64bit Linux ディストロをインストールしてみた 羽 鳥 健 太 郎 (はとちゃん) はじめに 低 スペックな PC でも 軽 量 な 環 境 をと 思 っているので デスクトップでは 32bit の opensuse で ディストロ 開 発 は 32bit の Slackware ということで 64bit の 世 界 は 無 縁 だと 思 っていまし たが 世 間 は 急 速 に 64bit 化 が 進 んでいるのが 気 になっていました そんな 中 冬 休 みの 最 中 に 楽 天 の HP Direct Shop で 19,800 円 のデスクトップ PC を 見 つけ 気 がついたときにはポ チッとしていました 届 いた PC のスペックは 以 下 のとおりそれなりのものです CPU:AMD E-350(64bit CPU!! 現 在 は E-450 にグレードアップ) メモリ:2GB HDD:500GB OS: Windows7 Home Premium 64bit 版 動 作 については それほど 期 待 していなかったので まぁ 我 慢 できる 程 度 でした でも こんな スペックでも Windows7 で 64bit... それなら Linux の 64bit ならばどうなるんだろう でも 2GB ばかりのメモリだからと 思 ってたときに 川 越 ソフマップで 980 円 の 2GB メモリを 見 つけ てしまいました というわけでいきなり 64bit Linux をインストールしたいというインストール 厨 の 本 能 が 騒 ぎ 5 00 GB を 分 割 して 前 々から 気 になっていた 以 下 の 最 新 ( 当 時 )ディストロをインストールして みました Debian Wheezy(testing) amd64(x86_64) Fedora 16 64bit ( 現 在 の 最 新 版 は Fedora 17) CentOS 6.2 x86_64 なんで 64bit 版 の opensuse Slackware Gentoo などがないんだという 声 も 聞 こえそうで すが ここは 64bit 初 心 者 としてメジャーなところというか 無 難 なところを 選 択 しました 年 を 取 ると 冒 険 するのが 怖 くなるということで ここらが 精 一 杯 でした どんな 環 境 が 64bit には 有 効 か 32bit と 64bit の 違 いは どういったところでしょうか 自 分 の 中 では 32 車 線 と 64 車 線 の 道 路 とか 直 径 32cm と 直 径 64cm のお 皿 の 違 いぐらいの 感 覚 です データが 膨 大 ならば 64bit の 処 理 能 力 は 威 力 を 発 揮 しますが わずかならば 大 きなお 皿 にデータという 小 さな 盛 り 付 けで 処 理 は 速 くても 無 駄 なものが 多 くなります 解 説 本 では 同 じデータ 量 ならば 64bit
のほうが 多 く 領 域 を 必 要 とするとありました またメモリはあるほどうれしいともありました 元 々 64bit が 注 目 されたのは 32bit ではせっかく 安 くなって 入 手 しやすくなったメモリが 3.2GB 以 上 認 識 しないということで それ 以 上 認 識 させるには PAE という 機 能 を 使 う 必 要 があります 一 度 省 電 力 CPU atom330 でメモリ 2GB の opensuse で PAE 版 を 試 したこ とがありますが そのときは 通 常 の 32bit 版 よりも 緩 慢 で とても 使 いものにならないという 印 象 でした そこから 導 き 出 した 結 論 は 次 のとおりです 小 さい 2GB 32bit 版 Linux 4GB 大 きい 64bit 版 Linux 図 1 メモリ 容 量 と 選 択 する 32bit/64bit Linux の 関 係 2GB 以 上 4GB 以 下 はどうするのかという 意 見 もあると 思 いますが そもそも メモリの 容 量 は 連 続 しているものではないので このような 選 択 基 準 に 落 ち 着 きました(あくまで 個 人 の 感 想 です) もちろん CPU が 64bit 対 応 であることは 必 須 です まずは Debian Wheezy(testing) amd64 Ubuntu があまりによくできているので そのベースである Debian を 自 由 に 使 いこなせたら 自 分 のディストロのベースも Debian にしようかなぁと 密 かな 野 望 を 持 っています ただ 安 定 版 (Stable)の Squeeze では 各 アプリケーションのバージョンが 古 くて 面 白 くないので テス ト 版 (Testing)の Wheezy をインストールすることにしました しかし Wheezy の iso イメージ が 見 つかりません というわけで まずは Squeeze をインストールしてから Wheezy にアップ グレードすることにしました 64bit 版 の Squeeze のインストールについて は Debian GNU/Linux インストールガイド (http://www.debian.org/releases/stable/a md64/ )を 参 考 にインストールしました 特 に 問 題 もなく あっさり 終 了 しました インストー ル 自 体 は GUI でインストール 初 心 者 でもガイ ドに 従 ってすれば ひっかかることなくインス トールすることができます Squeeze から Wheezy へのアップグレードは /etc/apt/sources.list にある squeeze を wheezy を 以 下 のように 変 更 します deb http://ftp.jp.debian.org/debian/ wheezy main contrib non-free
deb-src http://ftp.jp.debian.org/debian/ wheezy main contrib non-free deb http://security.debian.org/ wheezy/updates main contrib non-free deb-src http://security.debian.org/ wheezy/updates main contrib non-free deb http://www.debian-multimedia.org wheezy main non-free 次 に 以 下 のコマンドを 実 行 して ひたすら 時 の 流 れに 耐 えれば wheezy の 出 来 上 がりです $ sudo su # aptitude update # aptitude safe-upgrade # aptitude dist-upgrade AMD E-350 の PC はここから 応 用 ですが AMD の Graphics Drivers & Software(http://support.amd.com/us/gpudownload/Pages/index.aspx)で Linux のドラ イバを 入 手 することができます E-350 は GPU を 含 んでいますので これをぜひインストール しておきましょう やっぱり Fedora16 64bit Debian と 双 対 をなすものといえば 僕 的 には Fedora です RedHat から Fedora に 変 更 に なってから 暫 くは 新 しいハージョンがリリースする 度 にインストールしていましたが 徐 々に 遠 のいていました 久 しぶりの Fedora で 64bit はどうなっているのか Fedora の 場 合 は Fedora16 の iso イメージが 見 つかったので それをダウンロードして DVD-R に 焼 いて 早 速 インストールしてみます インストールについては Fedora 16インストールガイド (http://docs.fedoraproject.org/ja-jp/fedora/16/html/installation_guide/index.html )を
参 考 にしました こちらは 日 本 語 訳 が 虫 食 い 状 態 で ちょっとつらいところがありますが イン ストーラの anaconda 自 体 がずいぶん 枯 れたアプリケーションとなっているので それほど 苦 労 しませんでした 何 も 考 えずにインストールしたら MBR を Fedora16 のものに 書 き 換 えられてしまいましたが Windows は 元 より 他 の Linux も 自 動 的 に 探 してくれるので Fedora のそれになりますが すべてインストールしてある OS を 選 択 して 起 動 できます ただ メニューの 記 述 を 変 更 したい のですが 変 更 方 法 が 分 からないので しばらくはそのままです ついでに CentOS 6.2 x86_64 CentOS は 長 らく RedHat のフリーソフトウェア 版 としてサーバに 多 用 されていましたが コ ミュニティ 活 動 で 内 紛 があって RedHat6.0 がリリースされた 後 に 長 いこと CentOS 6.0 が リリースされなかったために Cern からリリースされている Scientific Linux が 対 応 しているか ら CentOS はもはや 不 要 とまで 言 われましたが 見 事 に 復 活 して RedHat 6.x に 追 従 してリ リースしています インストールは Fedora 16とほとんど 同 じで インストールツールの anaconda を 日 本 語 で 使 用 できますので 初 心 者 にもやさしくインストールすることができます 一 点 だけ 気 をつけなければならないのは ブートが Grub2 ではなく Legacy Grub であること で 最 後 に CentOS をインストールすると やはり MBR の Grub2 が 上 書 きされてしま い Grub2 のように 自 動 で 他 の Linux を 探 して 登 録 するという 機 能 がないので 先 にイ ンストールした Debian や Fedora が 起 動 できなくなってしまいます そういうときは Super Grub2 Disk(http://www.supergrubdisk.org/supe r-grub2-disk/ )を 使 用 して 修 復 します メ ニューから Detect any GRUB2 configuration file (grub.cfg)を 選 択 して そ こから 起 動 できます 64bit Linux をインストールして 64bit Linux をインストールしたら になりました 世 界 観 が 変 わるのではないかと 期 待 してい たのですが インストール 自 体 64bit 用 の iso イメージをダウンロードして それを 使 用 してイン
ストールする 以 外 は 32bit と 何 ら 変 わりません ハイエンドな PC ならば その 差 歴 然 となるの かもしれませんが ローエンドでは 体 感 的 な 変 化 はありません 64bit Linux を 使 用 するのは 膨 大 なメモリや HDD を 有 効 に 使 用 して 大 きな 処 理 やファイルのやりとりといったことで そう いうことでなければ 32bit で 全 然 かまわないのではないかというのが 結 論 です いきなり 振 り 出 しに 戻 る インストールしてから それぞれのディストロで 目 的 はあるものの 積 極 的 に 取 り 組 むことなく ときどき 起 動 してアップデートするということを 繰 り 返 していました そして その 間 隔 も 長 く なっていきました Fedora は 最 新 版 が 17 になり 16 からのアップグレードがハードルが 高 い ような 記 事 があり ペンディングのモードになりました そして Debian の 最 後 (!!)のアップデー トでは 700 以 上 のアップデートになりました Debian のアップデートは スーパーユーザで apt-get update apt-get upgrade(または aptget dist-upgrade)をするのが 王 道 ですが それをしても perl まわりのエラーが 表 示 され なか なかアップデートができません いくつかのサイトを 参 考 に 最 終 的 にはアップデートできまし た これで 再 起 動 して 画 面 を 見 ると HP のサポートプログラムが 実 行 されています これを キャンセルして もう 一 度 再 起 動 すると Grub エラーが 表 示 されます Grub エラーを 修 復 するには これも Super Grub2 Disk を 使 用 します Detect any OS を 選 択 すると Windows Vista bootmgr と Windows7 のみが 見 つかります とりあえず Windows 7を 起 動 して コンピュータの 管 理 でディスクを 確 認 すると Linux のファイルシステムがあった ところは 空 きパーティションとして 表 示 されました ここ 全 体 が 空 き 領 域 となり 頭 は 真 っ 白
最 後 の 頼 みか TestDisk パーティション 情 報 がディスクから 消 えた 場 合 は TestDisk というユーティリティで 修 復 できる 可 能 性 があります TestDisk を 収 録 しているディストロを 検 索 すると Parted Magic がひっか かりました この iso イメージをダウンロードして 焼 いて 起 動 してみます コンソールから TestDisk を 起 動 します $ sudo testdisk 次 のように 矢 印 キーで 選 択 して 解 析 します 1 2 3 4 ログを 作 成 / 追 加 / 無 視 から[ Create ]を 選 択 します 修 復 するディスクを 選 択 します パーティションの 型 から[ Intel ]を 選 択 します [Analysis ]を 選 択 すると 現 在 あるパーティションが 表 示 されます やはり Linux のファイルシステムのファイルシステムはなくなっています 残 りの Windows 関 連 と Linux Swap パーティションの 行 頭 にある 文 字 をメモっておきます それぞれ 以 下 の 意 味 です * ブートする Primary パーティション P Primary パーティション E 拡 張 パーティション L 論 理 パーティション 次 に[Quick Search]をしてディスクをすべて 検 索 して 失 われたパーティションも( 運 がよけれ ば) 表 示 してくれます このとき 各 パーティションの 行 頭 に D とありますが これはデフォルト で 削 除 ということなので そのまま 書 き 込 むと 悲 しい 目 に 遭 います 書 くパーティションの 行 頭 を 変 更 するには 上 下 矢 印 キーで 該 当 のパーティションにカーソルを 持 っていき 左 右 矢 印 キーで 変 更 します 今 回 は 先 ほどメモしたものと 失 われた Linux のファイルシステムのパー ティションはすべて 論 理 パーティションだったので L と 変 更 しました これで Enter キーを 押 し て 最 後 に[Write]で 書 き 込 みます これで 再 起 動 すれば 修 復 できるとありましたが やはり 起 動 できなかったので Super Grub2 Disk で 起 動 して Detect any Os を 選 択 します 今 度 は 中 に 入 っている Linux がす べて 表 示 され どれで 起 動 してよいのか 迷 うほどです いちばん 新 しそうなものを 選 択 して 起 動 してみます ここで Debian が 起 動 されました コンソールから 次 のコマンドを 入 力 して Grub2 を 再 インストールして 元 に 戻 りました $ sudo update-grub2 $ sudo grub-install /dev/sda