上 肢 業 務 に 基 づく 疾 病 の 取 扱 いについて の 実 施 について 平 成 9 年 4 月 1 日 地 基 補 第 104 号 各 支 部 事 務 長 あて 補 償 課 長 第 1 次 改 正 平 成 16 年 4 月 19 日 地 基 補 第 105 号 標 記 の 件 については 下 記 事 項 に 留 意 のうえ その 実 施 に 遺 漏 のないように 取 り 扱 われたい なお キーパンチヤー 等 の 上 肢 作 業 に 基 づく 疾 病 の 取 扱 いについて の 実 施 について( 昭 和 50 年 3 月 31 日 地 基 補 第 192 号 ) は 廃 止 するので 了 知 されたい 記 1について 上 肢 業 務 に 伴 う 上 肢 等 の 運 動 器 の 障 害 は 加 齢 や 日 常 生 活 とも 密 接 に 関 連 し ており その 発 症 には 業 務 以 外 の 個 体 要 因 ( 例 えば 年 齢 素 因 体 力 等 )や 日 常 生 活 要 因 ( 例 えば 家 事 労 働 育 児 スポーツ 等 )が 関 与 している また 上 肢 等 に 負 担 のかかる 作 業 と 同 様 な 動 作 は 日 常 生 活 の 中 にも 多 数 存 在 している したがつて これらの 要 因 をも 検 討 した 上 で 上 肢 業 務 従 事 者 が 業 務 によ り 上 肢 を 過 度 に 使 用 したことが 原 因 となつて 上 肢 障 害 を 発 症 したと 認 められ る 場 合 には 公 務 ( 地 方 独 立 行 政 法 人 法 ( 平 成 15 年 法 律 第 118 号 ) 第 55 条 に 規 定 する 一 般 地 方 独 立 行 政 法 人 の 業 務 を 含 む 以 下 同 じ )に 起 因 することが 明 らかなものとして 取 り 扱 うこと ( 第 1 次 改 正 一 部 ) 2について (1) 上 肢 等 に 負 担 のかかる 作 業 とは 次 のいずれかに 該 当 する 上 肢 等 を 過 度 に 使 用 する 必 要 のある 作 業 をいう ア 上 肢 の 反 復 動 作 の 多 い 作 業 イ 上 肢 を 上 げた 状 態 で 行 う 作 業 ウ 頸 部 肩 の 動 きが 少 なく 姿 勢 が 拘 束 される 作 業 エ 上 肢 等 の 特 定 の 部 位 に 負 担 のかかる 状 態 で 行 う 作 業 (2) 相 当 期 間 従 事 した とは 一 般 的 には 発 症 までに6か 月 程 度 以 上 上 肢 業 務 に 従 事 したことをいうものであること なお 腱 鞘 炎 等 については 業 務 従 事 期 間 が6か 月 程 度 に 満 たない 場 合 で も 短 期 間 のうちに 集 中 的 に 過 度 の 負 担 がかかつた 場 合 には 発 症 すること があるので 留 意 すること (3) 過 重 な 業 務 とは 上 肢 等 に 負 担 のかかる 作 業 を 主 とする 業 務 において 医 学 経 験 則 上 上 肢 障 害 の 発 症 の 有 力 な 原 因 と 認 められる 業 務 量 を 有 するも のであつて 原 則 として 次 のア 又 はイに 該 当 するものをいう ア 当 該 勤 務 所 における 同 種 の 他 の 職 員 と 比 較 して 平 均 的 な1か 月 の 業 務 量 のおおむね10% 以 上 業 務 量 が 増 加 し その 状 態 が 発 症 直 前 に3か 月 程 度 継 続 している 場 合 をいうものであること イ 業 務 量 が1か 月 の 平 均 又 は1 日 の 平 均 では 通 常 の 日 常 の 範 囲 内 であつ
ても 1 日 の 業 務 量 が 一 定 せず 例 えば 次 の(ア) 又 は(イ)に 該 当 するような 状 態 が 発 症 直 前 に3か 月 程 度 継 続 しているような 場 合 をいうものであるこ と (ア) 通 常 の1 日 の 業 務 量 のおおむね20% 以 上 業 務 量 が 増 加 した 日 が1か 月 のうち10 日 程 度 あることが 認 められる 状 態 (イ) 1 日 の 勤 務 時 間 の3 分 の1 程 度 にわたつて 業 務 量 が 通 常 の 当 該 時 間 内 の 業 務 量 のおおむね20% 以 上 増 加 した 日 が1か 月 のうち10 日 程 度 あるこ とが 認 められる 状 態 (4) 過 重 な 業 務 の 判 断 に 当 たつては 発 症 前 の 業 務 量 に 着 目 して 上 記 の(3) の 要 件 を 示 したが 業 務 量 の 面 から 過 重 な 業 務 とは 直 ちに 判 断 できない 場 合 であつても 通 常 業 務 による 負 荷 を 超 える 一 定 の 負 荷 が 認 められ 次 のアか らオに 掲 げた 要 因 が 顕 著 に 認 められる 場 合 には それらの 要 因 も 総 合 して 評 価 すること ア 長 時 間 作 業 連 続 作 業 イ 他 律 的 かつ 過 度 な 作 業 ペース ウ 過 大 な 重 量 負 荷 力 の 発 揮 エ 過 度 の 緊 張 オ 不 適 切 な 作 業 環 境 (5) 上 記 (3)のアの 同 種 の 他 の 職 員 と 比 較 して とは 原 則 として 当 該 勤 務 所 における 同 性 の 職 員 であつて 業 務 態 様 年 齢 及 び 熟 練 度 が 同 程 度 のもの の 平 均 的 な 業 務 量 との 比 較 をいうものであること 3について (1) 上 肢 障 害 の 診 断 病 名 は 多 様 なものとなることが 考 えられることから 上 肢 業 務 に 基 づく 疾 病 の 取 扱 いについて の 記 の3に 例 示 した 以 外 の 疾 病 に ついても 上 肢 障 害 に 該 当 するものがあることに 留 意 すること なお 頸 肩 腕 症 候 群 は 出 現 する 症 状 が 様 々で 障 害 部 位 が 特 定 できず それに 対 応 した 診 断 病 名 を 下 すことができない 不 定 愁 訴 等 を 特 徴 とする 疾 病 として 狭 義 の 意 味 で 使 用 しているものである また 頸 部 から 肩 上 肢 にかけて 何 らかの 症 状 を 示 す 疾 患 群 の 総 称 として の 頸 肩 腕 症 候 群 については 診 断 法 の 進 歩 により 病 像 をより 正 確 にとら えることができるようになつたことから できる 限 り 症 状 と 障 害 部 位 を 特 定 し それに 対 応 した 診 断 病 名 となることが 望 ましいが 障 害 部 位 を 特 定 でき ない 頸 肩 腕 症 候 群 を 否 定 するものではないこと (2) 上 肢 障 害 には 次 のような 類 似 傷 病 が 関 与 することが 多 いことから これ が 疑 われる 場 合 には 専 門 医 からの 意 見 聴 取 鑑 別 診 断 等 を 実 施 すること ア 外 傷 イ 先 天 性 の 奇 形 ウ 頸 背 部 の 脊 椎 脊 髄 又 は 周 辺 軟 部 の 腫 瘍 エ 頸 背 部 及 び 上 肢 の 炎 症 性 疾 病 オ 関 節 リウマチ 及 びその 類 似 疾 病 カ 頸 背 部 の 脊 椎 肩 甲 帯 及 び 上 肢 の 退 行 変 性 による 疾 病 キ 胸 郭 出 口 症 候 群 ク 末 梢 の 神 経 障 害 ケ 内 臓 疾 病 に 起 因 する 諸 関 連 痛
コ 類 似 の 症 状 を 呈 し 得 る 精 神 医 学 的 疾 病 サ 頭 蓋 内 疾 患 上 記 の 類 似 傷 病 は 上 肢 業 務 に 基 づく 上 肢 障 害 には 該 当 しないものであ るが これらのうちには 上 肢 業 務 に 基 づく 上 肢 障 害 としてではなく これとは 別 個 に 公 務 との 相 当 因 果 関 係 があるかどうかを 判 断 しなければな らないものもあることはいうまでもないこと (3) 一 般 に 上 肢 障 害 は 業 務 から 離 れ あるいは 業 務 から 離 れないまでも 適 切 な 作 業 の 指 導 改 善 等 を 行 い 業 務 に 従 事 すれば 症 状 は 軽 快 する また 個 々の 症 例 に 応 じて 適 切 な 療 養 ( 例 えば 薬 物 療 法 理 学 療 法 体 操 業 務 上 の 配 慮 生 活 指 導 精 神 衛 生 面 からの 助 言 指 導 等 )を 行 うことによ つておおむね3か 月 程 度 で 症 状 が 軽 快 すると 考 えられ 手 術 が 施 行 された 場 合 でも 一 般 的 におおむね6か 月 の 療 養 が 行 われれば 治 ゆするものと 考 えら れるので 留 意 すること (4) 上 肢 障 害 の 公 務 上 外 の 認 定 に 当 たつては 別 紙 1 調 査 項 目 表 によ り 調 査 し その 実 態 を 正 確 には 握 するとともに 専 門 医 の 診 断 及 びその 所 見 を 求 めること なお 頸 肩 腕 症 候 群 の 診 断 に 際 して 一 般 に 用 いられる 主 な 神 経 及 び 血 管 圧 迫 テストの 手 技 と 評 価 は 別 紙 2 頸 肩 腕 症 候 群 に 関 するテストの 種 類 ( 主 なもの) のとおりであるので これを 参 考 にすること 別 紙 1 調 査 項 目 表 1 職 歴 (1) 採 用 年 月 日 (2) 発 病 時 の 職 種 職 名 (3) 当 該 職 務 の 従 事 期 間 2 職 務 の 状 況 (1) 職 務 の 内 容 (2) 当 該 勤 務 所 における 同 種 の 職 員 の 数 及 びその 配 置 の 状 況 並 びに 職 場 におけ る 同 種 の 職 員 の 定 員 及 び 充 員 の 状 況 (3) 業 務 量 ア 業 務 量 が 過 重 である 場 合 (ア) 原 則 として 発 病 前 6か 月 間 における 当 該 勤 務 所 の 同 種 の 職 員 の1 人 当 り 月 平 均 業 務 量 ( 業 務 量 は 原 則 として タツチ 数 印 字 数 処 理 枚 数 スタンプ 押 印 回 数 等 で 測 定 すること 以 下 同 じ ) (イ) 発 病 前 3か 月 間 における 請 求 者 の 月 別 業 務 量 イ 業 務 量 が 一 定 しない 場 合 (ア) 原 則 として 発 病 前 6か 月 間 における 請 求 者 の 日 平 均 業 務 量 (イ) 発 病 前 3か 月 間 における 請 求 者 の 毎 日 の 業 務 量 (ウ) その 他 請 求 者 の 業 務 量 (4) その 他 職 場 又 は 請 求 者 についての 特 殊 事 情 等 3 業 務 の 態 様 (1) 作 業 時 間 1 日 の 勤 務 時 間 のうち 上 肢 業 務 に 従 事 する 時 間 帯 及 び 時 間 数
(2) 使 用 機 器 名 称 型 式 性 能 大 きさ 上 肢 への 負 担 の 程 度 等 (3) 作 業 姿 勢 身 体 と 機 器 との 位 置 関 係 立 位 座 位 等 の 状 態 同 一 姿 勢 の 持 続 時 間 数 等 (4) その 他 4 業 務 環 境 職 場 の 作 業 管 理 基 準 職 場 又 は 請 求 者 についての 特 殊 事 情 等 (1) 作 業 室 の 構 造 広 さ 建 物 の 材 質 機 器 の 配 置 状 況 等 (2) 騒 音 及 び 照 明 騒 音 (ホン) 照 度 (ルツクス) まぶしさの 有 無 等 (3) 室 温 及 び 換 気 室 温 冷 暖 房 の 状 態 日 当 り 換 気 の 状 態 等 (4) その 他 職 場 の 特 殊 事 情 等 5 勤 務 の 状 況 (1) 1 週 間 の 勤 務 時 間 数 及 び 勤 務 時 間 の 割 振 りの 状 況 (2) 休 憩 休 息 時 間 の 取 り 方 休 憩 休 息 施 設 の 状 態 等 (3) 発 病 前 6か 月 間 における 時 間 外 勤 務 時 間 数 (4) 発 病 前 6か 月 間 における 年 次 休 暇 病 気 休 暇 等 の 行 使 状 況 (5) その 他 請 求 者 についての 特 殊 事 情 等 6 生 活 の 状 況 (1) 職 場 における 上 司 同 僚 等 との 関 係 (2) 結 婚 出 産 等 の 事 情 (3) その 他 通 勤 の 事 情 運 動 歴 等 7 身 体 の 状 況 (1) 発 病 前 3 年 間 における 健 康 診 断 の 結 果 (2) 同 期 間 内 においてり 患 した 傷 病 の 状 況 (3) 体 格 体 質 等
(4) その 他 当 該 勤 務 所 において 同 様 の 症 状 を 訴 えている 同 種 の 職 員 の 有 無 及 びそれ らの 職 員 の 療 養 の 状 況 等 8 当 該 疾 病 の 状 況 (1) 発 病 年 月 日 (2) 症 状 の 経 過 (3) 療 養 の 経 過 及 び 治 ゆの 見 込 時 期 ( 注 ) 1 2の(3)のイの 事 項 は 同 アの 事 項 の 調 査 結 果 により 請 求 者 の 業 務 量 が 同 種 の 他 の 職 員 と 比 較 して 過 重 であると 認 められる 場 合 には 調 査 する 必 要 がないものであること 2 2の(3)のイの(ウ)の 事 項 は 同 イの(ア) 及 び(イ)の 事 項 の 調 査 結 果 によ り 請 求 者 の 業 務 量 が 一 定 しないと 認 められる 場 合 には 調 査 する 必 要 がないものであること 3 4 5 及 び6に 掲 げる 事 項 は この 調 査 項 目 表 の 他 の 事 項 の 調 査 結 果 により 当 該 災 害 が 公 務 上 の 災 害 と 認 められる 場 合 には 調 査 する 必 要 がないものであること 別 紙 2 頸 肩 腕 症 候 群 に 関 するテストの 種 類 ( 主 なもの) テ ス ト の 名 称 手 技 陽 性 機 序 1 Adson Test 患 肢 を 垂 直 に 垂 ら 患 肢 の 橈 骨 動 脈 の 鎖 骨 下 動 脈 及 び 腕 (アドソン 試 験 ) し 頭 を 患 側 ( 又 は 拍 動 が 減 弱 し 上 肢 神 経 叢 の 斜 角 筋 三 健 側 )に 回 旋 し そ の 症 状 が 増 悪 する 角 部 での 圧 迫 によ の 位 置 で 頸 椎 を 後 場 合 る 屈 させ 深 吸 気 で 止 める 2 Wright Test 肩 関 節 を90 前 方 患 肢 の 橈 骨 動 脈 の 鎖 骨 下 動 脈 及 び 腕 (ライト 試 験 ) 挙 上 し 肘 関 節 を 拍 動 が 外 ( そと) 分 神 経 叢 の 烏 口 突 起
90 屈 曲 して 肩 関 廻 し90 以 下 で 消 小 胸 筋 部 及 び 肋 鎖 節 の 外 ( そと) 分 廻 失 し 上 肢 の 症 状 が 間 隙 での 圧 迫 によ しを 強 めていく 増 悪 する 場 合 る 3 Attention 気 をつけ 姿 勢 をと 患 肢 の 橈 骨 動 脈 の 鎖 骨 下 動 脈 及 び 腕 Posture Test り できるだけ 肩 を 拍 動 が 消 失 し 上 肢 神 経 叢 の 肋 鎖 間 隙 ( 気 をつけ 姿 勢 試 験 ) 下 げる の 症 状 が 増 悪 する 部 での 圧 迫 による 場 合 4 Spurling Test 頸 部 を 患 側 に 側 後 患 側 上 肢 の 症 状 が 頸 神 経 根 圧 迫 刺 激 ( 椎 間 孔 部 圧 迫 試 験 ) 屈 し 頭 部 を 頭 頂 よ 増 悪 する( 特 に 放 散 による り 圧 迫 する 痛 がある) 場 合 ( 評 価 について) 1 2 及 び3のテストのすべてが 陰 性 の 時 には 胸 郭 出 口 症 候 群 は 否 定 でき る 1 2 及 び3のテストのすべてが 陽 性 の 時 には 素 因 に 基 づく 胸 郭 出 口 症 候 群 の 可 能 性 が 大 きい Adson Test は 二 次 的 に 斜 角 筋 が 攣 縮 を 起 こしている 場 合 にも 陽 性 に 出 ること がある Spurling Test は 頸 部 の 変 形 性 脊 椎 症 又 は 椎 間 板 ヘルニアの 場 合 に 陽 性 となる 拍 動 の 変 動 は Pletysmography( 指 先 容 積 脈 波 )により 記 録 されることが 望 ましい