国 土 交 通 省 関 東 地 方 整 備 局 道 路 の 老 朽 化 対 策 に 関 する 講 演 会 道 路 橋 の 劣 化 損 傷 と 対 策 - 既 設 橋 の 主 な 損 傷 と 対 応 の 考 え 方 - 国 立 研 究 開 発 法 人 土 木 研 究 所 構 造 物 メンテナンス 研 究 センター(CAESAR)
鋼 橋 の 損 傷 1 腐 食 2 疲 労 2
鋼 橋 の 損 傷 ~1 腐 食 腐 食 だから と, 軽 視 は 禁 物 著 しい 腐 食 が 原 因 で, 落 橋 や 地 震 時 の 被 害 に 至 った 橋 も 管 理 者 不 明 の 鋼 橋 の 崩 落 (2007 年 ) 桁 端 部 の 被 害 (2006 年, 中 越 地 震 ) 3
鋼 橋 の 損 傷 ~1 腐 食 点 検 結 果 によれば, 一 般 に 桁 端 部 に 腐 食 が 集 中 する 傾 向 局 部 的 に 進 行 し, 短 期 間 で 耐 力 喪 失 に 至 った 事 例 も 雨 水 土 砂 ごみ 凍 結 防 止 剤 伸 旧 縮 型 装 ( 排 置 水 からの 型 )の 漏 伸 水 縮 装 置 跳 ね 水 汚 れ 易 く 洗 われにくい 箇 所 断 面 欠 損 と 座 屈 湿 気 がこもり 易 い ( 特 に 主 桁 内 側 ) 土 砂 ごみの 堆 積 は 湿 気 を 保 持 してしまう 局 部 的 な 腐 食
鋼 橋 の 損 傷 ~1 腐 食 桁 端 部 の 腐 食 対 策 腐 食 発 見 原 因 ( 主 として 塩 分 )の 除 去 は, 予 防 保 全 としても 補 修 補 強 の 一 環 としても 必 要 現 状 評 価 腐 食 の 程 度 緊 急 度 の 判 定 原 因 除 去 水 まわりの 改 善 土 砂 撤 去 ( 清 掃 ) さび 落 とし 再 塗 装 当 て 板 補 強 部 分 取 替 え 5
鋼 橋 の 損 傷 ~1 腐 食 補 修 補 強 の 信 頼 性?
鋼 橋 の 損 傷 ~1 腐 食 外 観 目 視 では 見 えない 部 位 の 腐 食 水 の 侵 入 により,コンクリート 内 部 や 吊 材,ケーブル 定 着 部 の 鋼 材 が 腐 食 大 型 車 の 通 行 により 破 断, 通 行 制 限 となった 事 例 もあり コンクリート 埋 込 部 ケーブル 定 着 部 7
鋼 部 材 の 疲 労 溶 接 部 などの 応 力 集 中 部 からき 裂 が 発 生 し, 進 展 すると 部 材 の 破 断 に 至 る 危 険 性 がある 鋼 橋 の 損 傷 ~2 疲 労 鋼 トラス 橋 のヒンジ 溶 接 部 から 進 展 したき 裂 鉄 筋 コンクリート 床 版 の 疲 労 コンクリートにひび 割 れが 発 生 し, 進 展 すると,コンク リートの 抜 け 落 ちに 至 る 危 険 性 がある 鋼 Ⅰ 桁 橋 の 輪 荷 重 直 下 の 床 版 の 陥 没 8
鋼 橋 の 損 傷 ~2 疲 労 疲 労 損 傷 の 要 因 直 接 的 には 応 力 の 集 中 と 繰 返 しであるが, 損 傷 要 因 は 様 々 過 去 の 基 準 では, 疲 労 は 一 般 に 未 考 慮 建 設 当 時 の 知 見 では, 設 計 製 作 上 の 配 慮 が 必 ずしも 十 分 でなかった 事 例 も 荷 重 要 因 : 大 型 車 両 の 増 大 ( 重 量, 台 数 ) 風 や 車 両 走 行 に 伴 う 振 動 現 象 ( 鋼 部 材 では 一 般 に 耐 久 性 は 作 用 応 力 の3 乗 に 反 比 例 ) 設 計 要 因 : - 不 適 切 な 構 造 ディテールの 採 用 ( 応 力 集 中 ) -モデル 化 と 実 構 造 との 違 い( 二 次 応 力 ) 製 作 施 工 要 因 : - 製 作 誤 差, 溶 接 品 質 の 不 良 に 伴 う 応 力 集 中 維 持 管 理 要 因 : - 腐 食 劣 化 に 伴 う 支 承 等 の 機 能 低 下 9
鋼 橋 の 損 傷 ~2 疲 労 発 生 時 期, 進 展 速 度 の 予 測 は 難 しい 部 材 の 重 要 度 や 橋 の 構 造 特 性 を 踏 まえた 評 価 が 必 要 本 ページの 写 真 については 下 記 の 出 典 を 参 照 してください http://www.wisconsinhighways.org/indepth/hoan_bridge.html HOAN BRIDGE FORENSIC INVESTIGATION FAILURE ANALYSIS FINAL REPORT, June 2001, Wisconsin DOT & FHWA http://wwwcourses.sens.buffalo.edu/cie500d/other_classes/hoan- Failure-Investigation.pdf
鋼 橋 の 損 傷 ~2 疲 労 対 策 上 の 留 意 点 損 傷 原 因 の 特 定 と 除 去 損 傷 部 位 の 力 の 伝 達 の 確 保 ( 疲 労 強 度 の 向 上 ) 対 策 時 のポイント 力 の 伝 達 の 不 確 実 性 や 亀 裂 の 進 展 時 の 構 造 安 全 性 を 慎 重 に 検 討 すること 対 策 時 に, 周 辺 部 に 新 たな 応 力 集 中 箇 所 を 生 じさせないこと 溶 接 は 原 則 避 けること 古 い 鋼 材 の 再 溶 接 時 の 品 質 の 不 確 実 性 既 設 部 材 の 応 力 作 用 下, 溶 融 時 の 応 力 喪 失 施 工 管 理 の 難 しさ( 溶 接 姿 勢, 温 度 管 理, 部 材 振 動 等 ) 対 策 後 にも, 当 面 は 継 続 的 な 監 視 を 実 施 き 裂 の 再 発 や 進 展 の 危 険 性 について 事 後 確 認 11
鋼 橋 の 損 傷 ~2 疲 労 (コンクリート 床 版 ) RC 床 版 の 劣 化 損 傷 道 路 面 の 陥 没 主 な 要 因 構 造 ( 疲 労 強 度 の 不 足 ) 配 力 鉄 筋 の 不 足 床 版 厚 の 不 足 等 荷 重 大 型 車 の 走 行 繰 返 し 橋 面 からの 水 の 浸 入 12 鉄 筋 コンクリート 床 版 の 抜 け 落 ち
鋼 橋 の 損 傷 ~2 疲 労 (コンクリート 床 版 ) 損 傷 原 因 や 損 傷 状 況 に 応 じた 適 切 な 対 策 の 選 定 補 修 補 強 効 果 が 期 待 できない 場 合 も( 取 替 も 視 野 に 更 新 計 画 を 検 討 ) 対 策 工 法 の 例 炭 素 繊 維 シート 補 強 鋼 板 接 着 部 分 打 ち 替 え
鋼 橋 の 損 傷 ~2 疲 労 (コンクリート 床 版 ) 床 版 内 部 の 損 傷 下 面 にひびわれ 損 傷 が 明 確 にあらわれ ず, 内 部 で 進 行 する 場 合 もあり 詳 細 調 査 により 状 態 を 把 握 した 上 で 対 応 舗 装 のひび 割 れ, 目 地, 部 分 修 復 箇 所 か ら 水 が 浸 入 舗 装 の 変 状 疲 労, 材 料 の 劣 化 による 複 数 要 因 の 可 能 性 内 部 で 損 傷 が 先 行 する 場 合 あり 床 版 下 面 の 漏 水, 石 灰 析 出 等 はつったところ, 上 面 主 鉄 筋 の 下 側 まで 土 砂 化
コンクリート 橋 の 損 傷 1 塩 害 2アルカリ 骨 材 反 応 15
コンクリート 橋 の 損 傷 ~1 塩 害 塩 害 とは? コンクリート 中 の 塩 化 物 イオンによる 鋼 材 の 腐 食 16
期 待 する 効 果 コンクリート 橋 の 損 傷 ~1 塩 害 塩 害 に 対 する 補 修 工 法 例 鋼 材 の 腐 食 因 子 の 供 給 量 を 低 減 鋼 材 の 腐 食 因 子 の 除 去 鋼 材 の 腐 食 進 行 を 抑 制 耐 荷 力 を 向 上 表 面 処 理 断 面 修 復, 電 気 化 学 的 脱 塩 表 面 処 理, 電 気 防 食, 断 面 修 復, 防 錆 処 理 FRP 接 着, 断 面 修 復, 外 ケーブル, 巻 立 て, 増 厚 17
コンクリート 橋 の 損 傷 ~1 塩 害 補 修 したコンクリート 構 造 物 の 劣 化 実 態 調 査 海 岸 線 に 近 い 橋 梁 では, 補 修 後 の 再 劣 化 が 多 発 浸 透 した 塩 分 による 再 劣 化 も 補 修 後 の 構 造 物 の 状 況 補 修 後 5~10 年 後 に 観 察 健 全 85% 15% 再 劣 化 健 全 42% 再 劣 化 58% 海 岸 線 から100m 以 上 早 めの 補 修 が 重 要 18 海 岸 線 から100m 以 内
コンクリート 橋 の 損 傷 ~3その 他 (PC 鋼 材 の 腐 食 ) PC 鋼 材 の 腐 食 古 い 年 代 のポステン 桁 では, 上 面 で 定 着 かつノンブリーディング 型 のグラウトで ない グラウト 未 充 填 箇 所 も 路 面 等 からの 水 の 浸 透 により, 内 部 のPC 鋼 材 が 腐 食 PC 鋼 材 の 破 断 は 耐 荷 力 に 影 響 するため, 注 意 が 必 要 グラウト 未 充 填 箇 所 での 鋼 材 腐 食 19 漏 水 部 での 腐 食
コンクリート 橋 の 損 傷 ~3その 他 (PC 鋼 材 の 腐 食 ) プレキャストセグメント 橋 におけるPC 鋼 材 の 腐 食 破 断 グラウト 未 充 填 箇 所 への 橋 面 排 水 の 浸 入 により 腐 食 破 断 橋 格 : 1 等 橋 (TL-20) 竣 工 : 昭 和 47 年 橋 長 : 300m 幅 員 : 9.0m ( 車 道 7.5m 歩 道 1.5m ) 上 部 構 造 : 4 径 間 連 続 PC 箱 桁 橋 プレキャストセグメント 工 法 20
コンクリート 橋 の 損 傷 ~2アルカリ 骨 材 反 応 アルカリ 骨 材 反 応 とは? コンクリート 中 の 高 ph 環 境 で, 骨 材 に 含 まれ るシリカが 反 応 して 生 じたアルカリシリカゲル が 膨 脹 し,コンクリートにひび 割 れが 生 じる 21
コンクリート 橋 の 損 傷 ~2アルカリ 骨 材 反 応 アルカリ 骨 材 反 応 の 影 響 ひび 割 れによるコンクリートの 物 性 低 下 ( 強 度 等 ), 耐 久 性 への 影 響 コンクリートの 膨 張 により, 内 部 鉄 筋 が 破 断 した 例 も 22
コンクリート 橋 の 損 傷 ~2アルカリ 骨 材 反 応 アルカリ 骨 材 反 応 に 対 する 維 持 管 理 基 本 的 な 考 え 方 アル 骨 が 生 じているが 軽 微 経 過 観 察 ひび 割 れが 析 出 物 で 埋 まっているような 場 合 ほとんどのものは20 年 以 上 経 過 ひび 割 れが 耐 久 性 に 影 響 補 修 鉄 筋 が 破 断 個 別 に 耐 荷 力 を 評 価 して 検 討 鉄 筋 が 有 効 と 見 なせる 範 囲 やコンクリートの 物 性 の 変 化 を 適 切 に 考 慮 する 必 要 がある 23
コンクリート 橋 の 損 傷 ~2アルカリ 骨 材 反 応 対 策 時 の 留 意 点 残 存 膨 張 や 水 の 浸 入 により 再 劣 化 の 事 例 も 今 後 の 損 傷 進 展 も 踏 まえた 処 置 を 経 過 観 察 への 配 慮 も 必 要 (ひび 割 れの 進 展 が 確 認 できる 工 夫 など) 水 の 流 入 路 ( 下 部 工 天 端, 橋 台 背 面 など)を 考 慮 断 面 修 復 した 橋 台 の 再 劣 化 表 面 防 水 後 の 水 の 浸 入 24
まとめ - 既 設 橋 の 損 傷 対 策 と 予 防 保 全 - 早 めの 対 策 が 効 果 的 補 修 コストの 低 減 再 劣 化 の 防 止 ( 塩 害 など) 劣 化 損 傷 の 原 因 を 取 り 除 くこと 再 度 の 損 傷 発 生 を 防 止 ( 例 ) 床 版 防 水 排 水 対 策 による 水 の 浸 入 防 止 維 持 管 理 の 記 録 を 残 すこと 将 来 にわたり 適 切 に 管 理 していくための 基 礎 25
臨 床 研 究 による 維 持 管 理 技 術 の 開 発 橋 の 劣 化 損 傷 変 状 の 要 因 は 多 岐 にわたり, 実 橋 を 対 象 とした 調 査 が 不 可 欠 損 傷 状 況 原 因 の 解 明, 破 壊 メカニズムや 残 存 強 度 等 の 把 握 長 寿 命 化 に 資 する 技 術 開 発 の 基 礎 データとして 活 用 撤 去 橋 撤 去 橋, 撤 去 部 材 の 載 荷 試 験 載 荷 試 験 による 挙 動 計 測 ( 供 用 中 の 橋 も 含 む) 撤 去 橋 の 部 材 を 用 いた 載 荷 試 験 ( 破 壊 メカニズム, 残 存 強 度 ) 損 傷 状 況 に 応 じた 耐 荷 力 評 価 技 術 の 確 立 非 破 壊 調 査 解 体 調 査 各 種 非 破 壊 検 査 技 術 による 調 査 民 間 へ, 実 橋 での 調 査 機 会 の 提 供 維 持 管 理 技 術 の 適 用 性 を 検 証 することに より, 実 用 的 な 技 術 開 発 を 促 進 実 橋 に 適 用 可 能 な 非 破 壊 検 査 技 術 の 検 証, 開 発 鋼 材 の 腐 食 状 況 ( 外 部 損 傷 状 況 と 残 存 断 面 積 等 ) コンクリートの 状 況 ( 塩 分 量,ひび 割 れ 進 展 状 況 ) 鋼 材 の 配 置, 溶 接 状 態 古 い 年 代 の 材 料 強 度 特 性 撤 去 部 材 の 内 部 の 損 傷 状 況 を 把 握
自 治 体 と 連 携 した 臨 床 研 究 の 例 ~グラウト 充 填 状 況 の 調 査 ~ PC 橋 梁 撤 去 時 に,シース 内 のグラウト 充 填 状 況 を 調 査 調 査 結 果 を 年 代 別 等 に 区 分 して 実 態 を 分 析 非 破 壊 検 査 によるグラウト 充 填 状 況 の 確 認 手 法 について 開 発 [1 断 面 での 調 査 結 果 ] 手 前 の 主 桁 2 本 が 撤 去 対 象 1 床 版 付 近 の 曲 げ 上 げ 部 でグラウト 未 充 填 部 を 確 認 [950keV 高 出 力 X 線 発 生 装 置 での 調 査 状 況 ] 桁 の 切 断 位 置 1 位 置 27
ご 清 聴 ありがとうございました 28