牲 の 上 に, 竣 工 した. 着 工 当 時 の 国 家 財 政 が 7000 万 円 規 模, 京 都 府 の 総 予 算 が 50~60 万 円 であったから, 事 業 の 大 きさと,これに 賭 けた 北 垣 知 事 の 執 念 がうかがえる. なお, 上 記 の 水 力 発 電 電 気 鉄 道 を 詳 細 に 取 り 上 げた 本 が 最 近 出 版 された 5). 著 者 の 高 木 誠 氏 は 高 木 文 平 の 孫 であり, 徹 底 した 調 査 に 基 づいて, 前 述 の 米 国 アスペンの 水 力 発 電 所 開 業 の 報 が 伝 わり という 一 般 に 報 じられていることは 事 実 ではないとしている. 二 人 は 渡 米 後, 米 国 では 鉄 道 の 発 達 に より 落 日 を 迎 えていた 運 河 を 目 の 当 たりにして 大 いに 落 胆 していたが,アスペンの 水 力 発 電 所 の 噂 を 聞 き 付 け, 光 明 を 見 出 したというのが 真 相 とのことである. ここで, 着 工 後 も, 抵 抗 は 内 外 から 続 いたことを 付 記 しておきたい. 例 えば,かの 進 歩 的 な 福 沢 諭 吉 でさえ, 京 都 の 近 代 産 業 都 市 化 に 理 解 を 示 さずに 南 禅 寺 の 水 路 閣 ( 図 4 参 照 )をやり 玉 にし, 疏 水 工 事 を 山 水 の 美, 古 社 寺 の 典 雅 を 傷 つける いわゆる 文 明 流 に 走 りたる 軽 挙 と 時 事 新 報 ( 明 治 25 年 5 月 13 日 )で 批 判 した.また,125 万 円 の 工 費 は, 産 業 積 立 金, 府 庁, 国 庫 下 渡 金, 市 債, 寄 付 金 でま かなわれることになっていたが,なお 不 足 分 は 市 民 から 賦 課 金 という 形 で 徴 収 された. 負 担 の 重 さに 耐 え 兼 ねた 市 民 からは, 今 度 来 た( 北 ) 餓 鬼 ( 垣 ) 極 道 ( 国 道 ) と 大 書 した 貼 紙 をされたともいう.しか し, 北 垣 はひるまなかった. 図 4 と 5 に 琵 琶 湖 疏 水 および 蹴 上 発 電 所 で 用 いられた 水 車 の 写 真, 図 6 に 明 治 28 年 2 月 1 日 に 日 本 最 初 に 開 業 した 京 都 電 気 鉄 道 ( 塩 小 路 東 洞 院 ~ 伏 見 下 油 掛 )N 電 6) の 写 真 を 示 す. 蹴 上 インクライン( 運 転 当 時 ) 現 在 のインクライン( 形 態 保 存 中 ) 第 2 トンネル 西 口 南 禅 寺 水 路 閣 図 4 琵 琶 湖 疏 水 (http://www.city.kyoto.jp/suido/biwakososui.htm より) 図 5 琵 琶 湖 疏 水 記 念 館 に 保 存 されている 水 車 図 6 京 都 電 気 鉄 道 (N 電 ) 5

7. 電 力 供 給 の 先 駆 者 たち 琵 琶 湖 疏 水 が 建 設 された 時 期 は,Edison らによる 電 気 の 時 代 の 幕 開 けでもあった.われわれにとっ てはあまりにもあたりまえすぎてピンとこないかもしれないが, 電 灯 の 恩 恵 に 浴 した 福 沢 諭 吉 が 一 身 にして 二 生 を 得 たと 述 懐 したように, 電 気 による 最 初 の 大 きな 恩 恵 は 照 明 であった 7). 年 表 1 に も 示 したように,ガス 灯 に 代 わって, 電 気 による 初 期 の 照 明 はアーク 灯 であった.しかし,アーク 灯 は 夜 間 の 戸 外 の 照 明 には 適 しても,われわれが 読 み 書 きするには 眩 しすぎた. 英 国 の 物 理 学 者 Swan によりアイデアが 出 された 白 熱 灯 (incandescent light)が Edison により 実 用 化 されたのは, 田 辺 朔 郎 が 工 部 大 学 校 専 門 科 に 進 級 した 1879 年 であった 8)9)10).( 図 7 参 照 ) Edison を 語 るとき, 無 数 の 発 明 に 目 を 奪 われて 忘 れてはならない 重 要 なことがある.それは, 電 気 というエネルギーを 集 中 的 に 発 電 して 供 給 するシステムを 構 築 したことである. 昨 今 でこそ 分 散 型 電 源 がエネルギー 利 用 の 効 率 化 の 点 から 注 目 されているものの, 電 力 を 広 域 に 輸 送 するシステムの 導 入 は, 人 類 にとって 革 命 的 なことであったといえよう.1882 年 9 月 4 日,New York の Pearl Street に 発 電 所 を 設 け, 地 下 ケーブルを 通 して 電 力 供 給 し, 電 球 点 灯 のデモンストレーションを 行 ったことは, まさに 電 気 時 代 の 華 々しいオープニングであった.( 図 8 参 照 ) Sir Joseph Wilson Swan Thomas Alva Edison Edison の 白 熱 灯 (1828-1914) (1847-1931) (1879) 図 7 白 熱 電 球 を 発 明 した Swan と Edison 図 8 Pearl Street Station その 偉 大 な Edison も 電 流 の 選 択 だけは 誤 った.セルビア 出 身 で 磁 束 密 度 の 単 位 にその 名 を 残 す Tesla は 渡 米 後 の 1882 年,Edison の 下 で 直 流 発 電 機 の 研 究 をしたが,Tesla の 対 象 は 次 第 に 交 流 発 電 6

機 や 交 流 モーターに 向 かって 行 き, 交 流 機 器 に 理 解 を 示 さなかった Edison からやがて 独 立 する. 鉄 道 の 空 気 ブレーキ 等 の 発 明 で 実 業 家 として 成 功 していた Westinghouse は,Tesla の 交 流 発 電 機 や 交 流 モ ーターの 特 許 を 買 い 取 り 交 流 送 電 方 式 を 提 唱 し, 直 流 送 電 にこだわる Edison との 間 で, 壮 絶 ないわゆ る 電 流 戦 争 を 繰 り 広 げる 9)11)12)13).しかし, 自 在 な 変 圧 という 点 で 圧 倒 的 な 長 所 を 有 する 交 流 発 電 が 次 第 に 認 められていき,Niagara falls における 水 力 発 電 で 交 流 式 が 採 用 され, 勝 負 は 決 定 的 となる. アメリカを 代 表 する 2 大 電 機 会 社 である General Electric と Westinghouse との 間 に 展 開 された 人 類 史 上 最 も 激 しいエネルギー 戦 争 といっても 過 言 ではないだろう. Nikola Tesla Tesla の 2 相 誘 導 モーター George Westinghouse (1856-1943) (1888) (1846-1914) 図 9 交 流 電 力 を 推 進 した Tesla と Westinghouse 8.むすび 既 にご 存 じの 内 容 も 少 なくなかったのではないかと 危 惧 するが, 筆 者 にとっては 琵 琶 湖 疏 水 を 通 し て 明 治 時 代 における 坂 の 上 の 雲 を 見 ることができたのは 幸 いであった. 同 時 に, 蒸 気 の 時 代 だっ た 18 世 紀 に 対 し, 電 力 の 時 代 に 突 入 した 19 世 紀 の 展 開 を 整 理 し 直 せたことも, 個 人 的 にはありがた かった.これを 機 に,われわれが 行 っているエネルギー 研 究 も,もっと 長 期 的 な 視 点 で 位 置 づけられ ることを 願 って,むすびとする. 文 献 1) 田 村 喜 子 : 京 都 インクライン 物 語,(1982), 新 潮 社. 2) 京 都 市 上 京 区 ホームページ:http://www.city.kyoto.jp/kamigyo/kmg_hist/history_1.html 3) 京 都 市 水 道 局 のホームページ:http://www.city.kyoto.jp/suido/biwakososui.htm 4) 日 揮 株 式 会 社 のホームページ:http://www.jgc.co.jp/waza/a4_biwako/index.htm 5) 高 木 誠 :わが 国 水 力 発 電 電 気 鉄 道 のルーツ あなたはデブロー 氏 を 知 っていますか,(2000), かもがわ 出 版. 6) 吉 川 文 夫 高 橋 弘 :N 電 京 都 市 電 北 野 線,(2002),ネコ パブリッシング. 7) 森 本 哲 郎 : 文 明 の 主 役 -エネルギーと 人 間 の 物 語,(2000), 新 潮 社. 8) http://americanhistory.si.edu/lighting/19thcent/comp19.htm 9) http://www.ieee.org/organizations/society/power/subpages/resources-folder/edisonfolder/toc.htm 10) http://www.ieee-virtual-museum.org/exhibit/exhibit.php?taid=&id=159253&lid=1&seq 7

=1&view= 11) http://www.teslasociety.com/index.html 12) http://www.pbs.org/tesla/index.html 13) http://www.telluridetechfestival.com/about_techfestwestinghouse1.html 年 表 1 田 辺 朔 郎 関 連 年 譜 と 電 気 発 展 の 歴 史 ( 上 京 区 http://www.city.kyoto.jp/kamigyo/kmg_hist/history_2/his_2_21.html 中 部 電 力 http://www.chuden.co.jp/e-museum/denkiarekore/knowledge/history/history.html を 元 にして, 筆 者 が 編 集 加 筆 した.) 元 号 ( 西 暦 ) 田 辺 朔 郎 の 年 齢 天 保 7 (1836) 文 久 元 (1861) 慶 応 3 (1867) 6 才 慶 応 4/ 明 治 元 (1868) 7 才 明 治 2 (1869) 8 才 明 治 3 (1870) 9 才 明 治 4 (1871) 10 才 明 治 5 (1872) 11 才 明 治 6 (1873) 12 才 明 治 7 (1874) 13 才 明 治 8 (1875) 14 才 明 治 9 (1876) 15 才 明 治 10 (1877) 16 才 主 な 京 都 のできごと 8 月 7 日 北 垣 国 道, 但 馬 に 生 まれる 11 月 1 日 西 洋 砲 術 家 の 田 辺 孫 次 郎 ふき 子 の 長 男 として 田 辺 朔 郎 生 まれる 京 都 守 護 職, 京 都 所 司 代, 京 都 町 奉 行 が 廃 止. 京 都 裁 判 所 が 設 置. 万 里 小 路 博 房 総 督 1 月 戊 辰 戦 争 始 まる 4 月 29 日 京 都 裁 判 所 が 京 都 府 となり, 長 谷 信 篤 京 都 府 初 代 知 事 となる 主 な 日 本 世 界 のできごと 10 月 14 日 徳 川 慶 喜 が 朝 廷 へ 大 政 奉 還 12 月 9 日 王 政 復 古 の 大 号 令 7 月 17 日 江 戸 を 東 京 と 改 称 8 月 27 日 明 治 天 皇 即 位 9 月 8 日 明 治 改 元 9 月 20 日 天 皇 親 征 10 月 13 日 江 戸 城 11 月 19 日 東 京 開 市 9 月 遷 都 問 題 で 市 民 に 動 揺 広 がる 3 月 28 日 明 治 天 皇 車 駕 東 幸 ( 東 京 遷 都 ) 5 月 函 館 五 稜 郭 落 驕 ( 戊 辰 戦 争 終 結 ) 12 月 東 京 ~ 横 浜 間 に 電 信 開 業 8 月 大 阪 ~ 神 戸 間 に 電 信 開 業 1 月 東 京 ~ 京 都 ~ 大 阪 間 に 郵 便 開 始 8 月 虎 ノ 門 延 岡 藩 邸 跡 に 工 学 校 開 設 11 月 12 日 岩 倉 具 視 らの 欧 米 視 察 団 出 発, 田 辺 朔 郎 の 叔 父 田 辺 太 一 は 第 一 書 記 官 として 同 行 3 月 第 1 回 京 都 博 覧 会 開 催. 都 踊 り 始 まる 9 月 東 京 ~ 京 都 間 電 信 開 通 9 月 29 日 横 浜 ( 神 奈 川 県 庁 玄 関 と 横 浜 本 町 通 り) にガス 灯 が 点 火 9 月 12 日 ( 新 暦 :10 月 14 日 ) 新 橋 ~ 横 浜 間 に 日 本 初 の 鉄 道 開 業 12 月 2 日 太 陽 暦 採 用 により 1872 年 が 終 わり, 12 月 3 日 が 1873 年 1 月 1 日 となった 12 月 京 都 ~ 大 阪 間 の 鉄 道 建 設 工 事 着 手 9 月 13 日 岩 倉 具 視 らの 欧 米 視 察 団 帰 国 5 月 田 辺 朔 郎, 叔 父 太 一 の 勧 めで 工 学 寮 附 属 小 学 校 に 入 学 7 月 槙 村 正 直, 第 2 代 京 都 府 知 事 となる 5 月 11 日 大 阪 ~ 神 戸 間 鉄 道 開 通 12 月 12 日 東 京 ( 京 橋 ~ 銀 座 ~ 芝 金 杉 橋 の 街 路 の 両 側 )にガス 灯 が 点 火 7 月 大 阪 ~ 向 日 町 間 の 鉄 道 運 転 開 始 7 月 26 日 向 日 町 ~ 大 阪 間 鉄 道 開 通 9 月 5 日 大 宮 通 ( 現 在 廃 止 )~ 向 日 町 間 鉄 道 開 通 2 月 6 日 京 都 駅 竣 工 工 学 寮 は 工 部 大 学 校 と 改 名 ( 校 長 は 大 鳥 圭 介 ) 田 辺 朔 郎, 工 部 大 学 校 に 入 学 2 月 5 日 京 都 ~ 大 宮 通 間 鉄 道 開 通,これによ り 京 都 ~ 大 阪 ~ 神 戸 間 の 鉄 道 全 通 8

明 治 11 (1878) 17 才 明 治 12 (1879) 18 才 明 治 13 (1880) 19 才 明 治 14 (1881) 20 才 明 治 15 (1882) 21 才 明 治 16 (1883) 22 才 明 治 17 (1884) 23 才 明 治 18 (1885) 24 才 明 治 19 (1886) 25 才 明 治 20 (1887) 26 才 8 月 京 都 ~ 大 津 間 の 鉄 道 建 設 工 事 着 手 (13 年 7 月 完 成 ) 田 辺 朔 郎, 工 部 大 学 校 普 通 科 (2 年 生 ) 終 了 時 に 特 別 大 賞 授 与 田 辺 朔 郎, 工 部 大 学 校 専 門 科 では 土 木 科 に 進 学 1 月 26 日 北 垣 国 道, 第 3 代 府 知 事 となる 2 月 京 都 博 覧 会 場 が 御 所 東 南 隅 に 新 築 落 成 田 辺 朔 郎, 工 部 大 学 校 実 地 科 に 進 学 4 月 第 1 疏 水 工 事 測 量 開 始 10 月 田 辺 朔 郎, 実 地 研 究 ( 卒 業 研 究 )のため 京 都 に 向 け 出 発, 疎 水 路 線 調 査 の 従 事 12 月 東 京 に 戻 る 田 辺 朔 郎, 卒 業 論 文 琵 琶 湖 疏 水 工 事 の 計 画 を 執 筆 4 月 北 垣 知 事, 上 京 し, 山 田 顕 義 内 務 卿, 品 川 弥 二 郎 農 商 務 省 小 輔, 井 上 馨 参 議, 松 方 正 義 大 蔵 卿, 山 県 有 朋 参 議, 榎 本 武 揚 外 務 大 輔 らと 交 渉, 工 部 大 学 校 の 大 鳥 圭 介 校 長 と 田 辺 朔 郎 と 面 会 5 月 15 日 田 辺 朔 郎, 工 部 大 学 校 を 卒 業 5 月 田 辺 朔 郎, 京 都 府 御 用 掛 となり, 疏 水 計 画 に 着 手 ( 見 積 額 60 万 円 ) 11 月 7 日 勧 業 諮 問 会, 全 会 一 致 で 琵 琶 湖 疏 水 起 工 に 賛 成 11 月 17 日 上 下 京 連 合 区 会, 琵 琶 湖 疏 水 工 事 議 案 を 出 席 議 員 52 名 中 49 名 賛 成 で 可 決 6 月 27 日 内 務 省 土 木 局 より 修 正 案 提 示 ( 最 終 的 工 費 125 万 円 ) 7 月 上 下 京 連 合 区 会, 琵 琶 湖 疏 水 予 算 を 可 決 1 月 29 日 琵 琶 湖 疎 水 起 工 特 許 6 月 2,3 日 琵 琶 湖 疏 水 工 事 起 工 6 月 5 日 京 都 府 庁, 二 条 城 から 下 立 売 釜 座 に 移 転 5 月 インクライン 工 事 着 手 9 月 南 禅 寺 の 新 路 開 通 9 3 月 25 日 工 部 大 学 校 電 信 科 3 年 生 の 藤 岡 市 助 が 日 本 で 初 めてアーク 灯 を 点 灯 電 気 記 念 日 となる 5 月 パリ 万 国 博 開 催 8 月 16 日 大 谷 ( 現 在 廃 止 )~ 京 都 間 鉄 道 開 通 ( 新 逢 坂 山 トンネルと 東 山 トンネルが 開 通 する 大 正 10 年 以 前, 京 都 ~ 大 津 間 は, 京 都 ~ 稲 荷 ~ 山 科 ~ 大 谷 ~ 馬 場 ( 膳 所 )~ 石 場 ~ 大 津 ( 浜 大 津 )であった.このうち, 稲 荷 ~ 馬 場 は 後 に 名 神 高 速 道 路 に 転 用 された. 馬 場 ~ 石 場 ~ 大 津 は 地 形 的 理 由 から 折 り 返 しとなった.この 部 分 は 京 阪 石 山 坂 本 線 に 転 用 されている. 大 津 から は 湖 上 輸 送 で 長 浜 に 結 ばれ, 馬 場 ~ 長 浜 が 開 通 する 明 治 22 年 まで 日 本 初 の 鉄 道 連 絡 船 として 機 能 した.) 10 月 21 日 Edison が 白 熱 電 球 を 実 用 化 あ かりの 日 (ただし,オリジナルのアイデア は Swan) 7 月 14 日 馬 場 ( 現 在 の 膳 所 )~ 大 谷 間 鉄 道 開 通 10 月 Edison Electric Company 設 立 11 月 1 日 銀 座 2 丁 目 大 倉 前 にアーク 灯 9 月 4 日 New York の Pearl Street Station で 電 力 供 給, 電 球 点 火 デモンストレーシ ョン Edison & Swan United Company 設 立 米 国 のウィスコンシン 州,アップルトンにおい て 世 界 初 の 水 力 発 電 所 開 設 11 月 28 日 鹿 鳴 館 開 館 ( 東 京 麹 町 山 下 町 ) Tesla は Edison の 下 で,DC ダイナモの 改 良 を 行 う 日 本 初 の 白 熱 電 灯 が 東 京 銀 行 集 会 所 開 業 式 で 点 灯 Tesla は Edison から 独 立 7 月 初 めての 電 気 事 業 者 として 東 京 電 灯 会 社 ( 現 東 京 電 力 の 前 身 )が 開 業 1 月 東 京 電 灯 会 社, 初 の 電 灯 営 業 開 始 Tesla が AC 誘 導 モーターを 発 明

明 治 21 (1888) 27 才 明 治 22 (1889) 28 才 明 治 23 (1890) 29 才 明 治 24 (1891) 30 才 明 治 25 (1892) 31 才 明 治 26 (1893) 32 才 明 治 27 (1894) 33 才 明 治 28 (1895) 34 才 明 治 29 (1896) 35 才 明 治 30 (1897) 36 才 明 治 32 (1899) 38 才 明 治 33 (1900) 39 才 明 治 36 (1903) 42 才 明 治 39 (1906) 45 才 明 治 45 (1912) 51 才 大 正 3 (1914) 53 才 大 正 5 (1916) 55 才 昭 和 19 (1944) 83 才 1 月 京 都 駅 ~ 府 庁 間 に 乗 合 馬 車 開 業 4 月 市 制 施 行 で 京 都 市 誕 生, 市 議 会 設 置 7 月 京 都 電 灯 会 社 開 業 9 月 第 三 高 等 中 学 校 大 阪 から 吉 田 村 ( 現 在 地 ) に 移 転 3 月 琵 琶 湖 疏 水 工 事 竣 工 ( 延 長 約 19.5 キロ, 総 工 費 125 万 円 ) 4 月 9 日 琵 琶 湖 疏 水 通 水 式 11 月 7 日 田 辺 朔 郎 は 榎 本 武 揚 の 媒 酌 で 北 垣 国 道 の 長 女 静 子 と 結 婚 5 月 我 が 国 初 の 営 業 用 水 力 発 電 所 京 都 市 営 蹴 上 水 力 発 電 所 完 成 ( 初 の 市 営 電 気 ) 5 月 13 日 福 沢 諭 吉 は 時 事 新 報 で 南 禅 寺 の 水 路 閣 を 批 判 4 月 平 安 遷 都 千 百 年 紀 念 協 賛 会 結 成 9 月 平 安 神 宮 大 極 殿 地 鎮 祭 1 月 京 都 電 気 鉄 道 会 社 設 立 9 月 第 三 高 等 中 学 校 を 第 三 高 等 学 校 と 改 称 9 月 鴨 川 運 河 開 通 2 月 1 日 平 安 神 宮 社 殿 竣 工. 2 月 1 日 日 本 最 初 の 市 街 電 車 ( 塩 小 路 東 洞 院 ~ 伏 見 下 油 掛 ) 3 月 平 安 遷 都 千 百 年 祭 挙 行 4 月 第 4 回 内 国 勧 業 博 覧 会 開 催. 東 本 願 寺 大 師 堂 完 成 ( 世 界 最 大 の 木 造 建 築 ) 10 月 平 安 遷 都 千 百 年 紀 年 祭, 第 1 回 時 代 祭 4 月 奈 良 鉄 道, 京 都 ~ 奈 良 間 全 通 8 月 京 都 電 話 交 換 局 設 置 ( 明 治 30 年 5 月 開 業 ) 2 月 京 都 鉄 道, 二 条 ~ 嵯 峨 間 開 通 6 月 京 都 帝 国 大 学 創 設 9 月 理 工 科 大 学 開 設 8 月 京 都 鉄 道, 京 都 ~ 園 部 間 全 通 1 月 東 京 ~ 京 都 間 長 距 離 電 話 開 通 田 辺 朔 郎, 京 都 帝 国 大 学 理 工 科 大 学 教 授 に 就 任 9 月 京 都 駅 ~ 堀 川 中 立 売 京 都 駅 ~ 祇 園 間 に 京 都 初 の 乗 合 自 動 車 開 業 ( 全 国 2 番 目 ) 第 二 疏 水 建 設 7 月 京 都 帝 国 大 学 理 工 科 大 学 が 分 けられ, 工 科 大 学 と 理 科 大 学 となる 1 月 北 垣 国 道 80 才 で 死 去 田 辺 朔 郎, 京 都 大 学 工 科 大 学 学 長 に 就 任 9 月 5 日 田 辺 朔 郎 死 去 War of the Currents が Westinghouse(AC) と Edison(DC)との 間 で 始 まる 5 月 アメリカから 交 流 発 電 機 を 輸 入 し, 大 阪 電 灯 が 交 流 式 配 電 を 開 始 7 月 1 日 深 谷 ( 現 在 廃 止 )~ 米 原 ~ 馬 場 ( 現 在 の 膳 所 ) 鉄 道 開 通,この 開 通 によって,つ いに 新 橋 と 神 戸 を 結 ぶ 東 海 道 本 線 の 全 線 開 通 となる 12 月 パリ 万 国 博 でエッフェル 塔 完 成 Edison General Electric Company 設 立 下 野 麻 紡 績 の 水 力 発 電 所 が 完 成. 日 本 初 の 自 家 用 水 力 発 電 所 Edison General Electric と Thomson-Houston 合 併 して General Electric 設 立 Westinghouse と Tesla が Chicago Columbian 博 覧 会 で AC 電 力 を 供 給 7 月 日 英 通 商 航 海 条 約 調 印 8 月 清 国 に 宣 戦 布 告 ( 日 清 戦 争 ) 東 京 電 灯 浅 草 発 電 所 操 業 開 始.このとき 使 用 したドイツ,AEG 製 の 発 電 機 が 50 ヘルツ であったのが, 東 日 本 標 準 50 ヘルツとな る 4 月 20 日 Tesla/Westinghouse システムによ る 商 用 の AC 発 電 システムが Niagara Falls で 稼 働 開 始 4 月 第 1 回 オリンピック 大 阪 電 灯 がアメリカ,GE 製 の 発 電 機 を 増 設.こ の 発 電 機 が 60 ヘルツであったので, 西 日 本 標 準 60 ヘルツとなる 12 月 米 ライト 兄 弟, 飛 行 機 発 明, 初 飛 行 東 京 電 灯 千 住 火 力 発 電 所 で 初 の 蒸 気 タービン 発 電 機 の 運 転 開 始 5 月 日 本 初 の 鉄 道 の 電 化 が 国 鉄 によって 横 川 軽 井 沢 間 で 実 施 10