第 6 章 1. 関 連 文 化 財 群 の 設 定 これまで 見 落 とされがちであった 市 域 にある 多 種 多 様 な 文 化 財 等 について そ れらの 魅 力 を 高 め あらためてその 価 値 を 捉 え 直 すために 有 形 無 形 指 定 や 登 録 未 指 定 を 問 わず 地 域 の 文 化 財 や 歴 史 をパッケージとして 捉 え ストーリ ー 化 する 関 連 文 化 財 群 を 設 定 することとします 従 来 型 の 文 化 財 行 政 個 々の 遺 産 ごとに いわば 点 として 指 定 神 社 仏 閣 遺 跡 伝 統 芸 能 国 宝 重 要 文 化 財 史 跡 名 勝 甲 冑 城 郭 地 域 の 魅 力 が 十 分 に 伝 わらない 無 形 文 化 財 民 俗 文 化 財 関 連 文 化 財 群 地 域 に 点 在 する 様 々な 遺 産 を 面 として 活 用 発 信 遺 跡 神 社 仏 閣 ストーリー 伝 統 芸 能 甲 冑 城 郭 パッケージ 化 した 文 化 財 群 を 一 体 的 にPRし 地 域 のブランド 化 アイデンティティの 再 確 認 を 促 進 2. 関 連 文 化 財 群 の 設 定 目 的 関 連 文 化 財 群 の 設 定 は 伊 勢 原 市 の 歴 史 文 化 の 特 徴 や 大 切 なものを 再 評 価 再 認 識 し 地 域 の 歴 史 や 文 化 を 語 る 重 要 な 地 域 の 資 産 として 総 合 的 な 保 護 活 用 を 図 り 次 世 代 へと 継 承 していくためのものです また 地 域 による 歴 史 や 文 化 への 理 解 に 裏 打 ちされた 地 域 づくりの 新 たな 絆 となり 活 発 な 活 動 の 誘 因 と なることを 期 待 するとともに 地 域 固 有 性 ブランド 力 といった 付 加 価 値 を 与 え 伊 勢 原 市 の 知 名 度 向 上 や 活 性 化 に 寄 与 することを 目 的 としています - 36 -
3. 関 連 文 化 財 群 の 保 護 活 用 に 向 けた 基 本 的 な 考 え 方 有 形 無 形 の 文 化 財 が 有 する 歴 史 的 文 化 的 価 値 や 地 域 的 関 連 性 から 一 定 のまとまり としてとらえたものとして 関 連 文 化 財 群 を 設 定 し 伊 勢 原 市 の 歴 史 や 文 化 を 語 る 重 要 な 資 源 として 総 合 的 な 保 護 活 用 を 図 ります 庁 内 関 連 部 署 や 関 連 機 関 等 との 連 携 を 図 り 国 内 外 に 向 けた 情 報 発 信 に 努 め 地 域 活 性 化 やまちづくりに 結 びつけていきます 1 地 域 活 性 化 に 向 けた 関 連 機 関 等 と 連 携 した 活 用 文 化 財 の 所 在 地 域 はもとより 観 光 経 済 等 の 関 係 機 関 団 体 との 密 な 連 携 と 協 力 のもと 関 連 文 化 財 群 を 広 くアピールし 地 域 の 活 性 化 と 発 展 に 向 けた 活 用 を 図 ります 2 関 連 文 化 財 群 の 普 及 啓 発 関 連 文 化 財 群 を 構 成 する 文 化 財 等 への 関 心 を 高 めるため 歴 史 文 化 イベン ト 等 に 関 する 情 報 を 関 係 機 関 と 連 携 しながら 発 信 することや 構 成 文 化 財 を 巡 るコースづくりの 設 定 などに 取 り 組 みます 3 関 連 文 化 財 群 を 活 用 した 学 校 教 育 生 涯 学 習 との 連 携 地 域 にある 文 化 財 の 啓 発 とともに 郷 土 の 素 晴 らしさを 再 認 識 し 誇 りと 愛 着 を 持 ってもらうため 教 育 機 関 等 との 連 携 を 図 りながら 関 連 文 化 財 群 の 学 習 機 会 への 活 用 を 図 ります 4. 設 定 する 関 連 文 化 財 群 (1) 関 連 文 化 財 群 のエリア おおやま 大 山 ( 大 山 地 区 ) 設 定 の 理 由 そびえ 立 つその 優 美 な 姿 へのあこがれと 雨 を 集 め 清 らかな 水 を 与 えてくれ る 感 謝 の 念 から 太 古 より 信 仰 の 地 として 人 々から 崇 められていた 大 山 奈 良 時 代 には 霊 山 寺 ( 現 在 の 宝 城 坊 通 称 日 向 薬 師 ) 石 雲 寺 大 山 寺 が 開 創 し 阿 夫 利 神 社 神 社 も 同 時 代 までに 成 立 したとされています そうした 大 山 は 源 頼 朝 北 条 政 子 の 祈 願 をはじめ 豊 臣 秀 吉 徳 川 家 康 や 家 光 らとも 深 い 関 わりを 持 ち 江 戸 時 代 の 中 頃 には 大 山 詣 りで 大 いに 賑 わいま した また 現 在 においても 御 利 益 を 求 める 参 詣 とともに 心 を 癒 やす 憩 い の 地 として 注 目 されています このような 歴 史 や 文 化 そこから 生 まれた 貴 重 な 文 化 財 は 大 切 に 後 世 へ 継 承 する 必 要 があります - 37 -
(2)ストーリー 大 山 はみていた 幾 千 年 の 一 祈 一 遊 ~そこには 今 も 昔 も 人 々とともに 生 きる 文 化 がある~ 私 は 忘 れない 初 めてともされた 清 らかな 祈 りの 炎 を それから 幾 千 年 経 っただろう 私 に 寄 り 添 い 築 かれた 社 寺 すがる 思 いで 訪 れてきた 天 下 人 もいた 江 戸 町 人 は それはそれは 粋 だった 滝 で 身 を 清 め お さ め だ ち しゆくぼう 白 装 束 で 納 太 刀 を 担 ぎ 山 頂 めざす 姿 軒 を 連 ねる 宿 坊 の 暖 かな 明 かりと 賑 わい は 私 を 和 ませた 今 も 残 るそうした 姿 やもてなしの 文 化 眼 下 に 広 がる 繁 栄 の 輝 きに 心 が 踊 る さてと 訪 れてくる 者 たちを 私 なりに 出 迎 えるとしよう 五 雲 亭 貞 秀 相 模 国 大 隅 郡 大 山 寺 雨 降 神 社 真 景 安 政 5( 1858) 年 - 38 -
(3) 主 な 構 成 要 素 地 区 大 山 日 向 神 社 仏 閣 文 化 財 等 区 分 名 称 人 物 大 山 寺 国 指 定 鉄 造 不 動 明 王 及 び 二 童 子 像 ( 鎌 倉 時 代 ) 良 弁 県 指 定 木 造 不 動 明 王 坐 像 ( 平 安 時 代 ) 願 行 五 壇 護 摩 星 祭 春 日 局 大 山 阿 夫 利 神 社 県 指 定 大 山 阿 夫 利 神 社 の 倭 舞 及 び 巫 子 舞 ( 明 治 ) モミの 原 生 林 松 尾 芭 蕉 権 田 直 助 市 指 定 大 山 能 狂 言 ( 江 戸 時 代 ) 筒 粥 神 事 秋 季 例 大 祭 火 祭 薪 能 上 粕 屋 比 比 多 神 社 県 指 定 歌 川 国 経 筆 美 人 図 絵 馬 ( 江 戸 時 代 ) 歌 川 国 経 涅 槃 寺 市 指 定 釈 迦 涅 槃 像 ( 江 戸 時 代 ) 国 登 録 八 段 堰 堤 ( 昭 和 ) 元 滝 堰 堤 ( 昭 和 ) 袋 町 堰 堤 ( 昭 和 ) 宝 城 坊 ( 通 称 日 向 薬 師 ) 旧 名 称 霊 山 寺 市 指 定 大 山 八 段 滝 大 山 こま 豆 腐 料 理 浮 世 絵 国 指 定 木 造 薬 師 如 来 両 脇 侍 像 ( 平 安 時 代 ) 木 造 阿 弥 陀 如 来 坐 像 ( 鎌 倉 時 代 ) 木 造 薬 師 如 来 坐 像 ( 鎌 倉 時 代 ) 木 造 日 光 月 光 菩 薩 立 像 ( 鎌 倉 時 代 ) 木 造 四 天 王 立 像 ( 鎌 倉 時 代 ) 木 造 十 二 神 将 立 像 ( 南 北 朝 時 代 ) 銅 鐘 ( 南 北 朝 時 代 ) 旧 本 堂 内 厨 子 ( 南 北 朝 時 代 ) 宝 城 坊 本 堂 ( 江 戸 時 代 ) 県 指 定 木 造 十 二 神 将 立 像 ( 平 安 時 代 ) 宝 城 坊 の 錦 幡 唐 櫃 ( 南 北 朝 時 代 ) 獅 子 頭 ( 南 北 朝 時 代 ) 大 太 鼓 ( 室 町 時 代 ) 宝 城 坊 の 二 本 杉 日 向 薬 師 の 寺 林 市 指 定 伝 妙 沢 不 動 尊 版 木 ( 南 北 朝 時 代 ) 宝 城 坊 の 鐘 堂 ( 江 戸 時 代 ) 金 剛 力 士 像 ( 江 戸 時 代 ) 宝 城 坊 境 内 初 薬 師 春 季 例 大 祭 石 雲 寺 市 指 定 日 向 渕 ノ 上 石 造 五 層 塔 ( 南 北 朝 時 代 ) 浄 発 願 寺 市 指 定 浄 発 願 寺 奥 ノ 院 ( 江 戸 時 代 ) 浄 発 願 寺 縁 起 絵 巻 ( 江 戸 時 代 ) 六 字 名 号 雨 乞 軸 ( 江 戸 時 代 ) 市 指 定 日 向 渓 谷 神 社 県 指 定 うずらみか( 平 安 時 代 ) 市 指 定 下 谷 戸 縄 文 遺 跡 環 状 列 石 及 住 居 跡 ( 縄 文 時 代 ) 登 尾 山 古 墳 出 土 品 ( 古 墳 時 代 ) 金 銅 単 竜 環 把 頭 ( 古 墳 時 代 ) 尾 根 山 古 墳 出 土 品 ( 古 墳 時 代 ) 埒 免 古 墳 出 土 品 ( 古 墳 時 代 ) こま 犬 ( 平 安 時 代 ) 春 季 例 大 祭 国 府 祭 まが 玉 祭 勝 興 寺 市 指 定 木 造 薬 師 如 来 坐 像 ( 南 北 朝 時 代 ) 市 指 定 浄 業 寺 跡 ( 鎌 倉 江 戸 時 代 ) 斎 藤 家 住 宅 ( 江 戸 時 代 ) 行 基 若 光 相 模 源 頼 朝 北 条 政 子 源 実 朝 妻 足 利 基 氏 前 田 夕 暮 - 39 -
5. 関 連 文 化 財 群 の 発 展 的 運 用 本 章 の 項 番 4で 掲 げた 関 連 文 化 財 群 は 伊 勢 原 市 の 歴 史 文 化 の 特 色 を 大 山 を 中 心 に 広 角 的 に 捉 え 示 すものです したがって 関 連 文 化 財 群 設 定 の 主 旨 を 実 現 するため 文 化 財 等 の 総 合 的 把 握 調 査 結 果 や 地 域 の 特 性 等 を 踏 まえた 新 たな 関 連 文 化 財 群 の 設 定 を 必 要 に 応 じ 順 次 行 っていくこととします 今 後 検 討 する 関 連 文 化 財 群 の 例 テーマ 1 いせはらの 古 墳 文 化 2 3 霊 山 大 山 の 成 立 とその 信 仰 鎌 倉 幕 府 を 支 えたいせはら の 武 士 たち 4 太 田 道 灌 主 な エリア 大 山 伊 勢 原 岡 崎 石 田 伊 勢 原 5 大 山 詣 り 全 域 主 な 構 成 要 素 文 化 財 登 尾 山 古 墳 埒 免 古 墳 尾 根 山 古 墳 の 出 土 品 小 金 塚 古 墳 石 田 車 塚 古 墳 登 尾 山 古 墳 埒 免 古 墳 尾 根 山 古 墳 御 領 ヶ 原 古 墳 鎧 塚 古 墳 洗 水 古 墳 渋 田 古 墳 赤 坂 古 墳 下 尾 崎 横 穴 墓 群 上 栗 原 横 穴 墓 群 及 び 出 土 品 神 社 鉄 造 不 動 明 王 及 び 二 童 子 像 木 造 薬 師 如 来 両 脇 侍 像 木 造 薬 師 如 来 坐 像 木 造 阿 弥 陀 如 来 坐 像 木 造 日 光 月 光 菩 薩 立 像 木 造 四 天 王 立 像 木 造 十 二 神 将 立 像 銅 鐘 旧 本 堂 内 厨 子 宝 城 坊 本 堂 八 幡 台 遺 跡 県 指 定 重 要 文 化 財 木 造 不 動 明 王 坐 像 木 造 十 二 神 将 立 像 錦 幡 唐 櫃 釈 迦 涅 槃 像 伝 妙 沢 不 動 尊 版 木 宝 城 坊 の 鐘 堂 金 剛 力 士 像 宝 城 坊 境 内 日 向 渕 ノ 上 石 造 五 層 塔 浄 発 願 寺 奥 ノ 院 浄 発 願 寺 縁 起 絵 巻 浄 業 寺 跡 宝 城 坊 石 雲 寺 大 山 寺 大 山 阿 夫 利 神 社 神 社 神 社 大 山 山 頂 遺 跡 木 造 薬 師 如 来 坐 像 木 造 日 光 月 光 菩 薩 立 像 木 造 阿 弥 陀 如 来 坐 像 木 造 四 天 王 立 像 等 串 橋 中 世 石 塔 群 ( 伝 ) 善 波 太 郎 の 墓 岡 崎 城 跡 糟 屋 一 族 の 墓 極 楽 寺 跡 三 島 神 社 三 島 神 社 縁 起 丸 山 城 神 社 岡 崎 四 郎 義 実 の 墓 石 田 城 円 光 院 実 蒔 原 古 戦 場 太 田 道 灌 の 墓 ( 洞 昌 院 ) 上 杉 館 浄 業 寺 跡 太 田 道 灌 画 像 太 田 道 灌 の 墓 ( 大 慈 寺 ) 聖 観 音 坐 像 七 つ 塚 五 霊 神 社 太 田 道 灌 の 頬 当 ( 宝 城 坊 ) 丸 山 城 神 社 大 乗 五 部 経 雅 楽 面 鉄 造 不 動 明 王 及 び 二 童 子 像 県 指 定 重 要 文 化 財 大 山 阿 夫 利 神 社 の 倭 舞 及 び 巫 子 舞 木 造 不 動 明 王 坐 像 大 山 八 段 滝 大 山 能 狂 言 釈 迦 涅 槃 像 大 山 寺 大 山 阿 夫 利 神 社 涅 槃 寺 大 山 道 道 標 納 太 刀 元 滝 良 弁 滝 愛 宕 滝 大 滝 宿 坊 豆 腐 料 理 大 山 こま 浮 世 絵 古 典 落 語 大 山 詣 り 人 物 良 弁 行 基 相 模 願 行 足 利 基 氏 手 中 明 王 太 郎 徳 川 家 康 徳 川 家 光 徳 川 綱 吉 徳 川 吉 宗 春 日 局 源 頼 朝 北 条 政 子 糟 屋 有 季 石 田 為 久 岡 崎 義 実 真 田 与 一 吾 嬬 善 波 太 郎 太 田 道 灌 太 田 道 真 上 杉 定 正 上 杉 顕 定 三 浦 同 寸 伊 勢 宗 瑞 万 里 集 九 心 敬 宗 祇 源 頼 朝 徳 川 家 康 徳 川 家 光 徳 川 綱 吉 徳 川 吉 宗 春 日 局 - 40 -